JP4333142B2 - 電子レンジ用紙カップ状容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子レンジによる加熱調理が可能な紙カップ状容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カップ状容器の代表例である紙カップは、一般的には、例えば図3、図4、図5に示すように、扇形状の胴紙の一方の端縁をもう一方の端縁に重ね合わせて接合させ、下方に向かって先細る円筒形状の胴部材(11)とする胴部材形成工程(a)、別に底部材用ロールからほぼ円形状に打ち抜かれた底紙を周縁部(13)を下向きに起立させて底部材(12)とする底部材形成工程(b)、胴部材の下部内面に底部材の周縁部の内面を接合させる接合工程(c)、さらに底部材の周縁部を覆うように前記胴部材の下端縁部を内方に折り曲げて折り曲げ部(14)を形成させ、該折り曲げ部(14)を底部材の周縁部の外面に接合させて環状脚部(15)を形成する環状脚部形成工程(d)、最後に胴部材の上部周縁を外方又は内方に向けて巻き込み、口縁部(17)を形成させる口縁部形成工程(e)の各工程を経て、胴部と底部を有する紙カップ状容器(10)を作製している。
【0003】
そして、環状脚部を形成する底部材の周縁部(13)と胴部材の折り曲げ部(14)はほぼ同じ長さで作製されており、通常の紙カップ状容器は環状脚部(15)の高さを5〜10mm程度にして作製している。
【0004】
一方、この紙カップ状容器に液状の内容物を入れて電子レンジで加熱調理を行うと、電磁誘導により環状脚部周辺の端面の焦げが問題になることがある。
これは電磁波の集中による蓄熱に起因すると推定されている。
【0005】
特に、胴部材、底部材ともに、〔容器外側〕ポリエチレン(PE)/紙/PE/無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム/PE〔容器内側〕のようなバリア性に富んだ層構成の場合に、環状脚部の外周縁部の紙層を中心に焦げが発生する。
【0006】
これは底部材の紙層は胴部材の無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムに挟まれた構造となり、電子レンジにより加熱された底部材の紙層部分に含有されている水分が逃げ場を失って、この熱によって底部材の焦げが発生するものと考えられている(電子レンジにより300°C以上に加熱されることが測定により確認されている)。
【0007】
この焦げの発生個所は容器の底部分から5mm程度上がった位置を中心に発生することが判っている。これは各社の電子レンジ機種においても同様であり、ターンテーブルの反射による影響がいずれの機種においても同様であり、底部分から約5mmの部分に集中するためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙カップ状容器に、例えば、即席麺に水を加える等して電子レンジで加熱調理を行う際に生じる以上のような問題点を解決するためになされたもので、電子レンジによる加熱調理が可能な紙カップ状容器を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、ガスバリア層を含む胴紙の一方の端縁をもう一方の端縁に重ね合わせて胴接合部を形成させた円筒形状の胴部材と、ガスバリア層を含むほぼ円形状の底紙の周縁部を絞るようにして下向きに起立させた底部材からなり、前記胴部材の下部内面に底部材の周縁部の内面を接合させると共に、底部材の周縁部を覆うように胴部材の下端縁部を内方に折り曲げて折り曲げ部を形成させ、該折り曲げ部を底部材の周縁部の外面に接合させて環状脚部を形成させた紙カップ状容器において、前記胴部材の折り曲げ部の先端が、紙カップ状容器の底から3mm以下の高さに設定されることにより、前記折り曲げ部が底部材の周縁部より短く設定されていることを特徴とする、電子レンジ用紙カップ状容器である。
【0011】
このように請求項1記載の発明によれば、胴部材の折り曲げ部が底部材の周縁部より短く、より具体的には、胴部材の折り曲げ部の先端が、紙カップ状容器の底から3mm以下の高さになるように設定されているので、電子レンジ加熱により環状脚部の底部材の周縁部の紙面から発生する水分は、外部に逃げることができ周縁部に籠もることがなく、従って周縁部の紙面が焦げることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の電子レンジ用紙カップ状容器を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の電子レンジ用紙カップ状容器の一実施例を示す部分断面説明図であり、図2は、図1のA部の拡大説明図である。
【0013】
本発明の電子レンジ用紙カップ状容器は、胴紙の一方の端縁をもう一方の端縁に重ね合わせて胴接合部を形成させた円筒形状の胴部材(11)と、ほぼ円形状の底紙の周縁部(13)を絞るようにして下向きに起立させた底部材(12)からなり、前記胴部材の下部内面に底部材の周縁部の内面を接合させると共に、底部材の周縁部を覆うように胴部材の下端縁部を内方に折り曲げて折り曲げ部(14)を形成させ、該折り曲げ部を底部材の周縁部の外面に接合させて環状脚部(15)を形成させた紙カップ状容器(10)である。
そして、胴部材の折り曲げ部(14)は底部材の周縁部(13)より短く設定されている。
【0014】
より具体的には、胴部材の折り曲げ部の先端(16)が、紙カップ状容器の底から3mm以下の高さになるように設定されている。
このことにより上述のように電子レンジで加熱した際、環状脚部で紙の焦げる現象がなくなる。
【0015】
紙カップ状容器に使用する材料は、電子レンジ加熱に対応できる材料であれば特に限定されない。一例を上げれば、胴部材(11)、底部材(12)ともに、〔容器外側〕PE/カップ原紙/PE/酸化ケイ素の薄膜を80nm程度の厚さに設けたポリエチレンテレフタレートフィルム/PE〔容器内側〕のような紙を基材とする複合シートが使用される。
【0016】
紙カップ状容器への成形は、一般的な紙カップ成形機を用いて容易に作製することができる。なお、図1では下方に向かって先細る円筒形状としたが、上部も下部も同径の円筒状としても構わない。
また、一般的には、飲食する際の口当たりをよくするため、あるいは横押し強度を上げたり蓋材を被せ易いようにするため、胴部材の先端縁は外側又は内側にカールさせ口縁部(17)を形成させておく。
【0017】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
〈実施例1〉
先ず、胴部を形成する胴部材、底部を形成する底部材ともに、PE/カップ原紙/PE/酸化ケイ素の薄膜を80nm程度の厚さに設けたポリエチレンテレフタレートフィルム/PEの層構成からなる複合シートを準備した。
【0018】
ついで、一般的な紙カップ成形機を用いて、上述の胴部材形成工程、底部材形成工程、接合工程、環状脚部形成工程、口縁部形成工程を経て、底部からの高さ;75mm、開口部口径;71mm、底径;51mm、環状脚部高さ;8mm、周縁部高さ;8mm、折り曲げ部高さ;3mmの実施例1の電子レンジ用紙カップ状容器を作製した。
【0019】
〈比較例〉
実施例1と同じ胴部材、底部材を用い、折り曲げ部の高さを、それぞれ4mm(比較例1)、5mm(比較例2)、6mm(比較例3)、7mm(比較例4)、8mm(比較例5)と変えた以外は実施例1と同じ寸法の比較例1〜比較例5の電子レンジ用紙カップ状容器を作製した。
【0020】
こうして作製した実施例1種類、比較例5種類、合計6種類の紙カップ状容器の電子レンジ適性を下記する方法により評価した。その結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】
上記のように、本発明の電子レンジ用紙カップ状容器は底部の蓄熱が起きず、焦げやポリエチレンの発泡が見られない。本発明により従来のカップ形状の底部を持つ容器も安心して電子レンジ加熱をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子レンジ用紙カップ状容器の一実施例を示す、部分断面説明図である。
【図2】図1のA部拡大説明図である。
【図3】紙カップ状容器の製造工程の一例を示す、模式説明図である。
【図4】従来の紙カップ状容器の一例を示す、部分断面説明図である。
【図5】図4のB部拡大説明図である。
【符号の説明】
10‥‥紙カップ状容器
11‥‥胴部材
12‥‥底部材
13‥‥周縁部
14‥‥折り曲げ部
15‥‥環状脚部
16‥‥折り曲げ部の先端
17‥‥口縁部
Claims (1)
- ガスバリア層を含む胴紙の一方の端縁をもう一方の端縁に重ね合わせて胴接合部を形成させた円筒形状の胴部材と、ガスバリア層を含むほぼ円形状の底紙の周縁部を絞るようにして下向きに起立させた底部材からなり、前記胴部材の下部内面に底部材の周縁部の内面を接合させると共に、底部材の周縁部を覆うように胴部材の下端縁部を内方に折り曲げて折り曲げ部を形成させ、該折り曲げ部を底部材の周縁部の外面に接合させて環状脚部を形成させた紙カップ状容器において、前記胴部材の折り曲げ部の先端が、紙カップ状容器の底から3mm以下の高さに設定されることにより、前記折り曲げ部が底部材の周縁部より短く設定されていることを特徴とする、電子レンジ用紙カップ状容器。
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