JP4883020B2 - 単結晶製造装置および製造方法 - Google Patents
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Description
図4に従来の単結晶製造装置の一例を示す概略断面図を示す。
CZ法でシリコン単結晶を製造する際に使用される単結晶製造装置101は、一般的に原料融液105が収容された昇降動可能なルツボ106、107と、該ルツボ106、107を取り囲むように配置されたヒータ108が単結晶104を育成するメインチャンバ102内に配置されており、該メインチャンバ102の上部には育成した単結晶104を収容し取り出すための引上げチャンバ103が連設されている。また、ヒータ108の外側には、ヒータ108からの熱がメインチャンバ102に直接輻射されるのを防止するための断熱部材109が周囲を取り囲むように設けられている。
このような単結晶製造装置101を用いて単結晶104を製造する際には、種ホルダ113に取り付けられた種結晶112を原料融液105に浸漬した後、引上げ機構(不図示)により種結晶112を所望の方向に回転させながら静かにワイヤ115を巻き上げ、種結晶112の先端部に棒状の単結晶104を成長させる一方、所望の直径と結晶品質を得るため融液面の高さが常に所定位置に保たれるように結晶の成長に合わせルツボ106、107を上昇させている。
このように、前記不活性ガスを通すための切り欠きを有する円錐状の反射体を前記種結晶の上方に具備し、該反射体の外径が前記整流筒の内径未満であれば、上方から下流する不活性ガスにより反射体および種結晶が回転あるいは振動することなく、原料融液の放熱を抑制することができる。これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶を製造することが出来る。
このように、前記反射体の外径が前記育成する単結晶の直胴の直径の1/3以上であれば、原料融液の放熱をより抑制することができる。これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶をより確実に製造することが出来る。
このように、前記反射体の切り欠きが円周方向で回転対称に形成されていれば、上方から下流する不活性ガスによる反射体および種結晶の回転あるいは振動をより確実に抑制することができる。
このように、前記反射体の下端と前記種ホルダの下端の距離が300mm以下であれば、原料融液の放熱を効率良く抑制することができる。これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶をより確実に製造することが出来る。
このように、本発明に係わる単結晶製造装置を用いて単結晶を製造することによって、上方から下流する不活性ガスにより反射体および種結晶が回転あるいは振動することなく、原料融液の放熱を抑制することができる。これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶を生産性を高くして製造することが出来る。
上方から下流する不活性ガスにより反射体および種結晶が回転あるいは振動することなく、原料融液の放熱を抑制することができる。これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができるので、種結晶が着液しやすくなり、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶を製造することが出来る。
大口径の単結晶を製造する際には、単結晶製造装置も大型のものを使用する。すなわち、整流筒の開口部も広いものとなる。しかし、コーン部の形成時までにおいては、前記コーン部の直径に対して前記開口部が広すぎるため、原料融液からの放熱量が大きくなり、該融液表面は冷えやすくなる。このため、融液表面温度が安定せず種結晶を着液しにくい。着液できてもコーン部の形成時の拡径速度が臨界値を超えてコーン部で有転位化してしまう場合があった。もしくは、前記臨界値を超えずにコーン部では有転位化しなくても、コーン部の形成時の拡径速度が大きくなることにより、原料融液と単結晶の固液界面の下凸形状が大きくなる。ところが、単結晶を所望の直径まで拡径し、その直胴部の育成に入ると前記固液界面は上凸形状となるため、前記直胴部前半において、前記固液界面は急激に下凸形状から上凸形状へと変化する。この変化に単結晶化が追いつかず有転位化してしまうという問題があった。
図1に示すように、単結晶製造装置1は、原料融液5を収容するルツボ6、7、多結晶シリコン原料を加熱、融解するためのヒータ8などがメインチャンバ2内に格納され、メインチャンバ2上に連接された引上げチャンバ3の上部には、育成された単結晶4を引上げる引上げ機構(不図示)が設けられている。また、ルツボ6、7を取り囲むようにヒータ8が配置されており、このヒータ8の外側には、ヒータ8からの熱がメインチャンバ2に直接輻射されるのを防止するための断熱部材9が周囲を取り囲むように設けられている。
ここまでは従来の単結晶製造装置の構成と同様である。
このように、種結晶12の上方に反射体17を具備していれば、原料融液5の放熱を抑制することができる。また、反射体17の形状が円錐状であれば、上方から下流してくる不活性ガスを垂直に受けることなく、斜め下に滑らかに流すことができる。そして、反射体17が不活性ガスを通すための切り欠きを有していれば、反射体17および種結晶12が回転、振動することなく単結晶4を育成することができる。
このように、前記反射体17の外径が前記整流筒14の内径未満であれば、整流筒14の開口部に接触することなく単結晶4を引き上げることができる。
前記反射体17は図1に示すように種ホルダ13に取り付けても良いし、図2に示すように種ホルダ上方のワイヤ15に取り付けても良い。あるいは、種ホルダ13の形状を切り欠きを有する円錐状にして、反射体と兼用するようにしても良い。とにかく、種結晶12の上方に切り欠きを有する円錐状の反射体を設けることによって、本発明の作用効果を奏することができる。
また、反射体17の厚さを厚くすることにより、切り欠きを設けたことによる保温効果の低減を相殺し、保温効果を十分に確保することができる。ここで、反射体17の厚さは、単結晶製造装置1の炉内の構造などに応じて、適宜決定すれば良い。
このように、前記反射体17の外径が前記育成する単結晶4の直胴の直径の1/3以上であれば、原料融液5の放熱をより抑制することができるが、前記直径の1/2以上であればさらに良い。これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶をより確実に製造することが出来る。
ここで、反射体17の外径は大きいほど原料融液5の放熱を抑制できるが、大きくなるにつれて反射体17の重量も増加し、かつ整流筒と接触する恐れを生じてしまうため、反射体17の最大外径を単結晶4の直胴の直径程度とするのが実用的である。
図3に本発明で使用することができる反射体の一例の上面概略図を示す。
図3に示すように、反射体17は切り欠き18を有し、円周方向で回転対称に形成されている。図3(A)は切り欠きの中心角が90°のものであり、図3(B)は前記中心角が60°のものである。これらの反射体17は種ホルダ13の位置に設置する場合のものであり、中央に種ホルダ13と嵌合するための穴を有している。
このように、前記反射体17の切り欠きが円周方向で回転対称に形成されていれば、上方から下流する不活性ガスによる反射体17および種結晶12の回転あるいは振動をより確実に抑制することができる。なお、切り欠きの数や幅は特に限定されるものではないが、前記反射体17の切り欠きの面積は前記反射体17の30〜70%の範囲内にすることが好ましい。
このように、前記反射体17の下端と前記種ホルダ13の下端の距離が300mm以下であれば、反射体が融液の上方のより近い位置に配設されているので、原料融液5の放熱をより抑制することができる。これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶をより確実に製造することが出来る。
このようにすることによって、上方から下流する不活性ガスにより反射体17および種結晶12が回転あるいは振動することなく、原料融液5の放熱を抑制することができるため、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の大口径の単結晶を製造することが出来る。
図1に示すような単結晶製造装置を用い、直径450mmのシリコン単結晶を磁場印加チョクラルスキー法(MCZ法)により製造した。図3(B)に示すような切り欠きを3箇具備した反射体17を種ホルダ13に設置した。反射体17の切り欠きの中心角をそれぞれ60°とし、円周方向で回転対称に形成されたものとした。反射体17の外径を400mmとした。
このように、本発明の単結晶製造装置は、コーン部までの形成において原料融液5の放熱を抑制することができ、これによって、種結晶の着液を適切な融液表面温度で行うことができ、コーン部においてはコーンの拡径速度が臨界値を超えて有転位化することなく、直胴前半部においては固液界面形状の変化に追いつかず有転位化することのない無転位の単結晶を製造することが出来るものとなっていることが確認できた。
反射体17の外径が100mmとした以外は実施例1と同様の条件で単結晶の製造を行い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、無転位の単結晶を30%の確率で得ることができ、実施例1より悪い結果だったものの、従来の単結晶製造装置で製造した場合に比べ改善されていることが確認できた。
反射体を有さない従来の単結晶製造装置で実施例1と同様の条件で単結晶の製造を行い、実施例1と同様の評価を行った。その結果、原料融液の表面温度の安定性が非常に悪く、また、コーン部までの形成における原料融液の放熱量も大きかったため、種結晶の着液時、無転位種付け時あるいはコーン部の形成時あるいは直胴前半部のいずれかの過程で有転位化してしまい、得られた無転位の単結晶はわずか10%であった。
切り欠きを有さない反射体を設け、その外径を300mmとした以外は実施例1と同様の条件で単結晶の製造を行った。その結果、不活性ガスにより反射体および種結晶が回転、振動してしまい、着液させることができなかった。
4…単結晶、5…原料融液、6、7…ルツボ、
8…ヒータ、9…断熱部材、10…ガス流出口、
11…ガス導入口、12…種結晶、13…種ホルダ、
14…整流筒、15…ワイヤ、16…ルツボ回転軸、
17…反射体、18…切り欠き。
Claims (5)
- 少なくとも、原料融液を収容するルツボ及び前記原料融液を加熱するヒータを格納するメインチャンバと、前記原料融液に着液して下方に単結晶を育成するための種結晶を保持する種ホルダと、前記原料融液上方から下流する不活性ガスを前記単結晶の近傍に整流するための整流筒を有した単結晶製造装置であって、前記不活性ガスを通すための切り欠きを有する円錐状の反射体を前記種結晶の上方に具備し、該反射体の外径が前記整流筒の内径未満であることを特徴とする単結晶製造装置。
- 前記反射体の外径は前記育成する単結晶の直胴の直径の1/3以上であることを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
- 前記反射体の切り欠きは円周方向で回転対称に形成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶製造装置。
- 前記反射体の下端と前記種ホルダの下端の距離が300mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の単結晶製造装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の単結晶製造装置を用いて単結晶を製造する単結晶の製造方法。
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