JP4879622B2 - 水中離解性に優れた使い捨て清掃具用の板紙 - Google Patents
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Description
プと大同小異であったり、加工が面倒であったりなどの問題点があり、決して満足の得られるものではなかった。また、厚紙を用いたヘラは、拭い取り作業には好適な強度を備えていて使い勝手は良いものの、水解性が全く無いために、使用後に放流水中に不用意に投棄すると配管内に詰まってトラブルの原因になり、また、汚れたヘラの後処理はなにかと面倒であった。
本発明の請求項1に係る水中離解性に優れた使い捨て清掃具用の板紙は、使用時には高い強度を保つが、水中では水の浸透性が格段に改善されて、素早く強度を失い、一定水流によって容易に崩壊する。したがって、汚れの拭い取が容易でありながら、使用後に放流水中などに投棄しても配管内に詰まってトラブルの原因になるおそれも少なく、取り扱いが至便で後処理も容易な板紙を提供できるに至った。
層間剥離強度が0.25MPaを下回ると、各種製品の製造時の抜き加工工程で罫線部などの薄肉厚部に層間剥離が生じるおそれがあり、逆に0.70MPaを上回ると水中での層間強度が高くなるため、離解しにくくなるからである。また、一層当たりの付け量が130g/m2 を上回ると層間剥離後に層内に水が滲み込むのに時間がかかり、離解しにくくなるからである。
密度が0.35g/cm3 を下回ると、パルプ繊維の絡み合いが極めて少なくなるため、抄紙時に断紙トラブルが発生するほか、抄紙した板紙の表面強度もきわめて弱く、使い捨て清掃具として作業中から繊維状に崩壊がはじまり、十分な清掃ができないという問題を生じる。逆に0.70g/cm3 を越えると、水の浸透が悪くなり、離解性が悪くなるからである。
そこで、本発明では、濾水度が450〜750mlであることが望ましく、550〜700mlとすることがより望ましい。
450mlを下回ると叩解が進みすぎて、パルプ繊維同士の絡み付きが強くなり、離解し難くなり、逆に、750mlを上回るとパルプ繊維の絡み合いが極めて少なくなるため、抄紙時に断紙トラブルが発生するほか、使い捨て清掃具として作業中から繊維状に崩壊がはじまり、十分な清掃ができないという問題を生じる。
50mmよりも下回ると、水が滲み込まず、層間剥離し難くなるからである。
何故なら、古紙が含まれると、古紙由来のサイズ剤や紙力増強剤が混入するため、離解性を悪化させる原因となるからである。ただし、使用する古紙が無サイズ、紙力増強剤無添加の場合にはこの限りでない。
すなわち、パルプ繊維が太く、長い針葉樹クラフトパルプを70〜100%配合することにより、清掃作業中は適度な強度を有しつつ、清掃作業後に放流水中に投棄すると素早く解れやすい性質となる。
坪量としては、170〜800g/m2 が望ましく、300〜700g/m2 とすることがより望ましい。
170g/m2 を下回ると紙剛性が弱く、汚れを拭い取る強度が不十分であり、逆に800g/m2 を上回ると紙内部までに水が浸透するのに時間がかかり、層間剥離しにくく、かつ、離解しにくくなるからである。
更に詳しくは、例えば、使い捨て清掃具としては、上記により得られた水中離解性に優れた板紙を、複数枚重ねるか若しくは折り畳むなんどして保持具に挟持することで、清掃具とすることができる。また、前記水中離解性に優れた板紙自身を折り畳むなどして平面状に作製した若しくは筒状などの立体状に作製した清掃具とすることもできる。
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)100%からなるスラリーを、抄造後離解した際のカナディアンスタンダードフリーネス(CSF)が600mlになるように調節し、ノニオンタイプ界面活性剤(東邦化学工業 ぺポールAS−053X)を対パルプ重量%が0.05%になるように添加した原料を使用した。
これらを円網多層抄紙機にて、各層の付け量を50g/m2 として、7層構造で抄き合わせ、350g/m2 の多層抄き板紙を抄紙した。
界面活性剤をカチオンタイプの界面活性剤(ライオン アーカードT−28)を対パルプ重量%が0.05%になるように添加したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
実施例1で使用した界面活性剤の含有量を表1の示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
原料パルプ配合比率を表1の示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
多層抄きとする層数、各層の付け量を表1の示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
濾水度を表1の示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
界面活性剤を添加しなかったことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
原料パルプ配合比率、多層抄きとする層数、各層の付け量を表1の示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
1層抄きとしたことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
離解フリーネスを表1の示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
界面活性剤を表1の示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
通常コートボール600g/m2 を用いて、実施例と同様に品質評価を行った結果を表1に示す。
TAPPI UM522に準じて、Z軸方向の層間強度を測定した。
JIS−P8141 紙及び板紙―吸水度試験方法―クレム法に準じて、縦200mm、横15mmに調整した試料の下端を鉛直に水の中に浸せきし、10分間に水が上昇した高さを測定した。
ここで、表1中の「原料パルプの配合比率」とは、JIS−P8120に記載の「紙、
板紙及びパルプ繊維組成試験方法」に準拠して測定した繊維比率の値である。
なお、層剥離は以下の手順で行う。まず、各試料から得た各サンプルを室温の水に約1時間浸漬する。水に浸漬した各サンプルを、角を起点として10mmΦ程度の丸棒に巻き付けた後、丸棒を転がして各サンプルをしごく。この操作を各サンプルの四隅の全ての角を起点に繰り返し、各方向からサンプルにしごきの力を加える。これにより、各サンプルの層間の一部が剥離してくるので、これを利用して、表層、中層、及び裏層に分離して層剥離を行う。
「付け量(g/m2 )」とは、上述した層剥離を行い、各層のそれぞれの米坪をJIS−P8124に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
また、「濾水度(cc)」は、上述した層剥離後の試料を約3cm2 の大きさに裁断して約25gの重さの試験片とし、この試験片を1リットルの水に24時間浸漬した後、JIS−P8220に準拠して標準離解機で15分間離解処理し、試験片が完全に離解していることを目視で確認した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である。
結果を表1に示す。
各実施例で得られたヘラについて、JIS P4501「トイレットペーパー 4.5ほぐれやすさ」の方法に順じて評価した。但し、JISと異なるポイントとしては、
試料サイズ:30×50mmサイズ(JISでは114×114mm角)
回転数: 550rpmに上昇するまでにかかった時間(JISでは540rpm)
である。
※1:層間剥離するまでの時間
※2:回転数が550rpmまでに上昇するまでの時間(離解しないものは1200秒まで測定)
水洗トイレの水たまり部分(水深さ80mm)に、各実施例で得た紙片を入れて何回目のフラッシュで流れるか評価した。
試料サイズ:150×30mm
○印:1〜2回で流れる
△印:3〜4回で流れる
×印:5回以上で流れる、または5回以上でも流れない
水中離解性に優れた板紙は、水洗性評価にもある通り、1〜2回のフラッシュで流れることが分かった。
実施例2、7〜9、13、17は、水洗トイレに流すことができるが、層間強度が高い、及び/又はクレム吸水度が低いことにより、水洗性評価がやや低くなった。
Claims (2)
- 使い捨て清掃具に用いられる、少なくとも2層以上からなる多層抄き板紙において、水の浸透を良くするために界面活性剤が含有され、一層当たりの付け量が25〜130g/m2 であり、層間強度(ТAPPI UM522)が0.25〜0.70MPa、密度が0.35〜0.70g/cm 3 、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度が450〜750mlであることを特徴とする水中離解性に優れた使い捨て清掃具用の板紙。
- クレム吸水度が50mm以上となることを特徴とする請求項1に記載の水中離解性に優れた使い捨て清掃具用の板紙。
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