JP2023154645A - 密封容器用包装原紙およびその製造方法 - Google Patents

密封容器用包装原紙およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、紙が折れても破れにくく、外部からの衝撃、流通時に鋭利物や突起物との接触に対しても破れにくい密封容器用包装原紙を提供することである。【解決手段】本発明はパルプを主成分とする密封容器用包装原紙であって、前記パルプの70質量%以上が針葉樹晒クラフトパルプであり当該パルプの比ゼロスパン引張強さが0.08kN・m/g以上であることを特徴とする、密封容器用包装原紙に関する。【選択図】なし

Description

本発明は密封容器用包装原紙に関し、紙が折れても破れにくく、外部からの衝撃、流通時に鋭利物や突起物との接触に対しても破れにくい密封容器用包装原紙およびその製造方法に関する。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量は4億トン/年を超えると言われ、その中でも包装容器セクターでのプラスチック生産量が特に多く、プラスチックゴミの主な原因になっている。包装容器に使用されるプラスチックとしては、飲料のボトル等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、レジ袋や容器のラミネートに使用されるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)が最も多く使用されている。プラスチックは半永久的に分解せず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化して生態系に深刻な悪影響を与えており、特にマイクロプラスチックによる海洋の汚染は著しく、そのプラスチックゴミは回収不可能と言われている。今後、プラスチックの使用を低減することが地球環境にとって必要である。
この問題に対し、プラスチック包装を紙素材の包装に置き換える動きが盛んである。例えば、密封包装であれば、紙基材にラミネートやヒートシール層を設けた形態の製品が種々発売されている。しかし、紙はプラスチック素材と比べて折れやすいため、折り曲げに対する強度が不十分であれば折り目から破れやすく、また流通時に鋭利物や突起物との接触等の衝撃により穴が開きやすく破れやすいといった問題がある。このような問題が発生すると、内容物が漏れてしまうため、密封容器としては不適切である。
このような問題を回避するためには、紙の強度、特に耐折強度や鋭利物や突起物との接触といった衝撃への抵抗性を高める必要がある。そのためには、パルプとして未晒しクラフトパルプを使用することで紙の強度を保障した密封容器用包装原紙が開発されてきた。
例えば、特許文献1においては、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)を主に用いた重袋用の包装用紙が開示されている。当該包装用紙は、破断伸び縦横ともに6%以上であり、透気度5秒以下、印刷適性、粉体の充填適性が良好で、破袋し難いという利点がある。さらに、引用文献2においては、重量平均繊維長が2.3~4mmである、針葉樹、特にダグラスファーを原木とする未晒クラフトパルプによって、離解フリーネスが600~680ml、引張強度(引張強さ)が縦4.5以上、横2.2kN/m以上、引裂強度が縦760以上、横方向で810mN以上、透気度が10~25秒である重包装用クラフト紙が開示されている。その製造過程において、粘状叩解によって繊維をマイクロフィブリル化し、繊維長の長い繊維を使用することで強度を高めており、当該包装用クラフト紙はその強度を下げることなく、高い透気性を有している。
さらに、外観や印刷適正を改善するために晒クラフトパルプを使用した包装原紙も開発されてきた。紙基材に強度を付与する技術として、特許文献3では優れたサイズ性と、湿潤および乾燥時の紙力を有するために、置換度0.3~0.6のカルボキシメチルセルロースを0.01~3.0質量%添加することを特徴とする包装紙についての提案されている。また、特許文献4では優れた内部結合強度および耐折強度を得るため、10~100質量%のアクリル酸メチルと0~90質量%のメタクリル酸メチルおよび/またはアクリル酸エチルとに由来する構成単位を75~98質量%、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドのN-アルキル置換体および(メタ)アクリル酸から選ばれた1種以上の単量体に由来する構成単位を2~15質量%、各々含有し、かつ、ガラス転移温度(Tg)が-30~+30℃であるアクリル酸エステル系共重合体からなることを特徴とする含浸用樹脂を含浸させた含浸紙について提案されている。
特開2014-205934号公報 特開2006-089889号公報 特開2003-027399号公報 特開2005-281431号公報
しかしながら、プラスチックの代替品として未晒クラフトパルプを使用した包装用紙では、十分な強度が得ることができる一方で、未晒クラフトパルプでは茶褐色であり特に美観に優れた印刷を行うことができず外観の面で使用用途が限定され、また紙として固く加工適正に優れないという問題があった。一方晒クラフトパルプを使用した包装用紙では、十分な強度が得ることができず、特に鋭利物等の衝撃に対する抵抗性に問題があった。具体的には、流通時に鋭利物や突起物との接触等の衝撃により穴が開きやすく破れやすいといった欠点があった。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、外観に優れ、印刷が映える晒クラフトパルプを使用しつつ、耐衝撃性に優れ、内容物を包装した後の流通時等での衝撃などでも破れにくい強度を保持できるプラスチック製品の代替品としての密封容器用包装原紙を提供することを課題とする。
パルプを主成分とする密封容器用包装原紙であって、前記パルプの70質量%以上が針葉樹晒クラフトパルプであり当該パルプの比ゼロスパン引張強さが0.08kN・m/g以上であることを特徴とする。このような構成によれば、鋭利物や突起物との接触等による衝撃への抵抗性(耐衝撃性)が高く、内容物を包装した後も破れにくい密閉容器を得ることができる。なお、本発明において、密封容器とは、主に食品用のレトルトパウチ、シャンプーおよび洗剤用の密封容器など比較的気密性の高い容器、さらには、気体は透過するものの、通常の取り扱い、運搬または保存状態において、固体や液状の異物が侵入せず、内容物の損失、風解、潮解または蒸発を防ぐことのできる容器をも含む。
また、本発明の密封容器用包装原紙は、さらにサイズ剤および/または乾燥紙力増強剤を含有していても良い。さらに、原紙の少なくとも一方の面にカルボキシメチルセルロースが塗布されているとよい。このような構成によれば、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙を得ることができる。
また、本発明の密封容器用包装原紙の米坪量は、80~300g/mであってもよい。このような構成とすることで密封容器用包装原紙として必要とされるしなやかさを保持しながら耐衝撃性等の諸強度を確保しやすくなる。
また、本発明の密封容器用包装原紙からなる密封容器は、内容物を包装した後の流通時等での衝撃などでも破れにくいことから保管や輸送に適した容器となり、特に液体、例えば、食品用のレトルトパウチ、シャンプーや洗剤の容器、さらには粉体の容器として好適である。
また、本発明の密封容器用包装原紙の製造方法は、パルプを主成分とする密封容器用包装原紙の製造方法であって、針葉樹晒クラフトパルプを70%質量%以上含んだ比ゼロスパン引張強さが0.08kN・m/g以上のパルプよりパルプスラリーを得て、該パルプスラリーに、サイズ剤を添加して原料スラリーを調整し、該原料スラリーを用いて抄紙機にて原紙を抄紙する工程を含むことを特徴とする。好ましくは、前記抄紙時には基紙にカルボキシメチルセルロースを含浸または塗布する工程を含むことができる。
さらに、パルプスラリーを叩解することでJIS P 8121-2012「パルプ―濾水度試験方法-第2部:カナダ標準濾水度法」に準拠して測定したフリーネスを500mlCSF~680mlCSFに調整することができる。これによって、繊維長や繊維間結合強度を適切なものに制御することができ、また適切な範囲の比ゼロスパン引張強さを有するクラフトパルプを得ることができる。
本発明の密封容器用包装原紙は、白色であり外観に優れ、印刷が映えるだけでなく、内容物包装後に流通時の衝撃などへの抵抗性に優れるため、包装袋などの密封容器として好適に使用することができ、従来プラスチック包装であったものの一部または全部を紙製包装に代替するための原紙として好適に用いることができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明に用いる密封容器用包装原紙はパルプを主成分とする。ここで用いるパルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)に代表される木材漂白化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、リファイナーグラウンドパルプ(RGP)、砕木パルプ(GP)に代表される機械パルプなどが挙げられる。本発明の密封容器用包装原紙におけるパルプの占める割合としては、特に限定するものではないが、90質量%以上、例えば、密封容器用包装原紙中において、パルプが90~99質量%とすることが好ましい。填料などの充填剤を添加することでパルプの占める割合を低くすることは可能であるが、同時に紙の諸強度の低下も招くため、好ましくない。
本発明においては、前記パルプの70質量%以上を針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)とする。好ましくは75質量%以上、80質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上である。例えば、全パルプ中針葉樹パルプを70~100質量%、さらには75~100質量%、80~100質量%、85~100質量%、90~100質量%、例えば、95~100質量%とすることが好ましい。本発明においては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)などのNBKP以外のパルプを一定量含ませることもできる。しかしながら、比ゼロスパン引張強さを0.08kN・m/g以上とするには、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を70質量%以上含む主成分とすることが必要となる。それによって、紙の強度、特に耐折強度や鋭利物や突起物との接触といった衝撃への抵抗性を高めることができる。
本発明においては、針葉樹晒クラフトパルプとしては、特に限定することなく、松やトウヒ、モミなどの既知の針葉樹からなるパルプを使用できる。例えば、ラジアータ松、スコッチ松、コントルタ松、シベリア松、テーダ松、大王松、スラッシュ松、黒トウヒ、白トウヒ、シベリアトウヒ、ドイツトウヒ、バルサムモミ、ミヤマバルサムモミ、シベリアモミなどの樹種の針葉樹晒クラフトパルプが選択される。特に、ラジアータ松、白トウヒ、ミヤマバルサムモミ、コントルタ松のいずれか一つ以上を主成分とする針葉樹晒クラフトパルプを使用することが好ましい。これらの樹種のパルプは単繊維強度が高いと考えられ、これらを主成分としたパルプに基づく紙であれば比ゼロスパン引張強さが高くなる傾向がある。本発明においては、比ゼロスパン引張強さが0.08kN・m/g以上である針葉樹晒クラフトパルプであればいずれであっても良いが、ラジアータ松晒クラフトパルプ、白トウヒ晒クラフトパルプ、ミヤマバルサムモミ晒クラフトパルプ、コントルタ松晒クラフトパルプから成る群から選択される一つ以上から成るか、それを主成分とした、例えば、パルプ中それらの樹種のパルプの一つもしくは二つ以上が60~100質量部、さらには80~100質量部、好ましくは90~100質量部含まれる針葉樹晒クラフトパルプが使用されることが好ましい。
本発明の密封容器用包装原紙とその製造方法においては、比ゼロスパン引張強さが高い針葉樹晒クラフトパルプを使用することを必須としている。すなわち、比ゼロスパン引張強さが0.08kN・m/g以上上である針葉樹晒クラフトパルプを使用し、さらに好ましくは比ゼロスパン引張強さが0.084kN・m/g以上、例えば、比ゼロスパン引張強さが0.084kN・m/g~0.100kN・m/gである針葉樹晒クラフトパルプを使用する。本発明は用紙の強度、特に鋭利物への耐性を目的としている。その鋭利物への耐性は、「単繊維強度、繊維長、繊維間結合強度」によって得られると推定されるが、この中でも単繊維強度が最も寄与していると考えられる。そこで、単繊維強度に着目して比ゼロスパン引張強さを指標とした。比ゼロスパン引張強さに対しては単繊維強度の影響が非常に大きく、単繊維強度の評価方法として適している。紙の強度としてよく知られている引張強さは繊維間結合強度の寄与が大きく、単繊維強度の寄与は小さい。
比ゼロスパン引張強さのコントロール方法として、比ゼロスパン引張強さの高い樹種を使用したパルプを使用する他に、様々なパルプの処理によってコントロールすることが可能である。例えば製法、蒸解処理方法、漂白処理方法や叩解処理方法などによってコントロールされうる。
本発明の製造方法において、用いるパルプは叩解によって、JIS P 8121-2012「パルプ―濾水度試験方法-第2部:カナダ標準濾水度法」に準拠して測定したフリーネスを500mlCSF~680mlCSFに調整することが好ましく、特に、550mlCSF~670mlCSF、例えば、580mlCSF~660mlCSF、600mlCSF~650mlCSFとすることがより好ましい。このような範囲とすることで、強度を維持しつつ地合の良好な紙とすることができる。すなわち、このようなフリーネスの範囲であれば、繊維長や繊維間結合強度を適切なものに制御することができ、また適切な範囲の比ゼロスパン引張強さを有するクラフトパルプを得ることができる。
原料パルプの叩解方法は特に限定するものではなく、ビーター、ジョルダン、デラックス・ファイナー、ダブル・ディスク・レファイナー等、いずれの叩解機を単独または併用して使用してもよい。
本発明の密封容器用包装原紙には、紙力増強剤として、乾燥紙力増強剤を含有させることが好ましい。本発明に用いる乾燥紙力増強剤としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉または変性澱粉などの澱粉類、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ゴム系ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂などがあげられ、これらの中から1種以上使用することができる。これらの中でもポリアクリルアミド系樹脂、特に定着性に優れる両性ポリアクリルアミド系樹脂が好ましい。これらの原紙への適用方法は特に限定するものではなく、内添法または外添法を用いることができるが、パルプスラリーに添加(内添)して用いることで耐衝撃性に優れた原紙を得やすくなる。
密封容器用包装原紙における乾燥紙力増強剤の含有量としては、パルプ100質量部に対して、0.05~1.5質量部、さらには0.1~1.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.1~0.5質量部である。0.05質量部未満では耐衝撃性に乏しくなるおそれがある。逆に1.5質量部を超えると、抄紙機において紙力増強剤由来の凝集物が発生し、紙に汚れが生じる恐れがある。
本発明においては、密封容器用包装原紙に、さらにサイズ剤を含有させてもよい。ここで用いることができるサイズ剤としては、パラフィンワックス系サイズ剤、マイクロクリスタリンワックス系サイズ剤、カルナウバ(カルナバワックス)系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、スチレンアクリル系サイズ剤等の中から1種以上を使用することができる。本発明の密封容器用包装原紙は、後述するように基紙の表面にカルボキシメチルセルロースが塗布されたものであるが、基紙にサイズ剤を含有させることによって、カルボキシメチルセルロースが基紙内部に浸透することを抑制し、原紙表面に残りやすくなる。結果として、より耐衝撃性に優れた密閉容器用包装原紙とすることができる。基紙へのサイズ剤の付与方法としては、特に限定するものではなく、内添法または外添法を用いることができるが、パルプスラリーに添加(内添)して用いることが好ましい。外添する場合は原紙にサイズ剤を塗布した後にカルボキシメチルセルロースを塗布することが好ましい。サイズ剤の含有量としては、パルプ100質量部に対して、0.05~2.0質量部、さらには0.1~1.0質量部であることが好ましい。本発明においては、例えば、サイズ剤としてロジン系サイズ剤、好ましくは変性ロジンエマルションをパルプ100質量部に対して、0.05~2.0質量部、さらには0.1~1.2質量部、好ましくは0.1~0.8質量部加えることが好ましい。
本発明の密封容器用包装原紙には、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、硫酸バンド、填料、歩留まり向上剤、着色染料、着色顔料、嵩高剤等の各種製紙用資材を含有させることができる。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、硫酸バリウム、合成樹脂填料などの公知の填料を1種以上使用することができる。例えば、パルプ100質量部に対して、0.1~2.0質量部の硫酸バンドを含むことができる。
本発明において基紙の抄紙方法は特に限定するものではなく、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機、これらの抄紙機のコンビネーション抄紙機など従来から周知の抄紙機を使用して抄造できる。抄紙機における乾燥方法としては特に限定するものでは無く、多筒シリンダードライヤー方式、ヤンキードライヤー方式、熱風乾燥に代表される空気乾燥方式、赤外線装置に代表される輻射乾燥方式などを用いることができる。それらの中でも多筒シリンダードライヤー方式またはヤンキードライヤー方式が好ましく、特にヤンキードライヤー方式がより好ましい。ヤンキードライヤー方式で乾燥することにより基紙の片面にヤンキードライヤーの鏡面が転写されて片艶の紙となり、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙を得ることができる。
本発明において密封容器用包装原紙は、2層以上の抄き合わせとすることが好ましい。このような構成とすることで地合のムラを抑制し、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙とすることができる。地合ムラが存在すると、地合の薄い箇所で破れやすく、局所的に耐衝撃性に乏しい箇所が生じるおそれがある。
本発明の密封容器用包装原紙はカルボキシメチルセルロースを基紙の少なくとも一方の面に塗布することが好ましい。カルボキシメチルセルロースを紙基表面に塗布することで、単繊維強度を高める効果を期待でき、繊維間結合の補強、繊維間の空隙の補填、被膜による強度付与等の効果が得られ、引張強さ等の物性を高めることができ、耐衝撃性が向上させることができる。さらに、紙表面に塗布することによって、繊維間結合の補強、繊維間の空隙の補填、被膜による表面強度付与等の効果が得られ、より耐衝撃性を向上させることができる。
本発明に用いるカルボキシメチルセルロースは、例えば、置換度0.6~0.7、重合度220~250、分子量47000~135000のものを用いることができる。分子量は、特に47000~54000が好ましい。上記範囲であれば水に容易に溶解し、粘度も低いことから操業性も良く、基紙に均一に浸透・含浸しやすく、耐衝撃性が向上しやすい。
カルボキシメチルセルロースの塗布方法は特に限定するものでなく、各種公知の塗工装置または含浸装置を用いることができ、例えば、サイズプレス方式、ディッピング方式、コーター方式、スプレー方式等の塗布方式が使用可能である。カルボキシメチルセルロースを基紙表面に付着させることで、紙の表面強度が向上し、擦れや耐衝撃性が向上することから、密封容器用包装原紙として好適に用いることができる。基紙へのカルボキシメチルセルロースの付着量は0.3~2.5g/m、例えば、0.4~2.0g/mが好ましい。より好ましくは0.5~1.5g/mである。0.3g/m未満では耐衝撃性に劣るおそれがある。2.5g/mを超えると、密封容器用包装原紙の剛度が高くなりすぎて紙割れが発生しやすく、破れやすくなるおそれがあり、包装袋等への加工適性も低下するおそれがある。
カルボキシメチルセルロースを基紙に塗布した後の乾燥方式としては、特に限定するものでなく、多筒シリンダードライヤー方式、ヤンキードライヤー方式、エアードライヤー方式などの熱風乾燥に代表される空気乾燥方式、赤外線装置に代表される輻射乾燥方式などを用いることができる。
本実施形態において、米坪量は、80~300g/mであってもよい。好ましくは、100~250g/mであるとよい。このような構成とすることで耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙得ることができる。坪量が80g/m未満であれば耐衝撃性に劣るおそれがある。また、300g/mを超えると耐衝撃性は高くなるが、剛度も高くなり過ぎるため、包装袋等への加工適性が低下するおそれがある。
本発明において密封容器用包装原紙は、カレンダー処理をすることができる。カレンダー方法は特に限定されるものではなく、マシンカレンダーやスーパーカレンダー等を使用することが可能である。カレンダー処理により繊維間の空隙を潰すことで、空隙が多く繊維密度が低いために衝撃に対して局所的に弱い箇所を減らすことができ、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙とすることができる。
本発明の密封容器用包装原紙は、例えば、接着剤やヒートシール性のある樹脂等を塗布し、そのまま製袋加工を行って袋状の密封容器として使用することも可能である。また、一方の面にポリエチレン等のラミネートを施した後に製袋加工を行って密封容器とすることも可能である。このようなラミネートを施すことはプラスチック材料の使用となるが、密封容器の一部が紙製となることでプラスチックの減量に繋がる。製袋加工の形態は特に限定されず、用途に応じて、例えばピロー包装やキャラメル包装、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」は、特に断らない限りそれぞれ「固形部」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
フリーネス630mlCSFまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ100部を水中に分散してパルプスラリーを調製し、該パルプスラリー中にサイズ剤(商品名:AL1300/星光PMC社製、変性ロジンエマルション)を0.5部、硫酸バンド1.2部をパルプ重量に対して添加し紙料を得た後、円網抄紙機によって抄紙後、ヤンキードライヤーで乾燥し、米坪量が100g/mの基紙を得た。なおパルプの比ゼロスパン引張強さは0.085kN・m/gであった。
(実施例2)
フリーネス600mlCSFまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ100部を水中に分散して比ゼロスパン引張強さが0.086kN・m/gのパルプからパルプスラリーを調製し、パルプスラリー中に乾燥紙力増強剤(商品名:DS4433/星光PMC社製、ポリアクリルアミド樹脂)0.2部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(実施例3)
<基紙の製造>
フリーネス600mlCSFまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ100部を水中に分散して比ゼロスパン引張強さが0.086kN・m/gのパルプからパルプスラリーを調製したことを除き実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得て、それを基紙として、以下に使用した。
<塗布>
さらに、得られた原紙をそのまま円網抄紙機に設備されているサイズプレスにて、カルボキシメチルセルロース水溶液(商品名:セロゲンPR、第一工業製薬社製、置換度0.6~0.7、重合度220~250、分子量47000~54000)を含浸し、ドライヤーで乾燥させて目的とする密封容器用包装原紙を得た。基紙へのカルボキシメチルセルロースの付着量は基紙の両面あたり1g/mであった。
(実施例4)
<基紙の製造>
パルプスラリー中に乾燥紙力増強剤(商品名:ハーマイドEX234/ハリマ化成社製、ポリアクリルアミド樹脂)0.2部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得て、それを基紙として、以下に使用した。
<塗布>
さらに、得られた原紙をそのまま円網抄紙機に設備されているサイズプレスにて、カルボキシメチルセルロース水溶液(商品名:セロゲンPR、第一工業製薬社製、置換度0.6~0.7、重合度220~250、分子量47000~54000)を含浸し、ドライヤーで乾燥させて目的とする密封容器用包装原紙を得た。基紙へのカルボキシメチルセルロースの付着量は基紙の両面あたり0.3g/mであった。
(実施例5)
フリーネス570mlCSFまで混合叩解した針葉樹晒クラフトパルプ90部と広葉樹晒クラフトパルプ10部を水中に分散して比ゼロスパン引張強さが0.081kN・m/gのパルプからパルプスラリーを調製したことを除き実施例4と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例1)
フリーネス750mlCSFの針葉樹晒クラフトパルプ100部を水中に分散して比ゼロスパン引張強さが0.073kN・m/gのパルプからパルプスラリーを調製したことを除き実施例4と同様にして密封容器用包装原紙を得て、それを基紙として、実施例4と同様にカルボキシメチルセルロースを実施例4と同様に含侵させた。基紙へのカルボキシメチルセルロースの付着量は基紙の両面あたり1g/mであった。
(比較例2)
フリーネス420mlCSFまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ100部を水中に分散して比ゼロスパン引張強さが0.078kN・m/gのパルプからパルプスラリーを調製したことを除き実施例4と同様にして密封容器用包装原紙を得て、それを基紙として、実施例4と同様にカルボキシメチルセルロースを実施例4と同様に含侵させた。基紙へのカルボキシメチルセルロースの付着量は基紙の両面あたり1g/mであった。
(比較例3)
フリーネス600mlCSFまで混合叩解した針葉樹晒クラフトパルプ60部と広葉樹晒クラフトパルプ40部を水中に分散して比ゼロスパン引張強さが0.069kN・m/gのパルプからパルプスラリーを調製したことを除き実施例4と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例4)
フリーネス550mlCSFまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ100部を水中に分散して比ゼロスパン引張強さが0.072kN・m/gのパルプからパルプスラリーを調製したことを除き実施例4と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
得られた密封容器用包装原紙について、以下に示す方法により評価を行った。得られた結果をその成分の概略と共に表1に示す。
(パルプの比ゼロスパン引張強さ)
任意の条件で叩解したパルプ100部を水中に分散してパルプスラリーを調製し、標準角型シートマシンによって手抄きシートを得た。この手抄きシートについてJIS P 8227:2008に準拠して比ゼロスパン引張強さを測定した。
(比引張強さ)
JIS P 8113:2006「紙および板紙-引張特性の試験方法-第2部:定速伸張法」に準拠して、密封容器用包装原紙の引張強さ(kN/m)を測定した。
(耐衝撃性)
試験片を固定し、木槌で25mm±0.7mmの円錐状の治具を叩いて試験片に穴をあけたときの抵抗感を5段階で官能評価した。5が最も抵抗を強く感じ、1が最も抵抗が弱く容易に穴が開いたことを表す。評価3以上で合格とする。試験は、試験者に対象試験片がわからないようにした状態で行った。
各実施例および比較例で得られた密封容器用包装原紙の構成の概要と評価結果を表1に示す。各実施例で得られた密封容器用包装原紙は比引張強さおよび耐衝撃性に優れたものであった。
Figure 2023154645000001

Claims (8)

  1. パルプを主成分とする密封容器用包装原紙であって、前記パルプの70質量%以上が針葉樹晒クラフトパルプであり当該パルプの比ゼロスパン引張強さが0.08kN・m/g以上であることを特徴とする、密封容器用包装原紙。
  2. さらにサイズ剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の密封容器用包装原紙。
  3. さらに乾燥紙力増強剤を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の密封容器用包装原紙。
  4. 原紙の少なくとも一方の面にカルボキシメチルセルロースが塗布されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の密封容器用包装原紙。
  5. 米坪量が80~300g/mであることを特徴とする、請求項1または2に記載の密封容器用包装原紙。
  6. パルプを主成分とする密封容器用包装原紙の製造方法であって、針葉樹晒クラフトパルプを70%質量%以上含んだ比ゼロスパン引張強さが0.08kN・m/g以上のパルプよりパルプスラリーを得て、該パルプスラリーに、サイズ剤を添加して原料スラリーを調整し、該原料スラリーを用いて抄紙機にて原紙を抄紙する工程を含むことを特徴とする、密封容器用包装原紙の製造方法。
  7. パルプスラリーを叩解することでJIS P 8121-2012「パルプ―濾水度試験方法-第2部:カナダ標準濾水度法」に準拠して測定したフリーネスを500mlCSF~680mlCSFに調整することを特徴とする、請求項6に記載の密封容器用包装原紙の製造方法。
  8. 前記抄紙時には原紙にカルボキシメチルセルロースを含浸または塗布することを特徴とする、請求項6または7に記載の密封容器用包装原紙の製造方法。
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