JP4885054B2 - 紙加工剤 - Google Patents
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PAA(B)に含まれる、アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位の割合(以下、アセタール変性量と略称する)は0.1〜99モル%であり、より好ましくは1〜50モル%であり、特に好ましくは4〜50モル%である。アセタール変性量が0.1モル%未満の場合、アセタール基含有エチレン性不飽和単量体を用いたことによる効果が十分現われない場合があり、アセタール変性量が99モル%を超える場合、そのようなPAAとPVA(A)との相溶性が低下し、紙加工剤の耐水性が低下する場合がある。
アセタール基含有エチレン性不飽和単量体として、N−2,2−ジメトキシエチル(メタ)アクリルアミドを用いた場合に得られるPAAを例にとってアセタール変性量の求め方を説明すると、該PAAをD2Oに溶解させ、500MHzのプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて室温でプロトンNMRを測定する。その測定の結果得られるアクリル酸の主鎖メチンに由来するピークα(2.0〜2.4ppm)と−CH−(OCH3)2のメチンに由来するピークβ(4.1〜4.5ppm)から、下記式を用いてアセタール変性量を算出する。
アセタール変性量(モル%)={βのプロトン数/(αのプロトン数+βのプロトン数)}×100
アセタール含有モノエチレン性不飽和単量体の具体例としては、N−2,2−ジメトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジエトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジイソプロポキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジブトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルアクリルアミド、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2―ジエトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジイソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジブトキシエチルメタクリルアミド、N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルメタクリルアミド、N−3,3−ジメトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジエトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジイソプロポキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジブトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジ−t−ブトキシプロピルアクリルアミド、N−3,3−ジメトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジエトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジイソプロポキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジブトキシプロピルメタクリルアミド、N−3,3−ジ−t−ブトキシプロピルメタクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジエトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジイソプロポキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジブトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジ−t−ブトキシブチルアクリルアミド、N−4,4−ジメトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジエトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジイソプロポキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジブトキシブチルメタクリルアミド、N−4,4−ジ−t−ブトキシブチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジメトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジエトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジイソプロポキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジブトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルアクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジエトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジイソプロポキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジブトキシエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−2,2−ジ−t−ブトキシエチルメタクリルアミド、4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、5,5−ジメトキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジエトキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジイソプロポキシ−3−オキソ−ペンテン、5,5−ジブトキシ−3−オキソ−ペンテン、4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、4−{(2,2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−3−メチレン−ブタン酸、2,2−ジメトキシエチルアクリレート、2,2−ジエトキシエチルアクリレート、2,2−ジイソプロポキシエチルアクリレート、2,2−ジブトキシエチルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記式(1)において、R1は水素原子であることが好ましく、R2は水素原子またはメチル基であることが好ましく、R3およびR4はともにメチル基であることが好ましく、Xは−CO−N(H)−または−CO−N(CH3)−であることが好ましい。また、nは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
さらには、上記式(1)において、R1が水素原子であり、R2が水素原子またはメチル基であり、R3およびR4がともにメチル基であり、Xが−CO−N(H)−または−CO−N(CH3)−であり、nが1であることがより好ましい。
PAA−1の製造
撹拌機およびリフラックスコンデンサーを備えた2Lの反応容器に、アクリル酸90g、N−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミド10gおよびメタノール400gを仕込み、内容物を65℃に昇温した。次に30分間窒素バブリングし、十分に脱気を行った後に、開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0gを添加した。開始剤を添加して3時間後に、さらに開始剤0.5gを追加して添加し、1時間重合反応を継続した。その後メタノール500gを加えて冷却し、重合を停止した。このメタノール溶液を減圧条件下60℃において、乾燥させたところ90gの白色固体であるPAA(PAA−1)を得た。PAA−1をD2Oに溶解させ、1H−NMRを測定したところ、σ=1.5ppmおよびσ=2.1ppm付近にポリアクリル酸の存在を示唆するピークを確認し、σ=3.0〜3.3ppm付近にジメチルアセタールのメトキシ基(−OCH3)の存在を示すピークを認めた。また、このNMRスペクトルから算出したアセタールの変性量は5.5モル%であった。また、PAA−1の重量平均分子量(Mw)をGPC[装置:150C−2(Waters社製)、カラム:GMPWXL(東ソー社製)、移動相:0.2Mリン酸Buffer、標品:PEO/PEG]を用いて測定したところ、Mwは42万であった。
アクリル酸およびアセタール含有エチレン性不飽和単量体の種類および仕込み量を表1に示す内容に変更した以外は、PAA−1と同様の方法により各種のPAA(PAA−2〜4)を製造した。
無変性のPAAとして、Aldrich Chemical Company,Inc.製ポリアクリル酸(Mw=2000)を使用した。
PVA―1の製造
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口およびディレー溶液添加口を備えた250Lの加圧反応槽に酢酸ビニル106.1kg、メタノール43.9kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽の圧力が1.4Kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解させた濃度2.8g/L溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液53mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9Kg/cm2に、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて168ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。4時間後に重合率が20%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が30%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液333g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加してけん化を行った。アルカリ添加後約1分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置してけん化を進行させた後、濾別して得られた白色固体にメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥し、エチレン変性PVA(PVA−1)を得た。
PVA−1の重合度は1500、けん化度は98.5モル%、エチレン変性量は3.0モル%であった。
酢酸ナトリウムを0.3%含有するPVA粉末(重合度1200、けん化度99.4%、平均粒径100メッシュ)を準備し、これをニーダーに100g仕込み、これに酢酸60gを入れて膨潤させ、回転数20rpmで撹拌しながら、60℃に昇温後、ジケテン25gと酢酸2gの混合液を4時間かけて滴下し、さらに30分間反応させた。反応終了後メタノール500gを用いて洗浄した後、70℃で6時間乾燥し、酢酸ナトリウム0.05%、酢酸0.1%(アルカリ金属の酢酸塩/酢酸の重量比0.5)を含むアセトアセチル変性PVA(PVA−2)を得た。
PVA−2の重合度は1200、けん化度は99.4モル%、アセトアセチル化度は6.0モル%であった。
(1)クリア塗工紙の作製
PVA117およびPAA−1をPVA117/PAA−1=80/20の重量比で蒸留水に分散させ、濃度4.0%に調製して塗工液とした。東京計器製のB型粘度計を用いて、温度50℃、ローター回転数60rpmで測定した粘度は12mPasであった。この塗工液を試験用2−ロールサイズプレス機(熊谷理機工業製)を用いて、坪量50g/m2 の酸性上質紙に塗工した。塗工は50℃にて100m/分の条件で行い、その後、110℃で1分間乾燥させ塗工紙を得た。塗工液の固形分換算の塗工量は1.2g/m2 (両面)であった。
(2)塗工紙のカレンダー処理
(1)で得られた塗工紙を20℃、65%RHで72時間調湿後、カレンダー処理(80℃、50kg/cm、10m/min、1回処理)し、試験用塗工紙とした。この物性を下記に示す項目に関して測定した。結果を表3に示す。
(3)塗工紙の物性評価試験
表面強度(ウェット)測定
試験用塗工紙について万能印刷試験機(熊谷理機製)を用いてウエットピック(塗布紙を湿し水にて湿潤させた状態での印刷)を測定した。湿し水には蒸留水を用いた。まず、巾2cmのゴムロール上に30μlの蒸留水を均一に濡れ広がらせ、その後印圧15kg/cmで塗工紙に転写した。その直後、インクTV−10(東洋インク製)を巾4cmのアルミ製ロール上に0.6cc均一にのばした上で、印圧10kg/cmで印刷速度0~3m/秒の加速印刷を行った。印刷サンプルを20℃、65%RHで一晩乾燥させた後に表面の皮剥けが開始する印刷速度を読み取って、皮剥け開始速度を算出した(皮剥け開始速度が大きいほど表面強度が高い)。
クラーク剛度測定(cm 3 /100)
JIS P−8143により求めた。
各種のPVAおよびPAAをそれぞれ表3に示す組合せおよび重量比で用いたほかは、実施例1と同様の方法にしたがって試験用塗工紙を作成し、その物性を評価した。結果を表3に示す。
PVAおよびPAAをそれぞれ表3に示す組合せおよび重量比で用いたほかは、実施例1と同様の方法にしたがって試験用塗工紙を作成し、その物性を評価した。結果を表3に示す。
(顔料塗工液の調製)
500mlのポリビーカーに水酸化アルミ(ハイジライトH42:昭和電工製)90gと蒸留水210gを取り、手撹拌にて軽く分散させた。次に、ホモミキサー(IKA−Labortechnik製タイプT−25−SI)にて、13,500rpmで5分間分散させた(分散液A)。別途調製したPVA117(クラレ製)の10%濃度水溶液60gを分散液A(濃度30%)22gに添加し、均一に混合した。さらに、PAA−1をPVA117/PAA−1=80/20の重量比となるように添加し、均一に混合した。ここで所定量の蒸留水を添加し、濃度を15%に調整して顔料塗工液とした。得られた塗工液の粘度は、B型粘度計にて温度20℃、60rpmで測定したところ450mPasであった。
(感熱記録紙の作製)
上記で作製した顔料塗工液を、市販感熱紙(コクヨ製)にワイヤーバーのNo.14(ETO製)に塗布した。得られた感熱紙を熱風乾燥機にて、50℃で5分間乾燥した。その後、40℃で3日間(60〜70時間)キュアリングを行い、感熱記録紙を得た。この物性を下記に示す項目に関して測定した。結果を表4に示す。
上記で作製した感熱記録紙に感熱ファクシミリ用プリンター(リコー株式会社製:リファックス300)を用いて印字した。その後、印字された感熱記録紙を40℃蒸留水中に24時間浸漬した。蒸留水浸漬後において、印字された部分の表面を指先で摩擦し、感熱記録紙の塗工層の溶出状態を観察した。感熱記録紙の塗工層の溶出が少ないほど感熱記録紙の耐水性が優秀であるとして、最も耐水性が優秀な場合を5、最も耐水性が劣る場合を1とする5段階評価を行った。
印字された感熱記録紙に軟質ポリ塩化ビニルフィルムを重ね合わせ、20℃、300g/m2の荷重下で24時間両者を接触させた。その接触の前後において、それぞれ印字部分の発色濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、型式:RD−514)を用いて測定した。両者を接触させる前における印字部分の発色濃度に対し、接触後における印字部分の発色濃度の低下が少ないほど感熱記録紙の耐可塑剤性が優秀であるとして、最も耐可塑剤性が優秀な場合を5、最も耐可塑剤性が劣る場合を1とする5段階評価を行った。
上記で作製した感熱記録紙を温度40℃、湿度90%RHに設定した恒温高湿機中にて3週間放置した。その後の感熱紙の色あいを色差計(PF−10:日本電子工業株式会社)にて測定した。黄色味をあらわす尺度としてb値を評価した。
PVAおよびPAAをそれぞれ表4に示す組合せおよび重量比で用いたほかは実施例15と同様な方法にしたがって感熱記録紙を作成し、その物性を評価した。結果を表4に示す。
各種のPVAおよびPAAをそれぞれ表3に示す組合せおよび重量比で用いたほかは実施例15と同様な方法にしたがって感熱記録紙を作成し、その物性を評価した。結果を表4に示す。
PAA−1の代わりにグリオキザール(ダイセル化学社製)を用いたほかは実施例15と同様な方法にしたがって感熱記録紙を作成し、その物性を評価した。結果を表4に示す。
Claims (4)
- 重合度が300〜4000、けん化度が85〜99.99モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)、およびアクリル酸とアセタール基含有エチレン性不飽和単量体との共重合により得られる、該アセタール基含有エチレン性不飽和単量体に由来する単位を0.1〜99モル%含むポリアクリル酸系共重合体(B)を含有し、(A)成分と(B)成分の重量比(A):(B)が99:1〜50:50である紙加工剤。
- ポリビニルアルコール系重合体(A)がエチレン変性ポリビニルアルコール系重合体である請求項1または2に記載の紙加工剤。
- ポリビニルアルコール系重合体(A)がアセトアセチル変性ポリビニルアルコール系重合体である請求項1または2に記載の紙加工剤。
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