JP4878845B2 - アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いて形成した液晶分割配向制御用突起付き基板、及び液晶表示装置 - Google Patents

アルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いて形成した液晶分割配向制御用突起付き基板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、垂直配向(VA;Vertically Aligned)型液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)に係り、さらに詳しくは配向分割垂直配向(MVA;Multi Domain Vertically Aligned)型LCDに用いられる液晶配向制御用突起を有する基板及びそれを用いた液晶表示装置に関するものである。
エチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性のバインダ樹脂、光重合開始剤、及び溶剤を含有するアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、カラー液晶表示装置、イメージセンサー等の基幹部品であるカラーフィルタの製造に広く用いられている。近年、特に液晶ディスプレイがカラーテレビにも用いられるようになり、中でもコントラスト比が高く視野角が広い配向分割垂直配向(MVA)方式の液晶ディスプレイの使用が拡大しつつある。しかし、MVA方式の液晶ディスプレイにおいては、長時間にわたり電圧を印加した状態におくと、配向制御用突起の表面に電荷がたまり残像が発生するという不具合を生じることがある。これを防ぐために、該配向制御用突起には優れた電気特性を持つことが求められている。ここでいう優れた電気特性とは、誘電緩和特性が液晶および配向膜に近く、表面電荷の残留が起こらない、ということを意味する。また、高視野角化のため、該配向制御用突起の断面形状(縦断面形状)は円弧状、すなわち半円形あるいは半楕円形のように上面に平らな部分がなく、且つ低部ほど幅広くなるような形状であることが必要である。
下記特許文献1には、配向制御用突起の形成材料として、光重合性不飽和化合物及び該化合物を含有するアルカリ現像型感光性樹脂組成物が提案されている。また、下記特許文献2には、ポリカルボン酸樹脂を含有する樹脂組成物及び該樹脂組成物を含有する感光性樹脂組成物が提案されている。しかし、これらの感光性樹脂組成物を用いて形成された配向制御用突起は、上面に平らな部分ができてしまうことがあり、また電気特性も満足できるものではなかった。
また、下記特許文献3には、アルカリ可溶性不飽和樹脂及び該樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物が提案されているが、ポジ型であるため電気特性的には有利であるものの露光硬化時のフォトマスク上に微小なキズやゴミがあると共通欠陥が出やすく、コスト、プロセス的に不利であるという問題があった。
特許3148429号 特開平2003−107702号 特開平2003−89716号
従って、本発明の目的は、優れた電気特性を持つアルカリ現像性樹脂組成物より得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いて、良好な断面形状を与える液晶分割配向制御用突起を有する液晶表示装置用基板を提供することにある。
本発明は、対向する基板との間で液晶を挟持する液晶表示装置を構成する、少なくとも液晶分割配向制御用突起を有する基板において、当該液晶分割配向制御用突起が、少なくとも下記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に対し、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られた光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物と、光重合開始剤(D)とを含むアルカリ現像型感光性樹脂組成物より形成されてなることを特徴とする液晶分割配向制御用突起付き基板を提供することにより、上記目的を達成したものである。
Figure 0004878845





(式中、Cyは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、Xは水素原子、フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、前記フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又はハロゲン原子により置換されていてもよく、Y及びZは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を示し、アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、nは0〜10の数を示し、pは0〜4の数を示し、rは0〜4の数を表す。)
また、本発明は、上記液晶分割配向制御用突起付き基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置を提供するものである。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物は優れた電気特性を持つため、該アルカリ現像性樹脂より得られるアルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いて形成した液晶分割配向制御用突起付き基板は、良好な配向制御用突起の断面形状を有する。該液晶分割配向制御用突起付き基板は、特にMVA方式の液晶表示装置に好適に用いることができる。
以下、本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物は、上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に対し、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られた光重合性不飽和化合物を含有する。
上記エポキシ付加物は、上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に、上記不飽和一塩基酸(B)を、上記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1個に対し上記不飽和一塩基酸(B)のカルボキシル基が0.1〜1.0個、特に0.3〜1.0個となる比率で付加させた構造を有することが好ましい。
また、上記エポキシ付加物に対し、上記多塩基酸無水物(C)は、エポキシ付加物の水酸基1個に対し多塩基酸無水物(C)の酸無水物構造が0.1〜1.0個、特に0.3〜1.0個となる比率でエステル化されていることが好ましい。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物の誘電正接は、10〜50Hzの周波数範囲のいずれかの周波数において0.008以下であり、特に0.007以下であるのが好ましい。本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物の誘電正接が0.008以下であると、本発明の液晶分割配向制御用突起付き基板における液晶分割配向制御用突起の形成において、表示焼き付き等の発生しない信頼性の高い液晶表示装置が得られる。尚、上記誘電正接は、測定サンプルとして本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物の硬化物を用い、常法に従って測定した値である。
上記一般式(I)中、Cyで示される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等が挙げられる。
Xで表される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、Cyで示される炭素原子数3〜10のシクロアルキル基として例示したものが挙げられる。Xで示されるフェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を置換してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基及びハロゲン原子としては、それぞれ、Y及びZで示されるものとして後に例示するものが挙げられる。
Y及びZで示される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、へプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル等が挙げられる。Y及びZで示される炭素原子数1〜10のアルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピロキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピロキシエトキシエチル、メトキシプロピル等が挙げられる。Y及びZで示される炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニル等が挙げられる、Y及びZで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、Xで示されるフェニル基及び炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を置換してもよい上記のアルキル基及びアルコキシ基、並びにY及びZで示される上記のアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。例えば、フッ素原子で置換された炭素原子数1〜10のアルキル基としては、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、パーフルオロエチル等が挙げられる。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物は、その調製に用いられる上記エポキシ樹脂(A)がトリアリールモノシクロアルキルメタン骨格を有することにより、硬化物の基材への密着性、耐アルカリ性、加工性、強度等が優れるため、非硬化部を現像除去する際に、微細パターンであっても鮮明な画像を精度良く形成できるものと考えられる。上記エポキシ樹脂(A)としては、上記一般式(I)において、Cyがシクロヘキシルであるもの;Xがフェニル基であるもの;p及びrが0であるもの;nが0〜5、特に0〜1であるものが好ましい。
上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)の具体例としては、以下の化合物No.1〜No.9の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
Figure 0004878845
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本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物を得るために使用される不飽和一塩基酸(B)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物を得るために使用される多塩基酸無水物(C)としては、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2’−3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等が挙げられる。これらの中でも、コハク酸無水物、トリメリット酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物において、エポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に対し、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られた光重合性不飽和化合物に、さらにエポキシ化合物(E)をエステル化させてもよい。該エポキシ化合物(E)としては、単官能エポキシ化合物あるいは多官能エポキシ化合物を用いることができ、固形分の酸価は20〜120mgKOH/gの範囲であることが好ましく、エポキシ化合物(E)の使用量は上記酸価を満たすように選択するのが好ましい。
上記単官能エポキシ化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ぺプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p−メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メトキシグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−メチルクレジルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、下記化合物No.10、No.11等が挙げられる。
Figure 0004878845
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上記多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びグリシジルエーテル類からなる群から選択される一種以上を用いると、特性の一層良好なアルカリ現像性樹脂組成物を得ることができるので好ましい。該ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)を用いることができる他、例えば、ビスフェノールZグリシジルエーテル等のアルキリデンビスフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂も用いることができる。該グリシジルエーテル類としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)プロパン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)エタン、1,1,1−トリ(グリシジルオキシメチル)メタン、1,1,1,1−テトラ(グリシジルオキシメチル)メタンが挙げられる。
上記多官能エポキシ樹脂としては、その他に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン等の脂環式エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルP−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン類;1,3−ジグリシジル−5,5−ジメチルヒダントイン、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンジオキシド等のジオキシド化合物;ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を用いることができる。
(A)〜(C)の各成分並びに必要に応じて(E)成分を反応させて得られた光重合性不飽和化合物の含有量は、本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物において1〜70質量%、特に3〜30質量%が好ましい。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物には、上記光重合性不飽和化合物の他に、溶媒を含有させてもよく、例えば、光重合性不飽和化合物の含有量を上記の好ましい範囲とする場合、光重合性不飽和化合物以外の残部には溶媒を用いることができる。該溶媒の具体例としては、後述のアルカリ現像型感光性樹脂組成物に用いられる溶媒として例示するものが挙げられる。また、(A)〜(C)成分並びに(E)成分から上記光重合性不飽和化合物を合成する際に用いた溶媒を除去せず、そのまま本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物に含有させてもよい。
本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物は、主として、溶媒及び光重合開始剤と混合され、アルカリ現像型感光性樹脂組成物として用いられる。
以下に、上記アルカリ現像型感光性樹脂組成物(以下、本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物ともいう)について、好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、少なくとも、前記光重合性不飽和化合物を含有する本発明に係るアルカリ現像性樹脂組成物に、光重合開始剤及び溶媒を含有させたものである。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物において、前記光重合性不飽和化合物の含有量は、アルカリ現像型感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で50〜90質量%、特に60〜80質量%が好ましい。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤(D)としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、下記化合物No.12、No.13等が挙げられる。
Figure 0004878845
(式中、X1はハロゲン原子又はアルキル基を表し、R1はR、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R2はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R3はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R及びR’は、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表し、これらはハロゲン原子及び/又は複素環基で置換されていてもよく、これらのうちアルキル基及びアラルキル基のアルキレン部分は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合又はエステル結合により中断されていてもよく、また、R及びR’は一緒になって環を形成していてもよく、pは0〜5である。)
Figure 0004878845
(式中、X1、R1、R2、R3、R及びR’は上記化合物No.12と同じであり、X1’はハロゲン原子又はアルキル基を表し、Z1は酸素原子又は硫黄原子を表し、a及びbはそれぞれ独立に1〜4の数を表し、R1’はR、OR、COR、SR、CONRR’又はCNを表し、R2’はR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R3’はそれぞれR、OR、COR、SR又はNRR’を表し、R4はジオール残基又はジチオール残基を表す。)
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物において、上記光重合開始剤(D)の含有量は、アルカリ現像型感光性樹脂組成物から溶媒を除く全固形分の合計質量に占める割合で0.1〜30質量%、特に0.5〜15質量%が好ましい。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物に含まれる溶媒としては、通常、前記の各成分を溶解または分散しえる溶媒であれば特に制限はないが、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセルソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられ、特に、ケトン類又はセロソルブ系溶媒が好ましい。これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物において、上記溶媒の含有量は、アルカリ現像型感光性樹脂組成物に占める全固形分濃度が5〜40質量%、特に15〜30質量%が好ましい。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物には、さらに不飽和結合を有するモノマー、連鎖移動剤、界面活性剤等を併用することができる。
上記不飽和結合を有するモノマーとしては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸N−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル 、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート等が挙げられる。
上記連鎖移動剤としては、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物が挙げられる。
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物には、さらに熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
また、本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物には、必要に応じて、アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、第三ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;分散剤;レベリング剤;シランカップリング剤等の慣用の添加物を加えることができる。
また、本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、液晶分割配向制御用突起付き基板における液晶の配向を制御するための突起物を形成するためのネガ型感光性組成物として好適である。
次に、本発明の液晶分割配向制御用突起付き基板及び該基板を備えた本発明の液晶表示装置について、以下に説明する。
本発明の液晶分割配向制御用突起付き基板は、対向する基板との間で液晶を挟持する液晶表示装置において、当該液晶分割配向制御用突起が、本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物の硬化物であることを特徴とするものであり、当該液晶分割配向制御用突起の形成に本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物を用いること以外は、従来の液晶表示装置用基板とすることができる。
本発明の液晶分割配向制御用突起付き基板は、透光性基材上にカラーフィルタ層を設け、該カラーフィルタ層上に本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物により液晶分割配向制御用突起を形成して、液晶用カラーフィルタとして用いることもできる。
以下、この場合について説明するが、これは本発明の液晶分割配向制御用突起付き基板又は液晶表示装置が必ずしもカラーフィルタ層を具備しなければならないことを意味するものではない。
本発明の液晶表示装置を構成する基板の少なくとも一方には、配向膜層、透明導電膜層が形成される。該透明導電膜層は通常、配向膜あるいは該液晶分割配向制御用突起の直下に形成され、カラーフィルタ基板の場合にはカラーフィルタ層上、あるいは保護膜層上に形成される。透明導電膜層は、例えばITO(インジウムとスズの複合酸化物)、IZO(インジウムと亜鉛の複合酸化物)等の薄膜としてスパッタ法、真空蒸着法等の手法により形成することができる。
上記液晶分割配向制御用突起の形成においては、先ず、本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物をスピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター等の公知の手段により塗布する。また、基板への塗布に代わり、一旦、円筒状の転写胴に支持されたいわゆるブランケットやフィルム等の転写支持体上へアルカリ現像型感光性樹脂組成物を塗布し、これを基板へ転写する方法をとってもよい。次いで、所定のパターンのフォトマスクを介して露光し、未露光部を炭酸ナトリウム等のアルカリ性水溶液によって除去し現像する。尚、本発明に係るアルカリ現像型感光性樹脂組成物は、露光感度が良好であるため、酸素遮断膜を形成する必要はないが、さらなる露光感度の向上を目的として、露光工程の前に酸素遮断膜を形成する工程を設けても良い。
さらに、現像後に必要に応じて熱工程を施すことにより、液晶配向制御用突起の硬化を促進し、耐溶剤性、耐熱性、基板との密着性を向上させることができる。また、熱による収縮やリフローにより形状を滑らかにし液晶分子の配向性をより向上することが可能となる。
このようにして形成された液晶分割配向制御用突起は、基板上にドット状、ストライプ状、ジグザグ状のように規則的に配置されていることが好ましく、その断面の形状が半円状あるいは半楕円状であることが好ましい。
必要に応じて形成される配向膜層には、液晶化合物を垂直配向させ、かつ透明で絶縁性の物質が用いられる。通常、ポリイミド樹脂溶液、ポリアミック酸溶液等を公知の塗布方法あるいは印刷方法にて形成し、その後焼成することにより形成される。
本発明の液晶分割配向制御用突起付き基板は、従来の液晶分割配向制御用突起付き基板と同様にして、液晶表示装置に適用することができる。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1] アルカリ現像性樹脂組成物No.1の製造
<ステップ1>1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタンの製造
ビフェニルシクロヘキシルケトン70.5g、フェノール200.7g及びチオ酢酸10.15gを仕込み、トリフルオロメタンスルホン酸40.0gを18℃で20分かけて滴下した。17〜19℃で18時間反応後、水500gを加えて反応を停止させ、トルエン500gを加え、有機層をpH3〜4になるまで水洗して有機層を分離した。トルエン、水及び過剰のフェノールを留去した。残さにトルエンを加えて析出した固体をろ別し、トルエンで分散洗浄して淡黄色結晶59.2g(収率51%)を得た。該淡黄色結晶の融点は239.5℃であり、該淡黄色結晶は目的物であることを確認した。
<ステップ2>1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタンの製造
ステップ1で得られた1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン57.5g及びエピクロルヒドリン195.8gを仕込み、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.602gを加えて64℃で18時間撹拌した。続いて54℃まで降温し、24重量%水酸化ナトリウム水溶液43.0gを滴下し、30分撹拌した。エピクロルヒドリン及び水を留去し、メチルイソブチルケトン216gを加えて水洗後、24重量%水酸化ナトリウム2.2gを滴下した。80℃で2時間撹拌後、室温まで冷却し、3重量%モノリン酸ナトリウム水溶液で中和し、水洗を行った。溶媒を留去して、黄色固体57g(収率79%)を得た。(融点64.2℃、エポキシ当量282、n=0.04)。該黄色結晶は目的物であることを確認した。
<ステップ3>アルカリ現像性樹脂組成物No.1の製造
ステップ2で得られた1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(以下、化合物aともいう)1695g、アクリル酸(以下、化合物bともいう)443g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール6g、テトラブチルアンモニウムアセテート11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート1425gを仕込み、120℃で16時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート718g及びコハク酸無水物(以下、化合物c−1ともいう)482g及びテトラブチルアンモニウムアセテート25gを加えて100℃で5時間撹拌した。更に、ステップ2で得られた1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(以下、化合物e−1ともいう)508g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート218gを加えて120℃で12時間、80℃で2時間、40℃で2時間撹拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート1463gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.1を得た(Mw=4200、Mn=2100、酸価(固形分)55mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.1が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(A)成分である化合物aに(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−1の酸無水物構造が0.8個の比率で、(E)成分である化合物e−1のエポキシ基が0.3個の比率でエポキシ付加物と化合物c−1及び化合物e−1とをエステル化反応させて得られたものである。また、上記エポキシ付加物は、化合物aのエポキシ基1個に対し、化合物bのカルボキシル基が1.0個の比率で付加させた構造を有するものである。
[製造例2]アルカリ現像性樹脂組成物No.2の製造
製造例1のステップ2で得られた1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(化合物a)43g、アクリル酸(化合物b)33.6g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.04g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.21g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート18gを仕込み、120℃で13時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート24g及びコハク酸無水物(化合物c−1)10gを加えて100℃で3時間撹拌した。更にビスフェノールZグリシジルエーテル(化合物e−2)8gを加えて120℃で4時間、90℃で3時間、60℃で2時間、40℃で5時間撹拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.2を得た(Mw=4600、Mn=2100、酸価(固形分)54mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.2が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(A)成分である化合物aに(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−1の酸無水物構造が0.8個の比率で、(E)成分である化合物e−2のエポキシ基が0.3個の比率でエポキシ付加物と化合物c−1及び化合物e−2とをエステル化反応させて得られたものである。また、上記エポキシ付加物は、化合物aのエポキシ基1個に対し、化合物bのカルボキシル基が1.0個の比率で付加させた構造を有するものである。
[製造例3] アルカリ現像性樹脂組成物No.3の製造
製造例1のステップ2で得られた1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(化合物a)1695g、アクリル酸(化合物b)443g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール6g、テトラブチルアンモニウムアセテート11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート1425gを仕込み、120℃で16時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート931g及びヘキサヒドロ無水フタル酸(以下、化合物c−2ともいう)741g及びテトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート25gを加えて70℃で4時間撹拌した。更にエチレングリコールジグリシジルエーテル(以下、化合物e−3ともいう)313g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート1463gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.3を得た(Mw=3000、Mn=1700、酸価(固形分)43mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.3が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(A)成分である化合物aに(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−2の酸無水物構造が0.8個の比率で、(E)成分である化合物e−3のエポキシ基が0.4個の比率でエポキシ付加物と化合物c−2および化合物e−3とをエステル化反応させて得られたものである。また、上記エポキシ付加物は、化合物aのエポキシ基1個に対し、化合物bのカルボキシル基が1.0個の比率で付加させた構造を有するものである。
[製造例4]アルカリ現像性樹脂組成物No.4の製造
製造例1のステップ2で得られた1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(化合物a)43g、アクリル酸(化合物b)11g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.05g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート23gを仕込み、120℃で16時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート35g及びビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(化合物c−3)10gを加えて120℃で8時間撹拌した。更にテトラヒドロ無水フタル酸(化合物c−4)6gを加えて120℃で4時間、100℃で3時間、80℃で4時間、60℃で6時間、40℃で11時間撹拌後、クレジルグリシジルエーテル(以下、化合物e−4ともいう)6.3gを加えて120℃で10時間撹拌した。50℃まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.4を得た(Mw=4700、Mn=2500、酸価(固形分)45mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.4が含有する反応生成物(光重合性不飽和化合物)は、(A)成分である化合物aに(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−1及び化合物c−2の酸無水物構造が0.7個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−1及び化合物c−2とをエステル化反応させて得られたものである。また、上記エポキシ付加物は、化合物aのエポキシ基1個に対し、化合物bのカルボキシル基が1.0個の比率で付加させた構造を有するものであり、さらに、酸無水物構造に由来するカルボキシル基の0.36個を(E)成分である化合物e−4でエステル化した構造を有するものである。
[製造例5]アルカリ現像性樹脂組成物No.5の製造
製造例1のステップ2で得られた1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)−1−シクロヘキシルメタン(化合物a)43g、アクリル酸(化合物b)11g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.05g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート23gを仕込み、120℃で16時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート35g及びビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物(以下、化合物c−5ともいう)9.4gを加えて120℃で8時間攪拌した。更にテトラヒドロ無水フタル酸(化合物c−4)6.0gを加えて120℃で4時間、100℃で3時間、80℃で4時間、60℃で6時間、40℃で11時間撹拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物であるアルカリ現像性樹脂組成物No.5を得た(Mw=4000、Mn=2100、酸価(固形分)86mgKOH/g)。
尚、アルカリ現像性樹脂組成物No.5が含有する反応生成物は、(A)成分である化合物aに(B)成分である化合物bを付加させた構造を有するエポキシ付加物の水酸基1個に対し、(C)成分である化合物c−4及び化合物c−5の酸無水物構造が0.68個の比率で、エポキシ付加物と化合物c−4及び化合物c−5とをエステル化反応させて得られたものである。また、上記エポキシ付加物は、化合物aのエポキシ基1個に対し、化合物bのカルボキシル基が1.0個の比率で付加させた構造を有するものである。
[比較製造例1]アルカリ現像性樹脂組成物No.6の製造
ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量231)184g、アクリル酸58g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.26g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート23gを仕込み、120℃で16時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート35g及びテトラヒドロ無水フタル酸41gを加えて100℃で3時間撹拌した。更にエチレングリコールジグリシジルエーテル6.5gを加え、120℃で4時間、90℃で3時間、60℃で2時間、40℃で5時間撹拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート90gを加えて目的物のプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液としてアルカリ現像性樹脂組成物No.6を得た(Mw=5000、Mn=2100、酸価(固形分)92.7mgKOH/g)。
[比較製造例2] アルカリ現像性樹脂組成物No.7の製造
<ステップ1>1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタンの製造
フェノール75g及び4−アセチルビフェニル50gを60℃で加熱溶融させ、3−メルカプトプロピオン酸5gを加えて撹拌しながら塩化水素ガスを24時間吹き込み、その後72時間反応させた。70℃の温水で洗浄した後、減圧下で180℃まで加熱して蒸発物を留去した。残渣にキシレンを加えて冷却し、析出した結晶をろ取、減圧乾燥して淡黄色結晶65g(収率68%)を得た。該淡黄色結晶の融点は184℃であり、該淡黄色結晶は目的物であることを確認した。
<ステップ2>1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタンの製造
ステップ1で得られた1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタン37g及びエピクロルヒドリン149.5gを仕込み、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.45gを加えて64℃で18時間撹拌した。続いて54℃まで降温し、24重量%水酸化ナトリウム水溶液32.6gを滴下し、30分撹拌した。エピクロルヒドリン及び水を留去し、メチルイソブチルケトン140gを加えて水洗後、24重量%水酸化ナトリウム1.7gを滴下した。80℃で2時間撹拌後、室温まで冷却し、3重量%モノリン酸ナトリウム水溶液で中和し、水洗を行った。溶媒を留去して、黄色粘性液体38.7g(収率80%)を得た。(エポキシ当量248、n=0.04)。該黄色粘性液体は目的物であることを確認した。
<ステップ3>アルカリ現像性樹脂組成物No.7の製造
ステップ2で得られた1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタン49.6g、アクリル酸14.4g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.05g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.14g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート27.4gを仕込み、120℃で13時間撹拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート41.5g及びコハク酸無水物4.3gを加えて100℃で3時間撹拌した。更にエチレングリコールジグリシジルエーテル0.34gを加えて120℃で4時間、90℃で3時間、60℃で2時間、40℃で5時間撹拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート34gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物のアルカリ現像性樹脂組成物No.6を得た(Mw=3700、Mn=1900、酸価(固形分)93mgKOH/g)。
[製造例6]アルカリ現像型感光性樹脂組成物の調製
製造例1〜5及び比較製造例1〜2で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜7の12gに対し、トリメチロールプロパントリアクリレート8g、ベンゾフェノン1.8g及びエチルセロソルブ75gを加えてよく撹拌し、アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜7を得た。
上記製造例6で調整したアルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜7の誘電正接の測定を以下のようにして行った。
すなわち、厚さ0.7mmのガラス板上に、アルミを一般的な真空蒸着法により電極パターンを有する金属マスクを介して厚さ100オングストロームとなるように製膜し、電極を形成した。続いて上記アルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜7を約2μmの厚さになるようにスピンコートにて塗布し、80℃で10分間乾燥した後、アルミ電極上以外の不要部分を除去し、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間加熱乾燥処理し、さらにアルミ電極を上記と同様の方法により形成して試験片を作製した。該試験片は、10mm×10mmの正方形のアルミ電極の間に本発明のアルカリ現像型感光性樹脂組成物の硬化物が約1.5μm厚で挟まれた構造のものである。得られた試験片について、30Hzにおける誘電正接の値を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004878845
表1から明らかなように、上記製造例1〜5で得られたアルカリ現像性樹脂組成物No.1〜5を用いて調製したアルカリ現像型感光性樹脂組成物NO.1〜5は、30Hzにおける誘電正接が0.008以下であり、一方、上記比較製造例1〜2で得られたアルカリ現像性樹脂組成物NO.6〜7を用いて調製したアルカリ現像型感光性樹脂組成物No.6〜7は、0.008より大きいものであった。
[実施例1]液晶配向制御用突起付き基板の形成及び評価
<ITO付き基板作成>
透明ガラス基板上にCr薄膜を製膜し、フォトエッチング法によりブラックマトリックスを形成した。この上に、赤色感光性樹脂組成物をスピンコートにて2μmの厚さに塗布し、90℃で5分乾燥した後、着色画素用のストライプパターンを有するフォトマスクを介して超高圧水銀灯にて300mJ/cm2照射した。2.5%炭酸ナトリウム水溶液にて60秒現像、水洗後、オーブンにて230℃、30分ポストベークを行い、赤色のストライプパターンを得た。続いて、同様の処理を緑色感光性樹脂組成物及び青色感光性樹脂組成物について行い、赤、緑、青の着色画素層を形成した。
次に、全面にITOを一般的なスパッタリング法により1500オングストロームの厚さに製膜し、透明導電層を形成して、ITO付き基板を得た。
<液晶配向制御用突起付き基板の形成>
上記ITO付き基板上に上記製造例5で調製したアルカリ現像型感光性組成物No.1〜7を、膜厚2μmとなるようにスピンコートにて塗布し、10分間風乾させた後、90℃で2分間ホットプレートで加熱した。突起形成用フォトマスクを介して、超高圧水銀灯にて150mJ/cm2照射後、2.5%炭酸ナトリウム溶液にて50秒間現像し、よく水洗した。乾燥後、オーブンにて230℃、30分ポストベークを行い、液晶配向制御用突起を形成して液晶配向制御用突起付き基板を得た。
形成された液晶配向制御用突起の断面形状を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察評価した。評価基準は断面形状が半円状あるいは半楕円状であるものを○、台形であるものを×とした。
さらに、上記液晶配向制御用突起を有する基板を用いてMVA方式の液晶表示装置を形成し、48時間電圧を印加した後の焼き付き特性を調べた。評価基準は、残像が発生していないものを○、発生したものを×とした。
これらの評価結果を表2に示す。
Figure 0004878845
製造例1〜5で得られたアルカリ現像性樹脂組成物を用いて調製したアルカリ現像型感光性樹脂組成物No.1〜5を用いて形成した液晶配向制御用突起物の断面形状は半円状又は半楕円状で良好であり、これらを用いて形成した液晶表示装置は高視野角を有しており、且つ焼きつきが発生することもなく良好な表示特性を持つものであった。一方、比較製造例1〜2で得られたアルカリ現像性樹脂組成物NO.6〜7を用いて調製したアルカリ現像型感光性樹脂組成物No.6〜7を用いて形成した液晶配向制御用突起物の断面形状は台形であり、これらを用いて形成した液晶表示装置は焼きつきが発生した。

Claims (5)

  1. 対向する基板との間で液晶を挟持する液晶表示装置を構成する、少なくとも液晶分割配向制御用突起を有する基板において、当該液晶分割配向制御用突起が、少なくとも下記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を付加させた構造を有するエポキシ付加物に対し、多塩基酸無水物(C)をエステル化させて得られた光重合性不飽和化合物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物と、光重合開始剤(D)とを含むアルカリ現像型感光性樹脂組成物より形成されてなることを特徴とする液晶分割配向制御用突起付き基板。
    Figure 0004878845
    (式中、Cyは炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、Xは水素原子、フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基を示し、前記フェニル基又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又はハロゲン原子により置換されていてもよく、Y及びZは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を示し、アルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、nは0〜10の数を示し、pは0〜4の数を示し、rは0〜4の数を表す。)
  2. 上記エポキシ付加物が、上記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1個に対し、上記不飽和一塩基酸(B)のカルボキシル基が0.1〜1.0個で付加させた構造を有し、
    上記エステル化は、上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し、上記多塩基酸無水物(C)の酸無水物構造が0.1〜1.0個となる比率で行われることを特徴とする請求項1記載の液晶分割配向制御用突起付き基板。
  3. 上記光重合性不飽和化合物に、さらにエポキシ化合物(E)を反応させたことを特徴とする請求項1又は2記載の液晶分割配向制御用突起付き基板。
  4. 上記一般式(I)中、Cyがシクロヘキシル基であり、Xがフェニル基であり、p及びrが0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶分割配向制御用突起付き基板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶分割配向制御用突起付き基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
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