JP2005238291A - レーザ加工方法及びレーザ加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】下地基板と薄膜とが積層された加工対象物にレーザビームを照射して凹部を形成したとき、凹部近傍において下地基板と薄膜との密着性が損なわれることを抑制できるレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】(a)下地基板上に第1の層が形成された加工対象物であって、第1の波長の光に対して、下地基板の表層部の光吸収係数が、第1の層の光吸収係数より大きい加工対象物に、第1の波長を有する第1のレーザビームを照射して、第1のレーザビームが照射された部分の第1の層と下地基板との密着性を高める工程と、(b)工程(a)と同時に、または工程(a)の後に、加工対象物の表面上の、工程(a)で第1のレーザビームが照射される領域に隣接する領域に、第2のレーザビームを照射し、第2のレーザビームが照射された部分の第1の層及び前記下地基板の表層部を除去して、凹部を形成する工程とを行う。
【選択図】図1(B)

Description

本発明は、レーザ加工方法及びレーザ加工装置に関し、特に、複数の異なる材料からなる層が積層された構造を有する加工対象物にレーザを照射して、加工対象物表面に凹部を形成するレーザ加工方法及びそれに用いることができるレーザ加工装置に関する。
レーザビームは、加工対象物に穴や溝等の凹部を形成する加工に用いられている。複数の異なる材料からなる層が積層された加工対象物にレーザビームを照射して凹部を形成したいことがある。
例えば、特許文献1には、プラスチックからなる下地基板に金からなる薄膜が積層された加工対象物に、精度良く穴を開けることができるレーザ加工装置が記載されている。以下、このレーザ加工装置について説明する。
このレーザ加工装置は、2台のレーザ光源(ともに、4倍高調波の発生ユニットを含むYAGレーザ)を有し、1台のレーザ光源は、パルス幅がpsオーダのパルスレーザビームを出射し、他の1台のレーザ光源は、パルス幅がnsオーダのパルスレーザビームを出射する。2台のレーザ光源から出射するパルスレーザビームを、時間的に同期させ、同一光軸上に重畳して、加工対象物の表面(金薄膜の表面)に照射する。被加工点において、psオーダのパルスレーザビームにより、金薄膜に開口が形成される。さらに、nsオーダのパルスレーザビームにより、開口の底面に露出したプラスチックの下地基板に穴が形成される。
このような加工対象物に、1台の光源から出射し、パルス幅がnsオーダのパルスレーザビームを照射して穴を形成する場合を考える。これは、特許文献1記載の発明の従来技術に対応する。このような場合、金とプラスチックの加工閾値が大きく異なるため、穴が良好に形成されない。例えば、被加工位置で金薄膜の加工に適したパルスエネルギ密度のパルスを照射すると、金薄膜には良好に開口が形成されるが、その下のプラスチックの下地基板が過剰に溶融し、下地基板に形成される穴の加工精度を高められない(穴の内部形状を良好に制御できない)。上述のレーザ加工装置では、psオーダでパルスエネルギ密度は低いがピーク強度の高いレーザビームで金薄膜に開口を形成し、nsオーダでプラスチックの加工に適したパルスエネルギ密度のレーザビームで下地基板に穴を形成することにより、加工精度を高めている。
特開2001−85765号公報
さて、下地基板の表面に薄膜が形成された加工対象物の表面に(薄膜の表面に)、レーザビームを照射し、薄膜と下地基板の表層部の少なくとも一部を除去して、凹部を形成することを考える。このとき、薄膜を構成する素材及び下地基板の表層部を構成する素材に応じて、レーザ照射に伴う熱変形により、凹部近傍において薄膜と下地基板とが剥離する(薄膜と下地基板との密着性が損なわれる)問題が生じることがある。
本発明の一目的は、下地基板と薄膜とが積層された加工対象物にレーザビームを照射して凹部を形成したとき、凹部近傍において下地基板と薄膜との密着性が損なわれることを抑制できるレーザ加工方法及びそれに用いることができるレーザ加工装置を提供することである。
本発明の第1の観点によれば、(a)下地基板上に第1の層が形成された加工対象物であって、第1の波長の光に対して、該下地基板の表層部の光吸収係数が、該第1の層の光吸収係数より大きい該加工対象物に、該第1の波長を有する第1のレーザビームを照射して、該第1のレーザビームが照射された部分の該第1の層と該下地基板との密着性を高める工程と、(b)前記工程(a)と同時に、または該工程(a)の後に、前記加工対象物の表面上の、前記工程(a)で第1のレーザビームが照射される領域に隣接する領域に、第2のレーザビームを照射し、該第2のレーザビームが照射された部分の前記第1の層及び前記下地基板の表層部を除去して、凹部を形成する工程とを含むレーザ加工方法が提供される。
本発明の第2の観点によれば、(a)下地基板上に第1の層が形成された加工対象物であって、第1の波長の光に対して、該下地基板の表層部の光吸収係数が、該第1の層の光吸収係数より大きい該加工対象物に、第1のレーザビームを照射し、該第1のレーザビームが照射された部分の前記第1の層及び前記下地基板の表層部を除去して、凹部を形成する工程と、(b)前記工程(a)の後に、前記加工対象物の表面上の、前記工程(a)で第1のレーザビームが照射された領域に隣接する領域に、前記第1の波長を有する第2のレーザビームを照射して、該第2のレーザビームが照射された部分の該第1の層と該下地基板とを接合する工程とを含むレーザ加工方法が提供される。
本発明の第1の観点によるレーザ加工方法では、凹部近傍において、下地基板と第1の層との密着性を高めてから、または密着性を高めるのと同時に、凹部が形成される。これにより、凹部形成に伴い、その近傍で下地基板と第1の層との密着性が損なわれることが抑制される。
本発明の第2の観点によるレーザ加工方法では、凹部形成後に、凹部に隣接する領域において、下地基板と第1の層との接合を行う。これにより、凹部形成に伴い、その近傍で下地基板と第1の層との密着性が損なわれることが抑制される。
図1(A)を参照して、本発明の実施例によるレーザ加工方法に用いられるレーザ加工装置について説明する。レーザ光源1aが、パルスレーザビームLaを出射する。パルスレーザビームLaは、例えば、YAGレーザの第3高調波(波長355nm)であり、そのパルス幅及びパルス周波数は、数10〜数100ns及び数kHzである。パルス幅は、より具体的には、例えば90nsである。レーザ光源1aを出射したレーザビームLaが、ビーム径を変化させるエキスパンダ7aを通過し、折り返しミラー2aで反射され、レンズ4に入射する。
レーザ光源1bが、パルスレーザビームLbを出射する。パルスレーザビームLbは、例えば、YAGレーザの基本波(波長1064nm)であり、そのパルス幅及びパルス周波数は、例えば、数ms及び数百Hzである。パルス幅は、より具体的には、例えば2msである。レーザ光源1bを出射したレーザビームLbが、ビーム径を変化させるエキスパンダ7bを通過し、折り返しミラー2b及び3aで反射される。折り返しミラー3aで反射されたレーザビームLbの経路と、レンズ4に入射するレーザビームLaの経路とが交わる。
折り返しミラー3aで反射されたレーザビームLbのうち、断面内の一部(例えば半分)の領域を通過した成分が、レーザビームLaと交差する前に、折り返しミラー3bで反射される。折り返しミラー3bで反射されたレーザビームLb1が、レンズ4に入射するレーザビームLaと平行に進行するように、かつ、レーザビームLb1のビーム断面が、レンズ4に入射するレーザビームLaのビーム断面と接するように、折り返しミラー3bが配置されている。レーザビームLb1が、レンズ4に入射する。
折り返しミラー3aで反射されたレーザビームのうち、折り返しミラー3bで反射されなかった成分(例えば半分の成分)が、レーザビームLaと交差した後、折り返しミラー3cで反射される。折り返しミラー3cで反射されたレーザビームLb2が、レンズ4に入射するレーザビームLaと平行に進行するように、かつ、レーザビームLb2のビーム断面が、レンズ4に入射するレーザビームLaのビーム断面と接するように、折り返しミラー3cが配置されている。レーザビームLb2が、レンズ4に入射する。
レンズ4に入射する3本のレーザビームLb1、La及びLb2を、レーザビームの進行方向と直交する仮想的な面で切った断面を考える。その面上で、レーザビームLaのビーム断面を、レーザビームLb1及びLb2のビーム断面が挟むように、3つのビーム断面が並ぶ。
3本のレーザビームLb1、La及びLb2がレンズ4で収束されて、加工対象物である基板5の表面に照射される。レンズ4として、レーザビームLa及びLbの波長に対して反射率を小さくするコーティングが施されているものを用いる。
XYステージ6が、基板5を保持する。XYステージ6は、基板5を、基板表面に平行な2次元方向に移動させることができる。これにより、基板表面上の3つのビームスポットを、基板表面に対して相対的に移動させる(基板表面上でレーザビームを走査する)ことができる。
エキスパンダ7aにより、エキスパンダ7aから出射したレーザビームLaのビーム断面の大きさと、レンズ4から出射したレーザビームLaの焦点位置(ビームスポットが最小となる位置)とを調節することができる。エキスパンダ7bにより、エキスパンダ7bから出射したレーザビームLbのビーム断面の大きさと、レンズ4から出射したレーザビームLb1及びLb2の焦点位置を調節することができる。これにより、基板表面上におけるレーザビームLa、Lb1、Lb2のビームスポットの大きさとパルスエネルギ密度を調節することができる。
基板表面上で、レンズ4により収束されたレーザビームLbのビームスポットが、レンズ4により収束されたレーザビームLaのビームスポットより大きくなるように、レーザビームLa及びLbのビーム径が調節される。
なお、平行光のレーザビームをエキスパンダから出射させれば、レンズ4の焦点位置でレーザビームが焦点を結ぶ(ビームスポットが最小となる)。広がりながら進行するレーザビームをエキスパンダから出射させれば、レンズ4の焦点位置より遠い距離でレーザビームが焦点を結ぶ。絞られながら進行するレーザビームをエキスパンダから出射させれば、レンズ4の焦点位置より近い距離でレーザビームが焦点を結ぶ。
次に、図1(B)及び図2(A)を参照して、本発明の実施例によるレーザ加工方法について説明する。図1(B)は、基板5の断面図である。基板5は、ガラスからなる板状の母体11a及び母体11aの表面に形成された樹脂層11bを有する下地基板11と、下地基板11の表面に(樹脂層11bの表面に)形成された表層12とを含んで構成される。樹脂層11bは、例えば、ABS(アクリルブタジエンスチレン)樹脂等の熱可塑性樹脂や、ポリイミド系樹脂やアクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂からなる。表層12は、例えば、ポリイミド系樹脂等の熱硬化性樹脂や、ITO等の導電性金属酸化物からなるポリイミド系樹脂やITOからなる。表層12がITOからなるとき、そのうち必要な部分以外が除去されることにより、基板表面に電極が形成される。このとき、樹脂層11bは絶縁層として機能する。
樹脂部材の光吸収特性(または光透過特性)は、例えば、その樹脂部材に顔料が添加されているかどうかによって、または、添加された顔料の種類や濃度によって異なりうる。樹脂層11b及び表層12がともにポリイミド系樹脂である場合であっても、例えば両層に添加された顔料がそれぞれ異なることにより、同一波長に対する光吸収特性が、両層で異なる。
表層12が、レーザビームLb(つまり、レーザビームLb1及びLb2)をほとんど透過させ、樹脂層11bが、レーザビームLbをほとんど吸収するように、レーザビームLbの波長が選ばれている(このとき、この波長における樹脂層11bの吸収係数は、表層12のそれより大きい)。
基板表面上の、レーザビームLb1が照射された領域において、レーザビームLb1が、表層12を透過し、樹脂層11bの表面で吸収される。これにより、樹脂層11bの表面が溶融し、レーザビームLb1が照射された領域で、樹脂層11bと表層12との密着性が高まる。同様に、基板表面上の、レーザビームLb2が照射された領域において、レーザビームLb2が、表層12を透過し、樹脂層11bの表面で吸収される。これにより、樹脂層11bの表面が溶融し、レーザビームLb2が照射された領域で、樹脂層11bと表層12との密着性が高まる。樹脂層11bを溶融させて、表層12との密着性を向上させるのに適したレーザビームLbの波長は、700nm程度〜5μm程度である。
基板表面上の、レーザビームLaが照射された領域において、表層12及び樹脂層11bが、アブレーションにより、または両層が溶融し蒸発することにより除去されて、底に母体11aの表面が露出した凹部13が形成される。このような、凹部形成に適したレーザビームLaの波長は、250nm程度〜550nm程度である。パルスレーザビームLaとして、より具体的には、YAGレーザの第4高調波(波長266nm)、第3高調波(波長355nm)、第2高調波(波長532nm)を用いることができる。なお、基板表面上におけるパルスレーザビームLaのピークパワー密度が、パルスレーザビームLb1及びLb2のそれより高くなるように、レーザ光源1a及び1bの出力が調節されている。
図2(A)は、基板5の平面図である。ビームスポットと基板5との相対位置を固定して、レーザビームLa及びLbを照射したと考えたときに、基板表面上において、ビームスポットが以下のように配置される。レーザビームLb1のビームスポットSb1、レーザビームLaのビームスポットSa、及び、レーザビームLb2のビームスポットSb2が、一方向(これを、第1の方向と呼ぶ)に並ぶ。ビームスポットSaが、ビームスポットSb1とSb2の間に配置され、ビームスポットSb1とSaとが接し、ビームスポットSb2とSaとが接する。
基板5を、第1の方向と交差する方向(例えば、第1の方向と直交する方向)である第2の方向に移動させる。これにより、基板表面に対して、ビームスポットSb1、Sa、及びSb2が、第2の方向と反対向きに移動する。
ビームスポットと基板5との相対位置を固定して、レーザビームLa及びLbを照射したと考えたときに、ビームスポットの移動の向きについて、ビームスポットSb1及びSb2の先端が、ビームスポットSaの先端より前に位置する。これは、基板表面上のレーザビームLbのビームスポットを、レーザビームLaのビームスポットより大きくしたことに対応する。
さて、上述のように基板5を移動させながら、レーザビームLb1及びLb2の照射を繰り返す。これにより、それぞれレーザビームLb1及びLb2で、樹脂層11bと表層12との密着性が高められた領域Ab1及びAb2が、第2の方向に長くなる。また、レーザビームLb1及びLb2の照射と並行して、レーザビームLaの照射を繰り返す。レーザビームLaの各ショットにより形成される凹部の開口同士が、第2の方向について部分的に重なるようにすることにより、第2の方向に長い溝Aaが形成される。
基板上を移動するビームスポットSaの軌跡の両側方に、それぞれ、ビームスポットSb1及びSb2の軌跡が配置される。樹脂層11bと表層12との密着性が高められた領域Ab1とAb2とに挟まれるように、溝Aaが配置される。
ビームスポットSb1及びSb2の先端を、ビームスポットSaの先端より前に位置させることにより、レーザビームLaが照射されるとき、ビームスポットSaの側方の領域に、既にレーザビームLb1及びLb2が照射された状態にできる。つまり、既に樹脂層11bと表層12との密着性が高められた領域の間に、凹部を形成することができる。凹部近傍の樹脂層11bと表層12との境界で、両層が剥離する不具合を抑制することができる。ただし、以下に説明するような条件が満たされる必要がある。
パルスレーザビームLaのパルス周波数が数kHzであり、パルスレーザビームLbのパルス周波数が数百Hzであるとき、パルスレーザビームLbが照射されていない期間に、パルスレーザビームLaが複数ショット照射されることが起こる。
パルスレーザビームLbが照射されていない期間に(パルスレーザビームLbのあるショットが照射されてから、その次のショットが照射されるまでの期間に)、基板5が移動するとき、この期間に照射されたパルスレーザビームLaのビームスポットSaが、基板上で前進する。例えば基板5の移動速度が速すぎると、前記あるショットに対応するビームスポットSb1またはSb2の先端よりも、ビームスポットSaの先端が、前に配置される状況が生じ得る。言い換えると、パルスレーザビームLbの前記あるショットが照射されてから、その次のショットが照射されるまでに、前記あるショットに対応するビームスポットSb1またはSb2を、ビームスポットSaが、いわば追い越すことが起こり得る。
このような状況が生じると、ビームスポットSaの側方の領域に、レーザビームLb1及びLb2が未照射の状態で、レーザビームLaが照射されてしまう。本実施例において、基板5の移動速度及びパルスレーザビームLa及びLbのパルス周波数は、このような状況が生じないような条件に設定されている。
なお、レーザビームLb1及びLb2が照射されるのは、ビームスポットの移動の向きについて、凹部の側方である。凹部の前方の領域は、レーザビームLb1及びLb2が照射されないので、密着性があまり高められない。しかし、そのような部分は、溝の形成に伴い除去される。
このように、側方にレーザビームを照射しながら溝Aaを形成することにより、溝Aaの側方領域の樹脂層11bと表層12との境界で、両層の密着性が損なわれる不具合が抑制される。
なお、基板5の移動速度が速すぎると、基板上で、あるショットのビームスポットSb1と、その次のショットのビームスポットSb1とが重ならなくなる。このような場合、あるショットで密着性が高められた領域と、その次のショットで密着性が高められた領域との間に、密着性が高められない隙間ができてしまう(ビームスポットSb2についても同様である)。基板5の移動速度は、このような隙間ができない程度に遅くする。
必要に応じて、レーザビームLbを連続波レーザビームとすることもできる。例えば、半導体レーザが出射する波長808nmの連続波レーザビームを用いることができる。連続波レーザビームを用いれば、基板5の移動速度を速くしても、密着性が高められない隙間が生じない。また、上述のように、ビームスポットSb1またはSb2を、ビームスポットSaが追い越すことが起こらない。
凹部の側方にレーザビームLb1及びLb2が照射されるタイミングは、凹部形成と同時でも構わない。例えば、ビームスポットSb1及びSb2が小さく、それらの先端が、ビームスポットSaの先端より前に位置しない場合でも、凹部形成と同時に、凹部の側方領域にレーザビームLb1及びLb2を照射して、その領域の密着性を高めることが可能である。
レーザビームLb1及びLb2の基板表面でのパルスエネルギ密度(またはパワー密度)が大きすぎると、樹脂層11bが蒸発してしまい、樹脂層11bと表層12との密着性を高められない。レーザビームLb1及びLb2の基板表面でのパルスエネルギ密度(またはパワー密度)は、樹脂層11bが蒸発しない程度の大きさとする。
上述したレーザ加工方法では、凹部の開口同士が重なるようにして溝を形成したが、凹部の開口同士が重ならないようにして、穴を形成してもよい。穴に隣接する領域にレーザビームLb1及びLb2が照射されることにより、その領域の樹脂層11bと表層12との密着性を高められる。レーザビームLb1及びLb2が照射された領域について、両層が剥離することが抑制される。
上述したレーザ加工方法では、図2(A)に示したように、ビームスポットSb1、Sa及びSb2が、一方向に並んで配置される場合を説明したが、図2(B)に示すように、3つのビームスポットが、一方向に並ばない配置でも構わない。これは、例えば、図1(A)に示したレーザ加工装置において、折り返しミラー3aで反射されたレーザビームLbの経路と、レンズ4に入射するレーザビームLaの経路とが交わらないようにした場合に対応する。
図2(B)に示したビームスポットSb1とSb2とを結ぶ方向を第3の方向とする。ビームスポットSaの第3の方向に関する位置が、ビームスポットSb1とSb2との間に存在するように、ビームスポットSaを配置する。基板5を、第3の方向と交差する方向(例えば、第3の方向と直交する方向)に移動させながら、レーザビームLb1、La及びLb2を照射する。ビームスポットSaの軌跡の両側方に、それぞれ、ビームスポットSb1及びSb2の軌跡が配置される。
ビームスポットの移動の向きについて、ビームスポットSb1及びSb2の先端が、ビームスポットSaの先端より前に位置するように、3つのビームスポットを配置すれば、上述したように、溝の側方の密着性を高めながら、溝を形成することができる。なお、上述したように、パルスレーザビームLbが照射されない期間に、ビームスポットSb1またはSb2をビームスポットSaが追い越さないように、基板5の移動速度及びパルスレーザビームLa及びLbのパルス周波数が設定される。
なお、図2(C)に示すように、ビームスポットの移動の向きについて、ビームスポットSb1及びSb2の先端が、ビームスポットSaの先端より後方に位置している場合を考える。例えば、このような場合、レーザビームLaで形成される凹部の側方領域の密着性が高められる前に(凹部の側方領域にレーザビームLb1及びLb2が照射される前に)、凹部が形成される。このとき、凹部形成に伴って、その側方領域の樹脂層11bと表層12とが剥離し易い。
ただし、この凹部の側方を、凹部形成後にビームスポットSb1及びSb2が通過する。この凹部の側方で、樹脂層11bと表層12とが剥離した場合でも、そこにレーザビームLb1またはLb2が照射されることにより、剥離した両層が接合される効果が期待できる。よって、このような場合でも、形成される溝の側方領域の樹脂層11bと表層12との境界で、両層の密着性が損なわれる不具合が抑制されると考えられる。
なお、図3(A)に示すように、基板上において、ビームスポットの移動の向きに関して、ビームスポットSaの前方に、ビームスポットSaより広い幅を有する形状のビームスポットSbが配置されるようにしてもよい。ビームスポットSaが、基板に凹部を形成するレーザビームLaのビームスポットであり、ビームスポットSbが、樹脂層11bと表層12との密着性を高めるレーザビームLbのビームスポットである。
このようなビームスポットの配置は、例えば、以下のようにして得られる。図1(A)に示したレーザ加工装置において、折り返しミラー3aで反射されたレーザビームLbの経路と、レンズ4に入射するレーザビームLaの経路とが交わらないようにし、折り返しミラー3b及び3cの代わりに、1枚の折り返しミラーを配置する。この折り返しミラーでレーザビームLbを反射して、レンズ4で収束させて基板上に照射すればよい。
また、図3(B)に示すように、ビームスポットSbの内部に、ビームスポットSaが配置されるようにしてもよい。ビームスポットSaが、基板に凹部を形成するレーザビームLaのビームスポットであり、ビームスポットSbが、樹脂層11bと表層12との密着性を高めるレーザビームLbのビームスポットである。例えば、レーザビームLaを、基板表面に垂直入射させ、レーザビームLbを、基板表面に斜めから入射させることにより、このようにビームスポットを配置させることができる。
図3(A)及び図3(B)に示した場合双方について、ビームスポットSbの軌跡の幅方向の一端から他端までの間に、ビームスポットSaの軌跡の幅方向の一端から他端までが含まれるように、ビームスポットSa及びSbが配置される。これにより、溝Aaの側方に、密着性が高められた領域Abが配置される。
また、ビームスポットの移動の向きに関して、ビームスポットSbの先端が、ビームスポットSaの先端より前に位置する。これにより、溝の側方の密着性を高めながら、溝を形成することができる。なお、パルスレーザビームLbが照射されない期間に、ビームスポットSbをビームスポットSaが追い越さないように、基板5の移動速度及びパルスレーザビームLa及びLbのパルス周波数が設定される。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
本発明の実施例によるレーザ加工装置の概略図である。 実施例によるレーザ加工方法を説明するための基板の断面図である。 実施例によるレーザ加工方法を説明するための基板の平面図である。 第1の変形例によるレーザ加工方法を説明するための基板の平面図である。 第2の変形例によるレーザ加工方法を説明するための基板の平面図である。 第3の変形例によるレーザ加工方法を説明するための基板の平面図である。 第4の変形例によるレーザ加工方法を説明するための基板の平面図である。
符号の説明
1a、1b レーザ光源
2a、2b、3a、3b、3c 折り返しミラー
4 レンズ
5 基板
6 XYステージ
7a、7b エキスパンダ
11a 母体
11b 樹脂層
11 下地基板
12 表層
Sa、Sb1、Sb2 (基板表面上の)ビームスポット

Claims (8)

  1. (a)下地基板上に第1の層が形成された加工対象物であって、第1の波長の光に対して、該下地基板の表層部の光吸収係数が、該第1の層の光吸収係数より大きい該加工対象物に、該第1の波長を有する第1のレーザビームを照射して、該第1のレーザビームが照射された部分の該第1の層と該下地基板との密着性を高める工程と、
    (b)前記工程(a)と同時に、または該工程(a)の後に、前記加工対象物の表面上の、前記工程(a)で第1のレーザビームが照射される領域に隣接する領域に、第2のレーザビームを照射し、該第2のレーザビームが照射された部分の前記第1の層及び前記下地基板の表層部を除去して、凹部を形成する工程と
    を含むレーザ加工方法。
  2. 前記加工対象物の表面において、前記第1及び第2のレーザビームのビームスポットを共通の向きに移動させながら、前記工程(a)及び工程(b)を行い、該第1及び第2のレーザビームのビームスポットの配置及び移動方向が、該第2のレーザビームのビームスポットの軌跡の側方に、該第1のレーザビームのビームスポットの軌跡が配置されるように設定されている請求項1に記載のレーザ加工方法。
  3. 前記第1及び第2のレーザビームのビームスポットと、前記加工対象物との相対位置を固定して、両レーザビームを照射したと考えたとき、前記第1及び第2のレーザビームのビームスポットの移動の向きに対して、該第1のレーザビームのビームスポットの先端が、該第2のレーザビームのビームスポットの先端よりも前に配置される請求項2に記載のレーザ加工方法。
  4. 前記第1のレーザビームがパルスレーザビームであり、該第1のレーザビームのあるショットが照射されてから、該あるショットの次のショットが照射されるまでの期間に、該あるショットに対応する該第1のレーザビームのビームスポットの先端より前に、前記第2のレーザビームのビームスポットの先端が位置しないように、ビームスポットの移動速度及び該第1のレーザビームのパルス周波数が設定されている請求項3に記載のレーザ加工方法。
  5. (a)下地基板上に第1の層が形成された加工対象物であって、第1の波長の光に対して、該下地基板の表層部の光吸収係数が、該第1の層の光吸収係数より大きい該加工対象物に、第1のレーザビームを照射し、該第1のレーザビームが照射された部分の前記第1の層及び前記下地基板の表層部を除去して、凹部を形成する工程と、
    (b)前記工程(a)の後に、前記加工対象物の表面上の、前記工程(a)で第1のレーザビームが照射された領域に隣接する領域に、前記第1の波長を有する第2のレーザビームを照射して、該第2のレーザビームが照射された部分の該第1の層と該下地基板とを接合する工程と
    を含むレーザ加工方法。
  6. 第1のレーザビームを出射するレーザ光源と、
    第2のレーザビームを出射するレーザ光源と、
    該第2のレーザビームの一部と、該第2のレーザビームの他の一部とを、前記加工対象物の表面上の互いに異なる位置に照射する光学系と
    前記第1及び第2のレーザビームが入射する位置に、加工対象物を保持し、該加工対象物を第1の方向に移動させる保持台と
    を有し、
    前記保持台が、加工対象物を前記第1の方向に移動させたとき、加工対象物の表面上で、前記第1のレーザビームのビームスポットの軌跡の両側方に、前記第2のレーザビームの2つのビームスポットの軌跡が配置されるように、前記光学系が、加工対象物表面上に該第2のレーザビームの2つのビームスポットを配置するレーザ加工装置。
  7. 前記光学系が、前記第2のレーザビームのビーム断面内の第1の領域を通過する成分を反射して、反射されたレーザビームが前記第1のレーザビームと平行に進行するようにする第1の鏡、及び、該第2のレーザビームのビーム断面内の該第1の領域以外の領域の少なくとも一部を通過する成分を反射して、反射されたレーザビームが前記第1のレーザビームと平行に進行するようにする第2の鏡とを有し、該第1の鏡で反射されたレーザビームの断面と該第1のレーザビームの断面とが接し、該第2の鏡で反射されたレーザビームの断面と該第1のレーザビームの断面とが接する請求項6に記載のレーザ加工装置。
  8. 前記第1のレーザビームの波長が250nm〜550nmであり、前記第2のレーザビームの波長が700nm〜5μmである請求項6または7に記載のレーザ加工装置。
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