JP2006016517A - 水性粘着剤組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%及び該単量体(a)と共重合可能な他の単量体(b)を含むラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体を、乳化剤、重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなる、Tgが90〜105℃の高Tg共重合体の水性分散体(A)と、アルキル基の炭素数が4〜14であるアルキルアクリレート(c)55〜95重量%及びカルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%を含有するラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体を、乳化剤及び重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなるTgが−75〜−45℃の低Tg共重合体の水性分散体(B)とを、(A)/(B)=1/99〜15/85(固形分重量比率)の割合にて含有する事を特徴とする水性粘着剤組成物。
【選択図】 なし
Description
さらに詳しくは、特定の組成を有する樹脂組成物水性分散体を複数組み合わせる事により得られる、上記の特徴を有する水性粘着剤組成物に関する。
さらに、本発明は、上記水性粘着剤組成物の製造方法に関する。
しかしながら水性粘着剤においては塗工後の乾燥工程においてエマルジョン粒子が融着して乾燥被膜を形成するため、溶剤型粘着剤に比べて塗膜の緻密さに欠け、特にポリオレフィン被着体に対する接着力に劣り、さらには曲面貼り付け性に劣るという欠点を有していた。
そのため塗工物に塗工されている粘着剤の接着力が十分でないと、貼り付け後ある時間経過すると被着体から自然に剥離してしまう。
また、粘着剤の接着力が十分高いにもかかわらず、粘着剤の凝集力が低すぎてしまうと、通常「凝集破壊」と言われる現象を引き起こして、基材が平坦状に戻ろうとする応力にうち勝てずに粘着剤自身がその層の途中で破断されてしまい、塗工物が被着体から剥がれてしまう。この場合には被着体側及び基材側の両方に粘着剤が残存する状態で剥離する事となる。
故に、曲面貼り付け性を良好にならしめるためには、粘着剤の接着力と凝集力という2つの物性項目が、どちらか一方に大幅に偏る事なくその両方が満足されていなければならない。
これに対し、プラスチックフィルムを基材とする場合には、このような効果を期待する事ができないので、プラスチックフィルム基材と粘着剤層間の密着性は不十分となりやすく、上記のような、被着体面上の糊残りが生じやすくなる。
しかし、上記のように水性粘着剤は、プラスチックフィルム基材に対する密着性が十分に得られにくい事も一つの大きな原因となって、これらの用途における粘着剤の溶剤型から水性型への置き換えは速やかに進行していないのが現状である。
しかし、これらの手法を用いた場合、プラスチックフィルム基材への密着性に関しては向上が認められるのであるが、粘着剤層の凝集力が低下してしまうため、凝集破壊が生じやすくなり、上で述べた理由により曲面貼り付け性は改善を見ないばかりか、塗工物を剥離する際に被着体面上に粘着剤が残存してしまうという問題も解消する事ができない。
ガラス転移温度が−75℃以上−45℃以下の共重合体を形成し得るラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体であって、アルキル基の炭素数が4〜14であるアルキルアクリレート(c)55〜95重量%及びカルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%を含有する単量体を、乳化剤及び重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなる低ガラス転移温度共重合体の水性分散体(B)とを、
(A)/(B)=1/99〜15/85(固形分重量比率)の割合にて含有する事を特徴とする水性粘着剤組成物に関し、
第2の発明は、共重合可能な他の単量体(b)として、メチルメタクリレートを必須成分として含有する事を特徴とする上記第1の発明に記載の水性粘着剤組成物に関する。
ガラス転移温度が−75℃以上−45℃以下の共重合体を形成し得るラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体であって、アルキル基の炭素数が4〜14であるアルキルアクリレート(c)55〜95重量%及びカルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%を含有する単量体を、乳化剤及び重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなる低ガラス転移温度共重合体の水性分散体(B)とを、
(A)/(B)=1/99〜15/85(固形分重量比率)の割合にて混合する事を特徴とする水性粘着剤組成物の製造方法に関し、
第4の発明は、共重合可能な単量体(b)として、メチルメタクリレートを必須成分として含有する事を特徴とする上記第3の発明に記載の水性粘着剤組成物の製造方法に関する。
本発明に用いられるラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体において、カルボキシル基含有単量体(a)としては、(メタ)アクリル酸、[アクリル酸とメタクリル酸を併せて(メタ)アクリル酸と表記する。以下同様。]、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが例示できる。
単量体(a)は、高ガラス転移温度共重合体(以下、高Tg共重合体という)を構成するラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体の合計100重量%中0.5〜5重量%含有され、単独で、または2種類以上を併用して用いる事ができる。使用量が0.5重量%より少ないと重合が不安定になりやすく、また共重合体自身の安定性も不足し、分散体粒子が沈降する等の不都合を生じやすくなる。使用量が5重量%を超えると耐水性の低下等の弊害を引き起こすため好ましくない。
アルキル基の炭素数が1〜14であるアルキル(メタ)アクリレート(b−1)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及び対応するメタクリル酸エステルなどが例示でき、これらは単独で、あるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
上記(b−1)以外の単量体としては、水酸基を含有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b−2)、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等、
またはカルボニル基を有する単量体(b−3)、例えばアクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、好ましくは4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトンなど)、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−(メタ)アクリレート−アセチルアセテート等、
さらには不飽和結合を2個以上有する単量体(b−4)、例えばフタル酸(オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)のジアリルエステル、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、
及びこれら以外の単量体(b−5)として、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ−(2−ヒドロキシルエチル−α−クロロ(メタ)アクリレート)アシッドホスフェート、ビニルブロックトイソシアネート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−トリブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレンなどが例示でき、それぞれ単独で、あるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
単量体(a)及び(b)から形成される共重合体のTgが90℃未満では、得られる粘着剤組成物の曲面貼り付け性及び粘着剤層とプラスチックフィルム基材との間の密着性向上効果が十分に得られず、105℃を超えると接着力が低下傾向となるため好ましくない。
このようなTgの共重合体を得るためには、以下の理由により、単量体(b)として、メチルメタクリレートを必須成分として含有する事が好ましい。
メチルメタクリレートは、その単独重合体のガラス転移温度が105℃である。そこでメチルメタクリレートを高Tg共重合体の主たる構成成分とし、単量体(a)以外の適当量の、低いガラス転移温度を与える単量体を併用する事により、上記高Tg共重合体を容易に得る事ができる。また、メチルメタクリレートは、重合反応において高い重合率が得られやすい単量体である。従って、粘着剤としての物性を低下せしめたり、不快な臭気の原因となる残留単量体の量を低減する事ができる。さらに、メチルメタクリレートは、安価な汎用の単量体である。
アニオン系乳化剤としてはノニルフェニル骨格の旭電化工業株式会社製「アデカリアソープSE−10N」、第一工業製薬株式会社製「アクアロンHS−10、HS−20」等、長鎖アルキル骨格の第一工業製薬株式会社製「アクアロンKH−05、KH−10」、旭電化工業株式会社製「アデカリアソープSR−10N」等、燐酸エステル骨格の日本化薬株式会社製「KAYARAD」等が例示できる。
ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類等の分子末端あるいは中間部に不飽和二重結合を有し、単量体と共重合するものであり、旭電化工業株式会社製「アデカリアソープNE−10」、第一工業製薬株式会社製「アクアロンRN−10、RN−20、RN−50」、日本乳化剤株式会社製「アントックスNA−16」等が例示できる。
アニオン系乳化剤としてはステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類等が例示できる。
ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類、オレイン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類等が例示できる。
まず本発明で使用するエチレン性不飽和単量体を混合し、均一な混合溶液とする。この混合溶液はそのままで重合に供しても良いし、水および乳化剤の一部又は全量を加えて攪拌し、乳化液とした後に重合に供しても良い。
これらの混合溶液又は乳化液を調製後、重合開始剤の存在下で重合をおこなうのであるが、その方法としては混合溶液又は乳化液を全量反応容器に仕込んで重合を開始しても良く、一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後にさらに数回に分けて分割添加しても良く、一部を反応容器に仕込んで重合を開始した後に残りを連続滴下しても良く、あるいはあらかじめ水および必要に応じて乳化剤の一部又は全量を反応容器に仕込んでおき、全量を連続滴下しても良い。混合溶液を用いて重合する場合にはあらかじめ反応容器に乳化剤の全量および水の一部又は全量を仕込んでおく事が好ましい。
重合開始剤の添加方法としては、あらかじめ全量を反応容器に仕込んでおいても良く、昇温後に全量を添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後にさらに数回に分けて分割添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後に残りを連続滴下しても良く、あるいは全量を連続滴下しても良い。重合開始剤を分割添加又は連続滴下する場合には、単独で反応容器内に分割添加又は連続滴下しても良く、混合溶液又は乳化液と混合された状態にて分割添加または連続滴下されても良い。なおこれらの手法により重合開始剤を添加した後、反応率を高める目的で1回又は2回以上重合開始剤を追加添加しても良い。
かくして本発明の高Tg共重合体の水性分散体(A)を得る事ができる。
カルボキシル基含有単量体(a)としては、高Tg共重合体の水性分散体(A)の項にて例示したものを用いる事ができ、これらは低Tg共重合体を構成するエチレン性不飽和単量体の合計100重量%中0.5〜5重量%含有され、単独で、または2種類以上を併用して用いる事ができる。使用量が0.5重量%より少ないと重合が不安定になりやすく、また重合物自身の安定性も不足し、分散体粒子が沈降する等の不都合を生じやすくなる。使用量が5重量%を超えると耐水性の低下等の弊害を引き起こすため好ましくない。
さらには高Tg共重合体の水性分散体(A)の項にて例示した、水酸基を含有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(b−2)、カルボニル基を有する単量体(b−3)、不飽和結合を2個以上有する単量体(b−4)、これら以外の単量体(b−5)などを用いる事ができ、それぞれ単独で、あるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
単量体(a)、(c)、及び必要に応じて用いる他の単量体から形成され得る共重合体のTgが−75℃未満では、得られる粘着剤組成物の凝集力が低くなるため凝集破壊を引き起こしやすくなり、−45℃を超えると接着力が低下傾向となるため好ましくない。
本発明の低Tg共重合体の水性分散体(B)を得る際に用いる重合開始剤としては、高Tg共重合体の水性分散体(A)の項にて例示したものを用いる事ができる。
低Tg共重合体の水性分散体(B)は、エチレン性不飽和単量体を重合する際に、高Tg共重合体の水性分散体(A)の項にて例示した連鎖移動剤を用いる事ができる。
エチレン性不飽和単量体を乳化剤、重合開始剤、及び水を必須成分とする水性媒体中で重合し、低Tg共重合体の水性分散体(B)を得る方法については、高Tg共重合体の水性分散体(A)の項にて説明した方法による事ができる。
かくして低Tg共重合体の水性分散体(B)を得る事ができる。
水性分散体(A)の固形分重量比率が1重量%より少ないと、粘着剤中の高Tg共重合体の含有率が少なくなり接着力及び曲面貼り付け性、さらには粘着剤層とプラスチックフィルム基材との間の密着性向上効果が十分に得られなくなる。一方、水性分散体(A)の固形分重量比率が15重量%を超えると、粘着剤中の高Tg共重合体の割合が多くなりすぎ、接着力および曲面貼り付け性が低下傾向となるため、好ましくない。
またさらに、本発明の水性粘着剤組成物中の各共重合体の分散粒子を粒子間架橋させるため、任意の架橋剤を配合しても良く、例えばエチレン性不飽和単量体成分として水酸基を有する単量体を用いた場合には、イソシアネート化合物、チタンやジルコニウムなどのアルコキシド化合物等を用いる事ができ、カルボニル基を有する単量体を用いた場合には、アミン類、ヒドラジド化合物等を用いる事ができる。
紙またはプラスチックフィルム基材上に粘着剤組成物を塗布した場合は、乾燥後に剥離性シートと貼り合わせることにより、また剥離性シート上に粘着剤組成物を塗布した場合は、乾燥後に紙またはプラスチックフィルム基材と貼りあわせることにより、どちらの手法によっても各種粘着塗工物を得ることができる。
剥離性シートは、セパレーターとも称されるものであり、紙やプラスチックフィルムの少なくとも一方の面が剥離処理されてなるものである。剥離処理剤としては従来公知のものを用いることができる。
2−エチルヘキシルアクリレート3部、メチルメタクリレート95部、アクリル酸2部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して反応性アンモニア中和型アニオン性乳化剤として第一工業製薬(株)製「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコに、脱イオン水を57部、「アクアロンKH−10」を0.1部仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.1部添加した。5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.3部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、上記乳化物および3%過硫酸カリウム水溶液滴下終了30分後に、3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.06部を2回に分けて30分おきに添加した。
さらに撹拌しながら80℃にて2時間熟成した後冷却し、固形分50%の高Tg共重合体の水性分散体(A−1)を得た。
各単量体の単独重合体のガラス転移温度として表1に示した数値を用い、FOXの式により算出した(A−1)中の共重合体のガラス転移温度は94℃であった。
ブチルアクリレート3部、メチルメタクリレート94部、メタクリル酸3部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして高Tg共重合体の水性分散体(A−2)を得た。(A−2)中の共重合体のガラス転移温度は98℃であった。
エチルメタクリレート6部、メチルメタクリレート92部、アクリル酸2部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして高Tg共重合体の水性分散体(A−3)を得た。(A−3)中の共重合体のガラス転移温度は102℃であった。
2−エチルヘキシルアクリレート6部、メチルメタクリレート92部、アクリル酸2部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして粘着剤用樹脂組成物水性分散体(A−4)を得た。(A−4)の重合物のガラス転移温度は83℃であった。
イソボルニルメタクリレート10部、メチルメタクリレート87部、メタクリル酸3部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして高Tg共重合体の水性分散体(A−5)を得た。(A−5)中の共重合体のガラス転移温度は111℃であった。
2−エチルヘキシルアクリレート20部、ブチルアクリレート69.8部、メチルメタクリレート8部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.2部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして低Tg共重合体の水性分散体(B−1)を得た。(B−1)中の共重合体のガラス転移温度は−52℃であった。
2−エチルヘキシルアクリレート70部、ブチルアクリレート18.8部、メチルメタクリレート10部、アクリル酸1部、ジアセトンアクリルアミド0.2部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして低Tg共重合体の水性分散体(B−2)を得た。(B−2)中の共重合体のガラス転移温度は−68℃であった。
2−エチルヘキシルアクリレート97.8部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.2部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして低Tg共重合体の水性分散体(B−3)を得た。(B−3)中の共重合体のガラス転移温度は−83℃であった。
ブチルアクリレート82.8部、メチルメタクリレート15部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.2部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして低Tg共重合体の水性分散体(B−4)を得た。(B−4)中の共重合体のガラス転移温度は−37℃であった。
2−エチルヘキシルアクリレート18.81部、ブチルアクリレート64.91部、メチルメタクリレート14.09部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.19部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.5部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
以下、製造例−1と同様にして共重合体の水性分散体(C−1)を得た。(C−1)中の共重合体のガラス転移温度は−45℃であった。
高Tg共重合体の水性分散体(A)として製造例−1で得られた(A−1)を固形分として7部、及び低Tg共重合体の水性分散体(B)として製造例−6で得られた(B−1)を固形分として93部を混合した後アンモニア水にてpH=7.5に調整し、消泡剤、レベリング剤、防腐剤を加え、さらにロジン系粘着付与樹脂として荒川化学(株)製「スーパーエステルE−720」(固形分50%)を固形分として15部、および架橋剤として6%アジピン酸ジヒドラジド水溶液を固形分として0.2部加え、さらに粘度調整剤で粘度を3000mPa・s(BL型粘度計、#4ローター使用、60rpmにて測定)に調整し、水性粘着剤組成物を得た。
これをコンマコーターで剥離紙上に乾燥塗膜量が20g/m2になるように塗工し、100℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥させ、厚さ50μmのPETフィルムとラミネートして巻き取り、粘着剤塗工物を得、後述する試験方法で、粘着塗工物としての性能を評価し、その結果を表3に示した。
高Tg共重合体の水性分散体(A)及び低Tg共重合体の水性分散体(B)の種類、混合比率を表3に示すように変更した以外は実施例−1と同様にして水性粘着剤組成物を得、粘着塗工物としての性能を評価した。なお製造例−10で得られた粘着剤用樹脂組成物水性分散体(C−1)については、単独で固形分として100部を用いた以外は実施例−1と同様にして水性粘着剤組成物を得、粘着塗工物としての性能を評価した。
1)接着力
粘着剤塗工物を幅25mmの短冊状にカットし剥離紙を剥がし、表面を研磨した3cm×11cmのステンレス鋼板、及びガラス板、またポリエチレン板に貼り付け、2kgロールで1往復した後、23℃雰囲気下にて24時間放置した。所定時間経過後、23℃雰囲気下で、300mm/分の速さで塗工物を180゜方向に剥離した際の接着強度を測定した。
粘着剤塗工物を幅20mm、長さ15mmの大きさにカットし剥離紙を剥がして、長さが30cm、直径が10mmのポリエチレン製の棒の周囲に貼り付けた。貼り付ける方向としては、塗工物試料の幅方向(長手方向)がポリエチレン棒の長さ方向と平行となるようにした。貼り付け後、指にて強く圧着し、23℃雰囲気下にて7日間放置した。所定期間経過後、試料が剥離しているかどうかを目視にて観察した。
○:剥離なし。
△:試料の端部が剥離している。
×:全面剥離し、基材が平坦になっている。
粘着剤塗工物の剥離紙を剥がして、粘着剤層にカッターにてクロスカットを施し、指にてクロスカット部を3回強くこすり、こすった箇所の粘着剤が基材から剥離したかどうかを目視にて観察した。
○:剥離なし。
△:一部剥離あり。
×:全面的に剥離。
またさらに、比較例−7においては、実施例−1における(A−1)/(B−1)の固形分比率が7/93である混合物の、全体としての各単量体量を平均化して単一の粘着剤用樹脂組成物水性分散体として重合した例を示したのであるが、実施例−1とは相反して、曲面貼り付け性及び基材密着性が劣っている。
Claims (4)
- ガラス転移温度が90℃以上105℃以下の共重合体を形成し得るラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体であって、カルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%及び該単量体(a)と共重合可能な他の単量体(b)を、乳化剤、重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなる高ガラス転移温度共重合体の水性分散体(A)と、
ガラス転移温度が−75℃以上−45℃以下の共重合体を形成し得るラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体であって、アルキル基の炭素数が4〜14であるアルキルアクリレート(c)55〜95重量%及びカルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%を含有する単量体を、乳化剤及び重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなる低ガラス転移温度共重合体の水性分散体(B)とを、
(A)/(B)=1/99〜15/85(固形分重量比率)の割合にて含有する事を特徴とする水性粘着剤組成物。 - 共重合可能な他の単量体(b)として、メチルメタクリレートを必須成分として含有する事を特徴とする請求項1記載の水性粘着剤組成物。
- ガラス転移温度が90℃以上105℃以下の共重合体を形成し得るラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体であって、カルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%及び該単量体(a)と共重合可能な他の単量体(b)を、乳化剤、重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなる高ガラス転移温度共重合体の水性分散体(A)と、
ガラス転移温度が−75℃以上−45℃以下の共重合体を形成し得るラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体であって、アルキル基の炭素数が4〜14であるアルキルアクリレート(c)55〜95重量%及びカルボキシル基含有単量体(a)0.5〜5重量%を含有する単量体を、乳化剤及び重合開始剤を用い、水性媒体中で重合してなる低ガラス転移温度共重合体の水性分散体(B)とを、
(A)/(B)=1/99〜15/85(固形分重量比率)の割合で混合する事を特徴とする水性粘着剤組成物の製造方法。 - 共重合可能な単量体(b)として、メチルメタクリレートを必須成分として含有する事を特徴とする請求項3記載の水性粘着剤組成物の製造方法。
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