以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、遊技機としてのパチンコ機10が示されている。このパチンコ機10は、機体の外郭を為す外枠12の開口前面側において、縦長方形の中枠14が開閉及び着脱自在に組み付けられた構造とされている。この中枠14には、図示しない遊技領域が形成された遊技盤(図示せず)が着脱自在に組み付けられており、かかる遊技領域は、中枠14に対して開閉可能に組み付けられたガラス枠16によって保持されているガラス板18を通して遊技者に視認されるようになっている。そして、中枠14に設けられた操作ハンドル20に対して回動可能に装着された操作レバー22を遊技者が回動操作することにより、中枠14に設けられた上皿24に貯留されている遊技球が、図示しない球送り機構を介して発射装置(図示せず)に送られた後、遊技領域に向けて発射されるようになっている。
図2には、パチンコ機10の裏側が示されている。パチンコ機10の裏側には、パチンコ機10の作動全体を制御する主制御基板27が収容された遊技機部品としての基板ケース26が組み付けられている。
この基板ケース26は、図3にも示されているように、ケース本体28に対して蓋部材30が組み付けられた構造とされている。そして、ケース本体28と蓋部材30が組み付けられることで形成された内部空間に主制御基板27が収容されるようになっている。そこにおいて、基板ケース26を構成する各部材28,30は、何れも、ポリカーボネート(PC)等の透明な合成樹脂材によって形成されている。これにより、基板ケース26に収容されている主制御基板27が外部から視認出来るようになっている。
なお、基板ケース26には、ケース本体28と蓋部材30の組付状態の解除を阻止するロック機構が設けられているが、かかるロック機構は従来から公知であることから、その詳細な説明及び図示は省略することにする。また、ケース本体28に対する蓋部材30の組付方法や主制御基板の収容方法も、従来から公知であることから、その詳細な説明は省略することにする。
また、基板ケース26の長手方向一方の壁部を構成する部分には、部品側筒部としてのケース側筒部32が複数個(本実施形態では、四個)一体形成されている。そこにおいて、本実施形態では、各ケース側筒部32は、図4や図5にも示されているように、矩形断面で開口する枠体乃至は筒体形状とされた上側収容部34の底壁に対して略一定の断面形状でストレートに延びる内部空間36を備えた円筒形状を呈する下側収容部38が同一中心軸線上で軸方向下方に突設された構造とされており、これら上側収容部34と下側収容部38は、上側収容部34の底壁に形成された連通孔を通じて、相互に連通せしめられている。特に、本実施形態では、各ケース側筒部32の開口方向(中心軸線が延びる方向)、即ち、上側収容部34と下側収容部38の開口方向(中心軸線が延びる方向)が、基板ケース26の長手方向と幅方向の両方に対して略直交する方向とされている。
このような構造とされたケース側筒部32は、上側収容部34が一対の取付片40,40によって基板ケース26の長手方向一方の壁部を構成する部分に対して取り付けられている。これにより、各ケース側筒部32が基板ケース26の外周縁部に対して一体形成されているのである。なお、ケース側筒部32が取り付けられる、基板ケース26の長手方向一方の壁部は、ケース本体28において長手方向で対向位置せしめられる一対の側壁部の一方であっても良いし、蓋部材30において長手方向で対向位置せしめられる一対の側壁部の一方であっても良い。
そして、上述の如き構造とされた基板ケース26は、遊技盤や遊技盤の裏側に設けられた適当な部材に対して、長手方向他方の壁部に設けられた回動軸42回りに回動可能な状態で組み付けられるようになっている。
そこにおいて、本実施形態では、図2や図6に示されているように、遊技領域に設けられた入賞装置に入賞して遊技盤の裏側に排出されてきた遊技球を所定の位置まで誘導するために遊技盤の裏側に固定された、合成樹脂製の裏側カバー部材44に対して、基板ケース26が一軸回りに回動可能な状態で組み付けられている。具体的には、裏側カバー部材44の表面に突設された支持突起45に形成された支持穴(図示せず)に対して回動軸42を挿入することで、基板ケース26が裏側カバー部材44に対して回動軸42回りで回動可能な状態で組み付けられているのである。なお、支持突起45に形成された支持穴(図示せず)に回動軸42を挿入するに際して、基板ケース26は裏側カバー部材44の表面に対して平行移動(図6における上方から下方への平行移動)せしめられるようになっている。
また、裏側カバー部材44には、基板ケース26が裏側カバー部材44に重ね合わせられた状態で、図7に示されているように、基板ケース26の長手方向一端に設けられたケース側筒部32、特に、本実施形態では、下側収容部38に対応する位置に、それぞれ、本体側筒部46が設けられている。即ち、本体側筒部46は、ケース側筒部32と同じ数だけ設けられているのである。なお、図7においては、後述するスプリングピン50の図示は省略し、ケース側筒部32と本体側筒部46の位置関係だけを示すようにした。
この本体側筒部46は、略一定の円形断面でストレートに延びる内部空間48を備えた円筒形状とされており、特に本実施形態では、底壁部47を備えた有底円筒形状とされている。そこにおいて、本実施形態では、各本体側筒部46は、底壁部47側が裏側カバー部材44から遊技盤側に突出するようにして、裏側カバー部材44に一体形成されている。特に、本実施形態では、本体側筒部46の開口端面は、裏側カバー部材44の表面と同じ平面上に位置せしめられている。なお、本体側筒部46の開口端面は、裏側カバー部材44の表面から突出していても良い。
また、本実施形態では、本体側筒部46の中心軸線は、裏側カバー部材44の表面に対して略直交するようになっている。これにより、裏側カバー部材44に対して基板ケース26が重ね合せられた状態下において、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられるようになっている。
そして、上述の如く、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられることにより、本体側筒部46の内部空間48とケース側筒部32の内部空間(特に、下側収容部38の内部空間36)が後述するスプリングピン50の挿入を許容するように位置せしめられている。このことから明らかなように、本実施形態では、裏側カバー部材44に対して基板ケース26が組み付けられた状態で、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられることにより、本体側筒部46の内部空間48とケース側筒部32の内部空間(特に、下側収容部38の内部空間36)が繋がった状態とされている。なお、本実施形態では、上述の如く、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられた状態で、本体側筒部46の開口端面とケース側筒部32における下側収容部38の下端面との間には、隙間が形成されている。また、上述の説明から明らかなように、本実施形態では、中枠14に組み付けられた遊技盤に固定される裏側カバー部材44を含んで遊技機本体が構成されている。
続いて、基板ケース26の裏側カバー部材44に対する固定方法について説明する。先ず、基板ケース26を一軸回りに回動させて、裏側カバー部材44に重ね合わせる。その後、同一中心軸上に位置せしめられた本体側筒部46とケース側筒部32に対して、スプリングピン50が挿入されるようになっている。
そこにおいて、本実施形態のスプリングピン50は、鉄鋼やばね鋼,ばね用ステンレス鋼等で形成されており、図8及び図9に示されているように、周方向の一部において軸方向に蛇行しながら延びる切り込み52が形成された筒形状とされている。なお、このようなスプリングピン50は、例えば、長手方向両端が鋸歯状に形成された板材を適当な機械や工具を用いて丸めること等によって、有利に形成される。また、本実施形態のスプリングピン50は、その軸方向両端の外側角部に対して、全周に亘って角取りが施されている。これにより、軸方向の何れの側からであっても、スプリングピン50のケース側筒部32と本体側筒部46への嵌め入れが有利に行われるようになっている。
また、本実施形態では、このようなスプリングピン50に対して組付ピン54が取り付けられている。この組付ピン54は、ABS等の合成樹脂材によって形成されており、図10及び図11に示されているように、全体として矩形平板形状とされた板状片56の中央部分から厚さ方向一方の側に突出する挿入突起としての挿入軸58が一体形成された構造とされている。
なお、本実施形態では、板状片56の長手方向両端の下側角部に対して板状片56の幅方向全長に亘って角取りが施されている。これにより、後述する板状片56の上側収容部34内における上側開口から底壁への移動を有利に行うことが可能となる。
このような構造とされた組付ピン54は、図12に示されているように、スプリングピン50の軸方向一端側から挿入軸58が挿入されて固定されることにより、スプリングピン50に対して組み付けられている。このことから明らかなように、本実施形態では、スプリングピン50における軸方向一方の端部が先行端部とは反対側の端部とされているのである。
また、図面上では明示されていないが、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン50に組付ピン54が組み付けられた状態で、スプリングピン50の軸方向上方(組付ピン54が組み付けられた側)から見ると、組付ピン54における板状片56によって、スプリングピン50が覆い隠されるようになっている。
そして、上述の如く、組付ピン54が組み付けられたスプリングピン50は、図13に示されているように、組付ピン54が取り付けられていない軸方向他端側からケース側筒部32に挿入されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、スプリングピン50における軸方向他端部が先行端部とされているのである。
そして、上述の如く、スプリングピン50がケース側筒部32に挿入されることにより、スプリングピン50における下側収容部38に嵌め入れられている部分に対して、スプリングピン50を締める力が作用することとなる。その結果、スプリングピン50が元の形状に戻ろうとする力(復元力)が下側収容部38に作用することとなる。
そして、上述の如きスプリングピン50による復元力が下側収容部38に作用することによって、スプリングピン50における下側収容部38に嵌め入れられている部分の外周面が下側収容部38の内周面に押し当てられることとなる。その結果、スプリングピン50における下側収容部38に嵌め入れられている部分の外周面と下側収容部38の内周面との間にスプリングピン50の軸方向の変位を阻止する方向に作用する摩擦力を発生させることが可能となる。
そして、上述の如く、スプリングピン50が下側収容部38に嵌め入れられた状態からスプリングピン50を摩擦力に抗して更に嵌め入れることにより、図14に示されているように、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入された状態となる。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入された状態で、スプリングピン50における本体側筒部46に嵌め入れられている部分に対しても、スプリングピン50を締める力が作用することとなる。これにより、スプリングピン50が元の形状に戻ろうとする力(復元力)が本体側筒部46に作用することとなる。その結果、スプリングピン50における本体側筒部46に嵌め入れられている部分の外周面と本体側筒部46の内周面との間にスプリングピン50の軸方向への変位を阻止する方向に作用する摩擦力を発生させることが可能となる。
このことから明らかなように、本実施形態では、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入された挿入状態で、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32の両方に嵌められて固定されている。そして、本実施形態では、スプリングピン50における本体側筒部46に嵌め入れられている部分の外周面と本体側筒部46の内周面との間に発生する摩擦力により、基板ケース26を裏側カバー部材44から離隔させる方向への回動、即ち、基板ケース26と裏側カバー部材44の固定状態を解除する方向への回動が阻止されて、基板ケース26と裏側カバー部材44の固定状態が維持されることとなる。その結果、裏側カバー部材44に対して一軸回りに回動可能に組み付けられた基板ケース26を裏側カバー部材44から分離すること、即ち、基板ケース26の裏側カバー部材44に対する組付状態の解除を阻止することが可能となる。
このことから明らかなように、本実施形態では、基板ケース26に対して一体形成されたケース側筒部32と、裏側カバー部材44に対して一体形成された本体側筒部46と、これらケース側筒部32と本体側筒部46とに跨って挿入されるスプリングピン50とを含んで、基板ケース組付状態解除阻止機構としての解除阻止機構60が構成されているのである。
なお、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入された挿入状態で、スプリングピン50の軸方向一方の端部はケース側筒部32内に位置せしめられていると共に、スプリングピン50の軸方向他方の端部は本体側筒部46内に位置せしめられている。
また、本実施形態では、図13に示されている状態から更にスプリングピン50を嵌め入れる際において、スプリングピン50に固定された組付ピン54における板状片56の長手方向両端が、上側収容部34における長手方向(図13における左右方向)で対向位置せしめられる一対の対向壁部62,62に対して摺動せしめられるようになっている。
そこにおいて、本実施形態では、一対の対向壁部62,62の対向面間距離が、上側収容部34の上側開口から底壁へと行くに従って次第に短くなるようにされている。これにより、スプリングピン50に固定された組付ピン54における板状片56の長手方向両端は、上側収容部34の底壁側に行くに従って次第に上側収容部34の上側開口側への反りが大きくなるようになっている。
そして、本実施形態では、板状片56が上側収容部34の底壁に到達すると、板状片56の長手方向両端部のそれぞれが、上側収容部34の上側開口側に反った状態から元の状態に戻ると共に、各対向壁部62の底壁付近に形成された開口穴64に入り込むようになっている。その結果、板状片56の長手方向両端部のそれぞれが、各対向壁部62に形成された開口穴64の内周面66(特に、スプリングピン50の嵌入方向とは反対側に位置する上側開口側の面)に係止されることにより、組付ピン54の上側収容部34の上側開口側への変位、延いては、スプリングピン50の軸方向上方への変位、即ち、スプリングピン50の挿入方向とは反対の方向への変位が阻止されることとなる。
なお、本実施形態では、スプリングピン50がケース側筒部32に嵌め入れられて、板状片56の上面がケース側筒部32の上端面と同じ高さに位置せしめられた状態下において、図15に示されているように、板状片56における幅方向両端と上側収容部34との間に隙間が形成されるようになっている。
特に、本実施形態では、図面上では必ずしも明らかではないが、板状片56の上面がケース側筒部32(上側収容部34)の上端面と同じ高さに位置せしめられた状態から板状片56の長手方向両端のそれぞれが開口穴64,64に入り込むまでの間において、板状片56における幅方向両端と上側収容部34との間に隙間が形成されるようになっている。これにより、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入された状態に至るまでの間において、板状片56の長手方向両端のみが上側収容部34の上側開口側に反るようになっている。その結果、スプリングピン50がケース側筒部32に嵌め入れられた状態からスプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入された状態に至るまでの抵抗を小さくすることが可能となる。
なお、図面上では明示されていないが、本実施形態では、同一中心軸上に位置せしめられたケース側筒部32と本体側筒部46の組み合わせのうち、何れか一つの組み合わせにおいてのみ、図14に示されているように、スプリングピン50がケース側筒部32と本体側筒部46の両方に嵌め入れられている一方、その他の組み合わせにおいては、図13に示されているように、スプリングピン50がケース側筒部32のみに嵌め入れられている。
また、本実施形態では、スプリングピン50はケース側筒部32と本体側筒部46の両方に対して嵌着固定されるようになっているが、ケース側筒部32を基板ケース26に連結している取付片40,40をニッパー等で切断して、ケース側筒部32を基板ケース26から分離することにより、基板ケース26の裏側カバー部材44に対する一軸回りの回動、即ち、基板ケース26の裏側カバー部材44に対する固定状態を解除する方向への回動が可能となる。
このような構造とされた解除阻止機構60においては、裏側カバー部材44に対して基板ケース26が一軸回りで回動可能に組み付けられた状態で、同一中心軸線上に位置せしめられた本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入されるスプリングピン50が、本体側筒部46とケース側筒部32のそれぞれに対して嵌められて固定されている。
そこにおいて、本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入されるスプリングピン50は、周方向の一部で分断された筒形状とされて、軸直角方向にばね作用を生ぜしめるようになっていることから、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入された状態で、ケース側筒部32によって及ぼされる、スプリングピン50を締める力の反力がケース側筒部32に及ぼされるようになっていると共に、本体側筒部46によって及ぼされる、スプリングピン50を締める力の反力が本体側筒部46に及ぼされるようになっている。
これにより、スプリングピン50におけるケース側筒部32に嵌め入れられている部分の外周面とケース側筒部32の内周面との間においてスプリングピン50の軸方向への変位を妨げる方向に作用する摩擦力が発生することとなると共に、スプリングピン50における本体側筒部46に嵌め入れられている部分の外周面と本体側筒部46の内周面との間においてスプリングピン50の軸方向への変位を妨げる方向に作用する摩擦力が発生することとなる。
従って、上述の如き構造とされた解除阻止機構60においては、ケース側筒部32や本体側筒部46に成形時の寸法誤差があったり、稼動中のパチンコ機10が発する熱等による基板ケース26の周辺温度の変化に起因して、ケース側筒部32や本体側筒部46に変形があったとしても、基板ケース26と裏側カバー部材44の安定した固定状態を有利に実現することが可能となり、その結果、基板ケース26と裏側カバー部材44の組付状態の解除を有利に阻止することが可能となる。
そこにおいて、スプリングピン50がケース側筒部32と本体側筒部46とに跨って挿入された状態で、板状片56の長手方向両端のそれぞれが、開口穴64に嵌め込まれるようになっていることから、スプリングピン50が軸方向上方、即ち、挿入方向とは反対側の方向となる抜け方向に変位しようとした場合に、板状片56の長手方向両端のそれぞれを、開口穴64の内周面66に対してスプリングピン50の挿入方向とは反対側の面に係止させることが可能となる。これにより、例えば、本体側筒部46の底壁部47に穴を開ける等して、スプリングピン50を挿入方向とは反対の方向に押し戻そうとしても、板状片56の長手方向の各端部が開口穴64の内周面66に対して係止されることにより、スプリングピン50の挿入方向とは反対側の方向への変位を阻止することが可能となる。その結果、基板ケース26と裏側カバー部材44の安定した固定状態を一層有利に実現することが可能となり、基板ケース26と裏側カバー部材44の組付状態の解除を一層有利に阻止することが可能となる。
また、本実施形態では、スプリングピン50に固定された組付ピン54における板状片56をスプリングピン50の軸方向上方から見た場合に、板状片56がスプリングピン50を覆い隠すようになっていることから、スプリングピン50を嵌め入れる際に力を加えることが出来る面積を有利に確保することが可能となり、その結果、スプリングピン50を挿入する際の作業効率を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、挿入軸58が板状片56の中央部分に突出形成されていることから、スプリングピン50が本体側筒部46とケース側筒部32とに跨って挿入されるまでの過程における板状片56の長手方向両端の反りを実現することが可能となる。
更にまた、本実施形態では、本体側筒部46が底壁部47を備えた有底円筒形状とされていることから、本体側筒部46の底壁部47に穴を開ける等しない限り、スプリングピン50が本体側筒部46の側から引き抜けないようになっており、しかも、スプリングピン50と本体側筒部46との間やスプリングピン50とケース側筒部32との間において、スプリングピン50の引き抜き方向に対して逆らう方向に摩擦力が働くようになっていることから、スプリングピン50の筒部32,46からの引き抜きを有利に阻止することが可能となり、その結果、基板ケース26と裏側カバー部材44の固定状態の更なる安定化を図ることが可能となり、基板ケース26と裏側カバー部材44の組付状態の解除をより一層有利に阻止することが可能となる。
特に、本実施形態では、本体側筒部46が遊技盤側に突出するように設けられていることから、本体側筒部46の底壁部47に穴を開けること自体を困難にすることが可能となり、基板ケース26と裏側カバー部材44の固定状態のより一層の安定化を図ることが可能となる。
次に、本発明の第二の実施形態としての解除阻止機構72について説明する。なお、以下に記載の第二の実施形態と第三の実施形態において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
図16には、第二の実施形態において採用される基板ケース68が裏側カバー部材44に対して組み付けられて固定された状態が示されている。本実施形態で採用されている基板ケース68は、第一の実施形態で採用されている基板ケース(26)に比して、ケース側筒部32が設けられている位置が異なっている。即ち、本実施形態で採用されている基板ケース68においては、ケース側筒部32が基板ケース68の長手方向一端側の底面に対して一体形成されているのである。特に、本実施形態では、ケース側筒部32の中心軸線が基板ケース68の長手方向に延びるようになっている。
このような構造とされた基板ケース68は、第一の実施形態と同様に、長手方向他端側に設けられた回動軸42回りに回動可能な状態で、裏側カバー部材44に対して組み付けられている。
そこにおいて、本実施形態では、基板ケース68が裏側カバー部材44に対して重ね合わされた状態で、ケース側筒部32が、裏側カバー部材44に形成された段差部70内に位置せしめられるようになっている。そして、ケース側筒部32が段差部70内に位置せしめられた状態で、ケース側筒部32と対応する位置に対して、本体側筒部46が一体形成されている。特に本実施形態では、上述の如く、ケース側筒部32が段差部70内に位置せしめられた状態で、第一の実施形態と同様に、ケース側筒部32と本体側筒部46が同一中心軸線上に位置せしめられるようになっている。
そして、上述の如く、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられることにより、本体側筒部46の内部空間48とケース側筒部32の内部空間36がスプリングピン50の挿入を許容する位置にあることとなる。
このことから明らかなように、本実施形態においても、裏側カバー部材44に対して基板ケース68が組み付けられた状態で、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸上に位置せしめられることにより、本体側筒部46の内部空間48とケース側筒部32の内部空間36が繋がった状態とされているのである。そして、本実施形態では、本体側筒部46とケース側筒部32に共通の中心軸線が延びる方向が、基板ケース68の裏側カバー部材44に対する組付状態を解除する解除方向に交差していることに加えて、基板ケース68が裏側カバー部材44に対して回動する際にケース側筒部32が描く円弧に接する接線が延びる方向に対しても交差している。なお、本実施形態でも、上述の如く、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられた状態で、本体側筒部46の開口端面とケース側筒部32における下側収容部38の下端面との間には、隙間が形成されている。
そして、上述の如く同一中心軸線上に位置せしめられたケース側筒部32と本体側筒部46とに跨るようにして、スプリングピン50が挿入されるようになっている。そこにおいて、本実施形態では、スプリングピン50はケース側筒部32(下側収容部38)だけに嵌着固定されるようになっている。
そして、このようにして、ケース側筒部32と本体側筒部46とに跨って挿入されたスプリングピン50がケース側筒部32に嵌着固定されることにより、基板ケース68の裏側カバー部材44に対する一軸回りの回動がスプリングピン50によって阻止されることとなる。
このことから明らかなように、本実施形態においても、基板ケース68に対して一体形成されたケース側筒部32と、裏側カバー部材44に対して一体形成された本体側筒部46と、これらケース側筒部32と本体側筒部46とに跨って挿入されるスプリングピン50とを含んで、解除阻止機構72が構成されているのである。
従って、本実施形態の解除阻止機構72においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
続いて、本発明の第三の実施形態としての解除阻止機構74について説明する。図17には、本実施形態で採用されている基板ケース76が裏側カバー部材44に組み付けられて固定された状態が示されている。本実施形態で採用されている基板ケース76は、第一の実施形態で採用されている基板ケース(26)に比して、幅方向で対向位置せしめられる一対の側壁部分のそれぞれに対して長手方向の全長に亘って略一定の断面形状で延びるスライド突起78が一体形成された構造とされている。
このような構造とされた基板ケース76は、図18にも示されているように、裏側カバー部材44の表面に設けられた一対のガイドレール80,80に沿って一対のスライド突起78.78をスライド変位せしめることにより、裏側カバー部材44に対して組み付けられるようになっている。なお、本実施形態では、一対のガイドレール80,80の長手方向他端側(図17における右側)において、ストッパ82が設けられており、それによって、基板ケース76の長手方向他端側へのスライド変位が制限されるようになっている。
そして、本実施形態では、基板ケース76がストッパ82に当接するまでスライド変位せしめられた状態で、裏側カバー部材44においてケース側筒部32に対応する位置に本体側筒部46が一体形成されている。特に本実施形態では、上述の如く、基板ケース76が裏側カバー部材44に対して組み付けられた状態で、ケース側筒部32と本体側筒部46が同一中心軸線上に位置せしめられるようになっている。
そして、上述の如く、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられることにより、本体側筒部46の内部空間48とケース側筒部32の内部空間36がスプリングピン50の挿入を許容する位置にあることとなる。
このことから明らかなように、本実施形態においても、裏側カバー部材44に対して基板ケース76が組み付けられた状態で、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸上に位置せしめられることにより、本体側筒部46の内部空間48とケース側筒部32の内部空間36が繋がった状態とされているのである。そして、本実施形態でも、本体側筒部46とケース側筒部32に共通の中心軸線が延びる方向が、基板ケース68の裏側カバー部材44に対する組付状態を解除する解除方向に対して交差しているのである。なお、図面上では明示されていないが、本実施形態でも、上述の如く、本体側筒部46とケース側筒部32が同一中心軸線上に位置せしめられた状態で、本体側筒部46の開口端面とケース側筒部32における下側収容部38の下端面との間には、隙間が形成されている。
そして、上述の如く、同一中心軸線上に位置せしめられたケース側筒部32と本体側筒部46とに跨るようにして、スプリングピン50が挿入されるようになっている。そこにおいて、本実施形態では、スプリングピン50はケース側筒部32(下側収容部38)だけに嵌着固定されるようになっている。
そして、このようにして、ケース側筒部32と本体側筒部46とに跨って挿入されたスプリングピン50がケース側筒部32に嵌着固定されることにより、基板ケース76の裏側カバー部材44に対するスライド変位がスプリングピン50によって阻止されることとなる。
このことから明らかなように、本実施形態でも、基板ケース76に対して一体形成されたケース側筒部32と、裏側カバー部材44に対して一体形成された本体側筒部46と、これらケース側筒部32と本体側筒部46とに跨って挿入されるスプリングピン50とを含んで、解除阻止機構74が構成されているのである。
従って、本実施形態の解除阻止機構74においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記第一乃至第三の実施形態における組付ピン54は、必ずしも必要なものではない。また、前記第一乃至第三の実施形態におけるスプリングピン50の軸方向端部外側の角部に対する角取りは、必ずしも必要なものではない。
また、スプリングピンにおける周方向で分断されている部分は、前記第一乃至第三の実施形態のように、蛇行している必要はなく、真っ直ぐ延びていても良い。更に、スプリングピンは、板材を一周以上に巻いた構造であっても良い。
更にまた、周方向で分断された筒状のスプリングピンに対して、スプリングピンの形成材料よりも硬度が低い材料で形成された挿入部材を挿入固定しても良い。これにより、スプリングピンにおいて周方向で分断されている部分の離隔距離を有利に確保することが可能となり、その結果、スプリングピンの軸直角方向へのばね作用を有利に得ることが可能となる。なお、挿入部材の形成材料としては、例えば、硬質ゴムやシリコーン,セラミックス,ウレタン等が採用される。
また、前記第一の実施形態において、スプリングピン50は本体側筒部46だけに嵌めて固定されるようになっていても良い。更にまた、前記第二及び第三の実施形態において、スプリングピン50は、本体側筒部46だけに嵌めて固定されるようになっていても良いし、本体側筒部46とケース側筒部32の両方に対して嵌めて固定されるようになっていても良い。
また、前記第一乃至第三の実施形態において、解除阻止機構60,72,74が基板ケース26,68,76のロック機構を兼ねるようにしても良い。
加えて、前記実施形態では、基板ケースの遊技機本体に対する組付状態の解除を阻止する場合について、本発明を適用したものの一具体例が示されていたが、本発明は、例えば、裏側カバー部材44と遊技盤との組付状態の解除を阻止する場合や、図示はしていないが、遊技機裏側の各種部品を覆う裏カバーと中枠14との組付状態の解除を阻止する場合、更には、賞球払出装置や球タンク等が取り付けられる機構板と中枠14との組付状態の解除を阻止する場合等に対して適用することも、勿論可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。