以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3に、本発明の歩行補助器の実施形態の一例を示す。この歩行補助器は、ハンドル1及びサドル2が取り付けられた支柱3と、車輪4,5が取り付けられた左右一対の車輪フレーム6とを備えている。支柱3はベース7に対して折り畳み可能となっており、通常歩行が困難な者の歩行補助に使用する歩行補助器の形態の他、椅子としての形態、キャリングカートとしての形態を取ることができる。図1に歩行補助器の形態、図2に椅子の形態、図3にキャリングカートの形態をそれぞれ示す。キャリングカートの形態では、例えば支柱3に鞄45を取り付けて使用される。
支柱3のベース7への取付構造を図4〜図10に示す。なお、図10では右前輪4の記載を省略している。ベース7の中央には孔7aが設けられている。ベース7の上面には支柱支持部8とペダル支持部9が設けられている。支柱支持部8はベース7の孔7aを挟んで左右に設けられている。また、ペダル支持部9は孔7aの前位置に所定の間隔をあけて左右一対設けられている。孔7aの下方には受け板7cが設けられている。受け板7cはベース7の底面に設けられた左右一対の側板7dの間に架け渡すようにして設けられている。
支柱3の下端には円筒部10が設けられている。円筒部10は左右の支柱支持部8の間に配置され、支柱支持部8の軸孔8aと円筒部10の端板10aの軸孔10bに第1の回転中心軸11を貫通させることで、支柱支持部8に対して円筒部10が回転自在に、換言するとベース7に対して支柱3が揺動自在に取り付けられている。ベース7に対して支柱3を揺動させることで、支柱3を折り畳んだり起立させたりすることができる。第1の回転中心軸11はその両端に嵌め込まれた抜け止め部材12によって支柱支持部8と円筒部10からの抜け止めが図られている。左右の端板10aは周板10cに例えばねじ止めされている。周板10cには、所定の間隔をあけて3箇所にスリット13〜15が設けられている。
左右のペダル支持部9には、ペダル16が揺動可能に取り付けられている。ペダル16の上端縁には軸孔部16cが設けられて、軸孔部16cを左右のペダル支持部9の間に配置し、ペダル支持部9の軸孔9aと軸孔部16c内に第2の回転中心軸18を貫通させることで、ペダル支持部9に対してペダル16が揺動自在に取り付けられている。ペダル16には円筒部10のスリット13〜15に挿入される係止爪16aが設けられている。係止爪16aの先端の左右2箇所には、円筒部10の周板10cに対して転動するローラ17が取り付けられている。係止爪16aはローラ17ごとスリット13〜15内に挿入される。ペダル16は孔7aから受け板7cの上方空間を通ってベース7の下に延出している。ペダル16の下端には足踏み操作部16bが形成されている。ペダル16の底面に形成されたスプリングシート16dと受け板7cの上面に形成されたスプリングシート7eの間にはリターンスプリング44が設けられている。ペダル16はリターンスプリング44によって常時上方に向けて、即ち係止爪16aがスリット13〜15に挿入される方向に付勢されている。
ペダル16の係止爪16aが円筒部10のスリット13〜15のいずれかに挿入されている状態では、支柱支持部8に対して円筒部10を回転させることができない。したがって、ベース7に対して支柱3はロックされている。3箇所のスリット13〜15のうち、中央の第1のスリット13に係止爪16aが挿入されている状態では、図1に示すように、支柱3は歩行補助器の後方に向けて若干傾斜している。即ち、歩行補助器の形態になっている。また、第1のスリット13よりも前方に設けられた第2のスリット14に係止爪16aが挿入されている状態では、図2に示すように、支柱3は前方に向けて若干傾斜している。即ち、歩行補助器は椅子の形態になっている。さらに、第1のスリット13よりも後方に設けられた第3のスリット15に係止爪16aが挿入されている状態では、図3に示すように、支柱3は折り畳まれている。即ち、歩行補助器はキャリングカートの形態になっている。ペダル16を操作して、即ち足踏み操作部16bを踏んでリターンスプリング44の付勢力に抗してペダル16を揺動させてスリット13〜15から係止爪16aを抜き、支柱3を揺動させて別のスリット13〜15に係止爪16aを挿入することで支柱3の角度を3段階に変えて形態を変えることができる。
支柱3の円筒部10の左右の端板10aには、支柱3を椅子形態になる角度まで起立させると支柱支持部8に度当たりするストッパ19が設けられている。第2のスリット14に係止爪16aを挿入することで椅子の形態において着座者が支柱3に凭り掛かっても支柱3が倒れないようになっているが、ストッパ19を設けて支柱支持部8に度当たりさせることで、支柱3の倒れに対して2重の安全性が図られている。
ベース7は上カバー20及び下カバー21によって覆われている。上カバー20には切り欠き20aが設けられており、この切り欠き20aから支柱3を延出させると共に支柱3の揺動を可能にしている。また、下カバー21にも切り欠き21aが設けられており、この切り欠き21aからペダル16を延出させると共にペダル16の揺動を可能にしている。
本発明の歩行補助器は支柱3を折り畳むと、左右の車輪フレーム6の間隔が狭められる。即ち、歩行補助器は、車輪4,5が取り付けられた左右一対の車輪フレーム6と、ベース7に対して車輪フレーム6を幅方向に揺動自在に取り付ける連結機構22と、支柱3の折り畳みに連動して左右一対の車輪フレーム6を幅方向内側に揺動させて間隔を狭めると共に、支柱3の起立に連動して左右一対の車輪フレーム6を幅方向外側に揺動させて間隔を広げる開閉機構23を備えている。
車輪フレーム6を図11〜図14に示す。なお、図11〜図13には右側の車輪フレーム6を記載している。右側の車輪フレーム6と左側の車輪フレーム6は左右対称になっている。車輪フレーム6は例えば緩やかに湾曲したパイプ状の部材で、その前部底面には前輪4が、後端には後輪5がそれぞれ設けられている。前輪4はその向きを変えることができるキャスタになっている。即ち、前輪4を回転自在に支持するヨーク4aは車輪フレーム6内に収容されているブロック体24にねじ25によって取り付けられている。ヨーク4aとねじ25の間にはベアリング26が設けられており、ヨーク4aはねじ25に対して回転自在になっている。後輪5のヨーク5aは車輪フレーム6の後端に脱落しないように嵌め込まれている。
連結機構22を図4,図15,図16に示す。なお、図15,図16では前輪4の記載を省略している。連結機構22は左右の車輪フレーム6毎に設けられている。連結機構22は、ベース7の上面に取り付けられたフレーム支持軸27及び揺動制限軸28と、車輪フレーム6の前部内側面に設けられたステー29より構成され、ステー29にはフレーム支持軸27が挿入される第1の小孔29aと揺動制限軸28が挿入される第2の小孔29bが設けられている。第1の小孔29aの平面視形状は円形状を成し、第2の小孔29bの平面視形状は第1の小孔29aを中心とする円弧形状を成している。したがって、車輪フレーム6は揺動制限軸28が第2の小孔29b内を移動できる範囲でフレーム支持軸27を中心に水平に揺動できる。フレーム支持軸27と揺動制限軸28の先端に抜け止め部材30(図4)が設けられており、ベース7からのステー29の外れが防止されている。
開閉機構23は左右の車輪フレーム6毎に設けられている。開閉機構23は、支柱3に設けられたカム31と、車輪フレーム6に設けられてカム31を移動するカムフォロワ32と、カムフォロワ32をカム31に押し付ける付勢部材33を備え、カム31は支柱3が折り畳まれている時にカムフォロワ32に当接する第1のカム面31aと、支柱3が起立している時にカムフォロワ32に当接する第2のカム面31bとを有し、第1のカム面31aは第2のカム面31bよりも突出している。
カム31は、円筒部10の左右の端板10aにそれぞれ設けられており、軸孔10bを中心にした円弧形状を成している。したがって、支柱支持部8に対して円筒部10が回転してもカムフォロワ32がカム31から外れることはない。カム31の第1のカム面31aは第2のカム面31bに向けて緩やかに傾斜しながら突出している。一方、第2のカム面31bの突出量は一定になっている。キャリングカート形態では第1のカム面31aの突出量の一番少ない部分、本実施形態では円筒部10の端板10aの傾斜面に隣接する部位にカムフォロワ32が位置し、歩行補助器形態及び椅子形態では第2のカム面31bにカムフォロワ32が位置する。即ち、本実施形態では、第1のカム面31aは端板10aの傾斜面に隣接する部位を含んでいる。
カムフォロワ32は、例えばローラである。カムフォロワ32はステー29の内側面に回転自在に取り付けられている。付勢部材33は、例えばコイルスプリングである。付勢部材33はステー29に設けられたスプリングシート29cとベース7の上面に設けられたスプリングシート7bとの間に若干縮められた状態で配置されている。本実施形態では、ステー29の側板の内面に凸部を設けてスプリングシート29cを構成している。ステー29のスプリングシート29cはベース7のスプリングシート7bよりも円筒部10に近い位置に設けられており、また、付勢部材33は揺動制限軸28よりもフレーム支持軸27から離れた位置に設けられているので、付勢部材33の付勢力はカム31にカムフォロワ32を押し付ける方向、即ち左右の車輪フレーム6の間隔を狭める方向に作用する。
ベース7に対して支柱3が折り畳まれると、連結機構22によって揺動自在に取り付けられている左右一対の車輪フレーム6が開閉機構23によって歩行補助器の幅方向内側に向けて揺動される。このため、図15に示すように、左右一対の車輪フレーム6の間隔が狭まる。したがって、支柱3を折り畳むことで左右一対の車輪フレーム6の間隔を狭めることができ、キャリングカートとして使用する場合には左右の車輪フレーム6を閉じて当該車輪フレーム6が邪魔になるのを防止することができる。また、例えば支柱3を折り畳んで収納するとき等にコンパクトなものにすることができる。
一方、ベース7に対して折り畳まれていた支柱3を起立させると左右一対の車輪フレーム6が開閉機構23によって歩行補助器の幅方向外側に向けて揺動される。このため、
図16に示すように、左右一対の車輪フレーム6の間隔が広がる。したがって、支柱3を起立させた状態では左右一対の車輪フレーム6の間隔は広がるので、歩行補助器や椅子として使用する場合の安定性を確保することができる。
本発明の歩行補助器は支柱3を折り畳むと、キャスタである前輪4のヨーク4aがロックされる。即ち、歩行補助器は、ベース7を移動させる前輪4及び後輪5とを備えており、少なくとも前輪4及び後輪5のうち支柱3を折り畳んだ時にハンドル1から遠い方の車輪はキャスタであり、支柱3の折り畳みに連動してキャスタのヨークを車輪前向きの状態で係止すると共に、支柱3の起立に連動してヨークの係止を解除するロック機構34を有している。
本実施形態では、支柱3を後方に折り畳んでキャリングカートの形態にする。また、支柱3を後方に折り畳んだ時にハンドル1から遠い方の車輪は前輪4であり、当該前輪4がキャスタになっているのは上述の通りである。また、前輪4のヨーク4aにはロックピン35の先端が挿入される凹部36が設けられている。凹部36はヨーク4aの上面のねじ25の後方位置に設けられている。
ロック機構34は左右の車輪フレーム6毎に設けられている。ロック機構34は例えば、車輪フレーム6内をスライドするスライダ37と、スライダ37によって揺動されるレバー38と、レバー38によって車輪フレーム6内に引っ込められるロックピン35と、ロックピン35を車輪フレーム6から突出させる方向に付勢する付勢部材39と、スライダ37を移動させる操作ピン40とを備えている。
操作ピン40はベース7の側面に設けられており、車輪フレーム6のスリット6aを通ってスライダ37の切り欠き部分37aに突出している。操作ピン40はベース7に固定されており、車輪フレーム6がベース7に対して揺動することで車輪フレーム6に対する操作ピン40の相対的な位置が前後に変化することになるので、車輪フレーム6の揺動に連動してスライダ37が操作ピン40によって前後移動される。即ち、車輪フレーム6が開く方向、即ち左右の車輪フレーム6の間隔が開く方向に揺動すると、操作ピン40は車輪フレーム6に対して相対的に後方移動することになり、スライダ37を車輪フレーム6に対して後方移動させる。逆に、車輪フレーム6が閉じる方向、即ち左右の車輪フレーム6の間隔が狭まる方向に揺動すると、操作ピン40は車輪フレーム6に対して相対的に前方移動することになり、スライダ37を車輪フレーム6に対して前方移動させる。この場合、操作ピン40がスライダ37の切り欠き部分37aを空移動しているときにはスライダ37は停止しており、操作ピン40が切り欠き部分37aの前側の縁37b又は後側の縁37cに当接した後にスライダ37は前方又は後方に移動される。スライダ37の前部には上下方向に細長い長孔37dが設けられている。
レバー38は揺動中心軸41よって車輪フレーム6に揺動自在に取り付けられている。レバー38の上部には、スライダ37の長孔37dに挿入された連結部42が設けられている。したがって、スライダ37が後方に移動すると、連結部42が持ち上げられてレバー38が上方向に揺動する。一方、スライダ37が前方に移動すると、レバー38の自重と付勢部材39の付勢力によってレバー38は下方向に揺動する。レバー38の中央部には、ロックピン35を操作するリフトアーム38aが設けられている。
ロックピン35はホルダ43に挿入され、前輪4のヨーク4aに形成された凹部36に対向可能な位置に下向きに取り付けられている。ロックピン35の大径部35aとホルダ43の上板との間には付勢部材39が設けられている。ロックピン35の先端はホルダ43の下板から、後端はホルダ43の上板からそれぞれ突出している。ロックピン35の後端近傍には、レバー38のリフトアーム38aによって持ち上げられるリフトピン35bが設けられている。
車輪フレーム6が開く方向に揺動している状態では、即ち、歩行補助器の形態と椅子の形態のときには、操作ピン40がスライダ37を後方に移動させており、レバー38が上方向に揺動しているので、リフトアーム38aが付勢部材39の付勢力に抗してロックピン35のリフトピン35bを持ち上げており、ロックピン35の先端を車輪フレーム6内に引き込んでいる。したがって、前輪4のヨーク4aの係止が解除されており、前輪4はキャスタとして機能する。
この状態から支柱3が折り畳まれて車輪フレーム6が閉じる方向に揺動すると、操作ピン40によってスライダ37が前方に移動され、レバー38が下方向に揺動するので、ロックピン35の下降が可能になる。このとき、ロックピン35の先端がヨーク4aの凹部36に対向していない場合には、ロックピン35の先端はヨーク4aの上面には当接し、ヨーク4aの係止が解除されている状態が続いているので、前輪4の方向転換は可能である。そして、前輪4の方向転換によりヨーク4aに設けられた凹部36がロックピン35に対向すると、付勢部材39の付勢力によってロックピン35が押し出されて凹部36に嵌り込む。これによりヨーク4aが係止され、前輪4はその向きを変えることができなくなる。即ち、キャリングカートの形態では、接地輪となる前輪4が前向きの状態で係止される。なお、キャリングカートの形態では、左右の前輪4と左右の車輪フレーム6の前端面とを接地させることで自立させることができる。
このように、支柱3の折り畳み動作に連動してキャリングカート形態の接地輪、本実施形態では前輪4を前向きの状態でロックすることができるので、わざわざ手動操作で接地輪の向きをロックする必要がない。また、キャリングカートの形態から歩行補助器の形態に戻す場合、支柱3の起立動作に連動してキャリングカート形態時の接地輪のロックを解除することができる。このため、わざわざ手動操作で接地輪の向きのロックを解除する必要がない。これらのため、使い勝手に大変優れている。
なお、後輪5がキャスタであり且つ支柱3を前方に折り畳んでキャリングカートの形態にする歩行補助器についても適用可能である。この場合には、ハンドル1を掴んで車輪フレーム6の前端を持ち上げるので、後輪5が接地輪となる。即ち、車輪フレーム6の動きに連動して後輪5のヨーク5aを係止・係止解除するようにしても良い。
また、車輪フレーム6の揺動動作を利用してキャリングカートの形態で接地輪となる車輪のヨークを係止・係止解除するようにしていたが、支柱3の動きを利用して当該車輪のヨークを係止・係止解除するようにしても良い。
ハンドル1の高さ調整機構80並びにブレーキ操作の伝達機構を図17〜図20に示す。ハンドル1は、ハンドル1に嵌め合わされて連接する中空の支柱ロッド3aと、支柱ロッド3aが摺動可能に出入り可能な筒状の支柱パイプ部3bとからなる支柱3によって支持されている。そして、支柱ロッド3aが支柱パイプ部3bに引き込まれたり支柱パイプ部3bから引き出されたりすることによってハンドル1の高さが調整される。
具体的には、歩行補助器は、ハンドル1が上部に取り付けられた支柱3とブレーキ付き後輪5とを備え、支柱3が支柱ロッド3aと支柱ロッド3aが内部に摺動可能に挿入される支柱パイプ部3bとを有し、支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係を固定すると共にハンドル1の高さ調整時には支柱ロッド3aを支柱パイプ部3bに対して摺動可能にする高さ調整機構80と、ハンドル1に取り付けられたブレーキレバー62の操作によるブレーキ操作を後輪5のブレーキに伝達するハンドル1側の第1の伝達部材64及びブレーキ側の第2の伝達部材66と、第1の伝達部材64と第2の伝達部材66との位置関係を固定すると共にハンドル1の高さ調整時には第1の伝達部材64と第2の伝達部材66との位置関係の固定を解除する連結機構65とを有している。
ハンドル1はグリップ61及びブレーキレバー62を有する。なお、図17〜図20ではハンドル右側のグリップ61及びブレーキレバー62の記載を省略している。
支柱ロッド3aの周壁には複数の貫通孔88が長手方向に一定の間隔で設けられている。本実施形態では、支柱ロッド3a周壁の左側面に5つの貫通孔88が設けられている。
連結部材63と第1の伝達部材64と連結機構65と第2の伝達部材66とは、グリップ61とブレーキレバー62の握り部62aとが握り締められブレーキレバー62が操作された場合にこのブレーキ操作を伝達してブレーキ操作用ワイヤ71を引っ張るものである。
ブレーキレバー62のグリップ61と反対側の端部、即ち利用者によってグリップ61と共に握り締められる握り部62aと反対側の端部には揺動支軸62bが設けられている。揺動支軸62bは、ハンドル1に固定され、ブレーキレバー62の握り部62aと反対側の端部に設けられた貫通孔を貫通してブレーキレバー62を回転可能に支持する軸である。
ブレーキレバー62は、握り部62aと揺動支軸62bとの間であって支柱ロッド3a中空部の上方位置にブレーキレバー62の側面から突出する連結突起62cを有している。
ブレーキレバー62には連結部材63が連結されている。連結部材63は、上端側に設けられた貫通孔63aが連結突起62cに回動可能に嵌め合わされてブレーキレバー62に連結されている。
連結部材63の下端には第1の伝達部材64が連結されている。第1の伝達部材64は、連結部材63の下端側に設けられた長孔63bに、上端に形成されたフック64aが嵌め合わされて連結部材63に連結されている。
第1の伝達部材64は、細長の板状に形成され、上端が湾曲してフック64aが形成されていると共に、フック64aの下から下端に亘って複数の貫通孔64bが設けられている。本実施形態では、5つの貫通孔64bが設けられている。この貫通孔64bの個数と間隔とは、支柱ロッド3aの周壁に設けられている貫通孔88の個数と間隔とに合わせられている。また、第1の伝達部材64は、貫通孔64bの開口が正面に向くように支柱ロッド3a内に配置されている。
そして、連結機構65によって、ハンドル1の高さが調整された場合にも、即ち支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係が変化した場合にも、ブレーキレバー62が操作された場合に連結部材63を介して第1の伝達部材64に伝達されるブレーキ操作が第2の伝達部材66に伝達される。
連結機構65は支柱パイプ部3b上端の正面に固定して備えられている。連結機構65は、板状の第1の伝達部材64を摺動可能に貫通させる挟持部材65cと、挟持部材65cの前面に突出し固着して設けられて支柱パイプ部3bの周壁を貫通する雄ねじ65bと、雄ねじ65bと螺合する雌ねじを有する握り65aとを有する。
また、第2の伝達部材66は、上部の連結部66aと、中間部の本体部66bと、下部のワイヤ連結部66dと、ワイヤ連結部66dの下端に設けられた係止部66eとが連結してなっている。
連結部66aは、第1の伝達部材64を貫通させるための貫通孔を有し、貫通孔内周面の正面位置に孔内に突出する連結ピン66cを有している。
第2の伝達部材66の本体部66bは、コ字形状に形成され、開口部を上に向けてコ字の凹部に第1の伝達部材64を左右から挟んで支柱パイプ部3b内に配置されている。ただし、第1の伝達部材64の左右の側面と第2の伝達部材本体部66b凹部の内側の側面との間には僅かな隙間が設けられており、相互に自由に動くことができる。なお、第2の伝達部材66の本体部66bは連結部66aの下面に上端がビス止めされて取り付けられている。
第2の伝達部材66の本体部66b下端に連結している棒状のワイヤ連結部66dの下端には、係止部66eを介して左右両後輪5の即ち二本のブレーキ操作用ワイヤ71が連結されている。本実施形態では、ブレーキ操作用ワイヤ71の先端に係合球部71aが形成され、この係合球部71aが係止部66eに係止されている。
そして、連結機構65の握り65aが回されて雄ねじ65bが握り65a内に引き込まれたときに、挟持部材65cに挟持される第1の伝達部材64の軸心が支柱パイプ部3bのほぼ軸心上に位置するように調整されている。そして、この状態で、第1の伝達部材64の貫通孔64bに第2の伝達部材66の連結ピン66cが嵌め合わされる。これにより、第1の伝達部材64と第2の伝達部材66との位置関係が固定されてブレーキ操作が伝達される。
上述の構成により、ハンドル1のグリップ61とブレーキレバー62の握り部62aとが握り締められるとブレーキレバー62が引き上げられて揺動支軸62bを中心として揺動する。これにより、握り部62aと揺動支軸62bとの間にある連結突起62cが上方に移動し、連結突起62cで連結されている連結部材63が引き上げられる。そして、連結部材63と第1の伝達部材64と連結機構65と第2の伝達部材66とによってブレーキレバー62が操作された場合のブレーキ操作が伝達されて下端に連接されているブレーキ操作用ワイヤ71が引っ張られる。
ブレーキ操作用ワイヤ71は、一端が支柱パイプ部3bの下端で第2の伝達部材66と連結し、支柱パイプ部3bの下端から上カバー20及び下カバー21内と車輪フレーム6内とを通過して車輪フレーム6の後端に設けられたブレーキシュー72に連結されている。
ブレーキシュー72は、図21に示すように、車輪フレーム6後端の内周面に取り付けられたブレーキフレーム70に回転軸73を中心として回転可能に取り付けられている。そして、ブレーキシュー72は、ブレーキフレーム70に対して回転して制動面72aがタイヤ5を押圧することによりタイヤ5の回転を抑制する。
ブレーキシュー72の制動面72aと反対側の端部にブレーキ操作用ワイヤ71が連結されている。本実施形態では、ブレーキ操作用ワイヤ71の先端に係合球部71bが形成され、この係合球部71bがブレーキシュー72に係止されている。これにより、ブレーキレバー62の操作によってブレーキ操作用ワイヤ71が引っ張られるとブレーキシュー72が回転して制動面72aがタイヤ5に押し当てられてブレーキがかけられる。
ここで、第2の伝達部材66下端の係止部66e上面と支柱パイプ部3bの下部に固定して設けられた仕切板67との間に付勢ばね68が介在している。そして、この付勢ばね68の働きによって係止部66eが下方に向けて付勢されることによりブレーキ操作用ワイヤ71が押し出される向きに付勢される。本実施形態では、付勢ばね68として、棒状のワイヤ連結部66dの周りに圧縮コイルばねが備えられている。
また、ブレーキ操作用ワイヤ71のブレーキシュー72側即ち係止球部71b側の先端寄りの周囲にはストッパ71cが固定されている。さらに、ブレーキフレーム70には、ブレーキ操作用ワイヤ71が貫通すると共にストッパ71cが嵌って度当たりの機能を発揮するキャップ74が固定されている。
そして、ブレーキレバー62に負荷がかけられていないときには、第1の伝達部材64や第2の伝達部材66の自重並びに付勢ばね68の働きによって第2の伝達部材66下端の係止部66eが下方に向けて付勢され、ストッパ71cがキャップ74に嵌って度当たりするまでブレーキ操作用ワイヤ71が後輪5側に押し出される。これにより、ブレーキシュー72の制動面72aと反対側が後輪5側に押されてブレーキシュー72には回転軸73を中心として回転する付勢力が与えられ、制動面72aが後輪5から離れた状態が維持されるのでブレーキは作動しない。
本発明の歩行補助器は、さらに、高さ調整機構80を有する。高さ調整機構80は、支柱ロッド3aの支柱パイプ部3bへの進入の程度を調整しながら支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとを固定するもの、すなわち、支柱3全体の長さを変化させながら両者を固定して使用者に合わせてハンドル1の高さ調整を可能にするものである。
高さ調整機構80は、本実施形態では、支柱パイプ部3b上端の外周面に取り付けられている。また、高さ調整機構80は支柱ロッド3aの周壁の貫通孔88の位置に合わせて配置され、本実施形態では、支柱パイプ部3bの左側面に配置されている。
高さ調整機構80は、揺動体81、ボタン82、捻りばね83、貫通ピン84、揺動体回転軸85、貫通ピン回転軸86から構成されている。そして、全体が高さ調整機構カバー87で覆われ、ボタン82だけが高さ調整機構カバー87の支柱パイプ部3bの周壁と対向する面を貫通して高さ調整機構カバー87から突出している。
揺動体81は、中間部を貫通する揺動体回転軸85によって回転可能に高さ調整機構カバー87に固定されている。
ボタン82は、高さ調整機構カバー87の支柱パイプ部3bの周壁と対向する面を貫通して高さ調整機構80に出入り可能に設けられている。そして、ボタン82の支柱3側の端部が揺動体81の上端寄りの部分と接しており、ボタン82が押し込まれた場合に揺動体81の上部を支柱3側に押し込む付勢力が与えられる。
捻りばね83は揺動体回転軸85の周りに巻かれて設けられている。そして、捻りばね83は、高さ調整機構カバー87の支柱パイプ部3bの周壁と対向する面と揺動体81の下部との間に介在し、揺動体81の下部を支柱3側に押し込む付勢力を揺動体81に与える。
貫通ピン84は、貫通ピン回転軸86によって揺動体81の下部に回転可能に固定されている。そして、貫通ピン84は、支柱3側に押し込まれた場合に支柱パイプ部3bの周壁に設けられた貫通孔89及び支柱ロッド3aの周壁の貫通孔88を貫通する。
上述の構成により、図17及び図20に示すように、ボタン82に負荷がかけられていないときは、捻りばね83の働きによって揺動体81の下部が支柱3側に向けて付勢される。これにより、揺動体81の下部に連結されている貫通ピン84が支柱パイプ部3bの周壁と支柱ロッド3aの周壁とを貫通するので両者が固定される。
一方、ボタン82が押し込まれた場合は、図18及び図19に示すように、ボタン82の支柱3側の端部によって揺動体81の上部に揺動体回転軸85を中心として回転する力が与えられる。これにより、捻りばね83によって働いている付勢力に逆らって揺動体81が揺動体回転軸85を中心として回転して貫通ピン84が支柱ロッド3aの周壁の貫通孔88から引き抜かれる。
上述の連結機構65と高さ調整機構80とによって、支柱3全体の長さを調整すること即ちハンドル1の高さを調整することが可能になると共に、その上でブレーキを作動させることが可能となる。
具体的には、図17A及び17Cに示すように、高さ調整機構80のボタン82に押し込む力がかけられていないときは、貫通ピン84は支柱パイプ部3b周壁の貫通孔89と支柱ロッド3a周壁の貫通孔88とを貫通して両者の位置関係を固定している。すなわち、高さ調整機構80はハンドル1の高さをロックする効果を発揮している。なお、本実施形態の図17に示す状態は、支柱ロッド3aの周壁に設けられた5つの貫通孔88のうち一番上の貫通孔88を貫通ピン84が貫通して支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係が固定されている。
さらに、図17Bに示すように、連結機構65の握り65aが操作されて握り65a内に雄ねじ65bが引き込まれると、挟持部材65cが支柱パイプ部3bのほぼ軸心上に固定され、第1の伝達部材64の貫通孔64bに第2の伝達部材66の連結ピン66cが貫通して両者が固定される。すなわち、連結機構65はブレーキ操作の伝達部材64,66をロックする効果を発揮している。なお、本実施形態の図17に示す状態は、第1の伝達部材64の5つの貫通孔64bのうち一番上の貫通孔64bを連結ピン66cが貫通して第1の伝達部材64と第2の伝達部材66との位置関係が固定されている。
このように、図17に示す状態では、支柱ロッド3aが支柱パイプ部3b内に最も引き込まれ支柱3全体の長さが最も短い状態で、支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係が固定され、且つ、第1の伝達部材64と第2の伝達部材66との位置関係が固定されてブレーキレバー62の操作によりブレーキシュー72を作動させてブレーキをかけることができる。
次に、図17に示す連結機構65と高さ調整機構80とがロック効果を発揮している状態から、図18Bに示すように、連結機構65の握り65aが操作されて握り65a内から雄ねじ65bが押し出されると、挟持部材65cが第1の伝達部材64を押し、貫通孔64bから第2の伝達部材66の連結ピン66cが抜ける。これにより、連結機構65による第1の伝達部材64と第2の伝達部材66との位置関係のロックが解除されて第2の伝達部材66に対して第1の伝達部材64を自由にスライドさせることができる。
この状態で更に、図18A及び18Cに示すように、高さ調整機構80のボタン82に押し込む力がかけられると、貫通ピン84が支柱ロッド3a周壁の貫通孔88から抜け、支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係のロックが解除されて支柱ロッド3aを支柱パイプ部3bから自由に引き出すことが可能になる。
したがって、図18に示す状態の場合には支柱パイプ部3bに対して支柱ロッド3a及び第1の伝達部材64を自由にスライドさせることができるので、ハンドル1の高さを調整することが可能になる。
そして、図19に示すように支柱ロッド3aを支柱パイプ部3bから引き出した状態で、図20に示すように連結機構65及び高さ調整機構80のロック効果を発揮させることによって支柱3の長さを固定し且つブレーキ操作を伝達することが可能になる。
具体的には、図20A及び20Cに示すように、ハンドル1の高さ即ち支柱ロッド3aの引き出し具合を調整してからボタン82を押し込む力が解除されると、貫通ピン84が支柱パイプ部3b周壁の貫通孔89と支柱ロッド3a周壁の貫通孔88とを貫通して両者の位置関係が固定される。すなわち、高さ調整機構80がハンドル1の高さをロックする効果を発揮する。なお、本実施形態の図20に示す状態は、支柱ロッド3a周壁に設けられた5つの貫通孔88のうち一番下の貫通孔88を貫通ピン84が貫通して支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係が固定されている。
さらに、図20Bに示すように、連結機構65の握り65aが操作され握り65a内に雄ねじ65bが引き込まれると、挟持部材65cが支柱パイプ部3bのほぼ軸心上に固定され、第1の伝達部材64の貫通孔64bに第2の伝達部材66の連結ピン66cが貫通して両者が固定される。すなわち、連結機構65はブレーキ操作の伝達部材64,66の位置関係をロックする効果を発揮している。
このように、図20に示す状態では、支柱ロッド3aが支柱パイプ部3b内に最も引き出され支柱3全体の長さが最も長い状態で、支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係が固定され、且つ、第1の伝達部材64と第2の伝達部材66との位置関係が固定されてブレーキレバー62の操作によりブレーキシュー72を作動させてブレーキをかけることができる。
以上のように構成されたハンドル1の高さ調整機構80並びにブレーキ操作の伝達機構によれば、支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係の固定とその解除との切り替えを行ってハンドル1の高さ調整が可能になると共に、支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係が変わった場合にもブレーキ操作の伝達を行うことが可能になる。しかも、支柱ロッド3aと支柱パイプ部3bとの位置関係の変化分をブレーキ操作の伝達機構で吸収するようにしているので、従来のように例えばブレーキケーブル等のブレーキ操作の伝達の仕組みが外部に大きく出てしまうことがない。したがって、例えばブレーキケーブルが撓んで邪魔になることを防止することができる。
次に、サドル2の支柱3への取付構造を図22〜図24に示す。この取付構造は、サドル取付部材51とスプリングユニット52とサドル支持部材56とからなる。そして、サドル2は、中空板状に形成され、サドル支持部材56の上面にビスによって取り付けられている。なお、この取付構造を支柱3に取り付けた状態において、サドル取付部材51側が歩行補助器の前側となり、サドル2側が歩行補助器の後側となる。
具体的には、歩行補助器は、ハンドル1が上部に取り付けられた支柱3と支柱3に対して揺動可能に取り付けられたサドル2とを備え、支柱3に取り付けられたサドル取付部材51と、サドル2を支持し前部が連結軸55を介してサドル取付部材51と揺動自在に連結されるサドル支持部材56と、一端がサドル取付部材51と揺動可能に連結されると共に他端が連結軸55の周りを公転する軸を介してサドル支持部材56と揺動可能に連結されるスプリングユニット52とを有している。
サドル取付部材51は、支柱パイプ部3bを貫通させる貫通孔51aを有する。この貫通孔51aに支柱パイプ部3bを貫通させてビス止めすることにより、サドル取付部材51は支柱パイプ部3bに固定されている。
サドル支持部材56の前側即ちサドル取付部材51側端部寄りにおいて左右横断方向に連結軸55が貫通している。この連結軸55を介してサドル支持部材56はサドル取付部材51と揺動可能に連結している。
なお、サドル2の第1の位置として図22に示す起立させた状態即ち収納位置におけるサドル2の下端面がサドル取付部材51の上壁に上から度当たりすることによってサドル2の揺動が停止する。また、サドル2の第2の位置として図24に示す横に引き倒した状態即ち着座位置におけるサドル支持部材56の前端上面がサドル取付部材51の上壁に下から度当たりすることによってサドル2の揺動が停止する。
サドル取付部材51とサドル支持部材56との間にスプリングユニット52が介在している。スプリングユニット52は、コイルスプリング52dを備える伸縮可能な部材であり、適度に圧縮された状態でサドル支持部材56とサドル取付部材51との間に取り付けられて伸びようとする付勢力を発揮する。
スプリングユニット52は、コイルスプリング52dの両端に取り付けられたスプリングマウント52a,52cと、コイルスプリング52dの軸心上に配置されコイルスプリング52dの座屈を防止してスプリングマウント52a,52cを軸方向のみに移動可能に連結するガイドシャフト52bとによって構成されている。
前部スプリングマウント52aは、サドル取付部材51の貫通孔51aの後側に固定された前支持軸53に摺動可能に連結している。
後部スプリングマウント52cは、サドル支持部材56の前端に固定された後支持軸54に摺動可能に連結している。
後支持軸54は、連結軸55と平行に設けられている。したがって、サドル支持部材56が連結軸55を中心としてサドル取付部材51に対して揺動するのに合わせて、後支持軸54は連結軸55の周囲を公転する。なお、サドル取付部材51に固定された前支持軸53との間の距離が最短となる位置を含むサドル取付部材51側の連結軸55の周囲を公転するように後支持軸54は取り付けられる。
そして、図22に示すように、サドル2の第1の位置である収納位置では、後支持軸54が連結軸55の下側に位置し、すなわち、前支持軸53と後支持軸54との間の最短距離よりも長い距離となる区間でスプリングユニット52が介在する。
そして、スプリングユニット52は前支持軸53と後支持軸54との間を押し広げようとする付勢力を発揮する。これにより、支柱パイプ部3bに押し付ける回転力となる付勢力がサドル支持部材56に与えられ、サドル2を起立させて収納した状態で歩行補助器を利用している際にサドル2が不意に倒れてしまうことを防ぐことができる。
また、サドル2及びサドル支持部材56を第1の位置である収納位置から第2の位置である着座位置にする途中では、図23に示すように、前支持軸53と後支持軸54との間の距離が第1の位置の場合よりも短くなる。この状態では、スプリングユニット52は、サドル2が第1の位置若しくは第2の位置にある状態と比べて大きな付勢力であってサドル2を回転させて第1の位置若しくは第2の位置にしようとする付勢力を発揮する。
さらに、図24に示すように、サドル2の第2の位置である着座位置では、後支持軸54が連結軸55の上側に位置し、すなわち、前支持軸53と後支持軸54との間の最短距離よりも長い距離となる区間でスプリングユニット52が介在する。
そして、スプリングユニット52は前支持軸53と後支持軸54との間を押し広げようとする付勢力を発揮する。これにより、引き倒された状態を維持する回転力となる付勢力がサドル支持部材56に与えられる。
以上のように構成されたサドル2の支柱3への取付構造によれば、1つのスプリングユニット52を用いて収納位置と着座位置との両方に対してサドル2を付勢して固定することができる。このため、収納位置と着座位置との両方にそれぞれ別々の付勢手段を設ける必要がなくなり、部品点数を減らすことができる。しかも、サドル2の位置替えを行う場合、スプリングユニット52のコイルスプリング52dが最も縮んだ状態を過ぎて伸び始めるとコイルスプリング52dの付勢力が作用する方向とサドル2を動かす方向とが一致するので、コイルスプリング52dによってサドル2を動かす力をアシストすることができ、大きな力を必要とすることなくサドル2の位置替えをすることができる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、(a)支柱3の折り畳みに連動して左右の車輪フレーム6の間隔を狭める構造、(b)支柱3の折り畳みに連動してキャリングカート形態の接地輪をロックする構造、(c)ハンドル1の高さ調整機構80並びにブレーキ操作の伝達機構、(d)サドル2の支柱3への取付構造の全て備えていたが、必ずしも(a)〜(d)の全てを備えている必要はなく、少なくとも(d)を備えていれば良い。即ち、(d)だけでも良く、(d)に加えて(a),(b),(c)のうち少なくとも1つを備えるようにしても良い。