以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態における自動販売機を簡略的に示すものであり、図1は正面図、図2は断面側面図である。ここに例示する自動販売機1は、缶入り飲料、瓶入り飲料、ペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体であるキャビネット1aを備えている。
キャビネット1aは、前面が開口した直方状の形態を成しており、その内部は、大きく上中下の3つに区画されており、機械室2、商品保管室10及び商品収容室20が設けてある。
機械室2は、最も下部に区画された室であり、種々の機械等が配設してある。特に本実施の形態に関連するものとしては、図には明示しないが、圧縮機及び凝縮器が配設してある。
商品保管室10は、最も上部に区画された室である。この商品保管室10の内部には、商品ラック11が上下方向に複数段(図示の例では3段)設けてある。商品ラック11は、複数の商品収納コラム12が左右方向に並設されて構成されている。商品収納コラム12は、それぞれ前後方向に沿って延在し、前方から後方に向けて漸次高さが低くなる態様で傾斜して設けてある。この商品収納コラム12は、それぞれ商品を起立姿勢で前後方向に沿って一列に並べて収納している。このような商品保管室10は、各商品収納コラム12に収納される商品を常温にて保管するものである。
商品収納コラム12のそれぞれの後端部には、図3に示すように、収納商品を一つずつ受け渡すための受渡機構13が設けてある。ここに、受渡機構13は、駆動モータ、ソレノイド等の動力源から切り離した駆動部を有さないものであり、後述する補充バケット30が指定の商品収納コラム12にアクセスした場合に該補充バケット30を構成する電動式駆動機構30eからの動力が伝達されて駆動するものである。かかる受渡機構13について詳細に説明すると、可動ストッパ14を揺動可能に支持する支持部15の下方に矩形状の反射面16が形成してある。反射面16は、垂直辺16pが商品収納コラム12の左右方向の検出位置及び補充バケット30の左右方向の停止位置を規定する基点となり、水平辺16hが商品収納コラム12の上下方向の検出位置及び補充バケット30の上下方向の停止位置を規定する基点となるものである。
商品収容室20は、中部に区画された室、すなわち機械室2と商品保管室10との間に位置する室である。つまり、商品保管室10と商品収容室20とは、キャビネット1aの内部において上下に並ぶ態様で区画されている。この商品収容室20は、所定個所に断熱板を配設することにより断熱構造を有している。より詳細に説明すると、商品収容室20は、上部断熱板20a、底部断熱板20b、後部断熱板20c及び左右一対の側部断熱板(図示せず)を配設することにより形成された室である。
商品収容室20の下部には、上述した圧縮機及び凝縮器と冷媒配管を通じて連結された蒸発器3が設けてある。蒸発器3は、圧縮機及び凝縮器とともに冷却ユニットを構成し、該商品収容室20に収容された商品を冷却するものである。尚、説明の便宜上図示の例では商品を冷却する場合について説明するが、当該商品収容室20には商品を加熱するためのヒータが設けられて該ヒータにより商品が加熱されても良い。
このような商品収容室20の内部には、商品ラック21が上下方向に複数段(図示の例では3段)設けてある。商品ラック21は、複数の商品収納コラム22が左右方向に並設されて構成されている。商品収納コラム22は、それぞれ前後方向に沿って延在し、後方から前方に向けて漸次高さが低くなる態様で傾斜して設けてある。この商品収納コラム22は、それぞれ商品を起立姿勢で前後方向に沿って一列に並べて収納している。
商品収納コラム22のそれぞれの前端部には、収納商品を一つずつ搬出する搬出機構23が設けてある。ここに、搬出機構23は、駆動モータ、ソレノイド等の動力源から切り離した駆動部を有さないものであり、後述する販売バケット40が指定の商品収納コラム22にアクセスした場合に該販売バケット40を構成する電動式駆動機構30eからの動力が伝達されて駆動するものである。
商品収納コラム22のそれぞれの前端部および後端部には、図には明示しないが、上述した商品収容室20の商品収納コラム22と同様に、矩形状の反射面が形成してある。後方側の反射面は、垂直辺が商品収納コラム22の左右方向の検出位置及び補充バケット30の左右方向の停止位置を規定する基点となり、水平辺が商品収納コラム22の上下方向の検出位置及び補充バケット30の上下方向の停止位置を規定する基点となるものである。一方、前方側の反射面は、垂直辺が商品収納コラム22の左右方向の検出位置及び後述する販売バケット40の左右方向の停止位置を規定する基点となり、水平辺が商品収納コラム22の上下方向の検出位置及び販売バケット40の上下方向の停止位置を規定する基点となるものである。
このようにキャビネット1aの内部には、図示の例では、商品ラック11,21が上下方向に6段設けてある。そして、上側3段が商品保管室10を構成し、下側3段が商品収容室20を構成している。そして、これら商品ラック11,21の後端部には、左方に突出する後端突片P(図5参照)が設けてある。また、下側3段の商品ラック21、すなわち商品収容室20を構成する商品ラック21の前端部には、右方に前端突片(図示せず)が設けてある。
一方、キャビネット1aには、扉体4が設けてある。扉体4は、外扉4a及び内扉4bを有して成るものである。外扉4aは、キャビネット1aの前面開口を覆うためのもので、キャビネット1aの一側縁部に開閉可能となる態様でヒンジ結合してある。この外扉4aの前面側にはディスプレイウィンドウ5、商品取出口6が設けてある。ディスプレイウィンドウ5は、内部に配設された商品サンプル7を視認させるための窓である。商品取出口6は、外扉4aの前面側中央位置に設けてあり、利用者が商品を取り出すための開口となる。また、図1には明示していないが、この外扉4aの前面には、商品を販売する際に必要となる商品選択ボタンB(図8参照)、紙幣挿入口、硬貨投入口、返却レバー、金額表示器、硬貨返却口が設けてある一方、後面側には貨幣処理部K(図8参照)が設けてある。
内扉4bは、上下に分割して形成してあり、上側の扉(以下、第1内扉ともいう)4b1は商品保管室10の前面を覆うためのものであり、下側の扉(以下、第2内扉ともいう)4b2は商品収容室20の前面を覆うためのもので、それぞれ外扉4aよりも内方となる位置においてキャビネット1aの一側縁部に開閉可能に配設してある。第2内扉4b2は断熱扉であって、商品取出口6に対応する部位に商品搬出口9が設けてある。尚、本実施の形態においては、内扉4bが上下に分割した場合を示すが、本発明における構造はこれに限定されない。すなわち、商品保管室10と商品収容室20とが完全に区画されている場合には、少なくとも第1内扉4b14bは不要である。
上記キャビネット1aには、補充バケット30及び販売バケット40が設けてある。補充バケット30は、商品保管室10及び商品収容室20の後方側、すなわち商品保管室10及び商品収容室20を構成する商品ラック11,21の後方側に設けてあり、商品保管室10に保管されている商品を商品収容室20に搬送するためのものである。この補充バケット30は、図4に示すように、X−Y搬送機構(図示せず)に支持された態様で設けてある。
X−Y搬送機構は、補充バケット30を上下方向及び左右方向に移動させるものである。このX−Y搬送機構は、周知のものであり、詳細は説明しないが、左右方向に延在するX軸搬送部31(図8参照)が、上下方向に延在し、かつ左右一対のY軸搬送部32(図8参照)に連結されて構成してある。
X軸搬送部31は、搭載する補充バケット30をX軸方向、すなわち左右方向に沿って移動可能に案内支持してある。このX軸搬送部31の底部には、左右方向が長手方向となる第1長尺断熱板33が設けてある。この第1長尺断熱板33は、上述した上部断熱板20aと後部断熱板20cとにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
Y軸搬送部32は、X軸搬送部31をY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。つまり、Y軸搬送部32は、X軸搬送部31に搭載される補充バケット30が上下方向に沿って移動することを案内するものである。
このようなX−Y搬送機構には、第1位置検出センサ35及び第1パルス発生器36(ともに図8参照)を備えている。
第1位置検出センサ35は、X軸搬送部31の所定個所に配設してあり、Y軸搬送部32により上下方向に移動する過程において、商品ラック11,21の後端突片Pの有無を非接触で検出する非接触センサである。より詳細に説明すると、第1位置検出センサ35は、図5及び図6に示すように、光信号(例えば赤外光)を発光する発光素子35aと、この光信号を受光する受光素子35bとを有しており、上下方向に移動する過程において後端突片Pが発光素子35aと受光素子35bとの間の信号経路に介在するようX軸搬送部31の所定個所に配設してある。そして、受光素子35bが発光素子35aからの光信号を受光不可能である場合には、すなわち後端突片Pが発光素子35aと受光素子35bとの間に介在して信号経路を遮断している場合には、商品ラック11,21の上下方向の位置を検出することが可能となる一方(図5参照)、受光素子35bが発光素子35aからの光信号を受光可能である場合には、すなわち後端突片Pが発光素子35aと受光素子35bとの間の信号経路に介在していない場合には、商品ラック11,21の上下方向の位置を検出することが不可能となるものである(図6参照)。かかる第1位置検出センサ35は、商品ラック11,21の上下方向の位置を検出した場合には、検出信号を後述する補給制御部60に出力するものである。
第1パルス発生器36は、図には明示しないが、放射状を成してエンコーダ用スリットが穿設された回転子と、このエンコーダ用スリットを通過する光を検出する毎にパルス信号を発生するエンコーダ用光検出器とから構成してある。すなわち、第1パルス発生器36は、Y軸搬送部32により上下方向に沿って移動する際にパルス信号を補給制御部60に出力するものである。
補充バケット30は、前後一対のローラ30a間に無端状のベルトコンベア30bが張設されて構成した受容部30cが形成してある。かかる一対のローラ30aは、その一方にモータ等のローラ駆動機構30d(図8参照)が連結してあり、当該ローラ30aが回転駆動する結果、ベルトコンベア30bは、上面が前方に向けて移動する態様で変位する。このような補充バケット30は、ガイドローラ(図示せず)を介してX−Y搬送機構を構成するX軸搬送部31に案内支持されている。尚、当該ベルトコンベア30bの上面が商品載置面となる。
また、補充バケット30には、電動式駆動機構30e、第2位置検出センサ36及び第2パルス発生器37(ともに図8参照)が設けてある。電動式駆動機構30eは、上述したように商品収納コラム22の受渡機構13に駆動力を伝達して該受渡機構13を駆動させるものである。
第2位置検出センサ36は、図には明示しないが、発光素子と、この発光素子からの反射光を受光する受光素子とから構成してある。この発光素子及び受光素子は、互いに上下となる態様で並設してある。これにより、発光素子から投光された赤外光が受渡機構13の反射面16及び商品収容室20を構成する商品収納コラム22の後端部における反射面にて反射され、かつ反射されたこの赤外光が受光素子に受光された場合に、第2位置検出センサ36は、検出信号を後述する補給制御部60に出力するものである。ここで、第2位置検出センサ36が反射面のみを選択的に検出するために、発光素子及び受光素子の対は、反射面と平行になるよう傾斜して配設してある。
第2パルス発生器37は、図には明示しないが、放射状を成してエンコーダ用スリットが穿設された回転子と、このエンコーダ用スリットを通過する光を検出する毎にパルス信号を発生するエンコーダ用光検出器とから構成してある。すなわち、第2パルス発生器37は、X軸搬送部31により左右方向に沿って移動する際にパルス信号を補給制御部60に出力するものである。
そのような補充バケット30は、常態においては、補充バケット30が商品保管室10の底部後方位置、すなわち第1長尺断熱板33が上部断熱板20aと後部断熱板20cとにより形成される開口を閉塞する位置に待機している。
販売バケット40は、商品収容室20の前方側に設けてあり、商品収容室20に収容されている商品を商品取出口6に対応する位置に搬送するためのものである。この販売バケット40は、図7に示すように、X−Y搬送機構(図示せず)に支持された態様で設けてある。
X−Y搬送機構は、販売バケット40を上下方向及び左右方向に移動させるものである。このX−Y搬送機構は、周知のものであり、詳細は説明しないが、左右方向に延在するX軸搬送部41(図8参照)が、上下方向に延在し、かつ左右一対のY軸搬送部42(図□参照)に連結されて構成してある。
X軸搬送部41は、搭載する販売バケット40をX軸方向、すなわち左右方向に沿って移動可能に案内支持してある。このX軸搬送部41の底部には、左右方向が長手方向となる第2長尺断熱板43が設けてある。この第2長尺断熱板43は、上述した上部断熱板20aと第2内扉4b2とにより形成される開口を閉塞するのに十分な大きさを有している。
Y軸搬送部42は、X軸搬送部41をY軸方向、すなわち上下方向に沿って移動可能に案内支持してある。つまり、Y軸搬送部42は、X軸搬送部41に搭載される販売バケット40が上下方向に沿って移動することを案内するものである。
このようなX−Y搬送機構には、第3位置検出センサ44及び第3パルス発生器45(ともに図8参照)を備えている。
第3位置検出センサ44は、X軸搬送部41の所定個所に配設してあり、Y軸搬送部42により上下方向に移動する過程において、商品ラック21の前端突片の有無を非接触で検出する非接触センサである。より詳細に説明すると、第3位置検出センサ44は、光信号(例えば赤外光)を発光する発光素子と、この光信号を受光する受光素子とを有しており、上下方向に移動する過程において前端突片が発光素子と受光素子との間の信号経路に介在するようX軸搬送部41の所定個所に配設してある。そして、受光素子が発光素子からの光信号を受光不可能である場合には、すなわち前端突片が発光素子と受光素子との間に介在して信号経路を遮断している場合には、商品ラック21の上下方向の位置を検出することが可能となる一方、受光素子が発光素子からの光信号を受光可能である場合には、すなわち前端突片が発光素子と受光素子との間の信号経路に介在していない場合には、商品ラック21の上下方向の位置を検出することが不可能となるものである。かかる第3位置検出センサ44は、商品ラック21の上下方向の位置を検出した場合には、検出信号を後述する販売制御部70に出力するものである。
第3パルス発生器45は、図には明示しないが、放射状を成してエンコーダ用スリットが穿設された回転子と、このエンコーダ用スリットを通過する光を検出する毎にパルス信号を発生するエンコーダ用光検出器とから構成してある。すなわち、第3パルス発生器45は、Y軸搬送部42により上下方向に沿って移動する際にパルス信号を販売制御部70に出力するものである。
販売バケット40は、受台40aを有して構成してあり、ガイドローラ(図示せず)を介してX−Y搬送機構を構成するX軸搬送部41に案内支持されている。尚、当該受台40aの上面が商品載置面となる。
また、販売バケット40には、電動式駆動機構40e、第4位置検出センサ46及び第4パルス発生器47(ともに図8参照)が設けてある。電動式駆動機構40eは、上述したように商品収納コラム22の搬出機構23に駆動力を伝達して該搬出機構23を駆動させるものである。
第4位置検出センサ46は、図には明示しないが、発光素子と、この発光素子からの反射光を受光する受光素子とから構成してある。この発光素子及び受光素子は、互いに上下となる態様で並設してある。これにより、発光素子から投光された赤外光が搬出機構23の反射面にて反射され、かつ反射されたこの赤外光が受光素子に受光された場合に、第4位置検出センサ46は、検出信号を後述する販売制御部70に出力するものである。ここで、第4位置検出センサ46が反射面16のみを選択的に検出するために、発光素子35a及び受光素子35bの対は、反射面16と平行になるよう傾斜して配設してある。
第4パルス発生器47は、図には明示しないが、放射状を成してエンコーダ用スリットが穿設された回転子と、このエンコーダ用スリットを通過する光を検出する毎にパルス信号を発生するエンコーダ用光検出器とから構成してある。すなわち、第4パルス発生器47は、X軸搬送部41により左右方向に沿って移動する際にパルス信号を販売制御部70に出力するものである。
そのような販売バケット40は、常態においては、商品取出口6に対応する位置、すなわち第2長尺断熱板43が上部断熱板20aと第2内扉4b2とにより形成される開口を閉塞する位置に待機している。これにより、補充バケット30及び販売バケット40がともに待機状態にある場合には、商品収容室20は、断熱板により断熱空間が形成されることになる。
図8は、本発明の実施の形態における自動販売機の制御手段の一例を簡略的に示したブロック図である。ここに例示する制御手段は、主制御部50、補給制御部60及び販売制御部70を備えて構成してある。
主制御部50は、記憶部50Mに格納されたプログラムやデータにしたがって自動販売機1の動作を統括的に制御するものである。より具体的には、紙幣挿入口及び硬貨投入口を通じて貨幣が投入された場合、貨幣処理部Kを通じてその正偽を判定し、正貨であった場合にさらに投入金額の認識を行う。商品販売に必要となる金額の貨幣が投入された場合、商品選択ボタンBを有効化し、さらに有効化した商品選択ボタンBが押下された場合に該商品選択ボタンBから出力された商品選択信号が入力されることにより、商品販売指令を販売制御部70に出力する一方、販売制御部70により商品の払い出しが行われると、補給制御部60に対して商品補給指令を出力するものである。また、リモコンRから指令信号が入力されることにより、補給制御部60及び販売制御部70のそれぞれに対して基準位置検出指令を出力するものである。ここに、リモコンRは、例えばサービス提供者が各種情報を入力するための入力手段である。
補給制御部60は、主制御部50から基準位置検出指令又は商品補給指令が与えられた場合に、記憶部60Mに格納されたプログラムやデータにしたがって補充バケット各部の制御を行うとともに、主制御部50に対して種々の情報を送出するものである。
より詳細に説明すると、補給制御部60は、基準位置検出指令が与えられた場合には、X軸搬送部31及びY軸搬送部32に駆動指令を出力して補充バケット30を上下方向及び左右方向に移動させ、第1位置検出センサ35からの後端突片Pの有無を示す検出信号を受信し、かつ第1パルス発生器36からのパルス信号を受信することにより、補充バケット30の上下方向の動作を制御する一方、第2位置検出センサ36からの反射面16の有無を示す検出信号を受信し、かつ第2パルス発生器37からのパルス信号を受信することにより、補充バケット30の左右方向の動作を制御することにより、商品収納コラム12,22の基準位置の検出動作を行うものである。
かかる基準位置検出動作で得られた情報は記憶部60Mに格納される。また、かかる記憶部60Mには、商品保管室10と商品収容室20との境界条件、すなわち商品ラック11,21の段数の閾値について格納されている。本実施の形態においては、上述したように商品ラック11,21がキャビネット1aの内部に上下方向に6段設けられており、上側3段の商品ラック11が商品保管室10を構成する一方、下側3段の商品ラック21が商品収容室20を構成している。そのため、下から3段目の商品ラック21と下から4段目の商品ラック11との間が商品保管室10と商品収容室20との境界となるため、上記閾値は下から4段目の商品ラック11を示す「4」となる。尚、上述したように、補充バケット30は、待機状態においては、商品保管室10の底部後方位置、すなわち第1長尺断熱板33が上部断熱板20aと後部断熱板20cとにより形成される開口を閉塞する位置にある。従って、補充バケット30の待機状態では、補給制御部60は、該補充バケット30が第1位置検出センサ35の検出信号により下から3段目までの商品ラック21が既にカウントされて記憶部60Mに格納してある。これにより、補充バケット30が待機位置から上方に移動することにより第1位置検出センサ35からの検出信号が入力されると、補給制御部60は、商品ラックのカウント数を加算する。これにより商品ラックのカウント数は「4」となり閾値以上となる。補給制御部60は、商品ラックのカウント数が閾値以上になると、補充バケット30が商品保管室10にあることを検知する。一方、補充バケット30が下方に移動することにより、第1位置検出センサ35からの検出信号が入力されると、補給制御部60は、商品ラックのカウント数を減算する。
また、商品補給指令が与えられた場合には、X軸搬送部31及びY軸搬送部32に駆動指令を出力して補充バケット30を上下方向及び左右方向に移動させて、補充バケット30を指定された商品収納コラム12にアクセスさせ、電動式駆動機構30eを駆動させて該商品収納コラム12より商品を受け取り、その後補充先の商品収納コラム22にアクセスさせてローラ駆動機構30dを駆動させて商品を引き渡す動作を行う商品補給動作を制御するものである。かかる商品補給動作については後述する。
販売制御部70は、主制御部50から基準位置検出指令又は商品販売指令が与えられた場合に、記憶部70Mに格納されたプログラムやデータにしたがって販売バケット各部の制御を行うとともに、主制御部50に対して種々の情報を送出するものである。
より詳細に説明すると、販売制御部70は、基準位置検出指令が与えられた場合には、X軸搬送部41及びY軸搬送部42に駆動指令を出力して販売バケット40を上下方向及び左右方向に移動させ、第3位置検出センサ44からの前端突片の有無を示す検出信号を受信し、かつ第3パルス発生器45からのパルス信号を受信することにより、販売バケット40の上下方向の動作を制御する一方、第4位置検出センサ46からの反射面の有無を示す検出信号を受信し、かつ第4パルス発生器47からのパルス信号を受信することにより、販売バケット40の左右方向の動作を制御することにより、商品収納コラム22の基準位置検出動作を行うものである。かかる基準位置検出動作で得られた情報は記憶部70Mに格納される。
また、商品販売指令が与えられた場合には、X軸搬送部41及びY軸搬送部42に駆動指令を出力して販売バケット40を上下方向及び左右方向に移動させて、販売バケット40を指定された商品収納コラム22にアクセスさせ、電動式駆動機構40eを駆動させて該商品収納コラム22より商品を受け取り、その後商品取出口6に対応する位置にアクセスさせて商品の払い出し動作を行う商品販売動作を制御するものである。かかる商品販売動作については後述する。
以上のような構成を有する自動販売機1の商品補給動作、並びに商品販売動作について説明する。
まず、補充作業について説明する。外部から自動販売機1に商品を補充する場合には外扉4a及び第1内扉4b1を開成する。これにより、商品保管室10は前面が開放した状態になる。かかる状態で商品を前方側から起立姿勢のままで投入して補充する結果、図2に示すように、各商品収納コラム12には、商品が前後方向に沿って一列に収納されることになる。その後、第1内扉4b1及び外扉4aを閉成して、商品の補充作業を終了する。
次に、商品補給動作について説明する。主制御部50により商品補給指令が与えられた補給制御部60は、記憶部60Mより指定された商品収納コラム12,22の基準位置情報を読み出し、読み出した基準位置情報に基づきX軸搬送部31及びY軸搬送部32を通じて補充バケット30を上方向及び左右方向に移動させる。その際、第1位置検出センサ35が商品ラック11、すなわち下から4段目の商品ラック11の後端突片Pを検知して検出信号が出力される結果、商品ラック11のカウント数が「4」となって閾値以上となると、補給制御部60は、補充バケット30が商品保管室10にあることを検知する。そして、補給制御部60は、指定された商品収納コラム12に補充バケット30をアクセスさせる。ここで、図9は、反射面に対する補充バケットの軌跡を一般化して示す模式図であり、かかる図9を適宜用いて説明する。図中、座標Xn0,Yn0は、事前の基準位置検出動作で反射面16の右側垂直辺16pを検出した基準位置に相当する座標を示し、記憶部60Mに格納してある値である。座標Xn1,Yn1は、事前の基準位置検出動作での座標Xn0,Yn0を基準として移動方向手前側位置に設定された移動目標位置を示す座標であり、数パルス分右側に設定される。かかる座標は、主制御部50からの指令に含まれている。座標Xn3,Yn3は、反射面16の右側垂直辺16pを基準として左方向に数パルス分だけ移動させた位置を示す座標である。座標Xn4,Yn4は、反射面16の下側水平辺16hを検出した位置の座標を示す。座標Xn2,Yn2は、反射面16の下側水平辺16hを基準として下方向に予め設定された補正パルス分だけ移動させる最終的な停止位置を示す座標である。
補給制御部60は、補充バケット30を移動目標位置Xn1,Yn1まで移動させて一旦停止させた後、左方向に移動させて反射面16の右側垂直辺16pを第2位置検出センサ36に検出させ、この右側垂直辺16pを検出した時点から左方向に数パルス分だけさらに移動させることで座標Xn3,Yn3に位置させて、今度は下方向に移動させて反射面16の下側水平片を第2位置検出センサ36に検出させ、この下側水平片を検出した時点から下方向に補正パルス分だけさらに移動させることで最終目標となる停止位置の座標Xn2,Yn2に移動させて停止させる。このように反射面16の下側水平片を検出した時点から下方向に補正パルス分だけさらに移動させることで座標Xn2,Yn2に移動させて停止させることにより、図10に示すように、補充バケット30の載置面(ベルトコンベア30bの上面)は、商品収納コラム12の後端部の載置部位12a、すなわち商品提供口の載置部位12aよりも所定距離L1だけ低くなる。すなわち、補充バケット30を、商品載置面が指定された商品収納コラム12の商品提供口における載置部位12aよりも所定距離L1だけ低くなる態様で当該商品収納コラム12に対向配置させる。
このように補充バケット30を対向配置させた補給制御部60は、電動式駆動機構30eを駆動させることにより該商品収納コラム12の受渡機構13を駆動させて最後側に保管された商品、すなわち該商品収納コラム12において最も先に投入された商品を搬出させる。搬出された商品は、補充バケット30に起立姿勢のまま収容される。
補充バケット30に商品が収容されると、補給制御部60は、X軸搬送部31及びY軸搬送部32を通じて補充バケット30を下方向及び左右方向に移動させる。その際、第1位置検出センサ35が商品ラック21、下から3段目の商品ラック21の後端突片Pを検知して検出信号が出力される結果、商品ラックのカウント数が「3」となって閾値未満となると、補給制御部60は、補充バケット30が商品収容室20にあることを検知する。そして、補給制御部60は、指定された商品収納コラム22に補充バケット30をアクセスさせる。ここで、図11は、反射面に対する補充バケットの軌跡を一般化して示す模式図であり、かかる図11を適宜用いて説明する。図中、座標Xn0,Yn0は、事前の基準位置検出動作で反射面の右側垂直辺を検出した基準位置に相当する座標を示し、記憶部60Mに格納してある値である。座標Xn1,Yn1は、事前の基準位置検出動作での座標Xn0,Yn0を基準として移動方向手前側位置に設定された移動目標位置を示す座標であり、数パルス分右側に設定される。かかる座標は、主制御部50からの指令に含まれている。座標Xn3,Yn3は、反射面の右側垂直辺を基準として左方向に数パルス分だけ移動させた位置を示す座標である。座標Xn4,Yn4は、反射面の下側水平辺を検出した位置の座標を示す。座標Xn5,Yn5は、反射面の下側水平辺を基準として下方向に予め設定された補正パルス分だけ移動させる最終的な停止位置を示す座標である。ここにおける補正パルス分は、座標Xn2,Yn2に移動させるための補正パルス分よりも小さい。
補給制御部60は、補充バケット30を移動目標位置Xn1,Yn1まで移動させて一旦停止させた後、左方向に移動させて反射面の右側垂直辺を第2位置検出センサ36に検出させ、この右側垂直辺を検出した時点から左方向に数パルス分だけさらに移動させることで座標Xn3,Yn3に位置させて、今度は下方向に移動させて反射面の下側水平辺を第2位置検出センサ36に検出させ、この下側水平辺を検出した時点から下方向に補正パルス分だけさらに移動させることで最終目標となる停止位置の座標Xn5,Yn5に移動させて停止させる。このように反射面の下側水平辺を検出した時点から下方向に補正パルス分だけさらに移動させることで座標Xn5,Yn5に移動させて停止させることにより、図12に示すように、補充バケット30の載置面(ベルトコンベア30bの上面)は、商品収納コラム22の後端部の載置部位22a、すなわち商品受取口の載置部位22aよりも所定距離L2だけ高くなる。すなわち、補充バケット30を、商品載置面が指定された商品収納コラム22の商品提供口における載置部位よりも所定距離L2だけ高くなる態様で当該商品収納コラム22に対向配置させる。
このように補充バケット30を対向配置させた補給制御部60は、ローラ駆動機構30dを駆動させて一対のローラ30aを回転駆動させてベルトコンベア30bを変位させる。これにより、ベルトコンベア30bの上面に起立姿勢で載置された商品は、その姿勢を保持したままで商品収納コラム22に後方側から収納され、商品補給を行い、商品補給動作を終了する。このとき、補給制御部60は、主制御部50に対して終了応答を行う。その後、補充バケット30は待機状態になると、図2に示すように、補充バケット30が商品収容室20を構成する上側断熱板よりも僅かに高い位置で待機する。
次に販売動作について説明する。主制御部50は、商品選択ボタンBから商品選択信号が出力されると、販売制御部70に対して商品販売指令を与える。商品販売指令が与えられた販売制御部70は、X軸搬送部41及びY軸搬送部42を通じて、選択された商品が収納された商品収納コラム22にアクセスさせる。当該商品収納コラム22にアクセスさせると、販売制御部70は、電動式駆動機構40eを駆動させることにより該商品収納コラム22の搬出機構23を駆動させて最前側に収納された商品、すなわち商品収納コラム22において最も先に収納された商品を搬出させる。搬出された商品は、販売バケット40に起立姿勢のまま収容される。
販売バケット40に商品が収容されると、販売制御部70は、X軸搬送部41及びY軸搬送部42を通じて販売バケット40を商品取出口6に対応する位置にアクセスさせて商品の払い出しを行い、商品販売動作を終了する。このとき、販売制御部70は、主制御部50に対して終了応答を行う。その後、販売バケット40は待機状態になると、図2に示すように、販売バケット40が商品取出口6に対応する位置で待機する。
以上説明したような本発明の実施の形態における自動販売機1によれば、補充バケット30が指定された商品収納コラム11から商品を受け取る場合には、当該補充バケット30の商品載置面(ベルトコンベア30bの上面)が商品収納コラム12の商品提供口における載置部位12aよりも所定距離L1だけ低くなる態様で当該商品収納コラム12に当該補充バケット30を対向配置させる一方、補充バケット30が指定された商品収納コラム22に商品を引き渡す場合には、当該補充バケット30の商品載置面(ベルトコンベア30bの上面)が商品収納コラム22の商品受取口における載置部位22aよりも所定距離L2だけ高くなる態様で当該商品収納コラム22に補充バケット30を対向配置させるので、商品の受け取り及び引き渡しの場合に、商品収納コラム12,22と補充バケット30との間で商品が引っ掛かり等の不具合が生じる虞れがなく、これにより任意の商品収納コラム12,22との間で商品の受け取りと商品の引き渡しを円滑に行うことができる。
また、自動販売機1によれば、補充バケット30が、商品補給指令が与えられた場合に、商品保管室10の指定された商品収納コラム12の最後側の商品、すなわち該商品収納コラム12において最も先に保管された商品を取り出し、商品収容室20の指定された商品収納コラム22まで搬送し、販売バケット40が、商品販売指令に応じて、商品収容室20の指定された商品収納コラム22の最前側の商品、すなわち該商品収納コラム22において最も先に収納された商品を取り出し、商品取出口6まで搬送するので、商品を補充する際には商品保管室10の前方から商品を投入するだけでよく、商品の補充作業を容易にして、商品の先入れ先出しを良好に実現することができる。
上記自動販売機1によれば、商品を起立姿勢で商品取出口6に搬送するので、利用者は該商品を取り出しやすくなり、利便性を向上させることができる。特に、商品収容室20で商品を起立姿勢で収容し、販売バケット40が選択された商品を起立姿勢を保持して搬送するので、商品販売時間を必要最小限にすることができる。
また、自動販売機1によれば、商品保管室10で常温状態で商品を保管し、販売に必要な数量だけの商品を商品収容室20で所望の温度状態に維持して収容するようにしたので、冷却、あるいは加熱に要するエネルギーの低減化を図ることができ、省エネルギー化を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されず種々の変更を行うことができる。例えば、本発明では、商品保管室と商品収容室とが自動販売機本体の内部において左右に区画される態様で設けてあっても良い。