JP7468110B2 - 水性感圧式接着剤、感圧式接着シート、および水性感圧式接着剤の製造方法 - Google Patents

水性感圧式接着剤、感圧式接着シート、および水性感圧式接着剤の製造方法 Download PDF

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本発明は、水性感圧式接着剤、感圧式接着シート、および水性感圧式接着剤の製造方法に関する。
近年、安全衛生および環境に対する配慮から、感圧式接着剤において、溶剤型から水性型への移行が進んでいる。しかしながら、水性型感圧式接着剤は塗工後の乾燥工程において分散粒子同士が融着して乾燥被膜を形成するため、溶剤型感圧式接着剤に比べて、塗工および乾燥後に得られる膜(感圧式接着層)の緻密さに欠ける傾向がある。そのため、水性型感圧式接着剤を用いた感圧式接着シートは、溶剤型感圧式接着剤を用いた感圧式接着シートに比べて、被着体、特にポリオレフィン系樹脂等の被着体に対する曲面貼付性に劣る傾向がある。
「曲面貼付性」とは、曲面を有する被着体上に、感圧式接着シートを貼り付ける場合の適性を示す用語である。平面上に貼り付ける場合と異なり、曲面上に貼り付ける場合、感圧式接着シートの基材に曲面状態から平坦状態に復元しようとする応力が発生する。この応力は、被着体から感圧式接着シートが自ずと剥がれるように作用する。そのため、接着層の接着力が充分でないと、被着体に対して感圧式接着シートを貼り付けた後、ある程度の時間が経過すると、被着体から感圧式接着シートが自然に剥離してしまう恐れがある。
また、感圧式接着剤の接着力が充分に高いにもかかわらず、感圧式接着剤の凝集力が低すぎると、基材が平坦状に戻ろうとする応力に打ち勝てずに接着層の内部で破断が生じる、いわゆる「凝集破壊」が生じる恐れがある。凝集破壊が生じると、被着体側および感圧式接着シートの基材側の両方に感圧式接着剤が付着した状態で、感圧式接着シートが被着体から剥がれてしまう。
故に、曲面貼付性を良好にするには、感圧式接着剤の接着力と凝集力という2つの物性が好適である必要がある。
水性感圧式接着剤の用途の拡大に伴い、水性型感圧式接着剤には、曲面貼付性が良好であることに加えて、高温環境下においても凝集力が高く、常温下および0℃以下の低温環境下においても、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体を含む幅広い被着体に対して高い接着力を有することが求められるようになってきている。
なお、高温環境下における凝集力が高ければ、高温環境下において、被着体と感圧式接着シートとの間の位置ズレ等の接着不良を抑制することができる。高温環境下における被着体と感圧式接着シートとの間の良好な接着状態の保持は、「高温保持力」とも言う。
特許文献1には、ガラス転移温度(Tg)が-40℃未満である低Tgポリマーエマルション(A)と、ガラス転移温度(Tg)が-40℃~0℃である高Tgポリマーエマルション(B)と、架橋剤(C)と、粘着付与樹脂(D)とを含むエマルション型粘着剤組成物が開示されている(請求項1)。
特許文献2には、ガラス転移温度(Tg)が-70℃~-50℃の範囲にある水分散型アクリル系共重合体(ポリマーL)をベースポリマーとする水分散型の粘着剤組成物であって、固形分基準で、100質量部のポリマーLに対し、Tgが30~120℃の範囲にある水分散型アクリル系共重合体(ポリマーH)0.5~15質量部を含む、粘着剤組成物が開示されている(請求項1)。
この粘着剤組成物は、好ましくは、固形分基準で、100質量部のポリマーLに対して10~40質量部の粘着付与樹脂をさらに含む(請求項7)。
特許文献3には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするエチレン性不飽和単量体(A)および粘着付与剤(B)からなる油溶成分を、水媒体中で乳化剤を用いて、油溶成分の平均粒子径が1.0μm以下となるように乳化させた乳化液を重合して得られる樹脂エマルジョンの存在下に、さらに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするエチレン性不飽和単量体(E)を重合してなるエマルジョン型粘着剤組成物が開示されている(請求項1)。
特許文献4には、
主成分として低Tgのアクリル系粘着剤エマルション(A)51~90質量%と、副成分として高Tgの共重合体エマルション(B)10~49質量%と含むエマルション型粘着剤組成物であって、
低Tgのアクリル系粘着剤エマルション(A)は、ガラス転移温度(Tg)が-70~-50℃であり、
高Tgの共重合体エマルション(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を含む単量体混合物100質量部に、20~200質量部の粘着付与樹脂を存在させて乳化重合した共重合体のエマルションであり、該共重合体のガラス転移温度(Tg)が-30~30℃である、エマルション型粘着剤組成物が開示されている(請求項1)。
なお、特許文献1~4に記載の各成分の符号は、これら文献に記載の符号であり、本発明の各成分に使用する符号とは何ら関係がない。
特開2006-124691号公報 特開2010-95609号公報 特開2003-96420号公報 特許第6183821号公報
しかしながら、上記特許文献1~4に記載の従来技術においては、良好な曲面貼付性、各種被着体に対する高い接着力、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)、および低温環境下における高い接着力を全て達成することは難しい。特に、曲面貼付性と低温接着性は背反する特性であり、これらを両立することは難しい。
本発明の目的は、各種被着体に対する高い接着力と、良好な曲面貼付性と、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)と、低温環境下における高い接着力とを有する水性感圧式接着剤とその製造方法、およびこれを用いた感圧式接着シートを提供することである。
本発明の水性感圧式接着剤は、
ガラス転移温度(Tg)が相対的に低い第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)と、
ガラス転移温度(Tg)が相対的に高い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂とを含む第2のアクリル系エマルション(AEH)とを含む水性感圧式接着剤であって、
第1のアクリル系共重合体(APL)のガラス転移温度が-70~-40℃であり、
第2のアクリル系共重合体(APH)のガラス転移温度(Tg)が60~120℃であり、
前記粘着付与樹脂は、軟化点が130℃以上のロジン系樹脂である、水性感圧式接着剤である。
本発明の水性感圧式接着剤の製造方法は、
ガラス転移温度(Tg)が相対的に低い第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)と、
ガラス転移温度(Tg)が相対的に高い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂とを含む第2のアクリル系エマルション(AEH)とを含む水性感圧式接着剤の製造方法であって、
複数種のエチレン性不飽和単量体を乳化重合して、ガラス転移温度が-70~-40℃である第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)を製造する工程(1)と、
乳化剤と、軟化点が130℃以上のロジン系樹脂である粘着付与樹脂との存在下で、複数種のエチレン性不飽和単量体を乳化重合して、ガラス転移温度(Tg)が60~120℃である第2のアクリル系共重合体(APH)を含む第2のアクリル系エマルション(AEH)を製造する工程(2)と、
第1のアクリル系エマルション(AEL)と第2のアクリル系エマルション(AEH)とを混合する工程(3)とを有するものである。
本発明の感圧式接着シートは、上記の本発明の水性感圧式接着剤の乾燥物からなる感圧式接着層を有するものである。
本発明によれば、各種被着体に対する高い接着力と、良好な曲面貼付性と、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)と、低温環境下における高い接着力とを有する水性感圧式接着剤とその製造方法、およびこれを用いた感圧式接着シートを提供することができる。
本発明の水性感圧式接着剤を用いて形成された感圧式接着層を含む感圧式接着シートは、被着体に貼付後、高温環境下でも、被着体と感圧式接着シートとの間の位置ズレ等の接着不良を抑制することができる。この感圧式接着シートは、曲面形状を有する被着体、および、一般的に接着が難しいポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体に対しても、良好な接着力を有することができる。この感圧式接着シートは、低温環境下でも、一般的に接着が難しいポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体に対しても、良好な接着力を有することができる。
実施例1で得られた感圧式接着層の顕微鏡写真である。 比較例2で得られた感圧式接着層の走査型プローブ顕微鏡写真である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本明細書において、特に断りのない限り、「単量体」はエチレン性不飽和単量体であり、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を含む、ラジカル重合可能なビニル基含有化合物の総称である。 本明細書において、特に断りのない限り、アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、各原料単量体の単独重合体のTgを基に、FOXの式により理論的に求められる理論値である。単独重合体のTgについては、各種便覧および公知文献等に記載の周知の値を用いることができる。
[水性感圧式接着剤]
本発明の水性感圧式接着剤は、2種類のアクリル系エマルションを含む。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が相対的に低い第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)と、ガラス転移温度(Tg)が相対的に高い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂(TF)とを含む第2のアクリル系エマルション(AEH)とを含む。
本発明の水性感圧式接着剤は相分離構造を有し、第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂(TF)とを含む相分離ドメインを含むことができる。
一般的に、Tgの低いアクリル系共重合体は、相対的に柔らかく、低温での接着力およびポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体への接着力が高く、凝集力が低い傾向がある。一般的に、Tgの高いアクリル系共重合体は、相対的に硬く、特に低温での接着力が低く、凝集力が高い傾向がある。これら2種のアクリル系エマルションに対して粘着付与樹脂を単に添加するだけでは、ポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体への接着力の向上および曲面接着性の向上のために、比較的多くの粘着付与樹脂が必要である。この場合、感圧式接着剤の柔軟性が損なわれ、低温接着力が低下する傾向がある。
本発明の水性感圧式接着剤では、Tgが相対的に高い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂(TF)とを含む相分離ドメインの形成によって、粘着付与樹脂(TF)の添加量を少なくしても、第2のアクリル系共重合体(APH)の硬さと接着力の低さを効果的に和らげることができる。
相分離の有無または相分離状態は、水性感圧式接着剤または水性感圧式接着剤の乾燥物からなる感圧式接着層の走査型プローブ顕微鏡観察により確認することができる。
相分離の有無または相分離状態はまた、本発明の水性感圧式接着剤の乾燥物からなる感圧式接着層のヘーズ値を指標に評価することができる。50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥質量25g/mの条件で水性感圧式接着剤を塗工および乾燥して得られる積層体のヘーズ値は、好ましくは5.0~10.0、より好ましくは6.0~8.0である。上記積層体のヘーズ値が5.0以上であれば、感圧式接着層に明確に相分離が見られ、10.0を超えると、感圧式接着層に相分離が明確に見られるものの感圧式接着層の柔軟性が低下する傾向があり、好ましくない。上記積層体のヘーズ値が6.0~10.0であれば、感圧式接着層の相分離と柔軟性のバランスが良好となる。
Tgが低く相対的に柔らかい第1のアクリル系共重合体(APL)を含むマトリクス相(海相)の中に、Tgが高く相対的に硬い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂(TF)とを含む相分離ドメイン(島相)が複数形成されることで、低温接着力、曲面接着性、ポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体への接着力、および高温環境下での凝集力(高温保持力)のバランスが良好となる。
本発明の水性感圧式接着剤は、上記2種類のアクリル系エマルションを含むことで、各種被着体に対する高い接着力と、良好な曲面貼付性と、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)と、低温環境下における高い接着力とを有することができる。
本発明の水性感圧式接着剤を用いて形成された感圧式接着層を含む感圧式接着シートは、被着体に貼付後、高温環境下でも、被着体と感圧式接着シートとの間の位置ズレ等の接着不良を抑制することができる。この感圧式接着シートは、曲面形状を有する被着体、および、一般的に接着が難しいポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体に対しても、良好な接着力を有することができる。この感圧式接着シートは、低温環境下でも、一般的に接着が難しいポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体に対しても、良好な接着力を有することができる。
「高温環境」とは常温(20~25℃)よりも高い温度環境であり、例えば、60~90℃の温度環境である。
「低温環境」とは常温(20~25℃)よりも低い温度環境であり、例えば、-25~5℃の温度環境である。
粘着付与樹脂(TF)の軟化点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、特に好ましくは130℃以上、最も好ましくは150℃以上である。
粘着付与樹脂(TF)の軟化点が高いほど、好ましくは130℃以上であることで、これを含む接着剤の凝集力を効果的に高めることができ、より少量の使用で、各種被着体に対する高い接着力と、良好な曲面貼付性と、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)と、低温環境下における高い接着力とを有することができる。
粘着付与樹脂(TF)の重量平均分子量(Mw)は特に制限されず、好ましくは1700~4500、より好ましくは2800~4000である。粘着付与樹脂(TF)のMwが上記範囲内であれば、これを含む接着剤の凝集力を効果的に高めることができ、より少量の使用で、各種被着体に対する高い接着力と、良好な曲面貼付性と、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)と、低温環境下における高い接着力とを有することができる。
本明細書において、特に断りのない限り「重量平均分子量(Mw)」はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により求められるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
上記したように、本発明の水性感圧式接着剤では、粘着付与樹脂(TF)の使用量を少量とすることができる。粘着付与樹脂(TF)の使用量が少量でよいので、原料コスト低減、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)、低温接着力、および感圧接着剤の低黄変性の観点から、好ましい。
従来一般的なアクリル系水性感圧式接着剤では、アクリル系共重合体の総量100質量部に対して、粘着付与樹脂の含有量は6質量部超である。
本発明の水性感圧式接着剤では、例えば、第1のアクリル系共重合体(APL)と第2のアクリル系共重合体(APH)との総量100質量部に対して、粘着付与樹脂(TF)の含有量は1.0質量部以上5.5質量部未満とすることができる。粘着付与樹脂(TF)の含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、特に好ましくは4.0質量部以下である。粘着付与樹脂(TF)の含有量は、好ましくは1.5質量部以上である。
本発明の水性感圧式接着剤において、第1のアクリル系共重合体(APL)と第2のアクリル系共重合体(APH)との総量100質量部に対して、第1のアクリル系共重合体(APL)の含有量が80~95質量部であり、第2のアクリル系共重合体(APH)の含有量が20~5質量部であることが好ましい。
第1のアクリル系共重合体(APL)の含有量が上記範囲にあることで、ポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体への接着力および低温接着性が優れたものとなる。第2のアクリル系共重合体(APH)の含有量が上記範囲にあることで、曲面貼付性と高温環境下における高い凝集力(高温保持力)の両立が可能となる。
第1のアクリル系共重合体(APL)と第2のアクリル系共重合体(APH)との総量100質量部に対して、第1のアクリル系共重合体(APL)の含有量が87~92質量部であり、第2のアクリル系共重合体(APH)の含有量が13~8質量部であることがより好ましい。
(第1のアクリル系エマルション(AEL))
第1のアクリル系エマルション(AEL)は、ガラス転移温度(Tg)が相対的に低い第1のアクリル系共重合体(APL)を含む。第1のアクリル系共重合体(APL)のTgは、-70~-40℃である。このエマルションは、本発明の水性感圧式接着剤の主成分であり、基本的な粘着性能の発現に寄与する。第1のアクリル系エマルション(AEL)は、1種または2種以上用いることができる。
第1のアクリル系エマルション(AEL)は、公知の乳化重合法により製造でき、乳化剤の存在下で、複数種のエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物(AML)を乳化重合して得られる。
第1のアクリル系共重合体(APL)のTgが-70~-40℃の範囲内となるように、原料の複数種のエチレン性不飽和単量体を選定し、重合条件を決定する。第1のアクリル系共重合体(APL)のTgが-70℃未満では、被着体、特にポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体への接着力、および曲面貼り付け性が不充分となる恐れがある。Tgが-40℃を超えると、タック感の低下を招き、接着力(特に低温接着力)の低下を招く恐れがある。Tgは、より好ましくは-65~-50℃、特に好ましくは-60~-45℃である。
<エチレン性不飽和単量体混合物(AML)>
第1のアクリル系エマルション(AEL)は、エチレン性不飽和単量体混合物(AML)の乳化重合物である。
エチレン性不飽和単量体混合物(AML)は、直鎖または分岐鎖のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、必要に応じて、1種以上の他の単量体を含むことができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、およびステアリルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
中でも、アルキル基の炭素数が1~14である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いることが、水性感圧式接着剤のタック感向上および接着力向上のために好ましい。
エチレン性不飽和単量体混合物(AML)は、ブチルアクリレート(BA)を含むことが好ましく、ブチルアクリレート(BA)と2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)とを含むことがより好ましい。
エチレン性不飽和単量体混合物(AML)中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、好ましくは40.0~99.5質量%、好ましくは40.0~98.0質量%、より好ましくは90~99質量%である。特に、ブチルアクリレートの含有量が40~98質量%である場合、良好な曲面貼付性と良好な接着力とを両立することができるために好ましい。
他の単量体としては、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、アマイド結合を有するエチレン性不飽和単量体、スチレン系不飽和単量体、およびビニル化合物等が挙げられる。
カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。中でも、エマルションの安定性の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
エチレン性不飽和単量体混合物(AML)中のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量は、好ましくは0.5~2.0質量%である。含有量がこの範囲内にあることで、合成時の凝集物の発生が抑制され、中和後のハンドリングの良好なエマルションが得られやすい。
紙等の被着体に対して感圧式接着シートを貼付した状態での経時劣化を抑制する観点から、エチレン性不飽和単量体混合物(AML)中の酸基を有する1種以上の単量体の総量は、好ましくは1.0質量%以下である。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
エチレン性不飽和単量体混合物(AML)が水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を含む場合、エチレン性不飽和単量体混合物(AML)中の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量は、好ましくは2~10質量%、より好ましくは3質量%以上6質量%未満である。この場合、曲面貼付性をより向上することができる。
アマイド結合を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、およびジアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
スチレン系不飽和単量体としては、例えば、スチレン;2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-エチルスチレン、及び4-tert-ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレン;α-メチルスチレン、及び4-メチル-α-メチルスチレン等のα-アルキル置換スチレン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外のその他のエチレン性不飽和単量体を用いることができる。その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、およびクロロプレン等が挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
<乳化剤>
第1のアクリル系エマルション(AEL)の合成に用いる乳化剤としては、公知の反応性または非反応性の乳化剤を用いることができる。乳化剤は、1種または2種以上用いることができる。
反応性乳化剤の例示は、以下の通りである。
アニオン系乳化剤としては、ノニルフェニル骨格のアニオン系乳化剤(ADEKA社製「アデカリアソープSE-10N」、および第一工業製薬社製「アクアロンHS-10、HS-20」等)、長鎖アルキル骨格のアニオン系乳化剤(第一工業製薬社製「アクアロンKH-05、KH-10」、およびADEKA社製「アデカリアソープSR-10N」等)、燐酸エステル骨格のアニオン系乳化剤(日本化薬社製「KAYARAD」等)が例示できる。
ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、およびグリセリン高級脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらノニオン系乳化剤は、分子の末端あるいは中間部に不飽和二重結合を有し、単量体と共重合可能なものである。市販のノニオン系乳化剤としては、ADEKA社製「アデカリアソープNE-10」、第一工業製薬社製「アクアロンRN-10、RN -20、RN-50」、および日本乳化剤社製「アントックスNA-16」等が例示できる。
非反応性乳化剤の例示は、以下の通りである。
アニオン系乳化剤としては、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類等が例示できる。
ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類等が例示できる。
<重合開始剤>
第1のアクリル系エマルション(AEL)の合成に用いる重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;アゾビス系カチオン塩;水酸基付加物質等の水溶性の熱分解型重合触媒;レドックス系重合触媒を用いることができる。
レドックス系重合触媒としては、例えば、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、およびクメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、ロンガリットおよび/またはメタ重亜硫酸ナトリウム等の還元剤との組合せ;過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム等の過酸化物と、ロンガリットおよび/またはチオ硫酸ナトリウム等との組合せ;過酸化水素水とアスコルビン酸との組合せ等が挙げられる。
<連鎖移動剤>
第1のアクリル系エマルション(AEL)の合成には、第1のアクリル系共重合体(APL)の分子量および/または分子量分布を制御するために、メルカプタン系、チオグリコール系、およびβ-メルカプトプロピオン酸等のチオール系化合物等の連鎖移動剤を用いることができる。その使用量は、エチレン性不飽和単量体混合物(AML)100質量部に対して、好ましくは0.01~1.0質量部である。
(第1のアクリル系エマルション(AEL)の製造方法)
ガラス転移温度(Tg)が-70~-40℃である第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)は、複数種のエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物(AML)を乳化重合することで得られる(工程(1))。
乳化重合では、複数種のエチレン性不飽和単量体の混合物を、乳化剤および重合開始剤を用い、水性媒体中で重合する。
まず、複数種のエチレン性不飽和単量体を混合し、均一な単量体混合溶液(エチレン性不飽和単量体混合物(AML))を得る。必要に応じて、この混合溶液に水および乳化剤の一部または全量を加えて混合して、乳化液を得てもよい。
上記の混合溶液(エチレン性不飽和単量体混合物(AML))またはこれを含む乳化液を重合の原料液として用い、重合開始剤の存在下で重合を行う。この際、原料液の全量を反応容器に仕込んで重合を開始してもよいし、原料液の一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後に残りの原料液を1回でまたは複数回に分けて添加してもよいし、原料液の一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後に残りの原料液を連続滴下してもよいし、あらかじめ水の一部または全量および必要に応じて乳化剤の一部または全量を反応容器に仕込んでおき、原料液の全量を連続滴下してもよい。
原料液として単量体混合溶液(エチレン性不飽和単量体混合物(AML))を用いる場合には、あらかじめ反応容器に乳化剤の全量および水の一部または全量を仕込んでおくことが好ましい。
重合開始剤は、あらかじめ全量を反応容器に仕込んでおいてもよいし、昇温後に全量を添加してもよいし、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後に残りを1回でまたは複数回に分けて添加してもよいし、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後に残りを連続滴下してもよいし、全量を連続滴下してもよい。
重合開始剤を分割添加または連続滴下する場合には、重合開始剤単独で反応容器内に分割添加または連続滴下してもよいし、原料液と混合した状態で分割添加または連続滴下してもよい。なお、上記手法により重合開始剤を添加した後、反応率を高める目的で、さらに1回または2回以上重合開始剤を追加添加してもよい。
重合時には、pH調整のため、pH緩衝剤を使用してもよい。
カルボキシ基を有する単量体を使用する場合、得られた共重合体に含まれるカルボキシ基の一部または全部を、アンモニア、有機アミン、水酸化カリウム、クエン酸ナトリウム、および水酸化ナトリウム等の塩基性化合物を用いて中和してもよい。
(第2のアクリル系エマルション(AEH))
第2のアクリル系エマルション(AEH)は、ガラス転移温度(Tg)が相対的に高い第2のアクリル系共重合体(APH)を含むエマルションである。第2のアクリル系共重合体(APH)のTgは、60~120℃である。第2のアクリル系エマルション(AEH)は、1種または2種以上用いることができる。
第2のアクリル系共重合体(APH)は、乳化剤および粘着付与樹脂(TF)の存在下で、複数種のエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物(AMH)を乳化重合して得られる。
エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)100質量部に対する粘着付与樹脂(TF)の使用量は特に制限されず、好ましくは10~60質量部である。
第2のアクリル系共重合体(APH)のTgが60~120℃となるように、原料の複数種のエチレ
ン性不飽和単量体を選択し、重合条件を決定する。第2のアクリル系共重合体(APH)のTgが上記範囲にあることで、良好な接着力・曲面貼付性と良好な保持力との両立が可能となる。Tgは、より好ましくは80~115℃、特に好ましくは90~110℃である。
<エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)>
第2のアクリル系エマルション(AEH)は、エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)の乳化重合物である。
エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)は、直鎖または分岐鎖のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含み、必要に応じて、1種以上の他の単量体を含むことができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび他の単量体の例示は、エチレン性不飽和単量体混合物(AML)と同様である。
エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、好ましくは80.0~99.5質量%、好ましくは90.0~99.0質量%、より好ましくは97.0~98.5質量%である。
エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)は、メチルメタクリレート(MMA)を含むことが好ましく、メチルメタクリレート(MMA)とアクリル酸(AA)とを含むことがより好ましい。
エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)中のメチルメタクリレート(MMA)の含有量が80質量%以上である場合、粘着付与樹脂(TF)の溶解、並びに、感圧式接着シートの曲面貼付性の向上と高温環境下における凝集力(高温保持力)の向上が容易となり、好ましい。
エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を含む場合、エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)100質量%中のカルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体の含有量は、好ましくは0.5~5.0質量%、より好ましく1.0~3.0質量%である。使用量がこの範囲内にあることで、合成時の凝集物の発生が抑制され、中和後のハンドリングの良好なエマルションが得られやすい。
<粘着付与樹脂(TF)>
粘着付与樹脂(TF)としては、エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)中に溶解または分散するものを用いることができる。粘着付与樹脂(TF)としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、および芳香族系炭化水素樹脂等が挙げられる。
中でも、曲面貼付性向上の観点から、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、および芳香族系炭化水素樹脂が好ましく、ロジン系樹脂がより好ましく、重合ロジンエステル樹脂が特に好ましい。ロジン系樹脂としては、例えば、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、および不均化ロジンエステル等が挙げられる。テルペン系樹脂としては、例えば、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、およびテルペンフェノール樹脂等が挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂としては、例えば、スチレンおよびαメチルスチレンの共重合体等が挙げられる。粘着付与樹脂(TF)は、1種または2種以上用いることができる。
接着力および曲面貼付性の観点から、粘着付与樹脂(TF)としては、軟化点が100℃以上であるものが好ましく、120℃以上であるものがより好ましく、130℃以上であるものが特に好ましく、150℃以上であるものが最も好ましい。
市販の粘着付与樹脂(TF)としては、例えば、軟化点125℃の重合ロジンエステルであるペンセルD-125(荒川化学工業社製)、軟化点160℃の重合ロジンエステルであるペンセルD-160(荒川化学工業社製)、軟化点100℃のロジンエステルであるPINEREZ2410(LAWTER社製)、軟化点115℃のテルペン樹脂であるYSレジンPX1150(ヤスハラケミカル社製)、および軟化点160℃のテルペンフェノール樹脂であるYSポリスターT160(ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。
粘着付与樹脂(TF)は、公知方法により合成して用いてもよい(後記[実施例]の項の製造例21~25を参照されたい。)。
接着力および曲面貼付性の観点から、粘着付与樹脂(TF)としては、軟化点130℃以上のロジン系樹脂が好ましく、軟化点130℃以上の重合ロジンエステル樹脂が特に好ましい。
下記式(1)で表される温度差(Td)(第2のアクリル系共重合体(APH)のガラス転移温度(Tg)と粘着付与樹脂(TF)の軟化点との温度差の絶対値)は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。この温度差が100℃以下であることで、良好な曲面貼付性・高い接着力と保持力とを効果的に両立することができる。
第2のアクリル系共重合体(APH)のTgと粘着付与樹脂(TF)の軟化点は、どちらが高くてもよい。粘着付与樹脂(TF)の軟化点が第2のアクリル系共重合体(APH)のTgよりも高いことが好ましく、その場合、良好な曲面貼付性・高い接着力と保持力とをより効果的に両立することができる。
式(1):
[温度差(Td)(℃)]=|[第2のアクリル系共重合体(APH)のTg(℃)]-[粘着付与樹脂(TF)の軟化点(℃)]|
(第2のアクリル系エマルション(AEH)の製造方法)
ガラス転移温度(Tg)が60~120℃である第2のアクリル系共重合体(APH)を含む第2のアクリル系エマルション(AEH)は、乳化剤および粘着付与樹脂(TF)の存在下で、複数種のエチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体混合物(AMH)を乳化重合することで得られる(工程(2))。
粘着付与樹脂(TF)の使用量は特に制限されず、エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)100質量部に対して、好ましくは10~60質量部である。下限値は、より好ましくは20質量部、特に好ましくは30質量部である。上限値は、より好ましくは50質量部である。使用量がこの範囲にあることで、良好な接着力・曲面貼付性と保持力とを両立することができ、かつ、エマルション合成時の凝集物の発生を抑えることができる。
工程(2)は、
エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)中に粘着付与樹脂(TF)を溶解させる工程(2-a)と、
得られた混合溶液を、乳化剤および水の存在下で強制乳化させて、乳化物を得る工程(2-b)と、
得られた乳化物を乳化重合する工程(2-c)とを含むことが好ましい。
工程(2-a)~(2-c)を含む工程(2)は、重合時の凝集物の発生を抑える点、および、重合時に粘着付与樹脂(TF)を溶解させるための有機溶剤を使用しなくてよい点で、好ましい。
カルボキシ基を有する単量体を使用する場合、工程(2)はさらに必要に応じて、工程(2-c)で得られた共重合体に含まれるカルボキシ基の一部または全部を、アンモニア、有機アミン、水酸化カリウム、クエン酸ナトリウム、および水酸化ナトリウム等の塩基性化合物を用いて中和する工程(2-d)を含むことができる。
乳化重合に用いて好適な乳化剤、重合開始剤、および連鎖移動剤の例示は、第1のアクリル系エマルション(AEL)と同様である。
工程(2-b)で得られる乳化物は、複数のエチレン性不飽和単量体と粘着付与樹脂(TF)と界面活性剤と水とを含む。この乳化物に含まれる油溶成分の平均粒子径は特に制限されず、エマルション合成時の凝集物の生成の抑制、および、エマルションの放置安定性の観点から、好ましくは0.3~2.0μm、より好ましくは0.4~1.5μm、特に好ましくは0.5~1.2μmである。油溶成分の平均粒子径が0.3μm未満の場合は、乳化物の粘度が高くなりすぎ、強制乳化に必要なエネルギーおよび時間が多くなり生産性が低下する恐れがある。油溶成分の平均粒子径が2.0μmを超える場合は、エマルション合成時に凝集物の発生を招く恐れがある。
本明細書において、特に断りのない限り「乳化物の油溶成分の平均粒子径」は、水中での油滴径を動的光散乱法で測定した場合の累積体積平均径であり、例えば、日機装社製マイクロトラックUPA粒度分布計で測定された平均粒径値(メディアン径 D50)である。
強制乳化に用いる乳化機としては、回転型連続乳化機、コロイドミル型乳化機、高圧ホモジナイザー型乳化機、および超音波処理型乳化機等の公知の乳化機が使用できる。中でも、回転型連続乳化機の1種である回転子/固定子型高速回転連続型乳化機が、油溶成分の平均粒子径が好適な乳化物を得やすく、メンテナンスが容易で、単位時間あたりの処理量が多いことから、好ましい。
工程(2-c)で行う乳化重合の手法としては、第1のアクリル系エマルション(AEL)の乳化重合と同様の手法を用いることができる。工程(2-b)において、単量体混合物と粘着付与樹脂(TF)との乳化物に含まれる油溶成分の平均粒子径(メディアン径)を調整することで、より水性接着剤の性能に優れたエマルションが得られる。
第2のアクリル系エマルション(AEH)の製造に使用される乳化剤の使用量(ここで言う使用量は、有効成分量である。)は、エチレン性不飽和単量体混合物(AMH)と粘着付与樹脂(TF)との合計100質量部に対して、好ましくは1.0~4.0質量部、より好ましくは1.5~3.5質量部である。乳化剤の使用量が1.0質量部以上であることにより、エマルション製造時の凝集物の発生を抑制することができ、4.0質量部以下であることにより、感圧式接着シートの曲面貼付性がより良化する。
(水性感圧式接着剤の製造方法)
水性感圧式接着剤の製造方法は、
上記工程(1)と、
上記工程(2)と、
工程(1)で得られた第1のアクリル系エマルション(AEL)と、工程(2)で得られた第2のアクリル系エマルション(AEH)とを混合する工程(3)とを有する。
第1のアクリル系エマルション(AEL)と第2のアクリル系エマルション(AEH)との混合前、混合時、または混合後に、各種添加剤を添加してもよい。添加剤としては、レベリング剤、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、粘着力調整のための粘着付与剤、可塑剤、充填剤、着色剤、およびシランカップリング剤等が挙げられる。
後添加の粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、フェノール樹脂、ポリテルペン、アセチレン樹脂、石油系炭化水素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、合成ゴム、および天然ゴム等が挙げられる。
共重合体の分散粒子間で架橋させるため、任意の架橋剤を配合してもよい。
例えば、第1のアクリル系エマルション(AEL)または第2のアクリル系エマルション(AEH)の原料単量体として水酸基を有する単量体を用いた場合、架橋剤として、イソシアネート化合物;チタンおよびジルコニウム等のアルコキシド化合物等を用いることができる。
第1のアクリル系エマルション(AEL)または第2のアクリル系エマルション(AEH)の原料単量体としてカルボニル基を有する単量体を用いた場合、架橋剤として、アミン類およびヒドラジド化合物等を用いることができる。
第1のアクリル系エマルション(AEL)または第2のアクリル系エマルション(AEH)の原料単量体としてカルボキシ基を有する単量体を用いた場合、架橋剤として、カルボジイミド化合物;エポキシ化合物;アジリジン化合物;酸化亜鉛等の金属化合物を用いることができる。
[感圧式接着シート]
本発明の感圧式接着シートは、上記の本発明の水性感圧式接着剤の乾燥物からなる感圧式接着層を有する。感圧式接着層は、本発明の水性感圧式接着剤を、基材または剥離ライナー上に塗工し、乾燥させることにより、形成することができる。
基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびエチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、およびセロハン等の樹脂材料からなる樹脂フィルム;天然ゴムおよびブチルゴム等からなるゴムシート;ポリウレタン、ポリクロロプレンゴム、およびポリエチレン等を発泡させた発泡体シート;クラフト紙、クレープ紙、および和紙等の紙;綿布およびスフ布等の布;セルロース系不織布、ポリエステル不織布、およびビニロン不織布等の不織布;アルミニウム箔および銅箔等の金属箔;これらの複合材等が挙げられる。
このようなシート状の基材の片面または両面には、下塗剤の塗布およびコロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。基材の厚みは用途等に応じて適宜選択でき、一般的には10~500μm、典型的には10~200μmである。
剥離ライナー(剥離性シートまたはセパレータとも言う。)としては、公知のものを用いることができ、基材の少なくとも一方の面を、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂等の剥離剤で処理したものが好ましい。基材としては、例えば、グラシン紙、クラフト紙、およびクレーコート紙等の紙に対して、ポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネート、またはポリビニルアルコールおよびアクリル系ポリマー等の樹脂をコートした紙/樹脂複合材が好ましい。
塗工装置としては、コンマコーター、リバースコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアチャンバーコーター、およびカーテンコーター等の各種公知のコーティング装置を用いることができる。
乾燥温度は特に制限されず、好ましくは80~120℃である。乾燥温度が80℃未満では、乾燥が遅く、乾燥に長時間を要する。120℃よりも高温で乾燥すると、基材または剥離ライナーの熱劣化が生じる恐れがあり、好ましくない。
以上説明したように、本発明によれば、各種被着体に対する高い接着力と、良好な曲面貼付性と、高温環境下における高い凝集力(高温保持力)と、低温環境下における高い接着力とを有する水性感圧式接着剤とその製造方法、およびこれを用いた感圧式接着シートを提供することができる。
本発明の水性感圧式接着剤を用いて形成された感圧式接着層を含む感圧式接着シートは、被着体に貼付後、高温環境下でも、被着体と感圧式接着シートとの間の位置ズレ等の接着不良を抑制することができる。この感圧式接着シートは、曲面形状を有する被着体、および、一般的に接着が難しいポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体に対しても、良好な接着力を有することができる。この感圧式接着シートは、低温環境下でも、一般的に接着が難しいポリオレフィン系樹脂等の低極性被着体に対しても、良好な接着力を有することができる。
本発明に係る実施例、および比較例について説明する。特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ示す。水および溶剤以外の成分の配合量は、不揮発分換算値である。「RH」は、相対湿度を示す。
乳化物の油溶成分の平均粒子径の測定方法、アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)の計算方法、粘着付与樹脂(TF)の重量平均分子量(Mw)の測定方法、および粘着付与樹脂(TF)の軟化点の測定方法は、以下の通りである。
[乳化物の油溶成分の平均粒子径]
乳化物の油溶成分の平均粒子径として、水中での油滴径を動的光散乱法で測定した場合の累積体積平均径を測定した。日機装社製マイクロトラックUPA粒度分布計を用いて、平均粒径値(メディアン径 D50)を求めた。
[アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)]
アクリル系共重合体のTgは、各原料単量体の単独重合体のTgを基に、FOXの式により理論的に算出した。計算に用いた各種単独重合体のTgを下記に示す。
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)の単独重合体:-70℃、
ブチルアクリレート(BA)の単独重合体:-54℃、
メチルメタクリレート(MMA)の単独重合体:105℃、
アクリル酸(AA)の単独重合体:106℃、
メタクリル酸(MAA)の単独共重合体:130℃。
[粘着付与樹脂(TF)の重量平均分子量(Mw)]
粘着付与樹脂(TF)のMwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定した。GPCは、溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィである。標準ポリスチレンを用いた換算により、Mwを決定した。測定条件は、以下の通りである。
装置名:島津製作所製、LC-GPCシステム「Prominence」、
カラム:東ソー(株)製「GMHXL」を4本と東ソー(株)製「HXL-H」を1本とを直列に繋いだもの、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流量:1.0ml/min、
カラム温度:40℃。
[粘着付与樹脂(TF)の軟化点]
粘着付与樹脂(TF)の軟化点は、JIS K 2425に準拠して、環球法により測定した。
[製造例11](第1のアクリル系エマルション(AEL-1)の製造)
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)32.0部と、ブチルアクリレート(BA)64.0部と、メチルメタクリレート(MMA)3.1部と、アクリル酸(AA)0.9部と、連鎖移動剤としてチオグリコール酸オクチル0.09部と、アニオン性乳化剤としてアクアロンKH-10(第一工業製薬製)1.2部をイオン交換水4.8部に溶解させたものと、イオン交換水13.5部とを撹拌混合し、乳化物を得た。これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計、および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、イオン交換水31.5部を仕込み、フラスコ内部の空気を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を82℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を2.1部添加した。10分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して3%過硫酸カリウム水溶液6.3部を別の滴下ロートから5時間かけて滴下した。
内温を76℃に保ったまま、さらに撹拌しながら2時間熟成した後に冷却し、アンモニア水を用いて中和し、固形分62%の第1のアクリル系共重合体(APL-1)のエマルション(第1のアクリル系エマルション(AEL-1))を得た。第1のアクリル系共重合体(APL-1)のTgは-51.5℃であった。第1のアクリル系共重合体(APL-1)の単量体組成とTgを表1に示す。
[製造例12、13](第1のアクリル系エマルション(AEL-2)、(AEL-3)の製造)
単量体組成を変更した以外は、製造例11と同様の方法にて、固形分62%の第1のアクリル系共重合体(APL)のエマルション(第1のアクリル系エマルション(AEL))を得た。第1のアクリル系共重合体(APL)の主な原料組成とTgを表1に示す。表1の各製造例において、表に不記載の条件は共通条件とした。
Figure 0007468110000001
[製造例21](粘着付与樹脂(TF-1)の製造)
(粘着付与樹脂(TF-1)の製造)
<重合反応工程>
温度計、攪拌機、窒素導入管、および減圧装置を備えた反応装置に、ガムロジン1000部、キシレン1000部、および重合触媒として塩化亜鉛50部を仕込み、140℃で7時間、重合反応を行った。反応生成物のキシレン溶液を温水で洗浄した後、濃塩酸10部および温水700部を加えて洗浄した。さらに500部の温水を用いた洗浄を2回実施した後、液温200℃未満、減圧度1300Paの条件下でキシレンを留去した。さらに液温200~275℃、減圧度400Paの条件下でガムロジンの分解物および未反応ロジンを留去して、重合ロジン(R-1)を得た。
<エステル化反応工程>
温度計、攪拌機、窒素導入管、および減圧装置を備えた反応装置に、重合ロジン(R-1)500部およびペンタエリスリトール60部を仕込み、窒素気流下にて250℃で2時間反応させ、さらに270℃で10時間、エステル化反応を行い、粘着付与樹脂(TF-1)(重合ロジンエステル)を得た。得られた粘着付与樹脂は、軟化点が158℃、Mwが3200であった。エステル化反応の原料組成と、粘着付与樹脂(TF)の軟化点およびMwを表2に示す。
[製造例22~25](粘着付与樹脂(TF-2)~(TF-5)の製造)
エステル化反応工程の原料組成を変更した以外は、製造例21と同様の方法にて、粘着付与樹脂(TF-2)~(TF-5)(いずれも重合ロジンエステル)を得た。エステル化反応の原料組成と、粘着付与樹脂(TF)の軟化点およびMwを表2に示す。表2の各製造例において、表に不記載の条件は共通条件とした。
Figure 0007468110000002
[市販の粘着付与樹脂(TF)]
用意した市販の粘着付与樹脂(TF)は、以下の通りである。
(TF-6)ヤスハラケミカル製「YSポリスターT-160」、テルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂)、軟化点160℃、
(TF-7)三井化学製「FTR-6100」、芳香族系炭化水素樹脂(スチレン系・脂肪族モノマー共重合体)、軟化点95℃。
用意した市販の粘着付与樹脂(TF)のリストを表3に示しておく。
Figure 0007468110000003
[製造例31](第2のアクリル系エマルション(AEH-1)の製造)
メチルメタクリレート(MMA)98部およびアクリル酸(AA)2部の混合物に、粘着付与樹脂(TF-1)を40部溶解させた。これに、アニオン系乳化剤としてニューコール707SF(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩の水溶液、有効成分30%、日本乳化剤社製)14.0部、およびイオン交換水29.7部を加え、撹拌混合して、乳化物を得た。さらに、回転子/固定子としてスリット式ユニットを使用したキャビトロンCD1010型(株式会社ユーロテック製)を用いて、強制乳化させて、油溶成分の平均粒子径(メディアン径)が0.6μmの乳化物を得た。これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計、および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、脱イオン水22.4部を仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、7.4%過硫酸アンモニウム水溶液を1.1部添加した。5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して7.4%過硫酸アンモニウム水溶液2.7部を別の滴下ロートから3時間かけて滴下した。内温を80℃に保ったまま、さらに撹拌しながら76℃にて4時間熟成した後に冷却し、アンモニア水を用いて中和して、固形分60%の第2のアクリル系共重合体(APH-1)のエマルション(第2のアクリル系エマルション(AEH-1))を得た。第2のアクリル系共重合体(APH-1)のTgは105℃であった。第2のアクリル系共重合体(APH-1)の主な原料組成とTgを表4-1に示す。
[製造例32~41](第2のアクリル系エマルション(AEH-2)~(AEH-11)の製造)
原料組成を変更した以外は、製造例31と同様の方法にて、固形分60%の第2のアクリル系共重合体(APH)のエマルション(第2のアクリル系エマルション(AEH))を得た。第2のアクリル系共重合体(APH)の主な原料組成とTgを表4-1、表4-2に示す。表4-1および表4-2の各製造例において、表に不記載の条件は共通条件とした。
Figure 0007468110000004
Figure 0007468110000005
(実施例1)
<水性感圧式接着剤の作製>
第1のアクリル系共重合体(APL-1)と第2のアクリル系共重合体(APH-1)との質量比が90.6:9.4になるように、第1のアクリル系エマルション(AEL-1)と第2のアクリル系エマルション(AEH-1)とを撹拌混合した。この混合物に対してアンモニア水を添加して、pHを8.5に調整した。これに、消泡剤、レベリング剤、および防腐剤を加え、さらに粘度調整剤を添加して、粘度を4000mPa・s(BL型粘度計、#4ローター使用、60rpmの条件で測定)に調整し、水性感圧式接着剤を得た。
<感圧式接着シートの作製>
コンマコーターを用いて、得られた水性感圧式接着剤を剥離紙上に、乾燥後の膜の質量が16g/mとなるように塗工し、105℃の乾燥オーブンを用いて60秒間乾燥し、この上に上質紙(60g/m)を貼り合わせ、得られた感圧式接着シートを巻き取った。幅25mm、長さ100mmの感圧式接着シートを準備し、後記評価に供した。感圧式接着シートの長さ方向は、製造時のシートの流れ方向に合わせた。
水性感圧式接着剤の主な配合組成と感圧式接着シートの評価結果を表5-1に示す。表5-1、表5-2、表6-1、および表6-2において、非記載の条件は共通条件とした。
(実施例2~12、比較例1、比較例5~8)
実施例2~12、比較例1、および比較例5~8の各例では、表5-1、表5-2、表6-1、および表6-2に示すように、第1のアクリル系共重合体(APL)と第2のアクリル系共重合体(APH)の種類と配合比を変更した以外は、実施例1と同様にして、水性感圧式接着剤および感圧式接着シートを作製し、評価した。主な配合組成と評価結果を表5-1、表5-2、表6-1、および表6-2に示す。
(比較例2~4)
比較例2では、第1のアクリル系エマルション(AEL-1)と第2のアクリル系エマルション(AEH-1)の代わりに、第1のアクリル系エマルション(AEL-1)と市販の下記の粘着付与樹脂の水分散体とを表6-1に示す配合比で用いた以外は、実施例1と同様にして、水性感圧式接着剤および感圧式接着シートを作製し、評価した。
比較例3、4では、第1のアクリル系エマルション(AEL-1)と第2のアクリル系エマルション(AEH-1)の代わりに、第1のアクリル系エマルション(AEL-1)と粘着付与樹脂(TF)を含まない第2のアクリル系エマルション(AEH-9)と市販の下記の粘着付与樹脂の水分散体とを表6-1に示す配合比で用いた以外は、実施例1と同様にして、水性感圧式接着剤および感圧式接着シートを作製し、評価した。
主な配合組成と評価結果を表6-1に示す。
<粘着付与樹脂の水分散体>
(E-865)荒川化学製「スーパーエステル E-865」(重合ロジンエステルの水分散体、固形分50%、軟化点160℃)。
表中、「粘着付与樹脂の水分散体の配合量」は、第1のアクリル系エマルション(AEL)と第2のアクリル系エマルション(AEH)の総量100部に対する粘着付与樹脂の配合量である。
[評価項目と評価方法]
(ポリエチレン板に対する常温接着力)
23℃50%RH環境下にて、感圧式接着シートから剥離紙を剥がし、露出した感圧式接着層をポリエチレン板上に貼り付け、感圧式接着シート上で質量2kgのロ-ルを1往復させて、圧着した。その直後に接着力を測定した。この接着力を「常温接着力」と定義した。接着力は、JIS Z-0237に準拠し、剥離速度:300mm/分、剥離角180゜の条件で測定した。評価基準は以下の通りである。
常温接着力が10N/25mm以上。優良。
常温接着力が8N/25mm以上10N/25mm未満。良好。
常温接着力が6N/25mm以上8N/25mm未満。実用可。
常温接着力が6N/25mm未満。実用不可。
(ポリエチレン丸棒に対する曲面貼付性)
幅25mm、長さ100mmの感圧式接着シートから、幅20mm、長さ15mmの試験片を切り出した。試験片の長さ方向は、製造時のシートの流れ方向に合わせた。この試験片から剥離紙を剥がし、露出した感圧式接着層を、長さ30cm、直径10mmのポリエチレン製の丸棒の周囲に貼り付け、指で強く圧着した。このとき、試験片の幅方向(長手方向)とポリエチレン棒の長さ方向とを合わせた。上記試料を23℃雰囲気下にて7日間放置した後、試験片の剥離の有無を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
◎:試験片の剥離なし。優良。
〇:試験片の両端部が端から2mm未満剥離。良好。
△:試験片の少なくとも一方の端部が端から2mm以上5mm未満剥離。実用可。
×:試験片の少なくとも一方の端部が端から5mm以上剥離。実用不可。
(高温保持力)
感圧式接着シートから剥離紙を剥がした後、露出した感圧式接着層を試験板としてのステンレス板(SUS304)上に貼り付けた。このとき、貼付け領域は25mm×25mmとした。JIS Z 0237の保持力の測定法に準じて、80℃50%RHの条件下にて、試験片に1kgの荷重をかけ、24時間後の試験片の位置ズレ量(mm)を測定した。なお、試験片が落下した場合は、完全に落下するまでの時間(秒)を測定した。評価基準は以下の通りである。表には、試験片の位置ズレ量または試験片が落下するまでの時間(秒)を記載してある。
試験片の位置ズレ量が1.0mm未満。優良。
試験片の位置ズレ量が1.0mm以上5.0mm未満。良好。
試験片の位置ズレ量が5.0mm以上25.0mm未満。実用可。
試験片の位置ズレ量が25.0mm以上であり、試験片が落下。実用不可。
(ポリエチレン板に対する低温接着力)
感圧式接着シートおよび被着体としてのポリエチレン板を-10℃環境下に24時間放置した。その後、同じ温度条件下にて、感圧式接着シートから剥離紙を剥がし、露出した感圧式接着層をポリエチレン板上に貼り付け、感圧式接着シート上で質量2kgのロ-ルを1往復させて、圧着した。その直後に接着力を測定した。この接着力を「低温接着力」と定義する。接着力は、JIS Z-0237に準拠し、剥離速度:300mm/分、剥離角180゜の条件で測定した。評価基準は以下の通りである。
低温接着力が5N/25mm以上。優良。
低温接着力が4N/25mm以上5N/25mm未満。良好。
低温接着力が2N/25mm以上4N/25mm未満。実用可。
低温接着力が2N/25mm未満、実用不可。
(ヘーズ値)
コンマコーターを用いて、得られた水性感圧式接着剤を50μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥後の膜の質量が25g/mとなるように塗工し、105℃の乾燥オーブンを用いて60秒間乾燥して、感圧式接着層を形成した。得られた積層体のヘーズ値を、HAZEメーターを用いて測定した。評価基準は以下の通りである。
ヘーズ値が6.0以上10.0以下、感圧式接着層に相分離が顕著に見られる。
ヘーズ値が5.0以上6.0未満、感圧式接着層に相分離が見られる。
ヘーズ値が5.0未満、感圧式接着層に相分離が明確に見られない。
Figure 0007468110000006
Figure 0007468110000007
Figure 0007468110000008
Figure 0007468110000009
[結果のまとめ]
実施例1~12では、
Tgが-70~-40℃である第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)と、
Tgが60~120℃である第2のアクリル系共重合体(APH)と軟化点が130℃以上のロジン系樹脂である粘着付与樹脂(TF)とを含む第2のアクリル系エマルション(AEH)とを配合して、水性感圧式接着剤を製造した。
実施例1~12では、得られた水性感圧式接着剤を用いて、感圧式接着シートを製造した。
実施例1~12で得られた感圧式接着シートはいずれも、常温接着力、曲面貼付性、高温保持力、および低温接着力が良好であった。これら実施例で得られた感圧式接着シートはいずれも、曲面形状を有する被着体、および接着が難しいポリオレフィン被着体に対しても、良好な接着力を有することが確認できた。これら実施例で得られた感圧式接着シートはいずれも、接着が難しいポリオレフィン被着体に対して、-10℃の低温でも、良好な接着力を有することが確認できた。
実施例1~12の水性感圧式接着剤では、第1のアクリル系共重合体(APL)と第2のアクリル系共重合体(APH)との総量100質量部に対して、粘着付与樹脂(TF)の含有量は1.0質量部以上5.5質量部未満とした。粘着付与樹脂(TF)の含有量が少量でも、良好な結果が得られた。
実施例1~12ではいずれも、50μm厚のPETフィルム上に、乾燥質量25g/mの条件で水性感圧式接着剤を塗工および乾燥して得られる積層体のヘーズ値が5.0~10.0であり、感圧式接着層の相分離状態が良好であった。走査型プローブ顕微鏡観察を実施したところ、Tgが低く相対的に柔らかい第1のアクリル系共重合体(APL)を含むマトリクス相(海相)の中に、Tgが高く相対的に硬い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂(TF)とを含む相分離ドメイン(島相)が複数形成されている様子が確認された。代表として、実施例1の感圧式接着層の走査型プローブ顕微鏡写真を図1に示す。
粘着付与樹脂を使用しなかった比較例1で得られた感圧式接着シートは、常温接着力、曲面貼付性、および低温接着力が不良であった。
第2のアクリル系エマルション(AEH)を使用せず、第1のアクリル系エマルション(AEL)と粘着付与樹脂の水分散体とを配合した比較例2で得られた感圧式接着シートは、常温接着力および高温保持力が不良であった。
比較例2では、50μm厚のPETフィルム上に、乾燥質量25g/mの条件で水性感圧式接着剤を塗工および乾燥して得られる積層体のヘーズ値が5.0未満であり、走査型プローブ顕微鏡観察を実施したが、感圧式接着層の相分離が明確に見られなかった。比較例2の感圧式接着層の走査型プローブ顕微鏡写真を図2に示す。
第1のアクリル系エマルション(AEL)と、粘着付与樹脂を含まない第2のアクリル系エマルション(AEH)と、粘着付与樹脂の水分散体とを配合した比較例3で得られた感圧式接着シートは、常温接着力が不良であった。
比較例3では、50μm厚のPETフィルム上に、乾燥質量25g/mの条件で水性感圧式接着剤を塗工および乾燥して得られる積層体のヘーズ値が5.0未満であり、走査型プローブ顕微鏡観察を実施したが、感圧式接着層の相分離が明確に見られなかった(比較例2と同様)。
比較例4では、比較例3に対して粘着付与樹脂の水分散体の添加量を多くすることで、常温接着力と曲面貼付性を向上できたが、高温保持力と低温接着力が不良となった。
Tgが60℃未満の第2のアクリル系共重合体(APH)を用いた比較例5で得られた感圧式接着シートは、曲面貼付性と高温保持力が不良であった。
比較例5では、50μm厚のPETフィルム上に、乾燥質量25g/mの条件で水性感圧式接着剤を塗工および乾燥して得られる積層体のヘーズ値が5.0未満であり、走査型プローブ顕微鏡観察を実施したが、感圧式接着層の相分離が明確に見られなかった(比較例2と同様)。
軟化点が130℃未満の粘着付与樹脂(TF)を含む第2のアクリル系エマルション(AEH)を用いた比較例6では、ポリオレフィン被着体に対する接着力が不良であった。
非ロジン系の粘着付与樹脂(TF)を含む第2のアクリル系エマルション(AEH)を用いた比較例7、8で得られた感圧式接着シートは、曲面貼付性が不良であった。
本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。

Claims (11)

  1. ガラス転移温度が相対的に低い第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)と、
    ガラス転移温度が相対的に高い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂とを含む第2のアクリル系エマルション(AEH)とを含む水性感圧式接着剤であって、
    第1のアクリル系共重合体(APL)のガラス転移温度が-70~-40℃であり、
    第2のアクリル系共重合体(APH)のガラス転移温度が80~120℃であり、
    前記粘着付与樹脂は、軟化点が150℃以上のロジン系樹脂であり
    第1のアクリル系共重合体(APL)と第2のアクリル系共重合体(APH)との総量100質量部に対して、前記粘着付与樹脂の含有量が2.1~5.3質量部である、水性感圧式接着剤。
  2. 第1のアクリル系共重合体(APL)と第2のアクリル系共重合体(APH)との総量100質量部に対して、第1のアクリル系共重合体(APL)の含有量が80~95質量部であり、第2のアクリル系共重合体(APH)の含有量が20~5質量部である、請求項1に記載の水性感圧式接着剤。
  3. 第2のアクリル系共重合体(APH)のガラス転移温度が105~120℃である、請求項1または2に記載の水性感圧式接着剤。
  4. 前記粘着付与樹脂の軟化点が150~165℃である、請求項1~3のいずれか1項に記載の水性感圧式接着剤。
  5. 前記粘着付与樹脂の重量平均分子量が1700~4500である、請求項1~4のいずれか1項に記載の水性感圧式接着剤。
  6. 50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥質量25g/mの条件で前記水性感圧式接着剤を塗工および乾燥して得られる積層体のヘーズ値が5.0~10.0である、請求項1~5のいずれか1項に記載の水性感圧式接着剤。
  7. 第2のアクリル系共重合体(APH)と前記粘着付与樹脂とを含む相分離ドメインを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の水性感圧式接着剤。
  8. 第2のアクリル系エマルション(APH)は、複数のエチレン性不飽和単量体と前記粘着付与樹脂と界面活性剤と水とを含み、油溶成分の平均粒子径が0.3~2.0μmである乳化物の乳化重合物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の水性感圧式接着剤。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の水性感圧式接着剤の乾燥物からなる感圧式接着層を有する、感圧式接着シート。
  10. ガラス転移温度が相対的に低い第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)と、
    ガラス転移温度が相対的に高い第2のアクリル系共重合体(APH)と粘着付与樹脂とを含む第2のアクリル系エマルション(AEH)とを含む水性感圧式接着剤の製造方法であって、
    複数種のエチレン性不飽和単量体を乳化重合して、ガラス転移温度が-70~-40℃である第1のアクリル系共重合体(APL)を含む第1のアクリル系エマルション(AEL)を製造する工程(1)と、
    乳化剤と、軟化点が130℃以上のロジン系樹脂である粘着付与樹脂との存在下で、複数種のエチレン性不飽和単量体を乳化重合して、ガラス転移温度が60~120℃である第2のアクリル系共重合体(APH)を含む第2のアクリル系エマルション(AEH)を製造する工程(2)と、
    第1のアクリル系エマルション(AEL)と第2のアクリル系エマルション(AEH)とを混合する工程(3)とを有する、水性感圧式接着剤の製造方法。
  11. 工程(2)は、
    前記複数種のエチレン性不飽和単量体中に前記粘着付与樹脂を溶解させる工程(2-a)と、
    工程(2-a)で得られた混合溶液を、乳化剤および水の存在下で強制乳化させて、油溶成分の平均粒子径が0.3~2.0μmである乳化物を得る工程(2-b)と、
    前記乳化物を乳化重合する工程(2-c)とを含む、
    請求項10に記載の水性感圧式接着剤の製造方法。
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