JP2006251496A - アルカリ現像型感光性着色組成物、及びそれを用いたカラーフィルタ - Google Patents

アルカリ現像型感光性着色組成物、及びそれを用いたカラーフィルタ Download PDF

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梓実 佐藤
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泰之 出町
Tadatoshi Maeda
忠俊 前田
Hiromitsu Ito
浩光 伊藤
Tomohito Ishiguro
智仁 石黒
Yoshie Makabe
由恵 真壁
Naomi Sato
直美 佐藤
Masahiro Takada
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Abstract

【課題】 感度、密着性及び耐アルカリ性に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像型感光性着色組成物を提供すること。
【解決手段】 少なくともバインダ樹脂、光重合開始剤、色材及び溶剤を含有する感光性着色組成物であって、前記バインダ樹脂として、下記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を、当該エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対し、当該不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基が0.1〜1.0個となる比率で付加させてエポキシ付加物とし、当該エポキシ付加物と多塩基酸無水物(D)とを、当該エポキシ付加物の有する水酸基1個に対し、当該多塩基酸無水物(D)の有する酸無水物構造が0.2〜0.8個となる比率で反応させて得られる光重合性不飽和化合物を用いることを特徴とするアルカリ現像型感光性着色組成物。
【化1】

【選択図】 なし

Description

本発明は、カラー液晶表示装置、イメージセンサー等に用いられるカラーフィルタの製造に有用なアルカリ現像型感光性着色組成物、及びそれを用いたカラーフィルタに関する。
エチレン性不飽和結合を有するアルカリ可溶性のバインダ樹脂、光重合開始剤、顔料又は染料等の色材、及び溶剤を含有するアルカリ現像型感光性着色組成物は、カラー液晶表示装置、イメージセンサー等の基幹部品であるカラーフィルタの製造に広く用いられている。
アルカリ現像型感光性着色組成物を用いたカラーフィルタの製造方法は、一般に以下のようなものである。先ず、黒色色材を含有するアルカリ現像型感光性着色組成物を基板上に塗布し、所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光、現像することにより、未露光領域を除去し、カラーフィルタのブラックマトリックスを形成する。通常、現像後に機械的強度を増すため、加熱処理が施される。ブラックマトリックスを形成した後、黒色色材を含有する上記アルカリ現像型感光性着色組成物に代えて、赤色、緑色、及び青色の各色材を含有するアルカリ現像型感光性着色組成物を用いて、上記工程を繰り返すことによって、順次各画素部を形成し、目的とするカラーフィルタを得ることができる。
近年、電子機器の軽薄短小化や高機能化の進展に伴い、小型、高精細の液晶表示装置が求められている。カラーフィルタに関しても、ブラックマトリックスの細線化、画素部の微細化が必要になることから、こうした微細パターンを精度良く形成することができるアルカリ現像型感光性着色組成物の開発が望まれている。
このような要請に対して、ビスフェノール型エポキシ樹脂に、不飽和一塩基酸を付加させて得られる光重合性不飽和化合物をバインダ樹脂に用いたアルカリ現像型感光性着色組成物が特許文献1に示されている。また、同様のエポキシ樹脂に反応性二重結合を有さないモノカルボン酸を付加して得られる非感光性ポリカルボン酸樹脂と付加重合可能な化合物とを併せ用いたアルカリ現像型感光性着色組成物が特許文献2に示されている。
しかし、これら公知のビスフェノール型エポキシ樹脂を用いたアルカリ現像型感光性着色組成物は、感度が充分でなく、適切なパターン形状や微細パターンを得ることが困難であった。そのため、高感度であり、密着性及び耐アルカリ性に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像型感光性着色組成物が望まれていた。
特開平6−1938号公報 特開2003−107702号公報
解決しようとする問題点は、上述したように、感度が充分で、密着性及び耐アルカリ性に優れ、微細パターンを精度良く形成することのできるアルカリ現像型感光性着色組成物がこれまでなかったということである。
従って、本発明の目的は、感度、密着性及び耐アルカリ性に優れ、微細パターンを精度良く形成できるアルカリ現像型感光性着色組成物を提供することにある。
本発明は、少なくともバインダ樹脂、光重合開始剤、色材及び溶剤を含有する感光性着色組成物であって、前記バインダ樹脂として、下記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を、当該エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対し、当該不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基が0.1〜1.0個となる比率で付加させてエポキシ付加物とし、当該エポキシ付加物と多塩基酸無水物(D)とを、当該エポキシ付加物の有する水酸基1個に対し、当該多塩基酸無水物(D)の有する酸無水物構造が0.2〜0.8個となる比率で反応させて得られる光重合性不飽和化合物を用いることを特徴とするアルカリ現像型感光性着色組成物を提供することによって上記目的を達成したものである。
また、本発明は、基板上に少なくとも複数色の画素部を有し、当該画素部の1色又は2色以上が上記アルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であることを特徴とするカラーフィルタを提供するものである。
また、本発明は、基板上にブラックマトリックス及び画素部を有し、当該ブラックマトリックスが上記アルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であることを特徴とするカラーフィルタを提供するものである。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物は、感度、密着性、耐アルカリ性等に優れ、微細パターンを精度良く形成できる。
以下、本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物について、好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物は、少なくともバインダ樹脂、光重合開始剤、色材及び溶剤を含有する。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物に含まれるバインダ樹脂としては、上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に対し、不飽和一塩基酸(B)を付加させて得られるエポキシ付加物と、多塩基酸無水物(D)との反応により得られる光重合性不飽和化合物を用いる。
上記エポキシ付加物は、エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対し、不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基を0.1〜1.0個となる比率で付加させて得られる。より好ましくは、エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対して、不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基を0.7〜1.0個となる比率で付加させる。
また、上記バインダ樹脂としては、上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に対し、不飽和一塩基酸(B)と共に、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物及びカルボン酸より選択される化合物(C)(以下、単に化合物(C)と記載する場合がある)を付加させて得られるエポキシ付加物と、多塩基酸無水物(D)との反応により得られる光重合性不飽和化合物を用いてもよい。
この場合のエポキシ付加物は、エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対し、不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基は0.1〜1.0個、化合物(C)の有するフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基又はカルボキシル基は0.1〜0.8個の比率で、かつ当該不飽和一塩基酸(B)及び当該化合物(C)の和が0.1〜1.0となる比率で付加させたものであることが好ましい。より好ましくは、エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対して、不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基は0.7〜1.0個の比率で、化合物(C)の有するフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基又はカルボキシル基は0.1〜0.3個の比率で、かつ当該不飽和一塩基酸(B)及び当該化合物(C)の和は0.8〜1.0個となる比率で付加させる。
上記一般式(I)中、Aで表される脂環式炭化水素基としては、脂環式アルキリデン基が好ましく、該脂環式アルキリデン基としては、シクロペンチリデン、3−メチルシクロペンチリデン、シクロペンテニリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘキセニリデン、3−メチルシクロヘキシリデン、3,3−ジメチルシクロヘキシリデン、3,5−ジメチルシクロヘキシリデン等が挙げられる。
上記一般式(I)中、R1及びR2は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、これらのアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲンで置換されていてもよい。R1及びR2で表される炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、パーフルオロエチル等が挙げられる。R1及びR2で表される炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、メトキシエチル、エトキシエチル、プロピロキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、プロピロキシエトキシエチル、メトキシプロピル等が挙げられる。R1及びR2で表される炭素数2〜5のアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、エチニル、プロピニル等が挙げられる。また、R1及びR2で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。また、上記のアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基を置換してもよいハロゲンとしては、R1及びR2で表されるハロゲン原子として例示したものが挙げられる。
本発明で用いるエポキシ付加物の調製に用いられる上記エポキシ樹脂(A)が脂環式炭化水素基を有することにより、本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物は、硬化後におけるカラーフィルタ基材への密着性が優れ、微細パターンであっても鮮明な画像を精度良く形成できるものと考えられる。エポキシ樹脂(A)としては、上記一般式(I)において、Aがシクロヘキシリデン基であるもの;R1及び/又はR2、特にR1及びR2が水素原子であるもの;nが0〜5、特に0〜1であるものが好ましい。
上記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)の具体例としては、以下の化合物No.1〜No.8の化合物が挙げられる。ただし、本発明は以下の化合物により何ら制限を受けるものではない。
本発明で用いるエポキシ付加物の調製に用いられる不飽和一塩基酸(B)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート等が挙げられる。
本発明で用いるエポキシ付加物の調製において化合物(C)として用い得るフェノール化合物としては、例えば、フェノール、クロロフェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、第三ブチルフェノール、第三アミルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、イソオクチルフェノール、第三オクチルフェノールノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール、2,4−ジ第三ブチルフェノール、2,5−ジ第三ブチルフェノール、3,5−ジ第三ブチルフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、テルペンフェノール、ナフトール等が挙げられる。
本発明で用いるエポキシ付加物の調製において化合物(C)として用い得るアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、tert−ブチルアルコール、2−メチルブタン−2−オール、2−メチルペンタン−2−オール、2−メチルヘキサン−2−オール、2−メチルヘプタン−2−オール等が挙げられる。
本発明で用いるエポキシ付加物の調製において化合物(C)として用い得るアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、へプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジへプチルアミン、ジオクチルアミン、モルホリン、ピペリジン等が挙げられる。
本発明で用いるエポキシ付加物の調製において化合物(C)として用い得るカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、乳酸、酪酸、オクチル酸、ラウリン酸、リノール酸、リシノール酸、安息香酸、トルイル酸、桂皮酸、フェニル酢酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂肪族、芳香族又は脂環式モノカルボン酸が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)に、不飽和一塩基酸(B)及び必要に応じて化合物(C)を付加して得られたエポキシ付加物に対し、多塩基酸無水物(D)を、当該エポキシ付加物の有する水酸基1個に対し、当該多塩基酸無水物(D)の有する酸無水物構造が0.2〜0.8個となる比率で反応させることで、本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物においてバインダ樹脂として用いられる光重合性不飽和化合物を得ることができる。
上記エポキシ付加物の水酸基1個に対し、多塩基酸無水物(D)の有する酸無水物構造の比率は好ましくは0.4〜0.7個である。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物においてバインダ樹脂として用いられる光重合性不飽和化合物の調製に用いられる多塩基酸無水物(D)としては、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、2,2’−3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’−4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリスアンヒドロトリメリテート、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸−無水マレイン酸付加物、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルハイミック酸等の一無水物、ビフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラスルホン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸二無水物等の二無水物が挙げられ、一無水物と二無水物とを併用するか、又は二無水物単独で用いるのが好ましい。
本発明においては、上記光重合性不飽和化合物にさらにエポキシ化合物(E)を反応させて酸価調整を行うことができる。この操作によって、本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物の現像性を改良することができる。用いることのできるエポキシ化合物(E)としては、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ぺプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、プロパルギルグリシジルエーテル、p−メトキシエチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メトキシグリシジルエーテル、p−ブチルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、2−メチルクレジルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、p−クミルフェニルグリシジルエーテル、トリチルグリシジルエーテル、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、グリシジルブチレート、ビニルシクロヘキサンモノオキシド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、スチレンオキシド、ピネンオキシド、メチルスチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、プロピレンオキシド、下記化合物No.9、No.10等が挙げられる。本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物は、固形分の酸価が20〜120mgKOH/gの範囲であることが好ましく、エポキシ化合物(E)の使用量は上記酸価を満たすように選択するのが好ましい。
上記(A)、(B)及び(D)並びに必要に応じて(C)及び/又は(E)の各成分を反応させて得られるバインダ樹脂の含有量は、本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物から溶剤を除く全固形分の合計重量に占める割合(重量分率)で、1〜70重量%、特に3〜30重量%が好ましい。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物に含まれる光重合開始剤としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物において、上記光重合開始剤の含有量は、アルカリ現像型感光性着色組成物から溶剤を除く全固形分の合計重量に占める割合で0.01〜30重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物に含まれる色材としては、顔料及び染料を挙げることができる。どちらを添加するかについては特に制限されず、顔料及び染料のいずれか一方を用いても、あるいは両方を併用してもよい。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物に色材として使用される顔料としては、従来のカラーフィルタ製造に使用されている公知の顔料をいずれも用いることができる。また、カラーフィルタの分光調整のために、複数の顔料を組み合わせて用いることもできる。以下に、有機顔料の具体例をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示す。なお、下記一覧中、「x」で表されるのはC.I.ナンバーから任意で選択できる整数である。
・Pigment Blue:
<C.I>1,1:2,1:x,9:x,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,24,24:x,56,60,61,62
・Pigment Green:
<C.I>1,1:x,2,2:x,4,7,10,36
・Pigment Orange
<C.I>2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,59,60,61,62,64
・Pigment Red
<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,224、226
・Pigment Violet:
<C.I>1,1:x,3,3:3,3:x,5:1,19,23,27,32,42
・Pigment Yellow
<C.I>1,3,12,13,14,16,17,24,55,60,65,73,74,81,83,93,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,156,175
また、黒色顔料としては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCG88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CG9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックN339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSG,ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR、キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908、旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭G−200、旭#66、旭#66U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグザ社製のカーボンブラックColorBlack Gw200、ColorBlack Gw2、ColorBlack Gw2V、ColorBlack Gw1、ColorBlack Gw18、ColorBlack S170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack250、SpecialBlack350、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V(いずれも商品名)等が挙げられる。
また、顔料としては、ミロリブルー、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、コバルト系、マンガン系、タルク、クロム酸塩、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、リン酸塩群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーン等の無機顔料も使用することができる。これらの顔料は複数を混合して用いることができる。
色材として用いることのできる染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等が挙げられ、これらは単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物において、上記色材の含有量は、アルカリ現像型感光性着色組成物から溶剤を除く全固形分の合計重量に占める割合で3〜70重量%、特に5〜60重量%が好ましい。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物に含まれる溶剤としては、メタノール、エタノール、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸イソアミル、酢酸nアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、液体ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エステル、エチルエトキシプロピオネートなどが挙げられる。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物において、上記溶剤の含有量は、アルカリ現像型感光性着色組成物に占める全固形分濃度が5〜40重量%、特に15〜30重量%となるように調整するとよい。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物には、さらに不飽和結合を有するモノマー、連鎖移動剤、界面活性剤等を併用することができる。
上記不飽和結合を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物において、上記不飽和結合を有するモノマーの含有量は、アルカリ現像型感光性着色組成物から溶剤を除く全固形分の合計重量に占める割合で3〜30重量%、特に5〜20重量%が好ましい。
上記連鎖移動剤としては、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル〕プロピオン酸、3−〔N−(2−メルカプトエチル)アミノ〕プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4-メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物には、さらに熱可塑性有機重合体を加えることによって、硬化後のアルカリ現像型感光性着色組成物の特性を改善することもできる。該熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
また、本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物には、必要に応じて、アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、第三ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;レベリング剤等の慣用の添加物を加えることができる。
本発明のカラーフィルタについて、好ましい実施形態に基づき以下に説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に少なくとも複数色の画素部を有し、当該画素部の1色又は2色以上が本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であることを特徴とするか、あるいは、基板上にブラックマトリックス及び画素部を有し、当該ブラックマトリックスが、本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であることを特徴とする。
本発明のカラーフィルタの基板としては、可視光に対して透光性の高い材料が好ましく、具体的には、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタラート、アクリル樹脂等が挙げられる。また、上記基板としては、必要に応じて、カラーフィルタの画素部を形成する側に平坦化処理を行ったものを使用することもできる。
以下、本発明のカラーフィルタの一例を製造する工程について説明する。
はじめに、クロム等の遮光性膜あるいは遮光性黒色樹脂によってブラックマトリックスを形成した基板上の全面に、色材に緑色顔料を用いて緑色レジストとして調製した本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物を塗布し、感光性着色組成物層を形成する。次いで、所定のパターンのフォトマスクを介して感光性着色組成物層を露光し、露光された部分の感光性着色組成物層を光硬化させる。次に、感光性着色組成物層を現像して未露光領域を除去し、パターニングを完了する。次に、形成したパターンを加熱焼成することにより基板に固着(定着)させ、所定のパターンの緑色画素部を形成する。これを赤色、青色についても繰り返すことで、緑色画素部が本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であるカラーフィルタを得ることができる。
なお、本発明の感光性組成物は露光感度が良好であるため、酸素遮断膜を形成する必要はないが、さらなる露光感度の向上を目的として、露光工程の前に酸素遮断膜を形成する工程を設けても良い。
ここでは予めブラックマトリックスの設けられた基板を用いたが、ブラックマトリックスは必要に応じて設ければよく、ブラックマトリックスを本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物としてもよい。また、緑色画素部のみならず、赤色、青色画素部を本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物とすることもできるし、カラーフィルタとしても、RGBの3色型ではなく、イエロー、マゼンダ、シアンの3色、あるいは4色以上の画素部を有するものとしてもよい。
以下、本発明のカラーフィルタの他の例を製造する工程について説明する。
先ず、基板上に、色材に黒色顔料を用いて黒色レジストとして調製した本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物を塗布し、感光性着色組成物層を形成する。次いで、所定のパターンのフォトマスクを介して感光性着色組成物層を露光し、露光された部分の感光性着色組成物層を光硬化させる。次に、感光性着色組成物層を現像して未露光領域を除去し、パターニングを完了する。次に、形成したパターンを加熱焼成することにより基板に固着(定着)させ、所定のパターンのブラックマトリックスを形成する。その後、これを緑色、赤色、青色についても繰り返すことで、ブラックマトリックスが本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であるカラーフィルタを得ることができる。
ブラックマトリックスのみならず、緑色、赤色、青色画素部を本発明のアルカリ現像型感光性着色組成物とすることもできるし、カラーフィルタとしても、RGBの3色型ではなく、イエロー、マゼンダ、シアンの3色、あるいは4色以上の画素部を有するものとしてもよい。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、下記実施例等において、「%」は、重量%を意味する。
[製造例1]ビスフェノールZグリシジルエーテル(化合物No.1)の製造
ビスフェノールZ(4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール)の137g及びエピクロルヒドリン406.67gを仕込み、74℃まで昇温した。48%NaOHaq.25.52gを滴下し、3時間攪拌した。更に50〜60℃、620〜630mmHgで48%NaOHaq.59.56gを滴下し、30分攪拌した。そのまま73℃まで昇温し、エピクロルヒドリンを留去した。続いてメチルイソブチルケトン583gを加え、48%NaOHaq.3.04g、イオン交換水13.66g及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.16gを加えて80℃まで昇温し、2時間保持した。更にイオン交換水233gを加えて80℃で30分攪拌し、3%モノリン酸ナトリウム水溶液100gで有機層を中和し、水洗を行った後、140℃で有機層を留去して、目的物であるシクロヘキシデリン基を有するエポキシ樹脂(A)(化合物No.1)を得た(HPLC純度96%、エポキシ等量207、無色〜淡黄色透明半固体)。
[製造例2]バインダ樹脂No.1の製造
製造例1で得られたエポキシ樹脂(A)であるビスフェノールZグリシジルエーテル(以下、化合物aともいう)94.78g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.13g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.28g及びメトキシプロピルアセテート128.11gを仕込み、90℃まで昇温した。続いて不飽和一塩基酸(B)であるアクリル酸(以下、化合物bともいう)33.33gを加えて120℃まで昇温し、15時間保持した。更に多塩基酸無水物(D)であるビフタル酸二無水物(以下、化合物dともいう)39.41g及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.13gを加えて120℃で3時間保持した。その後80℃まで冷却し、10時間保持した。続いて90℃まで昇温し、エポキシ化合物(E)であるグリシジルメタクリレート(以下、化合物e−1ともいう)26.33gを加えて120℃まで昇温し、10時間保持した。その後50℃まで冷却し、メトキシプロピルアセテート156gを加えて、目的物であるバインダ樹脂No.1(光重合性不飽和化合物)のメトキシプロピルアセテート35%溶液を得た(Mw=12000、酸価(固形分)27mgKOH/g、粘度61.4mPa・s)。
なお、バインダ樹脂No.1の調製に用いられたエポキシ付加物は、エポキシ樹脂(A)である化合物aの有するエポキシ基1個に対し、不飽和一塩基酸(B)である化合物bの有するカルボキシル基を1.0個の比率で付加させ得られたものであり、バインダ樹脂No.1である上記光重合性不飽和化合物は、当該エポキシ付加物の有する水酸基1個に対し、多塩基酸無水物(D)である化合物dの有する酸無水物構造が0.6個の比率で、エポキシ付加物と化合物dとを反応させ、次いで(E)成分である化合物e−1を反応させて得られたものである。
[製造例3]バインダ樹脂No.2の製造
製造例1で得られたエポキシ樹脂(A)であるビスフェノールZグリシジルエーテル(化合物a)120.51g、カルボン酸(C)である安息香酸(以下、化合物cともいう)6.59g、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.15g及びメトキシプロピルアセテート137.68gを仕込み、120℃で5.5時間攪拌した。続いて2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.17g及びベンジルトリエチルアンモニウムクロリド1.52gを加えて90℃まで冷却し、不飽和一塩基酸(B)であるアクリル酸(化合物b)39.81gを滴下して1時間攪拌した。更に120℃まで昇温し、15時間保持した。続いて多塩基酸無水物(D)であるビフタル酸二無水物(化合物d)51.29g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.17gを加えて120℃で5時間保持した。その後80℃まで冷却し、10時間保持した。続いてエポキシ化合物(E)であるクレジルグリシジルエーテル(以下、化合物e−2ともいう)46.34gを加えて120℃まで昇温し、10時間保持した。その後50℃まで冷却し、メトキシプロピルアセテート156gを加えて、目的物であるバインダ樹脂No.2(光重合性不飽和化合物)のメトキシプロピルアセテート35%溶液を得た(Mw=9000、酸価(固形分)35mgKOH/g、粘度85.5mPa・s)。
なお、バインダ樹脂No.2の調製に用いられたエポキシ付加物は、エポキシ樹脂(A)である化合物aの有するエポキシ基1個に対し、不飽和一塩基酸(B)である化合物bの有するカルボキシル基を0.9個、化合物(C)としてのカルボン酸である化合物cの有するカルボキシル基を0.1個、化合物bと化合物cとの和が1.0個の比率で付加させ得られたものであり、バインダ樹脂No.2である上記光重合性不飽和化合物は、当該エポキシ付加物の有する水酸基1個に対し、多塩基酸無水物(D)である化合物dの有する酸無水物構造が0.6個の比率で、当該エポキシ付加物と化合物dとを反応させ、次いで(E)成分である化合物e−2を反応させて得られたものである。
[比較製造例1]バインダ樹脂No.3の製造
前記一般式(I)とは構造が異なるビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量231)184g、不飽和一塩基酸(B)であるアクリル酸58g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.26g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート23gを仕込み、120℃で16時間攪拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート35g、多塩基酸無水物(D)であるビフタル酸二無水物59g及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド0.24gを加えて120℃で4時間攪拌した。更に多塩基酸無水物(D)であるテトラヒドロ無水フタル酸20gを加え、120℃で4時間、100℃で3時間、80℃で4時間、60℃で6時間、40℃で11時間攪拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート90gを加えて、目的物であるバインダ樹脂No.3をプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として得た(Mw=5000、Mn=2100、酸価(固形分)92.7mgKOH/g)。
[比較製造例2]バインダ樹脂No.4の製造
前記一般式(I)とは構造が異なるビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190)154g、不飽和一塩基酸(B)であるアクリル酸59g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.26g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.11g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート23gを仕込み、120℃で16時間攪拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート365g、多塩基酸無水物(D)であるビフタル酸二無水物67g及びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド0.24gを加えて120℃で4時間、100℃で3時間、80℃で4時間、60℃で6時間、40℃で11時間攪拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート90gを加えて、目的物であるバインダ樹脂No.4をプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として得た(Mw=7500、Mn=2100、酸価(固形分)91mgKOH/g)。
[比較製造例3]バインダ樹脂No.5の製造
<ステップ1>1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタンの製造
フェノール75g及び4−アセチルビフェニル50gを60℃で加熱溶融させ、3−メルカプトプロピオン酸5gを加えて攪拌しながら塩化水素ガスを24時間吹き込み、その後72時間反応させた。70℃の温水で洗浄した後、減圧下で180℃まで加熱して蒸発物を留去した。残渣にキシレンを加えて冷却し、析出した結晶をろ取、減圧乾燥して淡黄色結晶65g(収率68%)を得た。該淡黄色結晶の融点は184℃であり、該淡黄色結晶は目的物であることを確認した。
<ステップ2>1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタンの製造
ステップ1で得られた1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタン37g及びエピクロルヒドリン149.5gを仕込み、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.45gを加えて64℃で18時間攪拌した。続いて54℃まで降温し、24重量%水酸化ナトリウム水溶液32.6gを滴下し、30分攪拌した。エピクロルヒドリン及び水を留去し、メチルイソブチルケトン140gを加えて水洗後、24重量%水酸化ナトリウム1.7gを滴下した。80℃で2時間攪拌後、室温まで冷却し、3重量%モノリン酸ナトリウム水溶液で中和し、水洗を行った。溶媒を留去して、黄色粘性液体38.7g(収率80%)を得た。(エポキシ当量248、n=0.04)。該黄色粘性液体は目的物であることを確認した。
<ステップ3>バインダ樹脂No.5の製造
ステップ2で得られた前記一般式(I)とは構造の異なる1,1−ビス(4’−エポキシプロピルオキシフェニル)−1−(1’’−ビフェニル)エタン49.6g、不飽和一塩基酸(B)であるアクリル酸14.4g、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.05g、テトラブチルアンモニウムアセテート0.14g及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート27.4gを仕込み、120℃で16時間攪拌した。室温まで冷却し、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート41.5g及び多塩基酸無水物(D)であるビフェニルテトラカルボン酸二無水物12.4gを加えて120℃で8時間攪拌した。更に多塩基酸無水物(D)であるテトラヒドロ無水フタル酸7.9gを加えて120℃で4時間、100℃で3時間、80℃で4時間、60℃で6時間、40℃で11時間攪拌後、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート34gを加えて、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液として目的物のバインダ樹脂No.5を得た(Mw=3700、Mn=1900、酸価(固形分)93mgKOH/g)。
[実施例1]アルカリ現像型感光性着色組成物No.1の調製
製造例2で得られたバインダ樹脂No.1の12gに対し、不飽和結合を有するモノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート8g、光重合開始剤としてベンゾフェノン1.8g、色材としてカーボンブラック(三菱化学社製「MA100」)3.2g及び溶剤としてエチルセロソルブ75gを加えてよく攪拌し、アルカリ現像型感光性着色組成物No.1を得た。
[実施例2]アルカリ現像型感光性着色組成物No.2の調製
製造例3で得られたバインダ樹脂No.2の12gに対し、トリメチロールプロパントリアクリレート8g、ベンゾフェノン1.8g、カーボンブラック(三菱化学社製「MA100」)3.2g及びエチルセロソルブ75gを加えてよく攪拌し、アルカリ現像型感光性着色組成物No.2を得た。
[実施例3]アルカリ現像型感光性着色組成物No.3の調製
製造例2で得られたバインダ樹脂No.1の12gに対し、トリメチロールプロパントリアクリレート5.6g、色材としてハロゲン化銅フタロシアニン系顔料(東洋インキ社製「6YK」)0.6g、ベンゾフェノン1.8g及びエチルセロソルブ80gを加えてよく攪拌し、アルカリ現像型感光性着色組成物No.3を得た。
[比較例1]アルカリ現像型感光性着色組成物No.4の調製
比較製造例1で得られたバインダ樹脂No.3の12gに対し、トリメチロールプロパントリアクリレート8g、ベンゾフェノン1.8g、カーボンブラック(三菱化学社製「MA100」)3.2g及びエチルセロソルブ75gを加えてよく攪拌し、アルカリ現像型感光性着色組成物No.4を得た。
[比較例2]アルカリ現像型感光性着色組成物No.5の調製
比較製造例2で得られたバインダ樹脂No.4の12gに対し、トリメチロールプロパントリアクリレート8g、ベンゾフェノン1.8g、カーボンブラック(三菱化学社製「MA100」)3.2g及びエチルセロソルブ75gを加えてよく攪拌し、アルカリ現像型感光性着色組成物No.5を得た。
[比較例3]アルカリ現像型感光性着色組成物No.6の調製
比較製造例3で得られたバインダ樹脂No.5の12gに対し、トリメチロールプロパントリアクリレート8g、ベンゾフェノン1.8g、カーボンブラック(三菱化学社製「MA100」)3.2g及びエチルセロソルブ75gを加えてよく攪拌し、アルカリ現像型感光性着色組成物No.6を得た。
得られたアルカリ現像型感光性着色組成物No.1〜6の評価を以下のようにして行った。
すなわち、ガラス基板上にr−グリシドキシプロピルメチルエトキシシランをスピンコートして良くスピン乾燥させた後、上記アルカリ現像型感光性着色組成物No.1〜6をスピンコート(1300r.p.m、50秒間)し乾燥させた。70℃で20分間プリベークを行った後、ポリビニルアルコール5重量%溶液をコートして酸素遮断膜とした。70℃20分間の乾燥後、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて露光し、次いで、2.5重量%炭酸ナトリウム溶液に25℃で30秒間浸漬して現像し、良く水洗した。水洗乾燥後、230℃で1時間ベークしてパターンを定着させた。得られたパターンについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<感度>
アルカリ現像型感光性着色組成物の露光時に、露光量が100mJ/cm2で十分だったものをa、100mJ/cm2では不十分で、200mJ/cm2で露光したものをbとした。
<解像度>
アルカリ現像型感光性着色組成物の露光現像時に、線幅10μm未満でも良好にパターン形成できたものをA、線幅10〜30μmであれば良好にパターン形成できたものをB、線幅30μm超でないと良好なパターン形成ができなかったものをCと評価した。
<密着性>
JIS D 0202の試験方法に従い、定着したパターンに碁盤目状にクロスカットを入れ、次いでセロハンテープによってピーリングテストを行い、基盤目の剥離の状態を目視により評価した。全く剥離が認められなかったものを○、剥離が認められたものを×とした。
<耐アルカリ性>
加熱処理後の塗膜を以下の条件で浸漬し、浸漬後の外観を目視により評価した。外観変化もなくレジストの剥離も全くなかったものを○、レジストの浮きが見られたりレジストの剥離が認められたものを×とした。
a)5重量%NaOHaq.中にて室温で24時間
b)4重量%KOHaq.中にて50℃で10分間
c)1重量%NaOHaq.中にて80℃で5分間
実施例1〜3のアルカリ現像型感光性着色組成物は、高感度で解像度に優れるものであった。また、得られた塗膜は、基板との密着性及び耐アルカリ性に優れるものであった。
それに対して、比較例1〜3のアルカリ現像型感光性着色組成物は、感度が低いため露光量を多くせざるを得ず、解像度が低下し、線幅30μm超でないと形成できず、また、得られた塗膜の基板との密着性及び耐アルカリ性も思わしくなかった。

Claims (6)

  1. 少なくともバインダ樹脂、光重合開始剤、色材及び溶剤を含有する感光性着色組成物であって、
    前記バインダ樹脂として、下記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に不飽和一塩基酸(B)を、当該エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対し、当該不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基が0.1〜1.0個となる比率で付加させてエポキシ付加物とし、当該エポキシ付加物と多塩基酸無水物(D)とを、当該エポキシ付加物の有する水酸基1個に対し、当該多塩基酸無水物(D)の有する酸無水物構造が0.2〜0.8個となる比率で反応させて得られる光重合性不飽和化合物を用いることを特徴とするアルカリ現像型感光性着色組成物。
  2. 前記エポキシ付加物として、前記一般式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)に前記不飽和一塩基酸(B)並びにフェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物及びカルボン酸より選択される化合物(C)を、当該エポキシ樹脂(A)の有するエポキシ基1個に対し、当該不飽和一塩基酸(B)の有するカルボキシル基が0.1〜1.0個で、当該化合物(C)の有するフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基又はカルボキシル基が0.1〜0.8個で、かつ当該不飽和一塩基酸(B)及び当該化合物(C)の和が0.1〜1.0個となる比率で付加させて得られるエポキシ付加物を用いることを特徴とする請求項1記載のアルカリ現像型感光性着色組成物。
  3. 前記バインダ樹脂として、前記光重合性不飽和化合物に、さらにエポキシ化合物(E)を反応させたものを用いることを特徴とする請求項1又は2記載のアルカリ現像型感光性着色組成物。
  4. 前記一般式(I)中、Xで示される脂環式炭化水素基がシクロヘキシリデン基である請求項1乃至3のいずれかに記載のアルカリ現像型感光性着色組成物。
  5. 基板上に少なくとも複数色の画素部を有し、当該画素部の1色又は2色以上が請求項1乃至4のいずれかに記載のアルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であることを特徴とするカラーフィルタ。
  6. 基板上にブラックマトリックス及び画素部を有し、当該ブラックマトリックスが請求項1乃至4のいずれかに記載のアルカリ現像型感光性着色組成物の硬化物であることを特徴とするカラーフィルタ。
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