JP4886991B2 - 高融点ポリアミド12粉末の製造方法 - Google Patents

高融点ポリアミド12粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は高融点のポリアミド12粉末の製造方法に関するものである。
このポリアミド12粉末はラウリルラクタムからアニオンタイプの合成方法で合成される。得られた粉末は15μm〜100μmの直径と少なくとも180℃の融点を有する。
このポリアミド12粉末は多くの用途で使用できるが、特に放射(rayonnement)によって生じる溶融によるポリアミド粉末を凝集する技術、例えばレーザー光線(レーザー焼結)、赤外線または紫外線(紫外線硬化)で利用できる。
レーザー光線下にポリアミド粉末を凝集させて3次元物品、例えばプロトタイプ、見本、ひな型を製作する技術は公知である。この方法ではポリアミド粉末の結晶化温度Tc〜融点Tfの間の温度に加熱されたチヤンバー内で水平プレート上にポリアミド粉末の薄い層を堆積させ、例えば物品形状を記憶したコンピュータを用いてレーザーによって物品に対応する幾何学形状に従って粉末層の互いに異なる点で粉末粒子を凝集させて、物品をスライスした形にする。
次に、水平プレートを粉末層の厚さに対応する値(例えば0.05〜2mm、一般には約0.1mm程度)下げ、新しい粉末層を堆積させ、この新しい粉末層に対して物品のスライスに対応する幾何学形状に従って粉末粒子をレーザーで凝集させる。そして、この操作を物品全体ができるまで繰り返すことで、内部に物品を含んだ粉末のブロックが得られる。凝固しなかった部分は粉末状態のままである。その後、全体をゆっくりと冷やす。物品の温度が結晶化温度Tc以下まで下がると物品は固化する。完全冷却後、物品を粉末から分離する。残った粉末は次の操作で再利用できる。
製造中の変形現象(「カーリング」現象)を避けるために粉末はできるだけ大きなTf−Tcの差を有することが望まれている。すなわち、時間t0でレーザー光線が照射された直後に見本の温度は粉末の結晶化温度(Tc)以上になるが、冷えた粉末の新しい層を堆積させると物品部分の温度は急速にTc以下へ低下し、それによって変形が起きる。
さらに、製作された物品の形状を高い幾何学精度にするためには溶融エンタルピー(ΔHf)ができるだけ高いことが要求される。すなわち、溶融エンタルピーが低すぎるとレーザーのエネルギーで製作中の壁に近い粉末粒子が熱伝熱によって燒結し、物品の幾何学精度がさらに悪くなる。
レーザー光線でポリアミド粉末を凝集する上記の説明は、溶融が生じさせる全ての放射の場合に当てはまる。
下記文献にはレーザー光線下で粉末を凝集させる方法でのポリアミド12(Pa12)粉末の使用が記載されている。
米国特許第6245281号明細書
この特許に記載の粉末のTfは185〜189℃で、Tcは138〜143℃の間にあり、
そのΔHfは112±7/Jである。この粉末は下記文献に記載の方法で製造される。
ドイツ国特許第2906647号公報(=米国特許第4334056号)
この特許に記載の方法では、まず最初にPa12を作り、それを130〜150℃でエタノールに溶かし、穏やかに攪拌しながら125℃以下の温度まで冷却させる。Pa12は粉末の形で沈殿する。
下記文献には攪拌反応装置中でN,N‘-アルキレンビスアミドと有機または無機充填材(例えば粉末シリカ)の存在下でラクタムを溶剤中でアニオン重合する方法が記載されている。
欧州特許第192 515号公報
シリカは、1000gのラウリルラクタムに対して1.7〜17g配合され、反応は100〜120℃で行われる。デカンテーションによってポリアミド12の粉末が反応装置の底に回収される。得られるポリアミド12粉末の融点は177+/−1℃である。
この温度は上記の焼結法で物品を製造する用途には不十分な温度である。
本発明者は、有機または無機の充填材の配合比率を1000gのラウリルラクタムに対して0.2〜1.5gにし、式:R1−NH−CO−R2のアミド(ここで、R1はR3−CO−NH−またはR3−O−と置換でき、R1、R2およびR3はアリール、アルキルまたはシクロアルキルを表し)の配合比率を1000gのラウリルラクタムに対して0.030モル以下にすることによって、融点が少なくとも180℃のポリアミド12粉末を得ることができるということを発見した。
有機または無機充填材の配合比率は1000gのラウリルラクタムに対して0.05〜1.5gであるのが好ましい。さらに好ましくは、1000gのラウリルラクタムに対して0.2〜1.5であり、さらには、1000gのラウリルラクタムに対して0.35〜1.3g、さらに好ましくは1000gのラウリルラクタムに対して0.35〜0.9gである。
重合は溶剤がラクタムの過飽和状態となる温度で開始するのが好ましい。
本発明はさらに、ポリアミド12の粉末は溶解しないラウリルラクタムの溶剤中で、ラウリルラクタムの溶液アニオン重合によってポリアミド12の粉末を製造する方法に関するものである。本発明では上記溶液アニオン重合を下記によって行う:
(1) 触媒および活性化剤の存在で、
(2) 細かく粉砕した有機または無機の充填材の存在で、1000gのラウリルラクタムに対してこの充填材の配合比率を1.5g以下にし、且つ
(3) 式:R1−NH−CO−R2のアミド(ここで、R1はR3−CO−NH−またはR3−O−と置換でき、R1、R2およびR3はアリール、アルキルまたはシクロアルキルを表し)の存在で、この化合物の配合比率を1000gのラウリルラクタムに対して0.001モル〜0.030モルにする。
本発明の一つの実施例では上記の細かく粉砕した有機または無機の充填材はシリカである。
本発明の一つの実施例では細かく粉砕した有機または無機の充填材の配合比率は1000gのラウリルラクタムに対して0.05〜1.5gである。この比率は1000gのラウリルラクタムに対して0.2〜1.5であり、さらには、1000gのラウリルラクタムに対して0.35〜1.3g、さらに好ましくは1000gのラウリルラクタムに対して0.35〜0.9gである。
本発明の一つの実施例ではアミドはエチレンズヒステアルアミド(EBS)およびエチレンビスオレアミド(EBO)の中から選択される。
本発明の一つの実施例ではアミドの配合比率は1000gのラウリルラクタムに対して0.002モル〜0.022モル、さらに好ましくは1000gのラウリルラクタムに対して0.005モル〜0.020モルである。
本発明の一つの実施例では重合はラクタムが過飽和状態の溶剤の温度で開始する。
本発明の一つの実施例では、重合は着色染料、TiO2、ガラスファイバ、カーボンファイバ、ナノ−充填材、ナノ−クレー、カーボンナノチューブ、赤外線吸収ピグメント、カーボンブラック、無機充填材または難燃剤の存在下で行う。
本発明はさらに、上記方法で得られたポリアミド12を放射線による溶融によって粉末を凝集させて物品を製造する方法にも関するものである。
本発明はさらに、上記方法で得られたポリアミド12の物品製造での使用にも関するものである。
本発明のポリアミド12粉末の融点は少なくとも180℃であり、好ましは183+/-1℃である(ISO規格11357に従って20℃/分で測定したDSC(Differential Scanning Calorimetry)で測定される最初の加熱温度)。融解エンタルピー(最初の加熱)は約114+/−4J/gである。結晶化温度は約135+/−1℃である。粉末粒子の平均粒度は15〜100μm、好ましは25〜60μmである。
本発明方法は二重エンベロープまたは螺旋ヒータによる加熱器具と、底部取出し管のような排出装置と、試薬導入器具とを備え、乾燥窒素で置換した攪拌反応装置中で実行できる。反応は連続または不連続(バッチ)で運転できる。
本発明方法には多くの利点かある。
すなわち、再処理や溶解/沈殿等の追加段階なしで粉末が直接得られる。
粉末粒子の寸法はプロセスパラメータで調整できる。粒子の寸法分布の幅が狭いので粉末を取り扱う際のダスト現象を無くすことができる。
下記特許に記載のオルガノゾルプロセスの自由度が保存されるという利点もある:
欧州特許第EP192515号公報
すなわち、粉末の平均寸法を上記欧州特許EP192515に記載されているプロセスの従来のパラメータで調節でき([表1]参照)、さらに、寸法分布および用途めに必要な高い融点の維持したまま([表2]参照)、分子量を調節することができる。
さらに別の利点は粉末の用途に必要な特性を改善するための添加剤を材料中に直接点かできる点にある。添加剤としては例えば着色用染料、TiO2、充填材、赤外線吸収剤、カーボンブラック、内部応力減少させる無機充填材および難燃剤を挙げることができる。さらに、溶融法で得られた部品の機械的性質(耐破断性および耐破断伸び性)を改善するたの添加剤を加えることもできる。こうした充填材には例えばガラス繊維、カーボン繊維、ナノ−充填材、ナノ−クレーおよびカーボンナノチューブがある。これらの充填材を合成時に導入することで分散が良くなり、効率も向上する。
この粉末の粒度分布幅が非常に狭いことは放射線(赤外線、紫外線硬化...)よる凝集で部品を製造する上で極めて有利である。すなわち、部品を精密に製作でき、粉末取り扱い時のダストの問題を無くすことができる。
さらに、粉末の融点に近い温度に長時間曝した後でもポリマーの分子量は増加しない([表3]参照)。従って、放射線下の凝集によって部品を製造する際に性能を変えずに粉末を何度もリサイクルできるということを意味し、さらに、製造中、部品の性質が変化しないということを意味する。さらに、本発明の粉末凝集方法で作られた物品は優れた機械特性を有する([表2]参照)。
本発明はさらに、放射線を使用した溶融によってポリアミド12粉末の凝集で物品を製造する方法に関するものである。このポリアミド12粉末は上記方法で得られていたPA12の粉末である。放射線の例としてはレーザー光線が挙げられる(「レーザー焼結」法とよばれる)。粉末層と放射線源との間にマスクを配置して、マスクによって放射線から保護された粒子が凝集しないようにすることもできる。
溶剤はラクタムの溶剤であるが、ポリアミド粉末はこの溶剤には不溶である。この溶剤は上記特許文献4(欧州特許第EP192515号公報)に記載されている。この溶剤は沸点範囲が140〜170℃のパラフィン系炭化水素留分であるのが好ましい。
触媒はラクタメートを作るのに十分な強い塩基である。触媒の例としてはナトリウム、カリウム、アルカリ金属の水素化物および水酸化物、アルカリ金属のアルコラート、例えばナトリウムメチラートまたはエチラートを挙げることができる。
活性化剤は重合を起こさせ、および/または、加速する任意の活性化化合物である。例としてはラクタム-N-カルボキシアニリド、イソシアネート、カルボジイミド、シアンイミド、アシル−ラクタム、トリアジン、尿素、イミド−N−置換体、エステルが挙げられる。この活性化剤を反応系内でその場で形成することもできる。例えば、アシル-ラクタムはラクタムにアルキルイソシアナートを加えることで得られる。
活性化剤に対する触媒のモル比は0.2〜2、好ましくは0.8〜1.2にすることができる。ラクタム中の触媒の配合比率は0.1〜5モル、好ましくは100モルのラクタムに対して0.3〜1.5モルにするのが好ましい。
細かく粉砕した有機または無機の充填材の寸法は0.01μm〜30μm、好ましくは0.01〜10μmである。この充填材は反応装置に溶剤導入後に加えることができる。この充填材は例えばシリカにすることができる。充填材の配合比率は1000gのラウリルラクタムに対して0.35〜0.9g荷するのが好ましい。有機または無機の充填材の配合比率が小さいほど、ポリアミド12粉末の寸法を大きくなる。
一般に、式:R1−NH−CO−R2のアミドの存在下で共重合を行う。ここで、R1はR3−CO−NH−またはR3−O−基と置換でき、R1、R2およびR3はアリール、アルキル、シクロアルキルを表し、特に上記特許文献4(欧州特許第EP192515号公報)に記載のN,N’−アルキレンビスアミド、例えばエチレンビスステアルアミド(EBS)またはエチレンビスオレアミド(EBO)である。
式:R1−NH−CO−R2のアミドの基R1、R2、R3のアリールの例としてはフェニル、パラ−トリル、α−ナフチルを挙げることができる。アルキルの例としてはメチル、エチル、N−プロピルおよびN-ブチルを挙げることができる。シクロアルキルの例としてはシクロヘキシルが挙げられる。
好ましいアミドはR1およびR2が同一か互いに相違し、炭素原子数が5のフェニルまたはアルキルのものであり、R1くR3−O−に置換でき、R3は炭素原子数が5のアルキルにすることができる。
アセトアニリドの例としてはベンズアニリド、N-メチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N-メチルホルムアミドおよび(4-エトオキシ-フェニル)アセトアミドが挙げられる。好ましい他のアミドはアルキレンビスアミド、例えばエチレンビスステアラアミド(EBS)およびエチレンビスオレアミド(EBO)である。2種以上のアミドの存在下で重合を行っても本発明の範囲を逸脱するものではない。アミドの配合比率が低いほど粉末のモル質量が高くなる。粉末のモル質量が高いほど粉末を用いて製作した物品の機械的性質が高くなり、特に、破断伸びが良くなる。
上記製造方法は不連続(バッチ)で行うのが好ましい。すなわち、先ず、溶剤を入れ、それと同時またはその後、ラクタム、アミド、各種充填剤、触媒および活性化剤を導入する。先ず最初に溶剤とラクタム(またはラクタムを溶剤に溶かした溶液)を導入し、その後で全ての水を除去し、媒体を完全に乾燥してから触媒を導入するのが好ましい。微量の水は共沸蒸留で除去できる。その後に活性化剤を加える。
各種の充填材は例えばラクタム導入後に入れることができる。アミドも例えばラクタム導入後に入れることができる。反応は大気圧で20℃〜溶剤の沸点の間の温度で実施できる。溶剤はラクタムが過飽和の状態にあるのが好ましい。すなわち、溶剤中でのラクタムの結晶化温度以下の温度で運転するのが好ましい。この温度以上ではラクタムが溶解し、以下ではラクタムが核化(germes)する。すなわち、ポリアミド12粉末の融点を上昇できる。この過飽和温度は通常の方法で決定できる。ラクタムの過飽和溶剤に関しては下記文献に記載されている。
欧州特許第303530号公報
反応時間は温度の関数で、温度が高いほど短くなり、一般には1〜12時間である。反応は完全で、全てのラクタムが消費される。反応終了時に溶剤を分離し、粉末を濾過または脱水し、粉末を乾燥する。
本発明の好ましい実施態様では、先ず最初に溶剤とラクタムとを別々または同時に導入し、存在する可能のなる水を除去してから触媒を導入する。その後、活性化剤を連続度的または複数に分けて導入する。本発明方法の各段階が連続的な場合でも、溶剤を反応装置に導入する団塊から始まって粉末を溶剤から分離する最後の段階までサイクルを分けることができるので、「不連続法」とよぶことができる。
以下の実施例1、2、4および5は本発明の実施例である。これらの実施例は加熱オイルが循環する二重エンベロープと、ブレード攪拌器と、底部排出口と、試薬導入ホッパーとを備え、乾燥窒素で置換した5リットル容の反応装置で実行した。反応媒体中のトレース量の水は真空共沸蒸留装置で除去した。
実施例3は上記特許文献4(欧州特許第EP192515号公報)に記載の比較例である。
実施例1
窒素雰囲気下に維持した反応装置中に2800mlの溶剤を入れた後、899gの乾燥したラウリルラクタムと、14.4gのEBSと、0.72gの細かく粉砕し、脱水したシリカとを導入した。300回転/分で攪拌した後、徐々に110℃まで加熱し、真空蒸留で290mlの溶剤を除去して存在する可能性のあるトレース量の水を共沸で除去した。
大気圧に戻した後、窒素下に迅速にアニオン触媒を入れ、1.44gの鉱油中の純度60%の水素化ナトリウムを導入し、攪拌速度を350回転/分に上げ、窒素下で110℃で30分間攪拌した。
次に、温度を100℃にしてから、小型ポンプを用いて選択した活性化剤、すなわちステアリルイソシアネートを反応媒体中へ下記のプログラムに従って連続的に導入した:
(1) 60分かけて10.7gのイソシアネート、
(2) 132分かけて17.7gのイソシアネート。
最初の60分間は温度を100℃に維持し、その後30分かけて120℃に上げ、イソシアネート導入後にさらに120℃を2時間維持した。
その後、重合を終了した。80℃に冷却した後、デカンテーションおよび乾燥してえたポリアミド12粉末は下記の特数を有していた:
固有粘度: 0.99、
粒径は14〜40μmで、粒子の平均直径は24μmで、凝集はしていない。
反応装置に汚れはほとんどなかった。
実施例2
窒素雰囲気下に維持された反応装置中に2800mlの溶剤を入れた後、899gの乾燥ラウリルラクタムと、7.2gのEBSと、0.36gの細かく粉砕した脱水シリカとを導入した。300回転/分で攪拌を開始した後、ゆっくりと110℃まで加熱し、真空蒸留で290mlの溶剤を除去して存在する可能性のある水沸除去した。
大気圧へ戻してから窒素雰囲気下にアニオン触媒と、1.44gの純度60%の鉱油中の水素化ナトリウムとを迅速に加え、窒素雰囲気下に110℃で30分間、350回転/分で攪拌した。
温度を100.2℃にしてから、小型ポンプを用いて選択した活性化剤、すなわちステアリルイソシアネートを下記プログラムに従って反応媒体中に連続的に導入した:
(1) 60分間でイソシアネート10.7g、
(2) 132分間でイソシアネート17.7g。
最初の60分間は温度を100.2℃に維持し、次に120℃に上げて30分間維持し、イソシアネート導入後にさらに120℃に2時間維持した。その後、重合を終了した。80℃に冷却後、デカンテーションおよび乾燥して得られたポリアミド12粉末は下記の特数を有する:
(1) 固有粘度: 1.12
(2) 粒径分布は3.5〜170μm、平均粒径は51μm、粒子間に凝集はなかった。
(3) 反応装置のよごれはほとんどなかった。
実施例4
窒素雰囲気下に維持された反応装置中に2800mlの溶剤を入れた後、899gの乾燥ラウリルラクタムと、4.95gのEBSと、0.36gの細かく粉砕した脱水シリカとを導入した。300回転/分で攪拌を開始した後、ゆっくりと110℃まで加熱し、真空蒸留で290mlの溶剤を除去して存在する可能性のある水沸除去した。
大気圧へ戻してから窒素雰囲気下にアニオン触媒と、1.79gの純度60%の鉱油中の水素化ナトリウムとを迅速に加え、窒素雰囲気下に110℃で30分間、400回転/分で攪拌した。
温度を100.5℃にしてから、小型ポンプを用いて選択した活性化剤、すなわちステアリルイソシアネートを下記プログラムに従って反応媒体中に連続的に導入した:
(1) 60分間でイソシアネート3.6g、
(2) 132分間でイソシアネート5.9g。
最初の60分間は温度を100.5℃に維持し、次に120℃に上げて30分間維持し、イソシアネート導入後にさらに120℃に2時間維持した。その後、重合を終了した。80℃に冷却後、デカンテーションおよび乾燥して得られたポリアミド12粉末は下記の特数を有する:
(1) 固有粘度: 1.48
(2) 粒径分布は15〜120μm、平均粒径は30μm、粒子間に凝集はなかった。
(3) 反応装置のよごれはほとんどなかった。
実施例5
窒素雰囲気下に維持された反応装置中に2800mlの溶剤を入れた後、899gの乾燥ラウリルラクタムと、9.0gのEBSと、0.36gの細かく粉砕した脱水シリカとを導入した。300回転/分で攪拌を開始した後、ゆっくりと110℃まで加熱し、50ミリバールの真空蒸留で290mlの溶剤を除去して存在する可能性のある水沸除去した。
大気圧へ戻してから窒素雰囲気下にアニオン触媒と、1.44gの純度60%の鉱油中の水素化ナトリウムとを迅速に加え、窒素雰囲気下に110℃で30分間、400回転/分で攪拌した。
温度を100.4℃にしてから、小型ポンプを用いて選択した活性化剤、すなわちステアリルイソシアネートを下記プログラムに従って反応媒体中に連続的に導入した:
(1) 60分間でイソシアネート10.7g、
(2) 132分間でイソシアネート17.7g。
最初の60分間は温度を100.4℃に維持し、次に120℃に上げて30分間維持し、イソシアネート導入後にさらに120℃に2時間維持した。その後、重合を終了した。80℃に冷却後、デカンテーションおよび乾燥して得られたポリアミド12粉末は下記の特数を有する:
(1) 固有粘度: 1.10
(2) 粒径分布は15〜120μm、平均粒径は40μm、粒子間に凝集はなかった。
(3) 反応装置のよごれはほとんどなかった。
結果は[表1]〜[表3]にまとめて示してある。
Figure 0004886991
Figure 0004886991
機械的特性はISO規格527-2で引張り速度50mm/分で測定した。
Figure 0004886991
平均分子量Mwは立体排除クロマトグラフィで測定した。分析はベンジルアルコール中で130℃で行った。平均分子量Mwはポリアミト12当量で表してある。

Claims (14)

  1. ポリアミド12の粉末は溶解しないラウリルラクタムの溶剤中で、ラウリルラクタムの溶液アニオン重合によってポリアミド12の粉末を製造する方法において、上記溶液アニオン重合を:
    (1) 触媒および活性化剤の存在で、
    (2) 細かく粉砕したシリカの存在で、1000gのラウリルラクタムに対してこのシリカの配合比率を0.05g以上且つ1.5g未満にし
    (3) 式:R1−NH−CO−R2のアミド(ここで、R1はR3−CO−NH−またはR3−O−と置換でき、R1、R2およびR3はアリール、アルキルまたはシクロアルキルを表し)の存在で、このアミド化合物の配合比率を1000gのラウリルラクタムに対して0.001モル〜0.030モルにし、
    (4) ラクタムが過飽和状態になる溶剤の温度で重合を開始する、
    ことを特徴とする、ISO規格11357に従って20℃/分の加熱速度でDSC(走査比差熱法)で測定した最初の加熱時の融点が180℃〜184℃であるポリアミド12の粉末の製造方法。
  2. 上記シリカの配合比率が1000gのラウリルラクタムに対して0.2〜1.5gである請求項に記載の方法。
  3. 上記シリカの配合比率が1000gのラウリルラクタムに対して0.35〜1.3gである請求項に記載の方法。
  4. 上記シリカの配合比率が1000gのラウリルラクタムに対して0.35〜0.9gである請求項に記載の方法。
  5. 上記アミドをエチレンビスステアラミド(EBS)およびエチレンビスオレアラミド(EBO)の中から選択する請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 上記アミドの配合比率が1000gのラウリルラクタムに対して0.002モル〜0.022モルである請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 上記アミドの配合比率が1000gのラウリルラクタムに対して0.005モル〜0.020モルである請求項に記載の方法。
  8. 重合を着色染料、TiO2、ガラスファイバ、カーボンファイバ、ナノ−充填材(nano-chage)、ナノ−クレー(nano-argile)、カーボンナノチューブ、赤外線吸収ピグメント、カーボンブラック、無機充填材または難燃剤の存在下で行う請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法で得られるポリアミド12粉末。
  10. 上記融点が183±1℃である請求項に記載のポリアミド12粉末。
  11. 粉末の寸法が25μm〜60μmである請求項9または10に記載のポリアミド12粉末。
  12. ISO規格11357に従って20℃/分の加熱速度でDSC(走査比差熱法)で測定した最初の加熱時の融解エンタルピー114±4J/gである請求項11のいずれか一項に記載のポリアミド12粉末。
  13. ISO規格11357に従って20℃/分の加熱速度でDSC(走査比差熱法)で測定した最初の加熱時の結晶化温度が135±1℃である請求項12のいずれか一項に記載のポリアミド12粉末。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリアミド12粉末を用いることを特長とする、レーザー光線、赤外線、紫外線を含む放射線によるポリアミド12粉末の溶融集方法。
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