以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての遊技機用基板ケース10が示されている。この遊技機用基板ケース10は、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた構造とされており、その内部に制御基板16を収容した状態で、遊技機の裏側の適当な位置に取り付けられるようになっている。
より詳細には、ケース本体12は、ポリカーボネート(PC)等の透明な硬質の合成樹脂材料によって形成されており、図2乃至4に示されているように、全体として、底板18の外周縁部に沿って全周に亘って延びる周壁20が立設されて、上側に開口する開口部22が形成された構造とされている。
そこにおいて、本実施形態では、ケース本体12の長手方向(図2における左右方向)で対向位置せしめられた一対の長手方向対向壁部24,24のそれぞれに対して、上方に開口して長手方向対向壁部24の長手方向(ケース本体12の幅方向、即ち、図2における上下方向)に延びるガイド溝26が形成されている。
また、ケース本体12の幅方向一方(図2における下方)の側壁部には、複数(本実施形態では、八つ)の本体側筒部28が一体形成されている。特に、本実施形態では、これら八つの本体側筒部28は、ケース本体12の長手方向中央を挟んで、長手方向一方の側と他方の側に、四つずつまとめて設けられている。
そこにおいて、本実施形態では、各本体側筒部28は、略一定の円形断面でストレートに延びる本圧入孔としての中心穴27を備えており、全体として、有底円筒形状を呈している。そして、各本体側筒部28の周壁部分が、ケース本体12の幅方向一方の側壁部に対して、取付片30によって取り付けられている。これにより、各本体側筒部28がケース本体12の外周縁部としての周壁20に対して一体形成されているのである。
また、本実施形態では、各本体側筒部28の開口方向となる中心穴27が延びる方向は、ケース本体12の開口部22の開口方向(底板18に対して略直交する方向)に対して略平行とされている。
また、本実施形態では,各本体側筒部28の上方において、側壁部分がU字断面で本体側筒部28の開口方向(軸方向)に延びるように形成された下段収容部32が一体形成されている。そして、下段収容部32の底壁に形成された連通孔によって、下段収容部32と本体側筒部28が連通せしめられている。
更にまた、本実施形態では、各下段収容部32の上方において、側壁部分がコ字状断面で本体側筒部28の開口方向(軸方向)に延びるように形成された上段収容部34が一体形成されている。そして、上段収容部34の底壁に形成された切欠によって、上段収容部34と下段収容部32が連通せしめられている。なお、本実施形態では、隣り合う二つの上段収容部34は、隣り合う方向に位置する側壁部(ケース本体12の幅方向に延びる側壁部)を共有している。
このような構造とされたケース本体12に組み付けられる蓋部材14は、ケース本体12と同様に、ポリカーボネート(PC)等の透明な硬質の合成樹脂材料によって形成されており、図5乃至7に示されているように、全体として、天板36の外周縁部に沿って延びる周壁37が立設されて、下側に開口する開口部が形成された構造とされている。なお、本実施形態の天板36は、その幅方向(図5中の上下方向)中間部分において傾斜部分が設けられており、それによって、幅方向の両端において天板36から開口端までの距離が異ならされている。
また、蓋部材14の幅方向一方の側壁部には、複数(本実施形態では、八つ)の蓋側筒部38が一体形成されている。特に、本実施形態では、これら八つの蓋側筒部38は、蓋部材14の長手方向中央を挟んで、長手方向一方の側と他方の側に、四つずつまとめて設けられている。
そこにおいて、本実施形態では、各蓋側筒部38は、矩形断面で開口する枠体乃至は筒体形状とされた上側収容部40の底壁に対して、略一定の断面でストレートに延びる予備圧入孔としての中心孔39を備えており、全体として円筒形状を呈する下側収容部42が、同一中心軸線上で軸方向下方に突設された構造とされており、これら上側収容部40と下側収容部42は、上側収容部40の底壁に形成された連通孔を通じて、相互に連通せしめられている。
特に、本実施形態では、各蓋側筒部38の開口方向(中心軸線が延びる方向)、即ち、上側収容部40や下側収容部42の開口方向となる中心孔39が延びる方向が、蓋部材14の開口方向(天板36に略直交する方向)に対して略平行とされている。
このような構造とされた蓋側筒部38は、上側収容部40が一対の取付片44,44によって蓋部材14における幅方向一方の側壁部に取り付けられている。これにより、各蓋側筒部38が蓋部材14の外周縁部としての周壁37に対して一体形成されているのである。
続いて、上述の如き構造とされた蓋部材14を、ケース本体12に対して組み付ける方法について、説明する。先ず、蓋部材14の長手方向(図5における左右方向)で対向位置せしめられる一対の長手方向対向壁部46,46を、ケース本体12の長手方向両端に形成された一対のガイド溝26,26に嵌め入れる。その際、図8に示されているように、ケース本体12における各ガイド溝26内に設けられた係止片48,48は、蓋部材14における各長手方向対向壁部46に形成された係止用切欠50,50内に収容位置せしめられるようになっている。なお、本実施形態の係止片48,48は、それぞれ、各ガイド溝26の側壁部分に対して一体的に設けられている。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如く、蓋部材14における一対の長手方向対向壁部46,46がケース本体12における一対のガイド溝26,26に嵌め入れられた状態で、ケース本体12の底板18と蓋部材14における天板36は、天板36における傾斜部分を除いて略平行とされている。
また、図面上では明示されていないが、本実施形態では、上述の如く、ケース本体12に設けられたガイド溝26,26に対して蓋部材14における長手方向対向壁部46,46を嵌め入れる前において、制御基板16は、そこに実装されているコネクタ52が蓋部材14に形成された窓54から外部に突出した状態で、蓋部材14に対してネジ止めされるようになっている。なお、制御基板16は、所定の検査機関による検査の対象となる制御基板(具体的には、例えば、遊技機の作動を全体的に制御する主制御基板や、かかる主制御基板からの制御信号に基づいて賞媒体の払い出しを制御する払出制御基板)等である。
このような状態から係止片48,48が係止用切欠50,50に係止される方向(ケース本体12の開口部22を蓋部材14で覆蓋する方向、即ち、蓋を閉める方向))へと蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位(本実施形態では、底板18に対して天板36を平行移動させるようなスライド変位)せしめることにより、図9に示されているように、係止片48,48が係止用切欠50,50に係止されるようになっている。これにより、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態となって、図1に示されているように、ケース本体12の開口部22が蓋部材14で覆蓋されることとなる。その結果、蓋部材14にネジ止めされた制御基板16が開口部22を通じてケース本体12に入れられることとなり、制御基板16がケース本体12と蓋部材14によって形成された収容空間内に位置せしめられることとなる。
なお、本実施形態では、上述の如く、ケース本体12の開口部22が蓋部材14で覆蓋された状態で、図1に示されているように、ケース本体12の幅方向他方の側壁部に形成された突起56が、蓋部材14における幅方向他方の側壁部に形成された挿通孔58に嵌め入れられるようになっている。
また、上述の如く、蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位せしめることにより、図10に示されているように、蓋側筒部38における下側収容部42が本体側筒部28の上方に設けられた下段収容部32内に位置せしめられると共に、蓋側筒部38における上側収容部40が下段収容部32の上方に形成された上段収容部34内に位置せしめられるようになっている。これにより、蓋側筒部38と本体側筒部28が、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態で、同一中心軸線上に位置せしめられるようになっている。即ち、蓋部材14において本体側筒部28に対応する位置に蓋側筒部38が設けられているのである。そして、上述の如く、蓋側筒部38と本体側筒部28が同一中心軸線上に位置せしめられることによって、蓋側筒部38の中心孔39と本体側筒部28の中心穴27が後述するスプリングピン60の挿入を許容する位置にあることとなり、その結果、蓋側筒部38の中心孔39と本体側筒部28の中心穴27が実質的に繋がった状態とされているのである。なお、本実施形態では、上述の如く、蓋側筒部38と本体側筒部28が同一中心軸線上に位置せしめられた状態で、蓋側筒部38における下側収容部42の下端面と本体側筒部28に一体形成された下段収容部32の上面との間には、隙間が形成されている。
また、本実施形態では、底板18に対して天板36が平行移動するようにして、蓋部材14がケース本体12に対してスライド変位せしめられることにより、蓋部材14がケース本体12に対して脱着されるようになっていることから、蓋部材14がケース本体12に対して組み付けられた状態で、蓋側筒部38における中心孔39と本体側筒部28における中心穴27の並ぶ方向(中心孔39と中心穴27に共通の中心軸線が延びる方向)が、蓋部材14のケース本体12に対するスライド方向に交差しているのである。
そして、上述の如く、同一中心軸上に位置せしめられた蓋側筒部38における中心孔39と本体側筒部28における中心穴27に対して、固定用ピンとしてのスプリングピン60が圧入されるようになっている。そこにおいて、本実施形態のスプリングピン60は、鉄鋼やばね鋼,ばね用ステンレス鋼等で形成されており、図11及び図12に示されているように、周方向の一部において軸方向に蛇行しながら延びる切り込み62が形成された筒形状とされている。なお、このようなスプリングピン60は、例えば、長手方向両端が鋸歯状に形成された板材を適当な機械や工具を用いて丸めること等によって、有利に形成される。また、本実施形態のスプリングピン60は、その軸方向両端の外側角部に対して、全周に亘って角取りが施されており、それによって、軸方向両端の何れの側からであっても、スプリングピン60の中心孔39と中心穴27への圧入が有利に行われるようになっている。
また、本実施形態では、このようなスプリングピン60に対して組付ピン64が取り付けられている。この組付ピン64は、ABS等の合成樹脂材によって形成されており、図13及び図14に示されているように、全体として矩形平板形状とされた板状片66の中央部分から厚さ方向一方の側に突出する挿入突起としての挿入軸68が一体形成された構造とされている。なお、本実施形態では、板状片66の長手方向両端の下側角部に対して板状片66の幅方向全長に亘って角取りが施されている。これにより、後述する板状片66の上側収容部40内における上側開口から底壁への移動を有利に行うことが可能となる。
このような構造とされた組付ピン64は、図15に示されているように、スプリングピン60の軸方向一方の端から挿入軸68が挿し込まれて固定されることにより、スプリングピン60に対して組み付けられている。そこにおいて、図面上では必ずしも明らかではないが、本実施形態では、このようにして、スプリングピン60に組付ピン64が組み付けられた状態で、スプリングピン60の軸方向上方(組付ピン64が組み付けられた側)から見ると、組付ピン64における板状片66によって、スプリングピン60が覆い隠されるようになっている。
そして、上述の如く、組付ピン64が組み付けられたスプリングピン60は、図16に示されているように、組付ピン64が取り付けられていない軸方向他方の端部側から蓋側筒部38における中心孔39に圧入されるようになっている。なお、図16及び後述する図17において、組付ピン64とスプリングピン60は断面図で示していない。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如くスプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39に圧入された状態下において、スプリングピン60の軸方向一端側に組み付けられた組付ピン64における板状片66は、蓋側筒部38における上側収容部40に収容位置せしめられている。
また、本実施形態では、板状片66が上側収容部40に収容位置せしめられた状態で、板状片66の上面が、蓋側筒部38における上側収容部40の上端面と略同じ高さに位置せしめられている。
更にまた、上述の如く、スプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39に圧入された状態で、スプリングピン60の軸方向他端は、蓋側筒部38における下側収容部42(中心孔39)内に位置せしめられている。即ち、スプリングピン60の軸方向他端と、スプリングピン60に挿入固定された挿入軸68の突出端は、本体側筒部28の上方に設けられた下段収容部32の底面よりも蓋側筒部38側に位置せしめられており、本体側筒部28における中心穴27内に位置せしめられていないのである。
そして、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39に圧入されることにより、スプリングピン60における中心孔39に圧入されている部分に対して、スプリングピン60を締める力が作用することとなる。これにより、スプリングピン60が元の形状に戻ろうとする力(復元力)が中心孔39の内周面に作用することとなる。その結果、スプリングピン60における中心孔39に圧入されている部分の外周面が中心孔39の内周面に押し当てられることとなり、スプリングピン60における中心孔39に圧入されている部分の外周面と中心孔39の内周面との間にスプリングピン60の軸方向への変位を妨げる方向に摩擦力が発生することとなる。
従って、本実施形態では、スプリングピン60における中心孔39に圧入されている部分の外周面と中心孔39の内周面との間に発生する静止摩擦力に基づいて、上述の如きスプリングピン60の蓋側筒部38への収容状態が実現されるようになっている。その結果、ケース本体12と蓋部材14の組付状態の解除が許容されているのである。
そして、上述の如く、スプリングピン60が中心孔39に圧入された状態からスプリングピン60を摩擦力に抗して更に押し込むことにより、図17に示されているように、スプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39と本体側筒部28における中心穴27の両方に圧入された状態となる。これにより、蓋部材14のケース本体12に対するスライド変位方向に交差するようにして、スプリングピン60が配置されることとなり、かかる状態から蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位せしめると、スプリングピン60が中心孔39の内周面と中心穴27の内周面に当接せしめられることとなる。その結果、スプリングピン60によって蓋部材14のケース本体12に対するスライド変位が阻止されて、ケース本体12と蓋部材14の固定状態が実現されるようになっている。
そこにおいて、スプリングピン60に及ぼされる締付力は、スプリングピン60における中心孔39に圧入されている部分に及ぼされる締付力よりも、スプリングピン60における中心穴27に圧入されている部分に及ぼされる締付力のほうが大きく設定されている。即ち、スプリングピン60の外周面と中心孔39の内周面との間に発生する摩擦力よりも、スプリングピン60の外周面と中心穴27の内周面との間に発生する摩擦力のほうが大きく設定されているのである。その結果、上述の如く、中心孔39に圧入保持されたスプリングピン60を更に押し込む場合のほうが、スプリングピン60を中心孔39に押し込む場合よりも、より大きな力が必要とされているのである。因みに、本実施形態では、図面上では必ずしも明らかではないが、中心孔39の内径寸法のほうが中心穴27の内径寸法よりも僅かに大きく設定されており、それによって、上述の如きスプリングピン60への締付力の差が生じるようになっている。
また、本実施形態では、上述の如く、スプリングピン60が中心孔39と中心穴27に圧入された状態で、スプリングピン60の軸方向一方の端部は蓋側筒部38内に位置せしめられていると共に、スプリングピン60の軸方向他方の端部は本体側筒部28内に位置せしめられている。
なお、図面上では明示されていないが、本実施形態では、四つで一つのグループとされた本体側筒部28と蓋側筒部38の組み合わせのうち、何れか一つの組み合わせにおいて、図17に示されているように、スプリングピン60が中心孔39と中心穴27に圧入されている一方、その他の組み合わせにおいて、図16に示されているように、スプリングピン60が中心孔39だけに圧入されている。
更にまた、本実施形態では、図16に示されている状態から更にスプリングピン60を圧入する際において、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66の長手方向両端が、上側収容部40における長手方向(図7や図16における左右方向)で対向位置せしめられる一対の対向壁部70,70に対して摺動せしめられるようになっている。
そこにおいて、本実施形態では、一対の対向壁部70,70の対向面間距離が、上側収容部40の上側開口から底壁へと行くに従って次第に短くなるようにされている。これにより、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66の長手方向両端は、上側収容部40の底壁側に行くに従って次第に上側収容部40の上側開口側への反りが大きくなるようになっている。
そして、板状片66が上側収容部40の底壁に到達すると、板状片66の長手方向両端部のそれぞれが、上側収容部40の上側開口側に反った状態から元の状態に戻ると共に、各対向壁部70の底壁付近に形成された開口穴72に入り込むようになっている。その結果、板状片66の長手方向両端部のそれぞれが、各対向壁部70に形成された開口穴72の内周面74(特に、スプリングピン60の圧入方向とは反対側に位置する上側開口側の面)に係止されることにより、組付ピン64の上側収容部40の上側開口側への変位、延いては、スプリングピン60の軸方向上方への変位(抜け方向となる圧入方向とは反対方向への変位)が阻止されることとなる。
なお、本実施形態では、図16に示された状態、即ち、スプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39だけに圧入されて、板状片66の上面が蓋側筒部38の上端面と同じ高さに位置せしめられた状態で、図18に示されているように、板状片66における幅方向両端と上側収容部40との間には、それぞれ、隙間が形成されている。
特に、本実施形態では、図面上では必ずしも明らかではないが、板状片66の上面が蓋側筒部38(上側収容部40)の上端面と同じ高さに位置せしめられた状態から板状片66の長手方向両端のそれぞれが開口穴72,72に入り込むまでの間において、板状片66における幅方向両端と上側収容部40との間には、それぞれ、隙間が形成されるようになっている。これにより、スプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39と本体側筒部28における中心穴27との両方に圧入された状態に至るまでの間において、板状片66の長手方向両端のみが上側収容部40の上側開口側に反るようになっている。その結果、スプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39に圧入された状態からスプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39と本体側筒部28における中心穴27との両方に圧入された状態に至るまでの抵抗を小さくすることが可能となる。
このような構造とされた遊技機用基板ケース10においては、スプリングピン60が蓋側筒部38における中心孔39に圧入されて、その状態が維持されるようになっていることから、スプリングピン60が蓋部材14のケース本体12に対するスライド変位を阻止する機能を発揮する際に圧入される中心孔39を巧く利用して、将来使用するスプリングピン60を準備しておくことが可能となる。
従って、上述の如き構造とされた遊技機用基板ケース10においては、将来使用するスプリングピン60を準備しておくスペースを有利に確保することが可能となる。
また、中心穴27に圧入されているスプリングピン60に及ぼされる締付力よりも中心孔39に圧入されているスプリングピン60に及ぼされる締付力のほうが小さくなるように設定されていることから、スプリングピン60を中心孔39だけに圧入して、スプリングピン60によるスライド変位阻止機能が発揮されていない状態にするために要する力のほうが、スプリングピン60によるスライド変位阻止機能が発揮されている状態にするために要する力よりも小さくなる。従って、将来使用するスプリングピン60を中心孔39に圧入して準備する作業を容易に行うことが可能となる。
また、本実施形態では、固定用ピンとしてスプリングピン60が採用されていることから、スプリングピン60において中心孔39に圧入されている部分に及ぼされる、スプリングピン60を締める反力が、中心孔39の内周面に及ぼされると共に、スプリングピン60において中心穴27に圧入されている部分に及ぼされる、スプリングピン60を締める反力が、中心穴27の内周面に及ぼされる。これにより、スプリングピン60の外周面と中心孔39や中心穴27の内周面との間に発生する摩擦力を有利に確保することが可能となる。その結果、中心孔39や中心穴27に成形時の寸法誤差があったり、遊技機用基板ケース10の周辺温度の変化があった場合であっても、スプリングピン60の軸方向への変位が有利に阻止されることとなり、スプリングピン60が中心孔39と中心穴27に圧入された状態の安定化を図ることが可能となる。
従って、本実施形態では、遊技機用基板ケース10の安定した封止状態を有利に実現することも可能となる。
また、本実施形態では、本体側筒部28が有底円筒形状とされていることから、本体側筒部28の底壁に穴を開ける等しない限り、スプリングピン60が本体側筒部28の側から引きぬけないようになっており、しかも、スプリングピン60の外周面と中心孔39や中心穴27の内周面との間において、スプリングピン60の引き抜き方向に対して逆らう方向に摩擦力が働くようになっていることから、スプリングピン60の引き抜きを有利に阻止することが可能となり、その結果、遊技機用基板ケース10の封止状態の更なる安定化を図ることが可能となる。
加えて、本実施形態では、スプリングピン60が中心孔39と中心穴27の両方に圧入された状態で、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66の長手方向両端が、上側収容部40における一対の対向壁部70,70の底壁側に形成された開口穴72,72に嵌め込まれるようになっていることから、板状片66の長手方向の各端部が開口穴72の内周面74に対して係止されるようにすることが可能となる。これにより、例えば、本体側筒部28の底壁に穴を開ける等して、スプリングピン60を圧入方向とは反対の方向に押し戻そうとしても、板状片66の長手方向の各端部が開口穴72の内周面74に対して係止されることにより、スプリングピン60の圧入方向とは反対側の方向への変位を阻止することが可能となる。その結果、遊技機用基板ケース10の安定した封止状態を一層有利に実現することが出来る。
また、本実施形態では、スプリングピン60に固定された組付ピン64における板状片66をスプリングピン60の軸方向上方から見た場合に、板状片66がスプリングピン60を覆い隠すようになっていることから、スプリングピン60を圧入する際に力を加えることが出来る面積を有利に確保することが可能となり、その結果、スプリングピン60の圧入作業の作業効率を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、挿入軸68が板状片66の中央部分に突出形成されていることから、スプリングピン60が中心孔39と中心穴27の両方に圧入されるまでの過程における板状片66の長手方向両端の反りを有利に実現することが可能となる。
また、本実施形態では、蓋側筒部38を蓋部材14の周壁37に連結している取付片44,44をニッパー等で切断することにより、蓋側筒部38を蓋部材14から分離するだけで、蓋部材14のケース本体12に対するスライド変位が可能になる。これにより、スプリングピン60を中心孔39や中心穴27から抜き取る等の面倒な作業をしなくても良くなる。その結果、遊技機用基板ケース10の開蓋作業を速やかに行うことが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、スプリングピン60の代わりに、中実ピンを採用することも可能である。また、スプリングピン60が圧入される中心孔39が形成された蓋側筒部38に加えて、スプリングピン60が圧入される中心穴27が形成された本体側筒部28を遊技機用基板ケース10から分離可能にして、遊技機用基板ケース10を開封した痕跡が残るようにしても良い。
さらに、前記実施形態における組付ピン64は、必ずしも必要なものではない。また、前記実施形態におけるスプリングピン60の軸方向端部外側の角部に対する角取りは、必ずしも必要なものではない。
また、スプリングピンにおける周方向で分断されている部分は、前記実施形態のように、蛇行している必要はなく、真っ直ぐ延びていても良い。更に、スプリングピンは、板材を一周以上に巻いた構造であっても良い。
更にまた、周方向で分断された筒状のスプリングピンに対して、スプリングピンの形成材料よりも硬度が低い材料で形成された挿入部材を挿入固定しても良い。これにより、スプリングピンにおいて周方向で分断されている部分の離隔距離を有利に確保することが可能となり、その結果、スプリングピンの軸直角方向へのばね作用を有利に得ることが可能となる。なお、挿入部材の形成材料としては、例えば、硬質ゴムやシリコーン,セラミックス,ウレタン等が採用される。
さらに、制御基板16は、蓋部材14に対してネジ止めされる必要はなく、制御基板16の適当な位置に形成された穴に対して蓋部材14に設けられた突起を挿し込むことにより、蓋部材14に対して位置決めされているだけであっても良い。
なお、前記実施形態において、下側収容部42の内径寸法が軸方向上端から軸方向下端に行くに従って次第に小さくされていても良い。これにより、スプリングピン60の圧入作業を有利に実現することが可能となる。
また、板状片の板面に直交する方向から見た形状は、円形や楕円形,多角形等が何れも採用され得る。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。