本発明に係る原稿サイズ検知装置は、手作業で或いはADFで搬送されることで原稿台ガラス上に載置される原稿のサイズを検知する装置であり、複数の反射型光センサ(以下、単に光センサという)を備える。この原稿サイズ検知装置は、一般的に、原稿を光学的に読み取り画像データを出力する原稿読取装置(スキャナ装置)に具備される。そして、原稿読取装置において、原稿を読み取る範囲を限定するために、或いは原稿を読み取った後の変倍処理等の処理に用いるために、各光センサの出力結果の組み合わせによって原稿サイズを判定する。このように、本発明は、原稿サイズ検知装置を搭載した原稿読取装置としての形態も採り得、また原稿読取装置を搭載した複合機や単なるコピー機やファクシミリ装置などの画像形成装置としての形態も採り得る。
<第1〜第3の実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る原稿サイズ検知装置を具備した原稿読取装置の構成例を示す斜視図、図2は、図1の原稿読取装置に具備された角度検知手段の一例を示す図である。
図1で例示する原稿読取装置1は、その筐体10の上面に原稿台ガラス11が設けられ、内部には図示しないスキャナユニットが設けられており、原稿台ガラス11に載置された原稿Pの画像を読み取ることが可能になっている。
また、筐体10には、原稿押さえ白板(以下、OCマット14で例示)が原稿台ガラス11側に付加された原稿カバー13が、開閉可能に設けられている。原稿押さえ白板としては、原稿台ガラス11を覆って原稿Pを押さえるための白いシートなど白い板状のものであればよく、OCマット14に限ったものではない。原稿Pは薄い用紙に限らず本などの厚い被読取媒体であることもあり、OCマット14は、原稿Pを押さえたときに原稿Pを保護する役目をする。
原稿読取装置1では、原稿Pが原稿台ガラス11上に載置され一般的に原稿カバー13が閉じられた状態で画像読取処理が実行されるが、原稿カバー13が開けられたままの状態(図1で図示した状態)での画像読取処理も可能である。
また、筐体10の内部には原稿カバー閉状態検出用のスイッチ15が設けられ、原稿カバー13の閉状態が検出可能となっている。スイッチ15は、図1で示す配置に限らず、閉状態で原稿カバー13によりオン、開状態でオフされるような位置に設けておけばよく、また受光センサで構成してもよい。
そして、本発明に係る画像読取装置1は、筐体10内部に原稿サイズ検知装置が設けられる。原稿サイズ検知装置としては、複数の光センサ(ここでは3つの光センサ12a〜12cで例示)が、原稿台ガラス11の下方に所定の位置関係で配設される。各光センサ12a〜12cは、LED等の発光素子及びフォトトランジスタ等の受光素子でなる原稿有無検知用の光センサである。各光センサ12a〜12cは、それぞれ、原稿台ガラス11上の対応する位置での原稿の有無を、反射光の受光レベルと予め設定されたしきい値の比較に基づいて検知する。そして、各光センサ12a〜12cの出力結果の組み合わせによって原稿サイズの判定が可能となっている。この判定条件は、上述の所定の位置関係に依存する。なお、各光センサ12a〜12cは、可動するように配設されてもよく、少なくともサイズ検知時に上述した所定の位置関係になればよい。
図1の例では、原稿台ガラス11上に載置された原稿Pが、光センサ12a,12bの発光素子からの光を反射し、その反射光は各々の受光素子でしきい値以上の光量として検出され、原稿有りとの検知結果を出力する。一方で、光センサ12cの発光素子からの光は原稿台ガラス11を通過し、喩えいずれかで反射した場合でも(その他の外光を含んだ場合でも)、受光素子で検出される光量は少なく、しきい値以下となり、原稿無しとの検知結果を出力する。
これらの検知結果により、原稿Pが、原稿台ガラス11の端部から光センサ12bまでの距離と同端部から光センサ12cまでの距離との間の距離をもつサイズであると判定できる。図1では、光センサ12aが横置きB5(すなわちB5R)以上で原稿検知でき、光センサ12bが横置きA4(すなわちA4R)以上で原稿検知でき、光センサ12cが横置きB4以上で原稿検知できるように、それぞれ配設されているとする。その場合、上述の例では、原稿PがA4サイズであると判定できる。
そして、本発明の主たる特徴として、原稿サイズ検知装置は、複数の光センサ12a〜12cそれぞれに対応する複数のしきい値(この例では合計3つのしきい値)を調整する調整手段を備えるものとする。調整手段は、OCマット14と原稿台ガラス11との角度が所定角度のときに、OCマット14を用いて、複数のしきい値のうち一部又は全部に対する調整を実行する。
所定角度は、OCマット14と原稿台ガラス11との隙間から蛍光灯等の外光が或る程度入り且つ光センサの受光素子への外光の影響が少ないような角度で、例えば10度、20度、30度、45度など適宜設定すればよい。また、所定角度は、OCマット14が周方向に可動する際に他の可動角度領域に比べて可動させ難くした可動角度範囲を設け、その範囲に含まれる角度と合わせるなどしてもよい。
所定角度の検知は、図2で例示する角度センサ17等の角度検知手段によって実現できる。より具体的には、角度センサ17は、発光部(発光素子)と受光部(受光素子)からなるフォトインタラプタ17aを、原稿読取装置1の本体(筐体10等)に固定してなる。また、遮光片18は、角度センサ17の一部として原稿カバー13の下端に取り付けられ、フォトインタラプタ17aの発光部と受光部の間を通過可能に設けられている。また、原稿カバー13は、開閉可能とするために、支軸16によって回動可能に軸支される。
このような構成により、原稿カバー13がユーザによって開かれること或いは閉じられることで、遮光片18によりフォトインタラプタ17aが遮られたときに、原稿カバー13の角度が所定角度であることが検知される。なお、原稿サイズ検知処理は、例えばフォトインタラプタ17aから遮光片18が離れたとき、すなわち原稿カバー13が閉め始めされたときに開始するようにしてもよい。
また、角度検知手段としては、遮光片18のごとき原稿カバー13に固定された部材の他の部材に対する角度を検出する角度検出手段を採用してもよい。角度検出手段は、遮光片18のごとき部材と他の部材との距離を測定する手段などで代用してもよい。角度検出手段を採用した場合、検出した角度が所定角度であるか否かを判定すればよい。
しきい値調整時のOCマット14の利用方法としては、基本的に発光素子からの光がOCマット14に反射され受光素子でその反射光の受光レベルを検出することで行う。但し、様々な例を後述するように、ここでの受光素子及び発光素子でなる光センサは、しきい値調整対象となっている原稿有無検知用の光センサ(光センサ12a〜12cのいずれか)であってもよいし、原稿有無検知用の他の光センサであってもよいし、さらには別途設けた専用の光センサであってもよい。
このように、本発明では、光センサのしきい値を調整する際に、OCマット14が所定角度のときに、OCマット14からの反射光受光レベルを検出して、しきい値の自動調整(キャリブレーション)を実行するので、誤作動を未然に防止することができる。特にOCマット14が所定角度のときにキャリブレーションを実行することにより、同一条件でキャリブレーションが実行できる。
以下、原稿有無検知用の光センサの他の配置例を説明し、次いで、本発明で実行されるしきい値の自動調整について、より詳細に説明する。
図3は、図1の原稿読取装置における光センサの他の配置例を示す上面図である。原稿有無検知用の光センサの配置例としては図3のような配置も採用できる。すなわち、原稿台ガラス11上の位置合わせ用の原点(ここでは図3の左上)に対し、A5サイズ以上の縦置き原稿及びA4R以上の横置き原稿で塞がれるセンサa、B5サイズ以上の縦置き原稿及びB4以上の横置き原稿で塞がれるセンサb、A4サイズ以上の縦置き原稿及びA3以上の横置き原稿で塞がれるセンサcを、図3のように配置する。また、A5Rサイズ以上の横置き原稿及びA4以上の縦置き原稿で塞がれるセンサdを図3のように配置する。さらに、縦置きとしては原稿A4より大きい原稿に対する横置き用のセンサ群として、B5Rサイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサe、A4Rサイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサf、B4サイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサg、A3サイズ以上の横置き原稿で塞がれるセンサhを、図3のように配置する。
これらのセンサ群の検知結果の組み合わせにより、例えば、原稿Pを載置した結果、センサaで検出有り且つセンサbで検出無しであった場合、A5サイズ又はA4Rサイズと判定できる。併せて、センサfで検出有りであった場合にA4Rサイズと判定でき、検出無しであった場合にA5サイズと判定できる。このように原稿有無検知用の光センサの配置例は様々なものが適用できる。但し、説明の簡略化のため、以下では図1で例示した簡単な例(横置きの原稿対応の例)でのみ説明する。
図4は、図1の原稿サイズ検知装置で実行される原稿サイズ検知処理に含まれる、各光センサでの原稿有無検知処理の一例を、従来例との比較により説明するための図である。
調整手段によるしきい値自動調整を行う前の状態を説明する。まず、原稿読取装置1の初期設定時(通常、出荷時又は設置時となる)には、図4の左側にて初期出力関係として例示するように、光センサ12a〜12cが次の(I)〜(III)の設定になっているものとする。ここで、(I)黒色の原稿有り時の出力電圧は1.3V、(II)原稿無し時の出力電圧は0V、(III)原稿有りを検知するしきい値の電圧は0.8V、とする。
従来のようにしきい値の調整を行わない場合、数年後には、主に光センサ12a〜12cの発光素子の光量が径時変化で減少するため(但し個体差はある)、黒色原稿有りの場合でも受光素子では例えば0.7Vしか検出できなくなる。このとき、調整無しではしきい値は0.8Vであるので、どのような原稿が載置されていても「原稿無し」として誤検知されてしまう。このような誤検知を従来のごとき特別なユーザ操作を行うこと無しに未然に防止するために、本発明では上述のようにしきい値自動調整を実行する。このしきい値自動調整は、OCマット14を利用するものである。
このしきい値自動調整の詳細について、まず、調整手段でしきい値自動調整時に用いる光センサが、原稿有無検知用の光センサ(この例では光センサ12a〜12c)であるとした第1〜第3の実施形態の詳細について、図4及び図5と併せて図6及び図7を参照しながら説明する。ここで、図5は、図1の原稿サイズ検知装置で実行されるしきい値自動調整処理のトリガとなる処理例を説明するためのフロー図である。
第1〜第3の実施形態では、調整手段は、上述した所定角度の条件を満たすときに、複数の光センサ(この例では光センサ12a〜12c)のいずれか1又は複数で原稿台ガラス11を介したOCマット14からの反射光の受光レベルを検出させ、検出された1又は複数の受光レベルに基づいて、複数のしきい値のうち一部又は全部に対する調整を実行する。このように、第1〜第3の実施形態では、しきい値自動調整処理のトリガとして図2の角度センサ17のような角度検知手段による所定角度検知結果が用いられる。
このように所定角度の検知のみをトリガとしてもよいが、調整手段は、OCマット14が所定の方向に回転されることで、そのOCマット14と原稿台ガラス11との角度が所定角度になったときのみに、調整を実行するようにすることが好ましい。すなわち、原稿カバー13及びOCマット14は、その回動方向として、閉状態から開状態へ向かう方向と開状態から閉状態へ向かう方向とがあるが、そのいずれかの方向に回動させているときにのみ、調整を実行する。調整の実行は、OCマット14の角度検知手段からの角度検知出力タイミングで、図6で後述するようにしきい値調整用の受光出力の検知を行うようにすればよい。
実際、原稿サイズ検知装置の細部については図10と共に後述するが、角度検知手段で所定角度を検知してから実際に受光出力がA/D変換器で確定されメモリに取り込まれるまでにタイムラグが生じる。このタイムラグにより、原稿カバー13及びOCマット14を閉状態→開状態としたときと開状態→閉状態としたときとで、OCマット14の角度に誤差がある。従って、回動方向を一致させることで、測定条件(OCマット14の角度)を同じにすることができる。また、調整の回数が多くなりすぎることを防ぐこともできる。また、調整回数の調整は、所定角度をN回検知した毎に実行するようにしてもよい。
このように、まず、原稿サイズ検知装置の制御部(図示せず)では、原稿カバー13及びOCマット14が閉状態から開状態になったか否かをスイッチ15の切り替わりにより判定し(ステップS1)、YESの場合のみ角度センサ17からの所定角度検知の出力があるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、NOの場合、ステップS1へ戻り、YESの場合のみしきい値自動調整処理がこのまま遂行されるものとする。なお、ステップS1,S2の前後は問わず、またステップS1の処理を経ず且つ他の目的がなければスイッチ15は設ける必要はない。
原稿読取装置1では原稿サイズ検知処理を含む原稿読取を実行するが、ステップS1,S2の処理及びそれをトリガとするしきい値自動調整処理は、OCマット14が原稿台ガラス11と所定角度のときに実行するため、この原稿読取の前段又は後段に実行されることとなる。また、原稿読取を実行しなくてもステップS1,S2の処理及びしきい値自動調整処理は実行できる。
<第1の実施形態>
図6は、図1の原稿サイズ検知装置で実行されるしきい値自動調整処理の一例を説明するためのフロー図である。図4乃至図6で例示する第1の実施形態では、図5の処理に続き、各光センサ12a〜12cのそれぞれによるOCマット反射光の受光レベルに基づいて自身のしきい値調整を行う。
すなわち、第1の実施形態における調整手段は、所定角度の条件を満たすときに、複数の光センサ12a〜12cそれぞれに対して、OCマット14からの反射光の受光レベルを検出させ、検出された受光レベルに基づいて、検出を実行した光センサで使用するしきい値のみに対する調整を実行する。ここで、検出された受光レベルに基づく調整とは、元のOCマット反射光値からの変化量(実際の値や変化率等)に基づく調整、より具体的には現在のOCマット反射光値との比較結果に基づく調整であることが好ましい。
より具体的には、ステップS2でYESの場合、次のような処理を原稿読取装置1の制御部が実行する。まず、変数nを1に設定し(ステップS11)、n番目の光センサで発光し、OCマット14からの反射光を受光する(ステップS12)。ここで、1番目が光センサ12a、2番目が光センサ12b、3番目が光センサ12c、或いはその逆の順序など、予め規定しておけばよい。
ステップS12で受光した反射光の受光レベルが現在設定されているしきい値より低いか否かを判定し(ステップS13)、低かった場合、その受光レベル(実際には光センサ出力電圧)を記憶済みのOCマット14の反射光の値(実際は電圧値)と比較する(ステップS14)。
ステップS14での比較の結果、ステップS12での受光レベルが記憶済みの値より10%以上減少しているか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15でYESの場合、n番目の光センサのしきい値を減少分X%だけ下げる調整を行い(ステップS16)、それと共に、n番目の光センサに対して記憶されたOCマット反射光値を、ステップS12での受光レベルに更新する(ステップS17)。但し、各光センサ12a〜12cに対する共通のOCマット反射光値を保持している場合には1つの更新でよい。
ステップS15では判定のしきい値として10%を用いているが、この値は光センサのしきい値調整の頻度に影響する値であり、10%に限らず適宜決めておければよい。例えば、1%など、より細かなしきい値調整が可能なようにしてもよい。この値も原稿読取頻度や使用時間などを得ることにより、例えば最初は大まかな調整を行い徐々に細かな調整を行えるよう時系列で変化させてもよいし、またユーザ設定可能としてもよい。
図4の例を挙げステップS16の処理について説明する。この例では、調整時にOCマット14からの反射値(反射光による受光レベル)が0.35Vの電圧(初期設定時の0.5Vの−30%)で出力された場合には、0.8V×70%=0.56Vをしきい値の電圧レベルとして設定するよう調整する。また、ステップS16では、OCマット14での受光レベルと同じように黒原稿での受光レベル(やそれらの間の受光レベル)も落ちていることを前提として、しきい値を減少分X%だけ下げるように調整しているが、これに限ったものではない。例えば、減少分X%より大きい固定値だけ下げるように調整したり、減少分X%の値に拘わらず固定値だけ下げるように調整してもよい。
また、ステップS14で比較対象データとなり且つステップS17で更新対象データとなる記憶済みOCマット反射光値は、一回目の更新時には初期値として製造時に設定した値が該当する。また、OCマット14の色の僅かな経年変化に対応するために、この値も使用時間を得ることにより時系列で変化させるようにしてもよい。
また、この初期値は、黒原稿を載置して黒原稿からの反射光として検出した受光レベル(センサ出力値A)と、OCマット14が所定角度のときにそのOCマット14からの反射光として検出した受光レベル(センサ出力値B)との間に設定される。初期値をセンサ出力値B以下に設定すると、原稿が載置されていなくても原稿有りと検知してしまうためである。
特に、この初期値はセンサ出力値Aとセンサ出力値Bとの中間値(中央値)に設定されることが好ましい。例えば、図4の初期出力関係として例示したように、黒色原稿有りのときの出力電圧値が1.3V、所定角度をもつOCマット14からの初期の反射光による出力電圧値が0.5Vとすると、しきい値の初期値の最適値(中央値)は0.9Vとなる。勿論、中間値といっても幅はもたせてもよい。また、他の光センサに対するしきい値の初期値も同様であり、また複数の光センサに対する初期値は、一致させておくことが好ましい。
一方、ステップS13の判定の結果、低くなかった場合には、ステップS18へ進んで変数nをインクリメントする。また、ステップS15で10%以上減少してなかった場合、並びにステップS17の処理後にも、ステップS18へ進み、変数nをインクリメントする。すなわち、これらの場合、現在n番目の光センサのしきい値変更は実行せず、次の光センサ(n+1番目の光センサ)に対する処理に移る。この例では、光センサは合計3つであり、n=1,2,3である。従ってステップS18の後は、nが4より大きいか否かの判定を行い(ステップS19)、大きい場合に処理を終了し、大きくない場合に次の光センサに対する処理に移るためにステップS12へ戻る。
ここで、ステップS13の判定について説明する。この判定のように、調整手段は、複数の光センサのうち反射光の受光レベルがそのしきい値以上である光センサで使用するしきい値に対しては、調整を禁止することが好ましい。換言すると、調整手段は、調整対象となるしきい値を、原稿で塞がれていない光センサのしきい値に限ることが好ましい。調整を禁止される対象の光センサは、実際に原稿有りと検知できた光センサであり、現段階では調整は必須とは言えないためである。
また、図6で説明したしきい値自動調整処理は、ステップS1,S2をトリガとして一度(3回のループ)で全ての光センサ12a〜12cに対するしきい値を調整するものである。従って、1回の調整で複数の光センサに対しそれぞれ発光、受光、調整を行うこととなるため、処理系によっては処理時間に余り余裕がなくなることもあり、また調整の間にOCマット14と原稿台ガラス11との角度が処理中に変化して条件が一致しなくなることもある。
処理速度に依らずにこのような問題を解消するために、調整手段を次のように改良することが好ましい。すなわち、調整手段は、所定角度を満たした(及び原稿を載置した)ことに起因する1回の調整で、複数の光センサのうち1つの光センサで使用するしきい値のみに対して実行するように構成することが好ましい。この例での調整手段は、図6で説明した処理手順において、ステップS19でNOの場合に図5のステップS1へ戻るように変更した処理手順を遂行することとなる。
このように、しきい値調整1回毎に、光センサ1つのしきい値のみを調整するようにすることで、しきい値変更自体が多くなりすぎるのを防げるだけでなく、原稿読取装置1の調整処理速度が遅くても対応できる。実際、原稿サイズ検知装置の細部については図10と共に後述するが、例えばA/D変換器を共用して切り換え利用するよう構成しても、処理時間に余裕ができる。
また、以上の説明では、調整に用いる受光レベルは1つとしたが、複数検出させて用いてもよい。すなわち、調整対象の光センサのしきい値に対する調整の基礎として検出させる受光レベルを、1対複数の関係にしてもよい。第1の実施形態では、調整対象の光センサ自身の受光レベルに加え、他の光センサでの受光レベルも調整に用いるとよい。調整への用い方は、受光レベルの減少分の平均値を採用するか、減少が激しい方の値を採用して、しきい値を下げるなどするとよい。OCマット反射光値の更新は、それぞれの光センサの受光レベルで行えばよいが、今後の調整での比較のために平均値などで行ってもよい。
<第2の実施形態>
図7は、図1の原稿サイズ検知装置で実行されるしきい値自動調整処理の他の例を説明するためのフロー図である。図4、図5、及び図7で例示する第2の実施形態では、図5の処理に続き、光センサ12a〜12cのいずれか1つの光センサによるOCマット反射光の受光レベルに基づいて、自身も含めた全ての光センサ12a〜12cのしきい値調整を行う。
すなわち、第2の実施形態における調整手段は、所定角度の条件を満たすときに、複数の光センサ12a〜12cのうちの1つの光センサ(以下、光センサ12cで例示)でOCマット14からの反射光の受光レベルを検出させ、ここで検出された受光レベルに基づいて、複数のしきい値全てに対する調整を実行する。ここで、検出された受光レベルに基づく調整とは、第1の実施形態と同様に、元のOCマット反射光値からの変化量に基づく調整であることが好ましい。
より具体的には、ステップS2でYESの場合、次のような処理を原稿読取装置1の制御部が実行する。まず、3番目の光センサ12cで発光し、OCマット14からの反射光を受光する(ステップS21)。ステップS21で受光した反射光の受光レベルが現在光センサ12cに対して設定されているしきい値より低いか否かを判定する(ステップS22)。この判定の結果、低かった場合、その受光レベル(実際には光センサ12cの出力電圧)を、光センサ12cに対して記憶済みのOCマット14の反射光の値(実際は電圧値)と比較する(ステップS23)。
ステップS21で選択されている光センサは、予め設定しておいてもよいし、もしステップS22で低くなかったとの判定結果(すなわち原稿有りとの判定結果であって調整自体は必ず必要とは言えない結果)であった場合には、他の光センサ12a,12bのいずれかをさらに選択して調整の元とするような処理を実行してもよい。
ステップS23での比較の結果、ステップS21での受光レベルが記憶済みの値より10%以上減少しているか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24でYESの場合、全ての光センサ12a〜12cのしきい値を減少分X%だけ下げる調整を行い(ステップS25)、それと共に、記憶されたOCマット反射光値をステップS21での受光レベルに更新する(ステップS26)。ステップS26での更新対象は、光センサ12cに対するOCマット反射光値だけでなく、他の光センサ12a,12bに対するOCマット反射光値も更新してもよい。但し、各光センサ12a〜12cに対する共通の値を保持している場合には1つの更新でよい。
ステップS24で用いた判定のしきい値は、ステップS15で説明したように10%に限らず適宜決めておければよい。ステップS25の処理は、ステップS16の処理と比較して処理対象が全ての光センサ12a〜12cとなる点が異なるだけであり、減少分X%だけ下げる調整に限らず固定値を用いた調整なども適用できる。また、ステップS23で比較対象データとなり且つステップS26で更新対象データとなる記憶済みOCマット反射光値の初期値についても、第1の実施形態と同様であり、好ましくは中間値を設定するなどすればよい。
一方、ステップS22の判定の結果、低くなかった場合、ステップS24で10%以上減少してなかった場合、並びにステップS26の処理後は、処理を終了する。
ステップS22の判定は、光センサ12cのしきい値に対しては、ステップS13の判定と同じ意図をもつ処理である。このように、第2の実施形態においても、ステップS13で説明したように、調整手段が、調整対象しきい値を原稿で塞がれていない光センサのしきい値に限るようにしてもよい。但し、この処理を実行するためには、ステップS21で代表として選択されている光センサ12c以外、原稿で塞がれているか否かを得ることができないため、他の光センサ12a,12bに対しては事前の原稿サイズ検知処理で得た原稿有無の検知結果を用いるとよい。
また、図7で説明したしきい値自動調整処理は、ステップS1,S2をトリガとして一度で全ての光センサ12a〜12cに対するしきい値を調整するものである。従って、1回の調整で1つの光センサ12cに対して発光、受光、調整を行うと共に他の光センサ12a,12bに対しそれぞれ調整を行うこととなるため、処理系によっては処理時間に余り余裕がなくなり、またしきい値変更自体が多くなりすぎる。
従って、図6で説明したしきい値自動調整処理と同様に、1回の調整で、複数の光センサのうち1つの光センサで使用するしきい値のみに対して実行するように構成してもよい。すなわち、この例での調整手段は、図7で説明した処理手順において、ステップS25で全ての光センサ12a〜12cに対する調整を行う代わりに、所定の順序で調整を実行するようにすればよい。例えば、今回のトリガではステップS21〜S24の後に1番目の光センサ12a、次回のトリガではまたステップS21〜S24の後に2番目の光センサ12bといった具合に、所定の順序で調整すればよい(現在又は次の順番は記憶させておく)。この例でも、調整元の受光レベルは1つの光センサ12cの受光レベルである。
また、第2の実施形態でも同様に、調整対象の光センサのしきい値に対する調整の基礎として検出させる受光レベルを、1対複数の関係にしてもよい。すなわち、調整の基礎として検出させる対象の光センサを複数にすればよい。例えば、図7のステップS21の処理を複数の光センサで受光し、その平均値や大小関係で選択した値などで、ステップS22以降の処理を実行するなどすればよい。OCマット反射光値の更新は、それぞれの光センサの受光レベルで行ってもよい。
<第3の実施形態>
図6や図7で説明した第1及び第2の実施形態の代替として、或いは第2の実施形態の処理に加えて、次の第3の実施形態を採用してもよい。第3の実施形態における調整手段では、図5の処理に続き、原稿台ガラス11に或る所定サイズの原稿が載置されたときに調整が実行される。原稿の載置は、例えば、(i)原稿読取装置1において或る所定サイズの原稿を読み取ったとき、或いは(ii)単に原稿によって塞がれる光センサが存在したとき、などになされたと判断すればよい。
この調整手段では、その原稿によって塞がれる位置(覆われる位置)に配設された光センサで使用するしきい値に対する調整を、その原稿により塞がれない位置に配設された光センサで検出されたOCマット14からの反射光の受光レベルに基づいて実行する。第3の実施形態では、原稿で塞がれていない光センサを用いて調整するので、第4の実施形態として後述する調整用センサを別途設けなくても調整が可能となる。
この調整は、縦/横が同じであれば、その原稿より大きい原稿サイズに対応して配設された光センサの受光レベルに基づいて実行することとなる。すなわち、小サイズ原稿を読み取ったときに小サイズ原稿より大きい原稿サイズに対応する光センサにてOCマット反射光を受光し、その受光レベルに基づいて小サイズ原稿に対応する光センサについてのしきい値調整を実施することとなる。
第3の実施形態と第2の実施形態との組み合わせとしては、図7においてステップS21について触れたように、上記(ii)に関連して次のような処理も実行できる。すなわち、ステップS22で低くなかったとの判定結果(ステップS22でNO)であった場合には、ステップS21で選択されている光センサを他の光センサ12a,12bのいずれかに変更選択する処理を行い、ここで選択された光センサでステップS21と同じ処理を行って調整の元とするような処理も実行できる。
また、第3の実施形態でも同様に、1回の調整で複数の光センサのうち1つの光センサで使用するしきい値のみに対して実行する処理や、初期値として上述のような中間値を設定する処理も適用できる。但し、第3の実施形態の処理は、原稿有りの光センサのしきい値に対する調整禁止処理とは同時に実行できない処理となる。勿論、双方の処理を単独実行可能に同じ原稿サイズ検知装置に搭載してもよい。
また、第3の実施形態でも同様に、調整対象の光センサのしきい値に対する調整の基礎として検出させる受光レベルを、1対複数の関係にしてもよい。すなわち、原稿によって塞がれる位置に配設された光センサで使用するしきい値に対する調整を、その原稿により塞がれない位置に配設された複数の光センサで検出されたOCマット14からの反射光の受光レベルに基づいて実行するとよい。
<第4の実施形態>
OCマット14を利用した本発明に係るしきい値自動調整の詳細について、調整手段でしきい値自動調整時に用いる光センサが、調整対象の光センサとは異なるしきい値調整専用の反射型光センサ(以下、調整用センサという)であるとした第4の実施形態について、図4及び図5と併せて図8及び図9を参照しながら説明する。
図8は、本発明の他の実施形態に係る原稿サイズ検知装置を具備した原稿読取装置の構成例を示す斜視図、図9は、図8の原稿サイズ検知装置で実行されるしきい値自動調整処理の一例を説明するためのフロー図である。図8の原稿読取装置と図1の原稿読取装置とは、調整用センサ19が具備されている他は同じ構成であり、共通部分の説明は省略する。また、第4の実施形態でも図2及び図3で説明した内容は適用でき、その説明は省略する。また、ここでも、光センサの数や配置は図8に示すものだけ挙げて説明する。
第4の実施形態における調整手段は、調整用センサ19を有し、所定角度の条件を満たすときに、調整用センサ19でOCマット14からの反射光の受光レベルを検出させ、検出された受光レベルに基づいて、複数のしきい値のうち一部又は全部に対する調整を実行する。この調整手段は、調整用センサ19を原稿台ガラス11の下方に有し、反射光を原稿台ガラス11経由とすることが好ましいが、調整用センサ19は原稿台ガラス11を固定する筐体10に設けてもよい。
このように、第4の実施形態でも、しきい値自動調整処理のトリガとして図2の角度センサ17のような角度検知手段による所定角度検知結果が用いられる。なお、調整用センサ19は複数設け、その平均値や大小関係で選択された値を採用するなどしてもよい。
図9で例示する第4の実施形態における処理では、図5の処理に続き(すなわちステップS2でYESの場合)、次のような処理を原稿読取装置1の制御部が実行する。まず、調整用センサ19で発光し、OCマット14からの反射光を受光する(ステップS31)。ステップS31で受光した反射光の受光レベル(実際には調整用センサ19の出力電圧)を、調整用光センサ19に対して記憶済みのOCマット14の反射光の値(実際は電圧値)と比較する(ステップS32)。
なお、第4の実施形態では、調整用センサ19が原稿によって塞がれることがないことを前提としており、図6のステップS13や図7のステップS22のごとき処理は不要である。しかし、原稿ガラス11全体に原稿が載置されてしまうなど塞がれることも想定すると、ステップS22のごとき処理を加えてもよい。このように、第4の実施形態では、原稿有りの光センサのしきい値に対する調整禁止処理も同様に適用できるが、調整用センサ19を調整の基礎としているため、このような調整禁止処理を行わなくてよい。
ステップS32での比較の結果、ステップS31での受光レベルが記憶済みの値より10%以上減少しているか否かを判定する(ステップS33)。なお、第4の実施形態では、各光センサ12a〜12cに対するOCマット反射光値を記憶させておく必要はない。ステップS33でYESの場合、全ての光センサ12a〜12cのしきい値を減少分X%だけ下げる調整を行う(ステップS34)。ステップS34に続き、記憶されたOCマット反射光値をステップS31での受光レベルに更新する(ステップS35)。一方、ステップS33の判定の結果、10%以上減少してなかった場合、並びにステップS35の処理後は、処理を終了する。
ステップS33で用いた判定のしきい値は、ステップS15で説明したように10%に限らず適宜決めておければよい。また、ステップS32で比較対象データとなり且つステップS36で更新対象データとなる記憶済みOCマット反射光値の初期値についても、第1の実施形態と同様であり、好ましくは中間値を設定するなどすればよい。
また、ステップS34の処理は、図7のステップS25の処理と比較して、調整に用いる値が調整用センサ19から出力された値に基づく点が異なるだけであり、減少分X%だけ下げる調整に限らず固定値を用いた調整なども適用できる。但し、第4の実施形態では、発光素子が一般的に経過時間ではなく、使用時間によって発光量を減ずるという事実を鑑みることが好ましい。そのため、調整用センサ19と原稿有無検知用の光センサ12a〜12cとの使用頻度を合わせておくか、或いは、使用頻度の割合を予め求めその割合に応じて減少分X%を換算した減少分Y%(例えばY=X×「割合」)だけ下げる調整を行うようにすることが好ましい。ここでの割合には、発光素子の発光量がその使用時間によりどのような径時変化を行うかといった発光量の減少割合を加味してもよい。また、第4の実施形態では、1回の調整で複数の光センサのうち1つの光センサで使用するしきい値のみに対して実行する処理も適用できる。
このように、第4の実施形態によれば、通常のスキャン(又は複写)処理時において、OCマット14を開閉するとき、原稿Pで各光センサ12a〜12cが塞がれていることが多く、OCマット14の反射光を検知できない。そのため、調整専用の光センサ19を別途設けることにより、通常のスキャン又は複写処理時にキャリブレーションを実行することが可能となる。
<原稿サイズ検知装置の回路構成例>
上述した各実施形態に係る原稿サイズ検知装置の主要部の一例として、図10にブロック図を示す。この主要部20は、図1又は図8で例示した原稿読取装置1に組み込まれるものであり、第1〜第3の実施形態及び第4の実施形態の双方に対応可能な回路構成として図示している。
主要部20は、センサブロックa(22a)、センサブロックb(22b)、センサブロックc(22c)、調整用センサブロック23、A/D変換器24、スイッチ25、並びにそれらを制御するマイクロコンピュータ(マイコン)21を備える。
マイコン21は、原稿サイズ検知装置の主制御部、すなわち原稿読取装置1の制御部(主制御部又は副制御部)に相当する。マイコン21は、例えば、所定のプログラムや各種データが格納されたROMやEEPROM、そのプログラムを実行する領域のRAM、及びそのプログラムをRAM上に読み出して実行するCPUを備える。このプログラムには、本発明に係るしきい値自動調整処理や原稿サイズ判定処理の手順をCPUに実行させるためのプログラムも含まれる。また、上述の各種データには、これらの処理で用いるOCマット反射光値やしきい値等のデータも含まれる。
センサブロック22aは、原稿サイズ検知用の光センサ(原稿サイズセンサa)12aと、マイコン21から出力されたデジタルのしきい値調整信号aをアナログ値である調整後のしきい値電圧aを出力するD/A変換器31と、光センサ12aの出力とD/A変換器31の出力とを比較するコンパレータ32とを有する。センサブロック22b,22cは、それぞれ図8の光センサ12b,12cを有し、センサブロック22aと同様の構成をもつ。調整用センサブロック23は、センサブロック22aにおいてD/A変換器31及びコンパレータ32を除いたセンサ部分(図8の調整用センサ19)のみで構成される。第1〜第3の実施形態では、調整用センサブロック23は具備しなくてよい。
スイッチ25は、マイコン21からの受光出力切替え信号に基づき、センサブロック22a〜22c,23の中から、使用する受光出力を選択する。A/D変換器24は、スイッチ25で選択された受光出力(選択したセンサブロック内の光センサの受光素子の出力)を、デジタル信号に変換してマイコン21に出力する。第1〜第3の実施形態では、スイッチ25はセンサブロック22a〜22cの中から使用する受光出力を選択できればよい。また、第4の実施形態においては、スイッチ25を具備する必要はなく、マイコン21に接続されたA/D変換器31に、調整用センサブロック23のみが接続されていればよい。
上述のごとき構成により、主要部20では、原稿有無検知時に例えば次のような制御が可能となっている。まず、マイコン21が、光センサ12aに対して発光出力aを指示して光センサ12aの発光素子に発光させ、コンパレータ32からの原稿検知出力aを受信して、内部メモリ又は接続されたメモリに格納する。ここで、光センサ12aが発光により受光素子で受けた光によって流れた電流を電圧値に変換し、コンパレータ32がその電圧値とD/A変換器31から出力されたしきい値電圧aとを比較し、マイコン21に対して原稿検知出力a(例えばしきい値以上であれば「1」、そうでなければ「0」)を出力する。マイコン21は、このような処理をセンサブロック22b,22cに対しても順番に実行して、原稿有無検知用の全てのセンサブロック22a〜22cからの受光出力a〜cを得て、これらの組み合わせにより原稿サイズを判定し、その判定結果を図示しない変倍処理部などに出力する。
一方、第1〜第3の実施形態に係るしきい値自動調整時には、主要部20は、例えば次のような制御を行う。マイコン21が、図2の角度センサ17からの所定角度検知の出力を受信した時点で、以降の処理を実行する。まず、マイコン21が、調整の基礎として用いるセンサブロック(センサブロック22a〜22cのいずれか、以下センサブロック22aで例示)に対して発光出力aを指示して光センサ12aの発光素子に発光させる。マイコン21は、それと共に、スイッチ25をセンサブロック22a側に切替え、光センサ12aの受光素子からの受光出力aを、A/D変換器24を介して受信し、内部メモリに格納する。
マイコン21は、受信した受光出力aを、内部メモリに格納してあるOCマット反射光値と比較して、所定値以上(例えば10%以上)減少しているか否かを判定する。減少していた場合には、マイコン21は、処理対象のセンサブロック(ここではセンサブロック22aで例示)に対するしきい値調整信号aを生成し、D/A変換器31へ出力する。このしきい値調整信号aは、D/A変換器31における基準電圧に対する出力電圧の変換係数を示す信号であってよい。D/A変換器31は、このしきい値調整信号aを受信し、コンパレータ32へ出力するしきい値電圧aを変更する。
なお、ここでは、センサブロック22aを調整の基礎とし、且つ調整処理対象もセンサブロック22aとした例のみ説明したが、他の様々な組み合わせであっても同様に説明できる。また、調整の基礎と調整処理対象とが1対複数、又は複数対1の場合なども、必要に応じてマイコン21で演算を行うなどすることで、同様に実行できる。
また、第4の実施形態に係るしきい値自動調整時には、主要部20は、例えば次のような制御を行う。マイコン21が、図2の角度センサ17からの所定角度検知の出力を受信した時点で、以降の処理を実行する。まず、マイコン21が、調整用センサブロック23に対して発光出力adを指示して調整用センサ19の発光素子に発光させる。マイコン21は、それと共に、調整用センサ19の受光素子からの受光出力adをA/D変換器24を介して受信し、内部メモリに格納する。なお、スイッチ25を具備していた場合には、このときに調整用センサブロック23に切替えればよい。
マイコン21は、受信した受光出力adを、内部メモリに格納してあるOCマット反射光値と比較して、所定値以上(例えば10%以上)減少しているか否かを判定する。減少していた場合には、マイコン21は、処理対象のセンサブロック(ここではセンサブロック22a〜22c全てで例示)に対するしきい値調整信号a〜cを生成する。マイコン21は、しきい値調整信号a〜cを、それぞれのセンサブロック22a〜22c内部のD/A変換器31へ出力する。センサブロック22a〜22cでは、それぞれ、D/A変換器31がこのしきい値調整信号a〜cを受信し、コンパレータ32へ出力するしきい値電圧a〜cを変更する。
<原稿読取装置の組み込み例>
上述した各実施形態に係る原稿サイズ検知装置を備えた原稿読取装置を組み込んだ画像形成装置の一例として、図11にその断面図を示す。図11で例示する画像形成装置は、大きく分けて、本発明に係る原稿読取装置に相当する画像読取部100と、画像形成部、給紙部、及び後処理装置から構成されている。
図11に示すように、画像読取部100は、透明の原稿載置台(原稿台ガラス)111と、原稿台ガラス111上に載置された原稿の画像を走査して読み取るための原稿画像読み取りユニット、すなわちスキャナユニット110と、OCマット114が付加された原稿カバー113と、原稿台ガラス111上へ自動的に原稿を供給するための両面対応自動原稿送り装置(RADF)120とから構成されている。RADF120は、原稿カバー113に取り付けられている。また、OCマット114は、RADF120用にベルト式に回転できるように設けられている。
スキャナユニット110は、原稿面上を露光するランプリフレクタアセンブリと、原稿からの反射光像を電気的画像信号に変換する光電変換素子(CCD)124に導くための第1反射ミラーを搭載した第1走査ユニット121と、第2,第3反射ミラーを搭載した第2走査ユニット122と、反射光像をCCD124上に結像するための光学レンズ体123とから構成される。第1走査ユニット121は原稿台ガラス111に沿って左から右へ一定速度Vで走行し、第2走査ユニット122はV/2の速度で同一方向に走行するように走査制御される。
これにより、画像読取部100では、RADF120とスキャナユニット110の関連した動作によって、原稿台ガラス111上に読み取るべき原稿を順次載置させながら、原稿台ガラス111の下面に沿ってスキャナユニット110を移動させて、原稿台ガラス111上に載置された原稿の画像を1ライン毎に順次CCD124に結像させて、原稿画像を読み取る。また、読取対象の原稿は、原稿カバー113を開けて原稿台ガラス111に載置することも可能となっている。
本発明に係る原稿サイズ検知装置は、光センサ12a〜12cに相当する光センサ112a〜112c、スイッチ15に相当するスイッチ115、角度センサ17に相当する角度センサ117、遮光片18に相当する遮光片118、調整用センサ19に相当する調整用センサ119、並びにそれらを制御する制御部(図示せず)として、画像読取部100に搭載されている。そして、原稿台ガラス111の下面に沿ってスキャナユニット110を移動させる前などに、光センサ112a〜112cによって原稿有無が検知され、原稿サイズが判定できる。判定された原稿サイズに基づき、スキャナユニット110の移動範囲を限定したり、また読み取った画像データの変倍処理などが実行される。
また、スイッチ115及び角度センサ117によって、原稿カバー113及びOCマット114の原稿台ガラス111に対する角度が所定角度であることが検知された場合、調整用センサ119での受光レベルを記憶済みのOCマット反射光値と比較して、比較結果に基づき光センサ112a〜112cのしきい値を調整する。調整用センサ119を設けない構成では、例えば所定角度のときの光センサ112bでの受光レベルをOCマット反射光値と比較して、比較結果に基づき光センサ112a〜112cのしきい値を調整するなどすればよい。これにより、原稿が有っても光センサ112a〜112cで検知できないといった誤作動を未然に防止することが可能となる。
また、原稿画像をスキャナユニット110で読み取ることにより得られた画像データは、各種処理が施された後、図示しないメモリに一旦記憶され、出力指示に応じてメモリから画像データを画像形成部に出力して、感光体ドラム142上に可視画像として再現した後、用紙上に画像を転写してトナー像を形成する。
この画像形成部は、レーザ書き込みユニット(LSU)141及び画像を形成するための電子写真プロセス部140を備えている。LSU141は、メモリから読み出した画像データ又はPC等の外部機器から転送されてきた画像データに応じてレーザ光を出射する半導体レーザ、レーザ光を等角速度偏向するポリゴンミラー、等角速度偏向されたレーザ光が電子写真プロセス部140の感光体ドラム142上を等速度で走査するように補正するf−θレンズ等を有している。
電子写真プロセス部140は、周知の態様に従い、感光体ドラム142の周囲に帯電装置143、現像装置144、転写装置145、剥離装置146、クリーニング装置147、除電装置を配置し、さらに感光体ドラム142の下流側に定着装置148を配置して構成される。
給紙部は、第1〜3カセット131〜133、手差しトレイ135、及び大容量カセット134を有している。第1カセット131は、第1のトレイ及び第2のトレイを収容するタンデムトレイで、両トレイを装置本体から同時に引き出し可能となっている。第2カセット132,第3カセット133は、それぞれ第3のトレイ、第4のトレイを収容する。大容量カセット134は第5のトレイである。給紙搬送部136,137は、給紙部から感光体ドラム142と転写装置145との間の転写位置に用紙を搬送するために、給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラを備えている。これらの5つのトレイには、用紙がサイズ毎に積載されて収容されており、使用者が所望するサイズの用紙が収容されているカセット或いはトレイを選択すると、そのトレイ内の用紙束の上から1枚ずつ送り出され、給紙搬送部136,137の搬送経路を経由して順次電子写真プロセス部140へ向けて搬送される。
定着装置148より用紙搬送方向下流側には、用紙排出路29が設けられており、この用紙排出路149は後処理装置の排紙搬送路151と、両面複写のための再給紙搬送部150とに分岐している。
LSU141及び電子写真プロセス部140において、メモリから読み出された画像データは、LSU141によってレーザ光線を走査させることにより感光体ドラム142の表面上に静電潜像として形成され、現像装置144のトナーにより可視像化されたトナー像は給紙部から搬送された用紙の表面上に転写装置145により静電転写され、定着装置148によって定着される。
このようにして画像が形成された用紙は定着装置148から後処理装置へ送られ、或いは両面複写のための再給紙搬送部150へと選択的に搬送される。後処理装置に送られた用紙は、必要に応じてソート或いはステープル処理等の所定の処理が施され、第1排出卜レイ153又は第2排出卜レイ154にスタックされる。また、両面複写の再給紙搬送部150に送られた用紙は、ここで反転され再び電子写真プロセス部140に搬送されて、用紙の裏面に画像が形成され、定着後排出される。
後処理装置は、第1排出卜レイ153と第2排出卜レイ154が備えられている。第2排出卜レイ154は、画像形成部から排出された画像の形成されたシートを、後処理装置の側面上部に設けられた受け取り排紙搬送路151によって受け取り、シートがそのままの状態で排出される排出部である。第1排出卜レイ153は、ステープル,パンチ等選択的に装着される後処理手段152により後処理が成されたシートが排出される排出部である。後処理装置において、画像の形成されたシートは、使用者によって選択された第1排出卜レイ153又は第2排出卜レイ154から排出されるよう構成されている。
図11で例示する画像形成装置は両面印刷に対応しており、そのための構成について以下に説明する。画像が記録されたシートは、定着装置148を経て搬送ローラ155によりさらに上方搬送され、切換えゲート159を通過する。そして、シートの排出トレイが画像形成部の外装に備えられた積載トレイ157に設定されている場合は、反転ローラ156により積載トレイ157に排出される。一方、両面画像形成や後処理が指定されている場合には、一旦反転ローラ156により積載トレイ157に向けてシートを排出する。なお、この場合には、シートを完全に排出せず、シートを挟持させたまま反転ローラ156を逆転させる。そして、上記シートを逆方向、つまり両面画像形成や後処理のために選択的に装着されている再給紙搬送部150や後処理装置の装着されている方向に、反転搬送する。
このとき、切換えゲート159は、図の実線の状態(上向き)から破線の状態(下向き)に切換えられる。両面画像形成を行なう場合は、反転搬送されたシートは、別の切換えゲート158が上向き(破線)の状態で、再給紙搬送部150を通り、再び画像形成部に供給される。一方、後処理が成される場合は、再給紙搬送部150から別の切換えゲート158が下向き(実線)の状態で、後処理装置に搬送され、後処理が成されるようになっている。
1…原稿読取装置、10…筐体、11…原稿台ガラス、12a,12b,12c…原稿有無検知用の光センサ、13…原稿カバー、14…OCマット、15…スイッチ、16…支軸、17…角度センサ、17a…フォトインタラプタ、18…遮光片、19…しきい値調整専用の光センサ(調整用センサ)。