関連出願
本出願は、2013年3月15日に提出された米国仮特許出願第61/793,589号の本出願であり、当該出願の内容はその全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
著作権表示
(c) 2014 Electro Scientific Industries, Inc.この特許文書の開示の一部には、著作権保護を受ける構成要素が含まれている。この特許文書又は特許開示は米国特許商標庁の特許ファイル又は記録に記載されているので、著作権者は、いかなる者による特許文書又は特許開示のファクシミリによる複製に対して異議を唱えることはないが、それ以外についてはどのようなものであってもすべての著作権を留保する。米国連邦規則集第37巻第1.71条(d)。
本出願は、ワークピース内に特徴部を加工するためのレーザシステム及び方法に関するものであり、特にワークピースに形成された切り込みのテーパを制御するビーム連係のためのレーザシステム及び方法に関するものである。
背景
ワークピースのレーザ加工では、テーパを有する切り込み特徴部に沿って縁部が生成されることが多い。このテーパは、切り込みの品質に悪影響を与えることがある。図1は、従来のレーザ加工装置によってワークピース22に形成された切り込み又は切溝20を示している。レーザ加工装置は、レーザパルスからなるコリメートビーム24を集束して、焦点26でコリメートビーム24のビームウェスト28よりもサイズの小さいスポットサイズ18(図8C)となるようにしている。(コリメートビームが焦点26に集束されるにつれて、ビームウェスト28のサイズは小さくなる。)得られた集束ビーム30は、ワークピース22の上面34に垂直なビーム軸32に沿って伝搬される。ビーム軸32及びワークピース22の一方又は双方が相対的に移動され、切溝20の経路を決定するワークピース22に沿った切断方向を集束ビームに与える。
切断により形成された切溝20を底面40と側壁42とによって規定することができる。ワークピース22の上面34に対して垂直な深さ方向軸44に対してテーパを定義することができる。側壁42がワークピース22の上面34に対して垂直である場合、側壁42は深さ方向軸44に平行であり(これと同一線上にあり)、側壁42のテーパはゼロである。
しかしながら、側壁42が上面34から底面40まで切溝20の中央に向かって内側に傾く傾斜を有している場合には、この切り込みによって形成される側壁は正のテーパを有する。このテーパは、図1に示されるように、側壁42と深さ方向の軸44との間に測定されるテーパ角θによって定義され得る。側壁42が上面34から底面40まで切溝20の中央から離れように傾く傾斜を有している場合には、この切り込みによって形成される側壁42は負のテーパを有する。
テーパ角θは、数度から10度を超える角度、あるいは意図的にこれよりも大きな角度となることがあり、一部のレーザ加工パラメータに必ずしも制御されるわけではないが影響を受けることがある。大きなテーパは、多くの切断用途において理想的な結果ではない。さらに、テーパを最小限にすること、あるいはテーパをほぼゼロにすることが多くの切断用途において望ましい結果である。
概要
本概要は、本発明の詳細な説明においてさらに述べられる概念を厳選したものを簡略化した形態で紹介するために提供されるものである。本概要は、特許請求の範囲に記載された主題の重要な又は必須の創作的な概念を特定すること意図しているものでも、あるいは、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を決定することを意図しているものでもない。
ある実施形態では、ワークピース内に特徴部をレーザ加工する方法は、ワークピースを用意し、レーザ光のビームを生成し、上記ワークピース上に上記ビームを案内して、上記ワークピースの一領域に上記ビームを照射し、上記ビームは、ある入射角度で上記ワークピースに入射し、上記ワークピースに対してある方位角方向に沿って上記ワークピースに入射し、上記照射領域内で上記ワークピースの一部を除去し、上記ワークピース内の加工経路に沿って上記ワークピースに対して上記照射領域の移動を生じさせ、上記加工経路に沿った上記照射領域の位置に基づいて上記ワークピースに対する上記ビームの上記方位角方向を変更する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームは、少なくとも1つのレーザ光パルスを含んでいる。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム内のレーザ光は、100nmより長い少なくとも1つの波長を有している。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム内のレーザ光は、11μmより短い少なくとも1つの波長を有している。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ワークピースに対する上記照射領域の移動を生じさせる際に、上記ビームに対して上記ワークビースを移動する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームに対して上記ワークピースを移動する際に、上記ワークピースを直線的に平行移動させる。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームに対して上記ワークピースを移動する際に、上記ワークピースを回転移動させる。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記加工経路の少なくとも一部が真っ直ぐである。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記加工経路の少なくとも一部が曲がっている。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームが集束される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ワークピースに対して上記ビームの上記方位角方向を変更する際に、上記ビームを偏向する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームを偏向する際に、上記ビームを反射する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームを偏向する際に、上記ビームを屈折させる。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームを集束する前に上記ビームが偏向される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームを集束した後に上記ビームが偏向される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビームの偏向と集束が同時になされる。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記加工経路に沿った上記照射領域の位置に基づいて上記入射角度が変更される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、ワークピース内に特徴部をレーザ加工する方法は、ワークピースを用意し、レーザ光のビームを生成し、上記ワークピース上に上記ビームの焦点を合わせて上記ワークピースの一領域を照射し、上記ビームは、ある入射角度で上記ワークピースに入射し、上記ワークピースに対してある方位角方向に沿って上記ワークピースに入射し、上記ワークピース内の加工経路に沿って上記ワークピースに対して上記照射領域の移動を生じさせ、上記加工経路に沿った上記照射領域の位置に基づいて上記ワークピースに対する上記ビームの上記方位角方向を変更する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、ワークピース内に特徴部をレーザ加工するための方法は、ワークピースを用意し、ビーム軸に沿ってレーザパルスからなるビームを生成し、切断経路に沿った切断方向で上記ビーム軸と上記ワークピースとの間で相対運動を生じさせ、上記ワークピース上に上記ビーム軸を案内して、上記切断経路に沿って上記ワークピース上の第1の領域に上記ビームを照射し、上記ビーム軸は、第1の非ゼロ加工角度で上記ワークピースに入射し、上記切断経路に対する第1の非ゼロ方位角方向に沿って上記ワークピースに当たり、上記切断経路に沿って上記第1の領域内で上記ワークピースの材料を除去して、上記第1の入射角度及び上記第1の方位角方向による影響を受けた第1のテーパ特性を有する第1の側壁を含む切溝を形成し、上記切断経路に対して上記ビーム軸の上記第1の方位角方向を変化させ、上記ワークピース上に上記ビーム軸を案内して、上記切断経路に沿って上記ワークピース上の第2の領域に上記ビームを照射し、上記ビーム軸は、第2の非ゼロ加工角度で上記ワークピースに入射し、上記切断経路に対する第2の非ゼロ方位角方向に沿って上記ワークピースに当たり、上記第2の非ゼロ方位角方向は上記第1の非ゼロ方位角方向とは異なり、上記切断経路に沿って上記第2の領域内で上記ワークピースの材料を除去して、上記第2の入射角度及び上記第2の方位角方向による影響を受けた第2のテーパ特性を有する第2の側壁を形成する。
ある実施形態では、上記ビーム軸の上記加工角度は、上記ワークピースに対する入射角度である。
ある実施形態では、上記入射角度は、上記ビーム軸角度と実質的に等しい。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、ワークピース内に特徴部をレーザ加工するための方法は、ワークピースを用意し、上記ワークピース上に利用可能な視野を有する非テレセントリックレンズを通して伝搬するビーム軸に沿ってレーザパルスからなるビームを生成し、上記視野は周縁部を有し、切断経路に沿った切断方向で上記ビーム軸と上記ワークピースとの間で相対運動を生じさせ、上記視野の上記周縁部近傍の上記ワークピース上に上記非テレセントリックレンズを通して上記ビーム軸を案内し、切断経路に沿って上記ワークピース上の第1の領域に上記ビームを照射し、上記ビーム軸は、第1の非ゼロ加工角度で上記ワークピースに入射し、上記ワークピースに対して第1の非ゼロ方位角方向に沿って上記ワークピースに当たり、上記切断経路に沿って上記第1の領域内で上記ワークピースの材料を除去して、上記第1の入射角度及び上記第1の方位角方向による影響を受けた第1のテーパ特性を有する第1の側壁を含む切溝を形成する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸は、上記視野の上記周縁部近傍の上記ワークピース上に上記非テレセントリックレンズを通して案内され続け、上記切断経路に沿って上記切溝が延ばされつつ、上記第1の側壁の上記第1のテーパ特性を維持する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記切断経路は曲率を有し、上記ワークピースに対する上記ビーム軸の上記第1の方位角方向を変化させて、上記切断経路の上記曲率に適応する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記切断経路は曲率を有し、上記第1の領域は、第1の方向の上記切断経路に沿って第1のセグメントを形成し、上記ワークピースに対する上記ビーム軸の上記第1の方位角方向を変化させて、上記視野の上記周縁部近傍の上記ワークピース上に上記非テレセントリックレンズを通して上記ビーム軸を案内させ、上記切断経路に沿って上記ワークピース上の第2の領域に上記ビームを照射し、上記ビーム軸は、第2の非ゼロ加工角度で上記ワークピースに入射し、上記ワークピースに対する第2の非ゼロ方位角方向に沿って上記ワークピースに当たり、上記第2の非ゼロ方位角方向は上記第1の非ゼロ方位角方向とは異なり、上記第2の領域は、上記第1の方向から外れた第2の方向の上記切断経路に沿って第2のセグメントを形成し、上記切断経路に沿って上記第2の領域内で上記ワークピースの材料を除去して、上記第2の入射角度及び上記第2の方位角方向による影響を受けた上記第1の側壁の上記第1のテーパ特性を維持しつつ、上記第2の方向に上記切溝を延ばす。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸の上記第1の加工角度は、上記非テレセントリックレンズのレンズ軸に対して非ゼロビーム軸角度をなす。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸の上記第1の加工角度は、非テレセントリックレンズの軸平面に対して非ゼロ非垂直ビーム軸角度をなす。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸は、上記利用可能な視野の周縁部5mm以内で上記ワークピースに当たるように案内される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸は、上記利用可能な視野の周縁部1mm以内で上記ワークピースに当たるように案内される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸は、上記利用可能な視野の周縁部100ミクロン以内で上記ワークピースに当たるように案内される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸の上記第1の加工角度は2度よりも大きい。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸の上記第1の加工角度は5度よりも大きい。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸の上記第1の加工角度は、2度よりも大きく10度よりも小さい。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸の上記第1の加工角度は20度よりも小さい。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の加工角度と上記第2の加工角度が同じである。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の加工角度と上記第2の加工角度が異なる。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の方位角方向は、20度以上180度未満の角度値を有する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の方位角方向は、約90度の角度値を有する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の方位角方向及び上記第2の方位角方向は、上記異なる方向において同一の角度値を有する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の方位角方向及び上記第2の方位角方向は、上記異なる方向において異なる角度値を有する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の側壁及び上記第2の側壁は同一のテーパを有する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の側壁及び上記第2の側壁は同一の特性を有する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記第1の側壁及び上記第2の側壁は、意図的に異なるテーパを有する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、上記ビーム軸は、上記切溝の幅よりも小さな繰り返しパターンで上記ワークピース上のビーム経路内に案内され、上記ビーム経路に沿った一部のレーザスポットが、上記第1の側壁を形成する第1のレーザスポットであり、上記ビーム経路に沿った一部のレーザスポットが、第2の側壁を形成する第2のレーザスポットであり、上記第1のレーザスポットは、上記第1の方位角方向で案内され、上記第2のレーザスポットは、第2の方位角方向で案内される。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、ワークピース内に特徴部をレーザ加工するための方法は、ワークピースを用意し、ビーム軸に沿ってレーザパルスからなるビームを生成し、切断経路に沿った切断方向で上記ビーム軸と上記ワークピースとの間で相対運動を生じさせ、上記ワークピース上に上記ビーム軸を案内して、上記切断経路に沿って上記ワークピース上の第1の領域に上記ビームを照射し、上記ビーム軸は、第1の非ゼロ加工角度で上記ワークピースに入射し、上記切断経路に対する第1の非ゼロ方位角方向に沿って上記ワークピースに当たり、上記切断経路に沿って上記第1の領域内で上記ワークピースの材料を除去して、上記第1の入射角度及び上記第1の方位角方向による影響を受けた第1のテーパ特性を有する第1の側壁を含む切溝を形成し、上記切断経路に対して上記ビーム軸の上記第1の方位角方向を変化させ、上記ワークピース上に上記ビーム軸を案内して、上記切断経路に沿って上記ワークピース上の第2の領域に上記ビームを照射し、上記ビーム軸は、第2の非ゼロ加工角度で上記ワークピースに入射し、上記切断経路に対する第2の非ゼロ方位角方向に沿って上記ワークピースに当たり、上記第2の非ゼロ方位角方向は上記第1の非ゼロ方位角方向とは異なり、上記切断経路に沿って上記第2の領域内で上記ワークピースの材料を除去して、上記第2の入射角度及び上記第2の方位角方向による影響を受けた第2のテーパ特性を有する第2の側壁を形成する。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、ワークピース内に特徴部をレーザ加工するためのレーザ微細加工システムは、選択されたパルスパラメータのレーザパルスからなるビームをビーム軸に沿って生成可能なレーザと、内部を伝搬可能な非テレセントリックレンズであって、周縁部を有する利用可能な視野を上記ワークピース上に有する非テレセントリックレンズと、上記ワークピースを支持及び移動可能なワークピースステージと、上記非テレセントリックレンズを介して上記ビーム軸を案内し、上記ワークピース上のターゲット位置に向けて直接的又は間接的に上記ビーム軸を案内可能なファーストポジショナと、上記ワークピースに対してファーストポジショナを支持及び移動するポジショナステージと、上記ワークピースステージ及び上記ファーストポジショナステージの運動を制御可能なコントローラであって、上記ファーストポジショナを制御して、上記ビーム軸に沿って上記レーザパルスを案内し、上記非テレセントリックレンズを介して上記ターゲット位置に対して上記視野の周縁部近傍の上記ワークピース上で上記ビーム軸を1以上の選択された加工角度と1以上の選択された方位角に維持し、上記選択されたパルスパラメータ、上記1以上の選択された加工角度、及び上記1以上の選択された方位角により決定される選択されたテーパ特性を有する側壁を有する切溝を形成するコントローラとを備える。
代替的な、付加的な、あるいは累積的な実施形態では、ワークピース内に特徴部をレーザ加工するための方法は、表面を有するワークピースを用意し、上記ワークピースを支持し、上記ワークピースを移動可能なワークピースステージを用意し、選択されたレーザパラメータを有するレーザパルスからなるビームをビーム軸に沿って生成し、非テレセントリックレンズを介して上記ビーム軸を案内し、上記ワークピース上のターゲット位置に向けて直接的又は間接的に上記ビーム軸を案内可能なファーストポジショナを用意し、上記非テレセントリックレンズは、上記ワークピースの上記表面に略垂直な中心レンズ軸を有し、切断経路に沿った切断方向で上記ビーム軸と上記ワークピースとの間で相対運動を生じさせ、上記ワークピース上に上記非テレセントリックレンズを通して上記ビーム軸を案内し、切断経路に沿って上記ワークピース上の第1の領域に上記ビームを照射し、上記切断経路に沿って上記第1の領域内で上記ワークピースの材料を除去して、第1の側壁、底部、及び第2の側壁を含む切溝を形成し、上記中心レンズ軸は、上記第2の側壁よりも上記第1の側壁から遠くに離れた位置にあり、上記ビーム軸は、選択された非ゼロ加工角度で上記ワークピースに入射し、上記切断方向に対して選択された非ゼロ方位角方向に沿って上記ワークピースに当たり、上記第1の側壁が、上記選択されたパルスパラメータ、上記選択された加工角度、及び上記選択された方位角方向により決定されるテーパ特性で形成される。
追加の態様及び利点は、添付図面を参照して述べられる以下の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1は、従来のレーザ加工装置によりワークピース内に形成される切り込み又は切溝の側断面図である。
図2は、レンズのレンズ軸と同一線上にあるビーム軸により形成される切り込み又は切溝の例の側断面図である。
図3は、ワークピースの表面に対して非垂直角度で、かつワークピースの表面に沿った切断経路に対して第1の方位角方向のビーム軸で形成される切り込み又は切溝の例の側断面図である。
図4は、ワークピースの表面に対して非垂直角度で、かつワークピースの表面に沿った切断経路に対して第2の方位角方向のビーム軸で形成される切り込み又は切溝の例の側断面図である。
図5は、外側切溝壁に所望のテーパ特性を有する円形特徴部を形成するために、利用可能な視野の周縁部近傍でワークピースに当たるようにビーム軸を方向付けることによるビーム軸とワークピースとの間の相対連係運動の例を描いた上面図である。
図6は、内側切溝壁に所望のテーパ特性を有する円形特徴部を形成するために、利用可能な視野の周縁部近傍でワークピースに当たるようにビーム軸を方向付けることによるビーム軸とワークピースとの間の相対連係運動の例を描いた上面図である。
図7は、楕円形の特徴部に外接する切断経路の上面図である。
図8は、切断経路に沿って切溝を形成するためのワークピース上のビーム経路の例の上面図である。
図9は、制御されたテーパを有する切溝を形成可能なレーザ微細加工システムの模式図である。
図10は、様々な位置決め要素の代表的な動作包絡面の上面図である。
例示の実施形態の詳細な説明
以下、添付図面を参照しつつ実施形態の例を説明する。本開示の精神及び教示を逸脱することのない多くの異なる形態及び実施形態が考えられ、本開示を本明細書で述べた実施形態に限定して解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態の例は、本開示が完全かつすべてを含むものであって、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。図面においては、理解しやすいように、構成要素のサイズや相対的なサイズが誇張されている場合がある。明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことも理解されよう。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。
以下の実施形態は、本明細書においては、ワークピース22に切溝20を形成する例としてのみ提示されるものである。そのような実施形態は、特徴部の切り込み動作及び特にトレパン動作を代表するものである。そのようなレーザ材料加工動作におけるテーパ制御は以下の2つの主な理由により難題となり得る。1)レーザビーム24が発散し、ワークピース22内の切り込みの深さ50が増えるにつれて、ワークピース22は、異なるビームウェスト28とピーク強度を受けることになる。2)散乱及び屈折効果によって切り込みの底面40に到達するパワーが深さの関数として減少する。
図2は、非テレセントリックスキャンレンズ又は集束レンズ62のレンズ軸と同一線上にある(スキャンレンズ又は集束レンズ62の軸平面に垂直な)ビーム軸32により形成された切り込み又は切溝20の例の断面図である。図9を参照して後に述べられるように、レーザビーム24は、光路80に沿って伝搬され、最終的にはファーストポジショナ90及びレンズ62の制約に関連付けられたビーム軸32の偏向の角度範囲の限界によって規定されるレンズ62を介した視野(FOV)100(図5)を有するファーストポジショナ90によってビーム軸32に沿って案内される。ファーストポジショナ90は、ビーム位置決めシステム94のステージ92上に載置され、ワークピースに対するステージ92の位置が、FOV100内でレーザスポット102(図8C)として利用可能な瞬間的な位置のワークピース上の領域を規定する。図2に描かれたプロセスに関して、視野100の中央(円98で表される)にビーム軸32が案内され、切溝20aは、両側の側壁42に著しく正のテーパを呈するなど、切溝20と同様の特性を有している場合がある。
図3は、表面34に対して第1の非垂直衝突角度αをなし、ワークピース22の表面34に沿った切断経路122又は切断方向128(図8A)に関して第1の方位角方向のビーム軸32で形成される切り込み又は切溝120aの例の断面図である。方位角方向は、ワークピース22上の切断経路122の方向を横断する方向であり、一般的には、切断経路122の方向から測定される水平角又は方位角φ、あるいはワークピースを2等分する軸148から測定される水平角又は方位角φ、あるいは切り込まれる特徴部を2等分する軸から測定される水平角又は方位角φとして定義することができる。同様に、図4は、表面34に対して第2の非垂直衝突角度αをなし、ワークピース22の表面34に沿った切断経路122の切断方向128(図8A)に関して第2の方位角方向φ、あるいはワークピースを2等分する軸148から測定される水平角又は方位角φ、あるいは切り込まれる特徴部を2等分する軸から測定される水平角又は方位角φのビーム軸32で形成される切り込み又は切溝120aの例の断面図である。
図3及び図4を参照すると、切溝120a及び120b(総称して切溝120)の側壁42は、切断128経路122の切断方向128(図3及び図4を含む紙面に向かう方向)に対して左側壁124a及び右側壁124bとそれぞれ呼ぶことができる。さらに、左側壁124aは、切断経路122の切断方向128に対して反時計回りのすぐそばにある側壁124として定義することができ、右側壁124bは、切断経路122の切断方向128に対して時計回りのすぐそばにある側壁124として定義することができる。側壁124は、加工されている特徴部の中心に近いか離れているかどうかによって内側側壁124及び外側側壁124と説明することもできる。
ある実施形態においては、ビーム軸32をレンズ62のレンズ軸60に対して非ゼロのビーム軸角度ωで(かつレンズ62の軸平面64に対して非ゼロで非垂直な角度ψで)、切断経路122を横断する方向の方位角方向φで方向付けることができる。ある実施形態においては、ビーム軸角度ωは、表面34に対してビーム軸32が入射する角度である。ある実施形態においては、深さ方向軸44に対する余角Υでビーム軸32を方向付けてもよい。
図3及び図4を参照すると、非テレセントリックレンズ62を用いると、集束ビーム30は、ビーム軸32とワークピース22との間の相対位置に応じて異なるテーパでワークピース22の材料に切り込みを形成する。例えば、図3を参照すると、ビーム軸32が左側に傾いた角度(左側傾斜ビーム軸角度ω又は角度ψ、あるいは右側傾斜衝突角度α又は余角Υ)を有するようにワークピース22がレンズの視野100に対して左側にあるときは、ビーム軸32の加工角度及び方位角方向φによって、得られる切溝120の左側壁124aのテーパが右側壁124bのテーパよりも小さくなる。ビーム軸32の加工角度及び方位角方向φと他のレーザパラメータとの間で適切な連係を行うことにより、レーザ加工システム88は、これらに限られるものではないが、値の小さい正のテーパ、ゼロテーパ、又は負のテーパといった所望のテーパ特性を得ることができる。
ある実施形態において、所望のテーパ特性としては、側壁124と深さ方向軸44との間で測定され、5度以下のテーパ角θが挙げられる。ある実施形態では、テーパ角θは1度以下である。ある実施形態においては、テーパ角θは0.5度以下である。ある実施形態では、テーパ角θは0.1度以下である。ある実施形態において、所望のテーパ特性としては、テクスチャや滑らかさなどの側壁124の他の品質、あるいはテクスチャや滑らかさの均一性が挙げられる。
図4を参照すると、ビーム軸32が右側に傾いた角度(右側傾斜ビーム軸角度ω又は角度ψ、あるいは左側傾斜衝突角度α又は余角Υ)を有するようにワークピース22がレンズの視野100に対して右側にあるときは、ビーム軸32の加工角度及び方位角方向φによって、得られる切溝120の右側壁124bのテーパが左側壁124aのテーパよりも小さくなる。
引き続き図3及び図4を参照すると、ある実施形態では、ビーム軸32の加工角度は、1度以上20度未満である。ある実施形態では、ビーム軸32の加工角度は、1度以上10度未満である。ある実施形態では、ビーム軸32の加工角度は2度以上である。ある実施形態では、ビーム軸32の加工角度は5度以上である。ある実施形態では、ビーム軸32の加工角度は8度以上である。ある実施形態では、ビーム軸32の加工角度は、1度以上10度未満である。
ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φは、例えば、真っ直ぐな切溝120を切り込むためには、切断方向128に対して20度以上180度未満である。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φは、切断方向128に対して45度以上である。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φは、切断方向128に対して45度以上135度以下である。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φは、切断方向128に対して70度以上110度以下である。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φは、切断方向128に対して約90度である。しかしながら、円形、楕円形、あるいは卵形などの閉ループ切断経路122を加工する際には、ビーム軸32の方位角φは、ワークピース22の二等分軸148に対して360度であってもよく、ビーム軸32がその周縁部を一周する間に変化してもよい。
ある実施形態では、相対運動は、レンズ62の中心軸60が第2の側壁124bよりも第1の側壁124aから離れた位置にくるように非テレセントリックレンズ62を介してビーム軸32をワークピース22上に案内することを含んでおり、ビーム軸32は、ワークピース22上に選択された非ゼロ加工角度ωで入射し、切断方向128に対して選択された非ゼロ方位角方向φに沿ってワークピース22に当たり、選択されたパルスパラメータ、選択された加工角度ω、及び選択された方位角方向φにより決定されるテーパ特性を有する第1の側壁124aが形成される。
ある実施形態では、ビーム軸32は、加工角度を得るためにファーストポジショナ90及び/又はレンズ62の利用可能な視野100の周縁部近傍のワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部5mm以内でワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部2mm以内でワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部2mm以内でワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部500ミクロン以内のワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部100ミクロン以内でワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部25ミクロン以内でワークピース22に当たるように方向付けられる。
ある実施形態では、利用可能な視野100は直径を有し、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部に対して直径の40%以内のワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部に対して直径の30%以内のワークピース22に当たるように方向付けられる。ある実施形態では、ビーム軸32は、利用可能な視野100の周縁部に対して直径の20%以内のワークピース22に当たるように方向付けられる。
ある実施形態では、利用可能な視野100は、10mmから100mmの直径(又は長軸)を有する。ある実施形態では、利用可能な視野100は、15mmを超える直径を有する。ある実施形態では、利用可能な視野100は、25mmから50mmの直径を有する。ある実施形態では、利用可能な視野100は、75mm未満の直径を有する。
図5は、外側切溝壁124に所望のテーパ特性を有する円形特徴部140を形成するために、利用可能な視野100の周縁部近傍でワークピース22に当たるようにビーム軸32を方向付けることによる円形切断経路122に沿ったビーム軸32とワークピース22との間の相対連係運動130aの例を描いた上面図である。
図5を参照すると、例えば、貫通孔ビアを形成するためなど、ワークピース22から円形特徴部140が除去される実施形態では、外側側壁124aのテーパが制御される。ある実施形態では、相対運動130aは、(視野100が特徴部140のサイズに比べて大きいときに)概して視野100の内側に特徴部を移動させつつ、レンズ62の視野100の周縁部又はその近傍で円を描くようにワークピース22を移動させて、円形特徴部140の外縁にビーム軸32を集束させることを含んでいる。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φは、レンズ軸60のような中心軸周りに回転し、ワークピース22は、視野100の周縁部回りに回転する。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φが一定であり、ワークピース22が視野100の周縁部回りに回転しつつ、ワークピース22が円形特徴部140の中心の軸周りに回転する。ある実施形態においては、ビーム軸32の方位角φが回転し、ワークピース22が視野100の周縁部回りに回転しつつ、ワークピース22が回転する。先に述べたように、加工角度、方位角φ、及び他のレーザパラメータを制御することによりテーパが選択される。そのような実施形態においては、内側側壁124bのテーパを問題にする必要がない。
しかしながら、図6を参照すると、例えば、円板を形成するためなど、ワークピース22から円形特徴部140が除去される実施形態では、内側側壁124bのテーパが制御される。図6は、内側切溝壁124に所望のテーパ特性を有する円形特徴部140を形成するために、利用可能な視野100の周縁部近傍のワークピース22に当たるようにビーム軸32を方向付けることによる円形切断経路122に沿ったビーム軸32とワークピース22との間の相対連係運動130bの例を描いた上面図である。
ある実施形態では、相対運動130bは、(視野100が特徴部140のサイズに比べて大きいときに)概して視野100の外側に特徴部を移動させつつ、レンズ62の視野100の周縁部又はその近傍で円を描くようにワークピース22を移動させて、円形特徴部140の内縁にビーム軸32を集束させることを含んでいる。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φは、レンズ軸60のような中心軸周りに回転し、ワークピース22は、視野100の周縁部回りに回転する。ある実施形態では、ビーム軸32の方位角φが一定であり、ワークピース22が視野100の周縁部回りに回転しつつ、ワークピース22が円形特徴部140の中心の軸周りに回転する。ある実施形態においては、ビーム軸32の方位角φが回転し、ワークピース22が視野100の周縁部回りに回転しつつ、ワークピース22が回転する。先に述べたように、加工角度、方位角φ、及び他のレーザパラメータを制御することによりテーパが選択される。そのような実施形態においては、外側側壁124bのテーパを問題にする必要がない。
円形特徴部140などの切り欠き特徴部の形状によっては、側壁24に関して所望のテーパを実現するために、視野100の中心からのワークピース22の相対オフセットと、(他のレーザパラメータと連係して)ビーム軸32に対して要求される角度を計算することができる。
ある実施形態においては、レーザ加工の速度でワークピースが移動される。ある実施形態では、ビーム移動速度とワークピース移動速度との組み合わせによって、レーザ加工のためのビーム軸32とワークピース22との間の全体的な相対速度が提供され、レーザ加工プロセスのバイトサイズが転換される。ある実施形態においては、そのような所望のレーザ加工速度(及び所望のバイトサイズ)でのビーム軸32とワークピース22との間の相対運動は、レンズ62及び/又はファーストポジショナ90の視野100のサイズに相似する領域にわたるワークピース22の高速移動速度を利用し得る。
図7を参照すると、ある実施形態では、相対運動により、切溝120の経路に似ている切断経路122に沿ったビーム経路142が提供される。図7は、楕円形特徴部140aを一周するビーム経路142の上面図である。これらのビーム経路142は、同心状の切断経路122として示されているが、これに加えて、あるいはこれに代えて、特徴部140aが除去されるものであれば、実質的に同一であるが深さ方向に分離されるものであってもよい。これらのビーム経路142は、特に特徴部140aが視野100に比べて比較的小さいかそれほど大きくない場合にワークピース22を移動し、方位角を断続的に変化させるなど、先に述べた相対運動の手法によって実現することができる。
しかしながら、特徴部140a又はワークピース22が大きい場合、ワークピース22の適切な相対運動を提供することに対してワークピース22を移動及び支持するためのステージ150の帯域幅が問題となり得る。このため、ある実施形態においては、ワークピース22上のビーム経路142は切断経路122と異なり得る。図8Aは、切溝120を形成するための直線切断経路122の一部の例の上面図である。図8Bは、図8Aに示される切断経路122に沿って切溝120を形成するためのワークピース22上のビーム経路142の例の拡大上面図である。図8Bを参照すると、円形、楕円形、横スキャン線、又は他のビーム経路パターンからなる局所ビーム経路の繰り返しにより溝120を所望の切溝全幅144とし、ワークピースステージ150に対する帯域幅の要求を低減することができる。図8Cは、ファーストポジショナ90及び/又は高速ポジショナ160によるビーム軸32の連続移動に起因するビーム経路142に沿ったワーク表面でのレーザスポット102の個々の配置の上面図を示すコンピュータモデルである。
図8A〜図8C(まとめて図8とする)を参照すると、論証的なパラメータ例としては、約18kHzのPRF、約25μmのスポットサイズ、約50mm/secの線速度(小さな回転円形パターンがワーク表面を横切る速度)、約2kHzの回転速度(円形パターンが回転する速度)、約30μmの回転振幅((ビームの中心に対する)円形パターンの直径)、約10μmの内径((円形パターンの中心に対する)螺旋パターンの開始径)、約150μmの外径((円形パターンの中心に対する)螺旋パターンの終了径)、及びおよそ2つのサイクル数(螺旋パターンの回転の数)が挙げられる。このモデルは、15から20kHzの範囲のレーザパルス速度をサポートするために、パルスが実際重なり合うために1kHzから2.5kHzの回転速度(1回転あたり5から15パルス)が望まれることを示している。
再び図8を参照すると、この手法により、加工品質及び集束出力ビーム30を用いる利点を維持しつつ(すなわち、より広いスポットを実現するためにビームの焦点を外すことなく)、より少ないパスでスポット径18よりも広い切溝を形成することができる。加えて、ビーム経路142は、激しい相対運動のアプリケーションに対して、ワークピースステージ150又は一部のファーストポジショナ90の帯域幅能力を超えることがある。しかしながら、それぞれの側壁124a及び124bに所望のテーパを与えるために、必要に応じてワークピースステージ150又はファーストポジショナステージ92をずらし、レーザスポット102a及び102bに対して所望の非垂直入射加工角度ω及び方位角φを提供するように側壁124a及び124bから十分な距離をファーストポジショナ90又は高速ポジショナ160に与えてもよい。側壁124を形成しないレーザスポット102は、必ずしも非垂直入射加工角度ω及び方位角φを有する必要はない。また、ファーストポジショナ90及び/又は高速ポジショナ150が利用可能な視野100の周縁部又はその近傍にビーム軸32を方向付けるために相対運動を行うことができる。非貫通ビアの縁部のような任意の曲率の切断経路122を加工するためにこの手法を用いることができる。この手法は、入射加工角度ωと方位角φとを意図的に選択し、利用可能な視野100の周縁部を意図的に利用することにより、Donald Cutler等による米国特許第6,706,998号に開示された手法を発展させるものであることに留意されたい。Donald Cutler等の米国特許第6,706,998号は、本出願の譲受人に譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。
図9は、テーパが制御された切溝を形成可能なレーザ微細加工システムの模式図である。図9を参照すると、光路80に沿って配置される光学ビームエキスパンダレンズ要素166(及び/又は音響光学又は電気光学デバイスなどの光学減衰器又はパルス選別器、及び/又はエネルギー用、タイミング用、又は位置用などのフィードバックセンサ)をはじめとする様々な既知の光学系によって、ビーム位置決めシステム94の(ステージ軸位置決めミラーなどの)一連のビーム案内要素170、オプションの高速ポジショナ160、及び(ガルバノメータにより駆動される1対のX軸及びY軸ミラーなどの)ファーストポジショナ90によってレーザ出力164を方向付ける前にレーザ出力164を操作してもよい。最後に、レーザ出力164は、ワークピース22上にレーザスポット102を形成するためにビーム軸32に沿った集束レーザ出力ビーム30として案内される前に、非テレセントリック集束レンズ、スキャンレンズ、又はfθレンズのようなレンズ22を通過する。
ある実施形態では、ビーム位置決めシステム90は、好ましくは少なくとも2つのプラットフォーム又はステージ150及び92を制御し、レーザ出力ビーム30の焦点を所望のレーザターゲット位置180に合わせるように位置決め要素170を支持する並進ステージポジショナを用いる。ある実施形態では、並進ステージポジショナは、典型的にはリニアモータにより移動されるYステージ150がワークピース22を支持及び移動し、Xステージ92がファーストポジショナ90及びレンズ62を支持及び移動し、Zステージ182がXステージとYステージとの間でZ方向寸法を調整可能で、ビーム方向付け要素170がレーザ184とファーストポジショナ90との間で回転を通じて光路80を整列する分割軸システム(split-axis system)である。ワークピースステージ150は、Y軸のような単一の軸に沿って移動可能であってもよく、あるいは、ワークピースステージ150は、X軸及びY軸のような横軸に沿って移動可能であってもよい。これに代えて、あるいはこれに加えて、ワークピースステージ150が、例えばZ軸周りに(単独で、あるいはX軸及びY軸に沿ってワークピースを移動させるとともに)ワークピース22を回転可能であってもよい。例えば、ワークピースステージ152が、軸周りにワークピースを回転する追加の回転ステージ152を支持してもよい。典型的な並進ステージポジショナは、2又は3m/secの速度及び1.5G以上の加速度を実現可能である。現在の費用効果のよい並進ステージは、約400mm/secから約1m/secの範囲で動作する。これらがずっと遅く移動することもできることは言うまでもない。便宜上、ファーストポジショナ90と1以上の並進ステージ150及び/又は92の組み合わせをプライマリ位置決めシステム又は統合位置決めシステムということがある。
典型的なファーストポジショナ90は、ワークピース22上の比較的広い視野100にわたってビーム軸32の方向を高速で変化させることができるガルバノメータ制御の1対のミラーを用いる。そのような視野100は、典型的には、ワークピースステージ150により提供される移動の領域よりも小さい。音響光学デバイス又は変形可能ミラー(又は他のファーストステアリングミラー)のような高速ポジショナ160は、ガルバノメータミラーよりも小さなビーム偏向範囲を有する傾向にあるが、これらのデバイスをファーストポジショナ90として代わりに用いてもよい。あるいは、ガルバノメータミラーに加えて高速ポジショナを用いてもよい。ファーストポジショナの例は、約2又は3m/secから約10m/secの線速度及び約1000から2000Gの加速度を実現することができ、このため、これらは統合位置決めシステム例の典型的な能力ともなる。線速度がこれらの範囲よりも低くてもよいことは言うまでもない。
図10は、様々な位置決め要素の代表的な動作包絡面の上面図である。図10を参照すると、リニアステージ152及び92は、典型的にはファーストポジショナ90のファーストポジショナ包絡面174よりも大きなステージ包絡面172を提供する。ある実施形態では、ファーストポジショナ包絡面174は500mm2以下である。ある実施形態では、ファーストポジショナ包絡面174は、ファーストポジショナ90の視野と等価であり得る。ある実施形態では、ファーストポジショナ包絡面174は、300mm2以下であるか、又は100mm2以下であるか、又は25mm2以下である。典型的には、ファーストポジショナ包絡面174は、典型的には、高速ポジショナ160の高速ポジショナ包絡面176よりも大きい。ワークピース22に対する所望の入射加工角度ω及び方位角φをビーム軸32に持たせるために、これらの位置決め要素の包絡面の一部又はすべてを利用し、側壁124における所望のテーパを実現してもよい。
例えば、図3及び図10を参照すると、所望のテーパを有する側壁124aを形成することに関して所望の入射加工角度ω及び方位角φを得るために、(方位角方向を左側にずらすことにより、これに加えて/これに代えて、入射角を増やすことにより)リニアステージ包絡面172(ワークピースステージ150)及び/又はファーストポジショナ包絡面174(ファーストポジショナステージ92)を左側にずらすことができ、これに加えて/これに代えて、高速ポジショナ包絡面176を右側にずらすことができる。同様に、図4及び図10を参照すると、所望のテーパを有する側壁124bを形成することに関して所望の入射加工角度ω及び方位角φを得るために、(方位角方向を右側にずらすことにより、これに加えて/これに代えて、入射角を増やすことにより)リニアステージ包絡面172(ワークピースステージ150)を右側にずらすことができ、これに加えて/これに代えて、高速ポジショナ包絡面176を左側にずらすことができる。
ある実施形態においては、レンズ軸60及びレンズ62の軸平面がファーストポジショナ90及び/又はステージ92に対して静止するようにレンズ62がファーストポジショナ90に対して固定位置を有していてもよい。他の実施形態においては、レンズ62が軸平面64内で移動可能となるように、これに加えて/これに代えて、レンズ62の軸平面64を傾けることができるように、レンズ62がファーストポジショナに対して移動可能であってもよい。レンズ62を移動するために圧電アクチュエータ又は他のアクチュエータを用いてもよい。ワークピース22とビーム軸22との間の相対運動の一部を補足又は代用して入射加工角度ω及び方位角φの制御を容易にするためにレンズ62の移動を用いてもよい。
好ましくは、レーザシステムコントローラ190は、レーザ184の出射をステージ150及び90とファーストポジショナ90の移動に同期させる。レーザシステムコントローラ190は、ファーストポジショナ90、ステージ150及び90、レーザ184、及び高速ポジショナコントローラ192を制御するように一括して示されている。当業者であれば、レーザシステムコントローラ190がこれらのレーザ構成要素の一部又はすべての制御及び/又はこれらへのパワーの供給を行うための統合又は独立制御サブシステムを含んでいてもよく、そのようなサブシステムがレーザシステムコントローラ190から離れて配置されていてもよいことは理解できよう。また、レーザシステムコントローラ190は、好ましくは、高速ポジショナコントローラ192を介して直接的又は間接的に高速ポジショナ160の方向、傾斜角又は回転、及び速度又は周波数をはじめとする相対運動を制御するとともに、レーザ184又は位置決めシステム94の構成要素との同期を制御する。便宜上、高速ポジショナ160と高速ポジショナコントローラ192の組み合わせをセカンダリ位置決めシステム又は非統合位置決めシステムということがある。
ビーム位置決めの付加的な方法又は代替的な方法を用いることもできる。一部のビーム位置決めの付加的な方法又は代替的な方法がDonald R. Cutler等による米国特許第5,751,585号、Spencer Barrett等による米国特許第6,706,999号、及びJay Johnson等による米国特許第7,019,891号に述べられている。これら米国特許のすべては本出願の譲受人に譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。また、切溝を形成するために2つのビームを同時に案内し、所望のテーパを有する異なる側壁124を形成するようにそれぞれのビームが照射されるマルチツール位置決めシステムを用いることができることも理解できよう。
レーザパルスパラメータの例としては、レーザの種類、波長、パルス持続時間、パルス補充速度、パルス数、パルスエネルギー、パルス時間的形状、パルス空間的形状、及び焦点スポットサイズ及び形状が挙げられる。付加的なレーザパルスパラメータには、ワークピース22の表面に対して焦点スポットの位置を特定すること及びワークピース22に対してレーザパルスの相対運動を方向付けることが含まれる。
ある実施形態において、一部の実施形態に対して有利に利用され得るレーザパラメータとしては、IRからUV、特に約10.6ミクロンから約266nmまでの範囲の波長を有するレーザ184を用いることが挙げられる。レーザ184は、1Wから100W、より好ましくは1Wから12Wの範囲にある2Wで動作し得る。パルス持続時間は、1ピコ秒から1000ns、より好ましくは約1ピコ秒から200nsの範囲にある。レーザ繰り返し率は、1KHzから100MHz、より好ましくは10KHzから1MHzの範囲にあり得る。レーザフルエンスは、約0.1×10-6J/cm2から100.0J/cm2、より好ましくは1.0×10-2J/cm2から10.0J/cm2の範囲にあり得る。ビーム軸32がワークピース22に対して移動する速度は、1mm/sから10m/s、より好ましくは100mm/sから1m/sの範囲にある。ワークピース22の表面で測定したレーザスポット102の空間的長軸18は、10ミクロンから1000ミクロン、あるいは50ミクロンから500ミクロンの範囲にあり得る。
ワークピース22上又はワークピース22内に切溝120を形成可能なレーザ加工システムの例は、いずれもオレゴン州97229ポートランドのElectro Scientific Industries社により製造されるESI 5320、ESI MM5330微細加工システム、ESI ML5900微細加工システム、及びESI 5955微細加工システムである。
これらのレーザ加工システムは、ほとんどどんなタイプのレーザ184でも使用することができる。ある実施形態は、5MHzまでのパルス繰り返し率で約366nm(UV)から約1320nm(IR)の波長を出射するように構成可能なダイオード励起固体レーザ184を用いる。しかしながら、適切なレーザやレーザ光学系、部品取り扱い機器、及び制御ソフトウェアを代用したり追加したりすることによって、これらのシステムを上述したようにワークピース22上に選択されたレーザスポット102を確実に繰り返し生成するように適合させることができる。これらの修正により、レーザ加工システムが適切なレーザパラメータを使って所望の速度及び所望のレーザスポット102間バイトサイズで、適切に位置決めされ保持されたワークピース22上の所望の位置にレーザパルスを案内することが可能となる。
ある実施形態においては、レーザ加工システムは、ドイツ連邦共和国カイザースラウテルンのLumera Laser社より製造されるモデルRapidのような、1064nm波長で動作するダイオード励起Nd:YVO4固体レーザ184を用いる。このレーザは、必要に応じて固体調波発生器を用いて波長を532nmに下げて二逓倍され、これにより可視(緑色)レーザパルスを生成することができ、あるいは、約355nmに三逓倍され、あるいは、266nmに四逓倍され、これにより紫外(UV)レーザパルスを生成することができる。このレーザ184は、6ワットの連続パワーを生成するとされており、1000KHzの最大パルス繰り返し率を有する。このレーザ184は、コントローラ54と協働して1ピコ秒から1,000ナノ秒の持続時間を有するレーザパルスを生成する。
これらのレーザパルスは、ガウス型であるか、あるいはレーザ光学系、典型的には、光路80に沿って配置された1以上の光学構成要素を備えたレーザ光学系によって特別に整形され、レーザスポット102で所望の特性を実現する。回折光学要素又は他のビーム整形構成要素を用いて特別に整形された空間プロファイルを生成してもよい。レーザスポット102の空間放射照度プロファイルを修正することについての詳細な説明がCorey Dunsky等による米国特許第6,433,301号に見られる。この米国特許は、本出願の譲受人に譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。
上記は、本発明の実施形態を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態例が述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態例及び他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。
したがって、そのような改良はすべて、以下の特許請求の範囲において規定される発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落の主題を他の文や段落の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。
本発明の根底にある原理を逸脱することなく上述の実施形態の詳細に対して多くの変更をなすことが可能であることは当業者にとって自明なことであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。