JP4889258B2 - ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法 - Google Patents

ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4889258B2
JP4889258B2 JP2005222165A JP2005222165A JP4889258B2 JP 4889258 B2 JP4889258 B2 JP 4889258B2 JP 2005222165 A JP2005222165 A JP 2005222165A JP 2005222165 A JP2005222165 A JP 2005222165A JP 4889258 B2 JP4889258 B2 JP 4889258B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
sequence shown
allele
bovine
dqa1
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005222165A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006246881A (ja
Inventor
陽子 間
伸之輔 竹嶋
真由 加堂
晶未 三木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority to JP2005222165A priority Critical patent/JP4889258B2/ja
Priority to PCT/JP2005/015779 priority patent/WO2006085402A1/ja
Publication of JP2006246881A publication Critical patent/JP2006246881A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4889258B2 publication Critical patent/JP4889258B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • C12Q1/6886Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/124Animal traits, i.e. production traits, including athletic performance or the like
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/156Polymorphic or mutational markers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/172Haplotypes

Description

本発明は、ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法、並びにそのためのキットに関する。また本発明は、ウシ白血病発症に対する抵抗性を有するウシの作出方法に関する。
ウシ白血病ウイルス(BLV)は、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV−1)に最も近縁なレトロウイルスであり、長い潜伏期間を経てB細胞の悪性腫瘍である地方病性ウシ白血病(EBL)を引き起こす。BLV感染牛は、未発症健康、持続性リンパ球増多症(PL)、さらに長い潜伏期の後白血病を発症するという、3つの病態を示す。そして、その病態には、HTLV−1と同様に疾患感受性の個体差が存在する。本発明者らは以前、疾患感受性の原因の1つがウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDR分子の多型性にあることを示している(特許文献1及び2)。
一方、BoLA遺伝子領域は、第23染色体上に位置し、ヒト、マウスと相同性の高い、クラスI、クラスII及びクラスIII遺伝子を含んでいる。その中でも、クラスIIb亜領域にはDRとDQの各遺伝子亜領域がマップされている。DQ遺伝子領域には現在までにDQAとDQB遺伝子が各5個ずつ同定されている。DQAとDQB遺伝子は、ハプロタイプによって数や構成が異なっていて、一つあるいは二つのDQ分子を形成し、弱いながらも抗原提示能を誘導すると考えられる(非特許文献1〜4参照)。本発明者らは、このようなBoLA−DQA遺伝子のアリルを効率よく決定する方法を開発している(特許文献3)。
当該技術分野では、より効率的にかつ確実にウシ白血病ウイルスに対する抵抗性を判定する方法が望まれている。
特開2004−301518号公報 特開2001−238679号公報 特願2004−109385号(平成16年4月1日出願) Schneider S., Roessli D.,及びExcoffier L.,A software for population genetics data analysis, rlequin,Genetics and Biometry Laboratory, University of Geneva, Switzerland,2000年 Aida Y.,Characterization and Expression of Bovine MHC Class II Genes,Bulletin de la Societe Franco-Japonaise des Sciences Veterinaires,第6巻,p.17-24,1995年 Burke M.G., Stone R.T., 及びMuggli-Cockett N.E.,Nucleotide-sequence and northern analysis of a bovine major histocompatibility class II DR-beta-like cDNA,Animal genetics,第22巻,p.343-352,1991年 Fraser D.C., Craigmile S., Campbell J.D.M., Oliver R.A., Brown D.J., Russell G.C., Spooner R.L., 及びGlass E.J.,Functional expression of a cattle MHC class II DR-like antigen on mouse L-cells,Immunogenetics,第43巻,p.296-303,1996年
本発明は、ウシ白血病に対する抵抗性に関連するアリルを見出し、かかる抵抗性を判定する方法及び手段を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行い、ウシ白血病ウイルスに感染した健康ウシと白血病発症ウシとを用いてBoLA−DQA1及びBoLA−DQA2におけるアリルを検出したところ、DQA10101アリルが健康ウシ群において有意に高頻度に存在するという知見を得た。また本発明者は、DQA10101アリルと、BoLA−DRB3におけるDRB30701アリルの両方を有するウシはウシ白血病ウイルスに対する抵抗性が特に高いという知見を得、これらの知見から本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(14)である。
(1)被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖の75番目のアミノ酸がバリンであるか否かを判定することを含む、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法。
(2)被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子における配列番号1に示される塩基配列を有するDQA10101アリルを検出することを含む、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法。
(3)被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法であって、
(a)被験ウシからゲノムDNA又はmRNAを調製するステップ、
(b)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA10101アリルを検出するステップ、
を含み、DQA10101アリルの存在は、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有することを示すものである、上記方法。
上記方法において、ステップ(b)は、例えばポリメラーゼ連鎖反応−塩基配列に基づくタイピング法(PCR−SBT)により行うことができる。具体的には、ステップ(b)は、(b1)配列番号3に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示される塩基配列からなるプライマーを用いた増幅反応を行うステップ、又は(b2)配列番号5に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示される塩基配列からなるプライマーを用いた増幅反応を行うステップ、あるいは(b1)及び(b2)の両方のステップを含むものである。また、ステップ(b)が、(b3)得られた増幅産物の塩基配列を決定するステップ、をさらに含んでもよい。
(4)被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖の75番目のアミノ酸がバリンであるか否か、並びにウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖の74番目、77番目及び78番目のアミノ酸がそれぞれグルタミン酸、アルギニン及びバリンであるか否かを判定することを含む、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法。
(5)被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子における配列番号1に示される塩基配列を有するDQA10101アリルを検出すること、並びにウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖の74番目、77番目及び78番目のアミノ酸がそれぞれグルタミン酸、アルギニン及びバリンであるか否かを判定することを含む、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法。
(6)被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子における配列番号1に示される塩基配列を有するDQA10101アリルを検出すること、及びウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子における配列番号14に示される塩基配列を有するDRB30701アリルを検出することを含む、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法。
(7)被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法であって、
(a)被験ウシからゲノムDNA又はmRNAを調製するステップ、
(b)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA10101アリルを検出するステップ、
(c)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のDRB30701アリルを検出するステップ、
を含み、DQA10101アリル及びDRB30701アリルの存在は、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有することを示すものである、上記方法。
上記方法において、ステップ(b)及び(c)は、ポリメラーゼ連鎖反応−塩基配列に基づくタイピング法(PCR−SBT)により行うことができる。
(8)被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子における配列番号14に示される塩基配列を有するDRB30701アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子における配列番号1に示される塩基配列を有するDQA10101アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子における配列番号22に示される塩基配列を有するDQA222031アリルを検出すること;及びウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出することを含む、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法。
(9)被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法であって、
(a)被験ウシからゲノムDNA又はmRNAを調製するステップ、
(b)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のDRB30701アリルを検出するステップ、
(c)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA10101アリルを検出するステップ、
(d)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子のDQA222031アリルを検出するステップ、
(e)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出するステップ、
を含み、DRB30701アリル、DQA10101アリル及びDQA222031アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプの存在は、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有することを示すものである、上記方法。
(10)被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子における配列番号23に示される塩基配列を有するDRB3 1401アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子における配列番号25に示される塩基配列を有するDQA110012アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子における配列番号27に示される塩基配列を有するDQA222021アリルを検出すること;及びウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出することを含む、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法。
(11)被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法であって、
(a)被験ウシからゲノムDNA又はmRNAを調製するステップ、
(b)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のDRB3 1401アリルを検出するステップ、
(c)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA110012アリルを検出するステップ、
(d)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子のDQA222021アリルを検出するステップ、
(e)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出するステップ、
を含み、DRB3 1401アリル、DQA110012アリル及びDQA222021アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプの存在は、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有することを示すものである、上記方法。
(12)上記(1)〜(11)のいずれかの方法を用いて白血病発症抵抗性を有すると判定されたウシを用いてウシを作出することを特徴とする、ウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有するウシの作出方法。
(13)ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA10101アリルを検出する手段を含むことを特徴とする、ウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定するためのキット。
(14)ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA10101アリルを検出する手段、及びウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のDRB30701アリルを検出する手段を含むことを特徴とする、ウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定するためのキット。
本発明により、ウシ白血病ウイルス(BLV)によるウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法が提供される。該方法は、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖におけるDQA10101アリルの存在、又はウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖におけるDQA10101アリル及びDR分子β鎖におけるDRB30701アリルを検出することにより、あるいは特定のアリルからなるハプロタイプを検出することにより、被験ウシの発症抵抗性を簡便かつ迅速に判定することができるため、ウシの白血病発症機構の研究、ウシ白血病発症に対する抵抗性を有するウシの作出などに有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定
本発明は、ウシ白血病ウイルス(BLV)感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法である。本発明の方法は、ウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDQ分子のDQA10101アリルをホモ又はヘテロに有するウシ個体がBLV感染によるウシ白血病発症に対して抵抗性を示すという知見に基づくものである。
ウシ主要組織適合抗原(BoLA)とは、移植片や細菌、ウイルスなどの外来抗原ペプチドと結合してT細胞に提示する膜タンパク質であり、一般には主要組織適合性遺伝子複合体(Major histocompatibity complex;MHC)分子と呼ばれるものである。BoLAには、多くのアリルが存在することが知られており、これらの情報については、例えばBoLA Nomenclature Committee Web site(インターネットサイトhttp://www.projects.roslin.ac.uk/bola/bolahome.html)において公開されている。
ウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDQ分子のα鎖は、DQA1〜5によりコードされている。DQ分子のα鎖のアミノ酸配列を配列番号12に、α鎖をコードする塩基配列を配列番号13に示す(それぞれ、アクセッション番号BAA09045.1及びD50454として登録されている)。本明細書において記載する「DQA10101アリル」とは、このDQ分子α鎖をコードするDQA1のアリルの1種であり、配列番号1に示される塩基配列及び配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するものである。ここで、このDQA10101アリルは、図1に示す他のアリルのアミノ酸配列との比較により、BoLA−DQ分子のα鎖の75番目のアミノ酸がバリン(V)であり(配列番号2における98番目のアミノ酸)、他のアリルではイソロイシン(I)である(配列番号12)という相違を示す。ここで、「75番目のアミノ酸」とは、配列番号12において、最初の23アミノ酸からなるシグナルペプチドを除き、成熟タンパク質の1番目のアミノ酸から数えて75番目のアミノ酸のことをいう。また、塩基配列において、DQA10101アリルでは、配列番号1における308〜310番目の塩基がGTCであるのに対し、他のアリルでは配列番号13における292〜294番目の塩基がATCである点で相違する。この相違点に基づいて、HLA−DQ8の3次元立体構造を参照にα鎖の75番目のアミノ酸残基の機能を予測したところ、この75番目のアミノ酸残基は抗原ペプチドを直接認識するアミノ酸残基である可能性が示唆された(図2)。
従って、本発明においては、被験ウシにおいてウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖の75番目のアミノ酸がバリンであるか否かを判定する。好ましくは、被験ウシにおいてBoLA−DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子におけるDQA10101アリルを検出する。そして、その判定結果(検出結果)に基づいて該被験ウシがウシ白血病発症に対する抵抗性を示すか否かを判定する。ここで、本明細書においては、「DQA10101アリルの検出」とは、被験ウシが配列番号1に示される塩基配列を有するDQA1を有するか否か、及び配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むDQ分子α鎖を発現するか否かを判定すること、並びにウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖の75番目のアミノ酸がバリンであるか否か又は該DQ分子α鎖をコードする遺伝子の308〜310番目(配列番号1)若しくは292〜294番目(配列番号13)の塩基がGTCであるか否かを判定することも意味する。また「発症に対する抵抗性」とは、ウシ白血病ウイルス(BLV)感染によるウシ白血病への罹りにくさ(抵抗性)を意味し、「抵抗性を有する」とは、他の被験ウシと比較して、ウシ白血病を発症する確率が低いことを意味する。
本発明において、被験ウシにおけるDQA10101アリルの検出は、遺伝子レベル又はタンパク質レベルで行うことができる。例えば、被験ウシからゲノムDNA又はmRNAを調製し、塩基配列に基づいて、ゲノムDNA又はmRNAにおけるDQA10101アリルを検出することができる。また、被験ウシからウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDQ分子タンパク質を調製し、例えば抗体などを用いてDQ分子におけるDQA10101アリルを検出することができる。これらの方法について、以下簡単に説明する。
(1)被験ウシからのゲノムDNA又はmRNA調製
本発明の方法では、ウシ白血病発症に対する抵抗性を判定しようとするウシ(被験ウシ)からゲノムDNA又はmRNAを調製する。ゲノムDNAの調製は、公知の方法、例えばフェノール/クロロホルム法、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法などにより調製することができる。また、mRNAの調製は、公知の方法、例えばグアニジンイソチオシアネート法などにより調製することができる。ゲノムDNA又はmRNAを調製するためのキットも市販されており、ゲノムDNAの調製用には例えばWizard Genomic DNA Purification Kit(Promega)など、mRNAの調製用には例えばNucleoTrap(登録商標)mRNA Kit(Clontech)などを使用することができる。
また、後述するアリルの検出のため、mRNAからcDNAを合成してもよい。cDNAの合成方法は当技術分野で公知であり、例えば、RNAから、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によりランダムプライマー又はポリTプライマーを使用してcDNAを合成することができる。
DNA又はRNAを調製する供与源もまた特に限定されるものではなく、細胞又は組織、血液、唾液、鼻腔粘膜からこすりとった細胞などを用いることができる。
被験ウシは、反芻類に属するウシ(Bos Taurus、Bos indicus)であればその種は特に限定されるものではない。例えば、エアーシア(Ayrshire)、ブリティッシュフリージアン(British Friesian)、デンマーク黒肢(Danish Black Pied)、デンマーク赤毛(Danish Red)、ヘレフォード(Hereford)、ホルスタインフリージアン(Holstein Friesian)、ジャージー(Jersey)、リムーザン(Limousin)、黒毛和種、日本短角などが挙げられる。
(2)ゲノムDNA又はmRNAにおけるアリルの検出
ゲノムDNA又はmRNAにおけるDQA10101アリルの検出は、例えば、当技術分野で公知の遺伝子多型検出手段により行うことができ、限定するものではないが、直接配列決定法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用した方法、制限酵素断片長多型(RFLP)を利用した方法、ハイブリダイゼーション法を利用した方法、プライマー伸長反応を利用する方法、質量分光法などが挙げられる。これらの方法はいずれも当業者に周知である。以下にその概要を説明する。
(2−1)直接配列決定法
DQA10101アリルは、ゲノムDNA又はmRNA由来のcDNAを用いて直接配列決定法により検出することができる。直接配列決定法においては、最初に、被験ウシからゲノムDNA又はmRNA由来のcDNAを調製し、検出対象となるDQA10101アリルを含む領域をベクターにクローニングし、宿主細胞(例えば細菌)において増幅させる。あるいは、検出対象のDQA10101アリルを含む領域内のDNAをPCRにより増幅することも可能である。増幅後、検出対象領域内のDNAを配列決定する。配列決定法としては、限定されるものではないが、手動式配列決定法又は自動配列決定法が挙げられる。手動配列決定法としては、例えば放射性マーカーヌクレオチドを使用する方法などが挙げられ、自動配列決定法としては、ダイターミネーターを使用する方法などが挙げられる。配列決定の結果に基づいて、被験ウシがDQA10101アリルを有するか否かを判定する。
本発明においては、特に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用してDQA10101アリルを含む領域を増幅した後、得られた増幅産物の塩基配列決定を行う、ポリメラーゼ連鎖反応−塩基配列に基づくタイピング法(PCR−SBT)が好ましい。PCR−SBT法によりDQA10101アリルを検出する方法について、以下詳述する。
最初に、BoLA−DQA1の第2エクソンを増幅可能なプライマーを用いて、調製したゲノムDNAを鋳型とした増幅反応を行い、第2エクソンの塩基配列を有する核酸断片を増幅する。BoLA−DQA1の第2エクソンを増幅可能なプライマーは、第2エクソンの全領域を増幅できることが好ましい。従って、第2エクソンの両側に位置するイントロンの配列に基づいてプライマーを設計することができる。あるいは、イントロンとエクソンとの境界領域の配列に基づいてプライマーを設計することもできる。
プライマーの設計手法は当技術分野で周知であり、本発明において使用可能なプライマーは、特異的なアニーリングが可能な条件を満たす、例えば特異的なアニーリングが可能な長さ及び塩基組成(融解温度)を有するように設計される。例えば、プライマーとしての機能を有する長さとしては、10塩基以上が好ましく、さらに好ましくは16〜50塩基であり、さらに好ましくは20〜30塩基である。また設計の際には、プライマーの融解温度(Tm)を確認することが好ましい。Tmとは、任意の核酸鎖の50%がその相補鎖とハイブリッドを形成する温度を意味し、鋳型となるDNAとプライマーとが二本鎖を形成してアニーリングするためには、アニーリングの温度を最適化する必要がある。一方、この温度を下げすぎると非特異的な反応が起こるため、温度は可能な限り高いことが望ましい。Tmの確認には、公知のプライマー設計用ソフトウエアを利用することができる。設計されたプライマーは、公知のオリゴヌクレオチド合成手法により化学合成することができるが、通常は、市販の化学合成装置を使用して合成される。
本発明において使用可能な、BoLA−DQA1の第2エクソンを増幅することができるプライマーセットとしては、限定するものではないが、以下の(a)及び(b)が挙げられる:
(a)配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマー
5’-CAC AAA TGA AGC CCA CAA TG-3’(配列番号3)
5’-CCC TAG GGA AAA GGG AGT GA-3’(配列番号4)
(b)配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマー
5’-GCC CAC AAT GTT TGA TAG TC-3’(配列番号5)
5’-GGG RAC ACA TAC TGT TGG T-3’(配列番号6)
(配列中、RはA又はGを表す)
増幅反応は、特に限定されないが、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により行う。
また、増幅の特異性を高めるために、2組以上のプライマーを用いて2回以上増幅反応を行うことが好ましい。具体的には、最初に、被験ウシに由来するゲノムDNAを鋳型として、BoLA−DQA1の第2エクソンの塩基配列を含む核酸断片を増幅する。次いで、増幅された核酸断片を鋳型として、さらにBoLA−DQA1の第2エクソンの塩基配列を含む核酸断片を増幅する。このように2回以上増幅反応を行う場合には、各増幅反応で使用するプライマーを、同じ位置に設計してもよいし、あるいは、最初の増幅におけるプライマーの位置よりも内側に設計することができる。
BoLA−DQA1のDQA10101アリルを検出するために2回増幅反応を行う場合のプライマーセットの例としては、限定するものではないが、被験ウシに由来するゲノムDNAを鋳型とした増幅反応において以下の(a)のプライマーセットを用い、増幅された核酸断片を鋳型とした増幅反応において以下の(b)のプライマーセットを用いることができる:
(a)配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマー
(b)配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマー
上述のようにして、被験ウシに由来するゲノムDNAを鋳型として、BoLA−DQA1の第2エクソンの塩基配列を含む核酸断片を特異的に増幅することができる。
続いて、増幅した核酸断片の塩基配列を決定し、決定した塩基配列と、既知のDQA10101アリルの塩基配列(配列番号1)とを比較する。これにより、被験ウシのBoLA−DQA1がDQA10101アリルを有するかを決定することができる。
配列決定法は当技術分野で周知であり、任意の方法を使用することができる。例えば限定されるものではないが、増幅した核酸断片をベクターにクローニングすることなく配列を決定することができるダイレクト・シーケンス法が挙げられる。かかる配列決定法は、市販のキット、例えばCEQTMDTCS Quick Start Kit(BECKMAN)、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit ABI310(Applied Biosystems)などを用いて簡便に行うことができる。
ダイレクト・シーケンス法を行う場合には、BoLA−DQA1の第2エクソンを特異的に配列決定することが可能なプライマーを用いることが好ましい。
本発明の方法において、BoLA−DQA1第2エクソンの塩基配列を決定するために使用可能なプライマーとしては、限定するものではないが、以下の(c)のプライマーセットが挙げられる:
(c)配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマー
5’-ACA ATG TTT GAT AGT CAA TTT C-3’(配列番号7)
5’-GGG RAC ACA TAC TGT TGG TAG-3’(配列番号8)
(配列中、RはA又はGを表す)
核酸断片の塩基配列(すなわち第2エクソンの塩基配列)を決定した後、その塩基配列と、DQA10101アリルの塩基配列(配列番号1)を比較する。
(2−2)PCR法
DQA10101アリルは、PCR法を利用して検出することもできる。PCRは、DQA10101アリルを有する配列又は他のアリルを有する配列にのみハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを利用して行う。そのDQA10101アリル用及びその他のアリル用の両方のプライマーセットを使用して被験ウシ由来のゲノムDNA又はmRNA由来のcDNAを増幅する。DQA10101アリル用プライマーのみがPCR産物を生成した場合には、被験ウシはDQA10101アリルをホモで有し、DQA10101アリル用プライマーと他のアリル用プライマーからのPCR産物が生成された場合には、被験ウシはDQA10101アリルをヘテロで有することになる。他のアリル用プライマーのみがPCR産物を生成した場合には、被験ウシはDQA10101アリルを有しない。
(2−3)RFLP法
DQA10101アリルは、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism;RFLP)を利用して検出することもできる。まず、検出対象のDQA10101アリルを含む領域をPCRで増幅する。続いてこのPCR産物を、DQA10101アリルに独特な長さの断片を生じることが知られている制限酵素で切断する。制限酵素により消化されたPCR産物は、一般的にはゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイド染色により可視化する。断片の長さを、分子量マーカー、並びに他のアリル及びDQA10101アリルの対照により生じた断片の長さと比較することによって、被験ウシにおけるDQA10101アリルを検出することができる。
(2−4)ハイブリダイゼーション法
DQA10101アリルは、ハイブリダイゼーションを利用して検出することもできる。ハイブリダイゼーション法は、被験ウシ由来のゲノムDNA又はmRNAが、それに対し相補的なDNA分子(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)とハイブリダイズする能力に基づいて、DQA10101アリルの有無を決定する方法である。ハイブリダイゼーション及び検出のための種々の技術を利用してこのハイブリダイゼーション法を行うことができる。
プローブが検出対象のDQA10101アリルに対しハイブリダイズしたか否かは、その結合したプローブを可視化することにより直接検出することができる。これは、例えば、ノーザン又はサザンアッセイとして知られている(例えば、Ausabel et al. (編), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1991)参照)。サザンアッセイの場合にはゲノムDNAを、ノーザンアッセイの場合にはRNAを被験ウシから単離する。続いて、単離したDNA又はRNAを、一連の制限酵素群で切断する。次に、DNA又はRNAを分離し、膜に転写する。この分離操作は、例えばアガロースゲル上で行うことができる。膜への転写は、標識化プローブ、又は検出対象のDQA10101アリルに特異的なプローブを、好適なストリンジェンシー条件下で膜に転写して行う。標識は、例えば放射性ヌクレオチドを導入することにより行うことができる。未結合のプローブを除去した後、標識化プローブを可視化することにより、結合の存在を検出することができ、その結合の有無により、DQA10101アリルを有するか否かについて判断しうる。
あるいは、ハイブリダイゼーションはDNAチップを利用して検出することもできる。この方法においては、オリゴヌクレオチドプローブを固相支持体に貼り付ける。このプローブは、DQA10101アリルに特異的なものとなるように設計する。被験ウシ由来のDNAサンプルをDNAチップと接触させ、ハイブリダイゼーションを検出する。
(2−5)タンパク質レベルでの検出
本発明の方法においては、タンパク質レベルでDQA10101アリルを検出することも可能である。具体的には、DQA10101アリルを有するDQ分子のα鎖を特異的に認識することができる抗体を用いることにより、DQA10101アリルを検出することができる。
DQA10101アリルを有するDQ分子のα鎖を特異的に認識することができる抗体は、配列番号12に示すアミノ酸配列において、75番目のアミノ酸残基を含み、かつ少なくとも5個の連続するアミノ酸残基、好ましくは6〜10個の連続するアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として動物の免疫に用いることにより、作製することができる。
抗体の作製方法、及び抗体を用いたDQA10101アリルを有するDQ分子のα鎖の検出方法は、当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。
(3)ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定
DQA10101アリルの存在は、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有する可能性を示すものである。このDQA10101アリルの存在は、ホモ又はヘテロのいずれでもよい。
2.BoLAのDR分子β鎖のアリルを利用したウシ白血病発症に対する抵抗性の判定
さらに本発明のウシ白血病ウイルス(BLV)感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法は、ウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDQ分子のDQA10101アリル及びBoLAのDR分子のDRB30701アリルを有するウシ個体がBLV感染によるウシ白血病発症に対して高い抵抗性を示すという知見に基づくものである。
ウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDR分子のβ鎖は、DRB3によりコードされている。DR分子のβ鎖の一部(DRB3)のアミノ酸配列を配列番号17に、β鎖の一部(DRB3)をコードする塩基配列を配列番号16に示す(それぞれ、アクセッション番号NP_001012698及びNM_001012680として登録されている)。本明細書において記載する「DRB30701アリル」とは、このDR分子β鎖をコードするDRB3のアリルの1種であり、配列番号14に示される塩基配列及び配列番号15に示されるアミノ酸配列を有するものである(それぞれ、アクセッション番号X87648及びCAA60988として登録されている)。なお、DRB30701アリルの配列(配列番号14及び15)は、DR分子β鎖の一部に相当し、そのため本明細書中でいう「74番目のアミノ酸」は配列番号15の74番目には対応するものではない。DRB30701アリルは、BoLA−DR分子のβ鎖の74番目、77番目及び78番目のアミノ酸がグルタミン酸(E)、アルギニン(R)及びバリン(V)であることを特徴とする(配列番号15における66番目、69番目及び70番目のアミノ酸;配列番号17における103、番目106番目及び107番目のアミノ酸)。ここで、「74番目、77番目及び78番目のアミノ酸」とは、配列番号17において、最初の29アミノ酸からなるシグナルペプチドを除き、成熟タンパク質の1番目のアミノ酸から数えてそれぞれ74番目、77番目及び78番目のアミノ酸のことをいう。
本発明者は、上述したDQA1遺伝子におけるDQA10101アリルとDRB3遺伝子におけるDRB30701アリルの両方を有するウシが、特にウシ白血病発症に対する抵抗性が高いことを見出した。従って、本発明においては、被験ウシにおいてウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖の75番目のアミノ酸がバリンであるか否か、並びにウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖の74番目、77番目及び78番目のアミノ酸がそれぞれグルタミン酸、アルギニン及びバリンであるか否かを判定する。好ましくは、被験ウシにおいてBoLA−DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子におけるDQA10101アリルを検出すること、及びウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子におけるDRB30701アリルを検出することを含む。そして、その判定結果(検出結果)に基づいて該被験ウシがウシ白血病発症に対する抵抗性を示すか否かを判定する。
被験ウシにおけるDQA10101アリルの検出は、上述したように行うことができる。また、被験ウシにおけるDRB30701アリルの検出は、当技術分野で公知の方法、例えば特許文献1(特開2004−301518号公報)、特許文献2(特開2001−238679号公報)、国際公開第98/03680号パンフレット、国際公開第98/36092号パンフレット、特開2000−6698号公報、特開2001−178499号公報に記載の方法などを利用して行うことができる。
DQA10101アリル及びDRB30701アリルの存在は、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有する可能性が高いことを示すものである。このDQA10101アリル及びDRB30701アリルの存在は、ホモ又はヘテロのいずれでもよい。
3.ハプロタイプを利用したウシ白血病発症に対する抵抗性の判定
さらに本発明のウシ白血病ウイルス(BLV)感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法は、ウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDRB30701アリル、DQA10101アリル及びDQA222031アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプ、又はDRB3 1401アリル、DQA110012アリル及びDQA222021アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプを有するウシ個体が、BLV感染によるウシ白血病発症に対して高い抵抗性を示すという知見に基づくものである。
本明細書において記載する「DQA222031アリル」とは、ウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子のアリルの1種であり、配列番号22に示される塩基配列を有するものである(アクセッション番号Z79517として登録されている)。また、本明細書において記載する「DQA3遺伝子」とは、BoLAのDQ分子α鎖をコードするものであり、DQA3遺伝子の存在はDQA27011アリル、DQA27012アリル、DQA2702アリル、DQA2301アリル、DQA2601アリル、DQA2602アリル、及びDQA2603アリル等のいずれか1つ以上が検出されることによって表される(Keith et al., Immuno. genetics 1997, 46:237-244参照)。ここで、DQA27011アリルは、配列番号29に示される塩基配列を有するものである(アクセッション番号Z79520として登録されている)。
本発明者は、上述したDRB3遺伝子におけるDRB30701アリル、DQA1遺伝子におけるDQA10101アリル、DQA2遺伝子におけるDQA222031アリルを有し、DQA3遺伝子を有しないウシが、特にウシ白血病発症に対する抵抗性が高いことを見出した。従って、本発明においては、被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子におけるDRB30701アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子におけるDQA10101アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子におけるDQA222031アリルを検出すること;及びウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出することを含む。そして、その判定結果(検出結果)に基づいて該被験ウシがウシ白血病発症に対する抵抗性を示すか否かを判定する。ここで、DQA3遺伝子の存在は、DQA27011アリル、DQA27012アリル、DQA2702アリル、DQA2301アリル、DQA2601アリル、DQA2602アリル、及びDQA2603アリル等のいずれか1つ以上が検出されることによって表される(Keith et al., Immuno. genetics 1997, 46:237-244参照)。
また、本明細書において記載する「DRB3 1401アリル」とは、ウシ主要組織適合抗原(BoLA)のDR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のアリルの1種であり、配列番号23に示される塩基配列及び配列番号24に示されるアミノ酸配列を有するものである(それぞれアクセッション番号Z82035及びCAB52187.1として登録されている)。また、本明細書において記載する「DQA110012アリル」とは、BoLAのDQ分子α鎖をコードするものであり、配列番号25に示される塩基配列及び配列番号26に示されるアミノ酸配列を有するものである(それぞれアクセッション番号U80881及びAAB62026.1として登録されている)。また本明細書において記載する「DQA222021」とは、BoLAのDQ分子α鎖をコードするものであり、配列番号27に示される塩基配列及び配列番号28に示されるアミノ酸配列を有するものである(それぞれアクセッション番号D50045及びBAA08765.1として登録されている)。
本発明者は、上述したDRB3遺伝子におけるDRB3 1401アリル、DQA1遺伝子におけるDQA110012アリル、DQA2遺伝子におけるDQA222021アリルを有し、DQA3遺伝子を有しないウシが、特にウシ白血病発症に対する抵抗性が高いことを見出した。従って、本発明においては、被験ウシにおいて、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子における配列番号23に示される塩基配列を有するDRB3 1401アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子における配列番号25に示される塩基配列を有するDQA110012アリルを検出すること;ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子における配列番号27に示される塩基配列を有するDQA222021アリルを検出すること;及びウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出することを含む。そして、その判定結果(検出結果)に基づいて該被験ウシがウシ白血病発症に対する抵抗性を示すか否かを判定する。
被験ウシにおけるDRB3遺伝子のアリル(DRB30701又はDRB3 1401)の検出、並びにDQA1遺伝子のアリル(DQA10101又はDQA110012)の検出は、上述したように行うことができる。また、被験ウシにおけるDQA2遺伝子のアリル(DQA222031又はDQA222021)の検出、及びDQA3遺伝子(DQA27011アリル、DQA27012アリル、DQA2702アリル、DQA2301アリル、DQA2601アリル、DQA2602アリル、及びDQA2603アリル等)は、DQA2遺伝子を増幅することができるプライマーセットを用いてDQA2遺伝子の全体又は一部を増幅し、その増幅産物の配列を決定し、特定のアリルの配列を有するか否か確認することにより行うことができる。また、本発明において使用可能な、BoLA−DQA2の第2エクソンを増幅することができるプライマーセットとして、限定するものではないが、以下の(d)〜(g)が挙げられる:
(d)配列番号9に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー
5’-TTT TCC ACC TTY CTG CTC CT-3’(配列番号9)
5’-CAC TTA CCA TTG ATA ACA GG-3’(配列番号10)
(配列中、YはC又はTを表す)
(e)配列番号9に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示す塩基配列からなるプライマー
5’-TTT TCC ACC TTY CTG CTC CT-3’(配列番号9)
5’-TTG ATA ACA GGG GTA AAG TTG GA-3’(配列番号11)
(配列中、YはC又はTを表す)
(f)配列番号30に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー
5’-TTT GCT TAG AGA CAT TGT GC-3’(配列番号30)
5’-CAC TTA CCA TTG ATA ACA GG-3’(配列番号10)
(g)配列番号31に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示す塩基配列からなるプライマー
5’-TTT TCC ACC TTY YTG CTC CT-3’(配列番号31)
5’-CAC TTA CCA TTG ATA ACA GG-3’(配列番号10)
(配列中、YはC又はTを表す)。
また本発明の方法において、BoLA−DQA2第2エクソンの塩基配列を決定するために使用可能なプライマーとしては、限定するものではないが、上記の(e)又は(g)のプライマーセットが挙げられる。
DRB30701アリル、DQA10101アリル及びDQA222031アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプ、又はDRB3 1401アリル、DQA110012アリル及びDQA222021アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプは、被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有する可能性が高いことを示すものである。このハプロタイプにおけるアリルの存在は、ホモ又はヘテロのいずれでもよい。
4.キット
本発明のキットは、ウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定するために用いることができ、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖におけるDQA10101アリルを検出する手段を含むものである。
ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖におけるDQA10101アリルを検出する手段としては、例えば限定されるものではないが、DQA10101アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、DQA10101アリルを含む領域を配列決定することができるプライマー、DQA10101アリルに特異的に結合することができるプライマー又はプローブ、DQA10101アリルを含むBoLA−DQ分子に対して特異的に結合することができる抗体、などが含まれる。
PCR−SBT法によりDQA10101アリルを検出する場合には、本発明のキットは、BoLA−DQA1の第2エクソンを増幅するためのプライマーセットとして、以下の(a)又は(b)の少なくとも1つのプライマーセットを含むことが好ましく、また、(a)及び(b)の両方のプライマーセットを含むことがさらに好ましい:
(a)配列番号3に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示す塩基配列からなるプライマー
(b)配列番号5に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示す塩基配列からなるプライマー
さらに本発明のキットは、BoLA−DQA1の第2エクソンを配列決定するためのプライマーセットとして、以下の(c)のプライマーセットを含むことが好ましい。
(c)配列番号7に示す塩基配列からなるプライマー及び配列番号8に示す塩基配列からなるプライマー
また本発明のキットは、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA10101アリルを検出する手段、及びウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のDRB30701アリルを検出する手段を含むものであってもよい。
DRB30701アリルを検出する手段としては、例えば限定されるものではないが、DRB30701アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、DRB30701アリルを含む領域を配列決定することができるプライマー、DRB30701アリルに特異的に結合することができるプライマー又はプローブ、DRB30701アリルを含むBoLA−DR分子に対して特異的に結合することができる抗体、などが含まれる。
さらに本発明のキットは、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のDRB30701アリルを検出する手段、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA10101アリルを検出する手段、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子のDQA222031アリルを検出する手段、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子を検出する手段を含むものであってよい。かかる手段を含むキットにより、ウシ主要組織適合抗原におけるウシ白血病発症に対する抵抗性に関連するハプロタイプを判定することができる。
またさらに本発明のキットは、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子のDRB3 1401アリルを検出する手段、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子のDQA110012アリルを検出する手段、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子のDQA222021アリルを検出する手段、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子を検出する手段を含むものであってよい。かかる手段を含むキットにより、ウシ主要組織適合抗原におけるウシ白血病発症に対する抵抗性に関連するハプロタイプを判定することができる。
上記アリルを検出する手段としては、例えば限定されるものではないが、上記アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、上記アリルを含む領域を配列決定することができるプライマー、上記アリルに特異的に結合することができるプライマー又はプローブ、上記アリルを含むBoLA−DR分子に対して特異的に結合することができる抗体、などが含まれる(例えばDa Mota, AF et al., Eur. J. Immunogenet. 2004, 31, 31-35;Takeshima et al., Immunogenet. 2001, 53, 74-81;van Eijk et al., Anim. genet. 1992, 23, 483-496などを参照)。
本発明のキットは、特定のアリルを検出する手段のほか、さらに、反応液を構成するバッファー、dNTP混合物、酵素類(ポリメラーゼなど)などを含んでもよい。
5.ウシ白血病発症に対する抵抗性を有するウシの作出
上述のように、DQA10101アリル、又はDQA10101アリルとDRB30701アリルを検出することにより、ウシ白血病ウイルス(BLV)によるウシ白血病発症の抵抗性を判定することができるため、この判定結果を利用して、ウシ白血病発症の抵抗性を有するウシを作出することができる。また、DRB30701アリル、DQA10101アリル及びDQA222031アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプ、又はDRB3 1401アリル、DQA110012アリル及びDQA222021アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないハプロタイプを検出することにより、ウシ白血病ウイルス(BLV)によるウシ白血病発症の抵抗性を判定することができるため、この判定結果を利用して、ウシ白血病発症の抵抗性を有するウシを作出することができる。
例えば、ウシの受精卵においてDQA10101アリル、又はDQA10101アリルとDRB30701アリルを検出し、DQA10101アリル、又はDQA10101アリルとDRB30701アリルを有する受精卵を選択して雌ウシの子宮に移植することによって、ウシ白血病発症の抵抗性を有するウシを作出することができる。あるいは、DRB30701アリル、DQA10101アリル及びDQA222031アリルを有し、DQA3遺伝子を有しない受精卵、又はDRB3 1401アリル、DQA110012アリル及びDQA222021アリルを有し、DQA3遺伝子を有しない受精卵を選択して雌ウシの子宮に移植することによって、ウシ白血病発症の抵抗性を有するウシを作出することができる。
また、ウシ白血病発症の抵抗性を有すると判定された雄ウシ及び雌ウシ由来の精子及び卵子を用いることによって、ウシ白血病発症の抵抗性を有するウシを作出することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、国際BoLAワークショップにてタイピングされた標準ウシのDNA52サンプル(WKシリーズ)を使用してゲノムDNAを抽出した。
全血からのゲノムDNAの抽出は、Wizard Genomic DNA Purification Kit(Promega)を使用した。300μlの血液に対し、900μlのCell Lysis Solutionを加え転倒攪拌し、10分間室温で静置した。20,400×g、4℃で20秒間遠心後上清を除き、沈殿を300μlのNuclei Lysis Solutionで溶解した。1.5μlの分解酵素(RNase A Solution)を加え37℃で1時間反応した。100μlのProtein Precipitation Solutionを加え良く混合した後、20,400×g、室温で3分間遠心した。300μlのイソプロパノールの入ったチューブに上清を加え混合した後、20,400×g、4℃で1分間遠心しDNAの沈殿を得た。70%エタノール300μlで洗浄し、乾燥させた後、蒸留水50mlを加え4℃で一晩かけて溶解した。DNAの濃度は分光光度計により260nmでの吸収量を測定することにより算出した。
実施例1で調製した52頭由来のDNAサンプルについて、BoLA−DQA1のアリルを決定した。
(1)BoLA−DQA1 1stPCR
120μMの各dNTP、1.5mMのMgCl、400nMのプライマー、及び1.25ユニットのrTaq DNA伸長酵素(TOYOBO)、1μlのゲノムを含む25μlの1×rTaq緩衝液を94℃で2分間の変性処理後、94℃で20秒;60℃で20秒、及び72℃で40秒の処理を1サイクルとして15サイクルの処理の後、72℃で4分間伸長させた。プライマーは、BoLA−DQA1第2エクソンをPCR法により特異的に増幅できるDQA1intL2及びDQA1−677Rを用いた(配列番号3及び4)。
(2)BoLA−DQA1 2ndPCR
1stPCR産物のうち1μlを120μMの各dNTP、1.5mMのMgCl、400nMのプライマー、及び0.5ユニットのAmpliTaq Gold TM DNA伸長酵素(Applied Biosystems)を含む24μlのGene AmpR Gold緩衝液を95℃で10分間の変性処理後、94℃で20秒;60℃で20秒、及び72℃で40秒の処理を1サイクルとして30サイクルの処理の後、72℃で4分間伸長させた。プライマーは、さらに内側を特異的に増幅できるDQAintL3及びDQA1exREVver2.1を用いた(配列番号5及び6)。これによって、355bpのDNA断片が得られた。PCR産物をエチヂウムブロマイド入り2%アガロースゲルで電気泳動をして、DNAが増幅されているか確認した。
(3)ダイレクト・シーケンス法
シーケンスプライマーとしてDQAintL3.1及びDQA1ex2REVver1.1を用いた(配列番号7及び8)。CEQTMDTCS Quick Start Kit(BECKMAN)をシーケンス反応に用いた。1μlのPCR産物、2μlの10pmol/μlプライマー、4μlのDTCS Quick Start Mix(BECKMAN)、4μlの2.5×Sequencing Buffer(Edge Biosystems)、及び滅菌水9μlを混和し、95℃で20秒;50℃で20秒;60℃で4分間の処理を1サイクルとして30サイクルの処理を行った。シーケンスPCR産物は、説明書に従ってCENTRI-SEP COLUMNS(PRINCETON SEPARATIONS)を用いて精製し、その後CEQTM 2000XL DNA Analysis Systemシーケンサー(BECKMAN COULTER)用のSample Loading Solution(BECKMAN)20μlに溶解し、CEQTM2000XL DNA Analysis System(BECKMAN COULTER)でシーケンスを行った。決定された塩基配列からプライマー部位を除去し、National Center for Biotechnology Information上のホモロジー検索プログラム、BLASTを使用してアリルの塩基配列をデータベースに登録されている塩基配列と照合し、アリルを決定した。
その結果、全てのサンプルにおいてDQA1の増幅が確認できた。また、図3に示すようなアリルが検出された。
実施例1で調製した52頭由来のDNAサンプルについて、BoLA−DQA2のアリルを決定した。
(1)BoLA−DQA2 1stPCR
120μMの各dNTP、1.5mMのMgCl、400nMのプライマー、及び0.5ユニットのAmpliTaq Gold TM DNA伸長酵素(Applied Biosystems)、1μlのゲノムを含む25μlのGene AmpR Gold緩衝液を95℃で10分間の変性処理後、95℃で1分間;55℃で30秒、及び72℃で40秒の処理を1サイクルとして15サイクルの処理の後、72℃で4分間伸長させた。プライマーは、BoLA−DQA2第2エクソンをPCR法により特異的に増幅できるDQA2intL06及びQA006を用いた(配列番号9及び10)。
(2)BoLA−DQA2 2ndPCR
1stPCR産物のうち1μlを同条件の試薬24μlに混和し、95℃で10分間の変性処理後、95℃で1分間;63℃で30秒、及び72℃で40秒の処理を1サイクルとして35サイクルの処理の後、72℃で4分間伸長させた。プライマーは、さらに内側を特異的に増幅できるDQA2intL06及びDQA2exon2<−1を用いた(配列番号9及び11)。これによって、283bpのDNA断片が得られた。PCR産物をエチヂウムブロマイド入り2%アガロースゲルで電気泳動をして、DNAが増幅されているか確認した。
(3)ダイレクト・シーケンス法
シーケンスプライマーとしてDQA2intL06及びDQA2exon2<−1を用いた(配列番号9及び11)。CEQTMDTCS Quick Start Kit(BECKMAN)をシーケンス反応に用いた。1μlのPCR産物、2μlの10pmol/μlプライマー、4μlのDTCS Quick Start Mix(BECKMAN)、4μlの2.5×Sequencing Buffer(Edge Biosystems)、及び滅菌水9μlを混和し、95℃で20秒;50℃で20秒;60℃で4分間の処理を1サイクルとして30サイクルの処理を行った。シーケンスPCR産物は、説明書に従ってCENTRI-SEP COLUMNS(PRINCETON SEPARATIONS)を用いて精製し、その後CEQTM 2000XL DNA Analysis Systemシーケンサー(BECKMAN COULTER)用のSample Loading Solution(BECKMAN)20μlに溶解し、CEQTM2000XL DNA Analysis System(BECKMAN COULTER)でシーケンスを行った。決定された塩基配列からプライマー部位を除去し、National Center for Biotechnology Information上のホモロジー検索プログラム、BLASTを使用してアリルの塩基配列をデータベースに登録されている塩基配列と照合し、アリルを決定した。
その結果、52サンプル中41サンプルにDQA2の増幅が認められた。また、図3に示すようなアリルが検出された。
実施例1で調製した52頭由来のDNAサンプルについて、公知の方法(特許文献1(特開2004−301518号公報)、国際公開第98/03680号パンフレット、国際公開第98/36092号パンフレット、特開2000−86698号公報、特開2001−178499号公報、及び特開2001−238679号公報)に従ってBoLA−DRB3のアリルを決定した。その結果、図3に示すようなアリルが検出された。
本実施例においては、ウシが有するアリルの比較を行った。実施例2及び3の結果、ウシ52サンプルのアリルの検出に成功し、DQA1の既知アリル31種類のうち14種類が、DQA2の既知アリル13種類のうち7種類が検出された(図4)。また、ウシ白血病ウイルス(BLV)感染健康ウシ29頭及び白血病発症ウシ23頭の合計52頭のDQA1及びDQA2のアリルについて比較した。その結果を図3に示す。BLV感染ウシにおいては、DQA10101を有する個体の頻度が有意に高かった(図3及び4;健康ウシ37%、発症ウシ0%、p=0.001185)。
また、実施例4において調べたように、BoLA−DRB3に存在する抵抗性アリルDRB0701、0902及び1401(DRβ鎖の71番、77番及び78番にERVのアミノ酸を有する、特許文献1)も含めて解析した結果(図3)、DRBに存在する抵抗性アリル(DRB0701、0902及び1401)又はDQAに存在する抵抗性アリル(DQA1*0101)のいずれか一方、又は両方を有する個体の頻度は、発症ウシが9%であるのに対して健康ウシは67%であった(p=0.000019)。
実施例5において、ウシBoLAにおけるDQA10101アリルがウシ白血病ウイルス(BLV)感染による白血病の発症に対して抵抗性を示すことが明らかとなったので、このDQA10101アリルについてさらに解析した。
DQA10101アリルと他のDQA1アリルの予想アミノ酸配列を比較したところ、DQA10101アリルでは75番目のアミノ酸残基がバリンであるのに対し、他のアリルではイソロイシンであった(図1)。そこで、HLA−DQ8の3次元立体構造を参照しながらDQα鎖の75番目のアミノ酸残基の機能を予測した結果を図2に示す。図2において、右図は、DQA10101アリルを有するα鎖を示し、左図は他のアリルを有するα鎖を示す。また、上側がDQ分子のα1ドメインを、下側がDQ分子のβ1ドメインを表す。中央部分の細長い配列は抗原ペプチドを表し、右上はα鎖の75番目のアミノ酸残基を表す。図2の右図から、この75番目のアミノ酸残基が抗原ペプチドと直接相互作用していることが示された。従って、このアミノ酸残基は抗原ペプチドを直接認識するアミノ酸残基である可能性が示唆された。
本実施例においては、DQA10101アリルとDRB30701アリルの存在と白血病抵抗性との関連性について解析した。
実施例1〜5に記載の方法に従って、53頭の被験ウシにおけるDQA1遺伝子に存在するアリルを検出し、また特許文献2(特開2001−238679号公報)に記載のPCR−SBT法(具体的には、特許文献2の[0029]の項に記載のプライマーを使用)に従って、被験ウシにおけるDRB3遺伝子に存在するアリルを検出した。
次に、被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス(BLV)に感染した白血球の割合(%)を調べるため、リアルタイム定量PCR(LightCycler System; Roche Diagnostics)システムを使用した。被験ウシの血液から、LyghtCycler-FastStart DNA Master SYBR Green I(Roche Diagnostics)、並びにBLV LTRの一部の増幅用のプライマー256(GAGCTCTCTTGCTCCCGAGAC;配列番号18)及び453(GAAACAAACGCGGGTGCAAGCCAG;配列番号19)の存在下で、30ngの総DNAを増幅した。また、鋳型DNAの濃度をモニターするためプライマーPC03(ACACAACTGTGTTCACTAGC;配列番号20)及びPC04(CAACTTCATCCACGTTCACC;配列番号21)を用いて各サンプル中のウシβグロビン遺伝子を増幅した。BLVに感染した胎仔ヒツジ腎細胞(FLK)1細胞当たり6コピーのBLVがintegrateしていることが報告されている(Astier, T. et al., Amn. Rech. Vet. 9:643-649, 1978)ため、6コピーのFLK−BLVゲノムを有するBLV細胞からの総DNAを、FLK細胞由来の総DNAで希釈し、これらのサンプルをBLV陽性細胞の割合(%)を計算するための標準として使用した。
53頭の被験ウシのBLV感染細胞率(%)とDQA1遺伝子のアリル及びDRB3遺伝子のアリルについての分析結果を図5に示す。また、図5に示す結果に基づいて、DRB30701アリル及びDQA0101アリルを有する個体、DRB30701アリルのみを有する個体、DRB30701アリルもDQA0101アリルも有しない個体について、BLV感染細胞率(%)をプロットしたグラフを図6に示す。これらの結果から、DRB30701アリルとDQA0101アリルの両方を有する個体は、BLV感染細胞率が有意に低く(p=0.0015)、そのため、これらのアリルを有する個体は、BLVによるウシ白血病発症に対する抵抗性が高いことが示された。
本実施例においては、ウシ主要組織適合抗原をコードする遺伝子のうち、DRB3、DQA1、DQA2及びDQA3に存在するアリルの頻度とウシ白血病抵抗性との関連性について調べた。
実施例1〜5に記載の方法に従って、53頭の被験ウシ(BLV感染健康ウシ30頭及び白血病発症ウシ23頭)におけるDQA1及びDQA2遺伝子に存在するアリルを検出し、また特許文献2(特開2001−238679号公報)に記載のPCR−SBT法(具体的には、特許文献2の[0029]の項に記載のプライマーを使用)に従って、被験ウシにおけるDRB3遺伝子に存在するアリルを検出した。さらに、実施例2に記載の方法に従って、DQA27011アリルの有無を調べることにより、DQA3遺伝子を検出した。
DRB3、DQA1、DQA2、及びDQA3の遺伝子に存在するアリルの分析の結果を図7に示す。図7において、DQA2の欄に記載されている「27011」はDQA3のアリルを表す。またこの分析結果からウシ白血病の発症に関連していると考えられるハプロタイプを予測した(図8)。
BLV感染健康ウシとBLV感染白血病発症ウシにおける予測したハプロタイプの存在を整理した結果を図9に示す。この分析の結果、DRB30701−DQA10101−DQA222031−DQA3(−)のハプロタイプ、及びDRB3 1401−DQA110012−DQA222021−DQA3(−)のハプロタイプが、健康ウシでそれぞれ10%及び12%で存在するのに対して、白血病発症ウシではいずれも0%で存在し、その存在頻度が有意に減少していた(p=0.035、p=0.018)。ここでDQA3遺伝子についての(−)は、DQA3遺伝子が存在しないことを表す。
続いて、実施例6に記載のように、新たにBLV感染ウシ53頭におけるDRB3、DQA1、DQA2及びDQA3遺伝子のアリルをタイピングし、BLV感染細胞数の割合との相関性を解析した。その結果、DRB30701−DQA10101−DQA222031−DQA3(−)のハプロタイプ、又はDRB3 1401−DQA110012−DQA222021−DQA3(−)のハプロタイプ(以下、抵抗性ハプロタイプという)を有する個体は、これを持たない個体と比較して、BLV感染細胞数の割合が有意に減少していることが示された(図10、p=0.001446)。このことから、抵抗性ハプロタイプを有するウシは、BLV感染細胞数が低く抑えられ、その結果、白血病発症のリスクが低下し、白血病発症に抵抗性を示すことが示唆された。
本発明により、ウシ白血病ウイルス(BLV)によるウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法が提供される。該方法は、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖におけるDQA10101アリルの存在、又はDQA10101アリルとウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖におけるDRB30701アリルの存在、あるいは特定のアリルからなるハプロタイプを検出することにより、被験ウシの発症抵抗性を簡便かつ迅速に判定することができるため、ウシの白血病発症機構の研究、ウシ白血病発症に対する抵抗性を有するウシの作出などに有用である。
BoLA−DQ分子のα鎖のアミノ酸配列の一部について、DQA10101アリルと他のアリルとの比較を行った結果を示す。75番目のアミノ酸残基は、DQA10101アリルにおいてバリン(V)であるのに対し、他のアリルにおいてはイソロイシン(I)である。 HLA−DQ8の三次元立体構造における、DQ分子のα鎖の75番目のアミノ酸残基の位置を示す。右図は、DQA10101アリルを有するα鎖を示し、左図は他のアリルを有するα鎖を示す。上側がDQ分子のα1ドメインを、下側がDQ分子のβ1ドメインを表す。また、中央部分の細長い配列は抗原ペプチドを表し、右上はα鎖の75番目のアミノ酸残基を表す。 ウシ白血病ウイルス(BLV)に感染した健康ウシと白血病発症ウシにおける、BoLA−DQA1及びDQA2、並びにBoLA−DRB3のアリルを示す。 ウシ白血病ウイルス(BLV)に感染した健康ウシと白血病発症ウシにおけるBoLA−DQA1及びDQA2のアリルの存在頻度の比較を示す。 BLV感染細胞率(%)とDQA10101アリル及びDRB30701アリルの存在についての分析結果を示す。 DRB30701アリル及びDQA0101アリルを有する個体、DRB30701アリルのみを有する個体、DRB30701アリルもDQA0101アリルも有しない個体について、BLV感染細胞率(%)をプロットしたグラフを示す。 BLV感染健康ウシ30頭とBLV感染白血病発症ウシ23頭のDRB−DQA1−DQA2−DQA3のアリルのタイピング結果を示す。 図7の結果に基づいて予測したハプロタイプを示す。 健康ウシ及び白血病発症ウシが有するハプロタイプをまとめた結果を示す。 抵抗性ハプロタイプ(DRB30701−DQA10101−DQA222031−DQA3(−)、又はDRB3 1401−DQA110012−DQA222021−DQA3(−))を有する個体と他のハプロタイプを有する個体のBLV感染細胞数を比較した結果を示す。
配列番号3〜11、18〜21、30及び31:合成オリゴヌクレオチド(配列中、RはA又はGを表す)

Claims (9)

  1. 被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法であって、
    (a)被験ウシからゲノムDNA又はmRNAを調製するステップ、
    (b)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子の配列番号14に示される塩基配列を有する又は配列番号15に示されるアミノ酸配列をコードするDRB30701アリルを検出するステップ、
    (c)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子の配列番号1に示される塩基配列を有する又は配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードするDQA10101アリルを検出するステップ、
    (d)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子の配列番号22に示される塩基配列を有するDQA222031アリルを検出するステップ、
    (e)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出するステップ、
    を含み、DRB30701アリル、DQA10101アリル及びDQA222031アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないことは、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有することを示すものである、上記方法。
  2. 被験ウシにおけるウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を判定する方法であって、
    (a)被験ウシからゲノムDNA又はmRNAを調製するステップ、
    (b)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子の配列番号23に示される塩基配列を有する又は配列番号24に示されるアミノ酸配列をコードするDRB31401アリルを検出するステップ、
    (c)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子の配列番号25に示される塩基配列を有する又は配列番号26に示されるアミノ酸配列をコードするDQA110012アリルを検出するステップ、
    (d)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子の配列番号27に示される塩基配列を有する又は配列番号28に示されるアミノ酸配列をコードするDQA222021アリルを検出するステップ、
    (e)ゲノムDNA又はmRNAにおけるウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子の存在を検出するステップ、
    を含み、DRB31401アリル、DQA110012アリル及びDQA222021アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないことは、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有することを示すものである、上記方法。
  3. ステップ(c)が、
    (c1)配列番号3に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示される塩基配列からなるプライマーを用いた増幅反応を行うステップ、又は
    (c2)配列番号5に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示される塩基配列からなるプライマーを用いた増幅反応を行うステップ、
    あるいは(c1)及び(c2)の両方のステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップ(c)が、
    (c3)得られた増幅産物の塩基配列を決定するステップ、
    をさらに含む、請求項3に記載の方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を実施し、ウシ白血病発症に対する抵抗性を有すると判定されたウシを用いてウシを作出することを特徴とする、ウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有するウシの作出方法。
  6. ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子の配列番号1に示される塩基配列を有する又は配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードするDQA10101アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子の配列番号14に示される塩基配列を有する又は配列番号15に示されるアミノ酸配列をコードするDRB30701アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子の配列番号22に示される塩基配列を有するDQA222031アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、及びウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子を含む領域を増幅することができるプライマーを含むことを特徴とする被験ウシにおいてDRB30701アリル、DQA10101アリル及びDQA222031アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないことは、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有すると判定するためのキット。
  7. ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA1遺伝子の配列番号25に示される塩基配列を有する又は配列番号26に示されるアミノ酸配列をコードするDQA110012アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、ウシ主要組織適合抗原DR分子β鎖をコードするDRB3遺伝子の配列番号23に示される塩基配列を有する又は配列番号24に示されるアミノ酸配列をコードするDRB31401アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、ウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA2遺伝子の配列番号27に示される塩基配列を有する又は配列番号28に示されるアミノ酸配列をコードするDQA222021アリルを含む領域を増幅することができるプライマー、及びウシ主要組織適合抗原DQ分子α鎖をコードするDQA3遺伝子を含む領域を増幅することができるプライマーを含むことを特徴とする被験ウシにおいてDRB31401アリル、DQA110012アリル及びDQA222021アリルが存在し、DQA3遺伝子が存在しないことは、該被験ウシがウシ白血病ウイルス感染によるウシ白血病発症に対する抵抗性を有すると判定するためのキット。
  8. DQA10101アリル又はDQA110012アリルを含む領域を増幅することができるプライマーが、
    (a)配列番号3に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号4に示される塩基配列からなるプライマーのプライマーセット、又は
    (b)配列番号5に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号6に示される塩基配列からなるプライマーのプライマーセット、
    あるいは(a)及び(b)の両方のプライマーセットを含む、請求項6又は7に記載のキット。
  9. DQA222031アリル又はDQA222021アリルを含む領域を増幅することができるプライマーが、
    (d)配列番号9に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示される塩基配列からなるプライマーのプライマーセット、又は
    (e)配列番号9に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号11に示される塩基配列からなるプライマーのプライマーセット、
    (f)配列番号30に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示される塩基配列からなるプライマーのプライマーセット、又は
    (g)配列番号31に示される塩基配列からなるプライマー及び配列番号10に示される塩基配列からなるプライマーのプライマーセット
    を含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載のキット。
JP2005222165A 2005-02-10 2005-07-29 ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法 Expired - Fee Related JP4889258B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005222165A JP4889258B2 (ja) 2005-02-10 2005-07-29 ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法
PCT/JP2005/015779 WO2006085402A1 (ja) 2005-02-10 2005-08-30 ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005034944 2005-02-10
JP2005034944 2005-02-10
JP2005222165A JP4889258B2 (ja) 2005-02-10 2005-07-29 ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006246881A JP2006246881A (ja) 2006-09-21
JP4889258B2 true JP4889258B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=36792980

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005222165A Expired - Fee Related JP4889258B2 (ja) 2005-02-10 2005-07-29 ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP4889258B2 (ja)
WO (1) WO2006085402A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008245558A (ja) * 2007-03-29 2008-10-16 Naris Cosmetics Co Ltd 抗老化素材の評価方法及びそれを配合した化粧料の製造方法
JP5753809B2 (ja) * 2012-03-23 2015-07-22 株式会社日立産機システム 制御装置
JP6892102B2 (ja) * 2017-02-02 2021-06-18 国立研究開発法人理化学研究所 ウシ白血病ウイルス(blv)プロウイルスロードの判定方法およびその利用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2261996A1 (en) * 1996-07-19 1998-01-29 Yoko Aida Methods for judging the possibility of the onset of bovine leukemia and the resistance thereto
JP2001178499A (ja) * 1999-12-28 2001-07-03 Inst Of Physical & Chemical Res ウシmhcクラスii遺伝子の多型の識別法
JP2001238679A (ja) * 2000-03-01 2001-09-04 Inst Of Physical & Chemical Res 牛白血病の発症抵抗性の判定方法
JP4662929B2 (ja) * 2004-04-01 2011-03-30 独立行政法人理化学研究所 ウシ主要組織適合遺伝子複合体(BoLA)クラスIIDQAの対立遺伝子決定法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006085402A1 (ja) 2006-08-17
JP2006246881A (ja) 2006-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH03504325A (ja) Hla dpタイプ分け方法
JP5662293B2 (ja) 注意欠陥多動性障害の診断用snpとそれを含むマイクロアレイ及びキット
JP2008534009A (ja) 大腸癌診断用の多重snp、それを含むマイクロアレイ及びキット、並びにそれを利用した大腸癌の診断方法
JP4889258B2 (ja) ウシ白血病発症に対する抵抗性の判定方法
KR101206028B1 (ko) 유방암 특이적 다형성 서열을 이용한 유방암의 진단방법,유방암 특이적인 폴리뉴클레오티드 및 상기 폴리뉴클레오티드가 고정되어 있는 마이크로어레이
WO2001032702B1 (en) Molecular structure of rhd negative locus
JP4926079B2 (ja) 一塩基多型を含む乳癌に関連したポリヌクレオチド、それを含むマイクロアレイ及び診断キット、並びにそれを利用した乳癌の診断方法
KR20130041767A (ko) 정상 안압 녹내장 질환 감수성 유전자 및 그 이용
ES2445709T3 (es) Método para la identificación por técnicas moleculares de variantes genéticas que no codifican antígeno D (D-) y codifican antígeno C alterado (C+W)
WO1998003680A1 (fr) Procede permettant d'evaluer la possibilite d'apparition de la leucemie bovine et la resistance a celle-ci
JP2000511430A (ja) Hla dqb1タイピングを決定するためのヌクレオチドプローブおよび方法
EP1716255A2 (en) A polynucleotide associated with a colon cancer comprising single nucleotide polymorphism, microarray and diagnostic kit comprising the same and method for diagnosing a colon cancer using the polynucleotide
KR101138863B1 (ko) 단일염기 다형을 포함하는 대장암과 관련된 폴리뉴클레오티드, 그를 포함하는 마이크로어레이 및 진단 키트 및 그를이용한 대장암의 진단방법
TW201311908A (zh) 診斷犬之青光眼的方法及套組
JP4111481B2 (ja) 心筋梗塞の遺伝的要因を判定するための方法及びこれに使用されるオリゴヌクレオチド
JP2007516719A (ja) 一塩基多型を含む二型糖尿病に関与するポリヌクレオチド、それを含むマイクロアレイ及び診断キット、並びにそれを利用したポリヌクレオチドの分析方法
KR101728023B1 (ko) Pcr―ldr을 이용한 atp7b 유전자의 돌연변이 검출
JP6516128B2 (ja) 抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法及び判定用キット
JP2001137000A (ja) 遺伝子変異の判別方法
WO2015030142A1 (ja) B型肝炎の慢性化の素因の検出方法
CN116479111A (zh) 一种先天性无瞳孔-小眼球-白内障综合征筛查方法、筛查试剂盒
JP4533979B2 (ja) アレルギー疾患の遺伝的素因マーカーとしてのヒトトル様レセプター3遺伝子多型およびその使用
US20060263817A1 (en) Genetic polymorphism associated with myocardial infarction and uses thereof
JP4649163B2 (ja) 気管支喘息の遺伝的素因検査方法
JP2007295844A (ja) ウシ乳房炎の発症抵抗性及び感受性の判定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111206

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141222

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees