JP4872258B2 - 注出具付き包装用袋 - Google Patents

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Description

本発明は、注出具付き包装袋に関するものであり、さらに詳しくは、注出口が、製造工程や流通過程において、汚染されず、ガスバリアー性を有する注出具付き包装用袋に関するものである。
従来、合成樹脂製のフィルムやこれらに蒸着を施した蒸着フィルムあるいはアルミニウム箔等の金属箔などを適宜組み合わせた積層体を用いた包装袋に注出具を設けた注出具付き包装袋が広く知られている。
前記の注出具付き包装袋には、内容物として液状やゼリー状のジュース、コーヒー、お茶、コ−ヒ−飲料、牛乳、健康飲料等の飲料、栄養剤等の輸液、調味料、油等を収納して市販されているものである。
上記の注出具付き包装袋に収納して市販される飲料や輸液の中でも、特に酸素ガスや光により酸化や褐変し易い物質、たとえば、ビタミンCのような物質を含んだ飲料等があり、このような飲料等を収納する注出具付き包装袋には、通常アルミニウム箔を用いた包装袋が使用され、酸素ガスや光により酸化や褐変し易い物質を保護することにより長期保存可能としている。
酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性に優れている注出具付き包装袋として、袋状容器本体が、少なくとも、基材フィルムの一方の面に無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを設けたバリア性基材と、光遮断性層と、ヒ−トシ−ル性樹脂層との3層を順次に積層した積層材から構成される注出具付き包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−276773号公報
しかしながら、注出口自体には、バリア性が付与されていないため、酸素や光が、注出口から包装袋本体に容易に侵入してしまい、特に酸素ガスや光により酸化や褐変し易い物質を含んでいる場合、内容物が変質してしまうという問題点があった。
また、注出口が、むき出し状態であるため、注出具付き包装袋の製造過程、流通過程において、注出口の表面に異物が付着することを回避することが困難であり、特に、包装袋内の内容物が、飲食品、医療品等の場合、注出口から直に内容物を口にすることもあり、衛生性に欠けるという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、製造過程や流通過程において、注出口に異物が付着することなく、衛生面に優れると共に、注出具付き包装袋のバリア性を向上させ、酸素ガスや光による内容物の変色、変質を防止する機能を付加した注出具付き包装袋を提供することである。
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究を重ねた結果、本発明に係る注出具付き包装袋は、包装用袋2と、注出具9と、袋状体3とを備える注出具付き包装用袋1であって、かつ、前記の包装用袋2は、内層23がヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層の面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部と前記の注出具9を取り付ける部分を残してその周縁部をヒートシールしてなり、かつ、前記の注出具9は、プラスチック射出成形物からなり、かつ、注出口取付部材7と、前記の注出口取付部材7の一方の側とその一端が連接する注出口導管部材8とからなり、かつ、前記の袋状体3は、内層23aがヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層の面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部を残してその周縁部をヒートシールしてなり、かつ、前記の注出具9の注出口取付部材7が、前記の包装用袋2の角部または下端縁部のヒートシール部の内層間に挿入され、前記の包装用袋2をヒートシールすることにより固着され、かつ、前記の注出具9の注出口導管部材8が、予め医療器具を接続された状態で、前記の袋状体3に被覆され、前記の袋状体3の開口部をヒートシールして密封されるように構成されている。
また、本発明に係る注出具付き包装袋は、包装用袋2と、注出具9と、袋状体3とを備える注出具付き包装用袋1であって、かつ、前記の包装用袋2は、内層23がヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層の面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部と前記の注出具9と前記の袋状体3を取り付ける部分を残してヒートシールしてなり、かつ、前記の注出具9は、プラスチック射出成形物からなり、かつ、注出口取付部材7と、前記の注出口取付部材7の一方の側とその一端が連接する注出口導管部材8とからなり、かつ、前記の袋状体3は、外層21b及び内層23bがヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層23bの面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部を残してその周縁部をヒートシールしてなり、かつ、前記の注出具9の注出口導管部材8が、予め医療器具を接続された状態で、前記の袋状体3に被覆され、かつ、前記の注出具9の注出口取付部材7が、前記の袋状体3の上端開口部のヒートシール部の内層23b間に挿入して前記の袋状体3と熱溶着により固着され、かつ、前記の袋状体3の上端部を前記の包装用袋2の下端の開口部のヒートシール部の内層間に挿入して前記の包装用袋2の下端の開口部をヒートシールして密封されるように構成されている。
また、本発明に係る注出具付き包装袋において、前記の包装用袋および前記の袋状体を構成する積層体が、バリア性層を有することを特徴とする。
また、本発明に係る注出具付き包装袋において、前記の袋状体が、その袋体内に脱酸素剤を封入していることを特徴とする。
本発明の注出具付き包装袋は、上記のような構成とすることにより、製造過程や流通過程において、注出口の部分に異物が付着することなく、手で直接触れることなく、取り扱うことが可能であり、流通・保管時において、注出口先端の汚染を確実に防止でき、また、包装袋内に充填された内容物を注出口の部分から直接に飲用する場合、衛生面に優れるという利点を有する。
また、本発明の注出具付き包装袋は、前記の包装用袋および前記の袋状体を構成する積層体に、バリア性層を有する構成とすることにより、酸素や光が、注出口の付近から包装袋本体に侵入することを防止可能であり、内容物が、酸素ガスや光による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れるという利点を有する。
更に、袋状体内に脱酸素剤を封入した状態で注出口部を被覆する構成とすることにより、袋状体内の酸素を吸収することが可能であるため、内容物の酸化防止効果を向上させることができる。
また、本発明に係る袋状体を構成する積層体の外層が、ヒートシール性を有する樹脂から構成されることにより、前記の袋状体の一部を、包装用袋の角部または端縁部のヒートシール部の内層間に、挟み込んでヒートシールして固着することができるので、前記の注出口の部分を前記の袋状体で密封することができるという利点を有する。
また、本発明の注出具付き包装袋において、包装用袋本体の収納部の下方が、テーパー状に形成されている構成とすることにより、収納部内の内容物の残量が少なくなった状態でも肩部の上面に内容物が残留せず、常に前記の包装袋に溜まっている状態を維持することができ、内容物を注出しやすいという利点を有する。
また、本発明において、注出具を構成する注出口導管部材に、予め包装袋の内容物を患者に点滴するための医療器具を接続した状態で、本発明に係る袋状体内に収納しておくことにより、医療現場において包装袋内容物を輸液する際、器具類の接続ミス、接続忘れ等を防止できるという利点を有する。
図1は本発明に係る注出具付き包装袋の第1実施例を示す平面図であり、図2は本発明に係る注出具付き包装袋の第2実施例を示す平面図であり、図3は本発明に係る注出具付き包装袋の第3実施例を示す平面図であり、図4は本発明に係る注出具付き包装袋の第4実施例を示す平面図であり、図は本発明に係る包装用袋の層構成の1実施例を示す断面図であり、図は、図1、図3示す状体の層構成の1実施例を示す断面図であり、図は図2、図4示す状体の層構成の別態様の実施例を示す断面図である。
本発明に係る注出具付き包装袋1は、図1に示すように、積層フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールして袋状にすると共に、当該積層フィルムの内層間に挿入されたプラスチック射出成形物からなり、注出口取付部7と注出口導管部8とからなる注出具9が、注出口取付部7で、積層フィルムの内層とヒートシールされて固着されている。
なお、注出具付き包装袋1の上端にフックに吊り下げるための把手用開口孔4を設けてもよい。
さらに、積層フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせてその周縁部をヒートシールしてなる袋状体3で、注出口導管部材8の全体を被覆して熱封緘するように構成されている。さらに、袋状体3内に脱酸素剤10を封入した状態で熱封緘することができる。
また、図示しないが、包装袋2の内部が、弱シールによって複数の内容物を収納した複数の室に仕切られ、使用時に仕切りの弱シールを開封し、複数の内容物を混合した後に内容物を取り出すこともできる包装袋である。
また、包装袋2の形態が、図5に示すように、チューブ状の積層フィルムを用いて、当該積層フィルムの内層間に挿入されたプラスチック射出成形物からなる注出具9が、注出口取付部7で、積層フィルムの内層とヒートシールされて固着された形態の包装袋2を使用してもよい。
図2は本発明に係る注出具付き包装袋1の第2実施例を示す平面図である。
本発明に係る注出具付き包装袋1は、図2に示すように、積層フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールすると共に、当該積層フィルムの内層間に挿入されたプラスチック射出成形物からなる、注出口取付部7と注出口導管部材8とからなる注出具9が、注出口取付部7で、積層フィルムの内層とヒートシールされて固着されている。
さらに、積層フィルムの内層の面を対向させて重ね合わせ、その周縁部をヒートシールしてなる袋状体3で、袋状体3の一部が、包装用袋2の端縁部のヒートシール部の内層間に、挟み込まれてヒートシールすると共に、前記の注出口導管部8全体を被覆して熱封緘するように構成されている。
なお、注出具付き包装袋1の上端にフックに吊り下げるための把手用開口孔4を設けてもよい。
さらに、袋状体3内に脱酸素剤10を封入した状態で熱封緘することができる。
また、図示しないが、包装袋2の内部が、弱シールによって複数の内容物を収納した複数の室に仕切られ、使用時に仕切りの弱シールを開封し、複数の内容物を混合した後に内容物を取り出すこともできる包装袋である。
また、包装袋2の形態が、図6に示すように、チューブ状の積層フィルムを用いて、当該積層フィルムの内層間に挿入されたプラスチック射出成形物からなる注出具9が、注出口取付部7で、積層フィルムの内層とヒートシールされて固着された形態の包装袋2を使用してもよい。
本発明に係る包装用袋2の層構成は、ヒートシール層のみの単体フィルムから構成されるか、または、外層である基材層と内層であるヒートシール性層との2層の積層体から基本的に構成され、必要に応じて、図に示すように、外層21と内層23との層間に、中間層22を積層した3層の積層体から構成される。
本発明に係る図1の袋状体3の層構成は、外層である基材層と内層であるヒートシール性層との2層の積層体から基本的に構成され、必要に応じて、図に示すように、外層である基材層21aと内層であるヒートシール性層23aとの層間に、中間層22を積層した3層の積層フィルム20から構成される。特に、内層であるヒートシール層23aは、使用者が剥離しやすいように、易開封性の樹脂を用いることが望ましい。
図2の本発明に係る袋状体3の層構成は、ヒートシール層のみの単体フィルムから構成されるか、または、図に示すように、外層であるヒートシール性層21bと、第1中間層である基材層22bと、第2中間層であるバリア層22と、内層であるヒートシール性層23bとの4層の積層フィルム20から基本的に構成される。
特に、外層であるヒートシール層21bは、包装袋2の内層を構成する樹脂の材質と同質にすることが、袋状体3と包装袋2の接着強度が高くなるため好ましい。
上記の本発明について、以下に更に詳しく説明する。まず、上記の本発明において、内層または外層として使用するヒートシール性を有する樹脂としては、熱によって溶融し相互に、かつ注出具9を構成する注出口取付部7と融着し得るものであればよく、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸メチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンープロピレン共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することができ、その厚さとしては、30〜200μmが適当である。
また、外層21として使用する合成樹脂製のフィルムとしては、注出具付き包装袋1を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂を用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を用いたフィルムとしては、未延伸フィルムあるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができ、フィルムの厚さとしては基本基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚過ぎるとレーザー加工不良等を発生して引き裂き性が低下し、また、コストが上昇するという欠点もあり、薄過ぎると、強度、剛性等が低下するので好ましくない。本発明においては、上記のような理由から12〜25μm程度が適当である。
また、前記合成樹脂製のフィルムは、必要に応じてポリ塩化ビニリデンが塗工されたフィルムやアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層が形成されたフィルムとしてバリアー性を有する構成としてもよい。
また、外層21として使用する合成樹脂製のフィルムは、前記合成樹脂製フィルムの内層側に一般的には印刷が施されることが多い。そのために、前記外層として使用する合成樹脂製フィルムは印刷適性が求められ、1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルムが好適である。
さらに、本発明において、内層23と外層21の間に中間層22を設けてもよく、中間層22は、通常内層23と外層21だけでは包装袋2または袋状体3としての機能を十分に果たすことができない場合等に設けられる。
前記の機能としては、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等であり、包装袋として要求されるこれらの最終的な機能を中間層を設けることで達成するものである。
前記の中間層として用いられる基材としては、たとえば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしはアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムなどを用いることができる。
また、これら基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。尚、上記基材の厚さとしては、包装袋として要求される機能を満たすことができればよいのであって、必要に応じて適宜選ぶことができる。
上記の樹脂には、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
包装袋2または袋状体3の外層21、中間層22、内層23を積層する方法としては、各層を押し出して共押し出しラミネートしても良いし、層間密着性を向上させるため層間に熱接着性樹脂を用いてTダイ押し出しラミネーション法によってラミネートしても良いし、また、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法によってラミネートしてもよい。
Tダイ押し出しラミネーション法の場合は必要に応じてアンカーコート剤を用いることができる。
特に、内容物がレトルト殺菌する必要のある場合には、前記の2液硬化型のウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法によってラミネートすることが望ましい。
また、Tダイ押し出しラミネーション法の変形手段として、熱ラミネーション法を用いることもできるし、ヒートシール性を有するフィルム同士の積層には、ヒートシールを用いても良い。
また、本発明の注出具付き包装袋1を構成する包装袋2の形態としては、三方シールタイプ、四方シールタイプ、スタンディングパウチ、ガセットタイプ、封筒貼りシールタイプ、ピロータイプ、チューブ等を任意に選ぶことができ、特に限定されるものではない。
また、ヒートシールの方法としては、たとえば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の周知の方法で行うことができる。なお、ヒートシール部には易開封性手段として開封用Vノッチ、Iノッチを設けてもよい。
本発明に係る注出具9は、内層23に用いるヒートシール性を有する樹脂と熱によって溶融し相互に融着し得るものであって、射出成形し得るものであればよく、内層23に用いる樹脂により選択する必要があり、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸メチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンープロピレン共重合体などを挙げることができる。また、注出具9は必要に応じて顔料等で着色されていてもよい。
さらに、内容物が加熱殺菌(以下、レトルト殺菌)を要する場合、当該内容物のレトルト殺菌時の加熱によってもパウチとの接着部における剥離等がなく、成形品としての変形のない材料とする必要がある。
次に、本発明において、注出具の形成方法としては、周知のインジェクション成形方法で形成することができる。この部分のインジェクション成型品の厚さは300〜2000μmが好ましい。
本発明にかかる包装袋2は、内容物として、例えば、飲食品、輸液等を収納することができる。
また、本発明にかかる袋状体3には、注出具9あるいは注出具9に接合した医療器具を収納することができる。
袋状体3に収納する上記の医療用器具としては、具体的に、例えば、可撓性チューブ12、その先端に注出具9の注出口導管部8と嵌合しうる嵌合部材13、その先端に接続するコック、液溜まり用容器、滴下量調節器具、袋状体3に孔を空けぬようキャップを取り付けた点滴針等、患者に包装袋2に収納する内容物を点滴するための医療用器具が挙げられる。
袋状体3に上記の医療用器具を収納することによって、製造過程や流通過程において、注出具の部分に異物が付着することなく、手に直接触れることなく、取り扱うことが可能であり、流通・保管時において、注出口先端の汚染を確実に防止でき、また、包装袋内に充填された内容物を注出具から医療器具を接続して点滴用等する場合、衛生面に優れるという利点を有する。
また、本発明に係る注出具付き包装袋1を構成する包装袋2と袋状体3の包装材料に、バリア性層を有する積層フィルムを使用することによって、包装袋2に収納する内容物が、酸素ガスや光による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れるという利点を有する。
なお、薬事法上の問題等により、包装袋2および袋状体3にバリア性を付与させることができない場合は、注出具付き包装袋の全体を別個のバリア性を有する外層袋に収納し、脱酸素剤10と共に収納して流通させても良い。
また、本発明にかかる注出具付き包装袋1は、注出口を構成する注出口導管部材8に嵌合部材13を接続し、更にその先端に点滴用等の医療用器具(図示せず)を接続して医療器具を用いて点滴する場合等においても、当該医療用器具全体を被覆した状態で袋状体3に収納することもできるため、衛生性に優れると共に、医療現場において包装袋2に収納する内容物を輸液する際、器具類の接続ミス、接続忘れ等を防止できるという利点を有する。
次に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(包装袋2の製造)
本発明にかかる注出具付き包装袋1を構成する積層フィルム20は、外側から順に、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムからなる外層21と、厚み15μmの2軸延伸ポリアミドフィルムからなる第1中間層22と、厚み9μmのアルミニウム箔からなる第2中間層22と、厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムからなる内層23とを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、層構成、2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルム20を作製した。
上記で得られた包装袋2を構成する積層フィルム2枚(縦240mm×横200mm)をカットした。しかる後、未延伸ポリプロピレンフィルム層を対向させて、積層フィルム20を2枚重ね合わせ、上端部を残し、両側をサイドシール幅10mmでヒートシールして、両サイドシール部中央付近から底部にかけてテーパー状のヒートシールを施すことにより底部に注出口取付部の挿入口を残してヒートシールして、上端部に開口部を有する包装袋2を作製した。
(注出具9の製造)
一方、注出具9としては、ポリプロピレン(融点200℃)を用いて射出成形により、注出口取付部材7と注出口導管部材8からなり、注出口取付部材7の下端部と注出口導管部材8の一端部が面一となるように接合された注出具を成形した。また、注出口導管部材8の先端は、挿入したチューブ12の抜け落ち防止のための段差を設けてあり、注出口導管部材8の先端部に付け根を50μmの薄肉にしたつまみ部を設け、使用時につまみを折り曲げることにより、注出具先端から包装袋の内容物を取り出せるようになっている。なお、注出口導管部材の形状が、直径:4.5mm、肉厚0.75mm、長さ20mmとなるように成形した。
(袋状体3の製造)
一方、本発明にかかる袋状体3を構成する包装材は、外側から順に、厚み15μmの2軸延伸ポリアミドフィルムからなる外層21と、厚み9μmのアルミニウム箔からなる中間層22と、厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムからなる内層23とを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、層構成、2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/アルミニウム箔(9μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルム20を作製した。
上記で得られた積層フィルム20(縦150mm×横150mm)を2枚カットした。しかる後、未延伸ポリプロピレンフィルム層を対向させて、積層フィルム20を2枚重ね合わせ、上端部を残してシール幅6mmでヒートシールして、上端部に開口部を有する袋状体3を作製した。
(注出具付き包装袋1の製造)
注出口シール機で、包装袋2の内面と注出具3の注出口取付部材7の接着面とを合わせ、包装袋2の両外側からヒートシールした後、冷却して、包装袋2の下端部に注出具3を固着した。
上記で得られた注出具付き包装袋を用いて、開口部より蒸留水(300ml)を充填して、上端部を熱封緘してシール密封した後、121°C、20分間、レトルト殺菌処理を行なった結果、注出具付き包装体を作製した。
次に、上記で得られた袋状体3を用いて、注出具付き包装体の注出口導管部材8の部分を被覆し、袋状体3内の空気を極力抜いた状態で、注出口シール機により開口部をヒートシールして密封した結果、図1に示す本発明に係る注出具付き包装体1が得られた。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装体1は、内容物を取り出す時まで袋状体3によって注出口導管部材8の部分を被覆することによって、注出口導管部材8の部分に異物が付着することなく、手で直接触れることなく流通・保管時において、注出口先端の汚染を確実に防止できるという優れた包装袋である。
また、袋状体3を構成する包装材に酸素バリア性を付与することによって、注出口導管部材8の先端部のつまみの付け根の部分(肉厚50μm)近辺から酸素や光が包装袋2に侵入することを抑制可能であり、包装袋2に充填する内容物が、酸素ガスや光による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れるものであった。
なお、注出具8と外気とが接触する部分の注出具8の肉厚は、0.75mmと厚いため、酸素や光が包装袋2に侵入しにくいものであった。
実施例1と同様の材料、及び同様の製造方法にて、包装袋2、袋状体3、および注出具9を製造した。
袋状体3を用いて、その開口部より、脱酸素剤10(商品名:エージレスSA−200、三菱ガス化学社製、縦55mm×横45mm、酸素吸収能力、200ml)を収納し、はんだごてを用いて注出口取付部材7の表裏の2個所ずつをスポット状に加熱して注出口導管部材8の部分を袋状体3で被覆するようにして仮溶着し、袋状体3の一部を包装用袋2の下端ヒートシール部の内層間に挟み込み、注出口取付部に前記包装袋を注出口シール機により加熱接着し、冷却して包装袋に固着した結果、図2に示す本発明に係る注出具付き包装体が得られた。
しかる後、上記で得られた注出具付き包装袋1を用いて、上端の開口部より蒸留水(300ml)を充填して、上端部を熱封緘してシール密封した後、121°C、20分間、レトルト殺菌処理を行なった。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装体は、内容物を取り出す時までは注出具の注出口導管部材8の全体が袋状体3で被覆されており、注出具9の部分に異物が付着することなく、手で直接触れることなく取り扱うことができる。
また、袋状体3を構成する包装材に酸素バリア性が付与されており、更に脱酸素材10が封入されているため、酸素や光が、注出口の付近から包装袋本体に侵入することを防止可能であり、内容物が、酸素ガスや光による酸化や変色し易い物質を含んでいる場合であっても、保存安定性に優れる包装袋であった。
次に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
(包装袋2の製造)
包装袋2を構成する包装材は、幅180mmの未延伸ポリプロピレンフィルム(250μm)単体からなるチューブ状フィルムを用い、これを長さ240mmにカットした。
しかる後、上端部と底部の一部を残して、両サイドの中央付近から底部にかけてテーパー状にヒートシールして、上端部に開口部を有する包装袋2を作製した。
(注出具9の製造)
一方、注出具9としては、実施例1と同様の材料を用い、同様の製造方法にて、注出口取付部材7と注出口導管部材8からなり、注出口取付部材7の下端部と注出口導管部材8の一端部が面一となるように接合された注出具9を成形した。
(袋状体3の製造)
袋状体3を構成する包装材の層構成が、外側から、未延伸ポリプロピレンフィルム(40μm)/接着剤層/2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルム20を作製した。
上記で得られた積層フィルム20(縦150mm×横150mm)を2枚カットし、内層の未延伸ポリプロピレンフィルム層を対向させて、積層フィルム20を2枚重ね合わせ、上端部を残してシール幅6mmでヒートシールして、上端部に開口部を有する袋状体3を作製した。
(注出具付き包装袋1の製造)
上記で得られた袋状体3に、注出具の注出口導管部材8に接合した医療器具を収納する共に、注出口導管部材の部分を被覆し、はんだごてを用いて注出口取付部材7の表裏の2箇所ずつをスポット状に加熱して仮溶着した後、袋状体3の一部が、包装袋2の下端部の内層間に挟み込まれた状態で、注出口取付部7に包装袋2を注出口シール機により加熱接着して包装袋2に固着した結果、図に示す本発明に係る注出具付き包装袋を作製した。
上記で得られた注出具付き包装袋を用いて、上端の開口部より蒸留水(300ml)を充填して、上端部をヒートシールして密封して、本発明に係る注出具付き包装体を作製後、121℃、20分間、レトルト殺菌処理を行なった。
(外装袋の製造)
一方、外側から順に、厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルムからなる外層と、厚み15μmの酸化珪素蒸着2軸延伸ポリアミドフィルムからなる中間層と、厚み60μmの未延伸ポリプロピレンフィルムからなる内層とを接着剤(2液硬化型のウレタン系接着剤層)を介して積層して、層構成、2軸延伸ポリエチレンテレフタレイトフィルム(12μm)/接着剤層/酸化珪素蒸着2軸延伸ポリアミドフィルム(15μm)/接着剤層/未延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)からなる積層フィルム20で作製した。
次いで、得られた積層フィルム20を縦420mm×横230mmのサイズに2枚カットし、しかる後、2枚の積層フィルム20を未延伸ポリプロピレンフィルム(内層)を対向させて、周辺部三方をシール幅10mmでヒートシールして外装袋(図示せず)を作製した。
上記で得られた外装袋に、上記でレトルト殺菌処理を行った注出具付き包装体全体を脱酸素剤10とともに収納し、外装袋内の空気を極力抜きながら、開口部をヒートシールしてヒートシール部を形成して密封した。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装袋1は、注出口に接合した医療器具を注出具に接続した状態で袋状体3内に収納することができるため、流通・保管時において、注出口先端の汚染を確実に防止できた。
上記で得られた本発明に係る注出具付き包装袋2は、酸素バリア性を有する外装袋に、脱酸素剤10とともに封入することによって、内容物を取り出す時まで注出具の部分に異物が付着することなく、手で直接触れることなく取り扱うことができると共に、光および酸素が包装袋本体に透過することを防止して、光および酸素による内容物の酸化や変色を防止することができる優れた包装袋であった。
〔比較例1〕
実施例1において、袋状体3を使用しない以外は、実施例1と同様の包装袋2、注出具9を用い、注出口シール機で、包装袋2の内面と注出具9の注出口取付部材7の接着面とを合わせ、包装袋2の両外側よりヒートシールして、注出口取付部材7に包装袋2を加熱接着して包装袋2の下端部に注出具9を固着した。
しかる後、上記で得られた注出具付き包装袋を用いて、包装袋2の開口部より蒸留水(300ml)を充填して、上端のヒートシール部を熱封緘してシール密封した後、121°C、20分間、レトルト殺菌処理を行ない、比較例1に係る注出具付き包装体を作製した。
〔酸素透過度の測定〕
実施例1〜3および比較例1で得られた注出具付き包装袋を用いて、注出具付き包装袋1としての酸素透過度を、温度23°C、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。結果を表1に示す。
なお、酸素透過度の単位は、〔cc/袋/day・23°C・90%RH〕である。
〔酸素侵入位置測定〕
実施例よび比較例1で得られた注出具付き包装袋1について、包装袋2中にメチレンブルーとハイドロサルファイトナトリウムを添加した2重量%の寒天溶液(300ml)を充填し、気泡を抜いて上端部を密封した後、40°Cにて3週間保存し、包装袋1の外部からの酸素が侵入して青色に変色した箇所を検査した。結果を表1に示す。
(実験結果)
Figure 0004872258
表1に示した評価結果から明らかなように、実施例注出具付き包装袋1は、酸素透過度において、顕著なバリアー性が認められ、酸素によって変色、変質する内容物に対しては非常に効果がある注出具付き包装袋であることが確認された。
また、酸素透過によりメチレンブルーが青色に変化した部位について、実施例1の注出具付き包装袋では、注出口導管部材の下端部および注出口取付部で発色したが、先端部で淡い発色が確認された。た、実施例3の注出具付き包装袋では、発色が確認されなかった。このため、実施例注出具付き包装袋は酸素バリア性を向上させ、酸素ガスによる内容物の変色、変質を防止することが確認できた。
これに対して、比較例1の注出具付き包装袋では、酸素透過度において良好な結果が得られず、また、注出口導管部材の全体および注出口取付部において、酸素透過によるメチレンブルーの青色に変色していた。このため、比較例1の注出具付き包装袋では、注出口導管部材から酸素ガスが浸透し、内容物が変色してしまい問題があった。
本発明に係る注出具付き包装袋の第1実施例を示す平面図である。 本発明に係る注出具付き包装袋の第2実施例を示す平面図である。 本発明に係る注出具付き包装袋の第3実施例を示す平面図である。 本発明に係る注出具付き包装袋の第4実施例を示す平面図である。 本発明に係る包装用袋の層構成の1実施例を示す断面図である。 図1、図3示す状体の層構成の1実施例を示す断面図である。 図2、図4示す状体の層構成の別態様の実施例を示す断面図である。
1 注出具付き包装袋
2 包装
3 袋状体
4 把手用開口孔
5 ヒートシール部
6 テーパ部
7 注出口取付部材
8 注出口導管部材
9 注出具
10 脱酸素剤
11 滴下部
12 チューブ
13 嵌合部
20 積層フィルム
21 外層
22 中間層
23 内層
21a 基材層
21b ヒートシール性層
22b 基材層
23b ヒートシール性層

Claims (4)

  1. 包装用袋2と、注出具9と、袋状体3とを備える注出具付き包装用袋1であって、
    かつ、前記の包装用袋2は、内層23がヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層の面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部と前記の注出具9を取り付ける部分を残してその周縁部をヒートシールしてなり、
    かつ、前記の注出具9は、プラスチック射出成形物からなり、かつ、注出口取付部材7と、前記の注出口取付部材7の一方の側とその一端が連接する注出口導管部材8とからなり、
    かつ、前記の袋状体3は、内層23aがヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層の面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部を残してその周縁部をヒートシールしてなり、
    かつ、前記の注出具9の注出口取付部材7が、前記の包装用袋2の角部または下端縁部のヒートシール部の内層間に挿入され、前記の包装用袋2をヒートシールすることにより固着され、
    かつ、前記の注出具9の注出口導管部材8が、予め医療器具を接続された状態で、前記の袋状体3に被覆され、前記の袋状体3の開口部をヒートシールして密封されていることを特徴とする注出具付き包装用袋。
  2. 包装用袋2と、注出具9と、袋状体3とを備える注出具付き包装用袋1であって、
    かつ、前記の包装用袋2は、内層23がヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層の面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部と前記の注出具9と前記の袋状体3を取り付ける部分を残してヒートシールしてなり、
    かつ、前記の注出具9は、プラスチック射出成形物からなり、かつ、注出口取付部材7と、前記の注出口取付部材7の一方の側とその一端が連接する注出口導管部材8とからなり、
    かつ、前記の袋状体3は、外層21b及び内層23bがヒートシール性を有する樹脂からなる積層体の前記内層23bの面を対向させて重ね合わせ、上端の開口部を残してその周縁部をヒートシールしてなり、
    かつ、前記の注出具9の注出口導管部材8が、予め医療器具を接続された状態で、前記の袋状体3に被覆され、
    かつ、前記の注出具9の注出口取付部材7が、前記の袋状体3の上端開口部のヒートシール部の内層23b間に挿入して前記の袋状体3と熱溶着により固着され、
    かつ、前記の袋状体3の上端部を前記の包装用袋2の下端の開口部のヒートシール部の内層間に挿入して前記の包装用袋2の下端の開口部をヒートシールして密封されていることを特徴とする注出具付き包装用袋。
  3. 前記の包装用袋2および前記の袋状体3を構成する積層体が、バリア性層を有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の注出具付き包装用袋。
  4. 前記の袋状体3が、その袋体内に脱酸素剤10を封入していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注出具付き包装用袋。
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