JP4877644B2 - 粘着付与樹脂組成物、粘着付与樹脂水性エマルジョン、該エマルジョンの製造方法および水系粘・接着剤組成物 - Google Patents
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条件1:
Mw1 / Mw0 = 1.10 〜 2.20
(式中、Mw0は加熱反応前の組成物[アクリル樹脂(A)とロジンエステル類(B)との混合物]の重量平均分子量、Mw1は加熱反応後の反応生成物の重量平均分子量を表す)および
条件2:
(Mw1/Mn1 )/(Mw0/Mn0) = 1.05 〜 1.70
Mw0、Mw1は前記と同じであり、Mn0は加熱反応前の組成物[アクリル樹脂(A)とロジンエステル類(B)との混合物]の数平均分子量、Mn 1は加熱反応後の反応生成物の数平均分子量を表す)
を満たす反応生成物を含有することを特徴とする粘着付与樹脂組成物。;該粘着付与樹脂組成物および乳化剤を含有してなる粘着付与樹脂水性エマルジョン;該粘着付与樹脂組成物を溶融し、ついで乳化剤および水を添加して該粘着付与樹脂組成物が連続相で水が分散相であるエマルジョンを形成させ、次いで水を添加して該エマルジョンを相反転させて粘着付与樹脂組成物が分散相で水が連続相のエマルジョンとする粘着付与樹脂水性エマルジョンの製造方法;該粘着付与樹脂水性エマルジョンを含有してなる水系粘・接着剤組成物に関する。
条件1:
Mw1 / Mw0 = 1.10 〜 2.20
(式中、Mw0は加熱反応前の組成物[アクリル樹脂(A)とロジンエステル類(B)との混合物]の重量平均分子量、Mw1は加熱反応後の反応生成物の重量平均分子量を表す)および
条件2:
(Mw1/Mn1 )/(Mw0/Mn0) = 1.05 〜 1.70
Mw0、Mw1は前記と同じであり、Mn0は加熱反応前の組成物[アクリル樹脂(A)とロジンエステル類(B)との混合物]の数平均分子量、Mn 1は加熱反応後の反応生成物の数平均分子量を表す)
を満たす反応生成物を含有するものである。
条件2の値が下限1.05に満たない場合も同様に、期待される塗工性の向上効果が発現しない傾向にあり、好ましくない。条件2の値が上限値1.70を超える場合も同様に、塗工性の向上効果は発現するものの、その他の粘着性能の低下が著しいため好ましくなく、粘着付与樹脂エマルジョンの製造が困難となり、貯蔵安定性も悪化するため好ましくない。
得られたアクリルポリマーをテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、商品名「HLC−8120」、カラム:東ソー(株)製、商品名「TSKgelSuperHM−Lx」3本)により測定し、ポリスチレン換算により重量平均分子量と数平均分子量を求めた。
熱応力測定装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、商品名:「TMA/SS120CU」)を用い、得られたアクリルポリマーに針入プローブを介して5gの荷重をかけ、−100℃から一定速度(10℃/分)で昇温し、その際の変移曲線からガラス転移温度(℃)を求めた。
得られた粘着付与樹脂エマルジョンの収率は、下記式により求めた。
ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、商品名「GC−14A」、カラム:J&W社製、商品名「DB−5」)により測定し、既知溶剤濃度水溶液を用いた検量線によりエマルジョン中の溶剤含有量を求めた。
レーザー回折式粒度測定装置((株)島津製作所製、商品名「SALD−2000」)を用い、屈折率1.70−0.20i、吸光度0.06の条件で測定した。
得られた粘着付与樹脂エマルジョンを25℃で10日間放置し、沈降物の有無を目視で判定した。結果を表1に示す。
○:良好 △:少量の沈降あり ×:多量の沈降物あり
撹拌装置、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた反応装置にアクリル酸ブチル97部、アクリル酸3部を仕込んだ後、窒素気流下に系内温度が80℃となるまで昇温した。次いで、2,2’−アゾビスイソブチロ二トリル5部を撹拌下の反応装置内に添加し、冷却および加熱を行い内容物の温度を80℃に維持しながら2時間反応を行った。更に、2,2’−アゾビスイソブチロ二トリル4部を撹拌下の反応装置内に追加添加し、冷却および加熱を行い内容物の温度を95℃に維持しながら6時間保温し、重合反応を完結させた。その後、反応物の温度を室温に戻し、ベンゾキノン2部を添加して重合反応を停止させた。次いで、減圧蒸留装置に反応物を仕込み、減圧下に90℃まで徐々に加熱しながら未反応モノマーを除去し、ガラス転移温度−50℃、重量平均分子量5,000のアクリル樹脂(A)−1を得た。
製造例1において、アクリルモノマーとしてアクリル酸ブチル68部、アクリル酸2−エチルヘキシル29部、アクリル酸3部を用いた以外は、製造例1と同様に反応を行い、ガラス転移温度−60℃、重量平均分子量4,800のアクリル樹脂(A)−2を得た。
製造例1において、アクリルモノマーとしてアクリル酸ブチル40部、メタクリル酸メチル57部、アクリル酸3部を用いた以外は、製造例1と同様に反応を行い、ガラス転移温度20℃、重量平均分子量3,200のアクリル樹脂(A)−3を得た。
撹拌装置、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、製造例1で得た成分(A)−1を20部と軟化点160℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−160」、荒川化学工業(株)製)(以下、成分(B)−1)という)80部を仕込んだ後、窒素気流下に系内温度が加熱反応温度である250℃となるまで2時間を要して昇温し、同温度で6時間反応を行った後、反応生成物1を系外に取り出し急冷した。反応生成物1についての条件1の値は1.42、および条件2の値は1.20であった。
表1に示す製造条件とした以外は、製造例4と同様にして加熱反応させることにより、反応生成物2〜7、および比較反応生成物1〜7を得た。
(B)−2:軟化点135℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−135」、荒川化学工業(株)製)
(B)−3:軟化点125℃の重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD−125」、荒川化学工業(株)製)
(A)−4:アクリルポリマー(商品名「ARUFON UP−1021」、東亞合成(株)製、ガラス転移温度−71℃、重量平均分子量1600)
撹拌装置、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた反応容器に、窒素ガス気流下、ポリオキシエチレンフェニルエーテル系の反応性乳化剤(商品名「アクアロンRN−50」:第一工業製薬(株)製)を固形分換算で25部、スチレン12.5部、メタクリル酸メチル12.5部、メタクリル酸40部およびスチレンスルホン酸ソーダ10部を仕込み、さらに水20部を加えて前記仕込み成分を透明な均一系とした。次いで、これにドデカンチオール1部、ベンゾイルパーオキシド2部および水300部を混合し重合を開始した。65℃で2時間攪拌した後、28%アンモニア水29部を添加し、さらに65℃で6時間攪拌して重合を終了した後に常温まで冷却した。不揮発分22.5%、ガラス転移温度115℃、重量平均分子量50,000の共重合体の水溶液を得た。
製造例17で用いたと同様の反応容器に、アクリルアミド57.7部(単量体の総モル和の73モル%、以下同様)、イタコン酸21.7部(15モル%)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸9.2部(4モル%)、アクリル酸ブチル11.4部(8モル%)、ラウリルメルカプタン5部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」:第一工業製薬(株)製)5部、過硫酸アンモニウム5部及び水400部を混合・加熱し、80℃で5時間反応を行い共重合体の水溶液を得た。その後冷却し、60℃で2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸と等モルの水酸化ナトリウムを加えて1時間攪拌して、濃度15%、ガラス転移温度100℃、重量平均分子量40000の共重合体の水溶液を得た。
製造例17で用いたと同様の反応容器に、水300部及びポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」:第一工業製薬(株)製)5部を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌した。その後、アクリルアミド44.3部(63モル%)、アリルスルホン酸ナトリウム塩13.7部(8モル%)、イタコン酸28.3部(22モル%)、メタクリル酸2−エチルヘキシル13.7部(7モル%)及びラウリルメルカプタン5部の混合液と過硫酸カリウム3部を水50部に溶解した水溶液を別々に80℃で3時間かけて滴下して反応を行い、イタコン酸の半分のモル量の水酸化ナトリウムを加えて、濃度20%、ガラス転移温度105℃、重量平均分子量35,000の共重合体の水溶液を得た。
製造例17で用いたと同様の反応容器に、窒素ガス気流下、水43.4部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(アニオン性乳化剤:商品名「ハイテノール073」:第一工業製薬(株)製)0.92部からなる水溶液を仕込み、70℃に昇温した。次いで、アクリル酸ブチル90部、アクリル酸2−エチルヘキシル7部およびアクリル酸3部からなる混合物と、過硫酸カリウム(重合開始剤)0.24部、pH調整剤(重曹)0.11部および水8.83部からなる開始剤水溶液の各々の1/10量を反応容器に添加し、窒素ガス気流下にて70℃、30分間予備重合応を行った。次いで、前記混合物と前記開始剤水溶液の残りの9/10量を2時間にわたり反応容器に添加して乳化重合を行い、その後70℃で1時間保持して重合反応を完結させた。こうして得られたアクリル系重合体エマルジョンを室温まで冷却した後100メッシュ金網を用いてろ過し、固形分47.8%のアクリル系重合体エマルジョンを得た。
攪拌機、冷却管、温度計および滴下ロートを備えた加圧式反応装置に反応生成物1を100部仕込み、180℃にて約1時間溶融した後、160℃まで冷却した。次いで加圧条件下でアニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)5部(固形分換算)を攪拌しながら添加し、系内を140℃に保ちながら滴下ロートから熱水15部を添加することによりクリーム状の油中水型エマルジョンを得た。次いで、激しく攪拌しながら熱水を54部添加し転相させ水中油型エマルジョンとし、さらに熱水で濃度50%まで希釈した。該エマルジョンを25℃まで冷却し、250メッシュ金網でろ過して粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
用いた反応生成物および乳化剤を表2のように変更した他は、実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
用いた反応生成物および乳化剤を表2のように変更した他は、実施例1と同様にして粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
攪拌機、冷却管、温度計を備えた反応装置に反応生成物1を100部とトルエン60部を仕込み100℃にて約1時間溶解した後、80℃まで冷却してアニオン系乳化剤(商品名「ネオハイテノールF−13」、第一工業製薬(株)製)を5部(固形分換算)および水160部を添加し、75℃にて1時間強撹拌し、予備乳化を行った。得られた予備乳化物を高圧乳化機(マントンガウリン社製)により30MPaの圧力で高圧乳化して乳化物を得た。次いで、減圧蒸留装置に前記乳化物を仕込み、50℃、130hPaの条件下に6時間減圧蒸留を行い、固形分50%の粘着付与樹脂エマルジョンを得た。
製造例20で得られたアクリル系重合体エマルジョン100部(固形部)に、前記実施例および比較例で得られた粘着付与樹脂エマルジョン10部(固形部)を混合した調製物に、さらに増粘剤(商品名「プライマルASE−60」、日本アクリル化学(株)製)0.5部を添加し粘着剤組成物を得た。
上記水系粘着剤組成物を厚さ38μmのポリエステルフィルム(商品名「S−100」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製)にサイコロ型アプリケーター(大佑機材(株)製)にて乾燥膜厚が25μm程度となるように塗布し、次いで105℃の循風乾燥機中で5分間乾燥させて試料テープ用フィルムを作成した。以下の試験方法により粘着特性を評価した。評価結果は表3に示す。
前記試料テープ用フィルムから試料テープ(巾25mm×長さ150mm)を作成し、これをポリプロピレン板に貼り付け、PSTC−1に準じて23℃および80℃で、剥離速度300mm/分で180°剥離を行い、その時の巾25mmあたりの接着力(g/25mm)を測定した。
前記試料テープ用フィルムから試料テープ(巾25mm×長さ150mm)を作成し、これをステンレス板に貼り付け、60℃で1kg荷重し、落下時間(分)を測定した。
シリコン系の離型材で表面処理を施した離型紙に上記水系粘着剤組成物を、アプリケーターを用いて塗工し、塗工面にハジキが発生していないか表面の状態を観察した。
※塗工性評価基準(数字の小さい方が良好)
1:塗工面積200cm2あたりハジキが全く存在しない
2:塗工面積200cm2あたりハジキが1箇所以上5箇所未満
3:塗工面積200cm2あたりハジキが5箇所以上10箇所未満
4:塗工面積200cm2あたりハジキが10箇所以上15箇所未満
5:塗工面積200cm2あたりハジキが15箇所以上
製造例20で得られたアクリル系重合体エマルジョン100部(固形部)に、前記実施例および比較例で得られた粘着付与樹脂エマルジョン70部(固形部)、炭酸カルシウム200部(商品名「エスカロン#100」、三共精粉(株)製)、トリプロピレングリコール10部、造膜助剤30部(商品名「SP−23」、三光(株)製)を均一に攪拌混合して水系接着剤組成物を調製した。
以下の試験方法により初期接着性を評価した。評価結果は表2に示す。
得られた水系接着剤組成物を繊維強化セメント板(JIS A 5430)にくし目ごてで塗工し、20分のオープンタイム後、塩化ビニル床シート((株)サンゲツ製)をハンドローラーで圧着し、すぐに90°剥離し、初期接着強度を測定した。
Claims (11)
- ガラス転移温度(Tg)が−80〜0℃、重量平均分子量が1,000〜100,000であるアクリル樹脂(A)1〜35重量%と軟化点が135〜180℃であるロジンエステル類(B)65〜99重量%[(A)と(B)の合計を100重量%とする]とを200〜280℃で5〜10時間加熱反応させてなり、
条件1:
Mw1 / Mw0 = 1.10 〜 2.20
(式中、Mw0は加熱反応前の組成物[アクリル樹脂(A)とロジンエステル類(B)との混合物]の重量平均分子量、Mw1は加熱反応後の反応生成物の重量平均分子量を表す)および
条件2:
(Mw1/Mn1 )/(Mw0/Mn0) = 1.05 〜 1.70
Mw0、Mw1は前記と同じであり、Mn0は加熱反応前の組成物[アクリル樹脂(A)とロジンエステル類(B)との混合物]の数平均分子量、Mn 1は加熱反応後の反応生成物の数平均分子量を表す)
を満たす反応生成物を含有することを特徴とする粘着付与樹脂組成物。 - ロジンエステル類(B)が重合ロジンエステルである請求項1に記載の粘着付与樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の粘着付与樹脂組成物および乳化剤を含有してなることを特徴とする粘着付与樹脂水性エマルジョン。
- 乳化剤がアニオン系および/またはノニオン系乳化剤である請求項3に記載の粘着付与樹脂水性エマルジョン。
- 乳化剤が高分子乳化剤である請求項3または4に記載の粘着付与樹脂水性エマルジョン。
- 高分子乳化剤が(メタ)アクリルアミド系ポリマーである請求項5に記載の水性エマルジョン。
- 有機溶剤の含有率が50ppm未満である請求項3〜6のいずれかに記載の水性エマルジョン。
- 請求項1または2に記載の粘着付与樹脂組成物を溶融し、ついで乳化剤および水を添加して該粘着付与樹脂組成物が連続相で水が分散相であるエマルジョンを形成させ、次いで水を添加して該エマルジョンを相反転させて粘着付与樹脂組成物が分散相で水が連続相のエマルジョンとすることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の粘着付与樹脂水性エマルジョンの製造方法。
- 有機溶剤を使用しない請求項8に記載の粘着付与樹脂水性エマルジョンの製造方法。
- 加圧条件下に行われる請求項8または9に記載の粘着付与樹脂水性エマルジョンの製造方法。
- 請求項3〜7のいずれかに記載の粘着付与樹脂水性エマルジョンを含有してなることを特徴とする水系粘・接着剤組成物。
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