JP4350145B2 - 片艶紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、片艶紙艶面の紙面pHが5.5〜8.0の中性片艶紙の製造方法に関するものである。本発明は、従来の酸性pH領域(紙面pHが5.5未満)の片艶紙と比較し、古紙パルプの高配合を可能とし、環境保護、省資源に優れ、中性pH領域で抄紙することで経年劣化を抑え、しかもヤンキードライヤーへの貼付性が良好で片艶紙艶面の白紙光沢に優れ、また、サイズ性、不透明度、引張強さ、引裂強さのある片艶紙の製造方法に関するものである。
従来、紙は酸性抄紙による方法が主流で行われてきたが、図書館などに保存されている書籍が50年も経たずに茶色く褪色するとともに、ひどい場合には手を触れただけで粉々に破れる問題が報告された。これは、紙が酸性であると時間の経過とともに紙の劣化が早くなることが明らかになり、長期保管という観点からは、酸性抄紙は適さず、中性抄紙を行う動きが強まった。
また、一方、近年は森林資源の保護やゴミ減量のため、古紙の回収、再利用化が促進されている。しかしながら、古紙中には填料や顔料による灰分が多く含まれており、この古紙を使用して酸性pH領域で抄紙した場合、灰分中の炭酸カルシウムが硫酸バンドと反応し、硫酸カルシウムと二酸化炭素が発生し、スケールや泡を生じる問題がある。このように、一般的な酸性抄紙においては古紙を高配合すること、また、不透明度を向上させるために炭酸カルシウムを含有させることに多くの問題があった。そこで、酸性抄紙から中性抄紙に製造方法を変更するに際しては、従来の酸性ロジンサイズ剤等から中性ロジンサイズ剤やAKDサイズ剤、ASAサイズ剤を用いる製造方法に変更する等により、古紙を高配合し、なおかつ炭酸カルシウムの配合を増やすことの出来る中性抄紙化が進められてきた(特許文献1、特許文献2)。
ところが、ヤンキードライヤーを使用して製造する片艶紙においては、現在も酸性抄紙が一般的である。これは、片艶紙は多筒式ドライヤーを用いて製造する印刷用紙等と異なり、抄紙工程中のドライヤーパートにおいて、表面に研磨加工が施されているヤンキードライヤーに湿紙が圧接されることで、一方の紙表面(片艶紙艶面。なお、反対側を非艶面などという。)に高い艶(白紙光沢)を付与し、表裏が異なった表面性を有する特性をもつ、特異な製造方法によるためである。すなわち、片艶紙の製造において抄紙pHを中性領域とした場合には、湿紙がヤンキードライヤーに貼り付かず、片艶紙の特徴である艶面が得られないのである。なお、この片艶紙は、百貨店等の手提袋用途、封筒用途などとして、長年利用されている用紙である。
しかし、この酸性pH領域での抄紙が一般的な片艶紙においても、紙の経年劣化が早くなるなどの問題から酸性抄紙ではなく中性抄紙化し、また環境保護、省資源の観点から古紙パルプを高配合することが求められている。しかしながら、古紙パルプを配合し、従来どおりの酸性pH領域での製造を行った場合には、古紙パルプに含まれている炭酸カルシウム(持込填料)が硫酸バンドと反応することにより抄紙系内の汚れ、スケールや泡を生じ問題となる。
そこで、一つの手法として、添加する硫酸バンドの量を減少させ中性pH領域で抄紙し、抄紙系内の汚れ、スケールや泡の問題を防止する手法が考えられる。
しかしながら、古紙を配合した片艶紙を中性抄紙化しようとした場合、ヤンキードライヤーの表面は、表面の鉄の劣化を防止するため酸性の状態で皮膜されているため、湿紙を圧接させると、古紙パルプに含まれている炭酸カルシウム(アルカリ性)がヤンキードライヤー表面の酸性と反応し、湿紙がヤンキードライヤーへ貼りつかないという問題が起こる。そして、このヤンキードライヤーへの貼り付き不良の結果、片艶紙艶面の白紙光沢が大きく低下し、本来の片艶紙が得られないという問題がある。
また、古紙パルプの配合、硫酸バンド添加量の減少により、抄紙系内のpHが中性pH領域へと上昇し、サイズ剤の定着不良によるサイズ性の低下、紙の引張強さ、引裂強さの低下なども誘発される問題がある。
特開2001‐032191号公報 特開2001‐073293号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、中性pH領域で抄紙しながらも、ヤンキードライヤーへの湿紙の貼り付きが良好で、片艶紙艶面の白紙光沢が高く、経年劣化を抑えた、また、サイズ性、不透明度、引張強さ、引裂強さのある片艶紙の製造方法を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項記載の発明〕
ヤンキードライヤーを備える抄紙機で製造する一方表面が艶面で他方表面が非艶面の片艶紙の製造方法であって、
少なくとも湿紙形成工程、プレス工程及びヤンキードライヤーによる乾燥工程を備え、
原料パルプの20質量%以上を古紙パルプとし、
前記原料パルプに中性ロジンサイズ剤及び炭酸カルシウムをJIS P 8251に準拠した灰分が5〜15質量%、JIS P 8149に準拠した不透明度が85%以上となるように添加し、
前記プレス工程と前記乾燥工程との間で、前記原料パルプにポリアクリルアミド系樹脂を0.15〜0.6g/m2スプレー塗布することにより、
前記艶面の紙面pHを5.5〜8.0、JIS P 8142に準拠した75度鏡面白紙光沢度を25〜40%とするとともに、JIS P 8116に準拠した横方向(CD方向)の引裂強さを800〜1300mN、JIS P 8113に準拠した縦方向(MD方向)の引張強さを6〜10kN/mとする、
ことを特徴とする片艶紙の製造方法。
本発明によると、中性pH領域で抄紙しながらも、ヤンキードライヤーへの湿紙の貼り付きが良好で、片艶紙艶面の白紙光沢が高く、経年劣化を抑えた、また、サイズ性、不透明度、引張強さ、引裂強さのある片艶紙の製造方法となる。
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態の片艶紙は、原料パルプとして、例えば、クラフトパルプ、機械パルプ、古紙パルプ等が使用できる。上記クラフトパルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプや針葉樹クラフトパルプが使用され、広葉樹クラフトパルプとしては、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)でも、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)でもよく、針葉樹クラフトパルプとしては、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)でも、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)でも、またこれらを混合したものでもよい。ただし、これらのなかでも、NBKP及びLBKPが好ましく、得られる片艶クラフト紙を、特に強度を必要とする製品に適用する場合は、15〜55質量%のNBKPと60〜20質量%のLBKPとの組み合わせとなるように用いることが好ましい。また、機械パルプとしては、GP(グランドウッドパルプ)、PGW(プレッシャライズドグランドウッドパルプ)、RGP(リファイナーグランドウッドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)等が使用できる。これらのなかでもTMPが不透明度向上の点から好ましく、また、全原料パルプ中の5質量%以上、好適には5〜10質量%が機械パルプであるのが好ましい。
本発明は、その課題として、環境保護、資源の有効利用の風潮に応えるべく、全パルプ成分中に古紙パルプを高配合し、中性pH領域で抄紙しながらも、ヤンキードライヤーへの湿紙の貼り付きが良好で、片艶紙艶面の白紙光沢に優れる片艶紙を得ることができる。
しかるに、古紙パルプの原料となる古紙の種類としては、雑誌古紙、チラシ古紙、色上古紙、新聞古紙、ケント古紙、上白古紙、コート古紙、複写古紙等の公知の種々の古紙を使用することができ、これらの古紙を離解し、脱墨あるいは漂白処理したものを使用することもできる。これらの古紙パルプには、炭酸カルシウムが、填料として紙に抄きこまれていたり、顔料として紙の表面に塗られていたりする。本形態は、中性pH領域にて抄紙することができ、硫酸バンドの添加量を減少させることができるため、硫酸バンドがかかる古紙パルプからの持込炭酸カルシウムと過剰に反応することはない。古紙パルプは、全原料パルプ中の20質量%以上含有することが好ましく、40〜60質量%含有することがより好ましい。すなわち、古紙パルプの含有が20質量%以上の場合において、古紙中の持込灰分を有効に利用でき、得られる片艶紙の不透明度を高めることができるなど本発明の効果が特に発揮される。その他、非木材パルプとして、ケナフ、麻、三椏、楮、バガス、竹、雁皮等が使用できる。また、ポリプロピレン、プロピレンランダムコポリマー、ポリエチレンテレフタレートコポリマー、ポリエチレン、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ホルマール化ポリビニルアルコール等の合成繊維を使用することもできる。
また、紙力増強剤を使用することもでき、当該紙力増強剤としては、特に限定はなく、澱粉、変性澱粉、ポリアクリルアミド等が使用できるが、一般的な紙力増強剤としては、主にカチオン性のポリアクリル系紙力増強剤が使用される。しかしながら、カチオン性のポリアクリルアミドを増添すると、カチオンの硫酸バンドと同様に抄紙系内の電荷がプラスに偏るため、ピッチトラブルが発生しやすくなる恐れがある。そこで、本形態では両性共重合PAM(ポリアクリルアミド)を使用することが好ましい。この両性共重合PAMは、接着剤として内添及び/又は外添することも可能である。また、染料や着色顔料などの染色剤等の各種の添加薬品を適宜使用することもできる。
従来の酸性抄紙で古紙高配合の片艶紙を製造する場合、古紙パルプに含まれている炭酸カルシウム(アルカリ性)が、ヤンキードライヤー表面の酸性皮膜と反応する結果、ヤンキードライヤーへの貼り付き不良、また抄紙系内pHが上昇する結果、紙のサイズ性の低下、片艶紙艶面白紙光沢の低下等の問題が起こっていた。
そして、これらの問題を防止するために、従来は、多量の硫酸バンドを添加する手法をとっていた。すなわち、硫酸バンドには、サイズ剤の定着、pH調整等の効果があり、硫酸バンドを多量に添加することで、酸性サイズ剤を定着させ、湿紙を酸性の状態に戻すことで、抄紙系内のpHを維持し、ヤンキードライヤーへ貼り付かせていたのである。しかし、古紙高配合の片艶紙を酸性pH領域で抄紙する方法では、上述記載のように、経年劣化の問題、抄紙系内の汚れ、スケールや泡の問題がある。そこで本形態においては、硫酸バンドの添加量を減少させ、中性pH領域で抄紙しながらも、ヤンキードライヤーへの貼り付きが良好で、なおかつ経年劣化を抑え、抄紙系内の汚れ、スケールや泡の問題を解決した片艶紙の提供を目的とする。すなわち、本形態においては、添加する硫酸バンドの量を減少させ、好ましくは固形分換算で1〜3質量%、より好ましく1.5〜2.5質量%含有させることで、紙面のpHを5.5〜8.0という中性pH領域に保ちながらも、古紙パルプに含まれている持込填料の炭酸カルシウムが硫酸バンドと反応することによる抄紙系内の汚れを防止することができる。添加する硫酸バンドが1質量%未満であると、サイズ剤の定着不良によるサイズ性低下の問題があり、3質量%を超えると、抄紙系内の汚れを引き起こし、その結果、ピッチトラブルが発生する。つまり、従来、硫酸バンド添加量が固形分換算で9〜14質量%であったものを、サイズ剤定着に必要な量だけの添加量(固形分換算で3質量%以下)にすることができ、サイズ剤の定着不良等の問題が生じない。従って、古紙パルプに含まれている炭酸カルシウムと硫酸バンドとが過剰反応することによる抄紙系内の汚れを防止することができるのである。
また、硫酸バンドの添加量を減少させることで、サイズ剤の定着剤として、歩溜り向上剤を使うことも出来る。歩留まり向上剤としては、凝結剤、凝集剤、二成分系歩留剤の3種類があるが、本形態においては、カチオン系、特にアミド系の凝集剤の使用が、濾水性が向上する点から好ましく用いられる。
また、本形態では、紙のサイズ性を維持するため、サイズ剤としては、中性pH領域に近い条件で働く中性ロジンサイズ剤を、固形分換算で0.15〜0.35質量%、より好ましくは0.18〜0.25質量%添加する。すなわち、中性ロジンサイズ剤の添加量が0.15質量%未満となると、所定のサイズ性を得られず、0.35質量%を超えると、抄紙系内での発泡による泡地合が発生する等の操業性にも問題を生じる。中性ロジンサイズ剤を加えることにより、古紙を高配合した中性pH領域での抄造が可能となり、繊維が劣化せず長い間保存可能な、経時劣化に優れる片艶紙とすることができる。
また、本形態においては、中性pH領域にて抄紙することで、従来の酸性抄紙では配合ができなかった炭酸カルシウム等の填料を添加することが可能となる。すなわち、炭酸カルシウムを含有させることで、紙のしなやかさが向上し、また紙の不透明度を向上させることができる。
古紙による持込填料である炭酸カルシウム、クレー、タルクの成分と、新たに添加する填料としての炭酸カルシウムを合わせて、原料パルプ中に含まれる灰分としては、固形分換算で5〜15質量%含有されていることが好ましく、7〜12質量%含有されていることがより好ましい。含有される灰分の質量が5質量%未満となると、不透明度向上効果が少なく、15質量%を超えると、不透明度向上効果には優れるものの、強度が低下する問題、ヤンキードライヤーへの貼り付き性を維持できない問題を生じる恐れがある。
そして、本形態では、片艶紙を中性pH領域にて抄紙することで、酸性で皮膜されているヤンキードライヤーへの貼り付き不良を防ぐため、ポリアクリルアミド系接着剤などを使用する。すなわち、ポリアクリルアミド系樹脂を、後述する方法により、紙中に含有(内添)及び/又は塗布(外添)することにより、たとえ中性pH領域にて抄紙した場合であっても、ヤンキードライヤーへの貼り付きを可能とし、片艶紙艶面の白紙光沢度をあげることができるのである。
ポリアクリルアミド系樹脂としては、アクリルアミドの重合体、メタアクリルアミドの重合体、アクリルアミドとメタアクリルアミドの共重合体等があげられる。そのなかでも、本形態では両性共重合PAM(ポリアクリルアミド)を使用することが好ましい。すなわち、両性共重合性PAMは、自己定着機能を有しているため、紙間強度を向上させるべく両性共重合PAMを増添したとしても、カチオン過多になることはなく、抄紙系内の電荷を安定的に維持できる。このポリアクリルアミド系樹脂を、内添で固形分換算で0.15〜0.3質量%含有し、及び/又は外添で固形分として0.15〜0.6g/m2塗布する。含有・塗布量が下限値未満となると、ヤンキードライヤーへの貼り付き不良による白紙光沢度低下の問題があり、上限値を超えると、紙の剛性が高くなり過ぎ、製袋加工時の製袋不良が発生しやすくなる問題、及びヤンキードライヤーへの貼り付き性が高くなりすぎ、ヤンキードライヤーから剥離時に片艶紙艶面を傷め、逆に白紙光沢が低下する場合がある。このようにポリアクリルアミド系の樹脂を、内添・外添により所定量添加することにより、たとえ古紙を高配合した片艶紙を中性pH領域にて抄紙した場合であっても、ヤンキードライヤーへの貼り付きを可能とし、片艶紙独特の艶面の白紙光沢を維持できるのである。
その他、トウモロコシ、馬鈴薯、タピオカ、小麦、米等の澱粉やこれらの酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉、リン酸変性澱粉、カチオン化澱粉などの澱粉誘導体、ポリアクリルアミド系樹脂やポリビニルアルコールなどの合成水溶性バインダー、スチレン−ブタジエン共重合体などの共重合体ラテックスなどの接着剤を、ポリアクリルアミド系樹脂とともに使用することができる。
前記のごとき抄紙原料を、例えばワイヤーパート、プレスパート、塗工設備、ヤンキードライヤー等を備えた通常の湿式抄紙機にて抄紙し、片艶紙を得ることができる。
本形態の片艶紙は、例えば、百貨店等の手提げ袋や封筒用紙などを製造する際の原紙などとして使用されるものであり、ドライヤーパートにて、湿紙をヤンキードライヤーと圧接ロールとの間に通して得る。すなわち、原料パルプの20質量%以上が古紙パルプに、中性ロジンサイズ剤を固形分換算で0.15〜0.35質量%添加し、硫酸バンド添加量を固形分換算で0.5〜1.5質量%と減少させて添加し、なおかつポリアクリルアミド系樹脂を内添で固形分換算で0.15〜0.3質量%含有及び/又は外添で0.15〜0.6g/m2塗布することで、得られる片艶紙中の灰分を5〜15質量%とし、片艶紙艶面のpHを5.5〜8.0としつつ、圧接された表面(片艶紙艶面)のステキヒトサイズ度を15〜55秒、好ましくは25〜35秒とし、紙の横方向(CD方向)の引裂強さが800〜1300mN、縦方向(MD方向)の引張強さが6〜10kN/m、75度鏡面白紙光沢度が25〜40%、好ましくは28〜36%、より好ましくは30〜34%となるように乾燥処理する。このように構成したことにより、中性pH領域であっても、ヤンキードライヤーへの貼り付きが良好で、片艶紙艶面の光沢のある、経年劣化を抑えた、また、サイズ性、不透明度、引張強さ、引裂強さのある片艶紙を製造することが出来る。
各構成をより詳細に説明すると、紙面のpHが5.5未満となると、従来の酸性抄紙で発生する諸問題、すなわち長期保管に適さない経年劣化の問題があり、pHが8.0を超えると、ヤンキードライヤーへの貼り付きを補助するポリアクリルアミド系樹脂の接着剤が紙由来のアルカリ性により影響を受け、接着剤の効果が低下する問題がある。表面のステキヒトサイズ度が15秒未満であると、製袋加工時の糊の貼り付き不良や印刷加工時のインキ浸透性に起因する印刷仕上がりが低下する問題があり、55秒を超えると印刷時のインキ乾燥不良が発生する可能性がある。また、横方向(CD方向)の引裂強さが800mN未満、縦方向の引張強さが6kN/m未満となると、片艶紙としての所定の強度を維持できなくなる問題がある。横方向(CD方向)の引裂強さが1300mNを超え、縦方向の引張強さが10kN/mを超えると、剛度が高すぎて、印刷加工時の罫線割れを起こす問題がある。75度鏡面光沢度が25%未満となると、片艶紙艶面の光沢不良による印刷仕上がりの低下が問題となり、40%を超えると、抄紙ヤンキードライヤーへの貼り付き剥がれの問題がある。
本形態の片艶紙の坪量は特に限定されないが、あまりにも坪量が低い場合には塗工液を塗布する場合、塗工液が用紙に含浸し過ぎる恐れがあり、製造設備の汚れ、断紙が生じ易くなるおそれがあるので、JIS P 8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に記載の方法に準拠して測定して、80〜120g/m2であることが好ましい。80g/m2未満となると、手提げ袋や封筒用紙に必要な所定の強度が得られない。また、120g/m2を超えると、後述するヤンキードライヤーの乾燥能力に余力がなくなり、片艶紙に塗工液を塗工した後の乾燥能力が低下し、艶(白紙光沢)の低下及び表面強度のムラが生じる恐れがあるので、120g/m2以下であることが好ましい。
次に、前述のポリアクリルアミド系樹脂を塗布する場合、塗布方法はスプレー方式であることが好ましい。本形態の製造方法においては、少なくとも湿紙形成工程、プレス工程、及び、ヤンキードライヤーによる乾燥工程が備えられており、好ましくはプレス工程と乾燥工程との間で、より好ましくは乾燥工程の直前であるヤンキードライヤーの入口で、スプレー塗布することが好ましい。すなわち、ポリアクリルアミド系樹脂を付与した後、短時間でヤンキードライヤーでの乾燥に供されると、湿紙内部にポリアクリルアミド系樹脂が浸透する前に表面層が形成されるという利点があるからである。また、ポリアクリルアミド系樹脂の付与は、湿紙形成工程と乾燥工程との間のうち、湿紙形成工程とプレス工程との間で行ってもよい。湿紙形成工程とプレス工程との間で表面処理液を付与する場合は、湿紙形成工程後の片艶紙(湿紙)が高い水分率の状態にあるので、ポリアクリルアミド系樹脂が紙層中に浸透し難く、ポリアクリルアミド系樹脂の湿紙内への沈み込みを防止することができ、被覆性により、優れた表面層が形成され易いという利点がある。
また、ポリアクリルアミド系樹脂をスプレー塗布する場合には、湿紙がヤンキードライヤーに接する面全面に塗布されていることが好ましく、さらに好ましくは、ヤンキードライヤーの幅方向両端10cm程度の、湿紙とドライヤーの接着が最も弱い両耳部に接着剤を多めに塗布するよう調整されることが好ましい。
本形態の片艶紙は、公知のヤンキー抄紙機を用いて製造することが出来る。長網ヤンキー抄紙機のほか、円網ヤンキー抄紙機、円網短網コンビネーションヤンキー抄紙機等でもよい。
以上のように接着剤が塗布されることにより、たとえ片艶紙を中性pH領域で抄紙した場合であっても、ヤンキードライヤーへの貼り付き不良を解消することができ、片艶紙特有の艶面の白紙光沢を得ることができるのである。
以上のような手法により、硫酸バンドの添加を減少させ、中性pH領域で抄紙しながらも、ヤンキードライヤーへの貼り付きが良好で、片艶紙艶面の白紙光沢が高く、経年劣化を抑えた、また、サイズ性、不透明度、引張強さ、引裂強さのある片艶紙及びその製造方法を提供可能とするに至った。
次に、本願発明を、実施例及び比較例に基づいて詳述する。なお、本願発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、フリーネス600ml)配合30重量%、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、フリーネス400ml)配合20重量%、古紙(DIP)配合45重量%、機械パルプ(CTMP)5重量%の原料パルプを用い、内添薬品として、固形分換算で硫酸バンド10質量%、中性ロジンサイズ剤(商品名:NS74;ハリマ化成社製)固形分換算で0.25質量%、紙力増強剤(商品名:DS4360;星光PMC(株)製)固形分換算で10質量%、紙中の灰分が10質量%となるよう炭酸カルシウム(商品名:TNC−C30;東洋電化工業(株)社製)を加え、ポリアクリルアミド系接着剤(商品名:CA6078;星光PMC製)をヤンキードライヤーの入口部にて、固形分として0.3g/m2スプレー塗工して、長網ヤンキー抄紙機で坪量120g/m2の片艶紙を抄造した。得られた片艶紙のステキヒトサイズ度、紙面pH(艶面)、引張強さ(縦方向・MD方向)、引裂強さ(横方向・CD方向)、不透明度、白紙光沢、褐色性、貼付性を評価した。評価結果を配合とともに表1に示した。なお、評価方法は、次のとおりとした。
米坪(坪量):JIS P 8124「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
ステキヒトサイズ度:JIS P 8122「紙及び板紙‐サイズ度試験方法‐ステキヒト」に準拠して測定した。
紙面pH:JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.6−75に従い、共立理化学研究所などで販売されている紙面のpH測定用指示薬溶液(測定範囲pH2.4〜10.0)を用いて片艶紙艶面を測定して得たものである。
引張強さ:JIS P 8113「紙及び板紙‐引張特性の試験方法」に準拠して測定した。
引裂強さ:JIS P 8116「紙‐引裂強さ試験方法‐エルメンドルフ形引裂試験機法」に準拠して測定した。
不透明度:JIS P 8149「紙及び板紙‐不透明度試験方法(紙の裏当て)‐拡散照明法」に準拠して測定した。
白紙光沢度:製品用紙の片艶紙艶面に対して、JIS P 8142「紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法」に準拠して測定した。
褪色性:フェードメーター(商品名:耐光試験機FAL−5、紫外線ロングライフフェードメーター、スガ試験機(株)製)にて1ヶ月分の日光照射に相当する10時間処理を行った。この処理前後の色差(b値)(JIS Z 8729参照)をカラーアナライザー(グレタグマクベス社製分光光度計)にて測定し、b値の差異により判断した。
◎:b値の差異が3未満
○:b値の差異が3以上、5未満
△:b値の差異が5以上、7未満
×:b値の差異が7以上
貼付性:ヤンキードライヤーからの片艶紙の剥離状況を目視により判断した。
◎:酸性抄紙時の剥離位置で剥がれる。
○:酸性抄紙時の剥離位置手前の20cm未満上で剥がれる。
△:酸性抄紙時の剥離位置の20cm以上〜40cm未満上で剥がれる。
×:酸性抄紙時の剥離位置の40cm以上〜50cm未満上で剥がれる。または接着性が高すぎ紙面が傷む。
Figure 0004350145
〔その他の実施例及び比較例〕
パルプ配合、サイズ剤の種類・添加量、灰分、接着剤の種類・添加量・添加方法を表1の通りにした以外は実施例1と同様にして、製袋用片艶紙を抄造した。艶面の紙面pHは原料パルプへ添加する硫酸バンドの添加量により調整した。硫酸バンドの添加量は比較例3を除いて、0.5〜1.5質量%の範囲内であった。比較例3の硫酸バンド添加量は5%であった。実施例1と同様の評価を行った。結果は表1に示した。
本発明は、艶面の紙面pHが5.5〜8.0でありながら、高い白紙光沢度を有する片艶紙の製造方法として適用可能である。

Claims (1)

  1. ヤンキードライヤーを備える抄紙機で製造する一方表面が艶面で他方表面が非艶面の片艶紙の製造方法であって、
    少なくとも湿紙形成工程、プレス工程及びヤンキードライヤーによる乾燥工程を備え、
    原料パルプの20質量%以上を古紙パルプとし、
    前記原料パルプに中性ロジンサイズ剤及び炭酸カルシウムをJIS P 8251に準拠した灰分が5〜15質量%、JIS P 8149に準拠した不透明度が85%以上となるように添加し、
    前記プレス工程と前記乾燥工程との間で、前記原料パルプにポリアクリルアミド系樹脂を0.15〜0.6g/m2スプレー塗布することにより、
    前記艶面の紙面pHを5.5〜8.0、JIS P 8142に準拠した75度鏡面白紙光沢度を25〜40%とするとともに、JIS P 8116に準拠した横方向(CD方向)の引裂強さを800〜1300mN、JIS P 8113に準拠した縦方向(MD方向)の引張強さを6〜10kN/mとする、
    ことを特徴とする片艶紙の製造方法。
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