JP2004345696A - ライナー紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のライナー紙では、未だ要求されているほどに十分に罫線割れの発生を抑制することができていない。また、特にバージンパルプの使用量を多くするなどした場合には、生産性が低下するという問題もあった。
【解決手段】少なくとも表面層、裏面層の2層以上の層を具備し、少なくとも前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とするライナー紙。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも表面層、裏面層の2層以上の層を具備し、少なくとも前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とするライナー紙。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、段ボールや牛乳パックなどの各種容器などに用いられるライナー紙に関し、更に詳細には、罫線割れの発生する率が低く、しかも生産性にも優れたライナー紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
段ボールや各種容器用のライナー紙は、抄紙機上で2層以上の紙層が重ねられて、形成されている。
例えば、段ボールの場合、コルゲーター(貼り合わせ機)で、2枚のライナー紙間に波状に加工された中芯紙を糊付けしてなる。
このような3層構造で形成された段ボールシートは、更に製函機で印刷、箱形状に切り抜き、折り曲げるための罫線を、通常、シートの4カ所に付け、製函機の折り曲げ部で糊付けと4個の罫線のうち2カ所が折り曲げられるなどして段ボール箱となされている。
【0003】
この製函折り曲げ時において、また、ケースを箱に組み立てる際に、段ボールシートの表側は、相当に伸ばされるため、ライナー紙が破断する場合がある。この破断を「罫線割れ」といい、軽度の場合にはひび割れ状となり、重度の場合には、紙全体がその厚さ方向に割れてしまう。
そこで、このような罫線割れを防止するために、種々の提案がなされている。
【0004】
下記特許文献1、特許文献2、及び特許文献3には、箱の構造を特定の構造とすることにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、特許文献4には、段ボールの製造工程中において、ライナー紙の表面に水分を供給することにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、特許文献5には、ライナー紙の坪量や密度を特定の範囲内とすることにより罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
【0005】
また、特許文献6には、ライナー紙の表面に水及び水性組成物を塗工した後、更にソフトカレンダー処理を行って、罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献7には、ライナー紙の少なくとも最外層表面に模様形成体を抄き込むことにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献8には、両性界面活性剤を付与することにより罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献9には、カチオン性界面活性剤を添加することにより罫線割れの発生を抑制することが提案されている。また、特許文献10には、抄造する際に紙力増強剤を添加して、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、ライナー紙の表面層の形成原料として柔軟剤を用いることや、該表面層の形成材料にバージンパルプを増配することも提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−162735号公報(請求項1、段落番号0006〜0008)
【特許文献2】
特開平7−187175号公報(請求項1、段落番号0004〜0016)
【特許文献3】
特開平11−10754号公報(請求項1、段落番号0011,0012)
【特許文献4】
特開平7−290614号公報(請求項1、段落番号0003〜0009)
【特許文献5】
特開2001−140194号公報(請求項1、段落番号0004,0045)
【特許文献6】
特開2000−303384号公報(請求項1、段落番号0004,0005)
【特許文献7】
特開2000−336597号公報(請求項1、段落番号0005,0017)
【特許文献8】
特開2001―262496号公報(請求項1、0011,0013〜0017)
【特許文献9】
特開平11−200279号公報(請求項1、0009,0015〜0018)
【特許文献10】
特開平6−184983号公報(請求項1、段落番号0005〜0007)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来の提案では、未だ要求されているほどに十分に罫線割れの発生を抑制することができていない。また、特にバージンパルプの使用量を多くするなどした場合には、抄紙機で乾燥不良が発生し、生産性が低下するという問題もあった。
従って、本発明の目的は、ライナー紙の生産性を低下させることなく、罫線割れのないライナー紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、罫線割れはライナー紙の水分率が低下してもろくなることが主たる原因であることから、ライナー紙の最外層の保湿性を向上させればよいことを知見し、更に検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、請求項1記載の本発明は、少なくとも表面層及び裏面層の2層以上の層を具備し、少なくとも前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とするライナー紙を提供するものである。
【0010】
また、請求項2記載の本発明は、前記保湿剤が、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングルセス、尿素、またはその誘導体であり、単独もしくは2種以上混合して使用することを特徴とする前記ライナー紙を提供するものである。
【0011】
また、請求項3記載の本発明は、前記保湿剤の含有量が、前記表面層を形成するパルプ材料100重量部に対して0.01〜3.0重量部であることを特徴とする前記ライナー紙を提供するものである。
【0012】
また、請求項4記載の本発明は、前記表面層を形成するパルプ材料として、広葉樹パルプあるいは古紙パルプを30重量%以上配合したことを特徴とする前記ライナー紙を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のライナー紙は、少なくとも表面層及び裏面層を有し、前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とする。
まず、各層の構成材料について説明する。
表面層及び裏面層は、紙からなり、少なくとも表面層は保湿剤を含有する。
【0014】
該紙としては、通常段ボールのライナー紙に用いられるものは特に制限なく用いることができるが、本発明においては、下記するパルプ材料を用い、下記する諸性質を有する紙を好ましく用いることができる。
パルプ材料;古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
本発明において使用することができる古紙パルプは、その種類が特に限定されない。例えば、新聞紙やチラシ等の古紙のほか、塗工紙、非塗工紙、カラー印刷された紙、白黒印刷された紙など種々の耐漂白性を有する紙を含む雑誌古紙などをも使用することができる。環境保護の面から、古紙配合割合が100%のパルプを本発明においても好適に使用できる。
【0015】
諸性質;・坪量、好ましくは100〜320g/m2、更に好ましくは220〜320g/m2
・厚さ、好ましくは125〜390μm、更に好ましくは250〜390μm
また、特に本発明においては、前記表面層を形成するパルプ材料として、LBKPなどの広葉樹パルプあるいは古紙パルプを30重量%(表面層のパルプ材料全体に対して)以上配合するのが、本発明の所望の効果を発現させつつ、他のライナー紙に求められる諸性能を低下させない点で好ましい。また、段ボールケースの美粧性、印刷適性を向上させるという観点からは広葉樹パルプの配合量を45重量%以上とするのが更に好ましく、生産性、コストの面からは古紙パルプを45重量%以上とするのが更に好ましい。これらの配合は段ボールケースの用途により、任意に設定できる。このような配合とすることで、表面層のパルプ材料の平均繊維長は、0.7〜1.5mmとなる。
【0016】
本発明においてライナー紙に含まれる前記保湿剤は、通常吸水剤又は保湿剤として用いられているものが用いられるが、好ましくは、ライナー紙に含有させた場合、水分率低下を抑える効果の高いものである。具体的には、これらに限定されるものではないが、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングルセス、尿素、またはその誘導体等が挙げられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いられる。
前記保湿剤としては、東邦化学社製、商品名「FL200」等の市販品を用いることもできる。
前記保湿剤の添加量は、パルプ繊維100重量部に対して、0.01〜3.0重量部とするのが好ましく、0.1〜1.0重量部とするのが更に好ましい。
前記保湿剤の添加量を、3.0重量部以下とすることにより、過度の吸湿性による抄紙後の吸湿じわの発生や、抄紙時の乾燥不良による生産性の悪化を起さないという点で好ましく、0.01重量部以上とすることにより、充分な保湿性能が得られるので上記範囲内とするのが好ましい。
【0017】
更に表面層及び裏面層には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で他の構成材料を添加混合しても良い。
例えば、野菜などの内容物鮮度維持のための透気度を調整するための塗工膜、印刷層、包装容器形成後の防滑剤、滑剤、耐油剤、撥油剤、紫外線吸収剤層、耐光・耐候性付与剤層等を、用途に応じて設けることができる。
表面層と裏面層とは、同じ構成材料からなっていても異なっていても良い。通常は、質の良い構成材料で表面層を形成し、やや劣る構成材料で裏面層を形成する。具体的には、表面層をクラフトパルプと古紙パルプとを混合して用いて形成し、裏面層を古紙パルプのみで形成する、等の手法が採用される。
【0018】
また、通常、ライナー紙においては、前記表面層と前記裏面層との間に中間層が設けられ、本発明においても該中間層が好ましく設けられる。
中間層は、古紙パルプを主たる構成材料としてなる紙からなる層である。
パルプとしては、下記するものなどが挙げられ、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。
古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
また、中間層は、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、多層の構成を設けても良く、各層毎に湿潤紙力剤や鮮度保持剤などの機能性薬剤を単独もしくは2種以上配合しても良い。鮮度保持剤を設ける場合は、裏面層の近傍に設けることが、本発明の効果に乗じて好ましい。
本発明において、中間層は、1層のみから形成されていても、また好ましくは2層〜8層の多層構造とされていてもよい。また、多層構造とした場合には、各層の構成材料は同じでも異なっていても良い。
【0019】
次に、本発明のライナー紙の構造について、その好ましい1実施形態を図面を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明のライナー紙の好ましい1実施形態を示す断面図である。
本実施形態のライナー紙1は、図1に示すように、外表面に上記塗工剤が塗工されてなる表面層2及び裏面層4、並びに表面層2及び裏面層4間に位置する中間層3からなる。
なお、特に図示しないが、本実施形態においては、中間層3は、同じ構成材料で形成された2つの紙層を重ね合わせて形成されている。すなわち本実施形態の中間層3は、2層の多層構造とされている。このように、中間層を単層構造とするか多層構造とするかは、用いる構成材料や製造設備に応じて任意である。また、本実施形態においては、同じ構成材料で前記の2つの紙層を構成しているが、多層構造を採用する際に、各層の構成材料を同じとするか異なるものとするかは任意である。
【0020】
本実施形態においては、表面層2と裏面層4とはそれぞれ同じ構成材料で同じ構造に構成されている。
そして、表面層2及び裏面層4の厚さは、それぞれ同じであっても異なっていても良いが、本実施形態においては、通常のライナー紙と同様に表面層の方が薄く形成されている。
【0021】
また、表面層2及び裏面層4の坪量は、それぞれ同じであっても異なっていても良いが、それぞれ30〜50g/m2とするのが、層内の引張り・伸びあるいは耐折強度特性の点で好ましい。なお、本実施形態においては、通常のライナー紙と同様に表面層の方が少ない坪量とされている。
また、中間層3の坪量は、30〜110g/m2とするのが、紙層構成上各種強度(破裂・リング強度)維持の点で好ましい。
【0022】
また、本実施形態においては、表面層2及び裏面層4と中間層3とは、それぞれ接着剤を介して接着されている。
この際、用いることができる接着剤としては、通常、この種のライナー紙に用いられる天然系、合成系の接着剤を特に制限なく用いることができるが、塗工時には接着性を示さず、乾燥工程で接着性を発現する水分散性接着剤を好ましく用いることができる。具体的に特に好ましくは、天然系接着剤であるコーンスターチが、コスト、塗工の操業性、再生時の離解、分散の容易性から好ましい。
また、上記接着剤の塗工量は、層間の剥離問題を生じない範囲で、上層、裏面層、中間層の構成、用途に応じて任意に設定できるが、コストの面から0.5〜5g/m2とするのが好ましい。
【0023】
粉体のコーンスターチ分散液は、中間層と表面層又は裏面層との接着面に塗工又は塗布しても塗工時には接着性を発現せず、乾燥工程の加熱による糊化により接着性を発現して、両者を接着させることができ、良好な層間の接着強度を得ることができるため、特に好ましい。接着剤による層間の接着は、多層からなる中間層の構成においても同様である。
【0024】
次に、本実施形態のライナー紙の製造方法について説明する。
本実施形態のライナー紙は、以下のような4工程を経て製造される。
▲1▼表面層及び裏面層形成工程
まず、パルプを水に分散させてスラリーを作成する。得られたスラリーに必要に応じて他の薬剤を添加し、溶解・混合する。次いで、抄紙を行い表面層及び裏面層を得る。
▲2▼中間層形成工程
パルプを水に分散させてスラリーを作成する。得られたスラリーに必要に応じて他の薬剤を添加し、溶解・混合する。次いで、抄紙を行い中間層を得る。
▲3▼貼合工程
得られた表面層及び裏面層と中間層とを上記接着剤を介して貼り合わせて、本実施形態のライナー紙原紙を得る。
▲4▼保湿剤添加工程
得られたライナー紙原紙の表面層に前記保湿剤を噴霧する等して塗布した後乾燥させて、本発明のライナー紙を得る。
【0025】
本実施形態のライナー紙は、通常の段ボールに使用される中芯紙を組み合わせて、段ボールとして使用できる。すなわち、本発明のライナー紙は、2枚のライナー紙で波状形状の中芯紙を狭持して形成された3層構造の段ボールとして使用することができる。また、本発明のライナー紙は、牛乳パックなどの各種容器や包装用容器の形成用紙としても利用できる。
そして、本発明のライナー紙によれば、上述のように、少なくとも表面層が保湿剤を含有するので、ライナー紙が水分を放出することを効果的に抑制し、その結果罫線割れの発生を防止する。
従って、本発明のライナー紙を用いた段ボールは、罫線割れの発生することが極めて少ないものである。
【0026】
なお、本発明のライナー紙は、上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、前述の層間接着剤を使用しない処方も含まれる。
保湿剤をパルプスラリーに内添して使用する場合には、全層のパルプスラリーに添加してもよいし、表面層用のパルプスラリーのみに添加しても良い。外添して使用する場合には、表面層のみに添加してもよいし、表面層および裏面層に添加しても良い。外添の場合の塗工方法としては噴霧塗工のほか、ブレードコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カレンダーコートなどの方法が適宜使用できる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
下記の原材料を用いて、下記の製造方法に従って、図1に示す構成のライナー紙を得た。
<原材料>
【0028】
<製造方法>
以下の製造条件で各層を構成する紙を作成した後、貼り合わせを行い、ライナー紙原紙を得た。なお、本実施例においては、用いた製造設備の都合上、中間層を形成する紙層を、同じ構成材料を用いて2つ作製し、得られた2つの紙層を貼り合わせることで中間層を形成している。次いで、該ライナー紙原紙の表面層に保湿剤の0.2重量%水溶液を上記添加量となるように所定量噴霧し、乾燥させた後、得られた原紙を24時間調湿してライナー紙を得た。
製造条件;
抄紙速度:リールにて400〜750m/min、
温度条件:リールにて約60〜70℃、
スラリーpH:5.5〜6.5
【0029】
得られたライナー紙について下記の試験方法に従って水分率の変化の評価と、コスト評価、生産性評価、罫線割れ評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
・水分率の変化;ライナー紙を25cm×29cmの大きさに切り取り、サンプルを得た。得られたサンプルを160℃の熱風乾燥機で10分急速乾燥させ、その後室温(25℃、湿度25%)で保管した。その間の一連の加熱乾燥から室温保管中に至るまでの紙の水分率変化を時系列で調べた。
・コスト評価;現状品より安い◎、現状品と同等○、現状品より高い×
・生産性評価;現状品より良い◎、現状品と同等○、現状品より悪い×
・罫線割れ評価;以下に示す罫線割れ評価試験方法に従って測定した。
・総合評価;非常に良い◎、良い○、悪い×
【0030】
<罫線割れ評価試験>
試料調整
(1)1枚の全幅試料から抄紙機操作側、抄紙機中央、抄紙機駆動側の各サンプルを採取する。
(2)それぞれ抄紙機幅方向10cm、抄紙機流れ方向に25cmの大きさに裁断して短冊状の試験片を得る。
【0031】
<試験機>
図2に示す構成の試験機11を用いた。試験機11は、図2に示すように、長方形状の天板13と長方形状の底板15とを、両者の側縁において蝶番(図示せず)で接合してなる。また、天板13の上面には取っ手17が設けられて、天板の開閉動作を容易にしている。また、端縁には、分度器19が取り付けられており、天板13と底板15との角度を目測できるようにしてある。
試験機の材質、天板や底板のサイズ等は以下の通りである。
材質:ステンレス製、
天板:横25cm、奥行き15cm、厚み1cm、
天板重量3.0〜3.5kg (取っ手を含む)、
取っ手は重量が0.0〜0.5kgの範囲であれば、
大きさ・材質は任意で良い。
底板:横25cm、奥行き15cm、厚みは規定しないが、
使用時の安定性から、天板より厚く、重いことが望ましい。
【0032】
2.試験操作
(1)あらかじめ上記試験機を広げた状態で置き、巾5cmのクラフトテープを長さ20cm程度に切って準備しておく。この際、試験機にクラフトテープが付着している場合は、エタノールを浸した脱脂綿等で除去しておく。
(2)サンプルを160℃の熱風乾燥機に、10秒間入れる。
(3)サンプルを熱風乾燥機から取り出した直後、サンプル長辺の両端が試験機の蝶番部分に対し直角に且つ上に載るようにし、表面層を下にして置く。
(4)試験機の蝶番側の端から手前方向に1cm離して、端と平行になるようにサンプルをクラフトテープで貼り付ける。
(5)天板部分を横の分度器を見ながら底板に対して60度までねかせ、そこから手を離し天板部分を落下させる。
(6)すぐに試験機を開いてサンプルを剥がし、その折れ目の状態により下記の評価基準に従って判定する。
【0033】
(評価基準)
1;5mm以上の割れが多い。
2;3〜5mm程度の割れが3〜4個ある。
3;3〜5mm程度の割れが2個以下ある。
4;1、2箇所に3mm以下の割れがある。
【0034】
〔実施例2〜14〕
紙表面に塗布する保湿剤、保湿剤添加量、原料配合を〔表1〕に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0035】
〔比較例1〕
保湿剤を用いずに単にライナー紙原紙に水を噴霧塗工した以外は実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0036】
〔比較例2〕
保湿剤、水などいずれも噴霧塗工しなかった以外は実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0037】
〔比較例3,4〕
原料配合を〔表1〕に示すとおりとした以外は、比較例2と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0038】
この結果、保湿剤を塗布した実施例では、生産性の良好な範囲で罫割れの発生を防止できる結果となった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のライナー紙は、ライナー紙が水分を放出することを効果的に抑制し、その結果罫線割れの発生を防止する。また、生産性が低下することもない。従って、本発明のライナー紙を用いた段ボールは、罫線割れの発生を極めて効果的に抑制する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のライナー紙の好ましい1実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のライナー紙についての罫線割れ試験を行うための試験機を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ライナー紙
2 表面層
3 中間層
4 裏面層
【発明の属する技術分野】
本発明は、段ボールや牛乳パックなどの各種容器などに用いられるライナー紙に関し、更に詳細には、罫線割れの発生する率が低く、しかも生産性にも優れたライナー紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
段ボールや各種容器用のライナー紙は、抄紙機上で2層以上の紙層が重ねられて、形成されている。
例えば、段ボールの場合、コルゲーター(貼り合わせ機)で、2枚のライナー紙間に波状に加工された中芯紙を糊付けしてなる。
このような3層構造で形成された段ボールシートは、更に製函機で印刷、箱形状に切り抜き、折り曲げるための罫線を、通常、シートの4カ所に付け、製函機の折り曲げ部で糊付けと4個の罫線のうち2カ所が折り曲げられるなどして段ボール箱となされている。
【0003】
この製函折り曲げ時において、また、ケースを箱に組み立てる際に、段ボールシートの表側は、相当に伸ばされるため、ライナー紙が破断する場合がある。この破断を「罫線割れ」といい、軽度の場合にはひび割れ状となり、重度の場合には、紙全体がその厚さ方向に割れてしまう。
そこで、このような罫線割れを防止するために、種々の提案がなされている。
【0004】
下記特許文献1、特許文献2、及び特許文献3には、箱の構造を特定の構造とすることにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、特許文献4には、段ボールの製造工程中において、ライナー紙の表面に水分を供給することにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、特許文献5には、ライナー紙の坪量や密度を特定の範囲内とすることにより罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
【0005】
また、特許文献6には、ライナー紙の表面に水及び水性組成物を塗工した後、更にソフトカレンダー処理を行って、罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献7には、ライナー紙の少なくとも最外層表面に模様形成体を抄き込むことにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献8には、両性界面活性剤を付与することにより罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献9には、カチオン性界面活性剤を添加することにより罫線割れの発生を抑制することが提案されている。また、特許文献10には、抄造する際に紙力増強剤を添加して、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、ライナー紙の表面層の形成原料として柔軟剤を用いることや、該表面層の形成材料にバージンパルプを増配することも提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−162735号公報(請求項1、段落番号0006〜0008)
【特許文献2】
特開平7−187175号公報(請求項1、段落番号0004〜0016)
【特許文献3】
特開平11−10754号公報(請求項1、段落番号0011,0012)
【特許文献4】
特開平7−290614号公報(請求項1、段落番号0003〜0009)
【特許文献5】
特開2001−140194号公報(請求項1、段落番号0004,0045)
【特許文献6】
特開2000−303384号公報(請求項1、段落番号0004,0005)
【特許文献7】
特開2000−336597号公報(請求項1、段落番号0005,0017)
【特許文献8】
特開2001―262496号公報(請求項1、0011,0013〜0017)
【特許文献9】
特開平11−200279号公報(請求項1、0009,0015〜0018)
【特許文献10】
特開平6−184983号公報(請求項1、段落番号0005〜0007)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来の提案では、未だ要求されているほどに十分に罫線割れの発生を抑制することができていない。また、特にバージンパルプの使用量を多くするなどした場合には、抄紙機で乾燥不良が発生し、生産性が低下するという問題もあった。
従って、本発明の目的は、ライナー紙の生産性を低下させることなく、罫線割れのないライナー紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、罫線割れはライナー紙の水分率が低下してもろくなることが主たる原因であることから、ライナー紙の最外層の保湿性を向上させればよいことを知見し、更に検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、請求項1記載の本発明は、少なくとも表面層及び裏面層の2層以上の層を具備し、少なくとも前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とするライナー紙を提供するものである。
【0010】
また、請求項2記載の本発明は、前記保湿剤が、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングルセス、尿素、またはその誘導体であり、単独もしくは2種以上混合して使用することを特徴とする前記ライナー紙を提供するものである。
【0011】
また、請求項3記載の本発明は、前記保湿剤の含有量が、前記表面層を形成するパルプ材料100重量部に対して0.01〜3.0重量部であることを特徴とする前記ライナー紙を提供するものである。
【0012】
また、請求項4記載の本発明は、前記表面層を形成するパルプ材料として、広葉樹パルプあるいは古紙パルプを30重量%以上配合したことを特徴とする前記ライナー紙を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のライナー紙は、少なくとも表面層及び裏面層を有し、前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とする。
まず、各層の構成材料について説明する。
表面層及び裏面層は、紙からなり、少なくとも表面層は保湿剤を含有する。
【0014】
該紙としては、通常段ボールのライナー紙に用いられるものは特に制限なく用いることができるが、本発明においては、下記するパルプ材料を用い、下記する諸性質を有する紙を好ましく用いることができる。
パルプ材料;古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
本発明において使用することができる古紙パルプは、その種類が特に限定されない。例えば、新聞紙やチラシ等の古紙のほか、塗工紙、非塗工紙、カラー印刷された紙、白黒印刷された紙など種々の耐漂白性を有する紙を含む雑誌古紙などをも使用することができる。環境保護の面から、古紙配合割合が100%のパルプを本発明においても好適に使用できる。
【0015】
諸性質;・坪量、好ましくは100〜320g/m2、更に好ましくは220〜320g/m2
・厚さ、好ましくは125〜390μm、更に好ましくは250〜390μm
また、特に本発明においては、前記表面層を形成するパルプ材料として、LBKPなどの広葉樹パルプあるいは古紙パルプを30重量%(表面層のパルプ材料全体に対して)以上配合するのが、本発明の所望の効果を発現させつつ、他のライナー紙に求められる諸性能を低下させない点で好ましい。また、段ボールケースの美粧性、印刷適性を向上させるという観点からは広葉樹パルプの配合量を45重量%以上とするのが更に好ましく、生産性、コストの面からは古紙パルプを45重量%以上とするのが更に好ましい。これらの配合は段ボールケースの用途により、任意に設定できる。このような配合とすることで、表面層のパルプ材料の平均繊維長は、0.7〜1.5mmとなる。
【0016】
本発明においてライナー紙に含まれる前記保湿剤は、通常吸水剤又は保湿剤として用いられているものが用いられるが、好ましくは、ライナー紙に含有させた場合、水分率低下を抑える効果の高いものである。具体的には、これらに限定されるものではないが、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングルセス、尿素、またはその誘導体等が挙げられ、使用に際しては、単独もしくは2種以上混合して用いられる。
前記保湿剤としては、東邦化学社製、商品名「FL200」等の市販品を用いることもできる。
前記保湿剤の添加量は、パルプ繊維100重量部に対して、0.01〜3.0重量部とするのが好ましく、0.1〜1.0重量部とするのが更に好ましい。
前記保湿剤の添加量を、3.0重量部以下とすることにより、過度の吸湿性による抄紙後の吸湿じわの発生や、抄紙時の乾燥不良による生産性の悪化を起さないという点で好ましく、0.01重量部以上とすることにより、充分な保湿性能が得られるので上記範囲内とするのが好ましい。
【0017】
更に表面層及び裏面層には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で他の構成材料を添加混合しても良い。
例えば、野菜などの内容物鮮度維持のための透気度を調整するための塗工膜、印刷層、包装容器形成後の防滑剤、滑剤、耐油剤、撥油剤、紫外線吸収剤層、耐光・耐候性付与剤層等を、用途に応じて設けることができる。
表面層と裏面層とは、同じ構成材料からなっていても異なっていても良い。通常は、質の良い構成材料で表面層を形成し、やや劣る構成材料で裏面層を形成する。具体的には、表面層をクラフトパルプと古紙パルプとを混合して用いて形成し、裏面層を古紙パルプのみで形成する、等の手法が採用される。
【0018】
また、通常、ライナー紙においては、前記表面層と前記裏面層との間に中間層が設けられ、本発明においても該中間層が好ましく設けられる。
中間層は、古紙パルプを主たる構成材料としてなる紙からなる層である。
パルプとしては、下記するものなどが挙げられ、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。
古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
また、中間層は、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、多層の構成を設けても良く、各層毎に湿潤紙力剤や鮮度保持剤などの機能性薬剤を単独もしくは2種以上配合しても良い。鮮度保持剤を設ける場合は、裏面層の近傍に設けることが、本発明の効果に乗じて好ましい。
本発明において、中間層は、1層のみから形成されていても、また好ましくは2層〜8層の多層構造とされていてもよい。また、多層構造とした場合には、各層の構成材料は同じでも異なっていても良い。
【0019】
次に、本発明のライナー紙の構造について、その好ましい1実施形態を図面を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明のライナー紙の好ましい1実施形態を示す断面図である。
本実施形態のライナー紙1は、図1に示すように、外表面に上記塗工剤が塗工されてなる表面層2及び裏面層4、並びに表面層2及び裏面層4間に位置する中間層3からなる。
なお、特に図示しないが、本実施形態においては、中間層3は、同じ構成材料で形成された2つの紙層を重ね合わせて形成されている。すなわち本実施形態の中間層3は、2層の多層構造とされている。このように、中間層を単層構造とするか多層構造とするかは、用いる構成材料や製造設備に応じて任意である。また、本実施形態においては、同じ構成材料で前記の2つの紙層を構成しているが、多層構造を採用する際に、各層の構成材料を同じとするか異なるものとするかは任意である。
【0020】
本実施形態においては、表面層2と裏面層4とはそれぞれ同じ構成材料で同じ構造に構成されている。
そして、表面層2及び裏面層4の厚さは、それぞれ同じであっても異なっていても良いが、本実施形態においては、通常のライナー紙と同様に表面層の方が薄く形成されている。
【0021】
また、表面層2及び裏面層4の坪量は、それぞれ同じであっても異なっていても良いが、それぞれ30〜50g/m2とするのが、層内の引張り・伸びあるいは耐折強度特性の点で好ましい。なお、本実施形態においては、通常のライナー紙と同様に表面層の方が少ない坪量とされている。
また、中間層3の坪量は、30〜110g/m2とするのが、紙層構成上各種強度(破裂・リング強度)維持の点で好ましい。
【0022】
また、本実施形態においては、表面層2及び裏面層4と中間層3とは、それぞれ接着剤を介して接着されている。
この際、用いることができる接着剤としては、通常、この種のライナー紙に用いられる天然系、合成系の接着剤を特に制限なく用いることができるが、塗工時には接着性を示さず、乾燥工程で接着性を発現する水分散性接着剤を好ましく用いることができる。具体的に特に好ましくは、天然系接着剤であるコーンスターチが、コスト、塗工の操業性、再生時の離解、分散の容易性から好ましい。
また、上記接着剤の塗工量は、層間の剥離問題を生じない範囲で、上層、裏面層、中間層の構成、用途に応じて任意に設定できるが、コストの面から0.5〜5g/m2とするのが好ましい。
【0023】
粉体のコーンスターチ分散液は、中間層と表面層又は裏面層との接着面に塗工又は塗布しても塗工時には接着性を発現せず、乾燥工程の加熱による糊化により接着性を発現して、両者を接着させることができ、良好な層間の接着強度を得ることができるため、特に好ましい。接着剤による層間の接着は、多層からなる中間層の構成においても同様である。
【0024】
次に、本実施形態のライナー紙の製造方法について説明する。
本実施形態のライナー紙は、以下のような4工程を経て製造される。
▲1▼表面層及び裏面層形成工程
まず、パルプを水に分散させてスラリーを作成する。得られたスラリーに必要に応じて他の薬剤を添加し、溶解・混合する。次いで、抄紙を行い表面層及び裏面層を得る。
▲2▼中間層形成工程
パルプを水に分散させてスラリーを作成する。得られたスラリーに必要に応じて他の薬剤を添加し、溶解・混合する。次いで、抄紙を行い中間層を得る。
▲3▼貼合工程
得られた表面層及び裏面層と中間層とを上記接着剤を介して貼り合わせて、本実施形態のライナー紙原紙を得る。
▲4▼保湿剤添加工程
得られたライナー紙原紙の表面層に前記保湿剤を噴霧する等して塗布した後乾燥させて、本発明のライナー紙を得る。
【0025】
本実施形態のライナー紙は、通常の段ボールに使用される中芯紙を組み合わせて、段ボールとして使用できる。すなわち、本発明のライナー紙は、2枚のライナー紙で波状形状の中芯紙を狭持して形成された3層構造の段ボールとして使用することができる。また、本発明のライナー紙は、牛乳パックなどの各種容器や包装用容器の形成用紙としても利用できる。
そして、本発明のライナー紙によれば、上述のように、少なくとも表面層が保湿剤を含有するので、ライナー紙が水分を放出することを効果的に抑制し、その結果罫線割れの発生を防止する。
従って、本発明のライナー紙を用いた段ボールは、罫線割れの発生することが極めて少ないものである。
【0026】
なお、本発明のライナー紙は、上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、前述の層間接着剤を使用しない処方も含まれる。
保湿剤をパルプスラリーに内添して使用する場合には、全層のパルプスラリーに添加してもよいし、表面層用のパルプスラリーのみに添加しても良い。外添して使用する場合には、表面層のみに添加してもよいし、表面層および裏面層に添加しても良い。外添の場合の塗工方法としては噴霧塗工のほか、ブレードコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カレンダーコートなどの方法が適宜使用できる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
下記の原材料を用いて、下記の製造方法に従って、図1に示す構成のライナー紙を得た。
<原材料>
【0028】
<製造方法>
以下の製造条件で各層を構成する紙を作成した後、貼り合わせを行い、ライナー紙原紙を得た。なお、本実施例においては、用いた製造設備の都合上、中間層を形成する紙層を、同じ構成材料を用いて2つ作製し、得られた2つの紙層を貼り合わせることで中間層を形成している。次いで、該ライナー紙原紙の表面層に保湿剤の0.2重量%水溶液を上記添加量となるように所定量噴霧し、乾燥させた後、得られた原紙を24時間調湿してライナー紙を得た。
製造条件;
抄紙速度:リールにて400〜750m/min、
温度条件:リールにて約60〜70℃、
スラリーpH:5.5〜6.5
【0029】
得られたライナー紙について下記の試験方法に従って水分率の変化の評価と、コスト評価、生産性評価、罫線割れ評価を行った。その結果を〔表1〕に示す。
・水分率の変化;ライナー紙を25cm×29cmの大きさに切り取り、サンプルを得た。得られたサンプルを160℃の熱風乾燥機で10分急速乾燥させ、その後室温(25℃、湿度25%)で保管した。その間の一連の加熱乾燥から室温保管中に至るまでの紙の水分率変化を時系列で調べた。
・コスト評価;現状品より安い◎、現状品と同等○、現状品より高い×
・生産性評価;現状品より良い◎、現状品と同等○、現状品より悪い×
・罫線割れ評価;以下に示す罫線割れ評価試験方法に従って測定した。
・総合評価;非常に良い◎、良い○、悪い×
【0030】
<罫線割れ評価試験>
試料調整
(1)1枚の全幅試料から抄紙機操作側、抄紙機中央、抄紙機駆動側の各サンプルを採取する。
(2)それぞれ抄紙機幅方向10cm、抄紙機流れ方向に25cmの大きさに裁断して短冊状の試験片を得る。
【0031】
<試験機>
図2に示す構成の試験機11を用いた。試験機11は、図2に示すように、長方形状の天板13と長方形状の底板15とを、両者の側縁において蝶番(図示せず)で接合してなる。また、天板13の上面には取っ手17が設けられて、天板の開閉動作を容易にしている。また、端縁には、分度器19が取り付けられており、天板13と底板15との角度を目測できるようにしてある。
試験機の材質、天板や底板のサイズ等は以下の通りである。
材質:ステンレス製、
天板:横25cm、奥行き15cm、厚み1cm、
天板重量3.0〜3.5kg (取っ手を含む)、
取っ手は重量が0.0〜0.5kgの範囲であれば、
大きさ・材質は任意で良い。
底板:横25cm、奥行き15cm、厚みは規定しないが、
使用時の安定性から、天板より厚く、重いことが望ましい。
【0032】
2.試験操作
(1)あらかじめ上記試験機を広げた状態で置き、巾5cmのクラフトテープを長さ20cm程度に切って準備しておく。この際、試験機にクラフトテープが付着している場合は、エタノールを浸した脱脂綿等で除去しておく。
(2)サンプルを160℃の熱風乾燥機に、10秒間入れる。
(3)サンプルを熱風乾燥機から取り出した直後、サンプル長辺の両端が試験機の蝶番部分に対し直角に且つ上に載るようにし、表面層を下にして置く。
(4)試験機の蝶番側の端から手前方向に1cm離して、端と平行になるようにサンプルをクラフトテープで貼り付ける。
(5)天板部分を横の分度器を見ながら底板に対して60度までねかせ、そこから手を離し天板部分を落下させる。
(6)すぐに試験機を開いてサンプルを剥がし、その折れ目の状態により下記の評価基準に従って判定する。
【0033】
(評価基準)
1;5mm以上の割れが多い。
2;3〜5mm程度の割れが3〜4個ある。
3;3〜5mm程度の割れが2個以下ある。
4;1、2箇所に3mm以下の割れがある。
【0034】
〔実施例2〜14〕
紙表面に塗布する保湿剤、保湿剤添加量、原料配合を〔表1〕に示すとおりとした以外は、実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0035】
〔比較例1〕
保湿剤を用いずに単にライナー紙原紙に水を噴霧塗工した以外は実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0036】
〔比較例2〕
保湿剤、水などいずれも噴霧塗工しなかった以外は実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0037】
〔比較例3,4〕
原料配合を〔表1〕に示すとおりとした以外は、比較例2と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を〔表1〕に示す。
【0038】
この結果、保湿剤を塗布した実施例では、生産性の良好な範囲で罫割れの発生を防止できる結果となった。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のライナー紙は、ライナー紙が水分を放出することを効果的に抑制し、その結果罫線割れの発生を防止する。また、生産性が低下することもない。従って、本発明のライナー紙を用いた段ボールは、罫線割れの発生を極めて効果的に抑制する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のライナー紙の好ましい1実施形態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明のライナー紙についての罫線割れ試験を行うための試験機を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ライナー紙
2 表面層
3 中間層
4 裏面層
Claims (4)
- 少なくとも表面層及び裏面層の2層以上の層を具備し、少なくとも前記表面層が、保湿剤を含有することを特徴とするライナー紙。
- 前記保湿剤が、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングルセス、尿素、またはその誘導体であり、単独もしくは2種以上混合して使用することを特徴とする請求項1記載のライナー紙。
- 前記保湿剤の含有量が、前記表面層を形成するパルプ材料100重量部に対して0.01〜3.0重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載のライナー紙。
- 前記表面層を形成するパルプ材料として、広葉樹パルプあるいは古紙パルプを30重量%以上配合したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のライナー紙。
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