JP4313354B2 - 段ボール外装用ライナ - Google Patents
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Description
そこで、本発明の主たる課題は、表面の白紙外観、印刷画像の鮮明性、ならびに表面強度のいずれにも優れる外装用ライナを提供することにある。
<請求項1記載の発明>
紙層が3層以上で構成された段ボール外装用ライナにおいて、
表層の坪量が20〜45g/m 2 であり、
JIS Z 8722に準拠して測定した前記表層表面の明度(L)が60〜73であり、かつ表層の灰分含有量が3重量%以上、9重量%未満であり、
前記表層を構成するパルプは、重量平均繊維長が1.28mm以上、かつ0.6mm以下の繊維の数の割合が30%以下であり、
前記表層には、針葉樹クラフトパルプが50〜80重量%含有されている、
ことを特徴とする段ボール外装用ライナ。
表層表面の明度が低いと白紙外観及び印刷画像の鮮明性に劣ることになる。一方、白ライナのように明度が高ければ、白紙外観及び印刷鮮明性は向上する。しかし、明度のみを考慮して白紙外観等を向上させようとすると、明度を高くするために、パルプの漂白を強くする或いは漂白パルプの使用量を増加する必要があり、表面強度が低下せざるを得ない。
本発明の外装用ライナは、表層、中層及び裏層を有する3層構造の他、表層、表下層、中層及び裏層を有する4層構造であっても良く、あるいは5層以上の層構造であっても良い。
本発明の外装用ライナの表層は、JIS Z 8722に準拠して測定した表層表面の明度(L)が60〜73とされる。この具体的手法としては、外装用ライナとした場合の表層表面のL値が60〜73となるように、表層の原料パルプを一種または二種以上選択する方法、表層に染料を内添する方法等、およびこれらを組合せる方法を挙げることができる。特に、表層の原料パルプとして複数種のパルプを混合する方法と、表層の原料パルプに染料を内添する方法とを組み合わせることにより、表層の明度を調整する方法が好ましい。また、パルプを選択する場合には、古紙パルプを可能な限り配合することが、エネルギー原単位や環境に与える負荷の軽減から好ましい。
他方、本発明の外装用ライナの表層以外の層は、特に限定されるものではなく、公知の構成とすることができる。ただし、本発明の外装用ライナの表層は明度(L)を60〜73とし、特定の灰分量に調整する必要があるため、表層以外の層(表下層、中層、裏層)では、破裂強度や圧縮強度などの高い原料パルプを使用し、主として外装用ライナを段ボール箱にした時に要求される強度機能をもたせるというように、機能を分化させた方がよい。
表層用パルプとして、明度がL=66.2であるNUKPと新聞古紙からなるDIP(NDIP)、雑誌古紙からなるDIP(MDIP)、上白古紙からなる古紙パルプ、段ボール古紙からなる古紙パルプを用い、表1に示すように混合したパルプスラリーを調製し、このパルプスラリーにパルプ風乾あたり硫酸バンドを1.5%、サイズ剤(中性ロジンエマルジョンサイズ剤)を0.06%添加、紙力増強剤(ポリアクリルアマイド)を0.1%添加した。
なお、繊維長の調整は、各使用パルプのフリーネスを目安として叩解処理して行った。
また、表下層、中層、裏層用パルプとして、段ボール古紙パルプ/雑誌古紙パルプ=80/20に混合したものを使用しパルプスラリーを調製し、このパルプスラリーにパルプ風乾あたり硫酸バンドを1.5%、紙力増強剤(ポリアクリルアマイド)を0.2%添加し、表層、表下層、中層、裏層をそれぞれ抄紙し、抄合せ、プレス、乾燥、マシンカレンダー処理をして、米坪220g/m2の4層ライナサンプルを得た。このときの各層の坪量は表層が30g/m2、表下層が60g/m2、中層が60g/m2、裏層が70g/m2であった。
得られたライナサンプルについて下記評価方法により評価を行った。結果を表1に示した。
表1中の白紙外観は、ライナサンプルの見栄え(表下層が透けて見栄え悪くなっていないか、表層の地合いが良好であるか)を、目視評価により、◎印の「大変良好である」、○印の「良好である」、△印の「悪い」、×印の「非常に悪い」の4段階で評価したものである。評価は50人で行い、最も人数の多かった評価を、その外装用ライナの評価値とした。
ライナサンプル表層の表面強さをJIS P8129のワックスピック試験法に準拠して測定し、下記の基準で評価した。
評価基準
◎:18A以上
○:14A以上18A未満
△:10A以上14A未満
×:10A未満
JIS P 8124に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
ライナサンプルの表層は以下の手順で採取した。
外装用ライナ試験サンプルを室温で水に約1時間浸漬し、角を起点として該サンプルを10mmφ程度の丸棒に巻付けて、丸棒を転がしてサンプルをしごく。この操作をサンプルの四隅の角全てを起点に繰返し、各方向からサンプルにしごきの力を加える。これにより、サンプルの層間が一部剥離してくるので、これを利用して表層を剥がす。表層を剥がしたサンプルは、熱風乾燥機などで乾燥し、灰分測定用の試料とする。繊維長測定用試料も同様に採取するが、これは特に乾燥機で乾燥させる必要はない。
サンプルの表層を採取し、JIS P 8251に記載の「紙、板紙及びパルプ灰分試験方法−」に準拠して、525℃、30分間燃焼させて灰化し、灰分量を求めた。
約10cm2に裁断した試験片約25gを1リットルの水中に24時間浸漬した後、TAPPI標準離解機で、15分間離解処理し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.52 繊維長試験方法に基づいて測定した。
表層中の繊維比率は、JIS P 8120に記載の「紙、板紙及びパルプ繊維組成試験方法」に準拠して測定した。
ライナサンプルの表層面及び裏層面に、熊谷理機工業株式会社製KRK万能印刷適性試験機を用いて紅、藍、墨の3色をベタ印刷した。得られた板紙の印刷画像の鮮明性及び印刷適性を下記の基準で白紙外観の評価と同様に50人で目視により印刷画像の鮮明性(白紙部と対比してくっきりと見えるか、色合いが変わって見えないか)を評価した。
印刷画像の鮮明性の評価基準
◎:大変良好である
○:良好である
△:悪い
×:非常に悪い
印刷適性の評価基準
◎:インク着肉むらが全くない
○:インク着肉むらがあるが、使用上問題ない程度である
△:インク着肉むらと白抜けが目立つ
×:インク着肉むらと白抜けが多く目立つ
1.試料調整
(1)1枚の全幅試料から、抄紙機幅方向に対して両端側と中央側の3箇所からサンプルを採取した。
(2)それぞれのサンプルを、抄紙機幅方向10cm、抄紙機流れ方向に25cmの大きさに裁断して短冊状の試験片を得た。
2.試験機
図1に示す構成の試験機1を用いた。試験機1は、天板3及び底板5を、両者の側縁11において蝶番(図示せず)で開閉可能に連結してなるものである。天板3の上面には、天板の開閉動作を容易にするために取っ手7が設けられている。底板5の長手方向一方の端縁13には、分度器9が取り付けられており、天板3の下面と底板5の上面とのなす角度を目視で測定できるようになっている。
試験機の材質、天板や底板のサイズ等は以下の通りである。
材質:ステンレス製
天板:横25cm、奥行き15cm、厚み1cm
天板重量3.0〜3.5kg (取っ手を含む)
底板:横25cm、奥行き15cm、厚み2cm
3.試験操作
(1)あらかじめ試験機1の天板3を開いた状態とし、底板5にクラフトテープが付着している場合は、エタノールを浸した脱脂綿等で除去した。巾5cmのクラフトテープを長さ20cm程度に切って準備した。
(2)試験片を160℃の熱風乾燥機に10秒間入れ乾燥させた。
(3)試験片を熱風乾燥機から取り出した直後、試験片20の両短辺が天板3及び底板5の側縁11に対し直交するように、かつ表層側が下となるように試験片20を載置した。
(4)試験機1の側縁11から手前方向に1cm離して、側縁11と平行にクラフトテープを張り付け、試験片を底板5上に固定した。
(5)天板3を横の分度器9を見ながら底板5に対して60度まで傾け、そこから手を離し天板3を底板5上に落下させた。
(6)すぐに天板3を開いて試験片20を剥がし、その折れ目に生じた割れの長さと数を測定し、割れの状態を下記の評価基準に従って判定した。
◎:3mm未満の割れが1〜2個ある。
○:3mm以上5mm未満の割れが1〜2個ある。
△:3mm以上5mm未満の割れが3〜4個ある。
×:5mm以上の割れが多くある。
表層中の原料配合等を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様に操作を行い、ライナサンプルを得た。得られたサンプルについて実施例1と同様に評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
表1に示されるように、本発明に係る外装用ライナは、白紙外観、印刷画像の鮮明性と表面強度に優れており、且つ、エネルギー原単位が低く、環境に与える負荷の小さいものであることが判明した。
Claims (1)
- 紙層が3層以上で構成された段ボール外装用ライナにおいて、
表層の坪量が20〜45g/m 2 であり、
JIS Z 8722に準拠して測定した前記表層表面の明度(L)が60〜73であり、かつ表層の灰分含有量が3重量%以上、9重量%未満であり、
前記表層を構成するパルプは、重量平均繊維長が1.28mm以上、かつ0.6mm以下の繊維の数の割合が30%以下であり、
前記表層には、針葉樹クラフトパルプが50〜80重量%含有されている、
ことを特徴とする段ボール外装用ライナ。
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