JP4898073B2 - 鼻内投与用フェンタニル組成物 - Google Patents
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Description
(技術分野)
本発明は、フェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩の非侵襲性の投与によりブレークスルー(breakthrough)痛などの急性の痛み(acute pain)の処置に使用するための医薬組成物に関し、該医薬組成物は少なくとも70μgのフェンタニルが投与単位で送達されるようなものである。本発明の方法は、急性の痛みを処置するのに充分な治療投与量を、静脈内投与に匹敵する作用開始時間にて投与することを含む。処置は典型的に、クエン酸フェンタニルの比較的濃縮した組成物を鼻内投与することを含む。さらに、本発明は、慢性的な痛みの継続した処置のための鎮痛薬の送達系とともに急性の痛みの処置のための鼻内投与用の治療投与量のフェンタニルを含む医薬キットに関する。
【0002】
(背景技術)
フェンタニルは、モルヒネと同様の薬理効果を有する強力な麻薬鎮痛薬である。フェンタニルは、重量ベースではモルヒネよりも50〜100倍強力である。フェンタニルは、脳、脊髄および他の組織に分布しているレセプターに作用するmu−レセプターアゴニストである。オピオイドは鎮痛および鎮静の両者を生じる。アヘン剤アゴニストは、痛みの存在自体は依然として認識されているが、おそらく患者の痛みおよび不安の受容レベルを変えることによってベータ−エンドルフィンの放出を妨げると思われる(1)。
【0003】
非経口フェンタニルは、麻酔、術後の痛みの処置、および前投薬として指示されている。経皮フェンタニルは、オピオイドを必要とする患者の慢性的な痛みを管理するのに用いる。フェンタニルトローチ剤(lozenge/sucker)(OraletR)は、小児および大人の患者で術前に不安緩解および鎮痛を誘発するように指示されている。経口の経粘膜フェンタニル(ActiqR)は、基礎となる継続的な癌の痛みのためのオピオイド治療をすでに受けているかまたはオピオイド治療に耐性となった悪性腫瘍を有する患者において、癌のブレークスルー痛の管理用に指示されている。フェンタニルOraletRは、手術室の環境での麻酔前投薬として、または病院の他のモニター下の麻酔ケア環境での診断または治療手順の前に知覚できる鎮静を誘発するため、病院環境で使用されるように唯一指示されている。
【0004】
通常の投与量で、モルヒネおよび他のオピオイド鎮痛薬の最も一般的な副作用は、悪心、嘔吐、便秘、眠気、および錯乱である。耐性は、一般に長期の使用に伴って生じる。排尿は困難であり、尿管または胆管の痙攣が起こる。抗利尿作用もある。口の渇き、発汗、顔面の紅潮、眩暈、徐脈、動悸、起立性低血圧症、低体温症、いらいら、気分の変化、幻覚、および縮瞳も起こる。これらの副作用は、ベッドに休んでいる患者や深刻な痛みのない患者よりも外来患者で一層普通に起こる。ある患者では頭蓋内圧の上昇が起こる。高投与量後に筋肉の硬直が報告されている。モルヒネおよび類似化合物の多幸作用は、その乱用に導いている。
【0005】
モルヒネとは異なり、フェンタニルは有意のヒスタミン放出を引き起こすことがないと報告されている。静脈内投与後に一過性の低血圧が起こることがある。高投与量では筋肉の硬直が起こることがあり、筋弛緩剤の投与が必要である;重症筋無力症の患者には注意を要する。
必要に応じて5分ごとに0.027mgの投与量で鼻内投与したフェンタニルは、術後の痛みおよび癌の痛みの緩和に有効であることが示されている(4−7)。この試みでは、薬剤は5分間の所定の間隔で少量で小希釈投与量にて送達された。
【0006】
(発明の開示)
(発明が解決しようとする技術的課題)
低濃度で低投与量のフェンタニルの鼻内送達を行った。高投与量に伴う呼吸機能の低下(respiratory depression)のリスクのため、濃度および投与量を低く保持した。要求−適合滴定(demand-adapted titration)が、副作用のリスクを避ける唯一の方法と考えられた(4−7)。それゆえ、約50μg/mLのフェンタニル組成物の繰り返し送達を投与した。
【0007】
動物のデータ(ウサギ)は、鼻経路の使用により迅速な吸収が生じることを示した。それゆえ、鼻経路は深刻な痛みの迅速な緩和を必要とする患者に使用するのに適している。全身作用を目指した鼻内投与の一般的な利点は、自分で簡単に投与できること、健康−経済論争(health-economy argument)の支持、およびセルフケアの概念である。さらに、初回通過肝臓代謝および胃腸管代謝を回避できる。
【0008】
静脈内投与では50〜150μg/kgの投与量が心臓外科での麻酔に指示されており、一方、50〜100μg/kgのIMの投与量が前投薬および局部麻酔の補助として有効である。子宮摘出を受けた患者では、1.5μg/kg/時のフェンタニルの24時間の連続静注が、有意の呼吸機能低下を引き起こすことなく術後の鎮痛をもたらすうえで有効であった。
経皮の投与量は、25〜100μg/時の範囲である。最初の投与量は25μg/時を超えないことが推奨される(1)。
【0009】
経口の経粘膜クエン酸フェンタニルは、フェンタニルOraletRおよびActiqRとして市販されている。小児患者の術前の不安緩解および鎮痛を誘発するため、5〜15μg/kg(最大400μg)の投与量のフェンタニルトローチ剤(フェンタニルOraletR)が指示されている。フェンタニルOraletRの大人の投与量は5μg/kgであり、最大投与量は400μgである。癌のブレークスルー痛を有するオピオイド耐性患者に対するActiqRの投与量は、200〜1600μgの範囲である。ActiqRの大人での最初の投与量は200μgである。この最初の投与量から患者を綿密に追跡すべきであり、癌のブレークスルー痛のエピソード当たりの単回ActiqR投与単位を用いて適切な鎮痛が得られる投与量に患者が達するまで投与量を変えるべきでない。
【0010】
噴霧による3mLのクエン酸フェンタニル500μg/mL(318μg/mLのフェンタニル塩基)の投与は、種々の外科処置を受けた10人の患者で術後鎮痛をもたらすのに有効であった。しかしながら、鎮痛の持続時間は5〜90分とかなりばらつきがあった。この投与経路は非効率的で面倒であり、それゆえ一般に推奨されていない(1)。
【0011】
フェンタニルは静脈内投与後には殆ど直ちに鎮痛作用を生じるが、トローチ剤送達や経口の経粘膜投与では作用の開始は15分以内である。
フェンタニルは肝臓で代謝され、尿中に主として代謝産物として(7%未満は変化を受けない薬剤)排泄される。フェンタニルの半減期は2〜4時間である。フェンタニルの大人および子供での分布半減期は10分である(1)。
【0012】
(課題を解決するための手段)
本発明は、経粘膜送達により等価なフェンタニルの有効投与量を送達しうる新規な組成物に関する。フェンタニルの静脈内投与は、呼吸機能の低下などの危険な副作用と関連する最高血漿濃度になるなど、経粘膜投与と比較して多くの実際上の不利がある。しかしながら、静脈内投与は作用開始時間(time−to−onset−of−action)が遥かに迅速であるという点では、現行のフェンタニルの経粘膜、経口、および肺内投与に対して1つの主たる利点を有する。現行の経粘膜組成物は、「滴定(titration)」法では痛みを患う者が幾つかの投与単位を投与する必要があり、その際、痛みを患う者は痛みの緩和に必要なだけの量の投与単位を自分で投与し、しばしば4〜6回の投与を必要とする。この「滴定」投与の結果は比較的長期間の作用開始時間であり、この間に痛みを患う者は、痛み、しばしば急性の痛みを継続して体験するのである。本発明者らは、とりわけ1回の投与後に、静脈内投与での作用開始時間に匹敵する作用開始時間にて痛みを緩和するフェンタニルと等価な有効投与量を経粘膜送達により投与する組成物を開発した。
【0013】
それゆえ、本発明の第一の側面は、適当な溶媒中に約0.4〜75mg/mLのフェンタニルに等価な濃度のフェンタニルまたはその塩を含む医薬組成物に関する。
上記に記載したように、本発明の組成物は、作用の迅速な開始を達成して薬剤の「滴定送達」を回避するのに充分な濃度を有する投与単位として送達される。それゆえ、投与単位もまた本発明の重要な側面である、というのは投与単位は1または2の送達操作で充分な量の薬剤を提供しなければならないからである。それゆえ、本発明の第二の側面は、約0.4〜75mg/mLのフェンタニルと等価な濃度を有する、適当な溶媒中にフェンタニルまたはその塩を含む投与単位に関する。
【0014】
哺乳動物における痛みの治療用医薬の調製のためのフェンタニルまたはその塩を含む組成物の使用であって、該医薬が約0.4〜75mg/mlのフェンタニルに等価な濃度を含み、該医薬が経粘膜投与用に製剤化されていることを特徴とする使用は本発明のさらなる側面である。
【0015】
換言すると、薬剤の量は医薬の重要な側面であるので、哺乳動物における痛みの治療用医薬の調製のためのフェンタニルまたはその塩を含む組成物の使用であって、該医薬の投与がそれぞれ少なくとも約70μgのフェンタニルと等価な投与単位の1またはそれ以上の送達を含み、該投与単位が経粘膜投与用に製剤化されていることを特徴とする使用は本発明のさらなる側面である。上記から明らかなように、医薬は投与単位を充分な量の薬剤にて送達すべく製剤化される。それゆえ、哺乳動物における痛みの治療用医薬の調製のためのフェンタニルまたはその塩を含む組成物の使用であって、該医薬が投与単位の経粘膜投与用に製剤化されており、該投与単位が少なくとも70μgのフェンタニルに等価な量を含むことを特徴とする使用は本発明の重要な側面である。
【0016】
本発明の組成物は、痛みの管理を目的とする。本発明の重要な側面は、個体の痛みを治療、緩和または低減する方法であって、フェンタニルまたはその塩を少なくとも70μgのフェンタニルに等価な投与単位で含む医薬組成物を投与することを含む方法に関する。換言すると、本発明のこの側面は、個体の痛みを治療、緩和または低減する方法であって、フェンタニルまたはその塩を含む医薬組成物を投与することを含み、該医薬組成物が約0.4〜75mg/mLのフェンタニルに等価な濃度を有することを特徴とする方法に関する。
【0017】
本発明のさらに他の側面は、急性の痛みの緩和を必要とする個体の循環系にフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩を投与する方法であって、個体の粘膜にフェンタニルを経粘膜送達するための医薬ビヒクル中に70μg〜2000μgのフェンタニルを含む治療投与量を投与することを含む方法に関する。
【0018】
本発明の組成物、投与単位または方法を用いた痛みの管理は、他の技術と組み合わせて痛みの管理に対する多成分戦略(multi-component strategies)の一部を構成してよい。この戦略は、たとえば、慢性的な痛みの管理のために既知の技術および痛みの急性の痛みのエピソードの際の痛みの管理のために本発明を利用する。それゆえ、本発明のさらなる側面は、
(i)急性の痛みの処置のために経粘膜送達用のビヒクル中に痛みの継続的な処置のためのフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩を70μg〜2000μg含む投与単位の送達用に製剤化した組成物;および
(ii)痛みの継続的な処置のための鎮痛薬
を含むキットに関する。
【0019】
「フェンタニル」なる語は、フェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩に関することを意図する。「約 のフェンタニルと等価」なる語は、フェンタニルの塩の容量、濃度、または量によって与えられる、フェンタニル遊離塩基の所定の容量、濃度、または量に関することを意図する。それゆえ、所定の量は、組成物中ではフェンタニル塩を使用するにもかかわらず、フェンタニル塩の量ではなくフェンタニル遊離塩基の量に関する。最も好ましい態様において、本発明の組成物、方法および使用にはクエン酸フェンタニルの使用が含まれる。
【0020】
「製剤化」なる語は、該組成物を用いて医薬を調製するに際しての賦形剤、担体、ビヒクル、保存剤、安定化剤などの選択に関する。「製剤化」なる語はさらに、該組成物の送達のためのデバイスの選択または該組成物の投与または貯蔵のための閉じ込め(containment)デバイスの選択に関する。
【0021】
「投与単位」なる語は、1回の送達操作により1回の投与で投与される組成物に関する。組成物が鼻内送達による経粘膜投与用に製剤化されている態様では、投与単位は1回の送達操作により投与される組成物の容量または薬剤の量である。送達操作は、投与単位を送達する操作である。この態様では、送達操作は、鼻内スプレーまたは当業者に知られた他の手段などの送達系による投与単位の鼻腔への投与である。適当なデバイスは、たとえば、PfeifferおよびValoisから市販されている。「投与量」および「治療投与量」なる語は、処置に際して投与単位の投与により投与される薬剤の全量または組成物の量に関する。処置は、1回の痛みのエピソードに際しての組成物の投与に関し、該エピソードは痛みの緩和まで持続する。
【0022】
「作用開始時間」なる語は、通常、充分な血漿濃度のフェンタニルの結果として、患者が痛みの緩和を体験し始める時間を意味することを意図する。鎮痛を達成するのに充分な血漿濃度は、患者、患者のクラスおよびタイプ、および体験している痛みの性質により様々である。「作用開始時間」における「作用」は痛みの緩和である。
「作用持続時間」なる語は、患者が痛みの緩和を体験する時間に関する。
【0023】
本発明の医薬組成物は、適当な溶媒中にフェンタニルまたはその塩を約0.4〜75mg/mLのフェンタニルに等価な濃度で含む。該組成物は、典型的には鼻粘膜によりフェンタニルを送達するため、経粘膜投与用に適当に製剤化される。
【0024】
本発明の組成物は、典型的に、約0.5〜20mg/mL、好ましくは0.6〜15mg/mL、0.7〜12mg/mL、さらに好ましくは0.75〜10mg/mL、最も好ましくは0.75〜8mg/mLのフェンタニルに等価な濃度を有する。適当な組成物は、少なくとも約0.5mg/mLのフェンタニル、たとえば、0.7mg/mL、たとえば、0.75mg/mL、たとえば、約1mg/mL、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、および約8mg/mLのフェンタニルに等価な濃度を有する。
【0025】
記載したように、組成物は投与単位として送達され、その際、投与は約10〜500μL、たとえば10〜200μL、好ましくは約50〜150μLの1またはそれ以上の投与単位の送達を含む。送達を鼻粘膜により行う態様では、送達単位は、組成物および投与単位の送達に用いたデバイスに依存して噴霧(squirt)またはスプレーにより提供される容量に対応する。
【0026】
鼻内投与が約200μlを超える場合には、調合物が喉頭へまたは鼻孔から失われるおそれがある。それゆえ、鼻内投与用の調合物は、200μlを超えないのが好ましい。従って、本発明による好ましい容量としては、10μl、25μl、50μl、75μl、100μl、150μl、200μl、250μl、300μl、および350μl、および400μlから選択される容量が挙げられ、その際、該容量は好ましければ両方の鼻孔へ送達する。
【0027】
好ましい態様において、該組成物は、少なくとも約70μgのフェンタニル、たとえば、80、90、または100μg、たとえば、125、150、200、250、または300μg、たとえば、350、400、450、500μg、たとえば、550、600、650、700、750、800、850、900、または950μg、たとえば、1000、1050、1100、1250、または1300μg、たとえば、1350、1400、1450、1500μg、たとえば、1550、1600、1650、1700、1750、1800、1850、1900、または1950μg、たとえば、2000μgのフェンタニルに等価な量を含む投与単位の鼻内送達用に製剤化される。
【0028】
他の定義として、該組成物は、約70〜2000μgのフェンタニル、たとえば、70〜1800μg、好ましくは70〜1500μg、たとえば、70〜1200μg、とりわけ好ましくは70〜1000μg、さらに好ましくは70〜500μg、最も好ましくは75〜300μgのフェンタニルに等価な投与単位の経粘膜送達用に製剤化される。
【0029】
本発明はさらに、急性の痛みの緩和を必要とする個体の循環系にフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩を投与する方法に関する。治療投与量は、狭い作用開始時間内に急性の痛みを処置するのに充分なものである。急性の痛みの処置に充分な血漿濃度を達成するため、治療投与量は、通常、少なくとも70μgから2000μgのフェンタニルの範囲であろう。許容時間内に、しかも注射によりフェンタニルを送達することなしにフェンタニルを循環系に投与するため、フェンタニルの経粘膜送達用の医薬ビヒクル中にてフェンタニルを患者の粘膜に投与する。
【0030】
痛みを緩和するのに充分な投与量は、患者毎に、並びに個々の患者で異なる。比較的中くらいの急性の痛みの処置のためには、治療投与量は、少なくとも70μgのフェンタニル、好ましくは少なくとも100μgのフェンタニル、さらに好ましくは少なくとも150μgのフェンタニル、たとえば、200μgのフェンタニルを含む。さらに重篤の急性の痛みの処置のためには、治療投与量は、少なくとも250μgのフェンタニル、好ましくは少なくとも300μgのフェンタニル、さらに好ましくは少なくとも400μgのフェンタニル、たとえば、500μgのフェンタニルを含む。患者が重度の急性の痛みを患っているかまたは患者がフェンタニルに対して耐性がある場合は、本発明に従って一層高い投与量が必要であり、投与される。そのような高い投与量としては、600μgのフェンタニル、好ましくは少なくとも800μgのフェンタニル、さらに好ましくは少なくとも1000μgのフェンタニル、たとえば、少なくとも1200μgのフェンタニルを含む治療投与量が挙げられる。さらに一層高い投与量、たとえば、1300μgのフェンタニル、好ましくは少なくとも1400μgのフェンタニル、さらに好ましくは少なくとも1500μgのフェンタニル、たとえば、1600μgのフェンタニルが望ましい。高投与量の処置は、オピオイド鎮痛薬の定期的処置を受けている患者で行われ、何人かの患者は1800〜2000μgのフェンタニルを含む治療投与量を必要とすると思われる。
【0031】
上記で記載したように、経粘膜送達用の本発明の組成物は、当業者に知られた組成物よりも一層高い(potent)濃度である。それゆえ、痛みを緩和するのに有効な治療投与量は、2回を超えない投与単位の送達を含む投与によって典型的に達成される。好ましい態様において、組成物は、2を超えない投与単位が治療投与量を含むように製剤化される。該組成物は強力であるが、実施例に示すように呼吸機能の低下などの副作用のリスクが有意に低減している。
【0032】
本発明の組成物は、狭心症のような良性の急性の痛みのエピソード、結腸/胆管痛、外傷、術後痛、歯痛、口顔痛、交感神経痛症候群、膵臓痛、心筋梗塞痛、背痛、癌の痛み、包帯の交換および術前麻酔の際または後の痛みなどの急性の痛みまたはブレークスルー痛の治療、緩和または低減を意図している。
【0033】
痛みの緩和がフェンタニルを投与してから常に非常に短期間で得られることは本発明の重要な側面である。従って、急性の痛みの緩和が投与単位または治療投与量の最初の送達の投与から非常に短期間で得られ、組成物の作用開始時間が10分未満、たとえば、9分未満、好ましくは8分未満となるようにすべきである。
【0034】
作用開始時間が非常に短いことに加えて本発明の非常に重要な利点は、痛みの緩和が少なくとも30分間持続することである。それゆえ、本発明の組成物の投与は、少なくとも30分間維持される作用持続時間を有する。ある場合には作用持続時間が治療投与量の投与後少なくとも1時間または少なくとも1.5時間持続されるのが好ましいが、急性の痛みが典型的に短期間しか継続しない場合には、作用持続時間は少なくとも30分間だが90分を超えずに持続されるのがしばしば好ましく、少なくとも30分間だが60分を超えずに持続されるのが好ましい。
これは本発明のさらなる利点である。本発明の組成物は、充分に長い作用持続時間を有するが不必要に作用期間を引き延ばすことはなく、迅速な作用開始時間を有することができる。
【0035】
本発明の組成物は、作用開始が非常に迅速だが作用持続が非常に短い静脈内投与と比較して擬似「徐放」効果を有する。静脈内投与は一層高いフェンタニルの最高血漿濃度という結果となる。静脈内投与したフェンタニルは、投与したフェンタニルの量に比例して最高血漿濃度、すなわち高いCmaxという結果となる。逆にStriebel(文献4−7)によって記載された組成物の鼻内「滴定」投与は、作用開始が一層遅く、作用持続が不必要に長い。
【0036】
本発明の組成物は、投与後に静脈内投与の75%以上、好ましくは静脈内投与の80%以上、さらに好ましくは静脈内投与の90%以上のバイオアベイラビリティーを有する。バイオアベイラビリティーは、当業者に知られているようにそのAUCによって決定される。
【0037】
本発明の方法は約70〜2000μgのフェンタニルを含む投与単位の投与を含み、該投与は、約70〜2000μgの治療投与量の範囲内のフェンタニルの等価量の送達される投与単位が増大すると低下するCmax,nasal/Cmax,iv比という結果となるのが好ましい。
【0038】
さらなる側面において、本発明の組成物、投与単位、使用および方法は、本明細書の記載に従って測定されるように急性の痛みの治療効果によって特徴付けられる。本発明による痛みを記録する1つの方法は、痛みの緩和の開始の測定を含む。治療剤を投与する直前に、たとえばストップウオッチを始めることにより時間を測定する。患者が有意義な痛みの緩和を感じていることが確かめられたときに、たとえばストップウオッチを止めることによって時間を測定する。本発明の組成物は投与後、2を超えない投与単位を送達した後に、好ましくは1の投与単位を送達した後に、PIDにより測定して2〜7の範囲、たとえば、2、3、4、5、6、および7、好ましくはたとえば3、4、5、および6の痛み低減スコアを有する。
【0039】
治療剤の投与後15分以内に作用開始の得られる患者が少なくとも50%であれば成功したと考えられるであろう。同様に、作用の持続時間は、作用の開始と、患者が作用が停止したと言明した時点かまたは患者が救援医薬を摂取した時点のいずれか早い方との間の差異として測定される。少なくとも半時間の痛み緩和の持続が患者の少なくとも50%によって体験されたなら成功と考えられるであろう。
【0040】
他の測定法は、11点数の算定スケール(0=痛みなし、10=耐えられない痛み)に基づいて評価する痛み強度(Pain Intensity)(PI)である。PIiはTiの時点での痛み強度である。PIiは下記の時点(Ti)の1またはそれ以上で測定する:処置前(ベースライン)、有意義な痛み緩和の時点、最初の2時間について治療剤の投与後の各15分毎、および次の2時間について各30分毎。治療剤の投与後15分以内に平均PIの40%低下が認められれば成功と考えられるであろう。もちろん、他の時点および他の間隔を選択してよい。
【0041】
PI0は、治療剤投与前(T0の時点)のベースラインの痛み強度(上記に記載のスケールに基づいて評価)である。痛み強度差(PID)は、治療剤の投与後の時点での痛み強度(PIi)と比較したPI0である。投与後15分以内に2の平均PIDが得られれば成功と考えられるであろう。
さらに他の測定法は、PID曲線下の面積、すなわち痛み強度差の合計(Sum of Pain Intensity Difference)(SPID)であり、PIは上記時点で測定される。平均4時間のSPIDが3であれば成功したと考えられるであろう。
【0042】
1つの方法は、本明細書に開示の痛み強度スケールに関連し、その際、痛みの緩和は、投与時点近くで測定した痛みスコアPI0および投与後の時点で測定した痛みスコアPIiに基づいて少なくとも30%、たとえば少なくとも40%の痛み強度差(PID)として測定される。投与後の時間は、以下の時間の1またはそれ以上の時間から選択される:投与後3分、5分、7分、10分、15分、20分、および30分。これらの時間は、測定の目的が投与後直ちの効果を評価することである場合に用いる。治療の持続時間の測定を意図する場合は、痛みの緩和は、投与の直前に測定したスコアPI0および投与後の時点で測定したスコアPIiに基づく痛み強度差(PID)として測定し、投与後の時間は投与後45分、60分、75分、90分、および120分から選択される。1つの別のやり方は、投与後の所定の時点からより遅い時点まで作用を測定することであり、この場合は所望の時間範囲は個々に選択する。
【0043】
痛み緩和スコアの測定は、本明細書に記載の方法によるか、または1〜100%のスケール(100%は患者が耐えられない痛みであり、0%は全く痛みなし)に基づいて行う。スコアは、開始から最大の鎮痛作用が得られるものの少なくとも30%であるのが好ましい。
【0044】
さらに他の測定法は、上記に記載したように、投与直後に測定するスコアPI0および投与後の時点で測定するスコアPIiに基づく痛み強度差の合計(SPID)であり、投与後の時間は所望の時間のいずの時間から選択してよく、本明細書に記載の時間を含む。好ましい態様において、痛み強度差の合計の測定は、少なくとも30分、好ましくは少なくとも45分、好ましくは少なくとも60分、たとえば90分の期間の間に測定される少なくとも2つの値から行う。さらに、痛み強度差の合計の測定は、少なくとも5つの値、たとえば、少なくとも7つの値、好ましくは少なくとも10の値、たとえば11、12または13の値から行う。
【0045】
フェンタニルの静脈内投与により達成される最高血漿濃度は、呼吸機能の低下などの副作用を伴う。図6a〜6dに示すように、本発明の最高血漿濃度は、(速やかに達成され、かつ充分に長く持続されるとともに)所望の作用を提供するのに充分である。それゆえ、本発明はさらに、2を超えない投与単位の投与が、約70〜2000μgの治療投与量の範囲内で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の5%以上で75%未満の最高血漿濃度、好ましくは約70〜2000μgの治療投与量の範囲内で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の30%以上で75%未満の最高血漿濃度を有する組成物に関する。
【0046】
本発明の興味のもたれる側面において、投与単位の繰り返し投与は最高血漿レベルの増大という結果とはならない。静脈内投与では繰り返し投与は血漿濃度を所望でない高レベルまで上昇させ続ける。逆におよび有利なことに、ここでもおそらく投与法の擬似徐放特性のために、投与単位の繰り返し経粘膜投与は血漿濃度を上昇させ続けることはない。それゆえ、本発明の興味のもたれる態様において、本発明の方法は、約70〜2000μgの治療投与量の範囲内で両投与法(鼻内と静脈内)により送達されるフェンタニルの等価量を比較したときに、医薬の投与は投与単位が増大するとCmax,nasal/Cmax,iv比が低下する結果となるようなものである。
【0047】
粘膜からのフェンタニルの吸収は全体として非常に速やかであり、医薬の良好なバイオアベイラビリティーという結果となる。しかしながら、本発明によれば鼻粘膜が好ましい。この投与経路が患者にとって都合がよいことに加え、鼻の口顔領域は脳に極めて近接している。にもかかわらず、治療投与量はまた、口腔粘膜、呼吸器の粘膜、たとえば、気管の粘膜および/または肺の粘膜の1またはそれ以上から選ばれる粘膜に投与されてよい。本発明のさらなる側面において、治療投与量は同じ処置において1を超える位置で投与してよいし、または患者は投与経路を個別に選択してよい。夜間の急性の痛みは、鼻内投与が鼻に刺激を与えるようであれば口腔投与で処置することができる。
【0048】
本発明の組成物はフェンタニルをフェンタニルのクエン酸塩として含むのが好ましい。
クエン酸フェンタニルは水に容易に溶解するので、経粘膜送達に適したビヒクルとしては、水を含むビヒクル、たとえば水を約95%〜100%も含むビヒクルが挙げられる。
本発明の組成物は、典型的に、等張食塩水、水、ポリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせよりなる群から選ばれた溶媒を含む。
【0049】
しかしながら、適当なポリマーを含むビヒクル、好ましくはn−エチレングリコール(PEG)を含む医薬ビヒクルが、該ポリマーを含む液体の噴霧性(sprayability)が良好であるために好ましい。PEGは、式:H(OCH2CH2)pOH(式中、pは1〜14の範囲の整数)で示されるエチレングリコールを含む、比較的低分子量のものが好ましい。そのようなPEGとしては、PEG200、PEG300およびPEG400が挙げられる。とりわけPEG200および300が好ましい。
【0050】
フェンタニルの経粘膜送達用の医薬ビヒクルのための1つの好ましいポリマーとしては、式I:
【化2】
(式中、nは好ましくは1〜8の範囲の整数、さらに好ましくは1または2)で示されるn−グリコフロールから選ばれる1またはそれ以上の物質またはその混合物が挙げられる。ビヒクル中に含まれるn−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールの量は、0.5〜100w/w%である。該ポリマーの有利な効果としては、フェンタニルの安定性が増大することが挙げられる。しかしながら、ビヒクル中に含まれるn−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールの量は、最大30%w/w、たとえば、最大25%w/w、好ましくは最大15%w/w、たとえば、最大10%w/w、たとえば、最大5%w/wであるのが好ましい。高濃度のフェンタニルを含むことが望まれる調合物では、最も低い濃度のポリマーが好ましい。
【0051】
本発明による医薬ビヒクルはまた、ビヒクル中に含まれるn−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールの量が最大約100%w/w、好ましくは最大80%w/w、たとえば、最大50%w/wであるものを包含する。低濃度のフェンタニルを含むことが望まれる調合物では、最も高い濃度のポリマーが好ましい。
【0052】
n−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールの存在によって得られるビヒクル中のフェンタニルの増大した安定性は、ビヒクル中のフェンタニルへの放射が低減した作用を有することと関係している。該ポリマーの存在は、光ストレスに対する耐性およびおそらく温度ストレスに対する耐性をも1週間当たり1〜2.5%または1ヶ月内で約2〜10%増大させると思われる。
【0053】
本発明によるさらなるおよび非常に重要な事柄は、送達に用いたデバイスおよび/または製造に用いた用具の表面へのフェンタニルの吸着が低減することに関して得られる効果である。n−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールを含むがポリマー化合物を含まないビヒクルと比較したときに、および/またはn−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールを水と置換した対応ビヒクルと比較したときに、n−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールを含むビヒクルは一層高程度の活性物質を与えた。損失の差異は、特定のデバイスに依存して1〜20%内である。
【0054】
本発明の投与単位は、適当な溶媒中にフェンタニルまたはその塩を約0.4〜75mg/mLのフェンタニルに等価な濃度で含む。他の定義によれば、投与単位は、約10〜500μL、たとえば、約10〜200μL、好ましくは約50〜150μLの本発明の組成物である。投与単位が患者に投与され、個体に投与するフェンタニルの量は本発明の重要な特徴である。
投与単位は経粘膜投与用に製剤化するのが好ましく、経粘膜投与は鼻粘膜によるフェンタニルの送達を含むのが好ましい。
【0055】
上記のように、投与単位は、組成物を投与したときに、2を超えない投与単位の送達後、好ましくは1の投与単位の送達後のPIDによる測定で、2〜7、たとえば、2、3、4、5、6、および7、好ましくはたとえば3、4、5、および6の痛み低減スコアを与えるように充分な薬剤を含んでいる。
【0056】
本発明の方法は、狭心症のような良性の急性の痛みのエピソード、結腸/胆管痛、外傷、術後痛、歯痛、口顔痛、交感神経痛症候群、膵臓痛、心筋梗塞痛、背痛、癌の痛み、包帯の交換および術前麻酔の際または後の痛みなどの急性の痛みまたはブレークスルー痛の治療、緩和または低減に関する。
【0057】
他の定義によれば、本発明の方法は、急性の痛みの緩和を必要とする個体の循環系にフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩を投与することを含み、その際、該投与は、個体の粘膜にフェンタニルを経粘膜送達するために医薬ビヒクル中にそれぞれ70μg〜2000μgのフェンタニルを含む2を超えない投与単位の治療投与量を投与することを含む。
【0058】
上記に記載したように、本発明の重要な側面は、哺乳動物における痛みの治療用医薬の調製のためのフェンタニルまたはその塩を含む組成物の使用であって、該医薬の投与が、それぞれ少なくとも約70μgのフェンタニルに等価な1またはそれ以上の投与単位の送達を含み、該投与単位が経粘膜投与用に製剤化されたものであることを特徴とする使用、およびフェンタニルまたはその塩を少なくとも70μgのフェンタニルに等価な投与単位で含む医薬組成物の投与を含む、個体における痛みの治療、緩和または低減する方法に関する。
【0059】
他の定義によれば、本発明は、哺乳動物における痛みの治療用医薬を調製するためのフェンタニルまたはその塩を含む組成物の使用であって、該医薬が投与単位の経粘膜投与用に製剤化されており、該投与単位が少なくとも約70μgのフェンタニルに等価な量を含むことを特徴とする使用に関する。
【0060】
同様に、哺乳動物における痛みの治療用医薬の調製のためのフェンタニルまたはその塩を含む組成物の使用であって、該医薬が約0.4〜75mg/mLのフェンタニルに等価な濃度を含み、該医薬が経粘膜投与用に製剤化されていることを特徴とする使用、およびフェンタニルまたはその塩を含む医薬組成物の投与を含む、個体における痛みを治療、緩和または低減する方法であって、該組成物が約0.4〜75mg/mLのフェンタニルに等価な濃度を含むことを特徴とする方法は、本発明のさらなる重要な側面である。
【0061】
高い最高血漿濃度は、オピオイド鎮痛薬に関連する重篤な副作用を伴う。それゆえ、本発明の目的は、2を超えない投与単位の投与が、約70〜2000μgの治療投与量の範囲内で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の5%以上で75%未満の最高血漿濃度、好ましくは約70〜2000μgの治療投与量の範囲内で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の30%以上で75%未満の最高血漿濃度を有する組成物を提供することである。
【0062】
本発明の重要な特徴は、鎮痛レベルが組成物の滴定によってではなく最大2の投与単位の投与によって達成されるということである。それゆえ、好ましい態様において、2を超えない投与単位の投与は、約70〜2000μgの範囲の治療投与量で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の5%以上で75%未満の最高血漿濃度を与える。さらに好ましい態様において、2を超えない投与単位の投与は、約70〜2000μgの範囲の治療投与量で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の30%以上で75%未満の最高血漿濃度を与える。
【0063】
本発明のさらなる側面は、意図する鎮痛作用を低減することなくフェンタニルの最高血漿濃度を低下させることの重要性に関する。すでに記載したように、本発明の重要な特徴は、一層小さな投与量を繰り返し段階投与する「滴定」によるのではなく、最大2の投与単位の投与を含む1または最大2の送達操作により痛みを緩和するのに充分な完全な鎮痛投与量を提供することである。本発明は高い血漿濃度および速やかな鎮痛を提供するものである。しかしながら、極度の痛みの場合、治療投与量は本発明の投与単位(投与単位は少なくとも70μgのフェンタニルを含む)の2を超える送達操作を必要とすることが予期される。
【0064】
これらの繰り返し投与は、患者が長引いた時間待つことを要求するものではなく、繰り返し自分で投与する前に何らかの効果が生じることを要求するものでもない。治療投与量の分割は、主として、治療投与量を低減することなく最高濃度の値を低減することを目的とする。あるいは、投与単位は、一層高い投与量のフェンタニルを含むように患者の必要性に合致すべくあつらえてもよい。いずれの態様においても、高い最高血漿濃度は、図1および図1A〜4Cに示すように経粘膜送達の遅/徐放特性により本来的に回避される。
【0065】
従って、適当な態様において、治療投与量の送達は、15分以内に4を超えない投与単位の投与(各投与は少なくとも70μgのフェンタニルを含む)、好ましくは3を超えない、典型的には2を超えない、たとえば2または1の投与単位の投与に分割される。治療投与量の投与が2を超える投与単位の投与を含む態様では、最後に投与する投与量は、治療投与量で得られる最大の鎮痛効果が実質的に低下するレベルまで最初の個々の投与量の効果が低下した時点で投与する。所定の治療投与量のフェンタニルで最大の鎮痛効果を得るには、これら分割した治療投与量を最大5分以内、好ましくは3分または2分以内に投与する。本発明の治療投与量の投与を行うのが何分であるかにかかわらず、最大の最高血漿濃度の低減および速やかな作用開始という重要な特徴が得られる。
【0066】
従って、1つの態様において、本発明による方法は、分割した治療投与量が、該治療投与量の個々の投与単位量を投与したときに、単回の投与量で投与したときの治療投与量の最高血漿濃度よりも実質的に低い最高血漿濃度という結果となる治療計画に関する。
【0067】
本発明の興味のもたれる側面において、投与単位の繰り返し投与は最高血漿レベルの上昇という結果とはならない。静脈内投与では繰り返し投与は血漿濃度を所望でない高レベルまで上昇させ続ける。逆におよび有利なことに、ここでもおそらく投与法の擬似徐放特性のために、投与単位の繰り返し経粘膜投与は血漿濃度を上昇させ続けることはない。それゆえ、本発明の興味のもたれる態様において、本発明の方法は、約70〜2000μgの治療投与量の範囲内で両投与法(鼻内と静脈内)により送達されるフェンタニルの等価量を比較したときに、医薬の投与は投与単位が増大すると低下するCmax,nasal/Cmax,iv比という結果となるようなものである。
【0068】
鼻内投与に関しては、治療投与量を各鼻孔に対して1またはそれ以上の投与量に分割するのが非常に都合がよい。従って、本発明の1つの側面は、最大3〜4の個々の投与単位量、好ましくは2または1の個々の投与単位量に分割した治療投与量に関する。
【0069】
フェンタニルを含む組成物の適当な投与形態は、フェンタニルを50〜400μlの投与単位容量中に溶解、分散または懸濁し、該フェンタニルを鼻の粘膜に鼻孔当たり25〜200μlの投与単位量で投与するものである。適当な組成物の例は実施例に記載してあり、フェンタニルの治療投与量が5%のPEGを含むビヒクル中に10mg/mlの溶液を構成するビヒクルが挙げられる。
【0070】
本発明による経粘膜送達のための好ましい方法は鼻経路であり、これにより少なくとも50%、たとえば、少なくとも60%および好ましくは約70%のバイオアベイラビリティーが得られる。それゆえ、本発明の組成物は、静脈内投与の75%以上、好ましくは静脈内投与の80%以上、さらに好ましくは静脈内投与の90%以上のバイオアベイラビリティーを有するのが好ましい。
【0071】
上記に記載したように、本発明の方法は高い血漿濃度を達成するためのフェンタニルの投与に関する。しかしながら、静脈内投与により達成されるレベルの最高血漿濃度は避けるのが好ましい。それゆえ、好ましい態様において、本発明の方法は、2を超えない投与単位の投与が、約70〜2000μgの範囲の治療投与量で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の5%以上で75%未満の最高血漿濃度、好ましくは、約70〜2000μgの範囲の治療投与量で該投与単位の静脈内投与で得られる最高血漿濃度の30%以上で75%未満の最高血漿濃度を有するようなものである。
【0072】
本発明による治療計画は、術後の痛み、事故後の痛みおよびブレークスルー痛などの急性の痛みを患う患者に適している。本発明による治療計画は、とりわけ適当な鎮痛薬処置を継続しているにも拘わらずブレークスルー痛を患っている患者、中でも実質的に定期的な治療計画で鎮痛薬の投与を受けている患者に適している。そのような治療計画は常法のいずれであってもよく、フェンタニルまたは他の鎮痛薬を含んでいてよい。1つの態様において、実質的に定期的な治療計画での鎮痛薬は、フェンタニルを含むオピオイドまたはオピオイドアナログまたは薬理学的に許容しうるその塩である。実質的に定期的な治療計画のフェンタニルなどの鎮痛薬は、経口で、経皮によりまたは貯蔵(depot)デバイスにより、または当該技術分野でよく知られた他の通常の手段により投与することができる。
本発明の1つの非常に興味のもたれる側面において、実質的に定期的な治療計画はフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩を経皮パッチにて投与することを含む。
【0073】
本発明の1つの重要な側面は、基礎となる鎮痛処置とは無関係に急性の痛みの処置を最適化する手段を患者に提供することである。全治療投与量の投与により、個々の患者の痛み強度に対応するフェンタニルの相対血漿濃度を個々の患者に提供することが可能である。患者がブレークスルー痛を認識しているかまたは痛みをある程度で生じる活動をしようとする場合には、関連する治療投与量を前もって、あるいは少なくとも痛みが重篤になる前に、各場合に応じて投与することができる。他の患者は充分な治療投与量を知っているであろうし、単回の投与量として投与した処置ではあまりに高い最高血漿濃度となることによる副作用を避けるのが適当なら、上記で説明したように投与量を分割するであろう。
【0074】
従って、1つの態様において、本発明は、急性の痛みの治療方法であって、患者がスコアを用いて痛み強度を規則的に測定し、痛みスコアが前もって決定した値を超えたときには個々の患者および痛み強度に適したフェンタニルの治療投与量を投与する方法に関する。換言すると、治療投与量は、患者自身が測定する相対的な痛み強度と個別に相関付けられる。
【0075】
本発明によるフェンタニルの使用は、フェンタニルの治療投与量を粘膜に、溶液、分散液、エマルジョン、懸濁液、生物吸着(bioadhesive)および非生物吸着(non-bioadhesive)ゲル、粉末、ミクロスフェア、生物吸着および非生物吸着パッチ、または当該技術分野でよく知られた経粘膜送達に適した他の形態(トローチおよび棒付きキャンディーを含む)にて送達される。
フェンタニルは主として、液体、半固体または粉末の調合物を送達するのに適したデバイスの使用により目的粘膜に投与され、滴剤、噴霧剤、エアゾル剤、吸入剤およびパッチ剤の使用を含む。
【0076】
本発明はさらに、急性の痛みの処置に使用するために1〜2000μlの全容量または1〜2000μgの全重量を有する薬理学的に許容しうるビヒクル中に70μg〜2000μgのフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩を含む投与量の治療投与量を含む医薬組成物に関する。好ましいフェンタニルは、水、n−エチレングリコール(PEG)およびn−グリコフロールおよびそれらの混合物よりなる群から選ばれたビヒクル中のクエン酸フェンタニルである。好ましいエチレングリコールは、式:H(OCH2CH2)pOH(式中、pは1〜14の整数)により示され、PEG200およびPEG300および400から選ばれるPEGを含む。PEG300および200が最も好ましい。n−グリコフロールは本明細書に記載の式I(式中、nは1〜8の整数、好ましくはnは主として1および2である)により示される。
【0077】
本発明による医薬組成物は、ビヒクル中に含まれるn−エチレングリコールおよび/またはn−グリコフロールの量が0.1〜100w/wである組成物を包含する。
経粘膜送達に適したビヒクルおよび賦形剤としては、グリココール酸、タウロコール酸およびデオキシコール酸などの胆汁酸の塩;シクロデキストリン;キトサン;多糖;リコペルシコン・エスクレンツム(lycopersicon esculentum)アグルチニン、コムギ胚芽アグルチニンおよびウルチカ・ジオイカ(urtica dioica)アグルチニンなどのレクチン;細菌のインベイシン(invasins);フシジン酸誘導体;タウロジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF);リン脂質;リソホスファチジルコリン(LPC);ジデカノイル−L−ホスファチジルコリン(DDPC);ココヤシ油、アメリカホドイモ油(groundnut oil)および扁桃油などの植物油;ベンジルアルコール;バシトラシン;ヒアルロン酸ナトリウム;ヒアルロン酸;ポリアクリル酸およびその誘導体;メチルセルロース;微結晶セルロース(MCC);カルボキシメチルセルロース;エチル(ヒドロキシエチル)セルロース(EHEC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);プラストイドL50;ポロアクスマー(poloaxmers);プロピレングリコール;および脂肪酸が挙げられる。
【0078】
本発明の組成物、投与単位または方法を用いた痛みの管理は、他の技術と組み合わせて痛みの管理に対する多成分戦略の一部を構成してよい。この戦略は、たとえば、慢性的な痛みの管理のために既知の技術および痛みの急性の痛みのエピソードの際の痛みの管理のために本発明を利用する。それゆえ、本発明のさらなる側面は、
(i)急性の痛みの処置のために経粘膜送達用のビヒクル中に痛みの継続的な処置のためのフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩を70μg〜2000μg含む投与単位の送達用に製剤化した組成物;および
(ii)痛みの継続的な処置のための鎮痛薬
を含むキットに関する。
【0079】
好ましいキットにおいて、痛みの継続的な処置のための鎮痛薬は、パッチ剤などの経粘膜送達に適した形態のフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩である。
本発明のさらなる側面は、急性の痛みの処置を必要とする患者の粘膜に投与することによる、該患者の急性の痛みの治療用医薬を調製するための、経粘膜送達用の医薬ビヒクル中に70〜2000μgのフェンタニルを含むフェンタニルまたは薬理学的に許容しうるその塩の治療投与量の使用に関する。
【0080】
痛みの管理の目的のためには、個体は鎮痛薬をさらに投与されてよい。鎮痛薬は当業者に知られたいずれのものであってもよく、たとえば、アウロチオマレイン酸ナトリウムなどの金化合物;ナプロキセン、ジクロフェナク、フルロビプロフェン、ケトプロフェンおよびケトロラクなどの非ステロイド抗炎症剤(NSAID);コデイン、デキストロプロポキシフェン、ジヒドロコデイン、モルヒネ、ジアモルヒネ、ヒドロモルヒネ、メサドン、ペチジン、オキシコドン、レボルファノール、フェンタニルおよびアルフェンタニルなどのオピオイド鎮痛薬;パラセタモールなどのパラ−アミノフェノール誘導体;およびアスピリンなどのサリチル酸誘導体よりなる群から選ばれたものであってよい。
【0081】
実施例の記載から、鼻内投与用に製剤化した本発明のフェンタニル組成物は、痛み強度、痛み強度差および痛み強度差の合計に関して静脈内投与用の調合物と非常に類似した鎮痛特性を有することがわかる。結果は、これら2つの調合物で得られる全体の鎮痛は異ならないことを示した。鼻内投与経路のこれらの観察および利点は、単独で使用するにせよ補助の痛み療法として使用するにせよ、鼻内フェンタニルを最も有望な新規な痛みの治療法としている。
【0082】
作用開始時間に関しては、急性の痛みに対する鎮痛を得るには速やかな作用の開始が重要である。実施例および図5から、本発明の試行において作用開始時間の中央値が静脈内投与後では1分、鼻内投与後では7分であったことがわかる。実際の生活の状況では、静脈内注射を調製するまでには時間がかかり、看護士または医者によって与えられるのに対し、鼻内投与は鎮痛の必要性が認識されたら直ちに患者自身によって取り扱うことができる。かくして最速の痛みの緩和が自身によるフェンタニルの鼻内投与により得られる。
【0083】
作用持続時間に関しては、鎮痛作用の持続は、本発明の組成物の静脈内投与後では49分、鼻内投与後では56分であることがわかった。単回の静脈内投与量(100μgまで)後の鎮痛の持続時間は30〜60分であることがわかった(16)。i.m.投与の持続時間は1〜2時間である(16)。最近の刊行物はホスピス患者のブレークスルー痛(BTP)を解明しているが、BTPエピソードの72%が30分未満しか持続しなかった(16)。
【0084】
フェンタニルの血漿濃度の使用は臨床的に有用であるが、血漿レベルはフェンタニルに対する患者の感受性を反映するものではなく、それゆえ有効性または毒性の唯一の決定因子として用いるべきでない。診査集団のCmax-nasalは、75μgのフェンタニルでの0.7ng/mlから200μgのフェンタニルでの1.7ng/mlに上昇した。オピオイドの投与を受けたことのない患者では、鎮痛は0.2〜1.2ng/mLの範囲のフェンタニル血漿濃度で体験されることが知られており(16)、この試験がフェンタニルの治療的鎮痛血漿濃度に到達したことが確認される。一層低いCmax-nasalは、血漿濃度に関連する副作用に関して鼻内投与したフェンタニルについて一層有利な副作用プロフィルという結果となる。
【0085】
注目すべきことに、本発明の組成物を用いた診査集団での平均Tmax(最大血漿濃度に達するのに要する時間)は、鼻内投与では12.8分、静脈内投与では6.0分であった。しかしながら、表1の例からもわかるように、75μgでさえも0.2〜1.2ng/mLの鎮痛レベル((16)に基づけば)が3分以内に達成された。しかしながら、上記に記載したように、作用開始時間の中央値は鼻内投与後7分であった。
【0086】
実施例
実施例1:フェンタニルの鼻内調合物:組成物
実施例1 . 0
I フェンタニル 0.75mg〜15mg
II 塩化ナトリウム 0〜9mg
III エデト酸二ナトリウム 0〜4mg
リン酸水素二ナトリウム2水和物 0〜15mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 0〜15mg
IV 精製または滅菌水 1mLまで
【0087】
フェンタニルは、正確なフェンタニル濃度を達成すべく重量により適切に調節して塩として調合物中に含まれていてよい。他の浸透圧調節剤、たとえば、デキストロース、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、亜硝酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウム10水和物またはその混合物を塩化ナトリウムの代わりにまたは塩化ナトリウムとともに用いることができる。pHは塩酸や水酸化ナトリウムなどの酸および塩基を用いて適当なレベルに調節する。リン酸以外の他の緩衝塩を単独または組み合わせて用いることができる:クエン酸、クエン酸塩およびカリウム塩。充分な微生物学的保存は、塩化ベンザルコニウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、ベンジルアルコール、パラベンまたはその組み合わせを添加することによって達成できる。
【0088】
調製:
固形成分を1つずつまたは同時に全部、水中に溶解する。つぎに調合物を適当な多回投与量または単回投与量の鼻内噴霧デバイス(電子式または機械式の記録システムおよび/またはロックアウトシステムを備えていてよい)に充填する。
【0089】
実施例1 . 1
フェンタニル鼻内液剤0.75mg/ml(75μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 1.18mg
II 塩化ナトリウム 7.47mg
III リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
IV 滅菌水 1mLまで
【0090】
実施例1 . 2
フェンタニル鼻内液剤2mg/ml(200μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 3.14mg
II 塩化ナトリウム 7.37mg
III リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
IV 滅菌水 1mLまで
【0091】
実施例1 . 3
フェンタニル鼻内液剤4mg/ml(400μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 6.28mg
II 塩化ナトリウム 7.21mg
III リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
IV 滅菌水 1mLまで
【0092】
実施例1 . 4
フェンタニル鼻内液剤8mg/ml(800μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 12.56mg
II 塩化ナトリウム 6.89mg
III リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
IV 滅菌水 1mLまで
【0093】
実施例1 . 5
フェンタニル鼻内液剤10mg/ml(1000μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 15.70mg
II リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
III 滅菌水 1mLまで
【0094】
実施例2:フェンタニルの鼻内調合物および組成物
実施例2 . 0
組成
I フェンタニル 0.75mg〜15mg
II 塩化ナトリウム 0〜9mg
III エデト酸二ナトリウム 0〜4mg
リン酸水素二ナトリウム2水和物 0〜4mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 0〜4mg
IV ポリエチレングリコール 1〜300mg
V 精製または滅菌水 1mLまで
【0095】
フェンタニルは、正確なフェンタニル濃度を達成すべく重量により適切に調節して塩として調合物中に含まれていてよい。他の浸透圧調節剤、たとえば、デキストロース、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、亜硝酸ナトリウムおよび硫酸ナトリウム10水和物またはその混合物を塩化ナトリウムの代わりにまたは塩化ナトリウムとともに用いることができる。pHは塩酸や水酸化ナトリウムなどの酸および塩基を用いて適当なレベルに調節する。リン酸以外の他の緩衝塩を単独または組み合わせて用いることができる:クエン酸、クエン酸塩およびカリウム塩。
【0096】
鼻内噴霧デバイスに使用されたポリマー物質へのフェンタニルの吸着を抑制または低減するため、ポリエチレングリコール(PEG)以外の賦形剤を添加することができる。そのような添加剤の例としては、アルコール、グリコフロール、ポリオキサマー、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリソルベート、プロピレングリコールシクロデキストリン、リン脂質および胆汁酸塩がある。
充分な微生物学的保存は、塩化ベンザルコニウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、ベンジルアルコール、パラベンまたはその組み合わせを添加することによって達成できる。
【0097】
調製:
固形成分を1つずつ、成分IVとVとの混合物に溶解する。つぎに調合物を適当な多回投与量または単回投与量の鼻内噴霧デバイス(電子式または機械式の記録システムおよび/またはロックアウトシステムを備えていてよい)に充填する。
【0098】
実施例2 . 1
0.1%PEGを含有するフェンタニル鼻内液剤0.75mg/ml(75μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 1.18mg
II 塩化ナトリウム 7.34mg
III リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
IV ポリエチレングリコール 1mg
V 精製または滅菌水 1mLまで
【0099】
実施例2 . 2
5%PEGを含有するフェンタニル鼻内液剤0.75mg/ml(75μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 1.18mg
II 塩化ナトリウム 2.5mg
III リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
IV ポリエチレングリコール 50mg
V 精製または滅菌水 1mLまで
【0100】
実施例2 . 3
10%PEGを含有するフェンタニル鼻内液剤0.75mg/ml(75μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 1.18mg
II リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
III ポリエチレングリコール 100mg
IV 精製または滅菌水 1mLまで
【0101】
実施例2 . 4
30%PEGを含有するフェンタニル鼻内液剤0.75mg/ml(75μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 1.18mg
II リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
III ポリエチレングリコール 300mg
IV 精製または滅菌水 1mLまで
【0102】
実施例2 . 5
5%PEGを含有するフェンタニル鼻内液剤10mg/ml(1000μg/投与量)の組成
I クエン酸フェンタニル 15.70mg
II 塩化ナトリウム 0.23mg
III リン酸水素二ナトリウム2水和物 2mg
リン酸二水素ナトリウム2水和物 2mg
IV ポリエチレングリコール 50mg
V 精製または滅菌水 1mLまで
【0103】
実施例3
ウサギでのフェンタニルの鼻内吸収
調合物
静脈内投与用 250μgクエン酸フェンタニル/ml(0.9%食塩水)I(鼻内投与用) 4mgクエン酸フェンタニル/ml(0.9%食塩水)
II(鼻内投与用) 4mgクエン酸フェンタニル/ml(5%PEG300)
III(鼻内投与用) 4mgクエン酸フェンタニル/ml(30%PEG300)
【0104】
試験デザイン
上記調合物をニュージーランド白ウサギ(n=7)にクロスオーバーデザイン(cross-over design)で投与した。被験動物の耳の縁静脈に注射して400μl(100μgのクエン酸フェンタニルと等価)の容量を静脈内投与した。鼻内投与は、ピペットを用いて1つの鼻孔に25μl(100μgのクエン酸フェンタニルと等価)の容量を送達して行った。500μlの血液試料を60分まで所定の時間間隔で採取した。つぎに試料を遠心分離にかけ、血漿を単離し、凍結した。ついで血漿試料中のフェンタニルの含量をラジオイムノアッセイを用いて決定した。
【0105】
計算
0〜60分の血漿濃度−時間曲線下の面積(AUC)を全ての調合物について決定した。各鼻内調合物について、バイオアベイラビリティーを等式1:
【数1】
を用いて計算した。最高血漿濃度が生じる時間(Tmax)を、血漿濃度−時間曲線を視覚で調べることにより決定した。
【0106】
結果
静脈内調合物および鼻内調合物についての平均血漿濃度−時間プロフィルを測定し、得られた全体の薬動力学的結果を下記表に示す。
静脈内投与および鼻内投与した100μgのクエン酸フェンタニルの平均血漿濃度−時間プロフィルは、0.9%食塩水、5%PEG300および30%PEG300の調合物中のものであった(n=7)。
下記表では、3つの異なるフェンタニル調合物(n=7)の鼻内投与についてのバイオアベイラビリティー(F)および最高血漿濃度の時間(tmax)を示す。
【0107】
実施例4
本発明による臨床試行のプロトコール:
口の手術後に術後痛を有する患者における2つの異なるフェンタニル調合物の忍容性、薬動力学的プロフィル、並びに痛みの緩和の開始、持続時間および程度を評価するためのパイロットクロスオーバー試験。
【0108】
臨床試験:第二相(治療診査)
目的:
この試験の目的は、4つの異なる投与量においてフェンタニルの鼻内投与の忍容性、薬動力学的プロフィル、痛みの緩和の開始および持続時間、および程度を静脈内投与と比較して確立することである。
試験デザイン:
この試験は、対照試験を含む(controlled)、二重盲の、二重ダミーの(double-dummy)、2方向の(2-way)クロスオーバー試験である。患者を4つの異なる投与量レベル(2つの異なる調合物から得られた)にバランスよく無作為化した。
試験集団:
男女両性、年齢18〜40歳、標準体重、下顎の両第三大臼歯を外科的に除去したとの適応症を有する患者。
【0109】
評価:
ベースラインの痛み強度
患者に含めるには11点数の算定スケール(NRS)に基づいて少なくとも「5」でなければならない。
薬動力学的評価
被験医薬の投与後0分、1分、3分、5分、7分、9分、12分、15分、25分、40分、60分、90分、120分、180分で血液試料を採取する。
薬動力学的評価は、血液試料中のフェンタニル濃度の分析から得られる結果に基づいてなされる。
【0110】
痛み強度
痛み強度は11点数の算定スケール(NRS)で評価する。痛み強度差および痛み強度差の合計を評価する。
鎮痛作用の開始および持続時間
ブレークスルー痛の治療としてフェンタニルが適していることの証拠を得るため、作用の開始、持続時間、および救済医薬までの時間を測定する。
全体的な印象
各時点の後に全体的な印象を得る。
【0111】
被験医薬の忍容性
鼻内忍容性、CNS作用、精神状態に及ぼす影響、および末梢酸素飽和(peripheral oxygen saturation)を測定する。
被験医薬:
鼻内投与のための投与量(ひと吹き)当たり75μgのフェンタニルおよび投与量(ひと吹き)当たり100μgのフェンタニル。
4つの投与量レベルのフェンタニルを投与する:75μg、100μg、150μg(75μg×2、投与量間の間隔は5分)、200μg(100μg×2、投与量間の間隔は5分)。
【0112】
比較対照( Comparator ):
静脈内投与の75μgフェンタニルおよび静脈内投与の100μgフェンタニル
4つの投与量レベルのフェンタニルを静脈内投与する:75μg、100μg、150μg(75μg×2、投与量間の間隔は5分)、200μg(100μg×2、投与量間の間隔は5分)。
プラシーボ:
盲検性を達成するため、等張緩衝食塩水の鼻内投与および滅菌水の静脈内投与を用いる。
【0113】
トライアルビジット(TRIAL VISIT)手順
【0114】
プロトコールに使用した略語のリストおよび術語の定義
AE:副作用事象
CRF:調査票
SAE:重篤な副作用事象
GCP:グッドクリニカルプラクティス(Good clinical practice)
ITT:インテンション−トゥー−トリート(Intention-to-treat)
PP:プロトコール当たり
NRS:数字による算定スケール
IMAFT:フェンタニル
CI:信頼区間
PI:痛みの強度
PID:痛みの強度差
SPID:痛みの強度差の合計
AUC:曲線下面積
Cmax:最高血漿濃度
Tmax:最高血漿濃度が得られる時間
Ke:消失速度定数
MRT:平均残留時間
HVD:半価持続時間(Half value duration)
T>75%Cmax:Cmaxの75%以上の血漿濃度の持続時間
【0115】
ここではフェンタニルを静脈内、筋肉内、経皮または口腔内調合物として投与する。この試験は、フェンタニルの鼻内投与の薬動力学、忍容性および痛み緩和の側面を調べるべくデザインされている。フェンタニルの鼻内投与は非侵襲性であり、速やかな痛みの緩和をもたらさなければならない。
【0116】
ブレークスルー痛なる語は、一般に、オピオイド治療などの慢性的な鎮痛治療を受けている患者において、他の点では安定な痛みの背景に生じる痛みの一過性の激化をいう。ブレークスルー痛のエピソードを治療する黄金の標準は、何十年もの間、短期間作用する経口モルヒネの補助的なp.n.投与であった。癌の痛みのダイナミックな性質は、p.n.モルヒネのレベルおよび痛みのエピソードの強度および持続時間に従って、慢性の長期間作用するオピオイドの投与量レベルを調節することを必要とする。
【0117】
p.n.用の普通の(plain)モルヒネ錠の鎮痛プロフィルは、1/2〜1時間以内の鎮痛の開始、1/2〜2時間後の最高の鎮痛作用および4〜6時間の作用の持続を含む。ブレークスルー痛の処置の最適化は、非常に速やかな作用の開始、強力かつ柔軟性のある痛みの緩和およびブレークスルーエピソードのみをカバーし、それゆえ副作用を最小にするのに充分に短い作用時間に力点を置かねばならない。
【0118】
ブレークスルー痛の経口p.n.処置の鎮痛プロフィルは下記図7に示してあり、図7には患者の1日の間の典型的な痛みレベルを、1日に2回の長期に作用する制御放出モルヒネの適用範囲と速やかに作用するp.n.モルヒネとに分割した痛み制御処置とともに示してある。図7に示すように、p.n.モルヒネは速やかに生じるブレークスルー痛をカバーするには遅すぎることが明らかである。
【0119】
最近、パッチ製剤の経皮フェンタニル(DurogesicR)が、使用の容易さ、および良好な忍容性の傾向のためにますます普及している。癌患者での基本的な長期作用痛み治療としてのフェンタニルの使用は、ブレークスルー痛エピソードをカバーすべくデザインされた調合物中での同じ一般薬の使用を必要とする。
【0120】
図8に示すように、フェンタニルの鼻内調合物によれば、ブレークスルー痛の処置を成功させるための多くの特徴が得られる:非常に速やかな作用の開始(約5分)、および作用強度および作用持続時間の両者に関して必要性を反映させて鎮痛の充分な投与量を確保する分割投与の可能性による柔軟性。
【0121】
鼻内フェンタニルの開発は、一つには癌患者の処置を目的とする。本試験では口の手術後の痛みによる鎮痛処置を必要とする患者を対象としているが、この概念を確立するパイロット試験は癌患者に拡張可能である。第三大臼歯外科モデルは、患者、手順、手術の外傷が均一であり、それゆえ癌患者の痛みおよび良好な状態に通常影響を及ぼす多くの因子の「ノイズ」に混乱されることなく、予測可能で安定な痛みレベルであることから均一な痛みという利点を有する。
【0122】
本試験の投与スケジュールは、まず第一に、術後痛みのための静脈内/筋肉内フェンタニル投与の推奨:50〜100μgを所望レベルの鎮痛が達成されるまで繰り返す、に基づいており、第二に鼻内フェンタニルの刊行された薬動力学に基づき(9)、静脈内投与のフェンタニルに比べて71%の鼻内投与のバイオアベイラビリティーによる。また、麻酔医による救急サービス「レジアンビュランセン(Laegeambulancen)」での急性の痛み治療の経験があり、その場合、フェンタニルが5年以上、痛み治療の選択薬であり、100μgの静脈内投与量から開始して所望の作用が得られるまで5〜10分の間隔で繰り返す。この状況では、400μgまでの投与量が非常に重篤な痛みを患う患者に投与される。この治療計画の忍容性が病院の記録を振り返ってチェックされて安全な使用が詳細に記録される(10)。
【0123】
忍容性、作用開始および作用の持続時間は、75μgの低投与量および100μgの中くらいの投与量から開始する投与量発見法(dose finding approach)により評価した。一層高い投与量レベルの探索は、5分の間隔で投与量を繰り返して所望の速やかな作用開始および充分な作用持続時間(1/2〜1時間のブレークスルー痛エピソードを管理すべくデザイン)を得るが、あまりにも高い最高血漿濃度は避けることにより行う。
【0124】
バイオアベイラビリティーデータを得るためにクロスオーバーデザインを適用する。治療投与量は、75μgの単回投与、75μgの2回投与、100μgの単回投与および100μgの2回投与であった。
フェンタニルは麻薬鎮痛薬であるため、健康なボランティアではなく患者を被験者として選択した。
【0125】
目的
この試験の目的は、4つの異なる投与量においてフェンタニルの鼻内投与の忍容性、薬動力学的プロフィル、痛みの緩和の開始および持続時間、および程度を静脈内投与と比較して確立することである。
試験デザイン
この試験は、対照試験を含む、二重盲の、二重ダミーの、2方向のクロスオーバー試験である。患者を4つの異なる投与量レベルおよび2つの調合物にバランスよく無作為化した。
【0126】
術後の手順
患者は部門を離れないように要求される。もしも患者が4時間以内に11点数のNRSに基づいて少なくとも「5」の痛み強度を体験しないなら、その患者は本試験を受けられなかった。患者がそれぞれ2つの期間において同じ投与量だが異なる調合物を投与されるクロスオーバー試験において、患者は彼/彼女自身の対照となる(この場合、バイオアベイラビリティーおよび薬動力学データの良好な計算および匹敵する痛みスコアを提供する)。この試験は、目的とする痛みスコアを得るため二重盲である。
【0127】
方法および評価/測定
4時間以内に11点数のNRSで少なくとも「5」の痛み強度を体験した患者は、被験医薬(および必要なら救済医薬)を受けた。これらの患者は、安全の理由、および痛みの緩和の開始および持続時間を観察し、試験医療の効果に関して調査票の質問に回答するためにさらに4時間滞在することを要求された。痛み強度、被験薬の忍容性、および酸素飽和の記録は、以下の時点で行った:
・被験薬を摂取する前(時間=0)
・最初の2時間について被験薬摂取後の15分毎
・部門滞在の最後の2時間について30分毎。
同時に、薬動力学を調べるため、被験医薬の投与後0分、1分、3分、5分、7分、9分、12分、15分、25分、40分、60分、90分、120分、180分で血液試料を採取した。
【0128】
術後のサンプリングおよび記録の概要は以下のとおりである:
【0129】
患者は2つのストップウオッチを与えられた。両ストップウオッチを被験医薬の投与とともにスタートさせた。1つのストップウオッチは患者が被験薬の作用を確信したときにストップさせ、第二のストップウオッチは患者が痛みの再発を体験したときにストップさせた。痛みの再発は、「痛みの緩和はもはや意味がない」として定義される。患者が第二のストップウオッチをストップさせる前に救済医薬を採用した場合には、救済医薬までの時間は「作用停止時間」として用いた。「作用開始」および「作用停止」の時間は調査票に記録した。被験医薬を投与する時間を調査票に記録する。もしも被験薬が充分な痛みの緩和をもたらさない場合は、患者は救済薬(IbumetinR, Nycomed Danmark;600mg、10pcs)を摂取することが許される。患者は、可能なら別の医薬を摂取するまで少なくとも1時間待つことを要求された。患者は救済医薬を家に持ち帰ることを許され、対照ビジットの際に残りの救済医薬および/または空のパッケージを持ち帰ることを要求された。観察期間の終了時に患者は治療の全体的な印象を評価した。
質問の箇所は被験薬の摂取からの時間およびその後の4時間をカバーしている。部門に滞在中にもしも副作用事象が起これば記録した。
【0130】
第一の対照ビジット
実施1週間後に患者は対照ビジットのために戻る。救済の随伴する医薬の摂取、並びに同時に報告されたかまたは直接質問の後に報告された副作用事象があれば調査票に記録する。
第二の実施の日
対照ビジットの少なくとも1週間後に第二の実施を行う。第一の実施の日の手順を繰り返す。
術後の手順
患者が痛みの緩和を必要とした場合、あるいは患者の痛み強度が11点数のNRSスケールで「5」に達しない場合に患者を被験薬で処置する他は第一の実施の日の手順を繰り返す。
第二の対照ビジット
第二の実施の1週間後に患者は対照ビジットのために戻る。手順は第一の対照ビジットと同じである。
【0131】
投与および投与量
被験薬は、患者が口の手術後に中くらいから重篤な痛み(11点数のNRSに基づいて「5」またはそれ以上の痛み強度)を体験したときに摂取しなければならない。患者は本試験の二重盲検デザインを達成すべく両調合物を投与された。それゆえ、各患者は2つの鼻内投与(各鼻孔に1つずつ)を5分の間隔で受ける。同時に患者は2.0mLの2つの静脈内注射を5分の間隔で受ける。被験薬の少なくとも最初の投与は、無作為化に依存して鼻内投与フェンタニルかまたは静脈内投与フェンタニルのいずれかである。鼻内投与および静脈内投与プラシーボを2つの最低投与量群の第二の投与として用いる。
【0132】
ベースラインの痛み強度
ベースラインの痛みは、患者に含めるには11点数の段階スケール(NRS)に基づいて少なくとも「5」でなければならない。
質問:
「11点数のスケール(0は「痛みなし」に対応し、10は「耐えられない痛み」に対応します)に基づいて痛み強度を述べて下さい」
検査者または看護士は、調査票に医薬の摂取の時間および日を記入する。
【0133】
薬動力学的評価
最大4mLの血液試料を上記所定の時点で採取した(全部で14試料、最大56mLに対応)。試料を5℃の冷却条件下で遠心分離にかけ、血漿を分離し、−20℃で貯蔵した。血漿試料を1つのバッチで適切にパッケージングして研究室に輸送した。
研究室の手順の詳細は、研究室分析プロトコールに記載してあった。薬動力学的パラメータを計算した。
【0134】
鎮痛作用の開始
作用の開始の時間を計測する(第一のストップウオッチ)。
鎮痛作用の持続時間
鎮痛作用の停止(offset)(第二のストップウオッチ)を調査票に記載し、作用の持続時間は作用の開始から作用の停止までの時間間隔の長さとして定義される。しかしながら、患者が作用の停止の前に救済医薬を必要とする場合は、持続時間は作用開始の時点から救済医薬の時点までとして測定した。
【0135】
痛み強度(NRS)
痛み強度は11点数のNRSスケールに基づいて評価する。記録は最初の2時間については被験薬の摂取後の15分毎、その後、部門に滞在中の最後の2時間について30分毎に行った。
PIiは、時点Tiにおける痛み強度である(得られなかった値は「スコアの補正」に記載するように調節した)。
【0136】
痛み強度差(NRS)
PI0は痛み強度のベースラインの値である(時点T0)。
PIDiは、時点Tiにおける痛み強度差の値である。
PIDi=PI0−PIi
痛み強度差の合計、SPID、4時間
CPIDiは、時点TiまでのPIDの累積した(時間加重した)合計である。CPID1=PID1 *(T1−T0)
CPID2=CPID1+PID2 *(T2−T1)
CPIDi=CPIDi-1+PIDi *(Ti−Ti-1)
SPID=iがNのときのCPIDi
【0137】
全体的な印象(5点スケール、4時間)
被験医薬の摂取の4時間後、または救済医薬の摂取の時点で患者は被験薬の全体的な印象について尋ねられた。これは、以下のような5点VRSに基づいて行った。
質問:
「被験医薬についてどう思いますか?」
可能な回答:
調査票に、ひどい(0);まあまあ(1);良い(2);非常に良い(3);および素晴らしい(4)を記載した。
被験薬の忍容性
下記参照。
副作用事象
下記参照。
【0138】
スコアの補正
鎮痛作用の持続時間:
持続時間については、観察した期間の終了時まで意味のある効果を有し続けている患者についての観察時点は検閲されているものと考えられる。
痛み強度および痛みの緩和:
効果の欠如のために途中棄権した患者または被験医薬の投与後の1〜4時間の間に救済医薬を摂取した患者は、途中棄権/救済医薬摂取の直前まで痛み強度スコアを続けるか、または、どちらが悪いかに依存してベースラインの値とする。痛みの緩和のスコアは0と記録した。
【0139】
この手順は被験薬の作用を過小評価するかもしれないが、臨床経過に似せたものである。処置を与えなければ患者の痛みは通常同じままか増大し、患者は痛みの緩和を体験することはない。
救済医薬を摂取する時間:
被験薬投与後4時間以内に救済医薬を必要としない患者は、観察を検閲したと考えられた。全体的な印象で得られなかったデータは得られなかったとして処理し、それゆえ計算に含めなかった。
【0140】
随伴する疾患は、試験の開始の際に認められ、変化することなく継続するあらゆる疾患に関する。随伴する医薬は、スクリーニング期間および実施(run-in)期間を含めて試験の際に摂取した、被験製剤以外のあらゆる医薬に関する。実施の際に局部麻酔薬(3%Citanest-OctapressinR, Astra)を用いた。被験薬は鼻内フェンタニルであり、鼻内投与のための2つの異なる投与量強度のフェンタニルを4つの異なる処置群で用いた:
750μg/mL(クエン酸フェンタニルとして)
Pfeifferにより製造された単回投与鼻内噴霧デバイス中、100μLの単回の確認された投与量(投与量当たり75μgのフェンタニルに対応)を送達。Nycomed Pharmaはフェンタニル液剤の製造を行い、デバイスに充填した。
1mg/mL(クエン酸フェンタニルとして)
Pfeifferにより製造された単回投与鼻内噴霧デバイス中、100μLの単回の確認された投与量(投与量当たり100μgのフェンタニルに対応)を送達。Nycomed Pharmaはフェンタニル液剤の製造を行い、デバイスに充填した。
【0141】
比較処置、静脈内フェンタニル投与
1投与量強度のフェンタニルを比較二重盲検調合物に静脈内投与のために用いた。
注射用フェンタニル液剤50μg/mL(クエン酸フェンタニルとして)、HaldidR、2mlアンプル(Janssen-Cilag製)。この液剤を単回注射で2mLの注射容量を得るために滅菌水(Nycomed Pharma)で希釈した、すなわち、100μgの投与群は純粋なHaldidRを投与し、75μgの投与群は1.5mLのHaldidRを0.5mLの滅菌水で希釈して2.0mLの注射容量としたものを投与した。
【0142】
プラシーボ処置
盲検性を達成するため、二重ダミー法を用いた。等張緩衝食塩水を充填したPfeiffer製の鼻内投与デバイスをダミーとして用いた。Nycomed Pharmaはデバイスを充填した。同様に、滅菌水(Nycomed Pharma)を処置群における2つの静脈内処置の第二の投与としてダミー盲検に用いた。
【0143】
分析用医薬
試験条件下での貯蔵時間を調べるため、各投与量強度の10の鼻内送達デバイスおよび被験薬の10のアンプルを被験薬とともに試験場所で貯蔵し、試験の終了後にNycomedが分析した。貯蔵温度は25℃未満でなければならない。
無作為化および盲検化
特定の患者に対する処置についての情報を含み無作為化の数を有するシールしたコードを各患者に与える。
患者は、処置間(鼻内投与および静脈内投与)および投与量群間(75μg、100μg、150μg、および200μg)で等しい分布が確保されるようにバランスよく無作為化した。
【0144】
本試験は二重盲検であった、すなわち、患者、スタッフ、さらにフェンタニル分析、データ管理を行うスタッフおよび統計学者に盲検化されていた。患者およびスタッフは処置に対して盲検化されているので、スケジュールは全ての患者について同一でなければならない。このことは、認可され市販されている静脈内調合物を用いるとの要請に従い、鼻内投与調合物および静脈内投与対照についての二重ダミー盲検化法により行う。二重ダミー法による盲検化は以下のとおり要約することができる。
【0145】
*:鼻内投与期間および静脈内投与期間の語は例示のために使用してあり、患者の処置の順序を反映するものではなく、これは無作為化にのみ依存するものである。
【0146】
静脈内投与はすべて同様にして調製する:「1.アンプル」からは常に1.5mLが摂取され、「2.アンプル」からは常に0.5mLが摂取される。異なる投与量は以下のようにして達成される。
副作用事象はすべて厳密に客観的な定義に基づいて重篤かまたは重篤でないかに分類する。
【0147】
忍容性
鼻内投与の忍容性、フェンタニルのCNS作用に関連する徴候および症状、および精神状態に及ぼすフェンタニルの影響を個別に記録した。同様に、呼吸機能の低下の指標として末梢酸素飽和を記録した。副作用事象と考えられる全ての徴候および症状を書き留めなければならない。
被験薬の忍容性
本試験は鼻内投与剤型の忍容性に力点を置くため、鼻内投与に関連した特定の質問が含まれていた。このセクションで得られた全ての記録は、それが副作用事象の範疇に含まれるならば、さらにそのように記録しなければならない。記録は、被験薬の摂取前、およびその後の2時間について15分毎、ついで部門に滞在中の最後の2時間について30分毎に行う。
【0148】
鼻内忍容性
下記の効果を11点数のNRS(0は効果なしに対応し、10は想像しうる最大の効果に対応します)に基づいて評価して下さい。
鼻が痛い、痒いまたはヒリヒリする
喉が痛いまたはヒリヒリする
鼻が乾くまたは詰まる
鼻水が出る
【0149】
味覚の障害:
CNSに対する作用
下記の効果を11点数のNRSに基づいて評価して下さい:
鎮静:0は全く正常で生き生きと活動的で精力的であることに対応し、10は完全にリラックスし、落ち着いて穏和で静かであることを意味する
悪心:0は完全に正常で悪心のないのに対応し、10は完全に気分が悪く、嘔吐しそうなことを意味する
【0150】
精神状態
はい/いいえの答えにより薬剤が精神状態に及ぼす影響を述べて下さい:
気分が高揚していますか?
あなたの周りのものはいつもより心地よいですか?
あなたの話声はいつもほど大きくありませんか?
活気があるというより夢見心地に感じますか?
【0151】
酸素飽和
末梢酸素飽和を経皮測定し(UV検出器を備えたパルスオキシメトリー(Pulse oxymetry))、投与後の最初の2時間は15分毎、その後は30分毎に記録した。
【0152】
統計学的な考慮
試験統計学者が統計分析の任に当たった。試験の薬動力学的な目的に関連する試料サイズの計算は、提案した患者数がAUCにおける予想差異の検出の実際的な可能性を与えることを示している。試験のデザインには2つの投与経路および4つの異なる投与量が含まれる。下記の検出力に関する考慮は用量−AUCの線形性の仮定に基づくものであり、これにより4つの投与量群を合わせることが可能となる。これは対にした(paired)t検定による2つの投与経路の比較に導く。
【0153】
フェンタニルの静脈内投与による以前の試験(参照)では、Cmaxパラメータについて患者間で29%の変動が認められた。一般にCmaxとAUCの変動は同じ大きさであると予想される。同じ試験で鼻内投与と静脈内投与とでAUCに30%の差異が存在する。
【0154】
主要評価項目
試料サイズおよび検出力の計算が調合物間での予測しうるレベルでのAUCの差異を検出しうる結果を正当化するので、AUCを主要評価項目として選択する。
副次評価項目
鎮痛作用の開始:
作用開始時間のグラフ表示を目的として、カプラン−メイヤー積限定評価手順(Kaplan-Mejer product limit estimation procedure)を用いて作用開始時間の分布関数を作用開始変数として分析した。救済医薬までの平均時間および90%CIを計算した。
【0155】
鎮痛作用の持続時間:
鎮痛作用の持続時間の中央値および90%CIを計算した。
救済医薬投与までの時間:
作用開始時間のグラフ表示を目的として、カプラン−メイヤー積限定評価手順を用い、作用開始を報告した患者について救済医薬投与までの時間の分布関数を作用開始変数として分析した。救済医薬への平均時間および90%CIを計算した。
使用した救済医薬の量を表にした。
【0156】
全体的な印象(5点数スケール)
5つの範疇の患者の比率をグラフで表示した。
被験薬の忍容性
鼻に対する忍容性(5つの異なる11点数スケールの評価の合計):
結果を表にし、平均合計および90%CIを計算した。
CNSに対する効果(2つの異なる11点数スケールの評価の合計):
結果を表にし、平均合計および90%CIを計算した。
精神状態に対する影響(以下の事柄に対してはい/いいえで回答する:気分が高揚している、喜ばしく感じる、声が低いと感じる、夢見心地に感じる):
結果を表にし、肯定的な回答の平均合計および90%CIを計算した。
経皮的に測定した末梢酸素飽和:
平均飽和を単独で、フェンタニルの血漿濃度と組み合わせて、さらに痛みの緩和および痛み強度の評価とともにグラフ表示して表した。
【0157】
副作用事象
試験が診査の性質を有しているため、全ての比較分析を評価可能な集団に対して行った。
分析法
主要評価項目
2つの投与剤型の薬動力学的プロフィルをフェンタニルの誘導変数により比較した。
以下の変数を計算した:
AUC0-4:0時間から4時間までの曲線下面積
Cmax:最高血漿濃度
Tmax:最高血漿濃度に達するまでの時間
MRT:平均残留時間
HVD:半価持続時間
T>75%Cmax:Cmaxの75%を超える血漿濃度の持続時間
Ke:消失速度定数
【0158】
AUCおよびMRTを台形則およびAUMC法を用いて計算した(11、12)。パラメータAUCおよびCmaxを投与量の線形性について試験する。線形性を仮定できる場合は投与経路をt検定により比較し、そうでない場合は比較には投与量を考慮する。
keを推定できる場合は以下の式を用いて外挿する(式中、nは測定可能な濃度を有する最後のデータ点の時間を示す)
【数2】
【0159】
1人の患者でkeを妥当な正確さで推定できない場合は、一般的な評価(common estimate)を用いた(その場合、結果はそれが適切であることを示唆した)。別のやり方として、患者を特定のパラメータについて分析から除外した。消失速度定数(ke)は、線形回帰により半対数血漿濃度時間曲線の最終の傾きとして決定した。
最高血漿濃度(Cmax)は測定した濃度の最大値であり、最高血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)は対応する試料時間であった。
【0160】
半価持続時間(HVD)(13)は血漿濃度がCmaxの50%を超える時間であり、それと対応してT>75%Cmaxは血漿濃度がCmaxの75%を超える時間であった。
Tmaxを投与経路間で非母数法により比較した。
診査分析を薬動力学的プロフィルおよび他の薬動力学的パラメータに対して行う。
分析用医薬:
分析用医薬を被験医薬と同時にパッケージングし、各フェンタニル製剤を別々の箱にパッケージングし、そのように貼り札を付した。
【0161】
実施例5
5 . 1 25℃のPEG−水混合物中でのクエン酸フェンタニルの溶解度
FCの溶解度はPEG濃度の上昇とともに低下することがわかった。しかしながら、pHは2.5%PEG中での約4から100%PEG中での約8までばらつきがあった。0.9%食塩水中での溶解度は約16mg/mlであった。
pHを一定レベルに保持することはできなかったので、さらなる試験にはリン酸−クエン酸緩衝液(pH6)を用いることにした。
【0162】
実施例5 . 2
pH6、25℃および8℃のPEG−緩衝液混合物中でのクエン酸フェンタニルの溶解度
pHを5.9〜6.5に一定に保持して(それゆえ、クエン酸フェンタニルは殆ど完全にイオン化させて)、FCの溶解度は25℃で純粋な緩衝液中での約27mg/mlから30%PEG中での約10mg/mlに低下した。8℃では2.5%PEG中での溶解度は約10mg/mlであり、100%PEG中での溶解度は約3mg/mlであった。
【0163】
実施例5 . 3
pH6、25℃のPEG−緩衝液混合物中でのクエン酸フェンタニルの溶解度(変法)
この溶解度法には、引き続く溶媒の添加間に5分間を置いて溶解させることが含まれている。PEGを含有するビヒクル中では粘度が増大するため、溶解速度は低減する。この方法は、溶解速度自体がPEGビヒクルで観察されるFCの溶解度の低減を引き起こし得るか否かを調べるために行った。FCの溶解度は、2.5%PEG300での49mg/mlから30%PEG300での約25mg/mlに低下した。5分間法での対応の数字は、それぞれ19mg/mlおよび8mg/mlであった。
【0164】
溶解度は一般にこの変法を用いた方が高いことが予想された。さらに重要なことに、曲線のコースは最初の溶解度曲線と殆ど同じであり、それゆえ溶解度に対するPEGの低減効果は溶媒自体によるものであって分析法によるのでないと思われることを示していた。
【0165】
投与量の計算
送達容量を100μlと想定して、1mgのフェンタニル塩基(約1.6mgのクエン酸フェンタニルと等価)の投与量には約16mg/mlの調合物濃度が必要である。室温では対応のPEG濃度は約5%w/wである。
【0166】
結論
得られたデータから、PEG200およびPEG300は水中およびpH6の緩衝液中でFCの溶解度を低下させると結論付けることができる。pH調節なしではPEGはpHを上昇させる。FCの溶解度はPEG300中の方がPEG200中よりも低く、温度の低下は明らかにFCの溶解度を低下させる。結論として、100μlの容量中の1mgのフェンタニルを送達するFCの鼻内調合物は2.5%w/wまでのPEG濃度を用いて達成できる。
【0167】
実施例6
期間の効果
2日間の外科手術のデータを全てのPK変数について比較した。AUC0-3、Cmax、HVD(PP集団)およびMRT0-3(PP集団)について有意の差異が認められた。また、SPIDも外科手術の第1日目および第2日目で異なっていた。AUC0-3およびCmaxはともに第2日目に比べて第1日目の方が低かった。AUC0-3については鼻内投与では5%低く、静脈内投与では14%低く、Cmaxについては鼻内投与では5%低く、静脈内投与では42%低かった。PP集団では、おそらく患者数が少ないためにこの期間効果は一層顕著であった。有意の期間効果を有する変数については、統計分析を行う際、すなわち調合物および投与量を比較する際に考慮に入れた。
【0168】
主要評価項目
AUC 0-3
AUC0-3-nasalは、75μgフェンタニルについての34.9ng×分/mlから200ngフェンタニルについての81.9ng×分/mlに増大した。静脈内投与について、対応の数字は28.0ng×分/mlおよび88.3ng×分/mlであった。線形の用量−AUC0-3の相関関係が両投与経路および両集団について見出された。
投与経路を比較した場合、すなわち4つの投与量をプールした場合、AUC0-3-nasalはAUC0-3-i.v.よりも高く、診査集団およびPP集団についてのバイオアベイラビリティーはそれぞれ107%および110%であった。AUC0-3-nasalとAUC0-3-i.v.との差異は有意ではなかった(p=0.14およびp=0.085)。
【0169】
副次評価項目
AUC 0- ∞
AUC0- ∞ -nasalは、75μgフェンタニルについての67.7ng×分/mlから200ngフェンタニルについての138.6ng×分/mlに増大した。静脈内投与について、対応の数字は47.0ng×分/mlおよび137.3ng×分/mlであった(診査集団)。線形の用量−AUC0- ∞の相関関係が両投与経路および両集団について見出された。
投与経路を比較した場合、すなわち4つの投与量の結果をプールした場合、AUC0- ∞ -nasalはAUC0- ∞ -i.v.よりも高く、診査集団およびPP集団についてのバイオアベイラビリティーはそれぞれ116%および119%であった。AUC0- ∞ -nasalとAUC0- ∞ -i.v.との差異は有意ではなかった(p=0.045およびp=0.071)。
【0170】
C max
診査集団でのCmax-nasalは、75μgフェンタニルについての0.7ng/mlから200ngフェンタニルについての1.7ng/mlに増大した。静脈内調合物についての対応の結果は、0.9ng/mlおよび2.6ng/mlであった。線形の用量−濃度の相関関係が両集団の静脈内投与および診査集団の鼻内投与について見出された。
投与経路を比較した場合、すなわち4つの投与量の結果をプールした場合、静脈内投与フェンタニルに対する鼻内投与フェンタニルの最高濃度は、診査集団で71%であった(p=0.016)。PP集団については、この数字は67%であった(p=0.013)。
【0171】
T max
投与経路を比較した場合、すなわち4つの投与量の結果をプールした場合、平均Tmaxは鼻内投与では12.8分、静脈内投与では6.0分であった。PP集団についての対応の値は13.0分および5.8分であった(両集団についてp<<0.0001)。
【0172】
MRT 0-3
MRT0-3は61.8分と69.7分との間で様々であった。いずれの集団についても用量−MRT0-3の相関関係は認められなかった。PP集団についてはMRT0-3-nasalの方がMRT0-3-i.v.よりも高い傾向があったが、このことは診査集団には当てはまらなかった(p=0.17)。
MRT 0- ∞
MRT0-∞ は125.6分と257.4分との間で様々であった。2つの調合物間で投与量の相関関係も差異も認められなかった。
【0173】
HVD
HVDnasalは19.0分46.4分との間で様々であり、一方、静脈内投与は10.6分と30.3分との間であった。投与量の相関関係は認められなかった(p=0.34(診査)、p=0.17(PP))。HVDは静脈内投与PP集団では15.2分であった、すなわち鼻内投与群よりも13分短かった(p=0.0002)。診査集団については、この差異は8分であった(p=0.12)。
【0174】
T >75%Cmax
T>75%Cmaxは鼻内投与後は8.2分と16.6分との間であり、静脈内投与後は3.4分と7.7分との間であった。投与量の相関関係は認められなかった(p=0.20)。T>75%Cmaxは静脈内投与後の方が鼻内投与後よりも6分短かった(p=0.0005)。PP集団では投与量の相関関係が有意であり、鼻内調合物については線形であり(p=0.045)、一方、静脈内投与では投与量の相関関係が認められなかった(p=0.81)。T>75%CmaxはPP集団では静脈内投与後の方が鼻内投与後よりも7分短かった(p=0.001)。
【0175】
K e
Keは鼻内投与後は0.0052と0.0073との間で様々であり、静脈内と投与後は0.0047と0.0076との間であった。いずれの集団についても投与経路および投与量で差異は観察されなかった。
痛み強度−PI
8つのすべての処置群で、痛みの最下点は15分または30分であると思われた。小さな投与量については最低の値は一般に1回記録され、高い投与量については3回まで記録された。
【0176】
痛み強度差の合計−SPID
いずれの集団あるいは投与量でも投与経路間で有意の差異は認められなかった。SPID0-4の高い標準偏差は、救済医薬摂取後の計算法により説明される。これが生じたとき、すなわちフェンタニル摂取の約1時間後、最高の痛み強度スコア(ベースラインかまたは救済医薬の前の最後の値)は4時間まで保持された。標準偏差を低くするため、60分間のSPIDを計算した。しかしながら、観察期間を60分に短くした後も有意の差異は認められなかった。
【0177】
鎮痛作用開始時間
鎮痛作用開始時間の中央値は、プールした4つの投与量で静脈内投与については1分、鼻内投与については7分であった(p=0.0001)。用量−応答の相関関係は認められなかった(p=0.75および0.55)。診査集団については、鎮痛作用開始時間の中央値は、静脈内投与で2分、鼻内投与で7分であった(p=0.0001)。
結果を図5に示す。
【0178】
鎮痛作用の持続時間
作用の持続時間の中央値は、プールした4つの投与量で静脈内投与については49分、鼻内投与については56分であった(p=0.61)。鼻内投与の場合に有意の用量−応答の相関関係への傾向が認められた(p=0.098)。診査集団では用量−応答の相関関係は有意であり、持続時間の中央値は75μgのフェンタニルについて47分、200μgのフェンタニルについて89分であった(p=0.04)。
鎮痛作用の開始時点および停止時点での痛み強度の平均スコアは、静脈内投与後および鼻内投与後それぞれについて、鎮痛作用の開始時点で1.7および2.3、停止時点で4.1および4.7であった。
【0179】
救済医薬
救済医薬、すなわちイブプロフェン600mgおよび他の鎮痛薬の量は以下に要約してある。
外科手術後の最初の4時間の間は、1例を除いて全ての例でイブプロフェンを投与した。平均投与量は1.1イブプロフェン錠であった。抜歯後の1週間の間の補助的な鎮痛処置については患者は全部で10錠のイブプロフェンを投与された。平均摂取量は8.2錠であった。他の鎮痛薬も同様にして投与した。パラセタモールは最も頻繁に投与した鎮痛薬であった。
外科手術後の1週間の間に投与量および投与経路当たりに投与したイブプロフェンの数は、静脈内投与後(投与量をプール)よりも鼻内投与後(平均摂取量)の方が1.8錠少なかった(p<0.005)。
【0180】
救済医薬までの時間
救済医薬までの平均時間は、静脈内投与では63分、鼻内投与では68分であった(p=0.87)。鼻内投与については用量−応答は両集団で殆ど有意であった(それぞれ、p=0.081およびp=0.051)。
全体的な印象
全体的な印象についてのスコアは投与量とともに増大した、すなわち、被験処置での満足度は高投与量で一層顕著であった。スコアは鼻内投与よりも静脈内投与の方が高い傾向があった。
【0181】
効能の結論
薬動力学的変数
薬動力学的変数の表示は診査集団に基づく。線形の用量−AUCの相関関係が両投与経路について認められた。鼻内投与と静脈内投与を比較すると、AUC0-3およびAUC0- ∞の差異は有意ではなかった。それゆえ、鼻内調合物のバイオアベイラビリティーは100%と外挿された。
投与量とCmaxとの間で線形の相関関係が両投与経路で認められた。プールした4つの投与量で、静脈内投与フェンタニルに対する鼻内投与フェンタニルの最高濃度は71%であり、一方、平均Tmaxは鼻内投与については12.8分、静脈内投与については6.0分であった。
【0182】
薬動力学的変数
薬動力学的変数の表示はPP集団に基づく。SPIDに反映されるように、いずれの集団または投与量についても投与経路間で鎮痛作用に有意の差異は認められなかった。
意義のある作用の開始時間は、プールした4つの投与量で静脈内投与については1分、鼻内投与については7分であった。用量−応答の相関関係は認められなかった。診査集団では作用開始の平均時間は、静脈内投与では2分、鼻内投与では7分であった。このように静脈内調合物は痛み低減の一層速やかな開始という結果となった。この差異は痛み強度プロフィルには反映されなかったが、それは痛みの記録を投与15分後および30分後でのみ行ったからである。
【0183】
作用持続の平均時間は、静脈内投与では49分、鼻内投与では56分であった。診査集団では用量−応答の相関関係は有意であり、平均持続時間は75μgでは47分、200μgでは89分であった。
救済医薬までの時間の中央値が静脈内投与では63分であり鼻内投与では68分であることは、これら2つの投与経路について鎮痛作用が同等であるとの印象を支持している。
全体的な印象についてのスコアは投与量とともに増大した、すなわち、被験処置での満足度は高投与量で一層顕著であった。スコアは鼻内投与よりも静脈内投与の方が高い傾向があった。
【0184】
実施例7
副作用事象
この試験では重篤な副作用事象は記録されなかった。
副作用事象を訴えた患者のパーセントは、3つの低い投与量ではかなり等しく分布していると思われたが、一方、該事象の数は200μgの投与量群では高かった。眩暈が最も頻繁に訴えられたが、その殆どは静脈内投与と関連してのものであった。呼吸機能の低下は6回記録されたが、そのうちの5回は静脈内投与に関連してのものであった。副作用事象はWHOのアドバース・リアクション・ディクショナリー(Adverse Reaction Dictionary)1999年版に従ってコードした。
【0185】
静脈内投与では、静脈内投与の場合の注射部位での痛みや炎症などの副作用事象は明らかに観察されなかった。150μgを静脈内投与すると呼吸機能の低下は3回観察されたが、一方、鼻内投与では呼吸機能の低下は観察されなかった。
【0186】
鼻内忍容性
鼻内忍容性、すなわち、鼻の痛み、痒みまたはヒリヒリ、喉の痛いまたはヒリヒリ、鼻の乾きまたは詰まり、鼻水、および味覚の障害は鼻内投与と静脈内投与とで同じであった。
忍容性、CNS作用、鎮静および悪心
CNS忍容性の2つの変数である鎮静および悪心についての知見は、鎮静が2つを除く全ての大臼歯切除で認められることを示した。悪心の悪化は、鼻内フェンタニル投与を受けた3人の患者、静脈内フェンタニル投与を受けた6人の患者で記録された。悪心スコアは、150μgおよび200μg投与量群で高かった。結論は60分および240分のカットオフ時間で同様であった。
【0187】
忍容性、精神状態
以下の質問:気分が高揚していますか?あなたの話声はいつもほど大きくありませんか?あなたの周りのものはいつもより心地よいですか?については、患者の約1/4が「はい」と答えた。調合物間で差異はないように思われた。気分の高揚については用量−応答の相関関係の傾向があった。活気があるというより夢見心地に感じますか?との質問に対しては、ごく数人の患者が「はい」と答えただけであった。
死亡または重篤/有意な副作用事象はなかった。
【0188】
実施例8
酸素飽和
酸素飽和は、試験した唯一の実験室変数であった。投与経路間に差異はないようであったが、フェンタニル投与量が増大すると一層低い酸素飽和がより長く持続する傾向があった。
ベースラインの値は94〜100%の範囲であった。1人の患者だけがベースラインが94%であり、この値はこの患者で記録した最も低いものであった。この患者を除外すると、ベースラインの値は96%〜100%の範囲であった。240分の期間の間に認められた個々の患者の最低値は92〜98%の範囲であった。これら最低値は、150/200μgを静脈内投与した患者、および100/150/200μgを鼻内投与した患者でそれぞれ1回認められただけであった。240分での最後の酸素飽和値は、96%〜100%の範囲であった。
【0189】
酸素飽和
投与経路間に差異はないようであったが、フェンタニル投与量が増大すると一層低い酸素飽和がより長く持続する傾向があった。このことは、予想と極めて一致するものである。この健康な患者の群では、酸素飽和は処置の期間を通じて満足のいくままであったと結論付けることができる。
【0190】
検討
試験モデル、デザインおよびGCPコンプライアンス
痛みモデル(埋伏した下顎の第三大臼歯の除去)は、オピオイド鎮痛薬および他の鎮痛薬の鎮痛強度を調べるための標準モデルである。このモデルについては多くの文献がある。それは、下顎の両側で使用するのに適しており、クロスオーバーデザインを可能とし、それによって薬動力学的および薬力学的応答における変動を最小にするという利点がある。使用した単回投与デザインは、この試験の治療説明的性質(therapeutic explanatory nature)を反映している。偏りを避けるため、被験処置の無作為化および二重盲投与を用いた。倫理的な理由からプラシーボ群は含めなかった。フェンタニル調合物のバイオアベイラビリティーを比較しなければならなかったので、静脈内投与フェンタニルを対照として選択した。
【0191】
このモデルの実施を専門とする大学の臨床施設を用いたことは、それが患者を均等な仕方で取扱い、知らせ、処置することに慣れている点でさらに有利な点であった。スタッフは、このモデルを用いた多数の試験から、データ回収およびICH−GCP条件における優れた経験を有している。
【0192】
得られたデータの検討
フェンタニルの使用は臨床評価によりモニターすべきである。フェンタニルの血漿濃度の使用は臨床的に有用である;しかしながら、血漿レベルはフェンタニルに対する患者の感受性を反映しないので、効能または毒性の単独の決定因子として使用すべきでない。
【0193】
フェンタニルの濃度レベル
オピオイド鎮痛薬の投与を受けたことのない患者では鎮痛作用は0.2〜1.2ng/mLの範囲で得られ(16)、この試験がフェンタニルの治療学的な鎮痛血漿濃度に達したことが確認された。
診査集団のCmax-nasalは、75μgのフェンタニルでの0.7ng/mlから200μgのフェンタニルでの1.7ng/mlに上昇した。静脈内投与調合物での対応の結果は、0.9ng/mlおよび2.6ng/mlであった。線形の用量−応答の相関関係が、両集団の静脈内投与および診査集団の鼻内投与で認められた。Cmax-nasalが一層小さいことは、血漿濃度に関連した副作用に関して鼻内投与フェンタニルで一層好ましい副作用プロフィルが得られることを示唆している。
【0194】
診査集団の平均Tmaxは、鼻内投与で12.8分、静脈内投与で6.0分であった。PP集団での対応する値は、13.0分および5.8分であった。文献には、200、400、800および1600μgの投与量の経口の経粘膜フェンタニルについての15分の標準摂取時間後の最高血漿濃度に達するまで時間が、20〜40分後に最高濃度を生じさせることが報告されている(16)。さらに、クエン酸フェンタニル800μgを経口経粘膜で12人の健康なボランティアに6時間間隔で3回与えると、各投与後に最高濃度に達するまでの時間の中央値は24分、22分および23.5分であった。それゆえ、Tmax-nasalは、匹敵する別のフェンタニル処置に関して満足のいくものであると思われる。この試験で鼻内投与したフェンタニルは認可された治療薬レベルに達し、Actiqに比べて最高濃度に達するまでの時間が短いことが示された。
【0195】
バイオアベイラビリティー
両投与経路を比較すると、AUC0-3-nasalとAUC0-3-i.v.およびAUC0- ∞ -nasalのとAUC0- ∞ -i.v.との間での差異は有意ではなかった。それゆえ、鼻内調合物のバイオアベイラビリティーは100%と外挿された。期間の効果に対して若干の懸念があった。フェンタニルまたは他のものの投与に関して期間の間のみかけの差異を解明することはできなかった。
【0196】
刊行物の記載では、異なる送達系の他の鼻内調合物のバイオアベイラビリティーは約70%であると示されている。異なるサイズの液滴をおそらくより正確でない仕方で送達する異なるデバイスが、この研究で得られたものに関する非常に低いバイオアベイラビリティーを説明することができる。さらに、他の研究では何度か投与量を投与するため、各投与で喪失の可能性が導入される。他の側面は、フェンタニルが突然の表面(sudden surfaces)に吸着することができることである。この事実が刊行された研究で考慮されているか否かは定かではない。
経口の経粘膜調合物は50%のバイオアベイラビリティーを有すると報告されている(16)。
【0197】
作用の開始
鎮痛作用を得るには作用の速やかな開始が重要である。本試験での作用開始時間の中央値は、静脈内投与後で1分、鼻内投与後で7分であった。実際の生活の状況では、静脈内注射を調製するまでには時間がかかり、看護士または医者によって与えられるのに対し、鼻内投与は鎮痛の必要性が認識されたら直ちに患者自身によって取り扱うことができる。かくして最速の痛みの緩和が自身によるフェンタニルの鼻内投与により得られる。
【0198】
本試験ではフェンタニルを「健康な」患者に投与した。しかしながら、PKおよび鎮痛変数は、他の患者、たとえば癌患者でも同様であると思われる。鼻内投与後の作用の開始は、少なくとも筋肉内投与後(7〜8分(16))および経口の経粘膜投与後(15分以内、(16))に認められる結果と同じくらい良好であった。
【0199】
作用の持続時間
鎮痛作用の持続時間は、ここでは静脈内投与後に49分、鼻内投与後に56分であることがわかった。単回の静脈内投与(100μgまで)後の鎮痛作用の持続時間は30〜60分であることがわかっている(16)。筋肉内投与後の持続時間は1〜2時間である(16)。
【0200】
最近の刊行物はホスピス患者でのブレークスルー痛(BTP)を解明しており、それによるとBTPエピソードの72%は30分未満持続した(16)。これらの患者では、数時間の持続時間のモルヒネ錠が、必要な錠剤で得られる痛みの緩和よりも遥かに長い期間、副作用、たとえば悪心や精神的な無力感を引き起こす。これらの患者において鼻内投与したフェンタニルは、長期の副作用を引き起こすことなく、必要とされる痛みの緩和をもたらすことができる。癌患者におけるBTPでの鼻内フェンタニルの効果は最近示されている(15)。
【0201】
急性の痛みを引き起こす様々な疾患および状態は、鎮痛作用の最適な持続時間についての単純な仮定を許さない。しかしながら、鼻内フェンタニルのように自身で投与して有効な痛み緩和が速やかに得られることに価値のある多くの臨床条件が存在する。鼻内フェンタニルは、単独かまたは補助的な痛み処置として投与することができる。例としては、術後の援動化、包帯の交換のように短期間続く手順、狭心症、胆石および外傷に関連する痛みがある。単回投与のフェンタニルによって与えられるよりも長期の痛み緩和を必要とするエピソードに対しては、鼻内投与を繰り返せばよい。
【0202】
これら2つの調合物の鎮痛作用特性を、痛み強度、痛み強度差および痛み強度差の合計として表した。結果は、これら2つの調合物で得られる全体としての鎮痛作用に差異がないことを示した。
全体的な印象についてのスコアは投与量とともに増大した、すなわち、被験処置での満足度は高投与量で一層顕著であった。スコアは鼻内投与よりも静脈内投与の方が高い傾向があった。静脈内投与でのスコアが一層高かったのは、投与量を投与したときに両医薬を投与した事実を反映しているかもしれない。
【0203】
安全性
単回投与暴露に基づく安全性の結論は限定された値しか有しない、なぜなら定常状態の血漿濃度および薬剤の蓄積の可能性が起こらないだろうからである。かくして、フェンタニルの完全な副作用プロフィルはここでは調べなかった。将来の試験では、呼吸機能の低下のリスクに対して特別の注意を払う必要があるであろう、というのは換気過少はフェンタニルの全治療範囲で起こるからである。しかしながら、このリスクは、非オピオイド耐性の患者、とりわけ肺の基礎疾患を有するかまたは呼吸機能の低下を引き起こす他の薬剤を投与されている患者で血漿濃度が2ng/mlを超えると上昇する(16)。有意の呼吸機能低下は1〜3nl/mlの血漿フェンタニル濃度で生じ、一方、肺に対する効果は0.7nl/ml未満では有意ではなかった。血漿フェンタニル濃度とPCO2との間には予測しうる関係はない(16)。オピオイド鎮痛薬を投与されたことのない患者では、CNSに対する作用の上昇は3ng/mlを超える血漿フェンタニルレベルで生じた(16)。
しかしながら、フェンタニルでの副作用事象プロフィルは、この化合物で予測される副作用事象であった。
【0204】
(従来技術より有効な効果)
鼻内投与の利点
フェンタニルの鼻内投与は一定範囲の利点を提供する。この利点は、悪心または吐き気、便秘または胃腸吸収の障害を有する患者にとっては理想的である。投与の容易さは、子供や精神的に混乱した/障害のある患者のように動機付けの低い患者でのコンプライアンスを容易にするであろう。
鼻内投与は患者自身によって摂取することができ、医療スタッフからの独立という慰めが得られる。独立していること、および有効な鎮痛作用を速やかに得ることができることを知っているという心理的側面は、医療の必要性をさらに低減させる。鼻内投与は非侵襲性であり、それゆえ感染のリスクを最小にする。鼻内投与はまた、患者によって制御される鎮痛におけるコストのかからない代替法でもある。
【0205】
(産業上の利用の可能性)
適応症
鼻内投与の主たる適応症は、癌患者におけるBTP、術後痛のベッドサイド治療、狭心症、胆石、外傷および包帯の交換のような良性の急性の痛みのエピソードであると思われる。また、小児科の患者も鼻内フェンタニルの容易な投与の恩恵を受けることができる。救急/急性の痛み状況を取り扱う広範囲の機関、たとえば、軍、艦隊、航空会社、レスキューチームおよびスポーツ管理が、当該フェンタニルの効率、迅速な開始および容易な使用を見出すことができる。
【0206】
薬動力学的な結果は、フェンタニルについて既知の薬動力学的な特徴によく匹敵する。鼻内投与フェンタニルのバイオアベイラビリティーは、静脈内投与フェンタニルと差異がない。
本試験で認められたように数分以内での鎮痛作用の開始は、痛みを処置するうえでの重要な利点である。約1時間という鼻内投与フェンタニルの作用の限られた持続時間もまた、多くの臨床的シナリオでの利点である。
【0207】
これら2つの調合物の鎮痛作用特性を、痛み強度、痛み強度差および痛み強度差の合計として表した。結果は、これら2つの調合物で得られる全体としての鎮痛作用に差異がないことを示した。これらの観察および鼻内投与経路による利点は、単独で使用するか補助的な痛み処置としても用いるかに拘わらず、鼻内投与フェンタニルを痛み処置の最も有望で新規な方法としている。
【0208】
参考文献
【表1】
【表2】
【0209】
【表3】
表1は、75μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を75μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。データ点は図1A、図1Bおよび図1Cにプロットしてある。
【0210】
【表4】
表2は、100μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を100μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。データ点は図2A、図2Bおよび図2Cにプロットしてある。
【0211】
【表5】
表3は、150μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を150μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。データ点は図3A、図3Bおよび図3Cにプロットしてある。
【0212】
【表6】
表4は、200μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を200μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。データ点は図4A、図4Bおよび図4Cにプロットしてある。
【0213】
【表7】
表5は、75μgのフェンタニルを個々の患者に鼻内投与した場合の痛み強度(PI)スコアおよび痛み強度差(PID)スコアを静脈内投与した場合と比較したものである。PID値は図6aにプロットしてある。
【0214】
【表8】
表6は、100μgのフェンタニルを個々の患者に鼻内投与した場合の痛み強度(PI)スコアおよび痛み強度差(PID)スコアを静脈内投与した場合と比較したものである。PID値は図6bにプロットしてある。
【0215】
【表9】
表7は、150μgのフェンタニルを個々の患者に鼻内投与した場合の痛み強度(PI)スコアおよび痛み強度差(PID)スコアを静脈内投与した場合と比較したものである。PID値は図6cにプロットしてある。
【0216】
【表10】
表6は、200μgのフェンタニルを個々の患者に鼻内投与した場合の痛み強度(PI)スコアおよび痛み強度差(PID)スコアを静脈内投与した場合と比較したものである。PID値は図6dにプロットしてある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 3つの比較した方法および組成物の経時血漿プロフィルの差異を示す。静脈内投与はシャープなピークという結果となり、作用の速やかな開始を提供する。しかしながら、血漿レベルの低下も速やかである。この静脈内投与の高い最高濃度は処置の副作用と関係している。逆に、(4〜6)に記載された「滴定」処置は、痛みを患う者にとってはあまりに長すぎると思われる期間の後に最高濃度を提供する。この作用開始時間は静脈内投与または本発明の方法と比べて遥かに長い。本発明の組成物および方法は、比較的速やかな作用開始および最高血漿濃度を提供するとともに、静脈内投与の比較的急激な下降曲線とは対照的にゆるやかに下降する曲線によって示されるように、作用の持続時間も長い。
【図1A】 75μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を75μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図1B】 75μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を75μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図1C】 75μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を75μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図2A】 100μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を100μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図2B】 100μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を100μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図2C】 100μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を100μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図2D】 100μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を100μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図3A】 150μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を150μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図3B】 150μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を150μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図3C】 150μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を150μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図4A】 200μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を200μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図4B】 200μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を200μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図4C】 200μgのフェンタニルによる処置を鼻内投与で受けている例示患者の血漿濃度を200μgのフェンタニルによる処置を静脈内投与で受けている例示患者の血漿濃度と比較したものである。高血漿濃度が鼻内投与によって比較的速やかに到達され、作用持続時間は長かった。最高血漿濃度は静脈内投与よりも低かった。
【図5】 鼻内および静脈内で投与した様々な投与量のフェンタニルについて作用開始時間の中央値を示すグラフである。
【図6a】 75μgのフェンタニルを鼻内投与した個々の患者におけるPIDプロフィルを同じ投与量を静脈内投与した場合と比較して示す。
【図6b】 100μgのフェンタニルを鼻内投与した個々の患者におけるPIDプロフィルを同じ投与量を静脈内投与した場合と比較して示す。
【図6c】 150μgのフェンタニルを鼻内投与した個々の患者におけるPIDプロフィルを同じ投与量を静脈内投与した場合と比較して示す。
【図6d】 200μgのフェンタニルを鼻内投与した個々の患者におけるPIDプロフィルを同じ投与量を静脈内投与した場合と比較して示す。
【図7】 ブレークスルー痛の経口p.n.処置の鎮痛プロフィルを示し、患者の1日の間の典型的な痛みのレベルを示す。これはまた、1日に2回の長期に作用する制御放出モルヒネおよび速やかに作用するp.n.モルヒネからの痛みの緩和の適用範囲を示す。図7に示すように、p.n.モルヒネの作用は、速やかに生じるブレークスルー痛をカバーするにはあまりにも遅いことが明らかである。
【図8】 制御放出モルヒネとともにフェンタニルの鼻内調合物を投与して得られる痛みの緩和を示す。モルヒネは基準の(慢性的な)痛みをカバーし、一方、鼻内フェンタニルの速やかな作用開始はブレークスルー痛エピソードの際の改善された痛みの緩和をもたらす。
Claims (23)
- 急性の痛み、またはブレークスルー痛を治療、軽減または少なくするための鼻スプレーであって、0.5〜20mg/mlのフェンタニルに等価な濃度範囲で、95〜100%の水を含む適当な溶媒中にフェンタニル塩を含む溶液からなり、70〜500μgのフェンタニルに等価の投与単位の運搬のために製剤化されている鼻スプレー。
- 濃度範囲が、0.6〜15mg/mlのフェンタニルに等価である請求項1に記載の鼻スプレー。
- 濃度範囲が、0.75〜10mg/mlのフェンタニルに等価である請求項1または2に記載の鼻スプレー。
- 濃度が、1mg/mlのフェンタニルに等価である請求項1〜3のいずれかに記載の鼻スプレー。
- 濃度が、2mg/mlのフェンタニルに等価である請求項1〜3のいずれかに記載の鼻スプレー。
- 該鼻スプレーは75〜300μgのフェンタニルに等価の投与単位の運搬のために製剤化されている請求項1〜5のいずれかに記載の鼻スプレー。
- 該鼻スプレーは80μg,90μg,100μg,125μg,150μg,200μg,250μg,300μg,350μg,400μg,450μg,または500μgのフェンタニルに等価の投与単位の運搬のために製剤化されている請求項1〜6のいずれかに記載の鼻スプレー。
- フェンタニル塩がクエン酸フェンタニルである請求項1〜7のいずれかに記載の鼻スプレー。
- 溶媒が等張性食塩水である請求項1〜8のいずれかに記載の鼻スプレー。
- 溶媒が更にポリエチレングリコールを含む請求項1〜9のいずれかに記載の鼻スプレー。
- 哺乳動物における痛みを治療、軽減または少なくするための薬剤の製造のためのフェンタニル塩の使用であって、該薬剤は、0.5〜20mg/mlのフェンタニルに等価な濃度範囲で、95〜100%の水を含む適当な溶媒中にフェンタニル塩の溶液を含み、鼻スプレー手段により1投与単位で70〜500μgに等価の量で投与されるものである、使用。
- 75〜300μgのフェンタニルに等価の量が投与されるものである、請求項11に記載の使用。
- 70μg,80μg,90μg,100μg,125μg,150μg,200μg,250μg,300μg,350μg,400μg,450μg,または500μgのフェンタニルに等価の量が投与されるものである、請求項11に記載の使用。
- 75μgのフェンタニルに等価の量が投与されるものである、請求項11に記載の使用。
- 100μgのフェンタニルに等価の量が投与されるものである、請求項11に記載の使用。
- 150μgのフェンタニルに等価の量が投与されるものである、請求項11に記載の使用。
- 200μgのフェンタニルに等価の量が投与されるものである、請求項11に記載の使用。
- 400μgのフェンタニルに等価の量が投与されるものである、請求項11に記載の使用。
- 濃度が0.75mg/ml,1mg/ml,1.5mg/ml、2mg/ml,4mg/ml,8mg/ml、または10mg/mlのフェンタニルに等価である請求項11〜18のいずれかに記載の使用。
- 急性の痛みの治療、緩和または低減のためのものである請求項11〜19のいずれかに記載の使用。
- ブレークスルー痛の治療、緩和または低減のためのものである請求項12〜19のいずれかに記載の使用。
- 個体がさらに鎮痛薬を投与される、請求項11〜21のいずれかに記載の使用。
- 鎮痛薬がフェンタニルまたはその塩である請求項22に記載の使用。
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