以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての遊技機用基板ケース10が示されている。この遊技機用基板ケース10は、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられて基板収容空間16を有する箱体構造とされており、かかる基板収容空間16に制御基板18を収容した状態で、遊技機の裏側の適当な位置に取り付けられるようになっている。なお、遊技機は、パチンコ機やスロットマシン等である。
より詳細には、ケース本体12は、ポリカーボネート(PC)等の透明な硬質の合成樹脂材料によって形成されており、図2及び図3に示されているように、全体として、底板20の外周縁部に沿って全周に亘って延びる周壁22が立設されて、上側に開口する開口部24が形成された構造とされている。
そこにおいて、本実施形態では、ケース本体12の長手方向(図2における左右方向)で対向位置せしめられた一対の長手方向対向壁部26,26のそれぞれに対して、上方に開口して長手方向対向壁部26の長手方向(ケース本体12の幅方向、即ち、図2における上下方向)に延びるガイド溝28が形成されている。
また、本実施形態では、ケース本体12の幅方向一方(図2における下方)の側壁部30には、複数(本実施形態では、八つ)の本体側筒部36が一体形成されている。特に、本実施形態では、これら八つの本体側筒部36は、ケース本体12の長手方向中央を挟んで、長手方向一方の側と他方の側に、四つずつまとめて設けられている。
そこにおいて、本実施形態では、各本体側筒部36は有底円筒形状とされており、その周壁部分が、側壁部30に対して、取付片38によって取り付けられている。これにより、各本体側筒部36がケース本体12の外周縁部としての周壁22に対して一体形成されているのである。
また、本実施形態では、各本体側筒部36の開口方向(中心軸線が延びる方向)は、ケース本体12の開口部24の開口方向(底板20に対して略直交する方向)に対して略平行とされている。
さらに、本実施形態では,図6にも示されているように、各本体側筒部36の上方において、U字断面で本体側筒部36の開口方向(軸方向)に延びる下段収容部40が一体形成されている。そして、下段収容部40の底壁に形成された連通孔によって、下段収容部40と本体側筒部36が連通せしめられている。
更にまた、本実施形態では、図6にも示されているように、各下段収容部40の上方において、コ字状断面で本体側筒部36の開口方向(軸方向)に延びる上段収容部42が一体形成されている。そして、上段収容部42の底壁に形成された切欠によって、上段収容部42と下段収容部40が連通せしめられている。なお、本実施形態では、隣り合う二つの上段収容部42は、隣り合う方向に位置する側壁部(ケース本体12の幅方向に延びる側壁部)を共有している。
また、本実施形態では、各本体側筒部36の軸方向下方において、抜止筒部44が設けられている。そこにおいて、本実施形態の抜止筒部44は、それぞれ、矩形断面で横方向に開口する枠体乃至は筒体形状とされた外側収容部46の底壁(仕切壁)に対して略一定の断面でストレートに延びる嵌入孔としての中心孔49が形成された円筒形状を呈する内側収容部48が同一中心軸線上でケース本体12側に突設された構造とされており、これら外側収容部46と内側収容部48は、外側収容部46の底壁(仕切壁)に形成された連通孔を通じて、相互に連通せしめられている。
このような構造とされた抜止筒部44は、開口方向(中心軸線が延びる方向)が本体側筒部36の開口方向(中心軸線が延びる方向)に略直交する状態で、且つ、内側収容部48の突出端面(外側収容部46に連結されているほうとは反対側の端面)が側壁部30の外側の壁面に重ね合わせられた状態で、外側収容部46が取付片50によって本体側筒部36に取り付けられている。これにより、各本体側筒部36の軸方向下方に抜止筒部44が設けられている。換言すれば、抜止筒部44が、取付片50と本体側筒部36を介して、ケース本体12の幅方向一方(図2における下方)の側壁部30に一体的に設けられているのである。
そこにおいて、取付片50による本体側筒部36と抜止筒部44の連結は、例えば、ケース本体12に対して別体形成された抜止筒部44を、ケース本体12に対して上述の如き位置に配設し、その状態で、取付片50と本体側筒部36を超音波溶着等によって連結すると共に、取付片50と抜止筒部44の外側収容部46を超音波溶着等によって連結することによって、有利に実現される。なお、本体側筒部36と抜止筒部44を連結する取付片50は、本体側筒部36や抜止筒部44に対して別体形成されている必要はなく、例えば、本体側筒部36と一体的に形成されていても良いし、或いは、抜止筒部44と一体的に形成されていても良い。そして、取付片50が本体側筒部36に一体形成されている場合には、取付片50による本体側筒部36と抜止筒部44の連結は、取付片50と抜止筒部44の外側収容部46を超音波溶着等で連結するだけで良く、また、取付片50が抜止筒部44に一体形成されている場合には、取付片50による本体側筒部36と抜止筒部44の連結は、取付片50と本体側筒部36を超音波溶着等で連結するだけで良く、それによって、溶着作業に要する時間が短くなる。
なお、本実施形態では、本体側筒部36の底壁52と抜止筒部44の内側収容部48との間には、僅かな隙間が形成されているが、抜止筒部44の内側収容部48が本体側筒部36の底壁52に対して接触していても良い。また、抜止筒部44の内側収容部48と本体側筒部36の底壁52を取付片によって連結するようにしても良い。更にまた、抜止筒部44の内側収容部48と側壁部30の間に僅かな隙間が形成されていても良い。また、抜止筒部44の内側収容部48が側壁部30に形成された孔に差し込まれていても良い。更にまた、抜止筒部44の内側収容部48は、横向きの有底円筒形状であっても良い。
このような構造とされたケース本体12に組み付けられる蓋部材14は、ケース本体12と同様に、ポリカーボネート(PC)等の透明な硬質の合成樹脂材料によって形成されており、図4及び図5に示されているように、全体として、天板54の外周縁部に沿って延びる周壁56が立設されて、下側に開口する開口部が形成された構造とされている。なお、本実施形態の天板54は、その幅方向(図4中の上下方向)中間部分において傾斜部分が設けられており、それによって、幅方向の両端において天板54から開口端までの距離が異ならされている。
また、蓋部材14の幅方向一方の側壁部には、複数(本実施形態では、八つ)の蓋側筒部58が一体形成されている。特に、本実施形態では、これら八つの蓋側筒部58は、蓋部材14の長手方向中央を挟んで、長手方向一方の側と他方の側に、四つずつまとめて設けられている。
そこにおいて、本実施形態では、各蓋側筒部58は、矩形断面で開口する枠体乃至は筒体形状とされた上側収容部60の底壁に対して略一定の断面でストレートに延びる円筒形状とされた下側収容部62が同一中心軸線上で軸方向下方に突設された構造とされており、これら上側収容部60と下側収容部62は、上側収容部60の底壁に形成された連通孔を通じて、相互に連通せしめられている。
このような構造とされた蓋側筒部58は、上側収容部60が一対の取付片64,64によって蓋部材14における幅方向一方の側壁部に取り付けられている。これにより、各蓋側筒部58が蓋部材14の外周縁部としての周壁56に対して一体形成されているのである。
特に、本実施形態では、上述の如く蓋側筒部58の上側収容部60が一対の取付片64,64によって蓋部材14における幅方向一方の側壁部に取りつけられた状態で、蓋側筒部58の開口方向(中心軸線が延びる方向)、即ち、上側収容部60と下側収容部62の開口方向(中心軸線が延びる方向)が、蓋部材14の開口方向(天板54に略直交する方向)に対して略平行とされている。
続いて、上述の如き構造とされた蓋部材14を、ケース本体12に対して組み付ける方法について、説明する。先ず、蓋部材14の長手方向(図4における左右方向)で対向位置せしめられる一対の長手方向対向壁部66,66を、ケース本体12の長手方向両端に形成された一対のガイド溝28,28に嵌め入れる。その際、ケース本体12における各ガイド溝28内に設けられた係止片68,68は、蓋部材14における各長手方向対向壁部66に形成された係止用切欠70,70内に収容位置せしめられるようになっている。なお、本実施形態の係止片68,68は、それぞれ、各ガイド溝28の側壁部分に対して一体的に設けられている。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如く、蓋部材14における一対の長手方向対向壁部66,66がケース本体12における一対のガイド溝28,28に嵌め入れられた状態で、ケース本体12の底板20と蓋部材14における天板54は、天板54における傾斜部分を除いて略平行とされている。
また、図面上では明示されていないが、本実施形態では、上述の如く、ケース本体12に設けられたガイド溝28,28に対して蓋部材14における長手方向対向壁部66,66を嵌め入れる前において、制御基板18は、そこに実装されているコネクタ72が蓋部材14に形成された窓74から外部に突出した状態で、蓋部材14に対してネジ止めされるようになっている。なお、制御基板18は、所定の検査機関による検査の対象となる制御基板(具体的には、例えば、遊技機の作動を全体的に制御する主制御基板や、かかる主制御基板からの制御信号に基づいて賞媒体の払い出しを制御する払出制御基板)等である。
このような状態から係止片68,68が係止用切欠70,70に係止される方向(ケース本体12の開口部24を蓋部材14で覆蓋する方向、即ち、蓋を閉める方向))へと蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位(本実施形態では、底板20に対して天板54を平行移動させるようなスライド変位)せしめることにより、係止片68,68が係止用切欠70,70に係止されるようになっている。これにより、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態となって、図1に示されているように、ケース本体12の開口部24が蓋部材14で覆蓋されることとなる。その結果、蓋部材14にネジ止めされた制御基板18が開口部24を通じてケース本体12に入れられることとなる。
なお、本実施形態では、上述の如く、ケース本体12の開口部24が蓋部材14で覆蓋された状態で、図1に示されているように、ケース本体12の幅方向他方の側壁部に形成された突起75が、蓋部材14における幅方向他方の側壁部に形成された挿通孔76に嵌め入れられるようになっている。
また、上述の如く、蓋部材14をケース本体12に対してスライド変位せしめることにより、図6に示されているように、蓋側筒部58における下側収容部62が本体側筒部36の上方に設けられた下段収容部40内に位置せしめられると共に、蓋側筒部58における上側収容部60が下段収容部40の上方に形成された上段収容部42内に位置せしめられるようになっている。これにより、蓋側筒部58と本体側筒部36が、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態で、同一中心軸線上に位置せしめられるようになっている。即ち、蓋部材14において本体側筒部36に対応する位置に蓋側筒部58が設けられているのである。そして、上述の如く、蓋側筒部58と本体側筒部36が同一中心軸線上に位置せしめられることにより、蓋側筒部58の内部空間78と本体側筒部36の内部空間80が後述する封止スプリングピン82の挿入を許容する位置にあることとなる。このことから明らかなように、本実施形態では、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態で、蓋側筒部58と本体側筒部36が同一中心軸線上に位置せしめられることにより、蓋側筒部58の内部空間78と本体側筒部36の内部空間80が繋がった状態とされているのである。なお、本実施形態では、上述の如く、蓋側筒部58と本体側筒部36が同一中心軸線上に位置せしめられた状態で、蓋側筒部58における下側収容部62の下端面と本体側筒部36に一体形成された下段収容部40の上面との間には、隙間が形成されている。
また、本実施形態では、底板20に対して天板54が平行移動するようにして、蓋部材14がケース本体12に対してスライド変位せしめられることにより、蓋部材14がケース本体12に対して脱着されるようになっていることから、蓋部材14がケース本体12に対して組み付けられた状態で、蓋側筒部58と本体側筒部36の並ぶ方向(これら蓋側筒部58と本体側筒部36に共通の中心軸線が延びる方向)が、蓋部材14のケース本体12に対するスライド方向に略直交しているのである。
そして、上述の如く、同一中心軸上に位置せしめられた本体側筒部36と蓋側筒部58に対して、ロックピンとしての封止スプリングピン82が嵌め入れられるようになっている。そこにおいて、本実施形態の封止スプリングピン82は、鉄鋼やばね鋼,ばね用ステンレス鋼等で形成されており、図7に示されているように、周方向の一部において軸方向に蛇行しながら延びる切り込み84が形成された筒形状とされている。なお、このような封止スプリングピン82は、例えば、長手方向両端が鋸歯状に形成された板材を適当な機械や工具を用いて丸めること等によって、有利に形成される。また、本実施形態の封止スプリングピン82は、その軸方向両端の外側角部に対して、全周に亘って角取りが施されており、それによって、軸方向両端の何れの側からであっても、封止スプリングピン82の本体側筒部36と蓋側筒部58への挿し込みが有利に行われるようになっている。
また、本実施形態では、このような封止スプリングピン82に対して固定ピンとしての組付ピン86が取り付けられている。この組付ピン86は、ABS等の合成樹脂材によって形成されており、図8に示されているように、全体として矩形平板形状とされた板状片88の中央部分から厚さ方向一方の側に突出する挿入軸90が一体形成された構造とされている。換言すれば、挿入軸90の軸方向端部に板状片88が一体形成された構造とされているのである。なお、本実施形態では、板状片88の長手方向両端の下側角部に対して板状片88の幅方向全長に亘って角取りが施されている。これにより、後述する板状片88の上側収容部60内における上側開口から底壁への移動を有利に行うことが可能となる。
このような構造とされた組付ピン86は、図9に示されているように、封止スプリングピン82の軸方向一方の端から挿入軸90が挿し込まれて固定されることにより、封止スプリングピン82に対して組み付けられている。そこにおいて、図面上では明示されていないが、本実施形態では、このようにして、封止スプリングピン82に組付ピン86が組み付けられた状態で、封止スプリングピン82の軸方向上方(組付ピン86が組み付けられた側)から見ると、組付ピン86における板状片88によって、封止スプリングピン82が覆い隠されるようになっている。
そして、上述の如く、組付ピン86が組み付けられた封止スプリングピン82は、図10に示されているように、組付ピン86が取り付けられていない軸方向他方の端部側から蓋側筒部58に挿入されるようになっている。
これにより、封止スプリングピン82における下側収容部62に嵌め入れられている部分に対して、封止スプリングピン82を締める力が作用することとなる。その結果、封止スプリングピン82が元の形状に戻ろうとする力(復元力)が下側収容部62に作用することとなる。
そして、上述の如き封止スプリングピン82による復元力が下側収容部62に作用することによって、封止スプリングピン82の外周面が下側収容部62の内周面に押し当てられることとなる。その結果、封止スプリングピン82の外周面と下側収容部62の内周面との間に封止スプリングピン82の変位を阻止する方向に摩擦力が発生することとなる。
そして、上述の如く、封止スプリングピン82が下側収容部62に挿入された状態から封止スプリングピン82を摩擦力に抗して更に挿入することにより、図11に示されているように、封止スプリングピン82が蓋側筒部58と本体側筒部36とに跨って挿入された状態となる。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如く、封止スプリングピン82が蓋側筒部58と本体側筒部36とに跨って挿入された状態で、封止スプリングピン82における下側収容部62に嵌め入れられている部分だけに対して、封止スプリングピン82を締める力が作用するようになっている。即ち、本実施形態では、封止スプリングピン82の軸方向変位を阻止する摩擦力が、封止スプリングピン82における下側収容部62に嵌め入れられている部分のみに及ぼされるようになっているのであり、その結果、本実施形態では、封止スプリングピン82は蓋側筒部58(下側収容部62)のみに対して嵌められているのである。
また、本実施形態では、上述の如く、封止スプリングピン82が蓋側筒部58と本体側筒部36とに跨って挿入されていると共に、封止スプリングピン82が蓋側筒部58に嵌められて固定された状態で、封止スプリングピン82の軸方向一方の端部は蓋側筒部58内に位置せしめられていると共に、封止スプリングピン82の軸方向他方の端部は本体側筒部36内に位置せしめられている。
なお、図面上では明示されていないが、本実施形態では、四つで一つのグループとされた本体側筒部36と蓋側筒部58の組み合わせのうち、何れか一つの組み合わせにおいて、図11に示されているように、封止スプリングピン82が本体側筒部36と蓋側筒部58とに跨って挿入されている。
更にまた、本実施形態では、図10に示されている状態から更に封止スプリングピン82を嵌め入れる際において、封止スプリングピン82に固定された組付ピン86における板状片88の長手方向両端が、上側収容部60における長手方向(図10における左右方向)で対向位置せしめられる一対の対向壁部92,92に対して摺動せしめられるようになっている。
そこにおいて、本実施形態では、一対の対向壁部92,92の対向面間距離が、上側収容部60の上側開口から底壁へと行くに従って次第に短くなるようにされている。これにより、封止スプリングピン82に固定された組付ピン86における板状片88の長手方向両端は、上側収容部60の底壁側に行くに従って次第に上側収容部60の上側開口側への反りが大きくなるようになっている。
そして、板状片88が上側収容部60の底壁に到達すると、板状片88の長手方向両端部のそれぞれが、上側収容部60の上側開口側に反った状態から元の状態に戻ると共に、各対向壁部92の底壁付近に形成された開口穴94に入り込むようになっている。その結果、板状片88の長手方向両端部のそれぞれが、各対向壁部92に形成された開口穴94の内周面(特に、封止スプリングピン82の嵌め入れ方向とは反対側に位置する上側開口側の面)に係止されることにより、組付ピン86の上側収容部60の上側開口側への変位、延いては、封止スプリングピン82の軸方向上方への変位(抜け方向への変位)が阻止されることとなる。
なお、本実施形態では、図10に示された状態、即ち、封止スプリングピン82が蓋側筒部58に嵌め入れられて、板状片88の上面が蓋側筒部58の上端面と同じ高さに位置せしめられた状態で、板状片88における幅方向両端と上側収容部60との間に隙間が形成されている。
特に、本実施形態では、図面上では必ずしも明らかではないが、板状片88の上面が蓋側筒部58(上側収容部60)の上端面と同じ高さに位置せしめられた状態から板状片88の長手方向両端のそれぞれが開口穴94,94に入り込むまでの間において、板状片88における幅方向両端と上側収容部60との間には、それぞれ、隙間が形成されるようになっている。これにより、封止スプリングピン82が蓋側筒部58と本体側筒部36とに跨って挿入された状態に至るまでの間において、板状片88の長手方向両端のみが上側収容部60の上側開口側に反るようになっている。その結果、封止スプリングピン82が蓋側筒部58に嵌め入れられた状態から封止スプリングピン82が蓋側筒部58と本体側筒部36とに跨って挿入された状態に至るまでの抵抗を小さくすることが可能となる。
また、抜止筒部44の中心孔49には、抜止ピンとしての抜止スプリングピン98が嵌め入れられている。そこにおいて、本実施形態の抜止スプリングピン98は、封止スプリングピン82と同様な材料で形成されて、同じ形状を呈していることから、その詳細な説明を省略する。
また、本実施形態の抜止スプリングピン98には、嵌着ピンとしての組付ピン100が取り付けられている。そこにおいて、本実施形態の組付ピン100は、封止スプリングピン82に組み付けられる組付ピン86と同様な材料で形成されて、同じ形状を呈している。即ち、本実施形態の組付ピン100は、挿入軸102の軸方向端部に板状片104が一体形成された形状を呈しているのである。
このような組付ピン100は、抜止スプリングピン98の軸方向一方の端から挿入軸102が差し込まれて固定されることにより、抜止スプリングピン98に対して組み付けられている。そこにおいて、図面上では明示されていないが、本実施形態では、抜止スプリングピン98に組付ピン100が組み付けられた状態で、抜止スプリングピン98の軸方向上方(組付ピン100が組み付けられた側)から見ると、組付ピン100における板状片104によって、抜止スプリングピン98が覆い隠されるようになっている。
そして、上述の如く組付ピン100が組み付けられた抜止スプリングピン98は、図12及び図13に示されているように、組付ピン100が組み付けられていない軸方向他方の端部側から抜止筒部44に挿入されて、封止スプリングピン82の軸方向外方に位置して封止スプリングピン82の軸方向端を覆う状態で配設されるようになっている。これにより、抜止スプリングピン98における内側収容部48に嵌め入れられている部分に対して、抜止スプリングピン98を締める力が作用することとなる。その結果、抜止スプリングピン98が元の形状に戻ろうとする力(復元力)が内側収容部48に作用することとなる。
また、このようにして、抜止スプリングピン98による復元力が内側収容部48に作用することにより、抜止スプリングピン98の外周面が内側収容部48の内周面に押し当てられることとなる。その結果、抜止スプリングピン98の外周面と内側収容部48の内周面との間に抜止スプリングピン98の変位を阻止する方向に摩擦力が作用することとなり、抜止スプリングピン98の挿入状態が維持されるようになっている。
更にまた、上述の如く抜止スプリングピン98が抜止筒部44に挿入された状態では、抜止スプリングピン98の先端が側壁部30に面しており、特に本実施形態では、抜止スプリングピン98の先端が側壁部30に当接している。換言すれば、抜止筒部44に挿入された抜止スプリングピン98は、その先端が基板収容空間16に向けられているのである。
また、本実施形態では、抜止スプリングピン98の先端が側壁部30に当接するまで抜止スプリングピン98を抜止筒部44に挿入する際に、抜止スプリングピン98に固定された組付ピン100における板状片104の長手方向両端が、外側収容部46における長手方向で対向位置せしめられる一対の対向壁部106,106に対して摺動せしめられる。
そこにおいて、本実施形態では、一対の対向壁部104,104の対向面間距離が、外側収容部46の外側開口から底壁へと行くに従って次第に短くなるようにされている。これにより、抜止スプリングピン98に固定された組付ピン100における板状片104の長手方向両端は、外側収容部46の底壁側へ行くに従って次第に外側収容部46の外側開口側への反りが大きくなる。
そして、板状片104が外側収容部46の底壁に到達すると、板状片104の長手方向両端部のそれぞれが、外側収容部46の外側開口側に反った状態から元の状態に戻ると共に、各対向壁部106の底壁付近に形成された開口穴108に入り込むようになっている。その結果、板状片104の長手方向両端部のそれぞれが、各対向壁部106に形成された開口穴108の内周面(特に、抜止スプリングピン98の嵌め入れ方向とは反対側に位置する外側開口側の面)に係止されることにより、組付ピン100の外側収容部46の外側開口側への変位、延いては、抜止スプリングピン98の抜け方向への変位が阻止されることとなる。
なお、本実施形態では、抜止スプリングピン98が抜止筒部44に嵌め入れられて、板状片104の一方の面が抜止筒部44の開口端面と同じ位置にある状態で、板状片104における幅方向両端と外側収容部46との間に隙間が形成されている。特に本実施形態では、図面上では必ずしも明らかではないが、板状片104の一方の面が抜止筒部44の開口端面と同じ位置にある状態から板状片104の長手方向両端のそれぞれが開口穴108に入り込むまでの間において、板状片104における幅方向両端と外側収容部46の間には、それぞれ、隙間が形成されている。これにより、抜止スプリングピン98の先端が側壁部30に当接するまでの間において、板状片104の長手方向両端のみが外側収容部46の外側開口側に反るようになっている。その結果、抜止スプリングピン98の先端が側壁部30に当接するまで挿入される際の抵抗を小さくすることが可能となる。
このような構造とされた遊技機用基板ケース10においては、ケース本体12に対して蓋部材14が組み付けられた状態で、ケース本体12に対する蓋部材14のスライド変位方向に交差する方向に延びる中心軸線上に位置せしめられた蓋側筒部58と本体側筒部36とに跨って挿入される封止スプリングピン82が、蓋側筒部58における下側収容部62に嵌められて固定されていることから、ケース本体12に対する蓋部材14の開蓋方向へのスライド変位が封止スプリングピン82によって阻止されることとなり、その結果、遊技機用基板ケース10の封止状態が実現されるようになっている。
そこにおいて、本実施形態では、ケース本体12に対する蓋部材14の開蓋方向へのスライド変位を阻止する封止スプリングピン82が挿入されている本体側筒部36の下方に設けられた抜止筒部44に抜止スプリングピン98が嵌め入れられていることにより、抜止スプリングピン98が本体側筒部36の底壁52の下側に位置せしめられていることから、抜止スプリングピン98、延いては、抜止筒部44を遊技機用基板ケース10から分離しない限り、封止スプリングピン82の軸方向変位を阻止することが可能となる。これにより、封止スプリングピン82を抜き取る不正行為を試みた場合には、その痕跡が残ることになる。その結果、不正行為が試みられたことを発見しやすくなる。
すなわち、本実施形態の遊技機用基板ケース10においては、抜止スプリングピン98を封止スプリングピン82の軸方向下方に固定的に保持するという極めて簡単な構成で、正当ではない方法での封止スプリングピン82による封止状態の解除をより一層困難にすることが可能となるのである。また、このような構成を採用することにより、構造の大幅な複雑化や部品点数の大幅な増加、更には、製造の困難さを回避することが可能となる。
特に本実施形態では、抜止スプリングピン98の先端がケース本体12の側壁部30に当接せしめられていることにより、抜止スプリングピン98の挿入方向先端側から抜止スプリングピン98を抜き出す作業を困難にすることが可能となる。その結果、抜止スプリングピン98の挿入状態の安定化、延いては、封止スプリングピン82による遊技機用基板ケース10の封止状態の更なる安定化を図ることが可能となる。
加えて、本実施形態では、抜止スプリングピン98が抜止筒部44の内側収容部48に圧入固定された状態で、抜止スプリングピン98に固定された組付ピン100における板状片104の長手方向両端が、抜止筒部44の外側収容部46における一対の対向壁部106,106の底壁側に形成された開口穴108,108に嵌め込まれるようになっていることから、板状片104の長手方向の各端部が開口穴108の内周面に対して係止されるようにすることが可能となる。これにより、抜止スプリングピン98の軸方向変位を阻止することが可能となる。その結果、抜止スプリングピン98の挿入状態の更なる安定化、延いては、封止スプリングピン82による遊技機用基板ケース10の封止状態のより一層の安定化を図ることが可能となる。
一方、封止スプリングピン82による遊技機用基板ケース10の封止状態を解除する場合には、封止スプリングピン82が蓋側筒部58の下側収容部62に圧入固定されていることから、蓋側筒部58と蓋部材14を連結する一対の取付片64,64をニッパー等で切断して蓋側筒部58を蓋部材14から分離するだけで良い。即ち、正当な方法での封止スプリングピン82による封止状態の解除作業に際して、抜止スプリングピン98を取り除く必要はない。その結果、正当な作業での封止スプリングピン82による封止状態の解除作業を速やかに行うことが可能となる。
また、抜止スプリングピン98の抜止筒部44への圧入作業は、封止スプリングピン82による封止作業の前に行っても良いし、後で行っても良いことから、封止スプリングピン82による封止作業の煩雑さを回避することが可能となる。
更にまた、本実施形態では、封止スプリングピン82において蓋側筒部58の下側収容部62に嵌められている部分に及ぼされる、封止スプリングピン82を締める力の反力が、下側収容部62に及ぼされることにより、封止スプリングピン82の外周面と下側収容部62の内周面との間に発生する摩擦力を有利に確保することが可能となる。その結果、蓋側筒部58における下側収容部62に成形時の寸法誤差があったり、遊技機用基板ケース10の周辺温度の変化があった場合でも、封止スプリングピン82の軸方向への変位が有利に阻止されることとなり、封止スプリングピン82が蓋側筒部58における下側収容部62に嵌められた状態の安定化を図ることが可能となる。
加えて、本実施形態では、封止スプリングピン82が下側収容部62と本体側筒部36とに跨って挿入された状態で、封止スプリングピン82に固定された組付ピン86における板状片88の長手方向両端が、上側収容部60における一対の対向壁部92,92の底壁側に形成された開口穴94,94に嵌め込まれるようになっていることから、板状片88の長手方向の各端部が開口穴94の内周面に対して係止されるようにすることが可能となる。これにより、例えば、本体側筒部36の底壁に穴を開ける等して、封止スプリングピン82を挿入方向とは反対の方向に押し戻そうとしても、板状片88の長手方向の各端部が開口穴94の内周面に対して係止されることにより、封止スプリングピン82の挿入方向とは反対側の方向への変位を阻止することが可能となる。その結果、遊技機用基板ケース10の安定した封止状態を一層有利に実現することが出来る。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態において、抜止スプリングピン98を抜止筒部44の内側収容部48に圧入固定する代わりに、組付ピン100の挿入軸102を抜止筒部44の内側収容部48に挿入するだけであっても良い。この場合であっても、前記実施形態と同様に、組付ピン100を抜止筒部44から抜き出すことが困難になっていることから、組付ピン100の挿入状態の安定化、延いては、封止スプリングピン82による遊技機用基板ケース10の封止状態の更なる安定化を図ることが可能となる。
また、前記実施形態において、図14に示されているように、抜止筒部44が、取付片109を介して、蓋側筒部58に一体的に設けられるようにしても良い。この場合、抜止ピン110としては、挿入軸112の軸方向中間部分に板状の係止片114が軸直角方向外方に突出するように一体形成された構造が好適に採用される。これにより、抜止ピン110が抜止筒部44に挿入された状態で、抜止ピン110において係止片114を挟んで抜止筒部44の内側収容部48に挿通されている部分とは反対側に位置する部分が蓋側筒部58の上方に位置することとなる。その結果、抜止ピン110を取り除かない限り、封止スプリングピン82を抜き取ることが出来ないようになる。また、このような構成においては、蓋側筒部58を蓋部材14から分離すれば、封止スプリングピン82と一緒に抜止ピン110を取り除くことが出来るので、抜止ピン110が封止スプリングピン82による封止状態の解除作業の邪魔になることはない。即ち、抜止ピン110を予め取り除かなくても、封止スプリングピン82による封止状態の解除作業をすることが出来る。なお、理解を容易にするために、前記実施形態と同様な部材及び部位については、前記実施形態と同一の符号を付してある。
また、前記実施形態において、本体側筒部36の内周面に係止突起を設けておき、この係止突起を乗り越えさせてロックピンの頭部を押し入れるようにしても良いし、或いは、本体側筒部36の内周面に周方向に延びる係止凹溝を形成しておき、ロックピンの頭部の外周面をこの係止凹溝に対して嵌め入れるようにしても良い。これらの方法を採用すれば、ロックピンを本体側筒部36と蓋側筒部58に挿入した状態で固定的に保持することが可能となる。
さらに、前記実施形態において、抜止筒部44の内周面に係止突起を設けておき、この係止突起を乗り越えさせて抜止ピンの頭部を押し入れるようにしても良いし、或いは、抜止筒部44の内周面に周方向に延びる係止凹溝を形成しておき、抜止ピンの頭部の外周面をこの係止凹溝に対して嵌め入れるようにしても良い。これらの方法を採用すれば、抜止ピンを抜止筒部44に挿入した状態で固定的に保持することが可能となる。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10:遊技機用基板ケース,12:ケース本体,14:蓋部材,16:基板収容空間,18:制御基板,36:本体側筒部,44:抜止筒部,58:蓋側筒部,82:封止スプリングピン,98:抜止スプリングピン