JP5961141B2 - 紙コップの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体を収容するための紙コップの製造方法に関する。
近年、紙コップ(紙カップ)は、飲料やその他の液体を収容する使い捨ての簡易容器として、広く使用されている。このような紙コップは、主として、一方の端(底端)から他方の端(飲み口)に向かってテーパ状に広がる略筒状の胴部と、胴部の底端に取り付けられる底部とから構成されている。紙コップは主に液体を収容するために使用されることから、この胴部と底部との接合部分における漏れ防止性(水密性)を高めるための研究がなされている。
特許文献1には、紙の表裏両面が熱可塑性樹脂でラミネートされた材料からなる紙コップの底部の周辺部と胴部との接合方法が開示されている。これによれば、底部の円板状の外周部を外方に折り曲げて立ち上りを形成した後、ホットエアーでこの底部の立ち上りの内外周面と胴部の内周面とを加熱してから、底部の立ち上りを胴部の一端を折り返した折返部で包み込んで底部と胴部とを熱圧着させている。このとき、胴部の折返部の長さは、底部の立ち上りの高さの長さと略同じに形成されており、底部と胴部とが全周にわたって接着されるため、水密性の高い紙コップが得られる。
特公平5−214号
しかしながら、特許文献1に記載された接合方法においても、底部の立ち上りを胴部の一端を折り返した折返部で包み込む際に、折返し部に皺が発生することにより底部と胴部との接着が弱くなり、水密性が保たれないことがあった。すなわち、図7に示すように、紙コップの底板部材300と筒部材200との接合は、まず、底板部301の全周端に設けられた底板折代部302を略垂直に折り曲げしたのち、筒部材200の一方の端に設けられた筒折代部202を底板折代部302を挟みこむように内側に折り曲げることにより行われる。このとき、筒折代部202自体は先端側に向かってテーパ状に狭まっているのに対し、筒折代部202は筒部材200のテーパ状に広がる方向に折り返されるため、筒折代部202で底板折代部302を挟み込めるようにするために、筒折代部202に熱をかけて素材を延ばしながら折り曲げることが行われている。その際、筒折代部202の余剰に延びた部分によって折り曲げた筒折代部202には皺Sが発生するが、この筒折代部202の皺Sは、固着工程における筒折代部202と底板折代部302との密着を妨げ、筒折代部202を介した熱圧着の熱及び押圧力を底板折代部302に伝え難くする。それゆえ、底板部材300と筒部材200との接着が不十分となった部分に接着空隙Gが生じ、紙コップC内部に収容した液体が漏れることがあった。
従って本発明の目的は、紙コップの筒部材と底板部材との固着において接着空隙を生じさせず、収容した液体の漏れ防止性を高めた紙コップの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の紙コップの製造方法によれば、一方の端から他方の端に向かってテーパ状に広がる筒部と筒部の一方の端に連続する筒折代部とを有する筒部材の内側に、円板状の底板部と底板部の全周端に連続する環状の底板折代部とを有し、底板折代部が略垂直に折り曲げされた底板部材を同軸に配置する工程と、底板折代部の少なくとも一部を筒折代部と筒部とで挟持すると共に筒折代部の先端が底板部よりも手前で終端するように、筒部材の筒折代部の全周を内側に折り曲げて環状の脚部を形成する工程と、押圧ローラを、脚部における折り曲げられた筒折代部からなる第1の内周壁と、折り曲げられた筒折代部の先端と底板部との間の底板折代部からなる第2の内周壁との両方に当接させて押圧することにより、筒部材と底板部材とを固着する固着工程とを備える。
本発明の紙コップの脚部を形成する工程では、底板折代部を挟みこむように筒折代部を内側に折り曲げる際、筒折代部の先端が底板部よりも手前で終端するように折り曲げて巻締めを行う。これにより、底板折代部が筒折代部に覆われた部分の内周壁(第1の内周壁)と、底板折代部が筒折代部に覆われておらず、剥き出しとなって表れている部分(第2の内周壁)とが設けられる。この第2の内周壁は環状に底板に隣接している。次の筒部材と底板部材との固着工程では、押圧ローラを、第1の内周壁と第2の内周壁との両方に当接させて押圧することにより、底板部材と筒部材とを固着する。これにより、押圧ローラを第2の内周壁、すなわち、直接底板折代部に当接させて押圧することができるため、底板折代部と筒部材とを確実に固着させることができる。そして、この押圧ローラが直接当接し押圧する第2の内周壁は環状に底板部に隣接しており、当該部分で底板部材と筒部材とがしっかりと固着されるため、優れた水密性を有することができる。それゆえ、従来の製造方法が有していた問題、すなわち、押圧ローラが当接するのが筒折代部であるため、筒折代部を介して底板折代部と筒部とを固着させなければならないだけでなく、筒折代部に皺が発生している部分については、筒折代部を介した押圧力等が底板折代部に伝わり難いため接着が不十分になり、接着空隙が生じてしまう、というこれらの問題が解決される。さらに、押圧ローラは、第1の内周壁に対しても当接して押圧するため、従来の製造方法における固着と同様に筒折代部、底板折代部及び筒部との固着が行われる。
さらに、一般的に紙コップを取り扱う際には、複数の紙コップを互いに重ね合わせて輸送又は収納等することが行われているが、重なり合った紙コップが互いの素材の摩擦力により強く密着したり、一方の紙コップの外壁が他方の紙コップの内壁を押し広げるように当接して強く密着することがある(「ブロッキング」とよばれている。)。本発明者は、紙コップのテーパー角と底板部の直径との関係から、紙コップの脚部の長さ(高さ)を通常のサイズの5〜8mmよりも長い10mm以上に設計することにより、このようなブロッキングを防止できることを見出している。しかしながら、従来の製造方法では、紙コップの脚部の長さ、すなわち筒折代部の長さを長くすると、筒折代部の先端はテーパー状に狭まっているため、筒部材のテーパ状に広がる方向に折り曲げ可能とするために、通常のサイズのものよりも、さらに筒折代部の素材を延ばす必要があった。その結果、折り曲げた筒折代部には延びた余剰部分からなる皺がより顕著に生じて底板部材と筒部材との接着が不十分になり、液漏れが高い頻度で発生することとなっていた。
上述した本発明の製造方法では、ブロッキングを防ぐために、紙コップの脚部の長さを通常のものよりも長く設計した場合においても、このような押圧ローラを第2の内周壁、すなわち、直接底板折代部に当接させて押圧することができるため、底板折代部と筒部材とを強固に固着させることができる。そして、この押圧ローラが直接当接し押圧する第2の内周壁は環状に底板部に隣接しており、当該部分で底板部材と筒部材とが確実に固着されるため、優れた水密性を有することができる。
また、固着工程は、第1の押圧部と、第1の押圧部より先端側に設けられ第1の押圧部より大径な第2の押圧部とを有する押圧ローラを用いて、第2の押圧部を少なくとも第2の内周壁に当接させて押圧する工程を備えていることが好ましい。
固着工程で用いられる押圧ローラは、第1の押圧部と第2の押圧部とを備えている。第2の押圧部は、第1の押圧部よりも先端側に設けられているため、底板部に隣接する第2の内周壁に容易に当接させ押圧することができる。また、第2の内周壁は底板折代部が筒折代部に覆われておらず、底板折代部が筒折代部に覆われて形成されている第1の内周壁よりも凹んだ位置に環状に設けられている。そのため、第2の押圧部が第2の内周壁による凹み部に当接できるように、第2の押圧部は第1の押圧部より大径に形成されている。それゆえ、押圧ローラを用いた固着工程において、第1の押圧部を第1の内周壁に当接させて押圧しつつ、第2の押圧部を凹んだ第2の内周壁に当接させて押圧することができ、底板部材と筒部材がしっかりと固着される。
また、押圧ローラとして、第2の押圧部の半径が、第1の押圧部の半径よりも折り曲げた筒折代部の略厚み分大きい押圧ローラを用いることも好ましい。第2の内周壁は、第1の内周壁よりも少なくとも筒折代部の厚み分凹んだ位置に環状に設けられている。そのため、第2の押圧部が第2の内周壁の凹み部に当接できるように、第2の押圧部の半径は第1の押圧部より折り曲げた筒折代部の略厚み分大きく形成されている。それゆえ、固着工程において、第1の押圧部を第1の内周壁に当接させて押圧しつつ、より確実に第2の押圧部を凹んだ第2の内周壁に当接させて押圧することができ、底板部材と筒部材が確実に固着される。
さらに、第2の押圧部が第2の内周壁に当接する部分の長さは、第2の内周壁の折り曲げた筒折代部の先端と底板部との間の長さ以下であることも好ましい。第2の内周壁は第1の内周壁よりも凹んだ位置に環状に設けられているため、第2の押圧部が第2の内周壁の凹み部に当接できるように、第2の押圧部の長さは、折り曲げた筒折代部の先端と底板部との間の長さ以下に形成されている。それゆえ、押圧ローラを用いた固着工程において、第2の押圧部を凹んだ第2の内周壁に当接させて押圧することができ、底板部材と筒部材が確実に固着される。
さらに、第2の内周壁の折り曲げた筒折代部の先端と底板部との間の長さが、3mm以上であることも好ましい。第2の内周壁の折り曲げた筒折代部の先端と底板との間の長さとして、好適な長さが選択される。これにより、第2の押圧部が第2の内周壁に十分に当接して押圧することができる面積が得られるため、底板部材と筒部とを確実に固着させ、紙コップの漏れ防止性を高めることができる。
脚部を形成する工程は、筒折代部の先端が底板よりも3mm以上手前で終端するように筒折代部を内側に折り曲げて脚部を形成する工程を備えていることも好ましい。これにより、底板折代部が筒折代部に覆われておらず、剥き出しとなって表れている第2の内周壁の底板から筒折代部の先端までの長さとして、好適な長さが選択される。これにより、第2の押圧部が第2の内周壁に十分に当接して押圧することができる面積が得られるため、底板部材と外側の筒部とを確実に固着させ、紙コップの漏れ防止性を高めることができる。
脚部を形成する工程は、脚部の下端から底板部までの長さが10mm以上になるように形成することも好ましい。ブロッキングを防ぐために、紙コップの脚部の長さを10mm以上に設計した場合においても、押圧ローラを第2の内周壁、すなわち、底板折代部に直接当接させて押圧することができるため、底板折代部と外側の筒部材とを強固に固着させることができる。そして、この押圧ローラが直接当接し押圧する第2の内周壁は環状に底板部に隣接しており、当該部分で底板部材と筒部材とが強固に固着されるため、紙コップを重ねた際の密着(ブロッキング)を防止しつつ、優れた水密性を有する紙コップが製造できる。
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する紙コップの製造方法を提供することができる。
(1)押圧ローラを直接、底板折代部に当接させて押圧することができるため、底板折代部と外側の筒部材とを確実に固着させることができる。それゆえ、底板部材と筒部材とが接着空隙が生じることなく接合し、収容した液体の漏れ防止性を高めた紙コップを製造することができる。
(2)紙コップを重ねた際の密着(ブロッキング)を防止しつつ、優れた水密性を有する紙コップを製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係る紙コップの製造方法において、底板部材と筒部材とを同軸に配置する配置工程を示す軸断面図である。 図1に示す配置工程の後に行われる筒部材の筒折代部を内側に折り返す工程を示す軸断面図である。 図2に示す工程の後に行われる脚部の内周壁を押圧ローラで押圧する固着工程を示す軸断面図である。 図3に示す固着工程により筒部材と底板部材とが固着された紙コップを示す軸断面図である。 本発明の紙コップの製造方法により製造された紙コップを積み重ねた際の脚部周辺を示す部分拡大軸断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る紙コップの製造方法において用いられる押圧ローラの(a)正面図、(b)斜視図である。 従来の紙コップの製造方法により製造された紙コップの脚部周辺を示す軸断面図である。
以下、図1〜図5を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る紙コップの製造方法について説明する。
(配置工程)
本発明の紙コップの製造方法では、まず、図1に示すような筒部材2と底板部材3とが準備される。筒部材2は、紙コップ1の容器側面を構成する筒部21と、筒部21のテーパが狭まる側の端に連続して設けられた筒折代部22とから構成されている。筒部材2は、特に限定されないが、一般的には、紙材料を円錐台の側面を展開した形状(図示せず)にカットした後、筒折代部22を備える方の端から他方の端に向かってテーパ状に広がる円錐台となるように両端を巻き込んで接着することにより形成される。他方、底板部材3は、紙コップ1の底部を構成する円形の底板部31と、底板部31の全周縁に連続して設けられた底板折代部32とから構成されている。底板部材3は、特に限定されないが、一般的には、紙材料を円板状にカットした後、周縁の底板折代部32を底板部31に対して略垂直に折り曲げて環状に立ち上げさせることにより形成される。
これら筒部材2と底板部材3を構成する材料は、一般的に、片面又は両面に熱可塑性樹脂層を備えた紙材料からなる。積層又は蒸着される樹脂の種類や紙の種類は特に限定されず、樹脂のほかアルミニウム等の金属が積層又は蒸着された紙材料を使用することも可能である。本実施形態においては、紙コップ1の内側になる方の面にポリエチレン樹脂フィルムが積層された再生パルプ紙が用いられている。紙材料の厚みは適宜選択できるが、折り曲げ加工又は固着加工のし易さ及び紙コップとしての強度維持の観点から、0.1mm〜1mm程度が好ましく、0.2mm〜0.7mmがより好ましく、0.25mm〜0.5mmがさらに好ましい。
図1に示すように、配置工程では、筒部材2の内側に底板部材3が同軸に配置される。このとき、底板部材3は、略垂直方向に折り曲げされた底板折代部32が筒部材2のテーパが狭まる方(底端部側)を向くように配置され、底板折代部32は折代部全体に亘って筒部材2の内周壁に接触する。また、本実施形態では、以下に詳述する脚部形成工程において筒折代部22を内側に折り曲げ易くする観点から、底板折代部32の先端320が、筒折代部22の折り曲げ位置と略同じ位置となるように調整されているが、筒部材2の端部、すなわち筒折代部22の先端220より内に位置していればよく、筒折代部22の折り曲げ位置よりも内側に位置していてもよい。
(脚部形成工程)
次に、図1〜2を参照しつつ、筒部材2の筒折代部22を内側に折り返して紙コップ1の脚部4を形成する工程について説明する。
図1〜2に示すように、紙コップ1の脚部4は、底板折代部32を挟持するように筒部材2の筒折代部22を内側に折り返すことにより形成されるが、このとき、筒折代部22は、筒折代部22の先端220が底板部31よりも手前で終端するように折り返される。これにより、底板折代部32が筒折代部22に覆われている第1の内周壁5と、底板折代部32が筒折代部22に覆われておらず、剥き出しとなって表れている第2の内周壁6とが形成される。図2に示すように、第1の内周壁5は、内側から筒折代部22、底板折代部32及び筒部21の紙材料3層で構成されている。他方、第2の内周壁6は、内側から底板折代部32及び筒部21の紙材料2層で構成されており、第1の内周壁5と比べると、少なくとも筒折代部22の紙材料の厚み22Tの分だけ凹んでいる。
脚部形成工程における筒折代部22の折り返しについては、具体的には、筒折代部22の先端220が、底板部31よりも3mm以上手前で終端するように折り曲げることが好ましく、底板部31よりも4mm以上手前で終端するようにすることがより好ましく、5mm以上手前で終端するようにすることがさらに好ましい。これによって、底板折代部32が筒折代部22に覆われず、剥き出しとなって表れている第2の内周壁の長さ6L、すなわち、底板部31から筒折代部22の先端220までの長さとして、好適な長さが選択される。すなわち、第2の内周壁の長さ6Lが、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上に形成される。これにより、後述する固着工程において、押圧ローラ棒7の第2の押圧部72が第2の内周壁6に十分に当接して押圧することができる面積が得られるため、底板部材3と筒部材2とを確実に固着させ、紙コップ1の漏れ防止性を高めることができる。
本実施態様においては、底板部材3の底板折代部の長さ32Lと脚部の長さ4Lとが略同程度になるように設計されており、筒部材2の筒折代部22が底板折代部32の先端320近傍で内側に折り返されている。これにより、底板折代部32の先端320が作用点となって筒折代部22の折返し加工が容易であり、脚部4の端部が筒折代部22、底板折代部32及び筒部21の紙材料3層で構成されるため、脚部4に一定の強度が得られる。一例として、本実施態様では、脚部の長さ4Lが16mm、底板折代部の長さ32Lが15mm、筒折代部の長さ22Lが9mmに設計されており、筒折代部22の先端220が、底板部31よりも7mm手前で終端するように折り返されている。よって、第1の内周壁の長さ5Lは9mm、第2の内周壁の長さ6Lは7mmとなっている。なお、本発明における底板折代部の長さ32Lと脚部の長さ4Lは、筒折代部22の折返しが底板部31よりも手前で終端するように設計されていればよいため、上述したように、底板折代部の長さ32Lと脚部の長さ4Lとを略同程度に設計することに限られない。
(固着工程)
次に、図2〜4を参照しつつ、本発明の紙コップ1の製造方法に用いる押圧ローラ7について説明する。押圧ローラ7は、紙材料表面の熱可塑性樹脂層を加熱溶融させた後、または、紙材料表面の熱可塑性樹脂層を加熱溶融させながら、紙材料を押圧することにより溶融した熱可塑性樹脂層を利用して紙材料どうしを接着させるために用いられる。図2〜4に示すように、押圧ローラ7は、紙コップの脚部4の内周壁に回転しながら当接し押圧するための略円筒状の押圧部70と、その押圧部70を回転させるためのシャフト74とから概略構成されており、押圧部70はシャフト74の一端に設けられている。この押圧部70が、紙コップ1の脚部4の第1の内周壁5と第2の内周壁6との両方に当接し、両方を押圧することにより、筒部材2と底板部材3とが固着される。押圧部70は、第1の内周壁5と第2の内周壁6との両方に当接するように形成され、例えば、押圧部70の径が不連続に増大した複数の部分からなること、又は、押圧部70の径が連続的に増大するように形成されることによって実現され得る。また、押圧部70の大きさは、紙コップ1の脚部4の内部に挿入でき、内周壁を押圧できる大きさであればよい。また、押圧部70の長さは脚部の長さ4Lより若干長く形成されていることが望ましい。
次に、図2〜4を参照しつつ、筒部材2と底板部材3とを固着させる工程について説明する。本工程では、図2のようにして形成された脚部4の内周壁を押圧ローラ7を用いて押圧し、筒部材2と底板部材3とを固着させる。まず、図2に示す脚部4の内周壁をバーナやヒータ等で加熱し、脚部4の内周壁を構成する紙材料の表面の熱可塑性樹脂を溶融させる。
次いで、図3に示すように、脚部4の内部に押圧ローラ7を挿入し、第1の内周壁5及び第2の内周壁6の両方に押圧部70を当接させて押圧する。第1の内周壁5においては、筒折代部22と底板折代部32と筒部21を、第2の内周壁6においては、底板折代部32と筒部21を、紙材料の表面の溶融した熱可塑性樹脂層を利用して溶着させる。押圧ローラ7による押圧は、シャフト74を回転させて押圧ローラ7を回転させつつ、押圧部70が内周壁全体に当接するようシャフト74を移動させながら行われる。
図2及び図3に示すように、本実施態様における押圧ローラ7は、押圧部70の径が不連続に増大する複数の部分、すなわち、押圧部70が段状に形成されており、第1の押圧部71と第2の押圧部72とから構成されている。第2の内周壁6は、底板折代部32が露出しているために第1の内周壁5よりも凹んでいる。それゆえ、凸状に形成された第2の押圧部72が第2の内周壁6に確実に当接し押圧することができるように、第1の内周壁5に当接する第1の押圧部71よりも、第2の押圧部72が大径に形成されている。
図2及び図3に示すように、本実施態様における押圧ローラ7の第2の押圧部の半径72Rは、第1の押圧部の半径71Rよりも大きいところ、第2の押圧部の半径72Rは、折り曲げた筒折代部22の略厚み22T分だけ、第1の押圧部の半径71Rよりも大きく設計されていることが好ましい。これにより、第2の内周壁6は、第1の内周壁5よりも筒折代部の厚み22Tの分凹んだ状態で環状に設けられているところ、より確実に第2の押圧部72を凹んだ第2の内周壁6に当接させて押圧することができる。なお、第1の押圧部の半径71Rとは、第1の押圧部71と第2の押圧部72との境界近傍における第1の押圧部が有する半径71Rであり、第2の押圧部の半径72Rとは、第1の押圧部71と第2の押圧部72との境界近傍における第2の押圧部が有する半径72Rである。一例として、本実施態様では、筒部材2の紙材料の目付が250g/m2のものが用いられ、筒折代部22の厚み22Tは300ミクロン〜310ミクロンであるので、第1の押圧部71と第2の押圧部72との境界における半径の差が300ミクロン〜310ミクロンとなるように設計されている。
また、図2〜4に示すように、本実施態様における押圧ローラ7の第1の押圧部71及び第2の押圧部72は、それぞれの押圧部の径が、押圧ローラ7の先端側、すなわち第2の押圧部72の端部側に向けて、連続的に増大するように形成されている。いいかえると、先端側に向かって広がったテーパ状(円錐台状)に形成されている。これにより、底板部31に向かってテーパ状に広がる脚部4の第1の内周壁5及び第2の内周壁6全体に亘って、第1の押圧部71及び第2の押圧部72が当接し、より密着して押圧することができる。
さらに、図2及び図3に示すように、第2の押圧部72が、第2の内周壁6に当接する部分の長さ72Lは、折り曲げた筒折代部22の先端220と底板部31との間の長さ以下、すなわち、第2の内周壁の長さ6L以下になるように設計されている。これにより、第2の押圧部72が第2の内周壁6の凹んだ部分に嵌合するため、より確実に第2の押圧部72が第2の内周壁6に当接して押圧することができる。また、具体的には、第2の押圧部の長さ72Lは、第2の内周壁の長さ6Lが3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましいことから、第2の押圧部の長さ72Lも同様に、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。これにより、押圧ローラ7の第2の押圧部72が第2の内周壁6に十分に当接して押圧することができる面積が得られるため、底板部材3と筒部材2とを確実に固着させ、紙コップ1の漏れ防止性を高めることができる。一例として、本実施態様では、第2の内周壁の長さ6Lが7mmであり、第2の押圧部の長さ72Lは、3〜4mmとなるように設計されている。
本実施形態では、押圧部70の表面にローレット73加工を施し、押圧面積を増やすと共に、ローレット73表面の凸凹により脚部4の内周壁を強く押圧できるように形成されている。押圧後の脚部4の内周壁には、図4に示すように、ローレット73の凸凹の跡が形成される。本実施形態においては、第1の押圧部71及び第2の押圧部72にローレット73加工が施されているが、第2の押圧部72のみにローレット73加工が施されていてもよい。
上述のようにして、脚部4の第1の内周壁5及び第2の内周壁6を押圧ローラ7を用いて押圧することにより、図4に示すように、第2の内周壁6を構成する底板折代部32及び筒部21が確実に固着される。また、第2の内周壁6は、折り返された筒折代部22を含まないため、筒折代部22を折り曲げることにより発生する皺の影響がなく、確実に押圧ローラ7の第2の押圧部72の押圧力が第2の内周壁6(底板折代部32及び筒部21)に伝わる。その結果、環状に底板部31に隣接しているこの部分で底板部材3と筒部材2とが隙間なく固着され、優れた漏れ防止性を有する紙コップ1を製造することができる。
他方、第1の内周壁5では、押圧ローラ7により第1の内周壁5を構成する筒折代部22、底板折代部32及び筒部21が接着されるところ、第1の内周壁5は、折り返された筒折代部22を含んでいる。そのため、第1の内周壁5は、筒折代部22を折り曲げることにより発生した皺によって、接着間隙が生じる可能性も有する。しかしながら、上述したように、第2の内周壁6の第2の押圧部72で押圧された部分、すなわち、底板部31に隣接しており、第1の内周壁5よりも底板部31側に位置している部分において底板部材3と筒部材2とが隙間なく固着されている。よって、第1の内周壁5において接着間隙が生じることがたとえあったとしても、紙コップ1内に収容した液体が漏れることはなく、優れた漏れ防止性を有する紙コップ1が得られる。
また、図5に示すように、本発明の製造方法では、紙コップ1を積み重ねた際の密着(ブロッキング)が生じにくい紙コップを製造できることがわかった。図5では、本実施形態の筒部材2の外側に、筒状に形成された外筒部材8を装着させて形成した紙コップ1aと紙コップ1bを積み重ねたところを図示している。外筒部材8を筒部材2に装着させることによって、筒部材2との間に空間が生じ、紙コップの保温性が高められるが、この外筒部材8の存在により、紙コップ1を積み重ねた際のブロッキングがより顕著に生じやすい。そこで、発明者は、紙コップ1の脚部の長さ4Lを通常のサイズの5〜8mmよりも長い10mm以上に設計することにより、このようなブロッキングを防止できることを見出している。すなわち、底板部31の直径よりも、脚部4Lの端部で構成される円の直径が小さくなるように脚部の長さ4Lを長く設計することにより、積み重ねられた上側の紙コップ1aの脚部4aの端部が下側の紙コップ1bの底板部31b上に接するようになるため、脚部4aの端部が下側の紙コップ1bの容器内面に食い込むことがなく、ブロッキングが発生しない。また、これら積み重ねられた紙コップ1aと1bとの間に生じる空隙9内には、上側の紙コップ1aの外筒部材8aが収納され得る。一例として、本実施態様では、脚部の長さ4Lが16mm、脚部4Lの端部で構成される円の直径が61.5mm、底板部31の直径が64.6mmに設計されている。このようにして、紙コップ1を積み重ねた際の密着(ブロッキング)を生じにくくするために、脚部4の長さ4Lを長く設計したとしても、第2の内周壁6は、折り返された筒折代部22を含まないため、筒折代部22を折り曲げることにより発生する皺の影響がない。それゆえ、底板折代部31と筒部21とが強く溶着し、接着空隙なく底板部材3と筒部材2とが固着されているので、水密性が高く、漏れ防止性が高い紙コップが得られる。
次に、図6を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る紙コップの製造方法について説明する。
図6には、本実施形態で用いられる押圧ローラ7´を示している。この押圧ローラ7´は、第1の実施形態で用いられた押圧ローラ7と同様に紙コップの脚部4の内周壁に回転しながら当接し押圧するための略円筒状の押圧部70´と、その押圧部70´を回転させるためのシャフト74´とから概略構成されている。この押圧部70´が、脚部4の第1の内周壁5と第2の内周壁6との両方に当接し、両方を押圧することにより、筒部材2と底板部材3とが固着される。押圧部70´は、第1の内周壁5と第2の内周壁6との両方に当接するように形成され、本実施形態では、第1の押圧部71´と第1の押圧部71´よりも大径な第2の押圧部72´とから構成されている。また、押圧部70´の表面には、押圧面積を増やすと共に、ローレットの突条により脚部4の内周壁を強く押圧できるようにローレット73´加工が施されている。
図6に示すように、本実施態様における押圧ローラ7´の押圧部70´の第1の押圧部71´及び第2の押圧部72´は、それぞれの押圧部の径は略一定であるが、各押圧部の中央近傍にやや膨らみをもたせた形状(樽状)に形成されている。これにより、押圧ローラ7´で脚部の4の固着を行う際に、脚部4の第1の内周壁5及び第2の内周壁6に、各押圧部の膨らみをもたせた部分が強く当接し、この部分に押圧力が集中するため、当該部分において確実に固着が行われる。
図6に示すように、本実施態様における押圧ローラ7´の第2の押圧部の半径72R´は、第1の押圧部の半径71R´よりも大きいところ、第2の押圧部の半径72R´は、折り曲げた筒折代部22の略厚み22T分だけ、第1の押圧部の半径71R´よりも大きく設計されていることが好ましい。これにより、第2の内周壁6は、第1の内周壁5よりも筒折代部の厚み22Tの分凹んだ状態で環状に設けられているところ、より確実に第2の押圧部72´を凹んだ第2の内周壁6に当接させて押圧することができる。なお、第1の押圧部の半径71R´とは、第1の押圧部71´のうち、中央近傍のもっとも膨らんだ部分の半径71R´であり、第2の押圧部の半径72R´とは、第2の押圧部72´のうち、中央近傍のもっとも膨らんだ部分の半径72R´である。押圧ローラ7´の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。また、紙コップ1の製造方法に係るその他の工程及び紙コップ1の構成に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
この押圧ローラ7´を用いて、脚部4の第1の内周壁5及び第2の内周壁6を押圧することにより、第2の内周壁6を構成する底板折代部32及び筒部21が確実に固着される。また、第2の内周壁6は、折り返された筒折代部22を含まないため、筒折代部22を折り曲げることにより発生する皺の影響がなく、確実に第2の押圧部72´の押圧力が第2の内周壁6(底板折代部32及び筒部21)に伝わる。その結果、環状に底板部31に隣接しているこの部分で底板部材3と筒部材2とが隙間なく固着され、優れた漏れ防止性を有する紙コップ1を製造することができる。
本発明の紙コップの製造方法に従い、脚部の長さ4Lが14mm、第1の内周壁の長さ5L(筒折代部22の折り返し長さ)が9mm、第2の内周壁の長さ6Lが5〜6mmの容量265mLの紙コップ1を製造した。製造した紙コップの漏れテストを行うにあたり、うがい薬(製品名:うがい薬CPN、アルボース社製品)の20倍希釈液にインスタントコーヒー粉末を少量添加して茶色に着色させた溶液を作成し、漏れテストの試験液とした。この試験液は、通常紙コップに入れられる飲み物(水、コーヒー、ジュースなど)と比較すると5倍以上浸透性が高く、当該試験液で1時間漏れがない場合には、水やコーヒーなどの飲み物に対しては5時間程度では漏れがないことを示す。
上記のように製造した紙コップ1に試験液を15〜20mL入れ、室温に静置し、試験液注入15分後、30分後及び60分後の脚部からの漏れ又はしみ出しを確認した。この漏れテストは紙コップ200個について行った。
比較例として、従来用いられている押圧ローラ棒(略円柱状であり、押圧部が段状に形成されていないもの)を用いて、上記紙コップ1と同じ設計(脚部の長さ4Lが14mm、第1の内周壁の長さ5Lが9mm、第2の内周壁の長さ6Lが5〜6mm)の容量265mLの紙コップCを製造した。この紙コップCについて、上記と同様の条件で漏れテストを行った。
結果を以下表1に示す。表中の数値は、漏れ又はしみ出しが確認された紙コップの個数を示す。本発明の紙コップ1は、比較例の紙コップCよりも漏れ又はしみ出しがなく、優れた水密性を示した。
Figure 0005961141
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
本発明によって製造される紙コップは、食品をはじめ製造や医療などの幅広い分野に関連する液体又は固体を収容するために利用可能である。
1、1a、1b 紙コップ
2、2a、2b、200 筒部材
21、201 筒部
22、202 筒折代部
220 筒折代部の先端
22L 筒折代部の長さ
22T 筒折代部の厚み
3、3a、3b、300 底板部材
31、301 底板部
32、302 底板折代部
320 底板折代部の先端
4 脚部
4L 脚部の長さ(高さ)
5 第1の内周壁
5L 第1の内周壁の長さ
6 第2の内周壁
6L 第2の内周壁の長さ
7、7´ 押圧ローラ
70、70´ 押圧部
71、71´ 第1の押圧部
71R、71R´ 第1の押圧部の半径
72、72´ 第2の押圧部
72R、72R´ 第2の押圧部の半径
72L、72L´ 第2の押圧部の長さ
73、73´ ローレット
74、74´ シャフト
8、8a、8b 外筒部材
9 間隙
C 紙コップ(従来技術のもの)
G 接着空隙
S 皺

Claims (7)

  1. 一方の端から他方の端に向かってテーパ状に広がる筒部と該筒部の一方の端に連続する筒折代部とを有する筒部材の内側に、円板状の底板部と該底板部の全周端に連続する環状の底板折代部とを有し、該底板折代部が略垂直に折り曲げされた底板部材を同軸に配置する工程と、
    前記底板折代部の少なくとも一部を前記筒折代部と前記筒部とで挟持すると共に前記筒折代部の先端が前記底板部よりも手前で終端するように、前記筒部材の前記筒折代部を内側に折り曲げて環状の脚部を形成する工程と、
    押圧ローラを、前記脚部における折り曲げられた前記筒折代部からなる第1の内周壁と、折り曲げられた前記筒折代部の先端と前記底板部との間の前記底板折代部からなる第2の内周壁との両方に当接させて押圧することにより、前記筒部材と前記底板部材とを固着する固着工程と、を備えることを特徴とする紙コップの製造方法。
  2. 前記固着工程は、第1の押圧部と、該第1の押圧部より先端側に設けられ該第1の押圧部より大径な第2の押圧部とを有する前記押圧ローラを用いて、前記第2の押圧部を少なくとも前記第2の内周壁に当接させて押圧する工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載の紙コップの製造方法。
  3. 前記押圧ローラとして、前記第2の押圧部の半径が、前記第1の押圧部の半径よりも折り曲げた前記筒折代部の略厚み分大きい押圧ローラを用いることを特徴とする請求項2に記載の紙コップの製造方法。
  4. 前記第2の押圧部が前記第2の内周壁に当接する部分の長さは、前記第2の内周壁の折り曲げた前記筒折代部の先端と前記底板部との間の長さ以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の紙コップの製造方法。
  5. 前記第2の内周壁の折り曲げた前記筒折代部の先端と前記底板部との間の長さが、3mm以上であることを特徴とする請求項4に記載の紙コップの製造方法。
  6. 前記脚部を形成する工程は、前記筒折代部の先端が前記底板部よりも3mm以上手前で終端するように前記筒折代部の全周を内側に折り曲げて前記脚部を形成する工程を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の紙コップの製造方法。
  7. 前記脚部を形成する工程は、前記脚部の下端から前記底板部までの長さが10mm以上になるように形成することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の紙コップの製造方法。
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