JP4481563B2 - 輸液バッグ包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液バッグを酸素バリアー性の外装袋に封入した輸液バッグ包装体に係り、詳しくは、外装袋の酸素バリアー機能による輸液の品質保護効果を実質的に損なうことなく、輸液に対する注射器によるビタミン剤注入等の調剤処理を実施し得るようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
輸液バッグは、輸液の剤種・成分等により一室型、二室型等に類別される。図24及び図25(図24のX-X矢視断面)は二室型の輸液バッグの例を示している。この輸液バッグ(3)は、隔壁シール(32)(向い合うバッグ材31同士がバッグの略中間位置においてバッグ(3)を横切る向きに帯状に熱溶着され左右の空間を分断している)により二室に分けられ、それぞれに異種の輸液、例えば一方の輸液室(3A)にアミノ酸含有輸液製剤が充填され、他方の輸液室(3B)には生理食塩水が充填されている。
【0003】
輸液バッグ(3)は、包材(バッグ材)として、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル等が使用されているが、その包材のみでは輸液の変質(例えば輸液室3Aのアミノ酸含有製剤の変色)の防止に必要な酸素バリアー性を保証し難い。このため、二次包材として酸素バリアー性を有するプラスチックシート(以下「外装シート」)からなる外装袋を用い、図26に示すように、外装袋(1)に輸液バッグ(3)を封入している。外装袋(1)は、外装シートの周縁を熱溶着(周縁の散点模様部は溶着代1S)することにより製袋される。外装袋(1)の内部は、雰囲気置換(窒素ガス充填)及び脱酸素剤の投入等により、輸液の品質保持に必要な脱酸素雰囲気(酸素フリー)に保持されている。
【0004】
輸液バッグ(3)は、使用に先立って輸液製剤の剤種に応じた調剤処理、例えば二室型輸液バッグ(3)の一方の輸液室(3B)(生理食塩水水室)へのビタミン剤注入が行なわれる。その調剤処理は、図27に示すように、外装袋(1)の端部を切取り、開封口(16)に臨む輸液室(3B)のポート(33B)を介して注射器(6)で注入することにより行なわれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように輸液バッグ(3)の調剤処理のために外装袋(1)を開封すると、輸液バッグ(3)は大気に曝されるので、そのまま放置すると、輸液室(3A)のアミノ酸含有輸液に変色が生じるおそれがある。調剤処理は、病院内で看護婦等の所定者により行なわれるので、在宅医療に供する場合は、患者に投与されるまでの間の変色等を生じないように、外装袋(1)の開封口(16)をあらためて封止しなければならない。
【0006】
外装袋(1)の開封口(16)を再封止するには、そのための再封代を必要とする。しかし開封口(16)の縁線は通常、湾曲蛇行した形状となることが多く、再封代を確保することは容易でない。外装袋(1)の袋長を大きめに設計すれば、再封代を確保することは可能となるが、袋長を長くするに伴って、輸液バッグ(3)を外装袋(1)に収納する作業(自動装填機により行なわれる)の操作性が悪くなる。更に、開封口(16)の再封操作についても、電熱構造を内蔵した溶着治具で開封口の端縁部(16E)を熱溶着する方法や、プラスチック成形品であるクリップ等で開封口の端縁部(16E)を挟圧閉塞する方法等が考えられるが、その再封操作は煩瑣である。またそれらの機器を使用しても、開封口の確実な再封止を保証することは容易でない。上記説明では、二室型輸液バッグを例に挙げたが、一室型の輸液バッグであって調剤処理が行なわれる場合の外装袋の再封止についても事情は同じである。
【0007】
本発明は上記に鑑み、輸液バッグに対する外装袋の保護機能を実質的に損なわずに、すなわち脱酸素雰囲気の保持が要求される輸液室を大気と接触させることなく輸液の調剤処理を行なうことができ、煩瑣な再封操作を不要にした輸液バッグ包装体を適用するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第一の輸液バッグ包装体(請求項1)は、酸素バリアー性プラスチックシートからなる外装袋とこれに封入された輸液バッグとからなり、輸液バッグの輸液室のポートを介して注射器による輸液の調剤処理が施される輸液バッグ包装体において、外装袋の幅方向に長い略舟型形状を有するプラスチック製ポートスペーサーが、調剤処理が施される前記輸液室のポートの周面に形設されていると共に、外装袋のおもて側とうら側の外装シートが、前記ポートスペーサーに密着して互に押付けられ、外装袋を横断する向きに全幅に亘って気密に接合されていることにより、外装袋が輸液室を内包する袋室と前記ポートが突出した袋室とに分けられていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る第二の輸液バッグ包装体(請求項2)は、酸素バリアー性プラスチックシートからなる外装袋とこれに封入された輸液バッグとからなり、輸液バッグの輸液室のポートを介して注射器による輸液の調剤処理が施される輸液バッグ包装体において、ゴム体と該ゴム体を保持する座部とからなる注射針刺し込み用口金が、調剤処理が施される前記輸液室のポートが臨む側の袋端もしくはその近傍に位置して外装袋の内側面に取付けられており、外装袋の外側から前記口金のゴム体を通して外装袋内に注射器の針が刺し込まれることを特徴としている。
【0012】
第一の発明に係る輸液バッグ包装体において、調剤処理に際して開封されるのは、ポートが突出している袋室だけであって、輸液室が内包されている袋室は当初の密封状態がそのまま保持されている。従って、ポート部を通じて微量の酸素が侵入することがあっても、外装袋が開封されることによる輸液室の変質の懸念は少なく、また開封された袋室の再封止も不要である。
【0013】
第二の発明に係る輸液バッグ包装体においては、調剤処理のための注射器は、外装袋に取り付けられた注射針刺し込み用口金を通して、外装袋の外側から袋内に刺し込まれるので、外装袋を開封することなく輸液室に対する所定の調剤処理が施される。従って、外装袋が開封されることによる輸液室の変質の懸念は少なく、また開封された袋室の再封止の必要もない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る各輸液バッグ包装体について、実施例を示す図面を参照して具体的に説明する。
[輸液バッグ包装体の参考実施形態]
この輸液バッグ包装体(以下「包装体(I)」と称することもある)は、輸液バッグ(3)が二室型であって、調剤処理を施される側の輸液室は脱酸素雰囲気(外装袋の酸素バリアー機能による大気遮断保護)を必要としない輸液バッグに適用される包装形態である。
【0015】
図1は、輸液バッグ包装体(I)の例を示している。図2はそのX-X矢視断面である。輸液バッグ(3)は隔壁シール(32)で二室型であり、伸直姿勢で外装袋(1)内に収納されている。片側の輸液室(3A)はアミノ酸含有輸液室(脱酸素雰囲気の保持を必要とする輸液室)、他方の輸液室(3B)は生理食塩水室(脱酸素雰囲気の保持を要しない輸液室)である。外装袋(1)は、図2のように、おもて側と裏側の外装シート(10)(10)同士が、輸液バッグ(3)の隔壁シール(32)を挟み付けるように絞り込まれ、外装袋(1)の全幅に亘り気密に接合されて重ねシール(12)を形成している。外装袋(1)はその重合シール(12)で2つの袋室(1A)と(1B)に区分けされ、片側の袋室(1A)に輸液室(3A)(アミノ酸含有輸液室)が内包され、他方の袋室(1B)に輸液室(3B)(生理食塩水室)が内包されている。
【0016】
上記包装体(I)の製袋工程を図3に示す。まず外装袋(1)に右端の開口(11)から輸液バッグ(3)を脱酸剤と共に収納したうえ、外装袋の向い合う外装シート(10)(10)を、溶着治具(f1)(電熱構造を有する)で輸液バッグの隔壁シール(32)に向って絞り込み、隔壁シール(32)に挟み付ける。その挟み付け状態のもとに溶着治具(f1)の発熱体をオンにして重ねシール(12)を形成する。ついで外装袋の開口(11)の端縁部(11E)(11E)同士を溶着治具(f2)で溶着封止することにより、図1(図2)の包装体を得る。重ねシール(12)の形成は、端縁部(11E)(11E)を溶着封止した後に行なってもよい。なお、重ねシール(12)の形成には、上記の溶着施工のほか、感熱性接着剤、粘着剤を使用してもよく、更には超音波接合、高周波接合等の手法を適用することもできる。
【0017】
なお、二室型輸液バッグの輸液室(3A)(3B)は使用に際して一液に混合されるので、隔壁シール(32)は一定の圧力で破れるように設計されている。このため、上記重ねシール(12)の施工においては、隔壁シール(32)のシール強度が所定のレベルに維持されるよう注意を要する。このためには、外装シート(10)の内面層(シーラント層)として、低温シール性を有する材質(例えば軟化温度:約100℃以下)のものを使用するとよい。
【0018】
上記包装体(I)における輸液バッグ(3)の調剤処理(輸液室3Bへのビタミン混注)は、図4に示すように、袋室(1B)の袋端を、溶着代(1S)のノッチ(14)(図1)から切取り、その開封口(16B)からポート(33B)を介して輸液室(3B)内に注射器(6)を刺し込むことにより行なう。他方の袋室(1A)(アミノ酸含有製剤室)は、重ねシール(12)で前記袋室(1B)とは遮断されているので、袋室(1B)が開封されても密封状態が損なわれることはなく、輸液の変質防止に必要な当初の脱酸素雰囲気がそのまま保持される。開封された袋室(1B)の輸液室(3B)(生理食塩水室)は脱酸素雰囲気の保持を要しないので、開封口(16B)はそのままにしておいて差支えないが、異物や汚れの付着防止に必要ならば、それに必要な程度にクリップ等で簡単に閉じておけばよい。
【0019】
なお、上記輸液バッグ包装体(I)は、輸液バッグ(3)を患者に供用するに際して、図5に示すように、外装袋(1)のもう一方の袋室(1A)の袋端を切取って、輸液室(3A)のポート(33A)を露出させる。輸液バッグ(3)には、外装袋(1)が付着(重合シール12部で連結)したままであるが、輸液バッグ(3)の使用操作に支障をきたすことはない。
【0020】
[第1の輸液バッグ包装体(請求項1)]
この輸液バッグ包装体(以下「包装体(II)」とも称する)が適用される輸液バッグ(3)は、一室型、二室型の区別を問わない。また、二室型の輸液バッグである場合の外装袋(1)への収納姿勢も伸直姿勢又は二室折り重ね姿勢のいずれであってもよく、更に2つの輸液室(3A)と(3B)とが共に、調剤処理の実施及び脱酸素雰囲気の保持を要求される輸液バッグである場合にも適用される包装形態である。
【0021】
図6は輸液バッグ包装体(II)の例を示している。図7はそのY-Y矢視図である。図示のように、外装袋(1)は、重ねシール(13)により2つの袋室(1C)と(1D)とに分けられ、一方の袋室(1C)に輸液室(3A)(3B)が内包され、他方の袋室(1D)には、輸液室(3B)(調剤処理が施される輸液室である)のポート(33B)が突出している。該重ねシール(13)は、輸液室(3B)のポート(33B)を挟むように、外装袋の向い合う外装シート(10)(10)同士を密着させ、外装袋の全幅に亘って気密に接合することにより形成される。
【0022】
重ねシール(13)の形成において、外装シート(10)(10)で挟み付けられるポート(33B)は円筒状であるため、そのままではポート(33B)まわりを確実にシールするのは容易でないが、この困難はポートスペーサー(4)を使用することにより解消される。ポートスペーサー(4)は、ポート(33B)の外周と同様のプラスチック材種(例えばポリエチレンやポリプロピレン等)からなり、図8に示すように外装袋(1)の幅方向に長い略船型の形状を有している。このようにポート(33B)の胴部周囲に、ポートスペーサー(4)を形設してポート(33B)部に、外装袋(1)の幅方向になだらかな外形状をもたせることにより、ポート(33B)を挟む外装シートの全幅に亘る接合が容易化され、重ねシール(18)の気密性を確保し易くなる。
【0023】
ポートスペーサー(4)の形状は図示の例に限定されず、要は外装袋の幅方向に厚みが漸減して鋭角状の突端をなし、その形状効果として、ポート(33B)に対する外装シート(10)(10)の挟み付け(密着)が容易化されるものであればよい。そのサイズについても、重ねシール(18)の形成施工に適した適宜サイズを採用すればよい。なお、ポートスペーサー(4)の形設は、ポート(33B)との一体品として射出成形により行なうことができ、あるいはポート(33B)とは別部品(射出成形品)として用意し、ポート(33B)に嵌着するようにしてもよい。
【0024】
図9は、上記輸液バッグ包装体(II)の形成工程の例を示している。図示のように、外装袋(1)に、輸液バッグ(3)を2つ折りに折り重ねて収納する。片方の輸液室(3B)(調剤処理が施される輸液室)のポート(33B)には略船型形状のスペーサー(4)が形設されている。ついで、ポート(33B)のスペーサー(4)を挟み付けるように、外装袋の向い合う外装シート(10)(10)同士を密着させ、重ね合わせ面を溶着治具(f1)で溶着して重ねシール(13)を形成する。ついで外装袋(1)の開口(11)の端縁部(11E)(11E)を溶着治具(f1)で溶着封止することにより、図6(図7)の包装体を得る。なお、重ねシール(13)は、端縁部(11E)(11E)を溶着封止した後に形成してもよい。
【0025】
上記説明では、重ねシール(13)の形成施工を、溶着により行なっているが、外装シート(10)の内面の材種やポートスペーサー(4)の材種等に応じて、溶着のほか、感熱接着剤、粘着剤等を使用して行なうこともでき、あるいは超音波接合や高周波接合などの手法も適用される。
【0026】
上記輸液バッグ包装体(II)の輸液バッグ(3)に対する調剤処理(輸液室3Bへのビタミン剤混注等)は、図10に示すように、外装袋(1)の袋室(1D)の端部を、ノッチ(14)(図6)から切取り、開封口(16D)に臨むポート(33B)を介して輸液室(3B)内に注射器(6)を刺し込むことにより行なう。袋室(1D)が開封されても、輸液室(3A)(3B)が内包された袋室(1C)は、重ねシール(13)で遮断されているので、密封状態が損なわれることはなく、輸液の変質防止に必要な当初の脱酸素雰囲気がそのまま保持される。開封された袋室(1D)の開封口(16D)はそのままにしておいて差支えないが、異物や汚れの付着防止に必要ならば、それに必要な程度にクリップ等で簡単に閉じておけばよい。
【0027】
上記説明では、二室型輸液バッグ(3)の一方の輸液室(3B)にのみ調剤処理を施しているが、2つの輸液室(3A)(3B)のそれぞれに調剤処理が施される場合は、図11に示すように、輸液バッグ(3)を伸直姿勢で収納し、各輸液室のポート(33A)(33B)のそれぞれに、重ねシール(13)(13)を設けて袋室(1D)(1D)を形成すればよい。各輸液室(3A)(3B)に対する調剤処理は、両側の袋室(1D)(1D)を開封することにより行なわれるので、輸液室(1C)は輸液の変質防止に必要な当初の脱酸素雰囲気がそのまま保持される。
【0028】
[第2の輸液バッグ包装体(請求項2)]
この輸液バッグ包装体(以下「包装体(III)とも称する」)の包装形態は、一室型、二室型のいずれの輸液バッグ(3)にも適用される。また二室型輸液バッグである場合の外装袋(1)への収納姿勢も、伸直姿勢または二つ折り重ね姿勢のいずれであってもよい。更に2つの輸液室(3A)と(3B)のそれぞれに対して、調剤処理の実施及び脱酸素雰囲気の保持が要求される二室型輸液バッグにも適用可能である。
【0029】
図12はこの輸液バッグ包装体(III)の包装形態の例を示している。図13は、図12のX-X矢視図である。この包装体(III)は、注射器刺込み用口金(以下「刺針用口金」)(2)が、調剤処理される輸液室(3B)のポート(33B)が臨む側の袋端又はその近傍に位置して、外装袋(1)の内面側に取り付けられている。
この包装体の輸液バッグ(3)に対する注射器による調剤処理は、図14に示すように、外装袋(1)の開封を必要とせず、外装袋(1)の外部から、刺針用口金(2)に注射器(6)の針を刺し込むことにより行なわれる。従って、外装袋(1)は当初の密封状態はほとんど損なわれることがなく、輸液バッグ(3)の輸液の品質保持に必要な脱酸素雰囲気がそのまま維持される。
【0030】
図15に刺針用口金(2)の例を示す。同図(a)は正面図、同図(b)はX-X矢視断面である。刺針用口金(2)は、柱状のゴム体(21)(これに注射器の針が刺し通される)と、そのゴム体(21)を保持する座部(22)とで構成され、ゴム体(21)は座部(22)の略中央部に位置している。この刺針用口金(2)は、例えば個別に成形したゴム体(21)と座部(22)とを嵌合一体化した組付け品、あるいは2色成形等の射出成形法による一体成形品として製作したものであってよい。ゴム体(21)の材種は、ブチルゴム,ブタジエンゴム,イソプレンゴム,ウレタンゴム等であり、座部(22)の材種は、例えばポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレン系ポリマー,ポリプロピレン系ポリマー,ポリ塩化ビニル等の単体材又は複層構成材である。なお、座部(22)には、必要に応じてゴム体(21)の両側に2条の平行なV字溝条(23)が形成されている。V字溝条(23)は、同図(c)のように、刺針用口金(2)を屈曲変形させるヒンジの役目をなす。これは後述のように、刺針用口金(2)の取付け及び調剤処理時の作業性を高めるのに役立つ。
【0031】
図15に示した刺針用口金(2)は略長円の平面形状を有しているが、このほか円形、正方形、長方形、菱形等であってよい。ゴム体(21)も同じように円形、楕円形状、正方形、長方形、菱形等であってよい。刺針用口金(2)のサイズは特に限定されないが、機能性の点から、ゴム体(21)は差渡し径約1〜20mm、座部(22)の差渡し径は約5〜40mm、肉厚は約0.3〜5.0mm、V字溝条(23)の傾斜角(θ)は約30〜90゜、溝深さ(h)は肉厚の約0.7〜0.9である。具体例を挙げれば、前記図14の刺針用口金(2)では、ゴム体(円柱状)(21)の直径:5mm、座部(22)の長径:20mm、短径:15mm、肉厚(t)1.5mm、V字溝条(23)の傾斜角(θ):45゜、溝深さ:4mmである。
【0032】
図16は、外装袋(1)の刺針用口金(2)の取り付け部分を拡大して示している。刺針用口金(2)は、座部(22)のV字溝条(23)を外装袋(1)の幅方向に一致させて外装シート(10)の内側面に取り付けられている(同図は刺針用口金2をV字溝条23部で屈曲させ溝を閉じた状態を示している)。外装シート(10)に対する刺針用口金(2)の取付けは、座部(22)の表面を外装シート(10)に対する接着面として、溶着により、又は適宜接着剤を介して接着し、あるいは超音波接合、高周波接合等の手法を用いて行なわれる。
【0033】
刺針用口金(2)が取り付けられる外装シート(10)には、所望により、刺針用口金(2)のゴム体(21)(注射針が刺し通される)に対面して小孔(24)(針通し孔)が設けられる。これにより調剤処理に際して注射器の針の刺し込みの抵抗が少なくなる。また、小孔(24)を覆うタックラベル(25)を外装シート(10)の外側面に貼着しておくことにより、小孔(24)に臨むゴム体(21)の汚れ・異物の付着、小孔(24)による酸素バリアー性の低下を防止することができる。該タックシート(25)は注射器の刺し込みに際して剥離除去される。
【0034】
前記図16では、刺針用口金(2)を外装袋(1)(3方シール製袋)の稜部(外装シート10の折曲げ部)に取付けているが、これは刺針用口金(2)を輸液バッグ(3B)のポート(33B)に正対させ、ポート(33B)に注射器針を刺し込み易くするためである。しかし、刺針用口金(2)の取付け位置はこれに限定されず、図17のように平面状に取付けてもよい。この場合は、図18のように刺針用口金(2)を起してポート(33B)に正対させればよい。刺針用口金(2)の座部(22)にV字溝条(23)を設けておけば、刺針用口金(2)の向きを変える操作を手作業で容易に行なうことができる。
【0035】
外装シート(10)に対する刺針用口金(2)の取付けは外装袋(1)の製袋工程で行なうことができる。図19にその例を示す(図は3方シール製袋の例である)。図中、イ〜ハ部は、外装シートに対する刺針用口金(2)の形成工程、ニ〜ホ部は3方シール製袋工程である。図20〜22図は、刺針用口金形成工程のイ部,ロ部及びハ部、図23はニ部の様子をそれぞれ示している。外装シート(SR)から連続的に巻出される外装シート(10)は、ローラ群(r,r…)で移送され、まずイ部において小孔(24)が形成され(図20)、ロ部で刺針用口金(2)を取り付けられ(図21)、ハ部でタックシート(25)が外側面(図では下面側)に貼着される(図22)。
【0036】
ついで、外装シート(10)はニ部で折り重ねられ(図23)、ホ部において溶着治具(f)により、外装袋(1)の幅サイズに対応するピッチで溶着代(1S)が形成される。しかるのち、溶着代(1S)で分断することにより3方シール外装袋(1)を得る。得られた外装袋(1)の開口から輸液バッグ(3)を収納し密封することにより、前記図12(図13)の輸液バッグ包装体(III)に仕上げられる。輸液バッグ(3)が二室型である場合の収納姿勢は、図12等に示した伸直姿勢のほか、2つの輸液室を折り重ねた姿勢としてもよいことはいうまでもない。
【0037】
なお、本発明の輸液バッグ包装体に使用される外装袋(1)は、各包装形態(I)〜(III)のいずれにおいても、3方シール型,4方シール型、あるいはサイドガゼット型等の周知の形態を任意に適用することができる。外装シート(10)の材種についても、輸液バッグ包装に使用されている、酸素バリアー層(透明蒸着層,EVOH,PVOH等)を有する各種ラミネートシートが適宜使用される。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、輸液バッグ包装体の密封状態を損なうことなく、輸液バッグに対する注射器による調剤処理を施すことができ、調剤処理後も当初の脱酸素雰囲気がそのまま保持される。従って、在宅医療に供用される輸液バッグのように調剤処理後、患者に使用するまで比較的長い時間経過を伴うような場合でも、従来のような面倒な再封操作を必要とせず、輸液品質を安定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考実施形態に係る輸液バッグ包装体(I)を示す正面図である。
【図2】図1のX−X矢視図である。
【図3】輸液バッグ包装体(I)の形成工程の例を示す断面説明図である。
【図4】輸液バッグ包装体(I)の輸液バッグに対する注射器による調剤処理を示す正面説明図である。
【図5】輸液バッグ包装体(I)を使用する際の開封状態を示す正面図である。
【図6】本発明の輸液バッグ包装体(II)の実施例を示す正面図である。
【図7】図6のY−Y矢視図である。
【図8】ポートスペーサーの例を示す外観斜視図である。
【図9】輸液バッグ包装体(II)の形成工程の例を示す断面説明図である。
【図10】輸液バッグ包装体(II)の輸液バッグに対する注射器による調剤処理を示す正面説明図である。
【図11】輸液バッグ包装体(II)の他の例を示す正面図である。
【図12】本発明の輸液バッグ包装体(III)の例を示す正面図である。
【図13】図12のX−X矢視図である。
【図14】輸液バッグ包装体(III)の輸液バッグに対する注射器による調剤処理を示す正面説明図である。
【図15】注射針刺し込み用口金の例を示す図(同図(a):正面図、同図(b)(c):X−X矢視断面図)である。
【図16】輸液バッグ包装体(III)の刺針用口金取付け部を示す図である。
【図17】輸液バッグ包装体(III)の刺針用口金取付け部を示す図である。
【図18】輸液バッグ包装体(III)の刺針用口金取付け部を示す図である。
【図19】輸液バッグ包装体(III)に使用される外装袋の製袋工程の例を示す図である。
【図20】図19のイ部を示す断面説明図である。
【図21】図19のロ部を示す断面説明図である。
【図22】図19のハ部を示す断面説明図である。
【図23】図19のニ部を示す説明図である。
【図24】輸液バッグの例を示す正面図である。
【図25】図24の側面図である。
【図26】輸液バッグ包装体の一般的包装形態を示す正面図である。
【図27】図26の輸液バッグ包装体の輸液バッグに対する注射器による調剤処理を示す正面説明図である。
Claims (2)
- 酸素バリアー性プラスチックシートからなる外装袋とこれに封入された輸液バッグとからなり、輸液バッグの輸液室のポートを介して注射器による輸液の調剤処理が施される輸液バッグ包装体において、外装袋の幅方向に長い略舟型形状を有するプラスチック製ポートスペーサーが、調剤処理が施される前記輸液室のポートの周面に形設されていると共に、外装袋のおもて側とうら側の外装シートが、前記ポートスペーサーに密着して互に押付けられ、外装袋を横断する向きに全幅に亘って気密に接合されていることにより、外装袋が輸液室を内包する袋室と前記ポートが突出した袋室とに分けられていることを特徴とする輸液バッグ包装体。
- 酸素バリアー性プラスチックシートからなる外装袋とこれに封入された輸液バッグとからなり、輸液バッグの輸液室のポートを介して注射器による輸液の調剤処理が施される輸液バッグ包装体において、ゴム体と該ゴム体を保持する座部とからなる注射針刺し込み用口金が、調剤処理が施される前記輸液室のポートが臨む側の袋端もしくはその近傍に位置して外装袋の内側面に取付けられており、外装袋の外側から前記口金のゴム体を通して外装袋内に注射器の針が刺し込まれることを特徴とする輸液バッグ包装体。
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