JP4865939B2 - 保護剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護剤に関し、特に小型部品に使用するコイルの保護部に用いて有効な保護剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器は急速に小型化が進み、携帯の小型端末が開発された。小型電子機器に含まれる電子式時計分野においてもデザインや、重量、大きさ等を考慮して小型化が進んでいる。
【0003】
電子式時計の基本構造は、電池を含む電子回路と、時刻を表示するための指針を動かす為の輪列部と、電力を動力に変換するためのモータ部分とから出来ている。モーター部分には、軟磁性体から成る巻芯に線材を巻いたコイルを部品として使用している。発電を行う電子式時計では機械エネルギーを電気エネルギーに変換するためのコイルを有している。
【0004】
このような従来のコイルの構造を図1に示したコイルの断面図を用いて説明する。コイル100は軟磁性体材料でできている巻芯105に、銅等の導電性のある細い導線材109を巻き重ねた構造をしている。このため、導線材109が物理的な衝撃によって崩れないように、巻き重ねた導線材109の両端部の巻芯105に巻き枠103を嵌着している。巻き枠103は、ポリエステルや、ポリプロピレン等の高分子材料を、目的とする形に打ち抜く方法で作成し、切断面に残されたバリを除去するためにバレル処理を行った物などが使用できる。
【0005】
導線材109の2本の端末109aは、他の部品との導通をとるための端子シート107上の配線パターン107aに接続されている。また、コイル100を時計に組み込むときや、修理のためにコイルを時計から外したりするときに、むき出しになった導線材109の断線を予防するため、巻き重ねた導線材109の外周及び端末部分に保護層101を被覆している。保護層101は、コイル100全体の大きさが大きすぎないように考慮して巻き枠の側面103aで接するようにしている。保護層101は保護剤(紫外線硬化型接着剤)をコイル上の必要な部分に塗布した後、紫外線を照射することにより硬化させて形成している。
【0006】
これまで本出願人は保護剤として、例えばアセック社製紫外線硬化型接着剤AS−1000Y、AS−1000Gを使用してきた。材料は主にアクリルで出来ており、黄色の着色剤等の添加剤が含有されている(アセック社カタログ、MSDSより転記)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の保護剤を使用してコイルを生産すると、硬化の速度が遅いために、4kW定格の大型UV炉を用いなくてはならないため、生産時の消費電力が大きくなり、小型部品を製造するにも関わらず広いスペースを必要としていた。更に、生産用のキャリヤーごとUV炉の中を通過するため、プラスチック製キャリヤの寿命が変質により短くなるといった課題があった。また、硬化時点で断線が生じたり、塗布した保護剤が、導線材に流れてしまい硬化後の保護層が薄くなり、保護層として機能しなくなるといった課題がある。このため、コイルの製造ラインには検査工程を設置している。
【0008】
また、従来の保護剤には検査を行うために黄色の着色剤が添加されている。着色剤の量は検査工程で、保護剤が良好に塗布されているかを検査するために最小量に設定されているが、これを用いてコイルを作成すると、見た目の色が変色してしまうと行った問題がある。時計部品においては、特に見た目の美しさが重視されるので、変色は大きな課題となっている。
【0009】
更に、従来の端末部分に使用している保護剤は、経時的に樹脂が液体部分とゲル上の部分とに分離してしまうといった問題がある。また、分離を進行させないために常に冷蔵庫に保管する必要があり、停電時には保管していた材料が使用できなくなってしまうといった問題がある。また、製造ラインは一般的には室内が蛍光灯の下で製造しているので、従来の保護剤は蛍光灯でも硬化してしまうためメンテナンスを実施するとき保護剤の供給部に室内灯があたると、供給部の樹脂が硬化したりして、作業性が悪かった。この様に、保存性についても課題がある。
【0010】
そこで本発明は、従来の上記課題を解決するためになされたものであり、UV炉を使用することなしに、小型の作業スペースの効率が良く消費電力の少ないUV照射器で硬化が可能で、コイルの変色による外観品質を低下させることのない、保存性の良い保護剤を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の要旨は以下のとおりである。
保護剤のモノマーにアクリレートを用い、これに少なくとも、光重合開始剤を0.01から8wt%を混合し、前記モノマーは、1分子中に3つ以下のアクリル基を有するとともに、少なくとも光重合開始剤を0.01から8wt%を混合した時の粘度が20℃から45℃の範囲の温度で800mPa・sから1500mPa・sの範囲であり、さらに蛍光剤を0.01から5wt%添加してなることを特徴とし、さらに保護剤のモノマーにアクリレートを用い、これに少なくとも、光重合開始剤を0.01から8wt%を混合し、前記モノマーは、1分子中に3つ以下のアクリル基を有するとともに、粘度が20℃から45℃の範囲の温度で500mPa・s以下であり、
さらに蛍光剤を0.01から5wt%添加してなることを特徴とする。
【0012】
端末部の保護剤としてはチクソ剤を0.1から20wt%添加してなる事を特徴とし、またチクソ剤が2酸化ケイ素であることを特徴とする。
また、蛍光剤を0.01から5wt%添加してなることを特徴とし、また光重合開始剤が可視光線に感度を持たないことを特徴とし、また光重合開始剤に少なくとも、アセトフェノン誘導体、α−アミノアセトフェノン誘導体から選ばれる化合物を含有することを特徴とし、また電子機器のコイルの保護剤に用いたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例を基にさらに詳しく説明するが本発明は以下に示す化合物に限定されるものではない。
【0014】
本出願人は、時計を初め、その部品であるコイルの製造も行っている。コイルの製造ラインは1ライン当たり、1秒に1つの割合で製造を行っている。外周部の保護層を形成するための保護剤は、はけ等を使用して塗布している。1秒で塗布工程を完了するには、実質塗布にかけられる時間は0.5秒前後となるため、塗布条件を合わせ込む必要がある。このため製造機には25℃から45℃に調整できる温度調節器を具備している。この温度条件下で塗布が出来る粘度は800mPa・sから1500mPa・sであった。粘度が低すぎると樹脂が流れてしまい不良となり、逆に粘度が高すぎると、樹脂に片寄りが発生してしまうため不良を発生してしまう。樹脂が流れてしまったコイルは、保護層が薄くなってしまうため保護されず、逆に片寄りの発生したコイルは、部分的に厚みが大きくなるので時計の中に収納できなくなってしまった。
【0015】
一方、端末部の保護層を形成するための保護剤は、ディスペンサと呼ばれる小型で一定量の樹脂を吐出する事のできる注射器のような物で塗布している。1秒で塗布工程を完了するには、実質塗布にかけられる時間は0.5秒前後となるため、塗布条件を合わせ込む必要がある。このため製造機には25℃から45℃に調整できる温度調節器を具備している。吐出を良好に行うためには柔らかい材料が吐出性が良いため、温度調節の出来る範囲においてモノマーの粘度は20℃から45℃で500mPa・s以下であった。
【0016】
端末部の保護剤は、端子シート上の配線パターンに導電材の2本の端末との接点に塗布されるため、保護剤が流れると配線パターンを被覆してしまい、他の部品と導通が取れなくなるといった問題が発生する。流れを防止するために、保護剤にチクソ剤として2酸化ケイ素を添加してチクソ性を付与した。添加量としては0.1wt%から20wt%が適度であった。添加量が少なすぎると、樹脂が流れてしまい、逆に多すぎると、樹脂が硬くなり良好に塗布出来なかった。
【0017】
モノマーとしては、アクリル基を有するアクリレートや、メタクリル基を有するメタクリレートなどがあり、更に1分子中にそれぞれの基が、複数個含有されている物などがある。硬化反応を迅速に進める上では、1分子中に多くのアクリル基やメタクリル基がある方が有利であるが、小型部品用のコイルの導線材109の直径は25μm以下であるため、硬化収縮を制御しなければならないことを考慮すると1分子中のアクリル基や、メタクリル基は3個以内にすることが好ましい。
【0018】
また、アクリル基とメタクリル基との反応性を比較したところアクリル基は、メタクリル基と比較して反応性が高く、量産機ではアクリル基を有するモノマーだけを使用することが出来た。
【0019】
製造ラインで使用できる小型の紫外線照射器としては、500W以下の物が、小型で好ましいが、製造に要する電力は少ない方がより好ましい。本出願人は250Wの小型のファイバーで照射が可能なUV照射器を選定した。
改良後に使用する低電力のUV照射器で、短時間(本出願人の所有するコイル製造ラインでは、UV照射時間は最大でも0.7秒以内である)で硬化するためには、光重合開始剤が機能する感度の波長域を広くすることが好ましいが、製造ラインは蛍光灯照明の下で生産していることから、蛍光灯の光で硬化しない方が作業がしやすく、製造上有利である。したがって400nm以上の可視光線の範囲の光を吸収しない重合開始剤を選ぶことが重要である。本実施例に用いた光重合開始剤は、吸収波長にも注意してアセトフェノン誘導体とα−アミノアセトフェノン誘導体とを用いたが、目的とする条件を満たせば他の開始剤も使用することが出来る。
【0020】
光重合開始剤の量は、0.01wt%から8wt%の範囲が好ましい。量が少なすぎると未硬化となってしまい、量が多すぎると底部が未硬化となり不良となってしまう。
【0021】
保護層が目的とする状態で形成されたかは、画像処理装置などを用いて判断している。画像処理装置では特に塗り残しや、塗る位置が広がりすぎたり、ずれていたりしていないかを判断している。本出願人は画像処理の為に特別な色を樹脂に着色したくない。このため、ブラックライトを照射することで発光する蛍光体(無機物やクマリン誘導体などの有機染顔料)を0.01wt%から5wt%の範囲で添加した。添加量が少ないと発光が少ないため、画像処理装置に認識されないといった問題が発生し、逆に多すぎると、樹脂の硬化反応が抑制されて未硬化樹脂となり不良となってしまった。
【0022】
(実施例)
光重合開始剤の最適量を把握する。
巻枠103、端子シート107をつけた巻芯105に太さが25μm以下の導線材109を巻き、導線材109の端末109aを端子シート107上の配線パターン107aに接続したコイル100の半完成品を用意した。
外周部に20℃から45℃のいづれかの温度で、粘度が800mPa・sから1500mPa・sのアクリレートに光重合開始剤としてアセトフェノン誘導体とα−アミノアセトフェノン誘導体を0.005、0.01、5、8、10wt%を添加した保護剤をはけを用いて塗布した。
端末部に20℃から45℃のいづれかの温度で、粘度が500mPa・s以下のアクリレートに光重合開始剤を加たものに、それぞれチクソ剤として2酸化ケイ素の微粉末を0.1から20wt%添加した保護剤をディスペンサを用いて塗布した後、UV照射を行ってコイルを製造した。
【0023】
この結果、光開始剤の量が0.01wt%から8wt%の場合はいづれの場合も良好に保護剤も良好に硬化して、コイルを製造することが出来たが、光開始剤濃度が0.005wt%の場合と、10wt%の場合は、未硬化が発生し良品のコイルを得ることは出来なかった。
以上の結果から、保護剤に添加する光開始剤の適量は0.01wt%から8wt%であることが判った。以上の結果を表1にまとめる。
【0024】
【表1】
【0025】
アクリルモノマーの1分子中のアクリル基の数を検討する。
巻枠103、端子シート107をつけた巻芯105に太さが25μm以下の導線材109を巻き、導線材109の端末109aを端子シート107上の配線パターン107aに接続したコイル100の半完成品を用意した。1分子中のアクリル基の数が2個、3個、4個の20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が800mPa・sから1500mPa・sのアクリルモノマーと、光重合開始剤とを用いて外周部の保護剤を作成した。この保護剤を用いて前記コイルの外周部にはけを用いて塗布し、UV照射を行って、コイルを作成した。
【0026】
この結果1分子中のアクリル基の数が3個以下の場合はいづれの場合も硬化収縮が少なかったために断線が発生せず良好なコイルが作成できたが、1分子中のアクリル基の数が4個の場合には硬化収縮が大きかったので断線が発生した。以上のことから、外周部を保護するための保護剤は、1分子中のアクリル基の数が3個以下のアクリルモノマーが適していることが判った。結果を表2にまとめる。
【0027】
【表2】
【0028】
巻枠103、端子シート107をつけた巻芯105に太さが25μm以下の導線材109を巻き、導線材109の端末109aを端子シート107上の配線パターン107aに接続したコイル100の半完成品を用意した。 1分子中のアクリル基の数が2個、3個、4個の20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が500mPa・s以下のアクリルモノマーと、光重合開始剤とチクソ剤とを用いて端末部の保護剤を作成した。この保護剤を用いて前記コイルの端末部にディスペンサを用いて塗布し、UV照射を行って、コイルを作成した。
【0029】
この結果1分子中のアクリル基の数が3個以下の場合はいづれの場合も断線が発生せず良好なコイルが作成できたが、1分子中のアクリル基の数が4個の場合には断線が発生した。以上のことから、外周部を保護するための保護剤は、1分子中のアクリル基の数が3個以下のアクリルモノマーが適していることが判った。結果を表3にまとめる。
【0030】
【表3】
【0031】
外周部の保護剤に適する粘度を見いだす事を目的として以下の実験を実施した。
巻枠103、端子シート107をつけた巻芯105に太さが25μm以下の導線材109を巻き、導線材109の端末109aを端子シート107上の配線パターン107aに接続したコイル100の半完成品を用意した。続いて、外周部に20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が500mPa・s、800mPa・s、1000mPa・s、1300mPa・s、1500mPa・s、1800mPa・sのアクリレートと光重合開始剤とからなる保護剤をはけを用いて塗布した後、UV照射を行って保護層の形成状態を確認した。
【0032】
この結果、1000mPa・s、1300mPa・s、1500mPa・sの保護剤を用いて作成したコイルはいづれの場合も良好な保護層を形成したが、500mPa・sの保護剤を用いた場合は、保護剤が流れすぎてしまい、保護層の厚みが薄くなり保護層としての役割が出来ず、不良品となってしまった。1800mPa・sの保護剤を用いた場合は、樹脂が流動しないため塗りむらが発生し、不良となってしまった。以上のことから外周部の保護剤の粘度は20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が800mPa・sから1500mPa・sでなくてはならないことが判った。結果を表4にまとめる。
【0033】
【表4】
【0034】
端末部の保護剤のモノマーの粘度範囲と、チクソ剤の添加量の範囲を見いだすため以下の実験を実施した。
巻枠103、端子シート107をつけた巻芯105に太さが25μm以下の導線材109を巻き、導線材109の端末109aを端子シート107上の配線パターン107aに接続したコイル100の半完成品を用意した。続いて、端末部に20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が300mPa・s、500mPa・s、800mPa・sのアクリレートに光重合開始剤を加たものに、それぞれチクソ剤として2酸化ケイ素の微粉末を0、0.1、10、20、25wt%添加した保護剤をディスペンサを用いて塗布した後、UV照射を行ってコイルを製造した。
【0035】
この結果、モノマー粘度が300mPa・s、500mPa・sを使用して、2酸化ケイ素が添加量が0.1、10、20wt%の場合はいづれの場合も良好にコイルを製造することが出来たが、モノマー粘度が800mPa・sの場合で2酸化ケイ素の添加量が20wt%未満の場合は、ディスペンサで保護剤を吐出させたとき樹脂が糸状に尾引きを発生したため、保護剤が不要部にも付着して不良となってしまった。2酸化ケイ素の添加量が25wt%の場合はいづれも保護剤が硬くなり、保護剤を安定してディスペンサから吐出させることは出来なかった。2酸化ケイ素を添加しなかった場合はいづれも保護剤が不要部に流れてしまい、不良となってしまった。以上の結果から、端末部を保護するための保護剤は20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が500mPa・s以下で、チクソ剤として2酸化ケイ素を0.1wt%から20wt%含有する事がよいことが判った。以上の結果を表5にまとめる。
【0036】
【表5】
【0037】
蛍光体の添加量を求める実験を実施した。
巻枠103、端子シート107をつけた巻芯105に太さが25μm以下の導線材109を巻き、導線材109の端末109aを端子シート107上の配線パターン107aに接続したコイル100の半完成品を用意した。1分子中のアクリル基の数が3個以下の20℃から45℃のいづれかの温度で、粘度が800mPa・sから1500mPa・sのアクリルモノマーと、光重合開始剤と蛍光体としてクマリン誘導体を0、0.01、1、5、8wt%添加して外周部の保護剤を作成した。
1分子中のアクリル基の数が3個以下の20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が500mPa・s以下のアクリルモノマーと、光重合開始剤とチクソ剤と蛍光体としてクマリン誘導体を0、0.01、1、5、8wt%添加して端末部の保護剤を作成した。
この保護剤を前記コイルの外周部と端末部とに塗布し、UV照射を行って、コイルを作成し、ブラックライトの下で画像処理装置により検査を行った。
【0038】
この結果、蛍光体添加量が0.01wt%から5wt%の保護剤を用いたコイルは画像処理装置に良好に認識され、塗布状態を製造ライン内で全て検査することが出来た。0wt%の場合は、樹脂の有無が確認されず、検査を行うことが出来なかった。8wt%のものは、検査は出来るものの、樹脂が未硬化となり不良品となってしまった。以上の結果から、蛍光体の添加量として0.01wt%から5wt%の範囲であることが判った。以上の結果を表6にまとめる。
【0039】
【表6】
【0040】
端末部に1分子中のアクリル基の数が3個以下の20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が500mPa・s以下のアクリルモノマーと、光重合開始剤とチクソ剤と蛍光体とからなる保護剤を用い、外周部に1分子中のアクリル基の数が3個以下の20℃から45℃の範囲の温度で、粘度が800mPa・sから1500mPa・sのアクリルモノマーと、光重合開始剤と蛍光体とからなる保護剤を用いて、コイルを作成した。このコイルを用いて、シチズン時計製時計ムーブメント(No.2035)を組み立てた。この結果、−10℃から80℃の間で進み遅れなく良好に時計は作動した。
また、コイルの外観品質を見たところ、変色がなくなったので付加価値が高くなった。
【0041】
また製造中、蛍光灯の下で作業したが樹脂が固まらなかったので、不良品を作成することがなかった。更に、作業性が向上したため、メンテナンスの所要時間が短縮されたため生産効率が向上した。
試験期間中に樹脂は常温で分離することもなかったため、装置内に充填してある樹脂が分離しないので、メンテナンスが不要であった。また、備蓄している樹脂が常温で分離しなくなったため、常温保存しておいた樹脂を即時しよう出来るようになった。(従来は、冷蔵保存しており、使用を開始する1時間前に常温に戻す作業が必要であった。)
【0042】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、粘度が20℃から45℃のいづれかの温度で800mPa・s以上で1500mPa・s以下のモノマーに1分子中に3個以下のアクリル基を有するアクリレートを用い、これに少なくとも光重合開始剤としてアセトフェノン誘導体や、α−アミノアセトフェノン誘導体を0.01から8wt%と、クマリン誘導体などの蛍光体を0.01から5wt%添加した保護剤を外周部に使用し、粘度が20℃から45℃のいづれかの温度で500mPa・s以下のモノマーに1分子中に3個以下のアクリル基を有するアクリレートを用い、これに少なくともチクソ剤として2酸化ケイ素を0.1から20wt%添加し、光重合開始剤としてアセトフェノン誘導体や、α−アミノアセトフェノン誘導体を0.01から8wt%と、クマリン誘導体などの蛍光体を0.01から5wt%添加した保護剤を外周部に使用したので、コイルの色を変色することなしに良好なコイル部品を得ることが出来るようになった。
【0043】
この結果、見た目に美しい時計ができあがり、商品の付加価値が高くなった。
また、製造工程においては、蛍光灯の光で硬化しないので作業性がよくなり、塗布装置の先端での硬化がなくなったため、不良品を作成する事がなくなり歩留まりが向上した。また、これまで大型のUV炉を用いて硬化させていたが、本発明の保護剤を用いることにより250Wの小型UV照射器で生産できるようになったので製造スペースを縮小することが出来、更に生産に関与する消費電力を少なくすることが出来た。また、本発明の保護剤はブラックライトで発光するタイプであるため、画像検出器の判定が楽に行えるようになった。
【0044】
この結果、不良判別が正確に出来るようになった。また、保存性による保護剤の分離がなくなったため、保存に冷蔵庫が必要なくなった。このため、停電したとき材料を無駄にしてしまうことがなくなった。また、この他、製造時にUV炉をキャリヤが通過しないため、キャリヤの寿命が大幅に延びたため、予備のキャリヤを準備することもなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】コイルの断面図である。
【符号の説明】
100 コイル
101 保護層
103 巻き枠
103a 巻き枠の側面
105 巻芯
107 端子シート
107a 配線パターン
109 導線材
109a 端末
Claims (6)
- モノマーにアクリレートを用い、これに少なくとも、光重合開始剤を0.01から8wt%を混合し、
前記モノマーは、1分子中に3つ以下のアクリル基を有するとともに、少なくとも光重合開始剤を0.01から8wt%を混合した時の粘度が20℃から45℃の範囲の温度で800mPa・sから1500mPa・sの範囲であり、
さらに蛍光剤を0.01から5wt%添加してなることを特徴とする電子機器のコイルの保護剤。 - モノマーにアクリレートを用い、これに少なくとも、光重合開始剤を0.01から8wt%を混合し、
前記モノマーは、1分子中に3つ以下のアクリル基を有するとともに、粘度が20℃から45℃の範囲の温度で500mPa・s以下であり、
さらに蛍光剤を0.01から5wt%添加してなることを特徴とする電子機器のコイルの保護剤。 - チクソ剤を0.1から20wt%添加してなる事を特徴とする請求項2記載の電子機器のコイルの保護剤。
- 前記チクソ剤が2酸化ケイ素であることを特徴とする請求項3記載の電子機器のコイルの保護剤。
- 前記光重合開始剤に、少なくとも、アセトフェノン誘導体、α−アミノアセトフェノン誘導体から選ばれる化合物を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子機器のコイルの保護剤。
- 前記蛍光剤がクマリン誘導体であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器のコイルの保護剤。
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