JP4892799B2 - 電子レンジ用紙カップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品を電子レンジなどで加熱調理(茹で上げ及び煮込み調理)する際、吹き零れを防止することを目的とした電子レンジ用紙カップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紙カップは、コールド用およびホット用の飲料用などに広く使用されている。近年では、さらに即席食品などの内容物を中に入れて電子レンジなどで加熱調理する用途にも使用されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の紙カップでは、内容物をピーター線(入れる内容物の上端を示す入れ目線)まで入れて電子レンジなどで加熱調理した場合、加熱された内容物が紙カップの外に吹き零れてしまうという問題があった。
【0004】
この問題を解決するためには、比較的深い紙カップを用いて、内容物の量に比べて紙カップの容量を十分大きくする方法があるが、販売時に内容物を収容するので、大きな紙カップに少しの内容物が入れてある状態は、嵩張り、商品感覚的にも好ましくなく、また、コスト的にも高くなる。これらの問題を解決した加熱時の内容物の吹き零れを防止した電子レンジ用紙カップが望まれている。
【0005】
本発明は、電子レンジなどで加熱調理する時に、加熱による内容物の吹き零れを防止した電子レンジ用紙カップを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、内容物を収容して電子レンジで加熱調理することができる上方が開口した逆円錐台形の紙カップであって、胴部の上端寄り、内容物を入れた時の上端面より上方になる位置に略全周に渡って内方に向けて膨出している段差部分が形成され、該段差部分は内方に折り曲げられた部分と上方に折り曲げられた部分で構成され、該上方に向かって折り曲げられた部分が前記胴部を開口に向かって延長させた仮想線より内側に位置し、前記内容物を加熱調理した時に、前記内容物が吹き零れることを防止できることを特徴とする電子レンジ用紙カップである。また、前記胴部にピーター線を形成し、前記段差部分が、該ピーター線より上方に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、紙カップの上部で中に入れた内容物の上端面より上の位置あるいはピーター線より上部側の位置に段差部分を設けることによって、内容物を電子レンジで加熱調理する時、加熱による内容物の吹き零れを未然に防止できる電子レンジ用紙カップを得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照にして詳しく説明する。
【0009】
図1は、本発明の電子レンジ用紙カップの参考例を示す斜視図である。電子レンジ用紙カップAは、一般的な紙カップと同様に、胴部材1と底部材2とからなり、底部材2の外周縁部を下方へ屈曲して屈曲部22とし、その屈曲部22を胴部材1の下端部を内側に折り込んだ折り込み部12と胴部11の下端部とで挟んで加熱圧着して接合して形成されている。この接合部分を糸じり部3と称し、底部材2の底面部21を上げ底にしている。胴部材1の胴部11の上端は外方にカールされトップカール部13が形成されている。
【0010】
また、胴部11の上部には、内容物を入れる時の内容物の上端を示す指示線であるピーター線Pが内面側に凸部形状で横一周に設けられている。このピーター線Pは、内面側に凹部形状であってもよい。
【0011】
さらに、参考例の電子レンジ用紙カップAでは、図2に示すように、ピーター線Pの上部において、段差壁Qで段差を付けた形状としている。つまり、参考例の電子レンジ用紙カップAでは、段差部分Rが、段差壁Qより上側の部分を紙カップ本体部分Oの胴部11の外方に向けて膨出して形成されている。
【0012】
段差壁Qの位置は、内容物を入れた時に上端面より上側になる位置、ピーター線Pが設けられている場合には、ピーター線Pより上の位置で、その距離が3mm以上あることが好ましい。
【0013】
紙カップ本体部分Oと段差部分Rとの段差幅rは、0.5〜5.0mmの範囲が好ましい。
【0014】
図3は、本発明の電子レンジ用紙カップの実施の形態の一実施例を示す斜視図である。電子レンジ用紙カップBは、参考例の電子レンジ用紙カップAと同様に、胴部材1と底部材2とからなり、底部材2の外周縁部を下方へ屈曲して屈曲部22とし、その屈曲部5を胴部材1の下端部を内側に折り込んだ折り込み部12と胴部11の下端部とで挟んで加熱圧着して接合して形成されている。胴部材1の胴部11の上端は外方にカールされトップカール部13が形成されている。
【0015】
また、胴部11の上部には、内容物を入れる時の内容物の上端を示す指示線であるピーター線Pが内面側に凸部形状で横一周に設けられている。このピーター線Pは、内面側に凹部形状であってもよい。
【0016】
さらに、本発明の電子レンジ用紙カップBでは、図4に示すように、第一の実施の形態の電子レンジ用紙カップAと同様に、ピーター線Pの上部において、段差壁Q´で段差を付けた形状としている。しかし、第一の実施の形態の電子レンジ用紙カップAと異なり、本発明の電子レンジ用紙カップの第二の実施の形態の電子レンジ用紙カップBでは、段差部分R´が、段差壁Q´より上側の部分を紙カップ本体部分Oの胴部11の内方に向けて膨出して形成されている。
【0017】
段差壁Q´の位置は、第一の実施の形態の電子レンジ用紙カップAと同様に、内容物を入れた時に上端面より上側になる位置、ピーター線Pが設けられている場合には、ピーター線Pより上の位置で、その距離が3mm以上あることが好ましい。
【0018】
紙カップ本体部分Oと段差部分R´との段差幅r´は、0.5〜5.0mmの範囲が好ましい。
【0019】
また、本発明の電子レンジ用紙カップを実際に電子レンジで使用すると、糸じり部3に焦げを生じるという問題もある。この点を解消するためには、糸じり部3の下部分を内側に折り曲げて折り曲げ部を形成した形状、糸じり部3を内側にカールして底カール部を形成した形状、底部材2の底面部21を下方に凹状に形成した形状、あるいは、2つの形状を併用した形状などがあり、これらの形状を付加した電子レンジ用紙カップとすることが好ましい。
【0020】
つぎに、本発明の電子レンジ用紙カップの胴部材1および底部材2に使用する材料の構成は、紙を主強度材とし、最内層に熱可塑性樹脂を有することを基本としている。例えば、紙/ポリエチレン、ポリエチレン/紙/ポリエチレン、ポリプロピレン/紙/ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0021】
主強度材となる紙としては、紙カップ成形適性の良いカップ原紙を使用することが好ましい。坪量は、とくに限定されないが、紙カップ成形適性上、150〜300g/m2の範囲がより好ましい。
【0022】
最内層に使用する熱可塑性樹脂は、内容物の保護、特に液状の物質を入れても洩れない機能、また、熱シールにより胴部の貼り合わせ、そして胴部と底部の接着を可能にする機能を持っている必要がある。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン・酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。厚さとしては、15〜60μmの範囲が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、押し出し加工あるいはラミネート加工によって、最内層に形成される。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明の電子レンジ用紙カップについて、実際に、実施例をあげて具体的に説明する。
【0027】
<実施例1>カップ原紙280g/m2 /ポリエチレン25μmの構成からな積層材料を使用して、まず、一般的な紙カップと同様に、胴部材1と底部材2とからなり、底部材2の外周縁部を下方へ屈曲して屈曲部22とし、その屈曲部22を胴部材1の下端部を内側に折り込んだ折り込み部12と胴部11の下端部とで挟んで加熱圧着して接合して糸じり部3を形成した。また、胴部材1の胴部11の上端は外方にカールしてトップカール部13を形成した。そして、紙カップの外寸法としては、高さは120mm、開口部の外径(トップカール部13の外径)は100mm、糸じり部3下端の外径は65mmとした。また、胴部11の上部には、内容物を入れる時の水などの量の上端を示すピーター線Pを、胴部11の内面側に上端から20mmの位置に凸部形状で横一周に設けた。
【0028】
つぎに、実施例1では、ピーター線Pの上部3mmの位置において、段差壁Q´で段差を付けた形状とした。段差壁Q´より上側の部分を紙カップ本体部分Oの胴部11の内方に向けて膨出した形状の段差部分R´として、その段差幅r´を2.0mmとし、電子レンジ用紙カップBを作製した。
【0029】
この実施例1の電子レンジ用紙カップBに、内容物であるインスタントラーメンの麺、具、調味料を入れ、そして水をピーター線Pまで注いで電子レンジで加熱調理したところ、内容物が吹き零れることなく加熱調理することができた。
【0030】
【発明の効果】
然るに、本発明の電子レンジ用紙カップでは、紙カップの上部で内容物の上端面より上の位置あるいはピーター線より上部側の位置に段差部分を段差壁により内方に膨出した形状に形成することによって、内容物を電子レンジで加熱調理する時、吹き零れを未然に防止することができる。すなわち、加熱された内容物は、紙カップの底部から胴部の内面壁に沿って上昇して上方に吹き零れる。内面に段差部分があることによって、吹き零れの上昇を緩和することができ、吹き零れることを防ぐことができる。従って、紙カップの大きさを内容物に対して極端に大きくすることなく、比較的浅い場合にも電子レンジなどで加熱調理する時の吹き零れを未然に防止し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子レンジ用紙カップの参考例を示す部分切り欠け断面図である。
【図2】図1上のX部の拡大断面図である。
【図3】本発明の電子レンジ用紙カップの実施の形態の一実施例を示す部分切り欠け断面図である。
【図4】図3上のY部の拡大断面図である。
【符号の説明】
A 電子レンジ用紙カップ(参考例)
B 電子レンジ用紙カップ(一実施例)
1 胴部材
2 底部材
3 糸じり部
11 胴部
12 折り返し部
13 トップカール部
21 底面部
22 屈曲部
O 紙カップ本体部分
P ピーター線
Q 段差壁(参考例)
Q´ 段差壁(一実施例)
R 段差部分(参考例)
R´ 段差部分(一実施例)
r 段差幅(参考例)
r´ 段差幅(一実施例)
Claims (2)
- 内容物を収容して電子レンジで加熱調理することができる上方が開口した逆円錐台形の紙カップであって、胴部の上端寄り、内容物を入れた時の上端面より上方になる位置に略全周に渡って内方に向けて膨出している段差部分が形成され、該段差部分は内方に折り曲げられた部分と上方に折り曲げられた部分で構成され、該上方に向かって折り曲げられた部分が前記胴部を開口に向かって延長させた仮想線より内側に位置し、前記内容物を加熱調理した時に、前記内容物が吹き零れることを防止できることを特徴とする電子レンジ用紙カップ。
- 前記胴部にピーター線を形成し、前記段差部分が、該ピーター線より上方に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ用紙カップ。
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