JP4334958B2 - 電子レンジ対応紙容器 - Google Patents

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Description

本発明は、包装内容物を電子レンジにて加熱調理するタイプの電子レンジ対応紙容器に関する。
従来から、即席食品、惣菜、飲料などの入った紙容器を必要に応じて包装内容物に水を加え、電子レンジを利用して加熱調理するとき、容器の糸尻部分が焦げてしまうという問題があつた。この問題を解決するために、図4に示すように、胴部材1及び底部材2と、胴部材1と底部材2間の接合部3とからなり、底部材2が紙容器の設置面に接する糸尻部分のない電子レンジ対応紙カップが提案されている(特許文献1参照)。また、図5に示すように、胴部材1と底部材2からなる紙カップ容器において、底部材2は、紙21、アルミ蒸着層22及びポリエチレンテレフタレートフィルム23からなるマイクロ波発熱体を含む複合材料からなり、底部材2を、胴部材1の内側に容器設置面から離して底部材2を紙21面を容器外側に向けて断面略U字形に固着したマイクロ波加熱用の紙カップ容器が提案されている(特許文献2参照)。
特開平11−11541号公報 実開平1−73112号公報
しかしながら前者においては、紙を含む材料からなる底部材2の端面が容器内側に露出しているため、内容物によっては紙層を通して漏れが生ずるという問題がある。また、底部材が容器設置面に接するため、加熱した内容物の熱が逃げやすいという欠点がある。また、後者においては糸尻部は胴部材1の下端のみからなり、その部分にマイクロ波により発生した熱が溜まる度合いが少ないものと理解されるものの、底部材2の紙21の端面が容器内側に露出しているため、内容物によっては紙層を通して漏れが生ずるという問題がある。
本発明の課題は、電子レンジによる加熱調理に用いても容器の糸尻部分が焦げることがなく、内容物の漏れがなく且つ加熱した内容物の熱が逃げにくい電子レンジ対応紙容器を提供することである。
請求項1に記載の発明は、上記の課題を解決するもので、紙と熱可塑性合成樹脂層を含む複合材料からなる胴部材及び底部材からなり、胴部材は筒状に形成し、且つ胴部材の下方部分をほぼ一定巾で全周にわたり、胴部内側と前記下方部分の内側の間に空隙を残す容器設置面に対して60度以下の傾斜角度で内方へ折り曲げて環状傾斜壁を形成し、この環状傾斜壁の上に底部材をその周辺部を前記環状傾斜壁に沿わせて配置し、底部材の周辺部を前記環状傾斜壁に熱接着し、更にリング状端面被覆用フィルムを底部材の上に底部材の端部を覆うように配置し、前記リング状端面被覆用フィルムを前記底部材及び前記環状傾斜壁と熱接着し、前記底部材の端部を被覆したことを特徴とする電子レンジ対応紙容器を要旨とする。
本発明において、胴部材及び底部材を構成する複合材料の紙と熱可塑性樹脂層の間に、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール、MXD6、アモルファスナイロン、又は塩化ビニリデン樹脂の一種又はそれらの組み合わせからなるバリア層を設けても良い。
本発明の電子レンジ対応紙容器は、紙と熱可塑性合成樹脂層の複合材料を含む胴部材及び底部材からなり、胴部材は筒状に形成し、且つ胴部材の下方部分をほぼ一定巾で全周にわたり、胴部内側と前記下方部分の内側の間に空隙を残す傾斜角度で内方へ折り曲げて環状傾斜壁を形成し、この環状傾斜壁の上に底部材をその周辺部を前記環状傾斜壁に沿わせて配置し、底部材の周辺部を前記環状傾斜壁に熱接着し、更に底部材の端部を樹脂または樹脂フィルムにより被覆してなることを特徴とし、胴部の下端と環状傾斜壁の間にも加熱調理する内容物が存在し、マイクロ波により発生した熱が内容物により奪われるので、この胴部下端と環状傾斜壁からなる、従来の糸尻部に相当する部分が焦げることはない。また、底部が上げ底状に形成されているので、電子レンジのターンテーブル面から反射したマイクロ波を有効に活用でき、更に加熱効率を上げることができるのみならず、加熱した内容物の熱が逃げにくいという利点を有する。また底部の端面が樹脂又は樹脂フィルムにより被覆されているので内容物の漏れが発生することはない。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る電子レンジ対応紙容器の断面である。
本発明の電子レンジ対応紙容器は、紙と熱可塑性合成樹脂層を含む複合材料からなる胴部材1及び底部材2からなる。胴部材1は円筒状に成形されており、且つ胴部材1の下方部分がほぼ一定巾で全周にわたり、胴部内側と前記下方部分の内側の間に空隙を残す傾斜角度で内方へ折り曲げられて環状傾斜壁4が形成されている。環状傾斜壁4の上には底部材2がその周辺部を環状傾斜壁4に沿わせて配置され、底部材2の周辺部は環状傾斜壁4に熱接着され、更に底部材2の端部がリング状端面被覆用フィルム5により被覆されている。
胴部材1及び底部材2用の材料としては、紙を主強度材とし、少なくとも容器内側となる側に熱可塑性樹脂層を有し、更に必要に応じて紙と前記熱可塑性樹脂層の間に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール、MXD6、アモルファスナイロン、又は塩化ビニリデン樹脂の一種又はそれらの組み合わせからなるバリア層を設けてなる複合材料を用いることができる。
主強度材となる紙としては、紙カップ成形適性の良いカップ原紙を使用することが好ましい。紙の坪量は150〜300g/m2の範囲が好ましい。
容器内側となる側を構成する熱可塑性樹脂は、内容物の保護、特に液状の物質を入れても漏れない機能、熱シールによる胴部の貼り合わせ及び胴部材1と底部材2の接着を可能にする機能を有することが必要である。具体的に、この熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、エチレンビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。この熱可塑性樹脂層の厚さとして
15〜60μの範囲が好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、押出加工或いはラミネート加工によって容器内側となる側に形成される。
複合材料の具体的な構成としては、容器の表側を構成する側から紙層/ポリエチレン層、ポリエチレン層/紙層/ポリエチレン層、発泡ポリエチレン層/紙層/ポリエチレン層、紙層/ポリプロピレン層、ポリプロピレン層/紙層/ポリプロピレン層、紙層/ポリエチレンテレフタレート層、ポリエチレンテレフタレート層/紙層/ポリエチレンテレフタレート層、紙層/ナイロン層、ナイロン層/紙層/ナイロン層、紙層/酸化アルミニウム等の無機酸化物蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール、MXD6、アモルファスナイロン、又は塩化ビニリデン樹脂の一種又はそれらの組み合わせからなるバリア層(以下単に「バリア層」という)/ポリエチレン層、ポリエチレン層/紙層/バリア層/ポリエチレン層、発泡ポリエチレン層/紙層/バリア層/ポリエチレン層、紙層/ポリプロピレン層、ポリプロピレン層/紙層/バリア層/ポリプロピレン層、紙層/バリア層/ポリエチレンテレフタレート層、ポリエチレンテレフタレート層/紙層/バリア層/ポリエチレンテレフタレート層、紙層/バリア層/ナイロン層、ナイロン層/紙層/バリア層/ナイロン層などが挙げられる。
次にリング状端面被覆用フィルム5として、バリア層/ポリエチレン層、バリア層/ポリプロピレン層、バリア層/ナイロン層等の層構成の積層フィルムを用いることができる。
また、リング状端面被覆用フィルム5を用いて底板の端面を被覆することに代えて、ポリエチレン、ポリプロピレン等の溶融樹脂により底板の端面を被覆しても良い。
環状傾斜壁4の傾斜角度は容器設置面6に対して60度以下であることが望ましい。60度よりも大きいときは環状傾斜壁4の折り曲げ成形が困難となり、好ましくない。
図2は本発明の電子レンジ紙容器の別の実施の形態を示す。この実施の形態においては、胴部材1が錐面形状に傾斜して所謂カップ形容器の形状に成形されており、胴部材の上端にトップカール部7が形成されている点が図1の実施の形態と異なるのみでその他は図1の実施の形態と同一である。
本発明の電子レンジ対応容器は以上述べたように構成されているので、胴部1の下端と環状傾斜壁4の間にも加熱調理する内容物が存在し、マイクロ波により発生した熱が内容物により奪われるので、この胴部1下端と環状傾斜壁4からなる、従来の糸尻部に相当する部分が焦げることはない。また、底部2が上げ底状に形成されているので、電子レンジのターンテーブル面から反射したマイクロ波を有効に活用でき、更に加熱効率を上げることができるのみならず、加熱した内容物の熱が逃げにくいという利点を有する。また底部2の端面が樹脂又は樹脂フィルムにより被覆されているので内容物の漏れが発生することはない。
本発明の電子レンジ対応紙容器はインスタントラーメン等の即席食品や、カレー、焼売等の惣菜類用の容器、或いはコーヒー、紅茶、スープ、ジュースなどの飲料用容器として有効に活用することができる。
胴部材及び底部材の材料として、ポリエチレン20μm(商品名:ミラソン16P)/紙(坪量300g/m2)/ポリエチレン20μm(商品名:ミラソン16)//ドライラミネート層//シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート12μm(商品名:IB−PET−C)/ポリエチレン40μm(商品名:ミラソン16)の層構成の積層体を用意した。
胴部材を、紙目に平行な方向(縦方向)に20cm及び紙目に垂直な方向(横方向)の長方形にカットし、更にその縦方向の端部にスカイブヘミング法(バリア性樹脂の薄膜で端部を被覆する方法)により端面処理し、更に、蒸着層側(シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート12μm(商品名:IB−PET−C)/ポリエチレン40μm(商品名:ミラソン16)の側)が容器内側に向くように円筒状に成形し、横方向の一端部と他端部をホットエアシールにより溶融接着した。また底部材として、前記積層体を直径95mmの円形状に打ち抜いたものを用意した。
また、別途、底部材の端面被覆用フィルムの材料としてシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート(商品名:IB−PET−C)12μm/ポリエチレン30μm(商品名:ミラソン16P)の層構成の積層フィルムを用意し、この積層フィルムを外径105mm、幅20mmのリング状に打ち抜いてリング状端面被覆用フィルムを形成した。
上記のようにして形成した筒状の胴部材の下方部を、容器設置面(水平面)に対して10°の傾斜角度で全周にわたり15mm幅で内側に絞りながら折り曲げ、環状傾斜壁を形成した。更に環状傾斜壁の内側面を280℃のホットエアで炙り、その直後、底部材の蒸着層側を環状傾斜壁の方に向くように底部材を環状傾斜壁の上に、底部材の周辺部を環状傾斜壁4に沿わせて配置し、底部材と環状傾斜壁間をシール温度180℃でヒートシールして底部を形成した。
更にリング状端面被覆用フィルムを底部材の上に底部材の端部を覆うように配置し、底部材とリング状端面被覆用フィルム及び環状傾斜壁間をシール温度:180℃でヒートシールして、図1に示すような、胴部材1及び底部材2からなり、胴部材1は円筒状に成形され、且つ胴部材1の下方部分がほぼ一定巾で全周にわたり、胴部内側と前記下方部分の内側の間に空隙を残す傾斜角度で内方へ折り曲げられて環状傾斜壁4が形成されており、環状傾斜壁4の上には底部材2がその周辺部を環状傾斜壁4に沿わせて配置され、底部材2の周辺部は環状傾斜壁4に熱接着され、更に底部材2の端部がリング状端面被覆用フィルム5により被覆された電子レンジ対応紙容器を形成した。
出来上がった紙容器内に液体スープを300ml入れ、500W電子レンジにて5分加熱したところ、紙の焦げ付きも無く、また、容器内部からのスープの漏れも無く、スープを加熱することができた。また、加熱したスープは冷めにくく、スープの全部を温かい状態で食することができた。
〔比較例〕
通常の紙カップ容器を以下のようにして形成した。
胴部材及び底部材の材料として、ポリエチレン20μm(商品名:ミラソン16P)/紙(坪量300g/m2)/ポリエチレン20μm(商品名:ミラソン16)//ドライラミネート層//シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート12μm(商品名:IB−PET−C)/ポリエチレン40μm(商品名:ミラソン16)の層構成の積層体を用意した。
胴部材を、紙目に平行な方向(縦方向)に20cm及び紙目に垂直な方向(横方向)の長方形にカットし、更にその縦方向の端部にスカイブヘミング法により端面処理し、更に、蒸着層側(シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレート12μm(商品名:IB−PET−C)/ポリエチレン40μm(商品名:ミラソン16)の側)が容器内側に向くように円筒状に成形し、横方向の一端部と他端部をホットエアシールにより溶融接着した。
また、底部材は、前記した積層体を直径120mmの円形状に打ち抜き、蒸着層側を上に向けた状態で、前記打ち抜いたものの周囲10mmを全周にわたって下方に折り曲げた。
次に胴部材の下端から約10mm幅のところを280℃のホットエアで炙り、胴部材に対して垂直な面に対して約10度の角度で内側に仮折りした後、仮折りした部分の上部から前記底部材の折り曲げ部を、胴部材の仮折りした胴部折り返し部と胴部の下方部の間に挿入し、ローレットで締めて、図3に示すように、胴部折り返し部8が底部折り曲げ部2aを介して胴部1の下方部に完全に圧着された従来のカップ型紙容器を得た。
以上のようにして作成した紙容器にスープを300ml入れ、500W電子レンジにて5分加熱したところ、紙容器の糸尻部分が焦げてしまった。
電子レンジによる加熱調理に用いても容器の糸尻部分が焦げることがなく、内容物の漏れがなくかつ加熱した内容物の熱が逃げにくいため、包装用紙容器、電子レンジ対応紙容器、その他等の種々の用途に適用し得るものである。
本発明の電子レンジ対応紙容器の第1の実施の形態の断面図である。 本発明の電子レンジ対応紙容器の第2の実施の形態の断面図である。 通常のカップ型紙容器の底部の一部断面図である。 特許文献1に記載の電子レンジ対応紙容器の断面図である。 特許文献2に記載の電子レンジ対応紙容器の断面図である。
符号の説明
1 胴部材
2 底部材
3 接合部
4 環状傾斜壁
5 リング状端面被覆用フィルム
6 容器設置面
7 トップカール部
8 胴部折り返し部
2a 底部折り曲げ部
21 紙
22 アルミ蒸着層
23 ポリエチレンテレフタレート

Claims (3)

  1. 紙と熱可塑性合成樹脂層を含む複合材料からなる胴部材及び底部材からなり、胴部材は筒状に形成し、且つ胴部材の下方部分をほぼ一定巾で全周にわたり、胴部内側と前記下方部分の内側の間に空隙を残す容器設置面に対して60度以下の傾斜角度で内方へ折り曲げて環状傾斜壁を形成し、この環状傾斜壁の上に底部材をその周辺部を前記環状傾斜壁に沿わせて配置し、底部材の周辺部を前記環状傾斜壁に熱接着し、更にリング状端面被覆用フィルムを底部材の上に底部材の端部を覆うように配置し、前記リング状端面被覆用フィルムを前記底部材及び前記環状傾斜壁と熱接着し、前記底部材の端部を被覆したことを特徴とする電子レンジ対応紙容器。
  2. 前記複合材料の紙と熱可塑性樹脂層の間にバリア層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ対応紙容器。
  3. 前記バリア層が無機酸化物蒸着フィルム、エチレンビニルアルコール、MXD6、アモルファスナイロン、又は塩化ビニリデン樹脂の一種又はそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ対応紙容器。
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