JP4886935B2 - 触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒に係り、詳しくは、排気浄化用の触媒コンバータや排気センサに使用される触媒において触媒性能を高める技術に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
排気浄化触媒として使用される触媒コンバータ、例えば三元触媒において、例えば特公平7−33793号公報や特開平9−137742号公報に開示されるように、内燃機関に供給する燃料と空気との比率である空燃比(A/F)を変動させることにより排気空燃比をリーン空燃比とリッチ空燃比との間で周期的に変動させ、これにより酸化雰囲気(リーン空燃比雰囲気)と還元雰囲気(リッチ空燃比雰囲気)とを交互に発生させてNOx(窒素酸化物)、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)を偏りなく浄化することが行われている。
【0003】
また、三元触媒には、酸化雰囲気において貴金属にO2(酸素)やNOxが吸着する酸素吸蔵機能を備える一方、還元雰囲気において貴金属にHC、COが吸着する還元剤吸蔵機能を備えるという性質が有り、これにより、例えば、三元触媒の雰囲気を酸化雰囲気と還元雰囲気の間で変動させるようにした場合、三元触媒の雰囲気が還元雰囲気から酸化雰囲気に切換わると、排気中のHC、COや貴金属に吸着しているHC、COが排気中のO2、NOxによって酸化除去され、その一方でO2、NOxが貴金属に吸着し、HC、COとともにNOxの排出も防止されている。逆に、酸化雰囲気から還元雰囲気に切り換わると、排気中のNOxや貴金属に吸着しているNOxが排気中のHC、COによって還元除去されるとともに吸着しているO2がHC、COを酸化し、その一方でHC、COが貴金属に吸着し、NOxとともにHC、COの排出も防止されている。つまり、三元触媒の雰囲気を酸化雰囲気と還元雰囲気の間で変動させるように制御することで、HC、CO、NOxの全てを大気中への排出なく浄化処理可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、還元雰囲気状態においては、CO等の還元剤が貴金属に吸着しやすいためにNOxの貴金属への吸着が阻害され易いという問題があり、また、一般に上記酸素吸蔵機能強化のために触媒に添加されるセリア(Ce)はCeO2の状態では水性ガス反応(CO+H2O → H2+CO2)を促進し、これにより生成されたH2は(2NO+2H2 → N2+2H2O)のように反応してNOxを浄化するのであるが、還元雰囲気中にはCOが多いことから水性ガス反応の不活性(CeO2+CO → Ce2O3+CO2)が起こり、この状態では水性ガス反応が促進されずにその分NOxの浄化効率が低下するという問題がある(これらを総称して還元被毒という)。
【0005】
このことは、つまり、上記のように空燃比(A/F)を強制的に変動させても、還元雰囲気において触媒下流にNOxが漏洩する場合があり、通常の触媒コンバータにおいては高いNOx浄化効率(例えば、95%以上)の範囲(以下、「最適範囲」という)が狭いことを意味している。そして、このように最適範囲が狭いと、センサ等の部品や制御のバラツキ等により当該最適範囲から外れる可能性が高く、この場合NOx浄化効率が低下するという問題がある。
【0006】
この問題を解決するためには、例えば三元触媒の還元剤吸蔵機能を強化すればよく、そのためには三元触媒に還元剤吸蔵機能を有するアルカリ金属やアルカリ土類金属(Ba、Ca等)を添加することが効果的であることが知られており、最近では、さらに、これらアルカリ金属やアルカリ土類金属のうち特にカルシウム(Ca)が還元剤吸蔵機能の強化に最も高く寄与することが分かってきた。また、Caを添加することで耐熱性も良化することが分かってきた。
【0007】
また一方、上記空燃比の変調等の空燃比制御を行うために、通常は排気通路にO2センサを設けており、当該O2センサからの出力値に基づいて排気空燃比を判断するようにしている。そして、このO2センサの出力値はO2センサの電極周りのO2濃度、即ちO2量によって決まるものであるため、本来O2センサの検出するO2濃度は適正であるべきである。
【0008】
ところが、排ガス成分(O2、H2、CO、HC、NOx)のガス拡散速度には差(H2>O2、CO>HC、NOx)があるため、O2センサの検出するO2濃度は必ずしもこれら排ガス成分の平衡化反応が完了した状態のものとはいえず、出力値が正確でない可能性がある(所謂、制御λシフト)。
この問題を解決するため、最近では、O2センサの電極周りに触媒層を形成するようにし、触媒層で平衡化反応を促進させて排ガス成分のガス拡散速度差を抑制することが行われており、さらに、上記同様、当該触媒層にCaを添加するようにすれば、NOx浄化効率が向上して出力値がより正確なものとなり、O2センサの耐熱性も向上することが分かってきた。
【0009】
しかしながら、このように触媒にCaを添加することが良いことは分かってきても、耐熱性を最適なものとし且つ上記NOx浄化効率の最適範囲を広げるため、即ち触媒性能を向上させるためにCaをどの程度添加すればよいか等については全く明らかにされていない。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、Caの添加量を適切なものとし触媒性能の向上を図った触媒を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、請求項1の触媒では、内燃機関の排気通路に設けられ排気空燃比に応じて出力値が変化する排気センサに使用される触媒であって、還元剤吸蔵物質としてCaを単位容積当たりのコート量0.5〜15グラム/リットル含有することを特徴としている。
このように、コート量0.5〜15グラム/リットル含有する触媒を排気センサ(O 2 センサ等)に使用するようにすれば、還元剤吸蔵機能が最適なものとなってNOx浄化効率の最適範囲が広がり、故に排気センサの出力値がより正確なものとなり、当該排気センサの出力値に基づく空燃比の変調等の空燃比制御がより適正なものとなる。また、耐熱性が良化することで排気センサの耐久性が向上することになる。
【0011】
ここに、本発明の請求項1は次のような所見に基づきなされたものであり、以下当該請求項1の作用について詳しく述べる。
出願人の実験によれば、空燃比を変調させた場合の平均空燃比(平均A/F)とNOx浄化効率との間には、図2に示すような関係があることが確認された。同図中実線が触媒にCaを適正量(例えば、3.6グラム/リットル:以下g/Lと記す)添加した場合を示し、破線が触媒にCaを含まなかった場合を示している。
【0012】
つまり、当該実験によって、触媒にCaを適正量添加することで、還元剤吸蔵機能が最適なものとなり、NOx浄化効率の高くなる平均A/Fの範囲、即ち上記高いNOx浄化効率(例えば、95%以上)の最適範囲(斜線部)が拡大することが分かった。
そこで、空燃比を変調させた場合にCaをどの程度添加すればNOx浄化効率が最大となり最適範囲が最大になるのかを探った結果、図3に示すようなデータが得られた。ここに、(a)図は触媒に添加するCaコート量(g/L)とNOx浄化効率(%)との関係を示し(図3中のaに対応)、(b)図は触媒に添加するCaコート量(g/L)とNOx浄化効率95%のA/F幅を示している(図3中のbに対応)。
【0013】
即ち、(a)図より、Caコート量が16.5g/L以下であればNOx浄化効率は十分高い状態であるといえ、(b)図より、Caコート量が3.6g/L近傍においてNOx浄化効率95%のA/F幅が最大となり、Caコート量が0.5〜15g/Lの範囲内であれば、NOx浄化効率の最適範囲は実用に耐えるほど十分広いといえる。
【0014】
さらに、出願人がCaコート量を種々変えて長期間使用したときの触媒のHC浄化効率(%)をそれぞれ調査したところ、図4に示すように、Caコート量が3.6g/L近傍においてHC浄化効率が最大となり、Caコート量が0.5〜15g/Lの範囲内であれば、依然として実用に耐えるほど十分高いHC浄化効率を保持していることが分かった。つまり、Caコート量が0.5〜15g/Lの範囲内であれば、十分な耐熱性を有して高い浄化効率を保持していると考えられる。このことは、通常熱劣化は以下の1)〜4)が原因と見られているが、これらの全て或いは何れかが改善されているものと考えられる。
1)活性貴金属のシンタリング
2)ウォッシュコートのシンタリング
3)助触媒(Ce等)のシンタリング
4)活性貴金属の酸化劣化(高温リーン状態で貴金属とO2が強く結合し貴金属の活性を低下させる現象)
なお、この図4の実験結果は空燃比をリーン空燃比に固定して実験した場合を示しているが、この傾向は空燃比に依らず同じであることが確認されている。
【0015】
従って、Caコート量が0.5〜15g/Lの範囲内であれば、NOx浄化効率の最適範囲が広がり且つ触媒の耐熱性も良化することになり、触媒性能の向上が図られることとなる。
なお、図3、図4より、好ましくは、Caコート量が2〜6g/Lの範囲内であるのがよいといえる。
【0016】
また、請求項2の触媒では、Caが酸化物または塩として担体にコーティングされていることを特徴としている。
つまり、Caは単体よりも酸化物または塩の状態の方がコーティングに都合がよく、Caを酸化物または塩として担体にコーティングすることにより、Caは担体上で安定する。
【0017】
また、請求項3の触媒では、活性貴金属としてプラチナまたはロジウムを含有することを特徴としている。
つまり、活性貴金属としてプラチナまたはロジウムが使用されていると、一般に触媒作用は高いと考えられ、このような活性貴金属の高い触媒作用とCaの還元剤吸蔵機能とを組み合わせることにより、より一層触媒性能の向上が図られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1を参照すると、車両に搭載された本発明に係る触媒が適用される排気浄化装置の概略構成図が示されており、以下同図に基づいて当該排気浄化装置の構成を説明する。
【0021】
同図に示すように、エンジン本体(以下、単にエンジンという)1としては、例えば、燃料噴射モードを切換えることで吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴射)とともに圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射)を実施可能な筒内噴射型火花点火式ガソリンエンジンが採用される。この筒内噴射型のエンジン1は、容易にして理論空燃比(ストイキオ)での運転やリッチ空燃比での運転(リッチ空燃比運転)の他、リーン空燃比での運転(リーン空燃比運転)が実現可能である。
【0022】
同図に示すように、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ4とともに電磁式の燃料噴射弁6が取り付けられており、これにより、燃料を燃焼室内に直接噴射可能である。
点火プラグ4には高電圧を出力する点火コイル8が接続されている。また、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して燃料タンクを擁した燃料供給装置(図示せず)が接続されている。より詳しくは、燃料供給装置には、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプとが設けられており、これにより、燃料タンク内の燃料を燃料噴射弁6に対し低燃圧或いは高燃圧で供給し、該燃料を燃料噴射弁6から燃焼室内に向けて所望の燃圧で噴射可能である。この際、燃料噴射量は高圧燃料ポンプの燃料吐出圧Pinjと燃料噴射弁6の開弁時間、即ち燃料噴射時間Tinjとから決定される。
【0023】
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポートが形成されており、各吸気ポートと連通するようにして吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に略水平方向に排気ポートが形成されており、各排気ポートと連通するようにして排気マニホールド12の一端がそれぞれ接続されている。
【0024】
なお、当該筒内噴射型のエンジン1は既に公知のものであるため、その構成の詳細については説明を省略する。
同図に示すように、吸気マニホールド10には吸入空気量を調節する電磁式のスロットル弁14及び当該スロットル弁14の開度θthを検出するスロットルポジションセンサ(TPS)16が設けられており、さらに、スロットル弁14の上流には、吸入空気量を計測するエアフローセンサ18が介装されている。エアフローセンサ18としては、カルマン渦式エアフローセンサが使用される。
【0025】
一方、排気マニホールド12には排気管(排気通路)20が接続されており、この排気管20には、排気浄化触媒装置として三元触媒(触媒コンバータ)30が介装されている。
この三元触媒30は、担体に活性貴金属として白金(Pt)、ロジウム(Rh)のいずれかまたは両方を含有するとともにアルカリ土類金属であるCa(カルシウム)化合物を含有しており、上述したように酸化剤吸蔵機能とともに特に還元剤吸蔵機能(COストレージ機能)を有したストレージ型三元触媒として構成されている。詳細な触媒構成としては、白金やロジウム、活性アルミナで代表される耐火性無機酸化物、Caは0.5〜15g/L(好ましくは、2〜6g/L)の適正量の範囲となるように含有される。ここでは、例えば3.6g/L近傍のCaが含有されている(図3、図4参照)。Ca化合物としては、酸化物以外の種々の塩、例えば酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、水酸化物等であってもよい。その他、CeO2などのOSC(酸素貯蔵能)材を含有してもよい。
【0026】
触媒調整法としては、例えば、貴金属を活性アルミナなどに吸着法や熱分解法等を用いて予め固定しておき、これを他の耐火性無機酸化物、Ca化合物、OCS材などとともに湿式粉砕し、スラリー化し、モノリス担体などにコートした後、乾燥、焼成させる方法が採られる。
また、排気管20の三元触媒30下流には、O2センサ(排気センサ)24が配設されている。O2センサ24は、上述したようにO2濃度に応じて出力値(出力電圧)が変化するものであり、空燃比がリーン空燃比でO2濃度が高いときには低い電圧値を示す一方、理論空燃比近傍で急増して空燃比がリッチ空燃比でO2濃度が低いときには高い電圧値を示すようなセンサである。
【0027】
そして、このO2センサ24は、図5に示すように、Pt電極のコーティング層周りに触媒層が形成されており、この触媒層にも活性貴金属として白金(Pt)、ロジウム(Rh)のいずれかが含まれているとともに、アルカリ土類金属であるCa(カルシウム)が含有されており、還元剤吸蔵機能(COストレージ機能)を有している。詳しくは、上記三元触媒30の場合と同様、CaはそのCaコート量が0.5〜15g/L(好ましくは、2〜6g/L)の範囲となるように調整されコーティングされており、ここでは、例えば3.6g/L近傍のCaが酸化物或いは塩(例えば、CaCO3)の状態で担体に安定的にコーティングされている。
【0028】
また、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子コントロールユニット)40が設置されており、このECU40により、エンジン1を含めた燃焼制御装置の総合的な制御が行われる。
ECU40の入力側には、上述したTPS16、エアフローセンサ18及びO2センサ24等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力する。
【0029】
一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁6や点火コイル8等の各種出力デバイスが接続されており、これら各種出力デバイスには各種センサ類からの検出情報に基づき演算された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等がそれぞれ出力され、これにより、燃料噴射弁6から適正量の燃料が適正なタイミングで噴射され、点火プラグ4により適正なタイミングで火花点火が実施される。
【0030】
以下、このように構成された排気浄化装置の作用を説明するとともに、本発明に係る触媒の作用を説明する。
上記排気浄化装置では、三元触媒30の能力を十分発揮するために、ECU40によって、ストイキ近傍を平均空燃比(平均A/F)としてリッチ空燃比とリーン空燃比との間で空燃比を強制的に交互に振るようにしている。つまり、ここでは、空燃比(A/F)を一定期間に亘りリーン空燃比(例えば値16)とした後一定期間リッチ空燃比(例えば値14)とするように強制変調させ、リーン空燃比とリッチ空燃比とを周期的に繰り返すようにしている。なお、変調波形は、方形波、三角波のいずれであってもよい。
【0031】
これにより、空燃比がリッチ空燃比で排気空燃比がリッチ空燃比のときにはNOxが良好に浄化されるとともに三元触媒30のCOストレージ機能によりCOが吸蔵され、空燃比がリーン空燃比で排気空燃比がリーン空燃比のときにはHC、COが良好且つ十分に浄化されるとともにリーン空燃比雰囲気でありながら上記吸蔵されたCOによってNOxが継続的に浄化され続けることになる。
【0032】
特に、当該排気浄化装置では、三元触媒30にアルカリ土類金属であるCaを適正量含有しているので、十分なCOストレージ機能を有し、排気空燃比がリッチ空燃比である還元雰囲気中において還元剤である一酸化炭素(CO)を炭酸塩(CaCO3)として極めて良好に吸蔵可能である一方、排気空燃比がリーン空燃比となり酸化雰囲気となると、COを極めて良好に放出可能である。これにより、当該三元触媒30は酸化雰囲気状態においても担体表面に十分にCOを有してNOxを還元除去可能である。
【0033】
従って、当該実施例では、上記図2に示したように、三元触媒30は、高いNOx浄化効率及び最適範囲を有してNOxを良好に浄化可能である。
さらに、三元触媒30にCaが適正量含有されていると、上記図4に示したように、耐熱性を向上させることができる。従って、三元触媒30にCaを適正量含有することにより、同時に三元触媒30の耐久性を向上させることもできる。
【0034】
また、上述したように、O2センサ24は触媒層を有し、当該触媒層には、やはりアルカリ土類金属であるCaが適正量添加されており、十分なCOストレージ機能を有している。
このようにO2センサ24の触媒層がCaを適正量含有し、十分なCOストレージ機能を有していると、上述したように、O2センサ24の出力値はより正確な値となる。そして、O2センサ24の出力値が正確なものとなると、空燃比の変調制御は、従来のO2センサを用いた場合に比べてより一層適正なものとなり、信頼性の高い変調制御が実現される。
【0035】
さらに、O2センサ24の電極周りの触媒層にCaが適正量含有されていると、やはり耐熱性を向上させることができる。従って、O2センサ24の触媒層にCaを適正量含有することにより、同時にO2センサ24の耐久性を向上させることもできる。
なお、上記実施例では、空燃比を強制変調させる場合について説明したが、空燃比の変調は従来のO2フィードバック制御で行われるような空燃比変調であってもよく、このようなO2フィードバック制御の空燃比変調であっても、Caを適正量含有した三元触媒30等を用いることで、NOx浄化効率を高め、触媒性能を向上させることができる。
【0036】
さらに、当該O2フィードバック制御を行う場合には、通常三元触媒30の上流にO2センサを設けるが、このO2センサにCaを適正量含有した触媒層を形成するようにすれば、上記同様に、O2センサの出力値は正確なものとなり、空燃比の変調制御が従来のO2センサを用いた場合に比べてより一層適正なものとされる。
【0037】
また、上記実施例では、O2センサ24の出力に基づいてF/B制御を行うようにしたが、三元触媒30の上流或いは下流に、例えばA/Fセンサ(LAFS)等の排気センサを取付けて空燃比の変調制御を行うようにしてもよく、この場合、ガスセンサの電極周りに適正量のCaを含有した触媒層を形成するようにすれば、やはりセンサの出力値を正確なものとして空燃比の変調制御を適正なものとすることができる。
【0038】
また、上記実施例では、触媒コンバータとして三元触媒30を使用しているが、適正量のCaを含有する触媒コンバータは、三元触媒30に限らず、NOxトラップ型三元触媒やHCトラップ型触媒でもかまわないし、酸化触媒、還元触媒、三元触媒等を複数組み合わせたものや三元触媒とNOxトラップとを組み合わせたものであってもかまわない。
【0039】
ところで、上記実施例では、ストイキ近傍を平均A/Fとして空燃比を強制変調させる場合を例に説明したが、上記エンジン1の場合、空燃比を長期間リーン空燃比に保持して運転することも可能であり、このようなリーン空燃比継続運転の場合であっても、三元触媒30にCaを適正量含有することにより、少なくとも三元触媒30の耐熱性を向上させ、三元触媒30の耐久性を向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1の触媒によれば、コート量0.5〜15グラム/リットル含有する触媒を排気センサ(O2センサ等)に使用するようにすれば、還元剤吸蔵機能を最適なものとしてNOx浄化効率の最適範囲を広げ、排気センサの出力値をより正確なものにでき、当該排気センサの出力値に基づく空燃比の変調等の空燃比制御をより適正なものにできる。また、耐熱性を良化させて排気センサの耐久性を向上させることができる。
また、請求項2の触媒によれば、Caを酸化物または塩として担体にコーティングすることにより、Caを担体上に安定させておくことができる。
また、請求項3の触媒によれば、プラチナまたはロジウム等の高い触媒作用とCaの還元剤吸蔵機能とを組み合わせることにより、より一層触媒性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両に搭載された本発明に係る触媒が適用される排気浄化装置の概略構成図である。
【図2】空燃比を変調させた場合の平均A/FとNOx浄化効率との関係を示す実験結果である。
【図3】触媒に添加するCaコート量とNOx浄化効率との関係を示すとともに(a)、触媒に添加するCaコート量とNOx浄化効率95%のA/F幅を示す実験結果である(b)。
【図4】Caコート量とHC浄化効率との関係を示す実験結果であって、触媒の耐熱性を示す図である。
【図5】O2センサのPt電極のコーティング層周りのCaの添加された触媒層を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
24 O2センサ(排気センサ)
30 三元触媒(触媒コンバータ)
40 ECU(電子コントロールユニット)
Claims (3)
- 内燃機関の排気通路に設けられ排気空燃比に応じて出力値が変化する排気センサに使用される触媒であって、
還元剤吸蔵物質としてCaを単位容積当たりのコート量0.5〜15グラム/リットル含有することを特徴とする触媒。 - Caが酸化物または塩として担体にコーティングされていることを特徴とする、請求項1記載の触媒。
- 活性貴金属としてプラチナまたはロジウムを含有することを特徴とする、請求項1または2記載の触媒。
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