JP4887086B2 - 薄膜除去方法及び薄膜除去装置 - Google Patents

薄膜除去方法及び薄膜除去装置 Download PDF

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本発明は、薄膜除去方法及び薄膜除去装置に関する。
更に詳しくは、薄膜が形成された基板にレーザ光を照射して薄膜の一部を除去するにあたり、薄膜を除去したい除去領域以外への熱影響を抑えて基板の割れ(クラック)の発生を防止すると共に、単位時間当たりの処理面積を向上させることができるようにした薄膜除去方法及び薄膜除去装置に関する。
プラズマディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイや薄膜太陽電池、あるいは透明複層薄膜構造製品等には、薄膜パターンが形成された基板が使用されている。この薄膜パターンが形成された基板は、基板表面の薄膜をレーザビームで除去することで得ることができる(例えば特許文献1等)。
特開2004−42140号公報
そして、基板上の薄膜(例えばガラス基板上のITO薄膜)の除去には、基板に熱影響を与えないように、短波長のレーザを使用することが有効であると言われている。即ち、長波長のレーザを使用すると、加工処理を施した部分以外(加工部の周辺)にも熱影響を与えてしまい、それが起因して基板に割れ(クラック)が発生しやすい。
しかしながら、例えば集光性が良好で精密加工に適している短波長の固体レーザ(YAGレーザ等)だけを用いて加工を施した場合、長波長から短波長への波長変換が必要になるので、高出力が得られずに単位時間当たりに処理できる面積が狭くなる。このため、全加工領域を処理するのに相当の時間を要してしまう。
そこで、短波長のレーザで十分なエネルギーを得るために、高出力のKrFエキシマレーザ等のガスレーザを使用してレーザビームの高出力化を行うことも考えられるが、そのためには装置導入に膨大なコストが必要となる。
また、KrFエキシマレーザ等のガスレーザだけで薄膜の加工を行う場合、レーザビームの高出力化に伴って、レーザ発振器内における光学部品の紫外光吸収による劣化や波長変換素子の劣化が進みやすく、その結果、消耗品が増加して交換作業が煩雑になるという欠点もある。
(本発明の目的)
そこで本発明の目的は、薄膜が形成された基板にレーザ光を照射して薄膜の一部を除去するにあたり、薄膜を除去したい除去領域以外への熱影響を抑えて基板の割れ(クラック)の発生を防止すると共に、単位時間当たりの処理面積を向上させることができるようにすることにある。
また本発明の他の目的は、上記した目的を達成できる薄膜除去装置を提供することにある。
その他の本発明の目的は以下の説明から明らかになろう。
上記目的を達成するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
本発明は、膜(1)が形成された基板(2)にレーザ光を照射して薄膜(1)の一部を除去する薄膜除去方法であって、上記基板(2)の薄膜(1)を除去したい除去領域(11)に赤外波長域のレーザ光(3)を照射するにあたり、該赤外波長域のレーザ光(3)を照射する前か、あるいは赤外波長域のレーザ光(3)の照射と同時に、上記除去領域(11)の境界となる部位(12a,12b)に紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を照射する、薄膜除去方法である。
また本発明は、薄膜(1)が形成された基板(2)にレーザ光を照射して薄膜(1)の一部を除去する薄膜除去方法であって、上記基板(2)の薄膜(1)を除去したい除去領域(11)に赤外波長域のレーザ光(3)を照射するにあたり、該赤外波長域のレーザ光(3)を照射する前か、あるいは赤外波長域のレーザ光(3)の照射と同時に、上記除去領域(11)の境界となる部位(12a,12b)に紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を照射する、薄膜除去方法である。
更に本発明は、薄膜(1)が形成された基板(2)にレーザ光を照射して薄膜の一部を除去する薄膜除去装置(5)であって、赤外波長域のレーザ光(3)を発振するレーザ発振器(31)と、紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を発振するレーザ発振器(41)と、上記基板(2)と赤外波長域のレーザ光(3)及び紫外波長域のレーザ光(4a,4b)とを相対的に移動させる移動手段と、上記赤外波長域のレーザ光(3)を照射する前か、あるいは赤外波長域のレーザ光(3)の照射と同時に、上記除去領域(11)の境界となる部位(12a,12b)に紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を照射できるように上記移動手段を制御する手段と、を備えている、薄膜除去装置である。
本発明によれば、薄膜が形成された基板に長波長のレーザ光を照射して広範囲の領域を除去するにあたり、薄膜を除去したい除去領域以外への熱影響を抑えて基板の割れ(クラック)の発生を防止できると共に、単位時間当たりの処理面積を向上させることができる。
本発明では、長波長のレーザ光と、短波長のレーザ光を使用する。長波長のレーザ光としては赤外波長域のレーザ光を挙げることができ、短波長のレーザ光としては、紫外波長域のレーザ光を挙げることができる。
また赤外波長域のレーザ光としては、YAGレーザもしくはYVO4レーザの基本波(1064nm)やファイバーレーザ(波長1060nm)が好適に使用できる。また紫外波長域のレーザ光としてはYAGレーザもしくはYVO4レーザの4倍波もしくは3倍波(波長266nmまたは355nm)が好適に使用できる。
そして、本発明では、基板の薄膜を除去したい除去領域に長波長のレーザ光を照射して広範囲の領域を除去するにあたり、該長波長のレーザ光を照射する前か、あるいは長波長のレーザ光の照射と同時に、または本質的同時に長波長のレーザ光よりも低い熱エネルギーを有する短波長のレーザ光を上記除去領域の境界となる部位に照射する。
上記した長波長のレーザ光と短波長のレーザ光の照射タイミングは、薄膜を除去したい除去領域の加工部位に対し、本質的に時間差を生じさせないか、殆ど時間差を生じさせない本質的に同一のタイミング(一段階の照射方法で)行うことが、加工効率を向上させる観点から好ましい。
ただし、薄膜材質の物性上、脆性破壊を容易に起こしやすい薄膜の場合、短波長のレーザ光と本質的に同一のタイミングで長波長のレーザ光を照射すると、熱影響のため生じる薄膜の割れが短波長のレーザ光による加工領域を超える恐れがある。そのような薄膜としては、例えば非晶質の酸化物薄膜などが挙げられる。
このため、特にそのような材質の薄膜の場合、薄膜を除去したい除去領域に対し、まず短波長のレーザ光を除去領域全体に先に照射した後、別タイミングとしてあらためて除去領域全体に長波長のレーザ光を照射する二段階の照射方法を採用することができる。これにより、上記した薄膜の材質に関わらず、長波長のレーザ光による熱影響に伴う薄膜の割れをより効果的に抑制することができる。
このように、本発明では、高価なKrFエキシマレーザ等のガスレーザではなく、安価で汎用的なYAGレーザもしくはYVO4レーザの使用が可能であるため、装置導入のためのコストを抑えることができる。また、KrFエキシマレーザ等のガスレーザのように高出力のレーザではないので、レーザ発振器内における光学部品の紫外光吸収による劣化や波長変換素子の劣化も進みにくい。よって、消耗品が増加して交換作業が煩雑になるというような欠点が生じにくい。
本発明で使用するレーザ光は、パルス発振のレーザ光であることが好ましい。パルス発振のレーザ光を使用することで、連続発振のレーザ光を使用した場合と比較して高いピークパワーが得られ、しかも、加工対象である基板への入熱を抑制して割れが発生してしまうような過度の熱影響を与えてしまうことを防止できる。またパルス発振の繰返し周波数は1kHz〜300kHzが好適に採用できる。
加工対象としては、基板がガラス基板であって、薄膜が酸化物または金属の単層で構成されているか、あるいは酸化物または/及び金属の複数層で構成されているものを挙げることができる。
具体的には、本発明により、ITO(インジウム錫オキサイド)、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、SiO2、SeO2、ZnO、Ag、Ag合金、Al 、Al合金、Ti 、Ti合金、Cu、Cu合金、Mo、Ta、Si、SiN、Cr等の薄膜を除去することができる。
また、赤外波長域のレーザ光または/及び紫外波長域のレーザ光を分岐して、薄膜にレーザ光を同時に複数照射すれば、レーザ光による加工点を増やして加工処理能力を向上させることができる。また、繰り返しとなる形状の加工を同一精度で同時に行うことができる。
本発明に係る薄膜除去装置によれば、加工対象である薄膜が形成された基板と、各レーザ発振器から発振させる赤外波長域のレーザ光及び紫外波長域のレーザ光とを移動手段によって相対的に移動させながら、加工を行う薄膜の一部を除去することができる。上記移動手段の制御は、例えばシーケンサー制御等の制御手段によって電気的に行うことができる。
また上記移動手段として、基板を載置でき、X軸移動、Y軸移動及びθ軸回転が可能なワークテーブルを設けることができる。このように、基板を載置したワークテーブルをX軸,Y軸,θ軸に調整することができるので、加工精度が向上すると共に、制御手段によって全自動化することで加工効率を向上せることができる。
本発明に係る薄膜除去装置としては、赤外波長域のレーザ光を照射するレーザ光学系を収容する構造体と、紫外波長域のレーザ光を照射するレーザ光学系を収容する構造体を備えており、該各構造体が気密性を有し、各レーザ光の照射部に構造体の気密性が妨げられることを防止する保護ガラスを備えているものが好ましい。
また、保護ガラスの表面側に向かって圧縮空気を放出するエアーブロー手段を備えているものがより好ましい。このエアーブロー手段が保護ガラスの表面側に向かって圧縮空気を放出することにより、薄膜を加工することで生じる塵または周辺雰囲気中の塵が保護ガラスに付着することを防止するか、あるいは保護ガラスに付着した塵を取り除くことができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明を図面に示した実施例に基づき更に詳細に説明する。
図1ないし図4は、本発明に係る薄膜除去方法及び薄膜除去装置の一実施例を説明するための図である。
図1は、薄膜除去方法を説明するための概略説明図であって、表面に薄膜1が形成された基板2に対し、二種類のレーザ光を照射している状態を示す側面視断面説明図である。
本実施例で説明する薄膜除去方法では、図1に示すように、薄膜1が形成された基板2(以下、「薄膜形成基板2」という。)に対して、二種類のレーザ光3、4a(4b)を照射して基板2表面の薄膜1の一部を除去する。本実施例では、薄膜形成基板2として、ITO層等の薄膜が形成されたガラス基板を例として挙げている。
詳しくは、薄膜形成基板2の薄膜1を除去したい除去領域11に赤外波長域のレーザ光3(以下、「赤外レーザ光3」という)を照射するにあたり、赤外レーザ光3を照射する前か、あるいは赤外レーザ光3の照射と同時にまたは本質的同時に、上記除去領域11の境界(本実施例では両端側)となる部位12a,12bに紫外波長域の各レーザ光4a,4b(以下、「紫外レーザ光4a,4b」という。)をそれぞれ照射する。これにより、赤外レーザ光3による熱影響が除去領域11以外の周辺部13,13に及ぶことを防止している。
この薄膜除去方法は、例えば以下に説明する薄膜除去装置5(図2参照)によって実施できる。
(薄膜除去装置5)
図2は、本発明に係る薄膜除去装置の一実施例を示す概略構成図である。
図2に示す薄膜除去装置5は、赤外レーザ光3を発振するレーザ発振器31(以下、「赤外レーザ発振器31」という)と、紫外レーザ光4a,4bを発振するレーザ発振器41(以下、「紫外レーザ発振器41」という)を備えている。
また薄膜除去装置5は、加工対象である基板2と赤外レーザ光3及び紫外レーザ光4a,4bとを相対的に移動させる移動手段として、ワークテーブル8(移動式テーブルともいう)を有している。ワークテーブル8は、基板2を載置でき、X軸移動、Y軸移動及びθ軸回転が可能である。
更に薄膜除去装置5を構成するレーザ光学系が、赤外レーザ発振器31と紫外レーザ発振器41にそれぞれ設けてある。レーザ光学系は反射鏡32,42や集光レンズ33,43,44等により構成され、各レーザ発振器31,41から発振されるレーザ光を伝送し、薄膜形成基板2の薄膜1の加工点へ照射する。
各レーザ発振器31,41と各レーザ光学系は、気密性を有する構造体である後述のケーシング6(図3参照。以下、「光学系密閉ケーシング6」という。)内に収容されている。この光学系密閉ケーシング6の詳細は後述する。
更に、紫外レーザ発振器41側(図2で左側)には、薄膜に所要の間隔をおいて紫外レーザ光4a,4bを同時に複数照射(本実施例では二箇所に)するために、紫外レーザ光4a,4bを分岐するレーザ光分岐手段であるレーザ光分岐器45が設けてある。そして、これに対応するように、複数の集光レンズ43,44が(本実施例では二箇所に)設置され、紫外レーザ発振器41から合計二本の紫外レーザ光4a,4bが同時に照射できるようになっている。
以上のような構成により、図1に示すように、薄膜形成基板2の薄膜を除去したい除去領域11に赤外レーザ光3を照射するにあたり、紫外レーザ光4a,4bを上記除去領域11の境界となる部位12a,12b、つまり、除去領域11を両側から挟みこむような両縁部分にそれぞれ照射する。紫外レーザ光4a,4bの照射タイミングは、赤外レーザ光3を照射する前か、あるいは赤外レーザ光3の照射と同時にまたは本質的同時に行う。
この各レーザ光3,4a,4bを照射することによる薄膜加工は、以下のように行う。即ち、まず、上記したワークテーブル8をX軸移動または/及びY軸移動させることによって照射位置を決定する。次に、本実施例の場合、図2に示すように、紫外レーザ発振器41と赤外レーザ発振器31をX軸方向に配設させると共に、合計二本の紫外レーザ光4a,4bの間に赤外レーザ光3を照射できるように設計されているので、上記ワークテーブル8をX軸移動させることにより、薄膜形成基板2を走査してX軸方向の加工を施す。
更に、ワークテーブル8をθ軸移動させて基板を例えば90度方向に回転させることにより、各レーザ光4a,4b,3の照射位置の配列(各レーザ発振器41,31の位置)を変えることなく、上記したX軸方向と90度交差する方向に加工を施す。
なお、上記したワークテーブル8の機械的な移動は、シーケンサー制御等によって電気的に行うことができる。
以上のような薄膜除去方法によれば、赤外レーザ光3による熱影響が除去領域11以外に及ぶことを防止しながら、単位時間当たりに加工面積の大きい薄膜加工が可能となる。
即ち、薄膜形成基板2の薄膜を除去したい除去領域11に、仮に赤外レーザ光3のみを照射した場合は、赤外レーザ光3による熱影響が上記除去領域11を越えて周辺部13,13(図1参照)まで及んでしまい、周辺部13,13に熱影響に伴う割れが発生する可能性が高い。
そこで、本実施例に係る薄膜除去方法では、上記したように、薄膜1を除去したい除去領域11に赤外レーザ光3を照射するにあたり、赤外レーザ光3を照射する前か、あるいは赤外レーザ光3の照射と同時にまたは本質的同時に、上記除去領域11の境界となる部位12a,12bに紫外レーザ光4a,4bを照射し、当該部分の薄膜を除去する。
これにより、除去領域11に赤外レーザ光3を照射しても、除去領域11の境界となる部位12a,12bの薄膜1が除去されているので、赤外レーザ光3の熱影響が除去領域11の境界部位12a,12bから周辺部13,13に伝わることを抑制または遮断することができ、その結果、周辺部13,13に熱影響による割れが発生することを防止できる。
つまり、単位時間当たりの処理面積を向上させるために赤外レーザ光3を用いる場合でも、紫外レーザ光4a,4bを併用することによって、加工部である除去領域11以外への熱影響を抑えて薄膜形成基板2の割れの発生を防止することができる。
(薄膜除去装置5の光学系密閉ケーシング6)
図3は、図2に示す薄膜除去装置を構成するレーザ発振器とレーザ光学系を収容する光学系密閉ケーシングを拡大して示した概略構成図である。
そのうち、図3(a)は光学系密閉ケーシングを正面から見た説明図、図3(b)は図3(a)の右側から見た側面視説明図、図3(c)は図3(b)の底面側から見た底面視説明図である。
なお、光学系密閉ケーシング6は、赤外レーザ光3の場合と紫外レーザ光4a,4bの場合もどちらも同じ構成であるため、図3としてまとめて図示している。
上記したように、赤外レーザ光3及び紫外レーザ光4a,4bの各レーザ発振器31,41と各レーザ光学系は、光学系密閉ケーシング6内に収容されており、内部の気密性が保たれている。これによって、レーザ光学系が外気と接触して、周辺雰囲気の塵等から汚染されることを防止している。各光学系密閉ケーシング6におけるレーザ光の照射部には、レーザ光の照射を妨げることなく、内部の気密性が妨げられることを防止する保護ガラス61が設けられている。
なお、図3(a)(b)ではレーザ光3(4a,4b)の照射方向を逆二等辺三角形で図示しており、図3(c)では模式的に丸で示している。
また本実施例では、各レーザ発振器31,41はレーザ光学系と共に、光学系密閉ケーシング6内に収容されているが、レーザ発振器31,41を光学系密閉ケーシング6の外に配置する構造を採用することもできる。
光学系密閉ケーシング6の先部側(保護ガラス61よりも前方側)には、エアーブロー手段を構成する圧縮空気の放出口71,72が所要数(本実施例では複数、後述するように二箇所に)設けてある。
放出口71,72は、圧縮空気の吹き付け方向がレーザ光3(4a,4b)の照射方向と例えば垂直に交差するように設置されている。これにより、放出口71,72から保護ガラス61の表面側(図3で下部側)に向かって圧縮空気を吹き付けることができ、保護ガラス61に付着した塵(薄膜を加工することで生じる塵や周辺雰囲気中の塵)を取り除くことができる。
更に本実施例では、放出口71,72は上下方向に所要の間隔をおいて二箇所設けてあり、各放出口71,72からは圧縮空気が線上に平行して放出できるようになっている。
また図3(b)に示すように、光学系密閉ケーシング6の先部側は、各レーザ光3の照射方向(下方向)と、圧縮空気の吹き付け方向(左方向の上下二本の矢印で示す)がそれぞれ開口している。更に、その他の方向には、図3(a)で左右両側にそれぞれ設けてある壁部である左側壁部62と右側壁部63、更に図3(b)で右側に設けてある放出口71,72が設置された壁部である背面壁部64が配設されている。
更に、本実施例では、各放出口71,72から放出される圧縮空気の流量が上下で互いに異なるように設定されている。即ち、保護ガラス61に近い方(図3で上側)の放出口71から放出される圧縮空気の流量が、他方(図3で下側)の放出口72から放出される流量よりも多くなるように設定されている。
この圧縮空気の流量の違いによって、保護ガラス61近傍の空気圧は、保護ガラス61からやや離れた前方の空気圧よりも高く設定されており、これによって空気の圧力勾配はレーザ光の照射方向に向かって低くなっている。このような構成により、保護ガラス61近傍の空気圧が保護ガラス前方の空気圧に比べて負圧になることを防いで、空気の流れが保護ガラス61の表面側に向かうことを防止している。これによって、薄膜を加工することで生じる塵または周辺雰囲気中の塵が、その空気の流れにのって保護ガラス61の表面に付着することを防止している。
(実験例)
図4は、本実施例に係る薄膜除去方法と、本実施例とは異なる薄膜除去方法である比較例で薄膜を除去した各結果の写真を描いた図である。
そのうち、図4(a)は、赤外レーザ光のみで加工した場合(比較例1)を示し、図4(b)は紫外レーザ光のみで加工した場合(比較例2)を示し、図4(c)は赤外レーザ光と紫外レーザ光の両方で加工した場合(本実施例)を示している。
図4を参照して、比較例と本実施例を比較し、異なる薄膜除去方法によって薄膜の加工結果がどのように違うのかを考察する。なお、本実験では、加工対象はどちらも同じガラス基板上のITO薄膜である。
図4(a)に示すように、比較例1である赤外波長のレーザ光のみで加工した場合、左側側の白い部分で表されている領域が加工部11a(除去領域)であり、その周辺13a(広い部分の右側)に熱影響が見られ、更にその熱影響に起因する割れが発生していることが分かる。
また図4(b)で示すように、比較例2である紫外レーザ光のみで加工した場合、加工部11bの周辺部13a,13aには熱影響が見られないものの、加工部11b自体の面積が小さいことが分かる。
これに対し、図4(c)に示す本実施例の除去方法では、赤外レーザ光の加工部11c及び紫外レーザ光の加工部11dの周辺部13aに熱影響は見られなかった。また得られた全体の加工面積は、図示していないが、比較例1である赤外レーザ光だけで行った場合(図4(a)の比較例)よりも広い結果となった。
なお、本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
更に、特許請求の範囲には、請求項記載の内容の理解を助けるため、図面において使用した符号を括弧を用いて記載しているが、特許請求の範囲を図面記載のものに限定するものではない。
本発明に係る薄膜除去方法の一実施例を説明するための概略説明図。 本発明に係る薄膜除去装置の一実施例を示す概略構成図。 図2に示す薄膜除去装置を構成するレーザ発振器とレーザ光学系を収容する光学系密閉ケーシングを拡大して示した概略構成図。 本実施例と比較例での薄膜を除去した結果の写真を描いた図。
符号の説明
1 薄膜
2 基板
3 赤外波長域のレーザ光
4a,4b 紫外波長域のレーザ光
12a,12b
13 周辺部
31 赤外レーザ発振器
32,42 反射鏡
33,43,44 集光レンズ
45 レーザ光分岐器
5 薄膜除去装置
6 光学系密閉ケーシング
61 保護ガラス
62 左側壁部
63 右側壁部
64 背面壁部
71,72 放出口
8 ワークテーブル

Claims (10)

  1. 薄膜(1)が形成された基板(2)にレーザ光を照射して薄膜(1)の一部を除去する薄膜除去方法であって、
    上記基板(2)の薄膜(1)を除去したい除去領域(11)に赤外波長域のレーザ光(3)を照射するにあたり、
    赤外波長域のレーザ光(3)を照射する前か、あるいは赤外波長域のレーザ光(3)の照射と同時に、上記除去領域(11)の境界となる部位(12a,12b)に紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を照射する、
    薄膜除去方法。
  2. 赤外波長域のレーザ光(3)の波長が1060nmまたは1064nmであり、紫外波長域のレーザ光(4a,4b)の波長が266nmまたは355nmである、
    請求項1記載の薄膜除去方法。
  3. 赤外波長域のレーザ光(3)または/及び紫外波長域のレーザ光(4a,4b)がパルス発振のレーザである、
    請求項1または2記載の薄膜除去方法。
  4. 基板(2)がガラス基板であり、薄膜(1)が酸化物または金属の単層で構成されているか、あるいは酸化物または/及び金属の複数層で構成されている、
    請求項1ないし3のいずれか一項に記載の薄膜除去方法。
  5. 赤外波長域のレーザ光(3)または/及び紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を分岐して、薄膜(1)にレーザ光を同時に複数照射する、
    請求項1ないし4のいずれか一項に記載の薄膜除去方法。
  6. 薄膜(1)が形成された基板(2)にレーザ光を照射して薄膜の一部を除去する薄膜除去装置(5)であって、
    赤外波長域のレーザ光(3)を発振するレーザ発振器(31)と、
    紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を発振するレーザ発振器(41)と、
    上記基板(2)と赤外波長域のレーザ光(3)及び紫外波長域のレーザ光(4a,4b)とを相対的に移動させる移動手段と、
    上記赤外波長域のレーザ光(3)を照射する前か、あるいは赤外波長域のレーザ光(3)の照射と同時に、上記除去領域(11)の境界となる部位(12a,12b)に紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を照射できるように上記移動手段を制御する手段と、
    を備えている、
    薄膜除去装置。
  7. 基板(2)と赤外波長域のレーザ光(3)及び紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を相対的に移動させる移動手段は、基板(2)を載置でき、X軸移動、Y軸移動及びθ軸回転が可能なワークテーブル(8)を備えている、
    請求項6記載の薄膜除去装置。
  8. 薄膜(1)に所要の間隔をおいて紫外波長域のレーザ光(4a,4b)を同時に複数照射するために、該レーザ光を分岐するレーザ光分岐手段(45)を備えている、
    請求項6または7記載の薄膜除去装置。
  9. 赤外波長域のレーザ光(3)を照射するレーザ光学系を収容する構造体(6)と、紫外波長域のレーザ光(3)を照射するレーザ光学系を収容する構造体(6)との何れかまたは双方を備え、
    該各構造体(6)は気密性を有しており、各レーザ光の照射部に構造体(6)の気密性を妨げられることを防止する保護ガラス(61)を備えている、
    請求項6ないし8のいずれか一項に記載の薄膜除去装置。
  10. 保護ガラス(61)の表面側に向かって圧縮空気を放出するエアーブロー手段(71,72)を備えている、
    請求項ないし9のいずれか一項に記載の薄膜除去装置。
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