JP4261990B2 - ライナー紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、段ボールなどの各種容器などに用いられるライナー紙に関し、更に詳細には、罫線割れの発生する率が低いライナー紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
段ボールや各種液体容器用のライナー紙は、抄紙機上で複数の紙層が重ねられて、形成されている。
例えば、段ボールの場合、コルゲーター(貼り合わせ機)で、2枚のライナー紙間に波状に加工された中芯紙を糊付けしてなる。
このような3層構造で形成された段ボールシートは、更に製函機で印刷、箱形状に切り抜き、折り曲げるための罫線を、通常、シートの4カ所に付け、製函機の折り曲げ部で糊付けと4個の罫線のうち2カ所が折り曲げられるなどして段ボール箱となされている。
この製函折り曲げ時において、また、ケースを箱に組み立てる際に、段ボールシートの表側は相当に延ばされるため、表側のライナー紙が破断する場合がある。この破断を「罫線割れ」といい、軽度の場合にはひび割れ状となり、重度の場合には、紙全体がその厚さ方向に割れてしまう。
【0003】
そこで、このような罫線割れを防止するために、種々の提案がなされている。
下記特許文献1、特許文献2、及び特許文献3には、箱の構造を特定の構造とすることにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、特許文献4には、段ボールの製造工程中において、ライナー紙の表面に水分を供給することにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、特許文献5には、ライナー紙の坪量や密度を特定の範囲内とすることにより罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、特許文献6には、ライナー紙の表面に水及び水性組成物を塗工した後、更にソフトカレンダー処理を行って、罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献7には、ライナー紙の少なくとも最外層表面に模様形成体を抄き込むことにより、罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献8には、両性界面活性剤を付与することにより罫線割れの発生を抑制することが提案されており、特許文献9には、カチオン性界面活性剤を添加することにより罫線割れの発生を抑制することが提案されている。また、特許文献10には、抄造する際に紙力増強剤を添加して、罫線割れの発生を抑制することが提案されている。
また、ライナー紙の表面層の形成原料として柔軟剤を用いることや、該表面層の形成材料にバージンパルプを増配することも提案されている。
【特許文献1】
特開平5−162735号公報(請求項1、段落番号0006〜0008)
【特許文献2】
特開平7−187175号公報(請求項1、段落番号0004〜0016)
【特許文献3】
特開平11−10754号公報(請求項1、段落番号0011,0012)
【特許文献4】
特開平7−290614号公報(請求項1、段落番号0003〜0009)
【特許文献5】
特開2001−140194号公報(請求項1、段落番号0004,0045)
【特許文献6】
特開2000−303384号公報(請求項1、段落番号0004,0005)
【特許文献7】
特開2000−336597号公報(請求項1、段落番号0005,0017)
【特許文献8】
特開2001―262496号公報(請求項1、0011,0013〜0017)
【特許文献9】
特開平11−200279号公報(請求項1、0009,0015〜0018)
【特許文献10】
特開平6−184983号公報(請求項1、段落番号0005〜0007)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来の提案では、未だ要求されているほどに十分に罫線割れの発生を抑制することができていない。また、特にバージンパルプの使用量を多くするなどした場合には、生産性が低下するという問題もあった。
従って、本発明の目的は、ライナー紙の生産性を低下させることなく、罫線割れのないライナー紙を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、ライナー紙の表面層を形成する繊維の縦並び傾向を向上させれば上記目的を達成しうることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、請求項1記載の本発明は、段ボール箱の最外表面又は最内表面を形成する表面層及び中芯(フルート)と接着される面を形成する裏面層の2層以上の層を少なくとも具備し、前記表面層を形成しているパルプ材料の繊維配向傾向が他のどの層よりもマシン運転方向(流れ方向)へ強いことを特徴とするライナー紙である。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、前記表面層の繊維配向性は、MD/CD比(マシンディレクション/クロスディレクション比)が、他のMD/CD比が最も低い層に比して10%以上高く、前記表面層のMD/CD比は、1.72以上、前記裏面層のMD/CD比は、1.4〜1.7である、ことを特徴とする請求項1記載のライナー紙である。
【0008】
請求項3記載の本発明は、前記表面層は、当該表面層形成用のパルプ材料に、澱粉がパルプ材料100重量部に対して0.1%〜0.5%重量部添加されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のライナー紙である。
【0009】
請求項4記載の本発明は、前記ライナー紙は、坪量が100〜320g/m 2 、厚さが125〜390μmとされており、前記各層の接着面に接着剤が0.5〜5g/m 2 塗工又は塗布され、当該接着剤を介して前記各層が貼り合わされている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のライナー紙である。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のライナー紙は、少なくとも表面層、裏面層の2層以上の構造を有し、前記表面層を形成しているパルプ繊維配向傾向を他層よりもマシン運転方向(流れ方向)へ強くしてなることを特徴とする。
【0014】
まず、各層の構成材料について説明する。
ここで、本明細書において「表面層」とは、段ボールなどを形成した際に形成される箱の最外表面もしくは最内表面を形成する層であり、「裏面層」とは、中芯(フルート)と接着される面を形成する層である。
【0015】
表面層を構成する紙としては、通常段ボールのライナー紙に用いられるものは特に制限なく用いることができるが、本発明においては、下記するパルプ材料を用い、下記する諸性質を有する紙を好ましく用いることができる。
パルプ材料;古紙パルプ、LUKPやLBKP等のLKP、NUKPやNBKP等のNKP、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
中でも、特にNKPと古紙パルプ及び/又はLKPとを用いるのが好ましい。
【0016】
本発明において使用することができる古紙パルプは、その種類が特に限定されない。例えば、段ボールや新聞紙、チラシ等の古紙のほか、塗工紙、非塗工紙、地券、カラー印刷された紙、白黒印刷された紙など種々の耐漂白性を有する紙を含む雑誌古紙などをも使用することができる。
【0017】
また、本発明においては、NKPと古紙パルプとを混合して用いること、すなわち、古紙パルプをパルプ材料の主成分として、ここにNKPを混合した混合パルプ材料を用いるのが特に好ましい。
NKPと古紙パルプ及び/又はLKPとを混合して用いる場合、古紙パルプ及び/又はLKPの配合割合は、表面層形成用のパルプ材料全体中45重量%以上とし、またNKPの配合割合は、パルプ材料全体中5重量%以上55重量%以下とするのが、罫線割れを効果的に防止しつつ、コストを抑え、生産性を低下させないために、好ましい。また、この配合割合は、NKPと古紙パルプとを混合して用いた場合も同様である。
【0018】
また、前記NKPのフリーネスは、500〜600ccとするのが好ましく、500〜550ccとするのが更に好ましい。
ここで、前記フリーネスは、カナダ標準型濾水度計(JISP8121、Tappi T−227)を用い、原料工程内の、叩解工程直後から原料をサンプリングするなどして測定される。
【0019】
また、本発明のライナー紙の諸性質は、以下の通りとするのが好ましい。
・坪量、好ましくは100〜320g/m2、更に好ましくは220〜320g/m2
・厚さ、好ましくは125〜390μm、更に好ましくは250〜390μm
【0020】
また、前記表面層には、紙力増強剤として両性タピオカ澱粉等の澱粉を添加するのが好ましい。この際、該澱粉の添加量は、罫線割れの防止効果を損なわず、柔軟性を向上させるために、前記パルプ材料100重量部に対して0.1%〜0.5%重量部とするのが好ましい。
更に表面層には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲でサイズ剤や定着剤等の他の構成材料を添加混合しても良い。
例えば、野菜などの内容物鮮度維持のための透気度を調整するための塗工膜、印刷層、包装容器形成後の防滑剤、滑剤、耐油剤、撥油剤、紫外線吸収剤層、耐光・耐候性付与剤層等を、用途に応じて設けることができる。
【0021】
裏面層は、表面層と同じパルプ材料を用いて形成しても、異なるパルプ材料を用いて形成しても良いが、コストや生産性などの点から古紙パルプ材料で構成されているのが好ましい。すなわち、表面層は、古紙パルプとNKPやLKPとを混合したパルプ材料を用いて形成し、裏面層は古紙パルプのみで形成するのが好ましい。また、裏面層は、Cobbサイズ度(JISP 8140)が50〜150g/m2であるのが、製函時の貼合適性と保管時の過乾燥耐性の点で好ましく、90〜130g/m2であるのが更に好ましい。
【0022】
本発明のライナー紙においては、前記表面層及び前記裏面層の間に中間層を設けることができる。該中間層は、パルプを主たる構成材料としてなる紙からなる層である。
パルプとしては、下記するものなどが挙げられ、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。
古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
【0023】
更に、本発明のライナー紙においては、表面層と中間層との間に表下層を設けることもできる。
該表下層は、パルプを主たる構成材料としてなる紙からなる層である。
パルプとしては、下記するものなどが挙げられ、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。
古紙パルプ、LBKPやNBKPなどの化学パルプ、GPやTMPなどの機械パルプ、ケナフやバガス等の非木材繊維、合成繊維。
前記表下層は、紙表面を観察したときの美粧性の点から、中間層と夾雑物やピッチ、古紙の未溶解物の含有量の点で異なるように形成されている。
【0024】
裏面層や中間層、表下層にも前述の表面層と同様に紙力増強剤やサイズ剤、定着剤などの他の成分を添加混合しても良い。
このように、本発明において、表面層と裏面層との間には、中間層1層のみを配したり、中間層と表下層とを配したりすることができ、さらには3層〜8層の層を配することもできる。また、多層構造とした場合には、各層の構成材料は同じでも異なっていても良い。
【0025】
そして、本発明においては、前記表面層を形成しているパルプ材料の繊維配向傾向が他の層よりもマシン運転方向(流れ方向、MD方向)に強い。すなわち、ライナー紙が表面層及び裏面層のみからなる場合には、表面層の繊維配向傾向が裏面層のそれよりも流れ方向に強く、後述する実施形態のように表面層、裏面層、表下層及び中間層からなる場合には、他のどの層よりも強い。
ここで、繊維配向性は、ソニックシートテスター(具体的には、商品名「ST3000」、野村商事(株)製等、以下単に「SST」と称す)で測定したMD/CD比(紙原料の繊維配向性比率:マシン方向/紙幅方向)で表される。
そして、前記表面層のMD/CD比は、他のMD/CD比が最も低い層に比して10%以上高くするのが好ましく、20%以上高くするのが更に好ましい。例えば、最も低い層のMD/CD比が1.5のときには、表面層のMD/CD比は、1.65以上であるのが好ましい。
10%以上高くすることにより、罫線割れ耐性を向上でき、20%以上高くすることにより、耐性は更に向上するので、上記範囲内とするのが好ましい。
前記表面層のMD/CD比は、1.7以上とするのが、罫線割れ耐性向上の点で好ましく、1.9以上とするのが更に好ましい。
前記裏面層のMD/CD比は、1.4〜1.7とするのが、横方向リング強度維持の点で好ましく、1.4〜1.5とするのが更に好ましい。
前記中間層のMD/CD比は、1.4〜1.7とするのが、横方向リング強度維持の点で好ましく、1.4〜1.5とするのが更に好ましい。
また、前記表下層を設ける場合、該表下層のMD/CD比は、1.4〜1.7とするのが、横方向リング強度維持の点で好ましいが、表下層の横方向リング強度が充分強い場合には1.5〜1.8程度として、表面層と中間層又は裏面層との中間値とするのが、罫線割れ耐性と横方向リング強度、層間強度全てのバランスを取る点で更に好ましい。
【0026】
次に、本発明のライナー紙の構造について、その好ましい1実施形態を図面を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明のライナー紙の好ましい1実施形態を示す断面図である。
本実施形態のライナー紙1は、図1に示すように、表面層2及び裏面層4、表面層2及び裏面層4間に位置する中間層3、並びに表面層2及び中間層3間に位置する表下層5からなる。
【0027】
本実施形態においては、表面層2と裏面層4とはそれぞれ別の構成材料で構成されている。
そして、表面層2及び裏面層4の厚さは、それぞれ同じであっても異なっていても良い。本実施形態においては、通常のライナー紙と同様に表面層の方が薄く形成されている。
また、表面層2及び裏面層4の坪量は、それぞれ同じであっても異なっていても良いが、表面層2は25〜60g/m2、裏面層4は35〜85g/m2とするのが、層内の引張り・伸びあるいは耐折強度特性の点で好ましい。なお、本実施形態においては、通常のライナー紙と同様に表面層の方が少ない坪量とされている。
また、中間層3の坪量は、70〜120g/m2とするのが、紙層構成上各種強度(破裂・リング強度)維持の点で好ましい。
また、表下層5の坪量は、35〜60g/m2とするのが、紙表面を観察した場合に、美粧性の点で好ましい。
【0028】
また、本実施形態においては、表面層2と表下層5、中間層3と表下層5及び裏面層4と中間層3とは、それぞれ接着剤を介して接着されている。
この際、用いることができる接着剤としては、通常、この種のライナー紙に用いられる天然系、PVA系、水溶性高分子系の接着剤を特に制限なく用いることができるが、塗工時には接着性を示さず、乾燥工程で接着性を発現する水分散性接着剤を好ましく用いることができる。具体的に特に好ましくは、天然系接着剤であるコーンスターチが、コスト、塗工の操業性、再生時の離解、分散の容易性から好ましい。
また、上記接着剤の塗工量は、層間の剥離問題を生じない範囲で、上層、裏面層、中間層の構成、用途に応じて任意に設定できるが、コストの面から0.5〜5g/m2とするのが好ましい。
粉体のコーンスターチ分散溶液は、中間層と表面層又は裏面層との接着面に塗工又は塗布しても塗工時には接着性を発現せず、乾燥工程の加熱による糊化により接着性を発現して、両者を接着させることができ、良好な層間の接着強度を得ることができるため、特に好ましい。接着剤による層間の接着は、多層からなる中間層の構成においても同様である。
【0029】
次に、本実施形態のライナー紙の製造方法について説明する。
本実施形態のライナー紙は、以下のような3工程を経て製造される。
(1)表面層及び裏面層形成工程
まず、パルプを水に分散させてスラリーを作成する。得られたスラリーに必要に応じて他の薬剤を添加し、溶解・混合する。次いで、抄紙を行い紙を得る。
そして、抄紙の際、表面層を形成するパルプ材料のみ、ワイヤー上で流れ方向に平行に並べてパルプ繊維の縦並び傾向を強め、MD/CD比を高くする。裏面層や後述する中間層、表下層については通常通りパルプ繊維を流れ方向に沿って並べてパルプ繊維の横並び傾向を強くしてMD/CD比を低くする、
(2)中間層、表下層形成工程
パルプを水に分散させてスラリーを作成する。得られたスラリーに必要に応じて他の薬剤を添加し、溶解・混合する。次いで、抄紙を行い中間層としての紙及び必要に応じて表下層としての紙を得る。
(3)貼合工程
得られた表面層及び裏面層の形成用の紙と中間層及び必要に応じて表下層形成用の紙とを上記接着剤を介して貼り合わせて、本実施形態のライナー紙を得る。
【0030】
本実施形態のライナー紙は、通常の段ボールに使用される中芯紙を組み合わせて、段ボールとして使用できる。すなわち、本発明のライナー紙は、2枚のライナー紙で波状形状の中芯紙を狭持して形成された3層構造の段ボールとして使用することができる。
そして、本発明のライナー紙によれば、上述のように、表面層のMD/CD比が他の層よりも高く設定されているため、耐折強度が向上され、その結果罫線割れの発生が防止される。また、ライナー紙は、横方向リングが高いことも、要求される重要な品質であるが、これは、表面層以外の層の構成パルプ繊維の横並び傾向を通常のライナー紙と同様または更に強めることで達成できる。
従って、本発明のライナー紙を用いた段ボールは、罫線割れの発生することがなく、しかも他の性能を低下させたり、生産性を低下させたりすることのないものである。
【0031】
なお、本発明のライナー紙は、上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、紙力増強剤として両性タピオカ澱粉のかわりにPAM(ポリアクリルアミド)類を使用する処方も含まれる。
また、層間接着剤を使用しない処方も含まれる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕
下記の原材料を用いて、下記の製造方法に従って、図1に示す構成のライナー紙を得た。得られたライナー紙の詳細を表1に示す。
<原材料>
・表面層
パルプ;古紙パルプとNUKP(フリーネス550)の混合パルプ(配合比45:55
紙力増強剤;内添、両性タピオカ澱粉、配合量 2kg/t
サイズ剤;内添、ロジン系エマルジョン
定着剤;内添、硫酸アルミニウム
・裏面層
パルプ;古紙パルプ
紙力増強剤;内添、両性タピオカ澱粉、配合量 4〜6kg/t
サイズ剤;内添、ロジン系エマルジョン
定着剤;内添、硫酸アルミニウム
・中間層
パルプ;古紙パルプ
紙力増強剤;内添、両性タピオカ澱粉、配合量 4〜6kg/t
サイズ剤;内添、ロジン系エマルジョン
定着剤;内添、硫酸アルミニウム
・表下層
パルプ;古紙パルプ
紙力増強剤;内添、両性タピオカ澱粉、配合量 4〜6kg/t
サイズ剤;内添、ロジン系エマルジョン
定着剤;内添、硫酸アルミニウム
・各層を接着する接着剤;コーンスターチ分散溶液
<製造方法>
以下の製造条件で各層を構成する紙を作成した後、貼り合わせを行い、ライナー紙を得た。
・表面層形成用の紙の原料条件;スラリー温度:種箱にて30〜40℃、pH:種箱にて5.0〜6.0
・表面層形成用の紙の製造条件;抄紙速度、リールにて400〜850m/min、温度条件、リールにて60〜70℃
・表下層、中間層及び裏面層形成用の紙の原料条件;スラリー温度:種箱にて30〜40℃、pH:種箱にて5.5〜6.5
・表下層、中間層及び裏面層形成用の紙の製造条件は表面層に同じ
また、得られたライナー紙について、下記方法に従ってSST測定によるMD/CD比を測定した。その結果を表1に示す。
・SST(ソニックシートテスター):1995年 紙パルプ技術協会発行 「紙パルプ製造技術シリーズ第9巻 紙パルプの試験法」P107〜108に紹介されている音速測定による方法により試験を実施した。(試験機器:野村商事(株)製商品名「ST3000」)なお、表面層、表下層、中間層、裏面層の測定に際しては、紙に水を含浸させ、それぞれの層の構成材料が他の層に着かないよう慎重に剥離した後、自然乾燥又はシートドライヤーにてシワが入らないように水分率7.5〜9.5%程度に乾燥させた後測定する。
【0033】
得られたライナー紙について下記の試験方法に従って性能試験を行った。その結果を表2に示す。なお、各試験はすべて恒温、恒湿条件(23℃、50%)で行った。
・比破裂;JIS P8131に規定するミューレン高圧破裂試験規格に基づいて試験を実施した。
・比リング;JIS P8126に規定する板紙の圧縮強度試験規格に基づいて試験を実施した。
・層間強度;JAPAN TAPPI 54に規定するインターナルボンドの試験規格に基づいて試験を実施した。
・裂断長;JIS P8131に規定する引張り強度試験規格に基づいて試験を行い、測定値より数値が算出された。
・伸び;上記裂断長測定時に同時に測定された。
・引裂強度;JIS P8161に規定する引裂強度試験規格に基づいて試験を実施した。
・耐折強度;JIS P8115に規定するMIT耐折強度試験規格に基づいて試験を実施した。
・罫線割れ評価試験;以下に示す方法に従って測定した。
【0034】
<罫線割れ評価試験>
・試料調整
(1)1枚の全幅試料から抄紙機操作側、抄紙機中央、抄紙機駆動側の各サンプルを採取する。
(2)それぞれ抄紙機幅方向10cm、抄紙機流れ方向に25cmに裁断して短冊状の試験片を得る。
・試験機
図2に示す構成の試験機11を用いた。試験機11は、図2に示すように、長方形状の天板13と長方形状の底板15とを、両者の側縁において蝶番(図示せず)で接合してなる。また、天板13の上面には取っ手17が設けられて、天板の開閉動作を容易にしている。また、端縁には、分度器19が取り付けられており、天板13と底板15との角度を目測できるようにしてある。
試験機の材質、天板や底板のサイズ等は以下の通りである。
材質:ステンレス製
天板:横25cm、奥行き15cm、厚み1cm、天板重量3.0〜3.5kg(取っ手を含む)、取っ手は重量が0.0〜0.5kgの範囲であれば、 大きさ・材質は任意で良い。
底板:横25cm、奥行き15cm、厚みは規定しないが、使用時の安定性から、天板より厚く、重いことが望ましい。
・試験操作
(1)あらかじめ上記試験機を広げた状態で置き、巾5cmのガムテープを長さ20cm程度に切って準備しておく。この際、試験機にガムテープが付着している場合は、エタノール等で除去しておく。
(2)サンプルを160℃の熱風乾燥機に、10秒間入れる。
(3)サンプルを熱風乾燥機から取り出した直後、サンプル長辺の両端が試験機の蝶番部分に対し直角に且つ上に載るようにし、表面を下にして置く。
(4)試験機の蝶番側の端から手前方向に1cm離して、端と平行になるようにサンプルをガムテープで貼り付ける。
(5)上蓋部分を横の分度器を見ながら底板に対して60度までねかせ、そこから手を離し上蓋部分を落下させる。
(6)すぐに試験機を開いてサンプルを剥がし、その折れ目の状態により下記の評価基準に従って判定する。
・評価基準
1;5mm以上の割れが多い。
2;3〜5mm程度の割れが3〜4個ある。
3;3〜5mm程度の割れが2個以下ある。
4;1、2箇所に3mm以下の割れがある。
【0035】
〔実施例2〕
NUKPのフリーネスを600ccとし、他の条件を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示す。
【0036】
〔実施例3〜7〕
条件を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示す。
【0037】
〔比較例1〕
表面層に用いるパルプを古紙パルプとNUKP(フリーネス550)との混合パルプ(配合比45:55)とし、他の条件を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示す。
【0038】
〔比較例2〜4〕
条件を表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にしてライナー紙を得た。
得られたライナー紙について、実施例1と同様に試験を行った。その結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004261990
【0040】
【表2】
Figure 0004261990
【0041】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のライナー紙は、対折り強度が向上され、その結果罫線割れの発生が防止される。また、横方向リングも十分であり、また、生産性が低下することもない。従って、本発明のライナー紙を用いた段ボールは、罫線割れの発生する率が低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のライナー紙の好ましい1実施形態を示す断面図である。
【図2】 図2は、本発明のライナー紙についての罫線割れ試験を行うための試験機を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…ライナー紙、2…表面層、3…中間層、4…裏面層、5…表下層。

Claims (4)

  1. 段ボール箱の最外表面又は最内表面を形成する表面層及び中芯(フルート)と接着される面を形成する裏面層の2層以上の層を少なくとも具備し、
    前記表面層を形成しているパルプ材料の繊維配向傾向が他のどの層よりもマシン運転方向(流れ方向)へ強いことを特徴とするライナー紙。
  2. 前記表面層の繊維配向性は、MD/CD比(マシンディレクション/クロスディレクション比)が、他のMD/CD比が最も低い層に比して10%以上高く、
    前記表面層のMD/CD比は、1.72以上、
    前記裏面層のMD/CD比は、1.4〜1.7である、
    ことを特徴とする請求項1記載のライナー紙。
  3. 前記表面層は、当該表面層形成用のパルプ材料に、澱粉がパルプ材料100重量部に対して0.1%〜0.5%重量部添加されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のライナー紙。
  4. 前記ライナー紙は、坪量が100〜320g/m 2 、厚さが125〜390μmとされており、
    前記各層の接着面に接着剤が0.5〜5g/m 2 塗工又は塗布され、当該接着剤を介して前記各層が貼り合わされている、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のライナー紙。
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