JP4253331B2 - 多層抄き板紙及び紙製容器 - Google Patents

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Description

本発明は、多層抄き板紙に関し、特にコロッケ,カツ,天ぷら,フライドポテト,シューマイ,餃子,たこ焼き,たい焼き等の油分と水分とを有する食品などを収容する紙製容器に用いられる多層抄き板紙、及びこの多層抄き板紙から形成される紙製容器に関するものである。
従来より、コロッケやたい焼き等の油分と水分とを有する食品などを収容する紙製容器としては、プラスチック製のトレーの他に、例えばプラスチック又は高級白板紙からなるケースの内側にプラスチックトレーを収納したもの、内側にポリエチレン等の樹脂をラミネートした白板紙からなるケース等が用いられていたが、いずれもその使用後はプラスチックゴミと同様に廃棄されていた。
内側にポリエチレン等の樹脂をラミネートした白板紙からなる紙製容器は、その紙製容器の内面を構成する材料が食品から発生する油分や水分を透過及び吸収しないので、食品から染み出た油分や水分が外面に使われている板紙にまで浸透しないという利点を有するが、反面、ラミネート面に付着した油分、水分が再び食品に付着してしまい、食品の風味や食感を損ねてしまう。これは、容器の内面と内部に収容された食品との接触面積が大きいほど、食品への油分や水分の再付着が多くなり、食品の風味や食感が著しく低下してしまうという欠点がある。
このような欠点を解消するために、食品に接する側が吸水・吸油性を有し、その反対側の面(容器外側面)にポリエチレン樹脂等がラミネートされている吸水・吸油性シートを用いる方法もあるが、シートが食品からでる油分、水分を吸水・吸油することにより、紙製容器の変形、ぼこつきが発生し、紙製容器の見栄えが悪化するだけでなく、容器の強度が著しく低下し、容器としての機能、強度を維持できないという問題が生じるのである。
また、この方法は吸水・吸油性を有する基材をラミネート加工する工程が必要となるほか、使用材料、製造工程が増えて製造コストが高くなる。また、プラスチックゴミと同様に廃棄されるため、リサイクルできない欠点を有している。
一方、リサイクル可能で、且つ食品から発生する油分や水分を透過及び吸収する能力を有する一般的な白板紙からなる紙製容器では、紙中に浸透した水蒸気が液化して紙の強度を低下させるため容器としての機能を果たさず、また、食品の油分や水分が容器の外にまで滲み出して外観を低下させてしまい、商品価値を著しく損なわせるという問題があった。
このような問題点に鑑み、例えば、特許文献1には、高級白板紙の外層に耐水性を持たせて紙製容器やトレーやカップの強度を維持し内層を吸湿性吸水性として内部で発生する水蒸気を吸着、吸水し且つ該内層を耐油性、離型性として油物に対する汚損の回避及び調理品の剥離を良くした食品用板紙が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の板紙においても、食品と接する内層が吸湿・耐油性で、中間層が吸水性、外層が耐水・撥水性であることから、容器内面に付着した油分が再び食品に付着してしまい、食品の風味や食感を損ねてしまうという問題がある。
また、トレーやケースなどの容器に加工する際には、内層の耐油面、外層の撥水面にも接着可能な特殊な接着剤を用いなければならないし、中芯と貼合し段ボールシートとする場合においても、中芯と貼合するために特殊な接着剤を用いなければならないという問題が生じる。
さらに、紙製容器に要求される美粧性や印刷適性を満足するために高価なパルプを用いる外層において、容器の強度を確保する構成であるため、外層の付け量が多くする必要があり、コストの高い板紙とならざるを得ない。
特開平1−207498号公報
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、前述した如き従来技術の欠点を解消し、収容された食品から出た油分や水分が、食品に再付着することがなく、また収容する食品から出た油分や水分が紙層内に浸透しても所定の強度を維持することができ、また、板紙を紙製容器に加工した際に、食品から出た油分や水分が容器の外面に滲み出すことがなく、また、貼合や製函などにより板紙を紙製容器へ加工する際に特殊な接着剤を必要とせず、さらにまた、再生紙用の原料としてリサイクルを可能とした多層抄き板紙及びこの板紙を用いて形成された紙製容器を提供することである。
本発明の上記目的は、少なくとも表層、裏層、及び前記表層と前記裏層との間に配置される1層又は複数層から成る中間層を有する多層抄き板紙であって、前記表層及び前記裏層は吸水・吸油性を有し、該表層及び該裏層の吸水度が30〜100g/m であり、前記裏層の原料パルプとして、NKPとLKPとが10:90〜50:50の比率で混合されたものを用い、また、前記裏層の原料パルプは、濾水度が350〜450ccに調整されまた、前記裏層の坪量を40〜80g/m とし、前記中間層は少なくとも耐油・耐水性を有する層(12)を有し、該耐油・耐水性を有する層(12)は、原料パルプに対して、耐油剤が固形分換算で0.3〜1.5重量%配合されており、前記耐油・耐水性を有する層(12)は、キット数が8級以上、吸水度が5〜40g/m であり、さらにまた、前記多層抄き板紙全体の透気度が100〜200秒であることを特徴とする多層抄き板紙を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、耐水性を有する中間層(13)が、前記表層と前記耐油・耐水性を有する層(12)との間に設けられていることを特徴とする多層抄き板紙を提供することによって、効果的に達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、耐油・耐水性を有する中間層(14)が、前記表層と前記耐水性を有する中間層(13)との間に設けられていることを特徴とする多層抄き板紙を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明に係る多層抄き板紙によれば、板紙を紙製容器に加工した際、収容する食品と接する裏層が吸水・吸油性を有するので、食品から出る油分・水分が裏層に吸収される。従って、食品から出た油分や水分が食品に再付着することを防止することができるので、食品の風味や食感を損なうことがなくなる。
また、板紙を紙製容器に加工した際、容器の外面となる表層も吸水・吸油性を有するので、油分を含む粕(例えばコロッケ等の衣の揚げ粕)等が容器の外面に付着した場合等であっても、表層でこの油分を吸収することができる。従って、板紙の強度(容器の強度)を維持することができる。
また、表層及び裏層が吸水・吸油性を有するので、板紙を貼合や製函などにより紙製容器へ加工する工程で特殊な接着剤を必要とせず、一般的な板紙と同様に加工できる。
また、中間層に少なくとも耐油・耐水性を有する層(12)を有するので、裏層に吸収された油分や水分が表層の表面(容器外面)にまで滲み出して容器の外観が低下し、商品価値が低下することがなくなる。また、容器の強度を維持することができる。
また、表層と耐油・耐水性を有する中間層(12)との間に耐水性を有する中間層(13)を設けることにより、収容する食品から発生した水蒸気が液化せずに裏層及び中間層(12)を透過した場合であっても、耐水性を有する中間層(13)でこの水分を遮蔽することができ、容器の強度を維持するという機能分担ができる。従って、耐油性を有する層を減らすことができるので、多層抄き板紙を低コストで、かつ効率的に得ることができる。
また、表層と耐水性を有する中間層(13)との間に、耐油・耐水性を有する中間層(14)を設けることにより、表層に吸収された油分や水分が、耐水性を有する中間層(13)に滲み出すことを、板紙の厚み方向で遮蔽することができる。従って、耐水性を有する中間層(13)の機能が損なわれることがなくなり、容器の強度を維持することができる。
以下、本発明に係る多層抄き板紙について、裏層、3層の中間層、及び表層の5層の紙層から成る場合を例に、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、本発明に係る多層抄き板紙は、以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
本発明に係る多層抄き板紙(以下、「本板紙」という。)10は、図1に示すように、裏層11、中間層12、中間層13、中間層14、及び表層15の5層の紙層により構成されている。このように構成された本板紙10は、紙製容器(以下、単に「容器」ともいう。)に加工された際に、裏層11の表面が紙製容器の内面(食品と接する面)となり、表層15の表面が紙製容器の外面となる場合を例に説明する。
本板紙10の裏層11は、(a)食品の風味や食感を損なわないように、食品から出る油分や水分を吸収すると共に、食品から出た油分や水分が食品に再付着することを防止する、(b)本板紙10を紙製容器に加工する際の良好な貼合・製函適性を確保する等の役目を担う層である。
上記(a)及び(b)の役目を果たすために、裏層11に吸水・吸油性を付与する。すなわち、裏層11が吸水・吸油性を有することにより、例えばコロッケ,カツ,天ぷら,フライドポテト,シューマイ,餃子,たこ焼き,たい焼き等のような食品から出る油分や水分を吸収し、また食品から出た油分や水分が、食品へ再付着することを防止することができると共に、良好な貼合・製函適性を確保することができる。
裏層11の吸水・吸油性について、吸水性については、JIS−P8140に基づいて測定した吸水度が30〜100g/mであることが好ましく、60〜80g/mであるとより好ましい。また、吸油性については、JIS−P8140に基づく吸水度測定方法によってサラダオイルを吸収させた際の吸油量(以下、本明細書において「吸油度」という。)を、10〜30g/mとすることが好ましく、15〜25g/mとすることがより好ましい。
すなわち、裏層11の吸水度が30g/m未満であると、裏層11の吸水機能が低下し、食品の良好な食感を得ることが難しくなる。また、貼合・製函時の接着剤が裏層11の紙層内に浸透せず、接着性が悪くなるため、特殊な接着剤が必要となると共に、本板紙10を古紙としてリサイクルする際にも溶解性が悪くなる。さらにまた、吸水度を30g/m未満とするために、多量の薬品を添加する必要があり、この結果、操業性が悪化すると共に、製造コストが高くなる。
一方、吸水度が100g/mを超えると吸水性には優れるものの、貼合・製函時の接着剤が裏層11の紙層内に浸透してしまい、接着性が悪くなる。または、多量の接着剤を塗布しなければならないという問題が生じる。
また、裏層11の吸油度が10g/m未満であると、裏層11の吸油性能が低下し、食品の良好な食感を維持することが難しくなる。一方、吸油度が30g/mを超えると、貼合・製函時の接着性が悪くなるほか、裏層11の表面(すなわち紙製容器の内面となり食品と接する面)の強度が弱くなるため、食品が接触すると、裏層11の表面に毛羽立ちや紙剥けなどの損傷が発生する可能性がある。
このような裏層11の原料パルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、または離解・脱墨・漂白古紙パルプ、あるいは、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的にまたは機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。
本板紙10は、ポリエステル樹脂のようなプラスチックフィルムを使用していないので、古紙としてリサイクル可能である。かしながら、上述したように、裏層11は、紙製容器に加工された際に、収容される食品が直接接触する層である。従って、収容する食品によっては、多量の油分が裏層11に吸収されるため、容器が焼却処理されることがある。この場合、裏層11に吸収された油分により燃焼温度が高温となる場合がある。
このため、上述した原料パルプの中でも、化学パルプを用いることが好ましく、さらに化学パルプの中でも特に、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプやTCF(Total Chlorine Free)パルプを用いることがより好ましい。
すなわち、ECFパルプやTCFパルプは、無塩素漂白であるため、焼却時に燃焼温度が高温となっても、ダイオキシン等の塩化物の発生を防止することができる。また、ECFパルプやTCFパルプを用いた場合には、焼却時に塩素を含む他の焼却物と共に焼却処理した場合であっても、排ガス中に含まれる塩化物の量を少なくすることができる。
裏層11の吸水・吸油性は、使用する原料パルプの種類、比率、濾水度、坪量により、一概に決まるものではないが、NKPとLKPを10:90〜50:50の比率で混合した原料を、さらに濾水度が350〜450cc、坪量が40〜80g/mとなるように、サイズ剤等により調整することが好ましい実施形態の一例である。
すなわち、裏層11の上述した吸水・吸油性等をバランスよく、効率的に得るために、NKPとLKPを10:90〜50:50の比率で用いることが好ましく、15:85〜40:60とすることがより好ましい。
NKPの配合量が10%未満であると、裏層11の密度が高くなりやすくなるため、所望とする吸水・吸油性を得ることが難しくなる。一方、NKPの配合量が50%を超えると裏層11の密度が低くなり、食品から出る油分や水分を吸収できる量が少なくなる。
また、一定の吸水・吸油性を得る点、後述する本板紙10の通気性を確保する点などから、裏層11の原料パルプの濾水度は350〜450ccとすることが好ましく、380〜420ccとすることがより好ましい。なお、本明細書における濾水度とは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である(以下、同様)。
裏層11の原料パルプの濾水度が350cc未満であると、原料パルプの繊維長が短くなるため、裏層11の密度が高くなり、所望とする吸水・吸油性を得ることが難しくなると共に、本板紙10の通気性を確保することが難しくなる。一方、裏層11の原料パルプの濾水度が450ccを超えると、繊維長が長くなるため、裏層11の密度が低くなり、食品から出る油分や水分を吸収できる量が少なくなる。
また、所定の吸水・吸油性を得るために、裏層11の坪量を40〜80g/mとすることが好ましく、45〜65g/mとすることがより好ましい。
坪量が40g/m未満であると、食品から出る油分や水分を吸収できる量が少なくなる。一方、坪量が80g/mを超えると、所望とする吸水・吸油性を得ることはできるものの、中間層の坪量を小さくしなければならないため、吸水・吸油後に、本板紙10としての強度を維持することが難しくなる。
また、裏層11には湿潤紙力増強剤を、裏層11の原料パルプに対し、固形分換算で0.05〜0.5質量%含有させることが好ましい。すなわち、裏層11は収容する食品から出る油分や水分を吸収する役目を担う層であるため、一定の油分や水分を吸収するが、油分や水分を吸収した後においても、湿潤時の強度を確保することができるため、裏層11の表面に毛羽立ちや紙剥けなどの損傷が発生することをより防止することができる。
次に、中間層について説明する。本板紙10の中間層は、図1に示すように、中間層12,13,14の3層により構成されている。
中間層12は、裏層11に吸収された油分や水分が、中間層13まで浸透することを防止する役目を担う層であり、この役目を果たすために、耐油・耐水性が付与されている。
すなわち、収容された食品から出た油分や水分が裏層11に吸収されるが、この裏層11に吸収された油分等を本板紙10の厚み方向で遮蔽することができる。従って、後述する中間層13まで油分や水分が染み出すことを防止することができる。
中間層12の耐油・耐水性について、耐油性についてはJAPAN TAPPI No.41に規定されるキット法に基づいて測定したキット数(以下、「耐油度」という。)が8級以上であることが好ましい。また、耐水性については、JIS−P8140に基づく吸水度が5〜40g/mであることが好ましく、10〜35g/mであることがより好ましく、20〜35g/mであることがさらに好ましい。
すなわち、耐油度が8級未満であると、裏層11に吸収された油分が中間層12に浸透し、透過し、中間層13まで浸透してしまい、この結果、容器の強度・剛度を低下させてしまう。また、中間層12の吸水度が5g/m未満であると水分を遮断する機能には優れるが、多量の薬品を添加しても、耐水性の効果はさほど変わらない領域であり、製造コストが高くなるだけである。一方、中間層12の吸水度が40g/mを超えると裏層11に吸収された水分が中間層12に浸透し、透過し、中間層13まで浸透してしまい、この結果、中間層13の役割を効果的に発揮できなくなる。
このような耐水・耐油性を中間層12に付与するために、板紙の抄紙時に、中間層12の原料パルプ中に、サイズ剤と耐油剤とが配合される。
この中間層12の原料パルプとしては、上述した裏層11の原料パルプと同様に公知の種々のものを用いることができるが、裏層11と同様の理由により、化学パルプを用いることが好ましい。さらに、耐油・耐水性を損なわない範囲で、古紙パルプを可能な限り多く配合することが、エネルギー原単位や環境に与える負荷の軽減の点で、またコスト的にも有利であるのでより好ましい。
上述した古紙パルプの中でも特に、脱墨処理した古紙パルプを用いることが好ましい。これにより、裏層11が油分を吸収し半透明化して中間層12が透けても、容器の内面の見栄えが悪くなることを防止することができる。
なお、中間層12の原料パルプの濾水度は、裏層11と同様に350〜450ccとすることが好ましく、380〜420ccとすることがより好ましい。
また、サイズ剤の配合量は、中間層12の原料パルプに対して、固形分換算で0.5〜1.5重量%が好ましい。これは、サイズ剤の配合量が0.5重量%未満であると、中間層12に耐水性を付与する効果が少なく、一方、配合量を1.5重量%より多くしても、中間層12に付与される耐水性の効果は変わらず、製造コストが高くなるだけであるからである。
サイズ剤としては、酸性又は中性のサイズ剤であれば、公知の種々のものを使用することができるが、特に、中性ロジンサイズ剤やAKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤などの中性領域でサイズ発現効果が高いサイズ剤を用い、中間層12の熱水抽出PHを5〜8.5として本板紙10を製造することが好ましい。これは後述する耐油剤の耐油性が中性領域で発現しやすいからである。
また、耐油剤の配合量は、中間層12の原料パルプに対して、固形分換算で0.3〜1.5重量%が好ましく、0.7〜1.5重量%がより好ましい。これは、耐油剤の配合量が0.3重量%未満であると、中間層12に耐油性を付与する効果が少なく、一方、配合量を1.5重量%より多くしても、中間層12に付与される耐油性の効果は変わらず、製造コストが高くなるだけであるからである。
耐油剤としては、アクリル系樹脂やスチレンブタジエン系樹脂、フッ素樹脂を使用したものを用いることができる。これらの中でも特に、フッ素樹脂を使用した耐油剤が好ましく、例えば旭硝子株式会社製のアサヒガードシリーズ(AG950など)、住友化学工業株式会社製のスミレーズレジンFP−110、デュポン社製のゾニールRP、チバスペシャリティケミカルズ社製のローダイン2000等を用いることができる。
なお、耐油剤の定着剤としては、例えばポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、エビクロルヒドリン樹脂、カチオン性尿素、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の公知の種々のものを用いることができる。
そして、この中間層12の坪量は、裏層11に吸収された油分や水分が中間層13に浸透することを防止するため、25〜60g/mとすることが好ましい。坪量が25g/m未満であると所望とする吸水・吸油性を得ることが難しくなる。一方坪量が60g/mを超えても耐水・耐油性の効果は変わらず、サイズ剤や耐油剤を配合した中間層12の坪量を増やすことは、製造コストが高くなるだけであるからである。
次に、中間層13は、本板紙10の強度を維持する役目を担う層であり、この役目を果たすために、耐水性が付与されている。すなわち、収容する食品から出た水蒸気が液化しないで裏層11及び中間層12を透過して、この中間層13に達した場合であっても、本板紙10(紙製容器)の強度が低下することがなくなる。
このような耐水性を中間層13に付与するために、中間層13の原料パルプ中に、サイズ剤が配合され、強サイズが施されるのである。
この中間層13の原料パルプとしては、上述した裏層11の原料パルプと同様に公知の種々のものを用いることができるが、耐水性能を損なわず、本板紙10の強度を維持するという目的を損なわない範囲で、古紙パルプを可能な限り多く配合することが、エネルギー原単位や環境に与える負荷の軽減の点で、またコスト的にも有利であるので好ましい。
サイズ剤の配合量は、中間層13の原料パルプに対して固形分換算で0.3〜1.5重量%が好ましく、0.6〜1.5重量%がより好ましい。これは、サイズ剤の配合量が0.3重量%未満であると、中間層13に耐水性を付与する効果が少なく、一方、配合量を1.5重量%より多くしても、中間層13に付与される耐水性の効果は変わらず、製造コストが高くなるだけであるからである。
なお、サイズ剤としては、中間層12に用いられるサイズ剤と同様に、酸性又は中性のサイズ剤であれば、公知の種々のものを用いることができる。
また、この中間層13の坪量は、本板紙10の層構成や他の各層の坪量によっても変化するが、40〜250g/mとすることが好ましい。しかしながら、本発明の効果を損なわない範囲で、中間層13の坪量をできるだけ大きくすることがコスト的に有利であるので好ましい。
次に、中間層14は、食品を容器に収容する作業時等に容器の外面に(すなわち本板紙10の表層15の表面に)例えばコロッケ、フライドポテトなどの油分や水分を含む粕が付着したり、あるいは油分や、油分を含んだ粕と接触した場合に、その油分や水分は、後述するように表層15に吸収されるが、この表層15に吸収された油分や水分が、中間層15に達することを防止する役目を担う層である。このため、中間層14には、耐油・耐水性が付与されている。
すなわち、この中間層14を設けることにより、容器の外面に付着し、表層15に吸収された油分や水分を本板紙10の厚み方向で遮蔽することができ、中間層13に油分や水分が染み出すことを防止することができる。従って、中間層13役目が阻害されることがなくなり、本板紙10(紙製容器)の強度を維持することができる。
なお、中間層14の耐油度、吸水度、原料パルプ等は、上述した中間層12と同一であるので説明を省略する。
次に、本板紙10の表層15は、(a)食品を容器に収容する作業時等に容器の外面に、例えばコロッケ、フライドポテトなどの油分や水分を含む粕が付着したり、油分等、油分等を含んだ粕が接触した場合に、油分や水分を吸収する、(b)食品容器の外面となる層であるので美麗性、印刷適性などを確保する、(c)本板紙10を紙製容器に加工する際の良好な貼合、製函適性を確保する等の役目を担う層である。
本板紙10の表層15には、上記(a)〜(c)の役目を果たすために、上述した裏層11と同様に、吸水・吸油性が付与されている。
表層15の吸水・吸油性は、上述した裏層11と同様に、吸水性については、JIS−P8140に基づいて測定した吸水度が30〜100g/mであることが好ましく、60〜80g/mであるとより好ましい。また、吸油性については、吸油度を10〜40g/mとすることが好ましい。
すなわち、吸水度が30g/m未満であると表層15の吸水機能が低下してしまう。また、貼合・製函時の接着剤の接着性が悪くなり、特殊な接着剤が必要となると共に、本板紙10を古紙としてリサイクルする際にも溶解性が悪くなる。また、操業性が悪くなると共に、製造コストも高くなる。一方、吸水度が100g/mを超えると吸水性には優れるものの、貼合・製函時の接着剤が裏層11の紙層内に浸透してしまい、接着性が悪くなる。または、多量の接着剤を塗布しなければならないという問題が生じる。
表層15の原料パルプとしては、裏層11と同様に公知の種々のものを用いることができる。しかしながら、上記(b)及び(c)の役目を果たすために、NKPが10〜50質量%含有されていることが好ましい。NKPの含有量が10質量%未満であると、繊維長の長いNKPの含有割合が少なくなるため、製函加工時に罫線割れが発生しやすくなる。一方、NKPの含有量が50質量%を超えると、表層15の地合いが悪化し、平坦性も低くなるため、本板紙の印刷適性が低下してしまい、美麗性が低下してしまうおそれがある。
なお、表層15の原料パルプの濾水度、表層15の坪量等は、上述した裏層11と同様であるので、説明を省略する。
本板紙10は、上述したような裏層11、中間層12,13,14、及び表層15の原料パルプが抄紙機によって順に積層されて製造される。すなわち、本板紙10は、図1に示すように、抄紙機で、裏層11の表面上に中間層12が積層され、中間層12の表面上に中間層13が積層され、中間層13の表面上に中間層14が積層され、中間層14の表面上に表層15が積層されて形成される。勿論、抄紙機の型式によって、この逆の順に積奏されてもよい。
各層別の製造手段、及び各層に付与する機能は上述したとおりであるが、本板紙10としては、収容する食品のクリスピー感を良好に保つために、本板紙10(全層)の透気度を100〜200秒に調整することが好ましく、130〜170秒に調整することがより好ましい。
すなわち、本板紙10の透気度が200秒を超えると、本板紙10の通気性が悪くなり、収容される食品から出る水蒸気等の水分が容器内にこもってしまい、食品のクリスピー感が損なわれてしまう。
なお、本板紙10の透気度は、本発明においては、各層の原料パルプの濾水度を調整することによって調整することが、他の品質とのバランスを取りながら調整することができるので好ましい。また、中間層の原料パルプには、上述したように古紙パルプを多量に配合することもあるが、この場合において、微細繊維を多く含み濾水度の低い低グレードの古紙が多量に配合された場合であっても、本板紙10の透気度が100〜200秒となるように、他の層で調整する。
また、本板紙10は、吸水・吸油性を得るために、裏層11、表層15の各層の坪量は、上述したように40〜80g/mとすることが好ましい。しかしながら、本板紙10は、コロッケ,カツ,天ぷら,フライドポテト,シューマイ,餃子,たこ焼き,たい焼き等の油分と水分とを有する食品などを収容する容器に用いられる板紙であるため、容器としての強度、剛性も必要である。したがって、残る中間層12,13,14で容器としての強度、剛性を確保する必要がある。
従って、本板紙10の坪量は、容器の大きさ及び使用目的によっても変化するが、200〜530g/m2の範囲にあることが好ましく、250〜470g/m2の範囲にあることがより好ましい。なお、本板紙10の坪量が200g/m未満であると、紙製容器としての強度、剛度を確保することが難しくなる。一方、本板紙10の坪量を530g/mより大きくしても、過剰品質となると共に、製造コストが高くなるだけである。
なお、本板紙10の抄紙方法については、特に限定されるものではないので、酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法のいずれであってもよいが、中間層12,14に耐油剤を定着させ、効率的に耐油機能を発揮させるため、熱水抽出PHが5〜8.5となるように中性抄紙で製造することが好ましい。
また、抄紙機も特に限定されるものではないので、例えば長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等の公知の種々の抄紙機を使用することができる。
また、本板紙10の表層15には印刷が施されることが多いので、印刷光沢や表面強度を向上させたり、滑り性を調整するために、必要に応じて、本板紙の表面に水溶性物質を主成分とした塗工液を塗工するなどにより、印刷適性を向上させる種々の手段を適用することが好ましい。
なお、このような水溶性物質としては、例えばポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉、ポリスチレン−ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル系等のラテックス、ワックスエマルジョン等、この分野で通常用いられる公知の種々の材料を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
例えば、ポリビニルアルコールを表層15の表面に0.5〜3.5g/m塗工することで良好な印刷適性を得ることができる。0.7〜2g/m塗工することがより好適である。
更に、塗工装置を用いて表層に顔料とバインダーを主成分とする塗工液を塗工すれば一層綺麗な印刷が可能となる。
また、本板紙10の表面に平滑化処理を施しても良い。この平滑化処理は、例えば加
圧可能なロール間で本板紙10を加圧処理することにより実施することが好ましい。平滑
化処理を施す際に、本板紙10の表層15の表面に接するロールは平滑な表面を有し、加熱可能な金属製ロールであることが好ましい。
なお、本板紙10における平滑化処理は、上記の平滑化処理の他、本板紙10を抄紙する過程で、例えば一対の金属ロールを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(マシンカレンダーによるカレンダー処理)、金属製ロールと樹脂製ロールとを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(ソフトカレンダーによるカレンダー処理)、ヤンキードライヤーによる乾燥処理等により実施することもできる。
また、本板紙10には、上述した耐油剤や定着剤、サイズ剤の他に、澱粉、填料、消泡剤、紙力増強剤、防滑剤、PH調整剤等が含有されていてもよい。
以上、本板紙10について、紙層が裏層11、中間層12,13,14及び表層15の5層から成る場合について説明したが、本発明はこのような板紙に限らず、例えば図2に示すような4層の紙層から成る板紙、図3に示すような3層の紙層から成る板紙、さらには中間層の層数を増やして6層、7層・・・の紙層から成る板紙であっても、本発明の所望とする効果を得ることができる。
すなわち、図2に示す板紙10′は、裏層11、2層の中間層12,13、及び表層15の4層の紙層から構成されている。このように耐油・耐水性を有する中間層14を設けなくても、本発明の所望とする効果が付与された板紙10′を得ることができる。
また、図3に示す板紙10′′は、裏層11、1層の中間層12、及び表層15の3層の紙層から構成されている。このように耐水性を有する中間層13、及び耐油・耐水性を有する中間層14を設けなくても、本発明の所望とする効果が付与された板紙10′′を得ることができる。
本発明に係る多層抄き板紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の重量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例にすぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本発明に係る21種類の板紙(これを「実施例1」ないし「実施例21」とする)と、これらの実施例1ないし実施例21と比較検討するために、4種類の板紙(これを「比較例1」ないし「比較例4」とする)を、表1に示すような構成で作製した。
Figure 0004253331
[実施例1]
<1>裏層
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%とを配合した後に、離解フリーネスを400ccに調整した裏層用の原料パルプに、硫酸バンド0.5%、サイズ剤(星光PMC株式会社製AKDサイズ剤)を固形分換算で0.1%、乾燥紙力増強剤(星光PMC株式会社製 両性ポリアクリルアマイド)を固形分換算で0.1%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.1%添加して裏層用の原料スラリーを調整した。
<2>中間層(1)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%とを配合した後に、離解フリーネスを400ccに調整した中間層(1)用の原料パルプに、硫酸バンド0.7%、サイズ剤(星光PMC株式会社製AKDサイズ剤)を固形分換算で0.5%、乾燥紙力増強剤(星光PMC株式会社製 両性ポリアクリルアマイド)を固形分換算で0.7%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.3%、耐油剤0.8%(チバスペシャリティケミカルズ社製のローダイン2000)、耐油剤の定着剤0.06%(クラリアントジャパン社製 Arkofix)を添加して中間層(1)用の原料スラリーを調整した。

<3>中間層(2)
上質系古紙パルプを、離解フリーネスを380ccに調整し、硫酸バンド1%、サイズ剤(星光PMC株式会社製AKDサイズ剤)を固形分換算で0.5%、乾燥紙力増強剤(星光PMC株式会社製 両性ポリアクリルアマイド)を固形分換算で0.7%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.6%添加して中間層(1)用の原料スラリーを調整した。
<4>中間層(3)
中間層(1)に使用した原料スラリーと同一のものを使用した。
<5>表層
裏層に使用した原料スラリーと同一のものを使用した。
これらの原料スラリーを用い、円網5層抄紙機にて裏層、中間層(1)、中間層(2)、中間層(3)及び表層の紙層を抄き合わせて、裏層の付け量を55g/m、中間層(1)の付け量を50g/m、中間層(2)の付け量を100g/m、中間層(3)の付け量を50g/m、表層の付け量を55g/m、多層抄き板紙全体の坪量が310g/mである5層抄きの多層抄き板紙(実施例1)を得た。
[実施例3〜6]裏層の付け量を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
[実施例9〜12]裏層の濾水度を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
[実施例15〜18]裏層の吸水度、吸油度を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
[実施例20]層構成を表1に示すように変更したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
[実施例21]層構成を表1に示すように変更したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
[比較例1]一般板紙にラミネート加工した多層抄き板紙。
[比較例2〜4]層構成を表1に示すように変更したことを除くその他の点は実施例1と同様にして得た多層抄き板紙。
[比較例5]市販されている一般的な多層抄き板紙。
なお、表1中の「付け量(g/m)」とは、上記各試料の層剥離を行い、裏層の米坪をJIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
また、「濾水度」とは、各試料を約3cmの大きさに裁断して約25gの重さの試験片とし、この試験片を1リットルの水に24時間浸漬した後、JIS−P8220に準拠して標準離解機で15分間離解処理し、試験片が完全に離解していることを目視で確認した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である。
「吸水度」とは、JIS−P8140の紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法に準拠して測定した値である。
また「吸油度」とは、JIS−P8140の紙及び板紙−吸水度試験方法−コッブ法に準拠して、水に変えて市販のサラダオイルを用いて油分の保持量を測定した値である。なお、測定時、サラダオイルは油吸い取り紙で低密度部に油の付着がなくなるまで軽く抑える様に拭き取った。
「中間層の耐油度」とは、TAPPI実用試験法UM557(1988)に準拠したキット試験により測定したKit値である。
なお、中間層の品質は以下の手順で層剥離を行い、試験に使用した。まず、各試料から得た各サンプルを室温の水に約1時間浸漬する。水に浸漬した各サンプルを、角を起点として10mmΦ程度の丸棒に巻き付けた後、丸棒を転がして各サンプルをしごく。この操作を各サンプルの四隅の全ての角を起点に繰り返し、各方向からサンプルにしごきの力を加える。これにより、各サンプルの層間の一部が剥離してくるので、これを利用して、裏層、中間層(1)、中間層(2)、中間層(3)及び表層に分離して層剥離を行う。層剥離を行った後、各サンプルの各層を熱風乾燥機などで十分に乾燥し、試験に使用した。
また、全実施例及び比較例についての品質評価、すなわち全層の坪量、透気度、貼合・製函適性、クリスピー感、リサイクル性、使用時の容器強度・剛性、抄紙時の操業性、容器外面側の表層の美観について評価試験を行った結果は、表2に示すとおりであった。
なお、表2中の「全層の坪量(g/m)」とは、JIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
透気度とは、JIS―P8117の紙及び板紙−透気度試験方法−ガーレー試験機法に準拠して測定した値である。
「貼合・製函適性」とは、中芯との接着性、シ゛ョイント部の接着性を評価したもので、その評価基準は○印の「一般の板紙と同様の接着剤で一般板紙と同等の接着力となるもの」、△印の「一般の板紙と同様の接着剤で問題なく接着するが、接着力がやや劣るもの」、×印の「特殊な接着剤を使用する必要のあるもの」の3段階とした。
「クリスピー感」とは、揚げたてのコロッケを各試料で形成した紙製容器に入れて蓋をし、60分後のコロッケのサクッとした食感について、成人男性10名、成人女性10名がコロッケを食して評価を行ったものである。その評価基準は、○印の「サクッとした食感があり、クリスピー感が良好である」、△印の「サクッとした食感が少し減少する」、×印の「コロッケが容器内面に付着した油分や水分を再吸着してしまい、サクッとした食感がなくなり、ベタベタした食感となり、クリスピー感が悪い」の3段階とした。
「リサイクル性」とは、各試料を約3cmの大きさに裁断して約25gの重さの試験片とし、この試験片を1リットルの水で、JIS−P8220に準拠して標準離解機で20分間離解処理し、試験片の離解状態を観察し、評価したものである。その評価基準は、○印の「古紙パルプの原料として問題なく使用できる」、△印の「一般古紙と比較し歩留りが低下するが古紙原料として使用できる」、×印の「古紙原料として適さない」の3段階とした。
「使用時の容器の強度・剛性」とは、揚げたてのコロッケを各試料で形成した紙製容器に入れて蓋をし、60分後の容器の状態を、成人男性10名、成人女性10名がコロッケの収容前の容器と比較した場合の容器の状態について官能評価したものである。その評価基準は、○印の「吸油や吸水による影響を感じず、容器として問題ない」、△印の「吸油や吸水による影響を多少感じるが、容器として問題ない」、×印の「吸油や吸水により容器のしっかり感がなくなり、コロッケ持ち帰り用の容器として不安を感じる」の3段階とした。
「抄紙操業性」とは、抄紙作業適性を評価したもので、その評価基準は○印の「操業性が非常に良い」、△印の「操業性が良い」、×印の「操業性が悪い」の3段階とした。
「容器外面側の美観」とは、揚げたてのコロッケを各試料により形成した容器に入れて蓋をし、60分後に容器外観(すなわち、各試料の表層)を観察して評価したものである。その評価基準は、○印の「油染み、吸水・吸油による容器表面のぼこつきもなく、大変良好な外観を保っている」、△印の「油染み、吸水・吸油による容器表面のぼこつきが多少発生しているが、良好な外観を保っている」、×印の「油染みが発生した、または吸水・吸油により容器表面にぼこつきが発生し、外観が悪い」の3段階とした。
Figure 0004253331
表2に示すように、本発明に係る多層抄き板紙、すなわち実施例1〜実施例21に係る板紙であると品質評価に優れる、すなわち板紙の貼合適性、クリスピー感、リサイクル性、容器の強度・剛性、抄紙操業性、容器外面側の美観等の品質をバランスよく得ることができることが分かる。
本発明に係る多層抄き板紙の概略断面図である。 本発明の変更例に係る多層抄き板紙の概略断面図である。 本発明の他の変更例に係る多層抄き板紙の概略断面図である。
符号の説明
10,10′,10′′ 本発明に係る多層抄き板紙
11 裏層
12 耐油・耐水性を有する中間層
13 耐水性を有する中間層
14 耐油・耐水性を有する中間層
15 表層

Claims (4)

  1. 少なくとも表層、裏層、及び前記表層と前記裏層との間に配置される1層又は複数層から成る中間層を有する多層抄き板紙であって、
    前記表層及び前記裏層は吸水・吸油性を有し、
    該表層及び該裏層の吸水度が30〜100g/m であり、
    前記裏層の原料パルプとして、NKPとLKPとが10:90〜50:50の比率で混合されたものを用い、また、前記裏層の原料パルプは、濾水度が350〜450ccに調整され
    また、前記裏層の坪量を40〜80g/m とし、
    前記中間層は少なくとも耐油・耐水性を有する層(12)を有し、
    該耐油・耐水性を有する層(12)は、原料パルプに対して、耐油剤が固形分換算で0.3〜1.5重量%配合されており、
    前記耐油・耐水性を有する層(12)は、キット数が8級以上、吸水度が5〜40g/m であり、
    さらにまた、前記多層抄き板紙全体の透気度が100〜200秒であることを特徴とする多層抄き板紙。
  2. 耐水性を有する中間層(13)が、前記表層と前記耐油・耐水性を有する層(12)との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多層抄き板紙。
  3. 耐油・耐水性を有する中間層(14)が、前記表層と前記耐水性を有する中間層(13)との間に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の多層抄き板紙。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載された多層抄き板紙から形成されることを特徴とする紙製容器。
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