JP3884224B2 - 車椅子 - Google Patents

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秀昭 有薗
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、患者などの人が座ることができ、介護者が移動させることができる車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な車椅子は、車体フレームと、該車体フレームに取り付けられる、大車輪、キャスター、シート、アームレスト、背もたれ及びフットレストとを備えたものが多い。その車椅子に座っている人が一人で使う場合は、さらに大車輪に駆動輪が取り付けられ、それを手で回して自分で移動させることができるようになっている。一方、介護者が移動させるような使い方をする本発明の元になっている車椅子の場合は、背もたれの後側にハンドルが設けられ、それを持って操作し、移動させることができるようになっている。ブレーキシステムは大車輪のある車椅子後部に設けられており、大車輪の後部に補助輪やチッピングバーが設けられることもある。また、車椅子に乗る人の体格や姿勢、操作性などのためにこれらの構成部品に手が加えられて様々なものが考案され実用に供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の車椅子には、次のような様々な欠点や問題があった。まず、足を乗せるフットレストを使用するときは、フットレストを所定の位置に持ってくると足を乗せることができ、使用しないときは折り畳んで乗り降りの邪魔にならないようにできるような機構を持つものも実用に供されているが、その構成部品が足元に集中していて各部品に直接触れて動かすようになっているため、使用者自身と介護者にとって容易に操作できるとは言えず使用する上での難点になっていた。
また、車椅子は安定性を重視するか操作性を重視するかによって大車輪の位置を車体フレームに対して前後に移動して固定できるものも実用に供されている。しかし、車椅子のブレーキ機構が大車輪を使ってブレーキをかけるようになっているため、大車輪の取付位置が変わるとブレーキの取付位置も変えねばならず、調節に手間を要して使いにくいという問題があった。
使用者の上肢を乗せるアームレストが姿勢に応じて高さを変えることができるものも実用に供されているが、ネジを使ったものが多く、調節するときは工具が必要となったり、両手を使う必要があったり、調節に手間がかかるなど、容易に調節できるとは言えないという難点があった。
本発明はかかる問題や欠点に対してなされたものであり、操作性がよく、使用する上での快適さがあり、使用者にやさしい車椅子を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、車体フレームと、該車体フレームに取り付けられる、大車輪、キャスター、シート、アームレスト、背もたれ及びフットレストとを備えて人が座ることができる車椅子において、前記フットレスト折り畳み機構は、前記シートを固定する座フレームまたは前記車体フレームのいずれかに、シートの下側前後中央付近に固定されたブラケットと、シート先端部両側の下部に位置する第1の支点と、前記ブラケットと第1の支点との間に位置する第2の支点とを設け、一方端を前記第1の支点に回動可能に取り付け、他方端が下方に伸びるとともにその他方端部を前方に折り曲げ、その折れ曲がりの先端部にフットレストの中間部を回動可能に支持させたアームと、前記フットレストの後方端部の支点と前記第2の支点との間に、それぞれの支点に回動可能に連結されたロッドを備え、前記アームのほぼ中間位置に設けられた支点で回動可能に支持される第1のリンクと、ブラケットの支点と第1のリンクとを連結する第2のリンクと、前記第2のリンクに固定されて前記シートの横を前方に伸び、先端にグリップを備えた操作レバーと、前記アームの中央付近と後方の車体フレームまたは座フレームのいずれかとの間に連結した引っ張りバネとからなり、前記グリップを前に倒すと、前記第1のリンクと第2のリンクがほぼ一直線になって固定され、前記アームを介してフットレストを前方にせり出して前記シートに座る人の足を乗せることができ、前記グリップを後ろに倒すと、前記第1のリンクと第2のリンクが上側に折り曲げられてアームとフットレストをほぼ垂直に引き込むフットレスト折り畳み機構を備えたことを特徴としている。
このため、使用者または介護者がワンタッチで容易にフットレストの出し入れができるので、操作性が向上するのである。
また、前記アームと前記ロッドは伸縮可能であるとともに所望の長さで固定できることを特徴としており、前記フットレスト折り畳み機構を前記シートの下部左側面と下部右側面のいずれか、または両方に設けられていることを特徴としている。このため、使用者の体格に合わせた調節ができるとともに、操作性が向上するのである。
【0005】
また、本発明は、車体フレームと、該車体フレームに取り付けられる、大車輪、 キャスター、シート、アームレスト、背もたれ及びフットレストとを備えて人が座ることができる車椅子において、前記車体フレームに取り付けられる大車輪の取り付け位置に応じて、車体フレームに固定する位置を選択して固定できるブレーキ機構を備えたことを特徴としており、前記ブレーキ機構は、前記車体フレームに固定する固定手段を備えた補助輪フレームと、前記補助輪フレームに軸支されて回転できる補助輪と、前記補助輪の上側に被さるように配置されて前記補助輪フレームに固定されたチッピングバーと、前記補助輪フレームに固定された2つのガイドに沿って移動できるとともに、一端が前記大車輪の外周に当接することができるブレーキロッドと、前記補助輪フレームと前記ブレーキロッドとの間に設けられた引っ張りバネと、前記ブレーキロッドに設けた支点で回動可能に支持される第1のリンクと、一方端を第1のリンクに連結し中間部を補助輪フレームの支点で軸支された第2のリンクと、第2のリンクの他方端に設けたペダルを備え、前記ペダルを踏むと第2のリンクが回動し、前記第1のリンクと第2のリンクが一直線になって前記ブレーキロッドが大車輪の外周に当接して固定され、前記ペダルを上に引き上げると前記第1のリンクと第2のリンクが屈曲して、ブレーキロッドが大車輪の外周から離れるとともに前記引っ張りバネによってその状態が保持されるブレーキ機構を備えたことを特徴としている。
さらに、前記ブレーキ機構は、左右の前記大車輪の軸の下側にそれぞれ設けられているとともに、それぞれの前記ブレーキロッドがクロスバーによって連結されており、それぞれの前記ペダルが連結されていることを特徴とし、前記車体フレームと前記補助輪フレームとは、前記固定手段によって前後方向の数個所で固定できることを特徴としている。このため、大車輪の位置に応じた調節ができるとともに、大車輪近傍の機構が簡素化されて作りやすく、手入れしやすくなっているのである。
【0006】
また本発明は、車体フレームと、該車体フレームに取り付けられる、大車輪、 キャスター、シート、アームレスト、背もたれ及びフットレストとを備えて人が座ることができる車椅子において、前記アームレストは、アームレスト調節機構によって所定の高さに調節して固定できることを特徴としており、前記アームレスト調節機構は、側面に複数のボタン孔が形成されて前記車体フレームに固定された筒状の固定側支柱と、前記固定側支柱に挿入され前記複数のボタン孔の1つを選択してボタンを嵌合させる可動側支柱を備え、前記固定側支柱は、側面に複数のボタン孔を形成した筒状の外挿パイプと、外挿パイプの両端に嵌め込み中央に可動側支柱を摺動させる孔を設けたスリーブと、外挿パイプのボタン孔が形成された面に固着されてシートの両側付近の車体フレームに固定される取付板を備え、前記可動側支柱は、最上部にアームレストを固定するアームレスト固定部と、前記外挿パイプに抜き差し可能に挿入でき、側面にガイド孔とボタン孔を備えた内挿パイプと、内挿パイプ内を移動できる連結金具と、連結金具に固着されて前記内挿パイプの一方の側面に形成されたガイド孔から外側に突出させた摘まみと、前記ボタン孔に対向する内側面に固着された円筒状ガイドと、この円筒状ガイドの外側に嵌め込まれたボタンと、円筒状ガイドの内側に設けられ前記ボタンを突出させる圧縮バネと、前記連結金具に連結され前記内挿パイプ内を移動することができるとともに、前記ボタンを挿通する長丸孔と、ボタン孔とは反対側の面に前記ボタンのフランジを当接させ、内挿パイプ内を移動することにより前記ボタンをボタンの軸方向に移動させるテーパー面とを設けたスライダと、前記スライダをボタンがテーパー面に沿って内挿パイプのボタン孔から突出する位置に保持させる引っ張りバネを設けたアームレスト調節機構を備えたことを特徴としている。
このようになっているため、使用者がワンタッチでアームレストの高さを調節できて使いやすくなっているのである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の車椅子の構造を示す側面図であり、はじめに、この図を用いて本発明の車椅子の概要を説明する。なお、以下の説明では車椅子に座る使用者の正面の方向を前方、介護者が立つ方向を後方とし、図1では左側を前方、右側を後方としている。
図において、1は車体フレームであり、断面が円形や矩形の中空パイプを複数組み合わせて車椅子の骨組みとされたものである。5は車体フレーム1の一部が使われた背もたれであり、使用者の背中を受けられるようになっている。2は車体フレーム1の後方下部に設けられた大車輪(図示していない)のタイヤ輪郭線であり、大車輪は車体フレーム1に取り付ける位置を変えて固定できるようになっている。4は使用者が座るシートであり、6は使用者の上肢を載せるアームレスト、7は使用者の足を載せるフットレストである。
【0008】
100は座面チルト機構であり、操作ノブ11を操作すると、シート4を前後に傾斜できる機構を備えている。座面チルト機構100は車体フレーム1の中央上部に固定されている。座面チルト機構100を機能させると座面シート4を前後に傾斜させることができ、背もたれ5にリクライニング機構が設けられている場合は、背もたれ5とは独立して座面シート4を前後に傾斜させることができるようになっている。
【0009】
200はフットレスト折り畳み機構であり、車椅子の下側前部に設けられて車体フレーム1またはシート4が取り付けられた座フレームに固定されている。シート4の前方下部にアーム10が取り付けられ、その先端部にフットレスト7が取り付けられており、グリップ9を操作してフットレスト7を使用者の足が載せられる位置と収納位置の何れかに移動して安定位置を保てるようになっている。
【0010】
300はブレーキ機構であり、大車輪に固定側部品を押し当てることによって大車輪の回転を制動することができるようになっている。ブレーキ機構300の骨格をなす補助輪フレームは大車輪を取り付けている車体フレーム1の近傍に固定されており、取り付け位置を変えることができるようになっている。補助輪フレームには、介護者が踏んでブレーキをかけるペダルと、大車輪のタイヤを押さえるブレーキロッドと、補助輪と一体になったチッピングバーが組み込まれている。
【00011】
400はアームレスト調節機構であり、アームレスト6と、これを支えて下に伸びる可動側支柱、可動側支柱を所望の位置に固定可能に支える固定側支柱から構成されており、固定側支柱が車体フレーム1に固定されてアームレスト6をワンタッチで所望の高さに固定できるようになっている。
【0012】
次に本発明の特徴部分のそれぞれについて図に基づいて説明する。
図2および図3は、フットレスト折り畳み機構200を示す車椅子の前部の側面図で、図2はフットレスト7が使用されている状態を示しており、図3は収納された状態を示している。図において3はキャスターであり、座フレーム20の前方左右から下に伸びる車体フレーム1先端に設けられている。座フレーム20を左右方向に貫通す軸36の近傍の座フレーム20にブラケット44が固定されており、このブラケット44の下端付近に支点47が形成されている。座フレーム20の前方左右には第1の支点48が設けられ、支点47と支点48の間の車体フレーム1または座フレーム20の中央付近に第2の支点49が設けられている。左右の第1の支点48には筒状のアーム10の一方端部が前後方向に回動自在に連結されている。前記アーム10は内側に筒状のアーム54が挿入されており、それぞれに所定間隔で形成されたまたは雌ネジにボルトをねじ込んでアーム10とアーム54が所望の長さに固定できるようになっている。アーム54の下方先端には支点45を備えた部品が一体に固着されており、この支点45はアーム54先端より前方にせり出した位置に配置されている。左右の支点45にはフットレスト7の中間部を回転可能に連結しており、足を載せる部分が前方に伸び、支点45より後方に伸びた位置に支点46が形成されている。この支点46と前記第2の支点49との間に両支点で回動自在になっているロッド41が連結されており、このロッド41にはターンバックルが用いられており、ロッド41を所望の長さに調節することができるようになっている。アーム10には支点50が設けられ、第1のリンク51の一方端が回動自在に連結されている。支点47には第2のリンク52が回動自在に連結されており、第1のリンク51の他方端と第2のリンク52は支点53で回動自在に連結されている。第2のリンク52には操作レバー40が固定されており、その先端にグリップ9が設けられている。第1のリンク51と第2のリンク52を連結する支点53が前記支点50と支点47を結ぶ線上より下側に行かないように図示しないストッパが設けられており、その線上より上側だけに回動できるようになっている。支点53が前記線上にあるときは、グリップ9が座フレーム20の左側前方下部に位置して使用者が操作しやすいところに配置されている。アーム10の支点50付近とブラケット44付近の車体フレーム1との間に引っ張りバネ42が張られており、アーム10を後方に引っ張る張力が掛けられている。
図2の状態では、支点50、53、47が直線上にあって支点50が引っ張りバネ42で引っ張られているので、支点53が上側に移動することなく安定状態が保持される。この状態で使用者が足をフットレスト7に載せると、その荷重でフットレスト7が支点45を中心に回動しようとするが、支点48,49,45、46の相互関係が一定であるのでこの状態が保持される。
【0013】
このような構成をしたフットレスト折り畳み機構200において、グリップ9を持って後ろに倒す(上方に引き上げる)ことによってフットレスト7を収納することができる。すなわち、グリップ9を上引き上げると、操作レバー40に固定させた第2のリンク52が右(時計方向)に回動して支点53が上昇し、支点53で連結した第1のリンク51を介して支点50が引っ張りバネ42によって右側に移動し、アーム10、54が右側に引っ張られる。そうすると第1の支点48と第2の支点49、第1の支点48と支点45、支点45と支点46、支点46と第2の支点49間の長さが、いずれも一定のままで支点45と支点46が右側に移動するので、支点46が支点45の下側に押し下げられて、アーム10、54が座フレーム前方の第1の支点48の下まで回り込み、支点45のほぼ真下に位置する。したがってフットレスト7が垂直になって図3のように収納される。この状態で図示しないストッパによってアーム10、54がそれ以上右側に移動することなく、引っ張りバネ42で右側に引っ張られているので、図3の収納状態が安定保持される。
【0014】
上記の説明では、座フレーム20の左側にグリップ9その他の構成部品を配置した場合を示したが、同様の機構を座フレーム20の右側に配置しても同様の使い方ができ、左右両方に配置してもよいことは明白である。また、ロッド41や引っ張りバネ42は、座フレーム20の下部の左側や右側、中央のどこに配置してもよい。上記の例では支点47、48、49を座フレーム20に設けたが、車体フレーム1に設けてもよい。支点47、48、49を座フレーム20に設ける場合は、座フレーム20が座面チルト機構100によって傾斜することがあっても、座フレーム20との相対位置関係が一定に保たれ、支点47、48、49を車体フレーム1に設ける場合は、座フレーム20が座面チルト機構100によって傾斜することがあってもそれに影響されることなく、車体フレーム1との相対位置関係が一定に保たれる。また、3つの支点47、48、49は、状況によっては座フレーム20と車体フレーム1に振り分けて配置してもよい。
【0015】
次にブレーキ機構300について図4ないし図7を用いて説明する。図4、図6は大車輪の近傍に設けられたブレーキ機構300の構成を示す側面図であり、大車輪を省いて描かれている。図5、図7は同部分を後方から見た正面図である。
図4および図5において、69は車体取付孔であり、車体フレーム1に固着された部品に複数個所形成されている。この孔に大車輪の車軸が挿入されて固定され、大車輪が回転できるようになっている。その部品の下側には補助輪フレーム60がボルト70で固定されており、補助輪フレーム60に形成された孔を選ぶことによって補助輪フレーム60を所望の前後位置に固定できるようになっている。補助輪フレーム60はその固定部分の後方下部に支点73を形成しており、さらにその後方には補助輪8が取り付けられている。補助輪8の上側に被さるようにチッピングバー64が設けられている。補助輪フレーム60の前方上部にガイド65が設けられ、後方下部にガイド66が設けられている。このガイド65、66にはブレーキロッド63が挿通されており、前方上部のガイド65より手前に支点71が設けられて第1のリンク62aの一方端が回動可能に連結されている。第1のリンク62aの他方端は第2のリンク62bの一方端と支点72で回動可能に連結されている。第2のリンク62bは中間部を前記支点73で支持し他方端にペダル61を設けている。ブレーキロッド63の支点71の近傍に設けられたクロスバー67と補助輪8より前方の補助輪フレーム60との間に引っ張りバネ68が設けられて張力が掛けられており、これによってブレーキロッド63が後方下側に引っ張られて、図示しないストッパによって図4の位置で止められており、この状態では、支点71、73を結ぶ直線より下側に支点72が位置している。ブレーキロッド63の後方下端部は直角に曲げられており、大車輪のタイヤ輪郭線2の外側に回り込んでいる。
以上の構成をしたブレーキ機構300は、左右の大車輪の内側に対称構造で配置され、クロスバー67が互いに連結されており、ペダル61も互いに連結されている。
【0016】
図6、図7はペダル61を踏み込んだ状態を示しており、図4のペダル61を足で踏むとその位置が下がるので第2のリンク62 b が支点73を中心に回動して支点72が上昇する。そうすると第1のリンク62 a を介して支点71が前方 ( 左上方向 )に押し上げられ、引っ張りバネ68の引っ張り力に対抗してブレーキロッド63がガイド65、66に沿って前方(左上方向)に移動する。第1のリンク62 aがクロスバー67に当たった位置で止まると支点72は支点71、73間を結ぶ直線より若干上側になるようにしており、ブレーキロッド63の後方端は大車輪のタイヤ輪郭線2側に移動し、大車輪のタイヤの外周を押さえて回転を制動する。図6はこのような状態を示している。
この状態でペダル61を踏んでいた足を上げても、引っ張りバネ68の引っ張り力とタイヤの反発力によって支点72が支点71、73を結ぶ直線より下がることがなく、図6の状態が維持され、大車輪のブレーキが掛けられた状態を保持される。
【0017】
次に、ペダル61を足で引き上げると、支点72が支点71、73を結ぶ直線より下側に下がって図4の状態になるまで下がる。このため、ブレーキロッド63の右下端部が大車輪のタイヤ輪郭線2より外側にくるので大車輪のブレーキが解放される。引っ張りバネ68によってブレーキロッド63が後方向に引っ張られているので、引き上げている足を離しても図4の状態が保持される。
介護者が当該車椅子を押して行き、段差のあるところなどでキャスター3を持ち上げる場合は、チッピングバー64を足で踏み込めば持ち上げやすくすることができる。また、安定性を重視する時に大車輪を後方に移動させたり、操作性を重視する時に大車輪を前方に移動させる場合などは、車体フレーム1に固定しているボルト70をはずし、大車輪と同様に補助輪フレームの位置をずらしてボルト70で固定すればよい。
このように、ブレーキ機構300が、補助輪やブレーキロッドとペダル、クロスバーなどの部品をすべて補助輪フレーム60に組み込んでいるので、車体フレーム1へのブレーキ機構の着脱が容易で、大車輪の位置を変える場合の作業が簡単になっている。また、同時に部品の交換や製作工数が低減される利点を有している。
【0018】
次にアームレスト調節機構400について図8ないし図11を用いて説明する。
図8は固定側支柱85の斜視図であり、図9は固定側支柱85に挿通させる可動側支柱80の外形図、図10は可動側支柱80の内部構造を説明する図、図11は図9のX−X部分の断面図で(a)は調節されたときの状態、(b)は調節するときの状態である。
【0019】
図8において96は断面矩形の筒状の外挿パイプであり、その両端に中央に矩形の孔を形成したスリーブ86が嵌め込まれ、前記孔で内挿パイプ95を摺動可能に支持させている。外挿パイプ96の1つの側面にはボタン孔88が軸方向に複数設けられており、同じ面に取付板87が固着されている。取付板87の一部はボタン孔88に接しないように切り欠かれている。取付板87は図1に示す車椅子の車体フレーム1に固着され、アームレスト調節機構400の固定側部品になっている。
【0020】
図9および図10において(a)は可動側支柱80の左側面図、(b)は後方から見た正面図、(c)は右側面図である。95は前記外挿パイプ96に挿通される断面矩形の筒状の内挿パイプであり、その上部にアームレスト固定部81が固定されている。83は左側面上部に切り欠かれた矩形のガイド孔であり、内部の部品と連結された摘まみ82が上下に移動可能にガイド孔83から外側に突出させて配置されている。(b)には摘まみ82が上に移動して上端にきたときの状態を破線で示している。97は右側面下部に設けられたボタン孔で、後述するボタン84を嵌合突出させている。
【0021】
ボタン84は、図11に示すように、内挿パイプ95の前記ボタン孔97と対向する内側面に固定された円筒状ガイド92の外側にかぶせたコップ状になっており、その中にコイル状の圧縮バネ93が設けられ、バネ93の反発力でボタン84が内挿パイプ95に形成されたボタン孔97から右側に飛び出そうとする力を受け、ボタン孔97から突出した頭が外挿パイプ96のボタン孔88の1つに嵌まるようになっている。
【0022】
89は内挿パイプ95の内側を上下に移動可能に設けた直方体の連結金具であり、その一面に摘まみ82が固定されてガイド孔83から外側に飛び出している。連結金具89の中心にはバー90が挿通されて固定されており、バー90の下側には内挿パイプ95の内部構造を示す図10に示されているようにスライダ94が固定されている。スライダ94の下側には引っ張りバネ91が取り付けられており内挿パイプ95の内底に引っ張りバネ91の他端が取り付けられて張力がかけられている。
スライダ94は図10に示すように、一方(実施例では左)側面に下方が高くなったテーパー面98が設けられており、中央部にボタン84を摺動可能に挿通する長丸孔99が形成されている。この長丸孔99にボタン84が挿通されボタンの周囲に形成されたフランジ84 a がテーパー面98に当たって止まっている。
図9および図10に示すように、スライダ94が引っ張りバネ91により引き下げられ摘まみ82がガイド孔83の下端にあるときは、ボタン84が長丸孔99の上端に接してテーパ面98の低い位置にあり、ボタン84の頭が内挿パイプ95のボタン孔97を通して突出し、固定側支柱85のボタン孔88の1つに嵌め込まれている。
【0023】
このような構成をしたアームレスト調節機構400を使う時は、次のようにする。摘まみ82を持ち上げるとスライダ94が上昇し、ボタン84はフランジ84 a がテーパー面98の傾斜に沿って左側(矢印で示す方向)に移動し、内挿パイプ95内に引 き込まれ、固定側支柱85のボタン孔88から外れているので、固定側支柱85の外挿パイプ96に挿通した内挿パイプ95が自由に上下することができる。そこで内挿パイプ95に固定されたアームレスト6を所望の高さに移動させて摘まみ82を下げると、スライダ94が下がり、ボタン84が内挿パイプ95に形成されたボタン孔97から突出して図10の状態となり、ボタン84の頭が外挿パイプ96のボタン孔88に嵌まって内挿パイプ95の位置が保持される。こうしてアームレスト6の上下方向の位置が固定され高さが調節される
なお、上記の例では可動側支柱80と固定側支柱85の断面が矩形の場合について説明したが、本発明の趣旨に従えば断面は矩形に限定されることはなく、断面が円や長円、楕円であってもよい。
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、グリップを上下に動かしてフットレストを収納したり使用状態にすることができるフットレスト折り畳み機構を備えているので、使用者または介護者がワンタッチで操作でき、やさしい車椅子にできるという効果がある。また、アームとロッドが伸縮可能で所望の長さで固定できるので、使用者の体格に合わせた調節ができ、より多くの人が使えるという効果がある。
また、本発明によれば、車体フレームに固定する位置を選択して固定できるとともにペダルやチッピングバーなどの部品を一体化したブレーキ機構を備えているので、大車輪の位置に応じた調節ができて操作性が向上されるという効果がある。また、大車輪近傍の機構が簡素化されているため、作りやすく、手入れがしやすいという効果がある。
また、本発明によれば、摘まみを上下するだけでアームレストの高さを調節して固定できるアームレスト調節機構を備えているので、誰にでもフィットするように片手だけのワンタッチ操作でアームレストの高さを調節でき、使いやすいものとする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車椅子の構成を示す側面図
【図2】フットレスト折り畳み機構の使用状態を示す側面図
【図3】フットレスト折り畳み機構の収納状態を示す側面図
【図4】ブレーキを解除した状態を示すブレーキ機構の側面図
【図5】ブレーキを解除した状態を示すブレーキ機構の後面図
【図6】ブレーキを掛けた状態を示すブレーキ機構の側面図
【図7】ブレーキを掛けた状態を示すブレーキ機構の後面図
【図8】アームレスト調節機構の固定側支柱の斜視図
【図9】アームレスト調節機構の可動側支柱の外観図で(a)は左側面図、(b)は後方から見た正面図、(c)は右側面図
【図10】アームレスト調節機構の可動側支柱の内部構造図で(b)は後方から見た正面図、(c)は右側面図
【図11】図9のX−X線に沿う断面図で(a)は調節されたときの状態、(b)は調節するときの状態を示す。
【符号の説明】
1 車体フレーム
2 大車輪のタイヤ輪郭線
3 キャスター
4 シート
5 背もたれ
6 アームレスト
7 フットレスト
8 補助輪
9 グリップ
10 アーム
11 操作ノブ
12 ハンドル
20 座フレーム
40 操作レバー
41 ロッド
42 引っ張りバネ
43 ボルト
44 ブラケット
45、46、47、50、53 支点
48 第1の支点
49 第2の支点
51 第1のリンク
52 第2のリンク
54 アーム
60 補助輪フレーム
61 ペダル
62a 第1のリンク
62b 第2のリンク
63 ブレーキロッド
64 チッピングバー
65、66 ガイド
67 クロスバー
68 引っ張りバネ
69 車体軸取付穴
70 ボルト
71、72、73 支点
80 可動側支柱
81 アームレスト固定部
82 摘まみ
83 ガイド穴
84 ボタン
84a フランジ
85 固定側支柱
86 スリーブ
87 取付板
88 ボタン
89 連結金具
90 バー
91 引っ張りバネ
92 円筒状ガイド
93 圧縮バネ
94 スライダ
95 内挿パイプ
96 外挿パイプ
97 ボタン孔
98 テーパー面
99 長丸
100 座面チルト機構
200 フットレスト折り畳み機構
300 ブレーキ機構
400 アームレスト調節機構

Claims (7)

  1. 車体フレームと、該車体フレームに取り付けられる、大車輪、キャスター、シート、アームレスト、背もたれ及びフットレストとを備えて人が座ることができる車椅子において、
    前記シートを固定する座フレームまたは前記車体フレームのいずれかに、シートの下側前後中央付近に固定されたブラケットと、
    シート先端部両側の下部に位置する第1の支点と、
    前記ブラケットと第1の支点との間に位置する第2の支点とを設け、
    一方端を前記第1の支点に回動可能に取り付け、他方端が下方に伸びるとともにその他方端部を前方に折り曲げ、その折れ曲がりの先端部にフットレストの中間部を回動可能に支持させたアームと、
    前記フットレストの後方端部の支点と前記第2の支点との間に、それぞれの支点に回動可能に連結されたロッドを備え
    前記アームのほぼ中間位置に設けられた支点で回動可能に支持される第1のリンクと、ブラケットの支点と第1のリンクとを連結する第2のリンクと、
    前記第2のリンクに固定されて前記シートの横を前方に伸び、先端にグリップを備えた操作レバーと、
    前記アームの中央付近と後方の車体フレームまたは座フレームのいずれかとの間に連結した引っ張りバネとからなり、
    前記グリップを前に倒すと、前記第1のリンクと第2のリンクがほぼ一直線になって固定され、前記アームを介してフットレストを前方にせり出してシートに座る人の足を乗せることができ、前記グリップを後ろに倒すと、前記第1のリンクと第2のリンクが上側に折り曲げられてアームとフットレストをほぼ垂直に引き込むフットレスト折り畳み機構を備えたことを特徴とする車椅子。
  2. 前記アームと前記ロッドが、伸縮可能であるとともに所望の長さで固定できることを特徴とする請求項1記載の車椅子。
  3. 前記フットレスト折り畳み機構が、シートの下部左側面と下部右側面の何れか、または両方に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の車椅子。
  4. 車体フレームと、該車体フレームに取り付けられる、大車輪、キャスター、シート、アームレスト、背もたれ及びフットレストとを備えて人が座ることができる車椅子において、
    前記車体フレームに固定する固定手段を備えた補助輪フレームと、
    前記補助輪フレームに軸支されて回転できる補助輪と、
    前記補助輪の上側に被さるように配置されて前記補助輪フレームに固定されたチッピングバーと、
    前記補助輪フレームに固定された2つのガイドに沿って移動できるとともに、一端が前記大車輪の外周に当接することができるブレーキロッドと、
    前記補助輪フレームと前記ブレーキロッドとの間に設けられた引っ張りバネと、
    前記ブレーキロッドに設けた支点で回動可能に支持される第1のリンクと、一方端を第1のリンクに連結し中間部を補助輪フレームの支点で軸支された第2のリンクと、
    第2のリンクの他方端に設けたペダルとを備え
    前記ペダルを踏むと前記第1のリンクと第2のリンクが一直線になって前記ブレーキロッドが大車輪の外周に当接して固定され、前記ペダルを上に引き上げると前記第1のリンクと第2のリンクが屈曲して、ブレーキロッドが大車輪の外周から離れるとともに前記引っ張りバネによってその状態が保持されるブレーキ機構を備えたことを特徴とする車椅子。
  5. 前記ブレーキ機構が、左右の大車輪の軸の下側にそれぞれ設けられ、左右のブレーキロッドがクロスバーによって連結され、左右のペダル相互が連結されていることを特徴とする請求項4記載の車椅子。
  6. 前記車体フレームと前記補助輪フレームとが、固定手段によって前後方向の数個所で固定できることを特徴とする請求項4または5記載の車椅子。
  7. 車体フレームと、該車体フレームに取り付けられる、大車輪、キャスター、シート、アームレスト、背もたれ及びフットレストとを備えて人が座ることができる車椅子において、
    側面に複数のボタン孔が形成され前記車体フレームに固定された筒状の固定側支柱と、前記固定側支柱に挿入され前記複数のボタン孔の1つを選択してボタンを嵌合させる可動側支柱を備え
    前記固定側支柱は、側面に複数のボタン孔を形成した筒状の外挿パイプと、外挿パイプの両端に嵌め込み中央に可動側支柱を摺動させる孔を設けたスリーブと、外挿パイプのボタン孔が形成された面に固着されてシートの両側付近の車体フレームに固定される取付板を備えており、
    前記可動側支柱は、最上部にアームレストを固定するアームレスト固定部と、前記外挿パイプに抜き差し可能に挿入でき、側面にガイド孔とボタン孔を備えた内挿パイプと、内挿パイプ内を移動できる連結金具と、連結金具に固着されて前記内挿パイプの一方の側面に形成されたガイド孔から外側に突出する摘まみと、
    前記連結金具に一端が連結されたバーと、
    前記ボタン孔に対向する内側面に固着された円筒状ガイドと、前記円筒状ガイドの外側に嵌め込まれたボタンと、前記円筒状ガイドの内側に設けられ前記ボタンをボタン孔から突出させるバネと、
    前記バーのもう一端に連結されて前記内挿パイプ内を移動することができるとともに、前記ボタンを挿通する長丸孔と、前記ボタン孔とは反対側の面に前記ボタンのフランジを当接させるテーパー面とを設けたスライダと、
    前記内挿パイプの最下部と前記スライダに接続され前記ボタンを内挿パイプのボタン孔から突出する位置に保持させる引っ張りバネを設けたアームレスト調節機構を備えたことを特徴とする車椅子。
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