JP2023067787A - 密封容器用包装原紙及びその製造方法 - Google Patents

密封容器用包装原紙及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、紙が折れても破れにくく、外部からの衝撃に対しても破れにくい密封容器用包装原紙を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、パルプを主成分とする密封容器用包装原紙であって、前記パルプの70質量%以上が針葉樹パルプであり、乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤とを含み、原紙の少なくとも一方の面にカルボキシメチルセルロースが塗布されていることを特徴とする、密封容器用包装原紙に関する。に関する。【選択図】なし

Description

本発明は密封容器用包装原紙に関し、紙が折れても破れにくく、外部からの衝撃に対しても破れにくい密封容器用包装原紙およびその製造方法に関する。
近年、プラスチックゴミ問題が深刻化している。世界のプラスチックの生産量は4億トン/年を超えると言われ、その中でも包装容器セクターでのプラスチック生産量が特に多く、プラスチックゴミの主な原因になっている。包装容器に使用されるプラスチックとしては、飲料のボトル等に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)、レジ袋や容器のラミネートに使用されるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)が最も多く使用されている。プラスチックは半永久的に分解せず、そのゴミは自然環境下でマイクロプラスチック化して生態系に深刻な悪影響を与えており、特にマイクロプラスチックによる海洋の汚染は著しく、そのプラスチックゴミは回収不可能と言われている。今後、プラスチックの使用を低減することが地球環境にとって必要である。
この問題に対し、プラスチック包装を紙素材の包装に置き換える動きが盛んである。例えば、密封包装であれば、紙基材にラミネートやヒートシール層を設けた形態の製品が種々発売されている。しかし、紙はプラスチック素材と比べて折れやすいため、折り曲げに対する強度が不十分であれば折り目から破れやすく、また流通時に鋭利物や突起物との接触等の衝撃により穴が開きやすく破れやすいといった問題がある。このような問題が発生すると、内容物が漏れてしまうため、密封容器としては不適切である。
このような問題を回避するためには、紙の強度、特に耐折強度や鋭利物や突起物との接触といった衝撃への抵抗性を高める必要があるが、前述の衝撃への抵抗性を高める技術はこれまで報告されていない。
紙基材に強度を付与する技術として、特許文献1では優れたサイズ性と、湿潤及び乾燥時の紙力を有するために、置換度0.3~0.6のカルボキシメチルセルロースを0.01~3.0質量%添加することを特徴とする包装紙についての提案されている。また、特許文献2では優れた内部結合強度及び耐折強度を得るため、10~100質量%のアクリル酸メチルと0~90質量%のメタクリル酸メチル及び/又はアクリル酸エチルとに由来する構成単位を75~98質量%、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドのN-アルキル置換体及び(メタ)アクリル酸から選ばれた1種以上の単量体に由来する構成単位を2~15質量%、各々含有し、且つ、ガラス転移温度(Tg)が-30~+30℃であるアクリル酸エステル系共重合体からなることを特徴とする含浸用樹脂を含浸させた含浸紙について提案されている。
特開2003-027399号公報 特開2005-281431号公報
しかしながら、特許文献1に記載の包装紙は、鋭利物や突起物との接触等による衝撃への抵抗性(耐衝撃性)が低く、流通時等に穴が開きやすく破れやすいといった問題があった。また、特許文献2に記載の発明は、優れた強度を得るために樹脂を多く含浸する必要があり、プラスチック使用量が多すぎるという問題があった。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、折れ曲げに対する強度が高く、耐衝撃性に優れ、内容物を包装した後の流通時等での衝撃などでも破れにくい強度を保持した密封容器用包装原紙を提供することである。
本発明の密封容器用包装原紙は、パルプを主成分とする密封容器用包装原紙であって、前記パルプの70質量%以上が針葉樹パルプであり、乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤とを含み、少なくとも一方の面にカルボキシメチルセルロースが塗布されていることを特徴とする。このような構成によれば、高い耐折強度が得られ、折れ曲げに対する強度が高くなる。また、鋭利物や突起物との接触等による衝撃への抵抗性(耐衝撃性)が高く、内容物を包装した後も破れにくい密閉容器を得ることができる。なお、本発明において、密封容器とは、食品用のレトルトパウチなど比較的気密性の高い容器だけではなく、気体は透過するものの、通常の取り扱い、運搬又は保存状態において、固体や液状の異物が侵入せず、内容物の損失、風解、潮解又は蒸発を防ぐことのできる容器をも含む。
また、本発明の密封容器用包装原紙は、さらにサイズ剤を含有していても良い。このような構成によればカルボキシメチルセルロースが基紙の表面に分布しやすく、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙を得ることができる。
また、本発明の密封容器用包装原紙の米坪量は、50~120g/mであってもよい。このような構成とすることで密封容器用包装原紙として必要とされるしなやかさを保持しながら耐衝撃性等の諸強度を確保しやすくなる。
また、本発明の密封容器用包装原紙からなる密封容器は、内容物を包装した後の流通時等での衝撃などでも破れにくいことから保管や輸送に適した容器となり、特に液体や粉体の容器として好適である。
また、本発明の密封容器用包装原紙の製造方法は、パルプを主成分とする密封容器用包装原紙の製造方法であって、針葉樹パルプを70%質量%以上含んだパルプスラリーを調整し、該パルプスラリーに、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤及びサイズ剤を添加して原料スラリーを調整し、該原料スラリーを用いて抄紙機にて基紙を抄紙し、前記抄紙時には基紙にカルボキシメチルセルロースを含浸または塗布する工程を含むことを特徴とする。
本発明の密封容器用包装原紙は、折れ曲げに対する強度が高く、内容物包装後に流通時の衝撃などへの抵抗性に優れるため、包装袋などの密封容器として好適に使用することができ、従来プラスチック包装であったものの一部又は全部を紙製包装に代替するための原紙として好適に用いることができる。
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
本発明に用いる密封容器用包装原紙はパルプを主成分とする。ここで用いるパルプとしては、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒サルファイトパルプ(LUSP)、針葉樹未晒サルファイトパルプ(NUSP)に代表される木材未漂白化学パルプ、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)に代表される木材漂白化学パルプ、サーモメカニカルパルプ(TMP)、リファイナーグラウンドパルプ(RGP)、砕木パルプ(GP)に代表される機械パルプなどが挙げられる。本発明の密封容器用包装原紙におけるパルプの占める割合としては、特に限定するものではないが、90質量%以上、例えば、密封容器用包装原紙中において、パルプが90~99質量%とすることが好ましい。填料などの充填剤を添加することでパルプの占める割合を低くすることは可能であるが、同時に紙の諸強度の低下も招くため、好ましくない。
本発明においては、前記パルプの70質量%以上を針葉樹パルプとする。好ましくは75質量%以上、80質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上である。例えば、全パルプ中針葉樹パルプを70~100質量%、さらには75~100質量%、80~100質量%、85~100質量%、90~100質量%、例えば、95~100質量%とすることが好ましい。針葉樹パルプとしては、特に限定するものではないが、NUKP、NUSP、NBKP又はNBSPなどを用いることができる。これらの中でも、耐折強度等の強度物性がより向上しやすいNUKPがより好ましい。全パルプにおける針葉樹パルプの割合が70質量%未満となると、折れ曲げに対する強度を満足しにくくなるとともに、紙中の長繊維パルプの比率が下がることで十分な耐衝撃性を得られなくなる。
本発明に用いるパルプは叩解によって、JIS P 8121-2012「パルプ-濾水度試験方法-第2部:カナダ標準濾水度法」に準拠して測定したフリーネスを400mlCSF~700mlCSFに調整することが好ましく、特に500mlCSF~650mlCSF、例えば、550mlCSF~600mlCSFとすることがより好ましい。このような範囲とすることで、強度を維持しつつ地合の良好な紙とすることができる。
原料パルプの叩解方法は特に限定するものではなく、ビーター、ジョルダン、デラックス・ファイナー、ダブル・ディスク・レファイナー等、いずれの叩解機を単独または併用して使用してもよい。
本発明の密封容器用包装原紙には、紙力増強剤として、乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤を含有させる。その作用は定かではないが、乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤の両方を含有させることにより、それぞれを単独で使用した場合よりも耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙を得ることができる。加えて、乾燥紙力増強剤単独で使用した場合よりも湿潤紙力を付与することができるので、水に濡れた場合にも破れにくい密封容器用包装原紙とすることができる。
本発明に用いる乾燥紙力増強剤としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉又は変性澱粉などの澱粉類、ポリアクリルアミド系樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ゴム系ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂などがあげられ、これらの中から1種以上使用することができる。これらの中でもポリアクリルアミド系樹脂、特に定着性に優れる両性ポリアクリルアミド系樹脂が好ましい。これらの原紙への適用方法は特に限定するものではなく、内添法又は外添法を用いることができるが、パルプスラリーに添加(内添)して用いることで耐衝撃性に優れた原紙を得やすくなる。
密封容器用包装原紙における乾燥紙力増強剤の含有量としては、パルプ100質量部に対して、0.12~2.2質量部、さらには0.15~2.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.2~2.0質量部である。0.12質量部未満では耐衝撃性に乏しくなるおそれがある。逆に2.2質量部を超えると、抄紙機において紙力増強剤由来の凝集物が発生し、紙に汚れが生じる恐れがある。
本発明に用いる湿潤紙力増強剤としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン系のエポキシ樹脂などがあげられ、これらの中から1種以上使用することができる。これらの原紙への適用方法は特に限定するものではなく、内添法又は外添法を用いることができるが、パルプスラリーに添加(内添)して用いることで耐衝撃性に優れた原紙を得やすくなる。特に、前述の乾燥紙力増強剤と、湿潤紙力増強剤とを共にパルプスラリーに添加(内添)して用いることで耐衝撃性に優れた原紙をさらに得やすくなる。
密封容器用包装原紙における湿潤紙力増強剤の含有量としては、パルプ100質量部に対して、0.12~2.2質量部、さらには0.15~2.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.2~2.0質量部である。0.12質量部未満では耐衝撃性に乏しくなるおそれがある。逆に2.2質量部を超えると、抄紙機において紙力増強剤由来の凝集物が発生し、紙に汚れが生じる恐れがある。
本発明においては、密封容器用包装原紙に、さらにサイズ剤を含有させてもよい。ここで用いることができるサイズ剤としては、パラフィンワックス系サイズ剤、マイクロクリスタリンワックス系サイズ剤、カルナウバ(カルナバワックス)系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤、スチレンアクリル系サイズ剤等の中から1種以上を使用することができる。本発明の密封容器用包装原紙は、後述するように基紙の表面にカルボキシメチルセルロースが塗布されたものであるが、基紙にサイズ剤を含有させることによって、カルボキシメチルセルロースが基紙内部に浸透することを抑制し、原紙表面に残りやすくなる。結果として、より耐衝撃性に優れた密閉容器用包装原紙とすることができる。基紙へのサイズ剤の付与方法としては、特に限定するものではなく、内添法又は外添法を用いることができるが、パルプスラリーに添加(内添)して用いることが好ましい。外添する場合は原紙にサイズ剤を塗布した後にカルボキシメチルセルロースを塗布することが好ましい。サイズ剤の含有量としては、パルプ100質量部に対して、0.1~0.5質量部、さらには0.15~0.35質量部であることが好ましい。本発明においては、例えば、サイズ剤としてロジン系サイズ剤、好ましくは変性ロジンエマルションをパルプ100質量部に対して、0.1~0.5質量部加えることが好ましい。
本発明の密封容器用包装原紙には、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、硫酸バンド、填料、歩留まり向上剤、着色染料、着色顔料、嵩高剤等の各種製紙用資材を含有させることができる。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、硫酸バリウム、合成樹脂填料などの公知の填料を1種以上使用することができる。例えば、パルプ100質量部に対して、0.1~2.0質量部の硫酸バンドを含むことができる。
本発明において基紙の抄紙方法は特に限定するものではなく、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機、これらの抄紙機のコンビネーション抄紙機など従来から周知の抄紙機を使用して抄造できる。抄紙機における乾燥方法としては特に限定するものでは無く、多筒シリンダードライヤー方式、ヤンキードライヤー方式、熱風乾燥に代表される空気乾燥方式、赤外線装置に代表される輻射乾燥方式などを用いることができる。それらの中でも多筒シリンダードライヤー方式又はヤンキードライヤー方式が好ましく、特にヤンキードライヤー方式がより好ましい。ヤンキードライヤー方式で乾燥することにより基紙の片面にヤンキードライヤーの鏡面が転写されて片艶の紙となり、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙を得ることができる。
本発明において密封容器用包装原紙は、2層以上の抄き合わせとすることが好ましい。このような構成とすることで地合のムラを抑制し、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙とすることができる。地合ムラが存在すると、地合の薄い箇所で破れやすく、局所的に耐衝撃性に乏しい箇所が生じるおそれがある。
本発明の密封容器用包装原紙はカルボキシメチルセルロースを基紙の少なくとも一方の面に塗布する。カルボキシメチルセルロースを紙基表面に塗布することで、繊維間結合の補強、繊維間の空隙の補填、被膜による強度付与等の効果が得られ、耐折強度及び破断伸びが向上するとともに、耐衝撃性が向上する。また、紙は、紙中の含有水分率が高い程、耐衝撃性が向上する。カルボキシメチルセルロースは保水性が高いことから、紙中水分を高く保つ効果も期待され、耐衝撃性が向上すると予想される。本発明の密封容器用包装原紙は23℃×50%RH環境下で24時間調湿後の含有水分率(以下「平衡水分率」と言うことがある)が6.5~8.5質量%であることが好ましい。より好ましくは7.0~8.0質量%である。平衡水分率が6.5質量%未満では耐衝撃性の向上効果に乏しいおそれがある。逆に平衡水分率が8.5質量%を超えても耐衝撃性の向上効果は頭打ちとなるが、平衡水分率を8.5質量%以上とするには紙に過剰な保水性を付与することとなり、包装袋等への加工適性を低下させるおそれがある。尚、本発明の密封容器用包装原紙を例えば40℃×90%RHの環境下で24時間調湿すると含有水分率が12質量%程度になることがあるが、この場合でも耐衝撃性は良好であることがわかった。従って、本発明の密封容器用包装原紙を用いた容器は、高湿度環境下でも十分な耐衝撃性を有する容器とすることができる。
本発明に用いるカルボキシメチルセルロースは、例えば、置換度0.6~0.7、重合度220~250、分子量47000~135000のものを用いることができる。分子量は、特に47000~54000が好ましい。上記範囲であれば水に容易に溶解し、粘度も低いことから操業性も良く、基紙に均一に浸透・含浸しやすく、耐衝撃性が向上しやすい。
カルボキシメチルセルロースの塗布方法は特に限定するものでなく、各種公知の塗工装置又は含浸装置を用いることができ、例えば、サイズプレス方式、ディッピング方式、コーター方式、スプレー方式等の塗布方式が使用可能である。カルボキシメチルセルロースを基紙表面に付着させることで、紙の表面強度が向上し、擦れや耐衝撃性が向上することから、密封容器用包装原紙として好適に用いることができる。基紙へのカルボキシメチルセルロースの付着量は0.4~2.2g/m、例えば、0.4~2.0g/mが好ましい。より好ましくは0.5~1.5g/mである。0.4g/m未満では平衡水分率を高く保つ効果が得られにくく、耐衝撃性の向上に劣るおそれがある。2.2g/mを超えると、紙の平衡水分率をより高くすることができるが、密封容器用包装原紙の剛度が高くなりすぎて紙割れが発生しやすく、破れやすくなるおそれがあり、包装袋等への加工適性も低下するおそれがある。
カルボキシメチルセルロースを基紙に塗布した後の乾燥方式としては、特に限定するものでなく、多筒シリンダードライヤー方式、ヤンキードライヤー方式、エアードライヤー方式などの熱風乾燥に代表される空気乾燥方式、赤外線装置に代表される輻射乾燥方式などを用いることができる。
本実施形態において、密封容器用包装原紙の坪量は50~120g/mが好ましく、80g/m~100g/mがより好ましい。このような範囲であれば耐折強度及び耐衝撃性に優れたものとなる。坪量が50g/m未満であれば折り曲げや耐衝撃性に劣るおそれがある。また、120g/mを超えると耐衝撃性は高くなるが、剛度も高くなり過ぎるため、包装袋等への加工適性が低下するおそれがある。
本発明において密封容器用包装原紙は、カレンダー処理をすることができる。カレンダー方法は特に限定されるものではなく、マシンカレンダーやスーパーカレンダー等を使用することが可能である。カレンダー処理により繊維間の空隙を潰すことで、空隙が多く繊維密度が低いために衝撃に対して局所的に弱い箇所を減らすことができ、より耐衝撃性に優れた密封容器用包装原紙とすることができる。
本発明の密封容器用包装原紙は、例えば、接着剤やヒートシール性のある樹脂等を塗布し、そのまま製袋加工を行って袋状の密封容器として使用することも可能である。また、一方の面にポリエチレン等のラミネートを施した後に製袋加工を行って密封容器とすることも可能である。このようなラミネートを施すことはプラスチック材料の使用となるが、密封容器の一部が紙製となることでプラスチックの減量に繋がる。製袋加工の形態は特に限定されず、用途に応じて、例えばピロー包装やキャラメル包装、またはこれらを組み合わせた包装等を採用することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」は、特に断らない限りそれぞれ「固形部」を示す。なお、添加部数は、固形分換算の値である。
(実施例1)
<基紙の製造>
フリーネス580mlCSFの針葉樹未晒クラフトパルプ100部を水中に分散してパルプスラリーを調製し、該パルプスラリー中に乾燥紙力増強剤(商品名:DS4433/星光PMC社製、ポリアクリルアミド樹脂)と湿潤紙力増強剤(商品名:WS4030/星光PMC社製、ポリアクリルエピクロロヒドリン樹脂)をそれぞれ0.2部、サイズ剤(商品名:AL1300/星光PMC社製、変性ロジンエマルション)を0.25部、硫
酸バンド0.5部をパルプ重量に対して添加し、標準角型シートマシンによって抄紙後、熱風乾燥機にて120℃で乾燥し、米坪が80g/mの基紙を得た。
<塗布>
得られた基紙に、カルボキシメチルセルロース水溶液(商品名:セロゲンPR、第一工業製薬社製、置換度0.6~0.7、重合度220~250、分子量47000~54000)を含浸し、回転乾燥機にて130℃で乾燥させて目的とする密封容器用包装原紙を得た。基紙へのカルボキシメチルセルロースの付着量は基紙の両面あたり1g/mであった。
(実施例2)
実施例1において、針葉樹晒クラフトパルプを75部、広葉樹晒クラフトパルプを25部とした以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(実施例3)
実施例1において、乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤の添加量を0.15部とした以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(実施例4)
実施例1において、乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤の添加量を2部とした以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(実施例5)
実施例1において、カルボキシメチルセルロースの付着量を0.5g/mとした以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(実施例6)
実施例1において、カルボキシメチルセルロースの付着量を2g/mとした以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例1)
実施例1において、乾燥紙力増強剤及び湿潤紙力増強剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例2)
実施例1において、湿潤紙力増強剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例3)
実施例1において、乾燥紙力増強剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例4)
実施例1において、紙力増強剤として乾燥紙力増強剤のみを0.4部添加したこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例5)
実施例1において、紙力増強剤として湿潤紙力増強剤のみを0.4部添加したこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例6)
実施例1において、カルボキシメチルセルロースの含浸を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例7)
実施例1において、カルボキシメチルセルロースの含浸を行わず、カルボキシメチルセルロースをパルプスラリーに1部添加したこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例8)
実施例1において、針葉樹晒クラフトパルプを25部、広葉樹晒クラフトパルプを75部とした以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
(比較例9)
実施例1において、カルボキシメチルセルロースの含浸を行わず、同様に保水性のあるポリエチレングリコールを1g/m含浸したこと以外は実施例1と同様にして密封容器用包装原紙を得た。
得られた密封容器用包装原紙について、以下に示す方法により評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(耐折回数)
JIS P 8115「紙及び板紙-耐折強さ試験方法-MIT試験機法」に規定される方法により、密封容器用包装原紙の耐折回数を測定した。
(引張強度)
JIS P 8113「紙及び板紙-引張特性の試験方法-第2部:定速伸張法」に規定される方法により、密封容器用包装原紙の引張強度(kN/m)を測定した。
(耐衝撃性)
試験片を固定し、木槌で25mm±0.7mmの円錐状の治具を叩いて試験片に穴をあけたときの抵抗感を5段階で官能評価した。5が最も抵抗を強く感じ、1が最も抵抗が弱く容易に穴が開いたことを表す。評価3以上で合格とする。試験は、試験者に対象試験片がわからないようにした状態で行った。
(平衡水分率)
試験片を23℃×50%RH環境下で24時間調湿後、JIS P 8203「紙、板紙及びパルプ-絶乾率の測定方法-乾燥器による方法」に規定される方法により試験片の水分を測定した。
各実施例及び比較例で得られた密封容器用包装原紙の構成の概要と評価結果を表1に示す。各実施例で得られた密封容器用包装原紙は耐衝撃性に優れるものであった。
Figure 2023067787000001

Claims (4)

  1. パルプを主成分とする密封容器用包装原紙であって、前記パルプの70質量%以上が針葉樹パルプであり、乾燥紙力増強剤と湿潤紙力増強剤とを含み、原紙の少なくとも一方の面にカルボキシメチルセルロースが塗布されていることを特徴とする、密封容器用包装原紙。
  2. さらにサイズ剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載の密封容器用包装原紙。
  3. 米坪量が50~120g/mであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の密封容器用包装原紙。
  4. パルプを主成分とする密封容器用包装原紙の製造方法であって、針葉樹パルプを70質量%以上含んだパルプスラリーを調整し、該パルプスラリーに、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤及びサイズ剤を添加して原料スラリーを調整し、該原料スラリーを用いて抄紙機にて原紙を抄紙し、前記抄紙時には原紙にカルボキシメチルセルロースを含浸または塗布する工程を含むことを特徴とする、密封容器用包装原紙の製造方法。
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