JP4302124B2 - 多層抄き板紙及び紙製容器 - Google Patents

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Description

本発明は、多層抄き板紙に関し、特にコロッケ,カツ,天ぷら,フライドポテト,シューマイ,餃子,たこ焼き,たい焼き等の油分と水分を有する食品などを収容する紙製容器に用いられる多層抄き板紙、及びこの多層抄き板紙により製函される紙製容器に関するものである。
従来、コロッケやたい焼き等の油分と水分を有する食品などを収容する紙製容器としては、プラスチック製のトレーの他に、例えばプラスチック又は高級白板紙からなるケースの内側にプラスチックトレーを収納したもの、内側にポリエチレン等の樹脂をラミネートした白板紙からなるケース等が用いられていたが、いずれもその使用後はプラスチックゴミと同様に廃棄されていた。
内側にポリエチレン等の樹脂をラミネートした白板紙からなる紙製容器は、その紙製容器の内面を構成する材料が食品から発生する油分や水分を透過及び吸収しないので、食品から染み出た油分や水分が外面に使われている板紙にまで浸透しないという利点を有するが、反面、ラミネート面に付着した油分、水分が再び食品に付着してしまい、食品の風味や食感を損ねてしまう。これは、容器の内面と内部に収容された食品との接触面積が大きいほど、食品への油分や水分の再付着が多くなり、食品の風味や食感を著しく低下してしまうという欠点がある。
また、最近は環境保護の観点から、リサイクル可能な耐油性を有する食品用の包装資材、すなわち食品用耐油紙が求められている。このような耐油紙としては、食品と接する側に耐油層を設けた片面耐油紙、あるいは表面と裏面の両面に耐油層を設けた両面耐油紙などがある。この内、両面耐油紙は耐油性能に優れるものの、耐油層を2層設ける必要があることから、コスト的にも高く、一部用途への使用に限られ、一般的には片面耐油紙が使用されている。これらの耐油紙を容器に加工して使用する場合には、耐油性の他、紙製容器としての強度や剛性などが必要であるため、坪量の高い多層抄きの板紙が用いられている。これらの多層抄き板紙は、収容する食品から出る油分が容器に浸透しないように食品と接する側が耐油層として構成され、中間層には環境保護やコスト面から古紙パルプが多用されている。
しかしながら、食品を紙製容器に収容する作業時に容器外側からコロッケ、フライドポテトなどの油分を含む粕が付着し、または粕と接触した場合には、容器外側には耐油機能が付されていないため、油分が包装材に浸透し、多層抄き板紙の表層が半透明化し、中間層の古紙が浮き出して紙製容器の見映えを大きく悪化させてしまうという問題が生じているのが実情である。また、耐油機能が付された多層抄き板紙は、ラミネート等の樹脂加工された包装材に比べると、通気性がよく、収容する食品の食感を損ない難いものの、やはり、油分、水分、そして熱を保有する食品を収容した場合には、容器内の水分が高くなり、この水分が食品に再付着し、食品の食感を低下させるという問題がある。
このような問題点に鑑み、例えば、特許文献1には、高級白板紙の外層に耐水性を持たせて紙製容器やトレーやカップの強度を維持し、内層を吸湿性吸水性として内部で発生する水蒸気を吸着、吸水し且つ該内層を耐油性、離型性として油物に対する汚損の回避及び調理品の剥離を良くした食品用板紙が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の板紙においても、食品と接する内層が吸湿・耐油性で、中間層が吸水性、外層が耐水・撥水性であることから、外層に油分が付着した場合には、油染みにより容器外観の見映えが悪化する。また、内層が吸湿性を有するものの、板紙自体の通気性は従来公知の板紙と同様であるため、熱を持った食品、水分を比較的多く含む食品を収容した場合には、容器内の水分が食品に再付着し、食品の風味や食感を損ねてしまうという問題がある。
特開平1−207498号公報
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、前述したような従来技術の欠点を解消し、耐油性を有する多層抄き板紙において、多層抄き板紙の反耐油層面に油分が付着し、油染みが発生した場合においても、容器外観の見映えを悪化させることがなく、また、多層抄き板紙の通気性を向上させ、容器内に収容する食品のサクサクとした食感(以下、これを「クリスピーな食感」という)を良好に保つことができるようにした多層抄き板紙及びこの多層抄き板紙を用いて製函された紙製容器を提供することである。
本発明の上記目的は、少なくとも表層、裏層、及び前記表層と前記裏層の間に配置される中間層からなり、油分と水分を有する食品を収容するための坪量が200〜530g/mの多層抄き板紙であって、前記中間層に少なくとも10%の機械パルプを含有させることにより当該中間層の剛性及び通気性を向上させ、当該中間層の色調における明度(L値)を70〜85、色相(a値)を−3〜3、色相(b値)を10〜16とすることにより当該板紙の外観の見映えを良化させ、かつ、前記表層、裏層、中間層の濾水度を350〜450ccとすると共に当該板紙の透気度を10〜150秒に調整することにより前記食品のクリスピーな食感を得るようにしたことを特徴とする多層抄き板紙を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記中間層には熱発泡性粒子が少なくとも0.7%、前記裏層の原料パルプには湿潤紙力増強剤が固形分換算で0.05〜0.5重量%含有されていることを特徴とする多層抄き板紙を提供することによって、より効果的に達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、前記いずれかに記載の多層抄き板紙によって製函されてなる紙製容器を提供することによって達成される。
本発明に係る多層抄き板紙によれば、中間層の色調における明度(L値)を70〜85とし、さらには機械パルプを少なくとも10%含有させたので、多層抄き板紙に油分が付着し、油染みが発生した場合においても、容器外観の見映えを悪化させることがない。また、中間層に機械パルプを一定量配合したので、多層抄き板紙の通気性を向上させ、紙製容器内に収容する内容物を良好に保つことができる。もちろん、プラスチックフィルムなどとの貼り合せや樹脂加工を行っていないので、再生紙用の原料としてリサイクルが可能である。
また、中間層の色調における明度(L値)を70〜80、色相(a値)を−3〜3、色相(b値)を10〜16とすることで、中間層に古紙パルプを配合した多層抄き板紙に油分が付着し、油が浸透した場合においても、容器外観の見映えを悪化させることがなく、課題とする多層抄き板紙を効率的に得ることができる。
また、中間層に熱発泡性粒子を少なくとも0.7%含有させ、透気度を10〜150秒とすることで、多層抄き板紙の通気性を良好にすることができ、紙製容器内に収容する食品のクリスピーな食感を良好に保持できる多層抄き板紙を効率的に得ることができる。
よって、上記の多層抄き板紙を用いて容器を製函すると、上述したとおりの特徴を有する紙製容器を実現することができる。
以下、本発明に係る多層抄き板紙について、裏層、中間層及び表層の3層の紙層から成る場合を例に、詳細に説明する。なお、本発明に係る多層抄き板紙は、以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
本発明に係る多層抄き板紙(以下、「本板紙」という)10は、図1に断面図で示すように、裏層11、中間層12及び表層13の3層の紙層により構成されている。以下では、本板紙10を用いて図2に斜視図で示すような食品を収容する紙製容器20を製函した場合を例に説明する。なお、図2は容器本体のみを示し、蓋体は取り外してある。
この紙製容器20は、本板紙10の表層13の表面が紙製容器20の外面21に、本板紙10の裏層11の表面が紙製容器20の内面22すなわち食品と接する面になるようにして製函したものである。
本板紙10における裏層11は、前述したコロッケ,カツ,天ぷら,フライドポテト,シューマイ,餃子,たこ焼き,たい焼き等のような食品から出る油分が本板紙10を通して染み出さないように耐油性を有する役目を担う層である。また、収容する食品から出る水分によって、本板紙10からなる紙製容器20に吸湿による膨れやぼこつきが生じないように適切な耐水性を有する役目を担う層である。
ここに、裏層11の耐油度(TAPPI RC−33)としてはKit.No.7〜No.13であることが好ましい。裏層11の耐油度が7未満であると、裏層11の耐油機能が低下し、耐油紙としての機能が不足する。一方、裏層11の耐油度が13を超えると、貼合・製函時の接着剤が紙層内に浸透せず、接着性が悪くなるほか、多量の薬品を添加する必要があり、操業性の悪化、コスト高を招くことになる。
裏層11の耐水性としては吸水度(JIS8140)を5g/m2〜40g/mとすることが好ましく、10〜35g/m、20〜35g/mとすることがより好ましい。裏層11の吸水度を5g/m未満とするためには多量の薬品を添加する必要があり、操業性の悪化、コスト高を招くことともなる。また、貼合・製函時の接着性も悪くなるし、古紙としてリサイクルする際にも溶解性が悪くなる。一方、裏層11の吸水度が40g/mを超えると、耐水機能が低下し、吸湿による容器の膨れやぼこつきなどが発生し、容器外観の見映えを大きく損なう。
本板紙10における裏層11は以下により得ることができる。
耐油性を裏層11に付与するために、裏層11には板紙の抄紙時にサイズ剤と耐油剤とが配合される。サイズ剤の配合量は、裏層11のパルプに対して固形分換算で0.5重量%〜1.5重量%が適当である。これは、配合量が1.5重量%を超えてももはやサイズ効果は変わらずコストの上昇を招くだけであり、他方配合量が0.5重量%未満では耐水性付与効果が少ないからである。このサイズ剤としては通常抄紙に使われている酸性又は中性のサイズ剤の使用が可能であるが、特には、中性ロジンサイズ剤やAKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤などの中性領域でサイズ発現効果が高いサイズ剤を用い、裏層11の熱水抽出PHを5〜8.5として製造することが好ましい。これは後述する耐油剤の耐油機能が中性領域で発現しやすいからである。
また、耐油剤の配合量は、裏層11のパルプに対して固形分換算で0.3重量%〜1.5重量%が好適であり、0.7重量%〜1.5重量%がより好ましい。これは、配合量が1.5重量%を超えてももはや耐油効果は変わらずコストの上昇を招くだけであり、他方
配合量が0.3重量%未満では耐油性付与効果が少ないからである。
耐油剤には、アクリル系樹脂やスチレンブタジエン系樹脂、フッ素樹脂を使用したものが用いられる。耐油剤は、裏層11の耐油度がJAPAN TAPPI No.41に規定されるキット法で7級以上となるように、裏層11に含有されている。裏層11では、耐油度が7級未満の場合、食品から染み出た油分が中間層12、表層13に浸透し、紙製容器20の外観に油染みとなって現れ、紙製容器20の見映えを損なう。また、中間層12、表層13に油分が浸透するため、紙製容器20自体の強度、剛性を損なうこととなる。
このため、油分を含む食品を収容する容器に用いられる板紙の耐油層としては機能が不足している。
耐油剤としては、特にフッ素樹脂を使用した耐油剤が好ましく、例えば旭硝子株式会社製のアサヒガードシリーズ(AG950など)、住友化学工業株式会社製のスミレーズレジンFP−110、デュポン社製のゾニールRP、チバスペシャリティケミカルズ社製のローダイン2000等がある。
また、耐油剤の定着剤には、一般に用いられる例えばポリアミド樹脂、ポリアミン樹脂、エビクロルヒドリン樹脂、カチオン性尿素、カチオン性ポリアクリルアミド樹脂、ポリエ
チレンイミン樹脂等が用いられる。
また、裏層11には湿潤紙力増強剤を裏層11の原料パルプに対し、固形分換算で0.05〜0.5重量%含有させることが好ましい。これは、裏層11は収容する食品から出る油分、水分を吸収する機能を有し、一定の油分、水分を吸収するが、油分、水分を吸収した場合においても、食品との擦れなどにより裏層11の表面に毛羽立ちや紙剥けなどの損傷が発生することのないように、湿潤時の強度を確保するものである。
本板紙10の裏層11の原料パルプとしては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、または離解・脱墨・漂白古紙パルプ、あるいは、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的にまたは機械的に製造されたパルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。
しかしながら、特に裏層11は食品が触れる部分であるから、使用するパルプは化学パルプであることが好ましく、ECF(Elemental Chlorine Free)パルプやTCF(Total Chlorine Free)パルプであることがより好ましい。
本板紙10は古紙としてリサイクル可能であるが、収容する食品によっては多量の油分が紙製容器20に付着するため、紙製容器20を処分する際に焼却処理されることもあり、紙製容器20を焼却処分した場合には、食品から浸出した油分により燃焼温度が高温となる場合がある。
ECFパルプやTCFパルプは、無塩素漂白であるため、焼却時に燃焼温度が高温となっても、ダイオキシン等の塩化物の発生を防止することができる。また、ECFやTCFパルプを用いた場合には、焼却時に塩素を含む他の焼却物と共に焼却処理した際、排ガス中に含まれる塩化物の量を少なくすることができる。
また、紙製容器20の内面となる本板紙10の裏層11の各種品質特性等をバランスよく、効率的に達成するためには、NKPとLKPを10〜50:90〜50:50の比率で用いることが好ましく、15:85〜40:60とすることがより好ましい。NKPが10%未満であると、裏層11の密度が高くなりやすく、適切な吸水性、吸油性を得ることが難しくなる。また、NKPが50%を超えると裏層11に一定の吸水量、吸油量を保有することが難しくなる。
また、裏層11の濾水度は、一定の吸水・吸油性能を保有させる点、後述する本発明にかかる板紙の通気性を確保する点などから、裏層11の原料パルプの濾水度は350〜450ccとすることが好ましく、380〜420ccとすることがより好ましい。すなわち、裏層11の原料パルプの濾水度が350cc未満であると、原料パルプの繊維長が短くなるため、裏層11の密度が高くなり、吸水・吸油機能が不十分となる。また、後述する本発明にかかる板紙の通気性を確保することが難しくなる。また、裏層11の原料パルプの濾水度が450ccを超えると、繊維長が長くなるため、裏層11の密度が低くなり、食品から出る油分、水分を吸収できる量が少なく、吸水・吸油機能が不十分となる。
なお、本発明における濾水度とは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である(以下、同様)。
また、前述の耐水・耐油機能を得るには裏層11の坪量を40g/m2〜80g/mとすることが好ましく、45g/m2〜65g/mとすることがより好ましい。坪量が40g/m未満であると、食品から出る油分、水分を裏層11で遮蔽する耐水耐油機能が不十分となる。坪量が80g/mを超えると、耐水耐油機能には優れるものの、後述する中間層12の坪量が小さくなり、本板紙10としての強度を確保することが難しくなる。また、コスト高になる。
本板紙10における中間層12は、食品から出る水分が裏層11を通して透過したとしても、紙製容器20としての強度、剛性を損なわない耐水性を有する役目を担う層であると共に、特に本板紙10では、表層13すなわち反耐油層面に油分が付着し、油分が本板紙10に浸透した場合においても、容器外観の見映えを悪化させることのない役目を担う層であり、また、本板紙10の通気性を向上させ、紙製容器20内に収容する食品のクリスピーな食感を損なわず良好に保つ役割を担う層でもある。
中間層12の耐水性としては吸水度(JISP8140)を5g/m2〜40g/mとすることが好ましく、10〜35g/m、20〜35g/mとすることがより好ましい。
裏層11は食品と接し、食品から出る油分をこの裏層11で遮蔽するが、中間層12は収容する食品から発生した水蒸気が液化しないで、この中間層12に達した場合であっても、強度が低下しないように強サイズを施して耐水性を付与されたものを使用することが好ましい。
中間層12のサイズ剤の配合量は裏層11に対するサイズ剤の配合量と同様に、パルプに対して固形分換算で0.3重量%〜1.5重量%が適当であり、0.6重量%〜1.5重量%がより好適である。
この中間層12の原料パルプを選択する場合には、化学パルプを用いても良いが、エネルギー原単位や環境に与える負荷の軽減の点から、強度を担うという機能性を損なわない範囲で古紙パルプを可能な限り多く配合することが、コスト的にも有利である。
中間層12に使用する古紙パルプとしては、茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、または離解・脱墨・漂白古紙パルプ等を使用することができる。これらの古紙パルプの中でも、特に本板紙10においては脱墨処理した古紙パルプを使用することが好ましい。すなわち、表層13が油分を吸収し半透明化して中間層12の古紙パルプが透けても見映えを損ない難いからである。
具体的には、本板紙10では中間層12の色調における明度(L値)を70〜85とする。こうすることにより、反耐油層面である表層13に油分が付着し、油が浸透した場合においても、紙製容器20の外観の見映えを悪化させることがない。さらには、特に古紙パルプを配合する場合であっても、中間層12の色調における明度(L値)を70〜80、色相(a値)を−3〜3、色相(b値)を10〜16とすることで、多層抄き板紙の反耐油層面に油分が付着し、油が浸透した場合においても、容器外観の見映えを悪化させることがなく、課題とする多層抄き板紙を効率的に得ることができるのである。
中間層12をこのような色調にするためには、各種古紙パルプを選択し、配合することで実施できる。また、必要に応じて染料、顔料による着色を行ってもよい。
本板紙10は、紙製容器20内に収容する食品のクリスピーな食感を良好に得るために、透気度を10秒〜150秒に調整することが好ましく、20秒〜100秒に調整することがより好ましい。透気度が150秒を超えると、本板紙10の通気性が悪くなり、収容される食品から出る水蒸気等の水分が紙製容器20内にこもってしまい、食品のクリスピーな食感が損なわれてしまう。また、透気度が10秒未満の場合にも食品の好ましいクリスピーな食感は得られない。なお、これは以下により達成することができる。
また、本板紙10では、中間層12に少なくとも機械パルプを10%含有させることが好ましく、15〜40%含有させることがより好ましい。すなわち、機械パルプには樹脂分が多く含まれ、パルプ繊維が剛直であるため、繊維間に空隙ができやすく、本板紙10の通気性が向上する。なお、機械パルプの含有量が40%を越えると、繊維間結合が弱くなり、多層抄き板紙特有の問題点である層間剥離が発生しやすくなる。
機械パルプとしては、PGW(プレッシャーライズドグランドウッドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、RGP(リファンアグランドパルプ)、GP(グランドウッドパルプ)など公知のものを使用することができる。中でも本板紙10では特にPGW及びTMPを用いることが、色調、通気性の点で好ましい。
さらに、本板紙10の中間層12には熱発泡性粒子を含有させることが好ましく、熱発泡性粒子は少なくとも0.7%含有させることが好ましく、0.7%〜3.5%含有させることがより好ましい。さらには1.5%〜3.0%含有させることが特に好適である。
熱発泡性粒子は、乾燥工程において、ドライヤーにより発泡させる。熱発泡性粒子は、外殻を構成する熱可塑性合成樹脂の軟化点以上に加熱され、同時に封入されている低沸点溶剤が気化し蒸気圧が上昇し、外殻が膨張して粒子が膨張する。膨張時は内圧と殻の張力・外圧が釣り合って膨張状態が保持され、一般的にはこの状態まで膨張させ、軽量化剤、嵩高化剤、クッション剤、断熱剤などとして利用されている。
本発明においては、膨張状態の熱発泡性粒子にさらに熱を加え、すなわち過剰に熱を加えることで、膨張し薄くなった殻からガスが透過拡散し、内圧よりも殻の張力と外力が勝り収縮が発生することを利用している。すなわち、熱発泡性粒子を過熱し膨張させ、さらに過熱し膨張した熱発泡性粒子を収縮させることで、紙層内に空隙をつくり、格段に通気性を高めるものである。
本発明において使用することのできる熱発泡性粒子は、熱可塑性合成樹脂の微細粒子外殻内に低沸点溶剤を封入したものである。平均粒径は、5〜30μmで、80〜200℃での加熱により直径が4〜5倍、体積が50〜130倍に膨張する。
外殻を構成する熱可塑性合成樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体を挙げることができる。
また、かかる外殻内に封入される低沸点溶剤としては、例えば、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等を挙げることができる。
これら熱発泡性粒子としては、例えば、松本油脂製薬株式会社製造の「マツモトマイクロスフェアF−20シリーズ」、「同F−30シリーズ」、「同F−36シリーズ」、「同F−46シリーズ」や、日本フィライト株式会社販売の「エクスパンセルWU」、「同DU」などが使用できるが、本発明に使用する発泡性マイクロカプセルはこれらに限定されるものではない。しかし、本発明においては、一般的に紙乾燥工程の温度が130℃程度であることから、熱発泡性粒子の膨張開始温度は130℃以下の低温膨張タイプが好ましい。
また、本板紙10の透気度を10秒〜150秒とするためには、他の品質とのバランスを取りながら調整する点で、濾水度による調整が有効である。すなわち、中間層12の濾水度を350〜450cc、好ましくは380〜420ccに調整することで達成しやすい。
中間層12には前述のとおり古紙パルプを使用することもできるが、微細繊維を多く含み濾水度の低い低グレードの古紙を多量に混合した場合には、透気度が高くなる。すなわち通気性が悪くなり、食品から出る水分が容器内にこもり、食品のクリスピーな食感が損なわれてしまうので、中間層12には古紙を使用する場合であっても透気度を10〜150秒に調整することが好ましい。これにより、透気度が10〜150秒である本板紙10を得ることができる。
なお、この中間層12の坪量は、本発明に係る板紙の層構成や坪量によっても変わるが、40g/m2〜250g/mが適当である。この中間層12は、本発明の効果を損なわない範囲で、できるだけ多くすることがコスト面では有利である。
前記中間層12に続いて積層されている表層13は、(イ)食品用の紙製容器20の外面21となる層であるので美麗性,印刷適性などを確保する、(ロ)紙製容器20に加工する際の良好な貼合、製函適性を有する等の役目を担う層である。
また、紙製容器20の外面21となる本板紙10の表層13の各種品質特性と本板紙10としての品質特性をバランスよく、効率的に達成するためには、NKPとLKPを10:90〜50:50の比率で用いることが好ましく、15:85〜40:60とすることがより好ましい。NKPが10%未満であると、表層の密度が高くなりやすく、適切な透気度を得難くなる。また、繊維長の長いNKPの含有割合が少なくなるため、製函加工時に罫線割れが発生しやすくなる。また、NKPが50%を超えると表層13の地合いが悪化し、平坦性も低くなるため、本板紙10の印刷適性が低下しやすくなる。このような地合いむら、印刷むらにより容器外観の見映えが悪化する。
また、表層13の濾水度は、美麗性,印刷適性、本発明に係る板紙の通気性を確保する点などから、表層13の原料パルプの濾水度は350〜450ccとすることが好ましく、380〜420ccとすることがより好ましい。
また、このようにして製造される本板紙10の坪量は、紙製容器20の大きさ及び使用目的によっても変わるが、通常200g/m2〜530g/mの範囲にあることが好ましく、250g/m2〜470g/mの範囲にあることがより好ましい。
すなわち、本板紙10は、コロッケ,カツ,天ぷら,フライドポテト,シューマイ,餃子,たこ焼き,たい焼き等の油と水分を有する食品などを収容する紙製容器20に用いられる板紙であり、紙製容器20としての強度、剛性を要する。
また、耐水耐油機能を得るために、裏層11は40g/m以上の坪量とすることが好ましく、残る中間層12で紙製容器20としての強度、剛性を確保する必要があることから、本板紙10の坪量は200g/m以上必要である。また、本板紙10を530g/mを超える坪量としても、過剰品質、コストアップとなるばかりである。
本発明に係る多層抄き板紙は以上のような構成を満たす各層の原料を抄紙機で積層された状態に抄紙して製造される。
抄紙方法についても特に限定されるものではないので、酸性抄紙法、中性抄紙法、アルカリ性抄紙法のいずれであってもよいが、耐油剤を定着させ、効率的に耐油機能を発揮させるため、熱水抽出PHが5〜8.5となるように中性抄紙で製造することが好ましい。
また、抄紙機も特に限定されるものではなく、例えば長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等の公知の種々の抄紙機を使用することができる。
また、本板紙10の表層13には印刷が施されるので、印刷光沢や表面強度を向上させたり滑り性を調整したりするために、必要に応じて、本板紙10の表面に水溶性物質を主成分とした塗工液を塗工するなどにより、印刷適性を向上させる種々の手段を適用することが好ましい。
このような水溶性物質としては、例えばポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉、ポリスチレン−ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル系等のラテックス、ワックスエマルジョン等、この分野で通常用いられる公知の種々の材料を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
例えば、ポリビニルアルコールを表層表面に0.5g/m〜3.5g/m塗工することで良好な印刷適性を得ることができる。0.7〜2g/m塗工することがより好適である。
更に、塗工装置を用いて表層に顔料とバインダーを主成分とする塗工液を塗工すれば一層綺麗な印刷が可能となる。
また、本板紙10の表面に平滑化処理を施しても良い。この平滑化処理は、例えば加圧可能なロール間で本板紙10を加圧処理することにより実施することが好ましい。平滑化処理を施す際に、本板紙10の表層13表面に接するロールは平滑な表面を有し、加熱可能な金属製ロールであることが好ましい。
なお、本板紙10における平滑化処理は、上記の平滑化処理の他、本板紙10を抄紙する過程で、例えば一対の金属ロールを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(マシンカレンダーによるカレンダー処理)、金属製ロールと樹脂製ロールとを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(ソフトカレンダーによるカレンダー処理)、ヤンキードライヤーによる乾燥処理等により実施することもできる。
また、本板紙10には、上述した耐油剤や定着剤、サイズ剤の他に、澱粉、填料、消泡剤、紙力増強剤、防滑剤、PH調整剤等が含有されていてもよい。
以上、本板紙10について、紙層が裏層11、中間層12及び表層13の3層の紙層から成る場合について説明してきたが、本発明はこのような板紙に限らず、例えば図3に断面図で示すように、中間層12を12A、12Bの2層として全体を4層で構成した板紙10’、あるいは図4に断面図で示すように、中間層12を12A、12B、12Cの3層として全体を5層で構成した板紙10”としても良い。
本発明に係る多層抄き板紙(前述した3層構成の本板紙10)及びこの多層抄き板紙を用いて製函した食品収容用の容器(前述した紙製容器20)の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の重量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例に過ぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本発明に係る21種類の板紙(これを「実施例1」〜「実施例21」とする)と、これらの実施例1〜実施例21と比較検討するために、4種類の板紙(これを「比較例1」〜「比較例4」とする)を、表1及び以下に示す製造条件(層構成及び原料配合)で作製した。
Figure 0004302124
[実施例1」
<裏層>(前記裏層11)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP
)80質量%とを配合した後に、離解フリーネスを400ccに調整した裏層用の原料パルプに、硫酸バンド0.5%、サイズ剤(星光PMC株式会社製AKDサイズ剤)を固形分換算で0.7%、乾燥紙力増強剤(星光PMC株式会社製 両性ポリアクリルアマイド)を固形分換算で0.3%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.1%、耐油剤0.8%(チバスペシャリティケミカルズ社製のローダイン2000)、耐油剤の定着剤0.06%(クラリアントジャパン社製 Arkofix)を添加して裏層用の原料スラリーを調整した。
ここに、「離解フリーネス(CC)」とは、各試料を約3cmの大きさに裁断して約25gの重さの試験片とし、この試験片を1リットルの水に24時間浸漬した後、JIS−P8220に準拠して、標準離解機で15分離解処理し、試験片が完全に離解していることを目視で確認した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて測定した濾水度の値である。
<中間層>(前記中間層12)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP
)70質量%と機械パルプ(TMP)10質量%を配合した後に、離解フリーネスを400ccに調整した中間層用の原料パルプに、硫酸バンド0.7%、サイズ剤(星光PMC株式会社製AKDサイズ剤)を固形分換算で0.5%、乾燥紙力増強剤(星光PMC株式会社製 両性ポリアクリルアマイド)を固形分換算で0.7%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.3%を添加して中間層用の原料スラリーを調整した。
<表層>(前記表層13)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP
)80質量%を配合した後に、離解フリーネスを400ccに調整した表層用の原料パルプに、硫酸バンド0.7%、サイズ剤(星光PMC株式会社製AKDサイズ剤)を固形分換算で0.5%、乾燥紙力増強剤(星光PMC株式会社製 両性ポリアクリルアマイド)を固形分換算で0.7%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.3%を添加して表層用の原料スラリーを調整した。
これらの原料スラリーを用い、円網3層抄紙機にて裏層、中間層及び表層の紙層を抄き合わせて、裏層の付け量を55g/m、中間層を200g/m、表層を55g/m、多層抄き板紙全体の坪量が310g/mである3層抄きの多層抄き板紙「実施例1」を得た。
「実施例2〜5」
中間層の機械パルプ含有量、L材含有量を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例1」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「実施例6」中間層の機械パルプ含有量、L材含有量を表1に示す値に調整し、熱発泡性粒子を0.3%(松本油脂製薬株式会社製、マツモトマイクロスフェアF−36)添加したことを除くその他の点は「実施例1」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「実施例7〜11」
中間層の熱発泡性粒子を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例6」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「実施例12」
中間層の熱発泡性粒子、中間層のL値を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例1」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「実施例13〜14」中間層のL値を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例9」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「実施例15〜20」中間層のa値を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例9」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「実施例21〜25」
中間層のb値を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例9」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「比較例1〜2」
中間層の機械パルプ含有量、L材含有量を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例1」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「比較例3」中間層の熱発泡性粒子を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例9」と同様にして得た多層抄き板紙である。
「比較例4」中間層の熱発泡性粒子、中間層のL値を表1に示す値に調整したことを除くその他の点は「実施例9」と同様にして得た多層抄き板紙である。
これらの全実施例及び比較例について、全層の坪量(米坪)、密度、透気度、中間層の色調(明度L、色相a、色相b)、裏層表面の耐油度、食品容器としての美感(油染み時の見映え)、紙製容器内に収容した食品のクリスピーな食感の各評価項目について、実測し、評価した結果は表2に示すとおりであった。
Figure 0004302124
ここに、「坪量(g/m)」とは、JIS−P8124に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した値であり、「密度(g/cm3)」とは、JIS−P8118に記載の「紙及び板紙―厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定、算出した値であり、「透気度(秒)」とは、JIS−P8117に記載の「紙及び板紙―透気度試験方法」に準拠して測定した値であり、「中間層の色調」とは、JIS Z 8722に準拠して測定した明度(L)、色相(a)、色相(b)の値であり、そして「耐油度」とは、TAPPI実用試験法UM557(1988)に準拠したキット試験に準拠して測定した耐油度(Kit値)である。
なお、「中間層の色調」の測定における層剥離は以下の手順で行った。まず、各試料から得た各サンプルを室温の水に約1時間浸漬する。水に浸漬した各サンプルを、角を起点として10mmΦ程度の丸棒に巻き付けた後、丸棒を転がして各サンプルをしごく。この操作を各サンプルの四隅の全ての角を起点に繰り返し、各方向からサンプルにしごきの力を加える。これにより、各サンプルの層間の一部が剥離してくるので、これを利用して、裏層、中間層及び表層に分離して層剥離を行う。層剥離を行った後、中間層のサンプルをシートドライヤーまたは熱風乾燥機などにより乾燥し、試験に使用した。サンプルの乾燥は色調が変化しないよう120℃以下で行った。
「美観」(油染み時の見映え)とは、コロッケを揚げた際に発生した油を含んだパン粉粕が散らばった作業台上で、揚げたてのコロッケを各試料で製函した紙製容器に入れて蓋をし、60分後に紙製容器の外観の油染みが発生した箇所を観察し、以下のとおり評価したものである。
◎:中間層の原料が浮き出すことによる、黒ずみや変色など、見映えの悪化がない。
○:中間層の原料が浮き出すことによる、変色は認められるが、見映えは気にならない。
×:中間層の原料が浮き出すことによる、黒ずみや変色などが目立ち、見映えが悪く、食品容器として不適切と感じる。
「食感」とは、揚げたてのコロッケを各試料で製函した紙製容器に入れて蓋をし、60分後に成人男性10名、成人女性10名がこのコロッケを食し、以下のとおりの3段階評価をしたものである。
◎印:クリスピーな食感(サクサクとした食感)があって大変良好である。
○印:水分の再吸着による食感の低下は特に気にならない程度で良好である。
×印:コロッケが紙製容器の内面に付着した水分を再吸着してベタベタした食感があり、(サクサクとした食感がなく)不良である。
表1に示された製造条件(層構成及び原料配合)及び表2に示された品質評価結果を実施例と比較例と対比し検討してみたところ、次のとおりの事実が判明した。
すなわち、少なくとも、表層、中間層、裏層の3層からなり、耐油性を有し、坪量が3
10g/m(この坪量の好ましい範囲は200〜530g/m、より好ましい範囲は25
0〜470g/mであることは前述したとおりである)の前記中間層の色調における明度
(L値)が70〜85であり、かつ該中間層には少なくとも機械パルプが10%以上含有
され、透気度を10〜150秒(より好ましくは20〜100秒)とする多層抄き板紙で
製函してなる紙製容器は、美感(油染み時における容器外観の見映え)及び食感(紙
製容器内に収容した食品のクリスピーな食感)は、比較例に較べ、はるかに優れている。
とくに、中間層の色調における明度(L値)が70〜80、色相(a値)が−3〜3、
色相(b値)が10〜16である多層抄き板紙である場合、さらには前記中間層に熱発泡
性粒子が少なくとも0.7%含有した多層抄き板紙である場合には、一層、美感及び食感
の優れた紙製容器を提供することができる。
本発明の実施例に係る多層抄き板紙の層構成を示す概略断面図である。 本発明の実施例に係る多層抄き板紙で製函された紙製容器の斜視図である。 本発明に係る多層抄き板紙の他の層構成を示す概略断面図である。 本発明に係る多層抄き板紙のさらに他の層構成を示す概略断面図である。
符号の説明
10、10’、10” (本発明に係る)多層抄き板紙
11 裏層
12(12A、12B、12C) 中間層
13 表層
20 (本発明に係る多層抄き板紙で製函した)紙製容器
21 (紙製容器の)外面
22 (紙製容器の)内面

Claims (3)

  1. 少なくとも表層、裏層、及び前記表層と前記裏層の間に配置される中間層からなり、油分と水分を有する食品を収容するための坪量が200〜530g/mの多層抄き板紙であって、前記中間層に少なくとも10%の機械パルプを含有させることにより当該中間層の剛性及び通気性を向上させ、当該中間層の色調における明度(L値)を70〜85、色相(a値)を−3〜3、色相(b値)を10〜16とすることにより当該板紙の外観の見映えを良化させ、かつ、前記表層、裏層、中間層の濾水度を350〜450ccとすると共に当該板紙の透気度を10〜150秒に調整することにより前記食品のクリスピーな食感を得るようにしたことを特徴とする多層抄き板紙。
  2. 前記中間層には熱発泡性粒子が少なくとも0.7%、前記裏層の原料パルプには湿潤紙力増強剤が固形分換算で0.05〜0.5重量%含有されていることを特徴とする請求項1に記載の多層抄き板紙。
  3. 前記請求項1又は2のいずれかに記載された多層抄き板紙により製函されてなる紙製容器。
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