JP4343979B2 - 発泡板紙 - Google Patents

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Description

本発明は冷凍食品などの保冷性、保温性を必要とする収容物などの搬送、保管に用いられる段ボールケースなどに使用する発泡板紙に関し、特に遮水性、保冷性、及び保温性に優れると共に、段ボールケースに加工する際の貼合・製函適性に優れ、さらに古紙の原料にリサイクル可能な発泡板紙に関する。
従来、冷凍食品などの保冷性、保温性を必要とする収容物などの搬送、保管に用いられる段ボールケースなどに加工される板紙として、アルミ蒸着板紙や、紙層中にラミネートフィルムを介在させたラミネートサンド板紙等が用いられている。
アルミ蒸着板紙により形成された段ボールケースは、アルミ蒸着層によって、段ボールケースの内部と外部との間の通気性が殆どなくなり、遮水性、保温性を発揮する。
また、ラミネートサンド板紙により形成された段ボールケースも、紙層中のラミネートフィルムが上記アルミ蒸着層と同様の役割を果たし、これにより遮蔽性を有し、遮水性、保温性を発揮する。
しかしながら、このようなアルミ蒸着板紙やラミネートサンド板紙は、古紙へのリサイクルを試みた際、アルミ蒸着層やラミネートフィルムの除去が困難であるため、古紙としてのリサイクルが困難であるという問題があった。さらに、特にアルミ蒸着板紙の場合、金属異物センサーが誤作動を起こす場合があるという問題もあった。
このような問題を解決するために、セラミック塗工板紙を使用する技術があるが、セラミック塗工板紙は、遮水性及び保温性に優れた効果を有するものの、高価であるという問題があった。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、低沸点溶剤を芯物質とする熱発泡性粒子である発泡性マイクロカプセルを配合して抄紙したシートを加熱発泡させることにより、密度が0.2〜0.5g/cmの断熱性、保温性に優れ、また遮水性も有する廉価な遮水保温性板紙が提案されている。
しかしながら、このように熱発泡性粒子を配合することにより、パルプ繊維同士の繊維間の結合が少なくなり、また繊維間の結合力も弱くなるため、表面強度、層間強度などの紙の強度が大幅に低下してしまうため、このような紙を段ボールケースに使用することは強度が弱いとの問題がある。すなわち、このような紙を段ボール原紙として用いた場合、特に段ボールケースのジョイント部、フラップ部での層間強度が弱く、段ボールケースとしての役割を果たすことができない。
また、発泡性カプセルはイオン性がアニオン性であるため、紙中への留まりが悪く、白水を汚し環境負荷(COD)が高いという問題もある。
また、例えば特許文献2〜4等に示されるように、熱伝導率に関わる空気層である発泡層を得るためには嵩高剤を含有させる、嵩高な特性を持つ機械パルプ、針葉樹パルプを含有させる、原料フリーネスを高くする、抄紙工程におけるプレス線圧、カレンダー線圧を低くするなどの手段があるが、いずれの手段もパルプ繊維同士の絡み合いを弱くする、又は少なくするものであり、その結果、層間強度の低下を招き、本技術分野における発泡板紙としての層間強度を確保できないという問題を生じる。
特開2003−49400号公報 特開平11−200282号公報 特開2004−100119号公報 特開平09−67790号公報
本発明は上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、個包装された冷凍食品などを収容し、搬送、保管に用いられる段ボールケースなどに使用する発泡板紙において、特に遮水性、保冷性、及び保温性に優れると共に、段ボールケースなどに加工する際の貼合・製函時、また使用時において層間剥離が発生することなく、さらに古紙の原料にリサイクルでき、また熱発泡性粒子を紙中への歩留まりを向上させ、環境負荷を減少させた発泡板紙を提供することである。
本発明の上記目的は、少なくとも表層と、単層または複数層から成る中層と、裏層とを有する層構成から成る発泡板紙において、予め分子量が100万〜1200万であるカチオン性高分子樹脂を固形分換算で0.5〜3質量%添加して、熱発泡性粒子を凝集させて熱発泡性粒子凝集体を形成させた、スラリー濃度が5〜30%である熱発泡性粒子懸濁液を、少なくとも1層の前記中層に、パルプ固形分に対して、前記熱発泡性粒子が固形分換算で1〜15質量%となるように添加して、前記中層を発泡層とし、該発泡層には、熱溶融性繊維をパルプ固形分に対して1〜10質量%含有し、また、前記発泡層の合計坪量を25〜80g/m とし、さらにJ.TAPPI No.18−2で規定する層間強度が75mJ以上であり、遮水率が81〜92%であることを特徴とする発泡板紙を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記熱溶融性繊維は、PET繊維を主原料とする熱溶融性繊維であり、また、前記裏層の原料パルプに、サイズ剤を固形分換算で0.3〜1.5質量%添加し、JIS−P8140に基づいて測定した吸水度を30〜80g/m としたことを特徴とする発泡板紙を提供することによって、より効果的に達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、熱伝導率が0.05W/mk以下であることを特徴とする発泡板紙を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明に係る発泡板紙によれば、遮水性、保冷性および保温性に優れると共に、段ボールケースなどに加工する際の貼合・製函時、また使用時において層間剥離が発生することなく、さらにまた、古紙の原料にリサイクルでき、熱発泡性粒子の紙中への歩留まりを向上させ、環境負荷を軽減させることができる。
以下、本発明に係る発泡板紙について、詳細に説明する。
本発明に係る発泡板紙(以下、「本発泡板紙」と言う。)10は、図1に示すように、表層11と、2層の中層12,13と、2層の裏層14,15の5層の紙層で構成されている。また、本発泡板紙10は、中層の少なくとも1層(本実施形態では中層12,13)の原料パルプに、予めカチオン性高分子樹脂を添加して熱発泡性粒子を凝集させて熱発泡性粒子凝集体を形成させた熱発泡性粒子懸濁液を添加し、中層12,13を発泡層としている。
このように熱発泡性粒子の凝集体を形成させた熱発泡性粒子懸濁液を添加して中層12,13を発泡層とすることにより、熱発泡性粒子の歩留りを向上させ、遮水性、保冷性、保温性に優れると共に、層間強度を向上させるという相反する性質の両方を満足し、さらに環境負荷を軽減させることができる。すなわち、抄紙工程のワイヤーパート、プレスパートでパルプ繊維同士の絡み合いを確保した上で、乾燥工程で熱発泡性粒子を発泡させ熱伝導率に関わる発泡層(空気層)を得ることができるので、本発泡板紙10の使用方法、要求品質において特に有用である。また、カチオン性高分子樹脂で予め熱発泡性粒子を凝集させることにより、白水中の残存する発泡粒子を低減させることができ、環境負荷を減少させることができる。なお、白水中に残存する発泡粒子が少ないほど、熱発泡性粒子の紙中への歩留率が高く、排水へ熱発泡性粒子が流出することを防止し、排水負荷を低減し、環境負荷を低減さえることができる。
以下に、本発泡板紙10に添加される熱発泡性粒子の凝集体について説明する。本発泡板紙10に添加される熱発泡性粒子の凝集体は、上述したように、熱発泡性粒子懸濁液に予めカチオン性高分子樹脂を添加して熱発泡性粒子を凝集させることにより形成される。
このように熱発泡性粒子をカチオン性高分子樹脂で凝集させるためには、熱発泡性粒子と、カチオン性高分子樹脂と、水とにより構成されるスラリーの濃度を5〜30%、好ましくは10〜20%とする。スラリー濃度が5%未満であるとスラリーの粘性が低く、熱発泡性粒子の凝集体ができないため、歩留が低下する。一方、スラリー濃度が30%を超えると、粘性が高くなりすぎ、分散状態が悪く、粒状で配合されるため、発泡板紙を製造した際に異物として検出されてしまう。
また、熱発泡性粒子(熱発泡性粒子凝集体)は中層12,13の各層のパルプ固形分に対して、固形分換算で1〜15質量%、好ましくは2.1〜7質量%含有する。すなわち、1層当りの熱発泡性粒子の含有量が1質量%未満であると、熱発泡性粒子の凝集体が発泡した状態であっても、熱発泡性粒子間の距離が遠くなってしまうため、本発泡板紙10が所望とする発泡層(空気層)を得ることができず、遮水性、保冷性、保温性を付与することが難しくなる。一方、1層当りの熱発泡性粒子の含有量が15質量%を超えても、本発泡板紙10の遮水性、保冷性、保温性の向上は期待できず、製造コストが高くなるだけである。また後述する熱溶融性繊維を配合しても、所定の層間強度を得ることが難しくなるため、本発泡板紙10の層間強度が低下してしまい、発泡板紙を段ボールケース等に加工する際の貼合・製函時や、段ボールケースの使用時において層間剥離が発生してしまう。
本発泡板紙10に使用することができる熱発泡性粒子としては、熱可塑性合成樹脂で構成された微細粒子外殻内に低沸点溶剤を封入したものである。なお、この熱発泡性粒子は平均粒径が5〜30μmで、90〜200℃の加熱により直径が4〜5倍、体積が50〜130倍に膨張する。
外殻を構成する熱可塑性合成樹脂としては、例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体等を挙げることができる。
また、外殻内に封入される低沸点溶剤としては、例えば、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等を挙げることができる。
このような熱発泡性粒子としては、例えば、松本油脂製薬株式会社製造の「マツモトマイクロスフェアF−20シリーズ」、「同F−30シリーズ」、「同F−36シリーズ」、「同F−46シリーズ」や、日本フィライト株式会社販売の「エクスパンセルWU」、「同DU」などを使用することができるが、本発泡板紙10に使用する熱発泡性粒子はこれらに限定されるものではない。
しかしながら、本発泡板紙10においては、一般的に紙乾燥工程の温度が130℃程度であることから、熱発泡性粒子の膨張開始温度は90〜130℃で発泡する低温膨張タイプが好ましい。
熱発泡性粒子は、外殻を構成する熱可塑性合成樹脂の軟化点以上に加熱され、同時に封入されている低沸点溶剤が気化し蒸気圧が上昇し、外殻が膨張して粒子が膨張し、膨張時は、内圧と殻の張力・外圧が釣り合って膨張状態が保持される。熱発泡性粒子は、一般的にはこの状態まで膨張させ、軽量化剤、嵩高化剤、クッション剤、断熱剤などとして利用されている。この膨張状態の熱発泡性粒子にさらに熱を加えて、過剰に熱を加えた場合には、膨張して薄くなった殻からガスが透過拡散し、内圧よりも殻の張力・外圧が大きくなってしまい、発泡した粒子が収縮してしまう。
本発泡板紙10に使用される熱発泡性粒子は、乾燥工程でドライヤーにより発泡させるが、上記理由により、膨張開始温度が90〜130℃の低温膨張タイプの熱発泡性粒子を用いることが好ましいのである。すなわち、膨張開始温度が90℃未満の熱発泡性粒子であると、乾燥工程のドライヤーにより発泡させた場合、上述したように一旦膨張した粒子が再び収縮してしまい、中層を熱伝導率に関わる空気層とすることが難しくなる。
また、本発泡板紙10に用いられるカチオン性高分子樹脂としては、カチオン性を示す電解質のものであれば、特に限定されるものではなく、例えばポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン系、ポリジアリルメチルアミンエピクロルヒドリン系、グリオキザール系、カチオン性ポリクリルアミド系、ポリエチレンイミン系、及びポリアミン系の水溶性樹脂等、種々のものを用いることができる。
また、本発泡板紙10に使用できるカチオン性高分子樹脂は、分子量が100万〜1200万のものが好ましく、300万〜1000万のものであるとより好ましい。
また、上述した1〜15質量%の熱発泡性粒子を効果的に予め凝集させるために、カチオン性高分子樹脂として、凝集剤を固形分換算で0.5〜3質量%、好ましくは0.7〜2.1質量%、熱発泡性粒子懸濁液に添加して含有することが好ましい。凝集剤の含有量が0.5質量%未満であると熱発泡性粒子の歩留りが悪くなり、発泡層を本願の所望とする空気層とすることができず、一方、凝集剤の含有量が3質量%を超えると、凝集効果が高くなりすぎ、パルプがフロックになってしまい、地合が悪くなる。なお、凝集剤としては伯東株式会社製のハクトロンKC100を用いることができる。
または、本発泡板紙10には、カチオン性高分子樹脂として、紙力増強剤を用いることもでき、この紙力増強剤としてはハリマ化成株式会社製RB−33を用いることができる。
また、本発泡板紙10には、少なくとも1層の中層(本実施形態においては中層12,13)の原料パルプに特定の熱溶融性繊維を混抄させて含有させる。本発泡板紙10は多層抄きの板紙であるので、中層12,13のみに熱溶融性繊維を含有させて、抄紙工程で中層12,13の熱溶融性繊維を溶融させながら製造することができる。なお、熱溶融性繊維は中層12,13だけではなく表層11にも混抄することが考えられるが、熱溶融性繊維を表層11に混抄すると、ドライヤーパート等において、熱溶融性繊維がドライヤーロールや、用具等に付着するおそれがあるため、中層12,13のみに混抄するのが好ましい。また、単紙層の場合も、紙表面の溶融した熱溶融性繊維がドライヤーロール等に付着してしまう。
熱溶融性繊維は中層12,13の各層のパルプ固形分に対して1〜10質量%、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは4〜7質量%含有される。熱溶融性繊維の含有量を1質量%以上とすることにより、層間強度向上の効果が得られる。また10質量%以下とすることにより、リサイクル性が低下されるのを回避することができる。
熱溶融性繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系繊維、ポリエチレン(PE)系繊維、EVA系繊維、ビニロン系繊維、PVA系繊維、アラミド系繊維、炭素繊維、レーヨン系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ガラス系繊維など種々のものが知られている。しかしながら、本発泡板紙10においては、熱発泡性粒子との接着性、パルプ繊維との接着性、原料パルプ中に混合して抄紙できること、抄紙機の乾燥工程で適切に溶融し熱発泡性粒子、パルプ繊維と接着することなどの点から、PET、ビニロン、PE、EVA、PVAなどを主原料とする熱溶融性繊維を用いることが好ましく、これらの中でも特にPET繊維、PVA繊維を主原料とする熱溶融性繊維が熱発泡性粒子の発泡を阻害しないため好ましい。
熱溶融性繊維の溶融温度としては、繊維表面の溶融温度が90〜130℃であるものが好ましい。具体的には、ソフィットN720/クラレ製、TJ04CN/帝人製、ビニロンバインダーSML/ユニチカ製、EA−CHOP/チッソ製、エステル4080/ユニチカ製、NBF/ダイワボウ製などが好適に使用できる。
このように、本発泡板紙10は少なくとも1層の中層の原料パルプ中に、一般紙では使用しない熱溶融性繊維と熱発泡性粒子とを含有することによってはじめて、層間強度によるトラブルが生じず、しかも遮水性、保温性、保冷性に優れるという相反する品質を満足させることができるのである。
本発泡板紙10に使用される原料となるパルプは、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、等木材繊維を含む主原料として、化学的に処理されたパルプ、木材以外の繊維原料であるケナフ、麻、葦等非木材繊維を主原料として化学的に処理されたパルプやチップを機械的にパルプ化したグランドパルプ、木材またはチップに化学薬品を添加しながら機械的にパルプ化したケミグランドパルプ、及びチップを柔らかくなるまで蒸解した後、レファイナー等でパルプ化したセミケミカルパルプ等のバージンパルプ及びクラフトパルプ、セミケミカルパルプ、酵素漂白パルプを含むオフィス上物古紙を脱墨、漂白したパルプ、牛乳パック古紙上質断裁落ち古紙、コート断裁落ち古紙、上白、特白、中白等未印刷、地券、新段、新聞、クラフト封筒、模造、雑誌の古紙から得られる回収パルプ等があげられる。
なお、本発泡板紙10の中層12,13に使用される原料パルプとしては、上述した公知の種々のものを用いることができ、本発泡板紙10の中層12,13に、古紙パルプ100%から成る原料パルプが使用されても熱発泡性粒子の膨張に影響を与えることなく層間強度を維持できる。しかしながら、古紙パルプが100%配合されたものであると、微細繊維の多さから濾水性が悪くなり、生産スピードが落ちるため、中層12,13の原料パルプには、NBKPを50%配合することが好ましい。
また、裏層14,15に使用される原料パルプとしても上述した公知の種々のものを用いることができるが、耐水性能を損なわず、本発泡板紙10の強度を維持するという目的を損なわない範囲で、古紙パルプを可能な限り多く配合することが、エネルギー原単位や環境に与える負荷の軽減の点で、またコスト的にも有利であるので好ましい。
本発泡板紙10の裏層14,15は(a)本発泡板紙10を段ボールケースに加工する際の良好な貼合、製函適性を確保する、(b)段ボールケースとしての強度を確保する等の役目を担う層である。さらに、本発泡板紙10は、水分が多く出る冷凍食品などを収容するため、上記(a)及び(b)の役目を果たし、段ボールケースに加工する際に中芯との貼合適性に影響が出ない範囲で、裏層14,15に耐水性を付与することが好ましい。
このような耐水性を付与するために裏層14,15の各層の原料パルプに対して、サイズ剤を固形分換算で0.3〜1.5質量%、好ましくは0.6〜1.5質量%添加して、JIS−P8140に基づいて測定した吸水度が30〜80g/mに調整することが好ましく、30〜50g/mであるとより好ましい。吸水度が30g/m未満であると、特に裏層15と中芯との貼合時や、製函時の接着剤の接着性が悪くなり、特殊な接着剤が必要となると共に、本発泡板紙10を古紙としてリサイクルする際にも溶解性が悪くなる。さらに、操業性が悪くなると共に、製造コストが高くなる。一方、吸水度が80g/mを超えると、貼合・製函時の接着剤が裏層14,15の紙層内に浸透してしまい、中芯との接着性が悪くなる。また、多量の接着剤を塗布しなければならないという問題が生じる。
また、本発泡板紙10の各層の原料パルプには、耐油剤、定着剤、サイズ剤、澱粉、填料、消泡剤、紙力増強剤、防滑剤、PH調整剤等を含有してもよい。なお、遮水性の観点から、本発泡板紙10の紙表面のpHを約4〜5付近とすることが好ましい。紙のpHが中性域になるとサイズ剤の効きが悪くなり、表面からの水の浸透が早くなり遮水性が悪くなる。
上述した原料パルプを用い、公知の抄紙工程、例えばワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、サイズプレス、カレンダーパートなどを経て、本発泡板紙10が製造される。
本発泡板紙10は、上述したような表層11、中層12,13、及び裏層14,15の原料パルプが抄紙機によって順に積層されて製造される。すなわち、本発泡板紙10は、図1に示すように、抄紙機で、表層11の表面上に中層12が積層され、中層12の表面上に中層13が積層され、中層13の表面上に裏層14が積層され、裏層14の表面上に裏層15が積層されて形成される。なお、抄紙機の型式によっては、この逆の順に積層される場合もある。抄紙機も特に限定されるものではないので、例えば長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等の公知の種々の抄紙機を使用することができる。
本発泡板紙10の坪量は使用目的等によっても変化するが、120〜300g/mの範囲にあることが好ましく、150〜250g/mの範囲にあることがより好ましい。本発泡板紙10の坪量が120g/m未満であると、本発泡板紙10が段ボールケースに加工された際、段ボールケースとしての強度を確保することが難しくなる。一方、坪量を300g/mより大きくしても、過剰品質となると共に、製造コストが高くなるだけである。
また、遮水性が付与された発泡層である中層12,13の合計坪量は25〜80g/m、好ましくは30〜70g/mである。すなわち、発泡層である中層12,13の合計坪量が25g/m未満であると所定量の熱発泡性粒子を配合しても、発泡層の厚さが薄いため、本発泡板紙10に所望とする遮水性を付与することができない場合がある。一方、中層12,13の合計坪量が80g/mを超えると、遮水性を付与するという点では優れるものの、本発泡板紙10の坪量、すなわち板紙全体の坪量はほぼきまっているため、中層(発泡層)12,13以外の層、すなわち本実施形態では表層11、及び裏層14,15の坪量が必然的に少なくなる。このため、収容物を保護、保管する段ボールケースとして必要な強度を確保することが難しくなる。なお、発泡層である中層12,14以外の層の坪量を大きくすることも可能であるが、製造コストが高くなる等の問題が発生し、実用的でない。
また、裏層14,15の合計坪量は、本発泡板紙10の層構成や他の各層の坪量によっても変化するが、60〜175g/mとすることが好ましく、60〜150g/mにすることがより好ましい。裏層14,15の坪量はできるだけ大きくすることがコスト的に有利であるので好ましい。
また、本発泡板紙10の発泡後の密度は0.35〜0.6g/cmとするのが好ましい。より好ましくは0.35〜0.45g/cmである。密度が0.35g/cm未満であると、本発泡板紙10は遮水性には優れるものの、所定の熱溶融性繊維を含有させたとしても、層間強度が弱く、所望の効果を奏することができない。一方、密度が0.6g/cmを超えると、遮水性の効果が低く、本発明の課題を解決することが難しくなる。
また、本発泡板紙10の表層11には印刷が施されることが多いので、表面強度を向上させたり、滑り性を調整するために、必要に応じて、本発泡板紙10の表層11の表面に水溶性物質を主成分とした塗工液を塗工するなどすることが好ましい。このような水溶性物質としては、例えばポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉、加工澱粉、ポリスチレン−ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル系等のラテックス、ワックスエマルジョン等、この分野で通常用いられる公知の種々のものを単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。なお、水溶性物質の塗工量を0.5〜3.5g/m、好ましくは0.7〜2g/mとすることで良好な印刷適性を得ることができる。
また、塗工装置を用いて本発泡板紙10の表面上に顔料とバインダを主成分とする塗工液を塗工すればより一層綺麗な印刷が可能となる。
さらに、本発泡板紙10の表面に平滑化処理を施しても良い。この平滑化処理は、例えば加圧可能なロール間で本発泡板紙を加圧処理することにより実施することが好ましい。平滑化処理を施す際に、本発泡板紙10の表層11の表面に接するロールは平滑な表面を有し、加熱可能な金属製ロールであることが好ましい。なお、本発泡板紙10における平滑化処理は、上記の平滑化処理の他、本発泡板紙10を抄紙する過程で、例えば一対の金属ロールを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(マシンカレンダーによるカレンダー処理)、金属製ロールと樹脂製ロールとを一組または複数組備えたカレンダーロールによるカレンダー処理(ソフトカレンダーによるカレンダー処理)、ヤンキードライヤーによる乾燥処理等により実施することもできる。
上述したように構成された本発泡板紙10は、J.TAPPI No.18−2に基づく層間強度が75mJ以上である。層間強度が75mJ未満であると、板紙が段ボールケースに加工された際、所定の強度を維持することができず、段ボールケースとしての役割を果たすことが難しくなる。
また、本発泡板紙10は、後述する遮水性試験方法により測定された遮水率が81%以上、好ましくは85%以上である。本発泡板紙10の遮水率が81%未満であると、表層11が24時間以上水分と接した場合、表層11に吸収された水分が中層12,13を透過し、さらに裏層14,15も透過し、段ボールケース外面にまで浸透してしまう。この結果、段ボールケースの外観が低下し、商品価値が低下してしまう。また、表層11がさらに長時間水分と接した場合、段ボールケースの強度が低下してしまい、段ボールケースとしての役割を果たせなくなってしまう。
また、本発泡板紙10はJIS−A1412の熱流計法に基づく熱伝導率が0.05W/mk以下である。上述したように本発泡板紙10は、個包装された冷凍食品を収容し、搬送、保管に使用される段ボールケースに用いられることが多いため、熱伝導率が0.05W/mkより高くなると、外気の温度等が段ボールケースの内部に伝わってしまい、冷凍食品が溶けてしまう可能性があり、保冷性、保温性を確保することができない。
以上、本発泡板紙10について、図1に示すとおり紙層が表層11、中層12,13、裏層14,15の5層の紙層から成る場合について説明したが、本発泡板紙はこのような紙層構成に限らず、例えば図2に示すような4層の紙層から成る発泡板紙10′、図3に示すような3層の紙層から成る発泡板紙10′′であっても良い。すなわち、図2に示す発泡板紙10′は、表層11、遮水性が付与された発泡層である2層の中層12,13、及び1層の裏層15の4層の紙層から構成されている。このように裏層を1層としても、本発明の所望とする効果が付与された発泡板紙を得ることができる。また、図3に示す発泡板紙10′′は、表層11、遮水性が付与された発泡層である1層の中層12、及び1層の裏層15の3層の紙層から構成されている。このような構成としても、本発明の所望とする効果が付与された発泡板紙を得ることができる。なお、本発明に係る発泡板紙は、この他、中層の層数を増やして6層、7層・・・の紙層としても良く、この場合は、中層の少なくとも1層が、遮水性が付与された発泡層であれば、本発明の所望とする効果を得ることができる。
また、本発泡板紙10が段ボールケースに加工される場合について説明したが、本発泡板紙10は、表層11が内面となり、裏層15が外面となるようにして、紙製容器等に加工しても、本願発明の所望とする効果を得ることができる。
本発明に係る発泡板紙の効果を確認するため、以下のような各種の試料を作製し、これらの各試料に対する品質を評価する試験を行った。なお、本実施例において、配合、濃度等を示す数値は、固形分又は有効成分の質量基準の数値である。また、本実施例で示すパルプ・薬品等は一例にすぎないので、本発明はこれらの実施例によって制限を受けるものではなく、適宜選択可能であることはいうまでもない。
本発明に係る29種類の板紙(これを「実施例1」ないし「実施例29」とする)を表1に示すような構成で作製し、また、これらの実施例1ないし実施例29と比較検討するために、3種類の板紙(これを「比較例1」ないし「比較例3」とする)を、表2に示すような構成で作製した。また、参考例として一般的な外装用段ボール原紙を評価した。
Figure 0004343979
Figure 0004343979
[実施例1]
<1>表層
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量%と上白古紙パルプ30質量%とを配合した後に、離解フリーネスを400ccに調整した表層用の原料パルプに、硫酸バンドを0.5質量%、サイズ剤(商品名:R−22、近代化学株式会社製)を固形分換算で0.5質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:ハーマイドRB−32、ハリマ化成株式会社製)を固形分換算で0.3質量%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.18質量%添加して表層用の原料スラリーを調整した。
<2>中層(1)(2)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量%と、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)10質量%と、上白古紙パルプ(LBKP)60質量%とを配合した後に、離解フリーネスを400ccに調整した中層(1)及び(2)用の原料パルプに、硫酸バンドを0.7質量%、サイズ剤(商品名:R−22、近代化学株式会社製)を固形分換算で0.5質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:ハーマイドRB−32、ハリマ化成株式会社製)を固形分換算で0.7質量%、湿潤紙力増強剤(星光PMC株式会社製 エピクロロヒドリン)を固形分換算で0.3質量%添加する。また、中層(1)(2)用の原料パルプには、熱発泡性粒子(商品名:マツモトマイクロフェアー F−46、松本油脂製薬株式会社製)を配合した熱発泡性粒子懸濁液に、カチオン性高分子樹脂(商品名:ハクトロンKC100、伯東株式会社)を予め混合して、熱発泡性粒子を凝集させて熱発泡性粒子凝集体とする。なお、熱発泡性粒子をパルプの固形分に対して4.2質量%添加し、カチオン性高分子樹脂をパルプの固形分に対して1.4質量%添加し、さらにまた、熱溶融性繊維(クラレ社製 ソフィットN720)を5質量%添加する。その後、中層(1)(2)用の原料パルプのpHを4.5に調整し、中層用の原料スラリーを調整した。
<3>裏層
段ボール古紙パルプ70質量%と地券古紙パルプ30質量%とを配合した後に、離解フリーネスを300ccに調整した裏層用の原料パルプに、硫酸バンドを0.5質量%、サイズ剤(商品名:R−22、近代化学株式会社製)を固形分換算で0.5質量%、乾燥紙力増強剤(商品名:ハーマイドRB−32、ハリマ化成株式会社製)を固形分換算で0.4質量%添加して裏層用の原料スラリーを調整した。
これらの原料スラリーを用い、円網4層抄紙機にて表層、中層(1)及び(2)、及び裏層の紙層を抄き合わせて、表層の坪量を30g/m、中層(1)及び(2)の坪量を60g/m、裏層の坪量を80g/m、発泡板紙全体の坪量が170g/mである4層抄きの発泡板紙(実施例1)を得た。
[実施例2〜7]中層(1)及び(2)に添加される熱発泡性粒子の含有量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[実施例8〜12]中層(1)及び(2)に添加される熱溶融性繊維の含有量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[実施例13〜14]中層(1)及び(2)に添加される熱発泡性粒子として、膨張開始温度が表1に示すように変更されたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[実施例15〜18]中層(1)及び(2)に添加されるカチオン性合成樹脂の含有量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[実施例19〜23]中層(1)及び(2)に添加されるカチオン性合成樹脂の種類を紙力増強剤に変更し、また含有量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。なお、紙力増強剤としては、ハリマ化成株式会社製RB−33を用いた。
[実施例24〜25]中層(1)及び(2)に添加される熱溶融性繊維として、溶融開始温度が表1に示すように変更されたものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[実施例26]中層(1)に添加される熱溶融性繊維として溶融開始温度が130℃のものを用い、また中層(2)には熱発泡性粒子、カチオン性高分子樹脂、及び熱溶融性繊維を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[実施例27]中層(2)には熱発泡性粒子、カチオン性高分子樹脂、及び熱溶融性繊維を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[実施例28〜29]中層(1)及び(2)の合計坪量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[比較例1]表2に示すように、中層(1)及び(2)の熱発泡性粒子及びカチオン性高分子樹脂を添加せず、中層を発泡層としなかったこと以外は、実施例1と同様にして得た板紙。
[比較例2]表2に示すように、中層(1)及び(2)のカチオン性高分子樹脂を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[比較例3]熱発泡性粒子懸濁液に予めカチオン性高分子樹脂を添加せず、中層(1)及び(2)の原料に熱発泡性粒子懸濁液を添加し、その後、前記原料にカチオン性高分子樹脂を添加したこと以外は実施例1と同様にして得た発泡板紙。
[参考例]一般的な外装用段ボール原紙である大王製紙製「ジャストKライナー」を用いた。
表1及び表2中の「発泡層の合計坪量(g/m)」とは、下記の手順に従い各試料の層剥離を行い、JIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した発泡層である中層(1)、または中層(1)及び(2)の合計坪量の値である。
層剥離は以下の手順で行った。まず、各試料から得た各サンプルを室温の水に約1時間浸漬する。水に浸漬した各サンプルを、角を起点として10mmΦ程度の丸棒に巻き付けた後、丸棒を転がして各サンプルをしごく。この操作を各サンプルの四隅の全ての角を起点に繰り返し、各方向からサンプルにしごきの力を加える。これにより、各サンプルの層間の一部が剥離してくるので、これを利用して、裏層、中層(1)(2)、及び表層に分離して層剥離を行う。層剥離を行った後、各サンプルの各層を熱風乾燥機などで十分に乾燥し、試験に使用した。
これら全実施例、比較例、及び参考例についての品質評価、すなわち板紙(全層)の坪量、密度、層間強度、遮水性、保冷性、断熱性、白水中の発泡粒子残存量について評価試験を行った結果は、表3に示すとおりであった。
なお、表3中の「坪量(g/m)」とは、各試料全層、すなわち本発泡板紙全体の坪量でJIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した値である。
「密度(g/cm)」とは、JIS−P8142に記載の「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した坪量と、JIS−P8118に記載の「紙及び板紙―厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した厚さから算出した値である。
「層間強度(mJ)」とは、J.TAPPI No.18−2に規定するインターナルボンドテスタ法により測定した値である。
「遮水率(%)」とは、下記の遮水性評価試験に基づいて測定した値である。すなわち、遮水性評価試験とは、まず、板紙である各試料の表層が容器内面となるように、4つの側面同士、および側面と底面とに継目がないように折りたたみ、縦、横、高さが各15cmの容器を作成し、次に、この容器内に200ccの蒸留水を入れて、ポリエチレン製のシートで容器に蓋をし、20時間後に容器内の蒸留水をメスシリンダーに移し、蒸留水の残存量を測定して評価し、この蒸留水残存量から、発泡板紙の遮水率(%)=〔蒸留水残存量/200cc〕を計測した。なお、この蒸留水は23℃±1℃に調整され、また、遮水性評価試験は、JIS−Z8703に記載の「試験場所の標準状態」に基づき、温度23℃±1℃、湿度50%±2%の条件下で行った。
「保冷率(%)」とは、下記の保冷性評価試験に基づいて測定した値である。すなわち、保冷性評価試験とは、発泡板紙である各試料の表層が容器内面となるように、4つの側面同士、および側面と底面とに継目がないように折りたたみ、縦、横、高さが各5cmの直方体の容器を作成し、この容器の中に、蒸留水を冷凍庫で24時間凍らせて作製した27gの氷を入れて、容器に蓋をし、90分後に容器内に残った氷の質量(氷の残存量)を質量%で算出し、評価した試験である。なお、保冷性評価試験はJIS−Z8703に記載の「試験場所の標準状態」に基づき、温度23℃±1℃、湿度50%±2%の条件下で行った。
「断熱性(W/mk)」とは熱伝導率であり、JIS−A1412の熱流計法に基づき、英弘精機株式会社製の熱伝導率測定器HC−110を用いて測定した値である。なお、測定は温度20℃の条件下で行った。
また、「発泡粒子残存量(白水)」とは、下記の白水中の発泡粒子残存量試験に基づいて目視にて判定した評価である。白水中の発泡粒子残存量試験とは抄紙機にて抄造時の網下白水を採取したものをガラス製メスシリンダーに300cc入れ、ブフナーで東洋濾紙株式会社製No.2のろ紙上に残存粒子だけを取り除き、100〜130℃の乾燥機でろ紙を1分間加熱し、発泡粒子残存量を評価する試験である。なお、評価基準は下記の3段階とした。
(評価基準)
◎:ろ紙上に熱発泡性粒子が微量残存している。
○:ろ紙上に熱発泡性粒子が少量残存している。
×:ろ紙上に熱発泡性粒子が多量に残存している。
Figure 0004343979
表3に示すように、本発明に係る発泡板紙、すなわち実施例1〜実施例26に係る板紙であると品質評価に優れる、すなわち遮水性、保冷性、及び保温性に優れ、また、熱発泡性粒子の歩留も高く、さらにまた、板紙を段ボールケースなどに加工する際の貼合・製函時、また使用時において層間剥離が発生することがないことが分かる。
本発明に係る発泡板紙の層構成を示す概略断面図である。 本発明の変更例に係る発泡板紙の層構成を示す概略断面図である。 本発明の他の変更例に係る発泡板紙の層構成を示す概略断面図である。
符号の説明
10,10′,10′′ 発泡板紙
11 表層
12,13 中層
14,15 裏層

Claims (3)

  1. 少なくとも表層と、単層または複数層から成る中層と、裏層とを有する層構成から成る発泡板紙において、
    予め分子量が100万〜1200万であるカチオン性高分子樹脂を固形分換算で0.5〜3質量%添加して、熱発泡性粒子を凝集させて熱発泡性粒子凝集体を形成させた、スラリー濃度が5〜30%である熱発泡性粒子懸濁液を、少なくとも1層の前記中層に、パルプ固形分に対して、前記熱発泡性粒子が固形分換算で1〜15質量%となるように添加して、前記中層を発泡層とし、
    該発泡層には、熱溶融性繊維をパルプ固形分に対して1〜10質量%含有し、
    また、前記発泡層の合計坪量を25〜80g/m とし、
    さらにJ.TAPPI No.18−2で規定する層間強度が75mJ以上であり、遮水率が81〜92%であることを特徴とする発泡板紙。
  2. 前記熱溶融性繊維は、PET繊維を主原料とする熱溶融性繊維であり、
    また、前記裏層の原料パルプに、サイズ剤を固形分換算で0.3〜1.5質量%添加し、JIS−P8140に基づいて測定した吸水度を30〜80g/m としたことを特徴とする請求項1に記載の発泡板紙。
  3. 熱伝導率が0.05W/mk以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発泡板紙。
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