JP4865186B2 - Iii−v族化合物半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

Iii−v族化合物半導体装置及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III-V族化合物半導体装置及びその製造方法に関し、特にAlGaInP層の上にAlGaAs層が積層されたIII-V族化合物半導体及びAlGaInP層の上にAlGaAs層が積層されたIII-V族化合物半導体を有するIII-V族化合物半導体装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
III-V族化合物半導体は半導体レーザ(LD:Laser Diode )及び発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光素子や、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor )及びヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor )等の論理回路素子といった、様々な半導体素子を構成する材料として広く利用されている。これらの装置において、互いに混晶組成が異なる複数の半導体層が積層されることにより、所望の光学的特性及び電気的特性が実現されている。
【0003】
このようなIII-V族化合物半導体からなる半導体装置は、ナノメートルオーダーでの膜厚制御や界面の急峻性が必要とされるため、有機金属気相成長(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy )法や、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法により製造されるのが一般的である。
【0004】
特に、AlxGayIn1-x-yP (但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1である。)及びAlzGa1-zAs(但し、0≦z≦1である。)はそれぞれ可視領域及び赤外領域に対応するバンドギャップを有し、発光素子の半導体材料として重要である。さらに、それぞれのAlの組成を変化させることにより、バンドギャップを広範囲に変化させることが可能であり、AlGaInP層とAlGaAs層とを相互に組み合わせることにより、半導体装置における電気的特性及び光学的特性を様々に設計することが可能となる。これにより、新しい性能を備えた高性能の半導体装置を実現することができるので、AlGaInP層とAlGaAs層とを組み合わせたIII-V族化合物半導体の開発は特に重要である。
【0005】
そこで、本願発明者は、MOVPE法により、図25に示すIII-V族化合物半導体を作製した。図25に示すように、本願発明者が作製したIII-V族化合物半導体は、GaAsからなる基板201の上に、膜厚が約0.2μmのAl0.35Ga0.15In0.5P からなるAlGaInP層202、膜厚が約0.3μmのAl0.6Ga0.4AsからなるAlGaAs層203が順次積層されている。
【0006】
【非特許文献1】
第62回応用物理学会学術講演会 講演予稿集 14p-B-3
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のIII-V族化合物半導体を肉眼で観察すると、全面に白濁が見られ、結晶欠陥が生じていることが観察される。顕微鏡を用いてさらに詳細に観察すると、直径1μm程度の結晶欠陥が多数生成されていることが確認され、その密度は1.4×105個/cm2である。この値は、GaAsからなる基板201上にAlGaInP層202又はAlGaAs層203を1層のみ形成した場合の値と比べ、3〜4桁程度大きい。従って、この結晶欠陥はAlGaInP層202とAlGaAs層203との界面に起因する結晶欠陥であることが分かる。
【0008】
また、基板201の上にAlGaAs層203を形成し、形成したAlGaAs層203の上にAlGaInP層202を形成した場合には、このような結晶欠陥はほとんど観察されない。従って、この結晶欠陥はAlGaInP層202の上にAlGaAs層203を形成する場合に特有の結晶欠陥であることも分かる。
【0009】
このような結晶欠陥が生じるのは、AlGaInP層202を構成する構成要素とAlGaAs層203を構成する構成要素との相互作用のうち、GaP成分とAlAs成分との間の相互作用が他の構成要素間あるいは原子間の相互作用と比べて強いことによる。
【0010】
具体的には、基板201の上にAlGaInP層202を形成した後、形成したAlGaInP層202の上にAlGaAs層203を結晶成長させる工程において、AlGaInP層202のGaP成分との相互作用によって、形成中のAlGaAs層203におけるAlAs成分の十分なマイグレーションが阻害されるため、AlGaInP層202とAlGaAs層203との界面における原子の配列に乱れが生じるためである。
【0011】
このように、AlGaInP層の上にAlGaAs層が積層されたIII-V族化合物半導体を作製した場合、多数の結晶欠陥が発生するという問題を有しており、AlGaInP層上にAlGaAs層が積層されたIII-V族化合物半導体及びそれを用いたIII-V族化合物半導体装置を実現するのは困難である。
【0012】
本発明は、前記従来の問題を解決し、AlGaInP層と、AlGaInP層の上に形成されたAlGaAs層とを備えたIII-V族化合物半導体装置において、AlGaInP層とAlGaAs層との間の結晶欠陥を低減できるようにする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、AlGaInP層の上にAlGaAsを積層するIII-V族化合物半導体装置の製造方法において、AlGaInP層におけるGaの組成を小さくするか、又はAlGaAs層におけるAlの組成を小さくする構成とする。
【0014】
具体的に、本発明に係る第1のIII-V族化合物半導体の製造方法は、AlaGabIn1-a-bP (但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層を形成する第1の工程と、第1の半導体層の上にAlcGa1-cAs(但し、0≦c≦1である。)からなる第2の半導体層を形成する第2の工程とを備え、第1の工程において、第1の半導体層におけるGaの組成bを小さくする。
【0015】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置の製造方法によると、AlGaInPからなる第1の半導体層の上にAlGaAsからなる第2の半導体層を形成する際に、第1の半導体層のGaの組成を小さくされているため、第1の半導体層のGaの組成が相対的に大きい場合と比べて、第1の半導体層と第2の半導体層との界面に生じる結晶欠陥を低減することが可能となる。これは、第1の半導体層の上に第2の半導体層を結晶成長させる際に、第1の半導体層におけるGaP成分と第2の半導体層におけるAlAs成分との相互作用が小さくなるため、形成中の第2の半導体層におけるAlAs成分のマイグレーションがより促進されることによる。
【0016】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置の製造方法の第1の工程において、第1の半導体層におけるGaの組成bは0.35以下であることが好ましい。
【0017】
このようにすると、第1の半導体層と第2の半導体層との界面に生じる結晶欠陥を確実に低減できる。
【0018】
本発明に係る第1のIII-V族化合物半導体装置は、AlaGabIn1-a-bP (但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層と、第1の半導体層の上に形成されたAlcGa1-cAs(但し、0≦c≦1である。)からなる第2の半導体層とを備え、第1の半導体層におけるGaの組成bが0.35以下である。
【0019】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置によると、AlGaInPからなる第1の半導体層と、AlGaAsからなる第2の半導体層との積層構造において、第1の半導体層におけるGaの組成bが0.35以下であるため、第1の半導体層と第2の半導体層との界面に生じる結晶欠陥を確実に低減でき、第1の半導体層と第2の半導体層とを用いたIII-V族化合物半導体装置の高性能化が可能となる。
【0020】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層とをさらに備え、第1の半導体層は、第2のクラッド層の上にストライプ状に形成されていることが好ましい。
【0021】
このようにすると、第2のクラッド層及び第1の半導体層を第2導電型クラッド層として用い、且つ第2の半導体層を、第2のクラッド層と電極との間のコンタクト層の一部として用いる半導体レーザ装置において、クラッド層より上方にも光が分布するように活性層を構成する場合に、第2の半導体層のAl組成を大きくしても結晶欠陥が増大することがないため、第2の半導体層における光の吸収が少なくなるので、半導体レーザ装置の動作電流を小さくすることが可能となる。
【0022】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置は、第2の半導体層の上に形成された第2導電型のAldGa1-dAs(但し、0≦d≦1である。)からなる第1コンタクト層と、第1コンタクト層の上に形成された第2導電型のGaAsからなる第2コンタクト層とをさらに備え、第1コンタクト層におけるAlの組成dは、第2の半導体層におけるAlの組成cよりも大きいことが好ましい。
【0023】
このようにすると、第1コンタクト層により、第2コンタクト層と第2の半導体層との間の価電子帯のバンド不連続が緩和されるため、半導体レーザ装置の動作電圧を低減することができる。
【0024】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層とをさらに備え、第1の半導体層は第2のクラッド層の上に設けられ、第2の半導体層はストライプ状に形成されていることが好ましい。
【0025】
このようにすると、第2のクラッド層及び第2の半導体層を第2導電型クラッド層として用い、且つ第1の半導体層を、第2の半導体層をストライプ状に形成する際のエッチングストップ層として用いた半導体レーザ装置において、第2の半導体層は熱伝導率の高いAlGaAsからなるため、活性層に発生する熱の放熱性を向上してIII-V族化合物半導体装置の高出力化が可能である。また、第1の半導体層におけるGaの組成が相対的に小さくされているため第2の半導体層を低欠陥に形成できるので、高出力且つ高信頼性のIII-V族化合物半導体装置を確実に得ることができる。
【0026】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置において、第2のクラッド層は第2導電型のAldGa1-dAs(但し、0≦d≦1である。)からなることが好ましい。
【0027】
このようにすると、第2の半導体層に加えて、第2のクラッド層にも熱伝導率の高いAlGaAsを用いるため、活性層に発生する熱の放熱性がさらに良好になり、III-V族化合物半導体装置をより高出力化できる。
【0028】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層とをさらに備え、第1の半導体層は活性層の上に設けられていることが好ましい。
【0029】
このようにすると、第1の半導体層及び第2の半導体層を第2導電型クラッド層として用いた半導体レーザ装置において、第2の半導体層が熱伝導率の高いAlGaAsからなるため活性層に発生する熱の放熱性を向上できると共に、AlGaInPからなる第1の半導体層を用いることにより活性層とのバンドギャップの差を確保することができるため、活性層からのキャリアのオーバーフローを抑制することができる。また、第1の半導体層におけるGaの組成が相対的に小さくされているため、第2の半導体層を低欠陥に形成できるので、高性能且つ高信頼性のIII-V族化合物半導体装置を確実に得ることができる。
【0030】
本発明の第1のIII-V族化合物半導体装置において、第1のクラッド層は第1導電型のAldGa1-dAs(但し、0≦d≦1である。)からなることが好ましい。
【0031】
このようにすると、第2の半導体層に加えて第1のクラッド層にも熱伝導率の高いAlGaAsを用いるため、活性層に発生する熱の放熱性がさらに良好になり、III-V族化合物半導体装置をより高出力化できる。
【0032】
本発明に係る第2のIII-V族化合物半導体装置は、AlaGabIn1-a-bP (但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層と、第1の半導体層の上に形成されたAlxGayIn1-x-yP (但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1である。)からなる緩衝層と、緩衝層の上に形成されたAlcGa1-cAs(但し、0≦c≦1である。)からなる第2の半導体層とを備え、緩衝層におけるGaの組成yは第1の半導体層におけるGaの組成bよりも小さい。
【0033】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置によると、緩衝層におけるGaの組成は第1の半導体層におけるGaの組成よりも小さいため、第1の半導体層と第2の半導体層とが直接に積層されたIII-V族化合物半導体装置と比べて、第2の半導体層と緩衝層との界面に生じる結晶欠陥を少なくすることが可能となる。従って、第1の半導体層と第2の半導体層とを用いたIII-V族化合物半導体装置の高性能化が可能となる。
【0034】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層をさらに備え、活性層は複数の半導体層が積層されてなり、第1の半導体層は活性層の最上層を構成するように設けられ、第2の半導体層は第2のクラッド層の下に設けられていることが好ましい。
【0035】
このようにすると、第1の半導体層を活性層の光ガイド層として用いた半導体レーザ装置において、第2のクラッド層の不純物濃度を高くしても第2の半導体層によって不純物が活性層に拡散することを防止できるのに加えて、第2の半導体層を低欠陥に形成することができ、温度特性が良好な半導体レーザ装置を確実に得ることができる。
【0036】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層とをさらに備え、第1の半導体層は第2のクラッド層の上にストライプ状に設けられていることが好ましい。
【0037】
このようにすると、第2のクラッド層を第2導電型のクラッド層として用い、且つ第1の半導体層及び第2の半導体層を、第2のクラッド層と電極との間のコンタクト層の一部として用いる半導体レーザ装置において、第2のクラッド層より上方にも光が分布するように活性層を構成する場合に、第2の半導体層のAl組成を大きくしても結晶欠陥が増大することがないため、第2の半導体層における光の吸収が少なくなるので、半導体レーザ装置の動作電流を小さくすることが可能となる。
【0038】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、第2の半導体層の上に形成された第2導電型のAldGa1-dAs(但し、0≦d≦1である。)からなる第1コンタクト層と、第1コンタクト層の上に形成された第2導電型のGaAsからなる第2コンタクト層とをさらに備え、第1コンタクト層におけるAlの組成dは、第2の半導体層におけるAlの組成cよりも大きいことが好ましい。
【0039】
このようにすると、第1コンタクト層により第2コンタクト層と第2の半導体層との間の価電子帯のバンド不連続が緩和されるため、半導体レーザ装置の動作電圧を低減することができる。
【0040】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層と、活性層の上にストライプ状に形成された第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層とをさらに備え、第1の半導体層は第2のクラッド層の上に設けられていることが好ましい。
【0041】
このようにすると、第1の半導体層及び第2の半導体層を第2のクラッド層と電極との間のコンタクト層として用いる半導体レーザ装置において、第1の半導体層により、第2のクラッド層と第2の半導体層との間の価電子帯のバンド不連続が緩和されるため、半導体レーザ装置の動作電圧がされる。さらに、Al組成が大きい第2の半導体層を低欠陥に形成することができるため、第2の半導体層における活性層からの発光光の吸収を抑制することができる。
【0042】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層とをさらに備え、第1の半導体層は活性層の上に設けられていることが好ましい。
【0043】
このようにすると、第1の半導体層を第2導電型のクラッド層として用いる半導体レーザ装置において、クラッド層の上にAlGaAsからなる第2の半導体層を低欠陥に形成することができる。
【0044】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置において、第1の半導体層はストライプ状の凸部を有し、緩衝層は、凸部の下段及び側面の上に設けられ、第2の半導体層は第1導電型の不純物を含み、凸部の上段の上を開口するように設けられていることが好ましい。
【0045】
このようにすると、第2の半導体層を電流ブロック層として用いることができるため、電流ブロック層にバンドギャップの大きいAlGaAsを用いることができるので、電流ブロック層における光の損失を低減することができる。
【0046】
第2のIII-V族化合物半導体装置において、緩衝層は、第1の半導体層の上に、凸部の上段の上を含むように設けられていることが好ましい。
【0047】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置において、緩衝層は第1導電型の不純物を含んでいることが好ましい。
【0048】
このようにすると、緩衝層を電流ブロック層の一部として用いることができる。
【0049】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置において、緩衝層は第2導電型の不純物を含んでいることが好ましい。
【0050】
このようにすると、緩衝層を第2導電型のクラッド層の一部として用いることができる。
【0051】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の化合物半導体からなる第2のクラッド層とをさらに備え、第1の半導体層はストライプ状の開口部を有し且つ第1導電型の不純物を含んでおり、緩衝層は第1の半導体層における開口部の壁面及び上面の上に設けられていることが好ましい。
【0052】
このようにすると、第1の半導体層を電流ブロック層として用い且つ第2の半導体層を第2導電型のクラッド層として用いる半導体レーザ装置において、第2の半導体層におけるAlの組成を大きくしてクラッド層における光の損失の低減を図りながらも第2の半導体層における結晶欠陥を低減することができる。
【0053】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層とをさらに備え、活性層は複数の半導体層が積層されてなり、第1の半導体層は活性層の最上層を構成するように設けられていることが好ましい。
【0054】
このようにすると、第1の半導体層を活性層の光ガイド層として用い且つ第2の半導体層を第2導電型クラッド層として用いた半導体レーザ装置において、第2導電型クラッド層の熱伝導率を向上することにより活性層に発生する熱の放熱性を向上してIII-V族化合物半導体装置の高出力化が可能である。
【0055】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、第2の半導体層の上に形成されたAldGaeIn1-d-eP (但し、0≦d≦1,0≦e≦1,0≦d+e≦1である。)からなるエッチングストップ層と、エッチングストップ層の上に形成された第2導電型のAlfGa1-fAs(但し、0≦f≦1である。)からなる第2のクラッド層とをさらに備え、エッチングストップ層におけるGaの組成eが0.35以下であることが好ましい。
【0056】
このようにすると、第2の半導体層と第2のクラッド層とを第2導電型のクラッド層として用いることにより放熱性の向上が可能であるのに加えて、エッチングストップ層を用いて第2のクラッド層を精密に且つ低欠陥に加工することができる。
【0057】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、第2の半導体層の上に形成されたAldGaeIn1-d-eP (但し、0≦d≦1,0≦e≦1,0≦d+e≦1である。)からなるエッチングストップ層と、エッチングストップ層の上に形成されたAlfGagIn1-f-gP (但し、0≦f≦1,0≦g≦1,0≦f+g≦1である。)からなる第3の半導体層と、第3の半導体層の上に形成された第2導電型のAlhGa1-hAs(但し、0≦h≦1である。)からなる第2のクラッド層とをさらに備え、第3の半導体層におけるGaの組成gはエッチングストップ層におけるGaの組成eよりも小さいことが好ましい。
【0058】
このようにすると、第3の半導体層を緩衝層として第2のクラッド層を低欠陥に形成することができるため、エッチングストップ層におけるAlの組成を小さくして製造工程におけるエッチングストップ層の酸化を防止して低欠陥のIII-V族化合物半導体装置を得ることができる。
【0059】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層とをさらに備え、第1の半導体層は活性層の上に形成されていることが好ましい。
【0060】
このようにすると、第1の半導体層及び第2の半導体層を第2導電型のクラッド層として低欠陥に形成することができるため、熱伝導率の高いAlGaAsからなる第2の半導体層により活性層に発生する熱の放熱性を向上できると共に、バンドギャップが大きいAlGaInPからなる第1の半導体層により活性層からのキャリアのオーバーフローを抑制することができる。
【0061】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成された第1導電型の化合物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された活性層と、活性層の上に形成された第2導電型のAldGaeIn1-d-eP(但し、0≦d≦1,0≦e≦1,0≦d+e≦1である。)からなる第2のクラッド層とをさらに備え、第1の半導体層は第2のクラッド層の上に形成されていることが好ましい。
【0062】
このようにすると、第2の半導体層により活性層に発生する熱の放熱性を向上できると共に、第2のクラッド層により活性層からのキャリアのオーバーフローを抑制することができる。さらに、緩衝層を設けることにより第2の半導体層を低欠陥に形成することができるため、エッチングストップ層におけるAlの組成を小さくして製造工程におけるエッチングストップ層の酸化を防止して低欠陥のIII-V族化合物半導体装置を得ることができる。
【0063】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置において、第1のクラッド層はAldGa1-dAs(但し、0≦d≦1である。)からなることが好ましい。
【0064】
このようにすると、第2導電型のクラッド層に加えて第1導電型のクラッド層においても熱伝導率を高くすることができるため、放熱性がさらに向上する。
【0065】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置において、緩衝層におけるGaの組成yは0であることが好ましい。
【0066】
このようにすると、第2の半導体層と緩衝層との界面に生じる結晶欠陥は確実に減少する。
【0067】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置において、基板はGaAsからなり、第1の半導体層におけるInの組成1−a−bは0.45≦1−a−b≦0.55であり、緩衝層におけるInの組成1−x−yは0.45≦1−x−y≦0.55であることが好ましい。
【0068】
このようにすると、緩衝層は基板に格子整合するため、結晶欠陥が少ないIII-V族化合物半導体装置を確実に得ることができる。
【0069】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置において、緩衝層の厚さは0.5nm以上且つ5nm以下であることが好ましい。
【0070】
このようにすると、緩衝層がIII-V族化合物半導体装置の電気的及び光学的特性にほとんど影響を与えることなく第1の半導体層又は第2の半導体層と緩衝層との界面に生じる結晶欠陥を低減できる。
【0071】
本発明に係る第2のIII-V族化合物半導体装置の製造方法は、AlaGabIn1-a-bP (但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層を形成する第1の工程と、第1の半導体層の上にAlcGa1-cAs(但し、0≦c≦1である。)からなる第2の半導体層を形成する第2の工程とを備え、第2の工程において、第2の半導体層におけるAlの組成cを小さくする。
【0072】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置の製造方法によると、AlGaInPからなる第1の半導体層の上にAlGaAsからなる第2の半導体層を形成する際に、第2の半導体層のAlの組成が小さくされるため、第2の半導体層のAlの組成が相対的に大きい場合と比べて、第1の半導体層と第2の半導体層との界面に生じる結晶欠陥を低減することが可能となる。これは、第1の半導体層の上に第2の半導体層を結晶成長させる工程において、第1の半導体層におけるGaP成分と第2の半導体層におけるAlAs成分との相互作用が小さくなるため、形成中の第2の半導体層におけるAlAs成分のマイグレーションがより促進されることによる。
【0073】
本発明の第2のIII-V族化合物半導体装置の製造方法の第2の工程において、第2の半導体層におけるAlの組成cは0.3以下であることが好ましい。
【0074】
このようにすると、第1の半導体層と第2の半導体層との界面に生じる結晶欠陥を確実に低減できる。
【0075】
本発明に係る第3のIII-V族化合物半導体装置は、AlaGabIn1-a-bP (但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層と、第1の半導体層の上に形成されたAlcGa1-cAs(但し、0≦c≦1である。)からなる第2の半導体層とを備え、第2の半導体層におけるAlの組成cが0.3以下である。
【0076】
本発明の第3のIII-V族化合物半導体装置によると、AlGaInPからなる第1の半導体層と、AlGaAsからなる第2の半導体層との積層構造において、第2の半導体層におけるAlの組成が0.3以下であるため、第1の半導体層と第2の半導体層との界面に生じる結晶欠陥を確実に低減でき、第1の半導体層と第2の半導体層とを用いたIII-V族化合物半導体装置の高性能化が可能となる。
【0077】
本発明に係る第4のIII-V族化合物半導体装置は、AlaGabIn1-a-bP (但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層と、第1の半導体層の上に形成されたAlzGa1-zAs(但し、0≦z≦1である。)からなる緩衝層と、緩衝層の上に形成されたAlcGa1-cAs(但し、0≦c≦1である。)からなる第2の半導体層とを備え、緩衝層におけるAlの組成zは第2の半導体層におけるAlの組成cよりも小さい。
【0078】
本発明の第4のIII-V族化合物半導体装置によると、緩衝層におけるAlの組成は第2の半導体層におけるAlの組成よりも小さいため、第1の半導体層と第2の半導体層とが直接に積層されたIII-V族化合物半導体装置と比べて、第1の半導体層と緩衝層との界面に生じる結晶欠陥を少なくすることが可能となる。従って、第1の半導体層と第2の半導体層を用いたIII-V族化合物半導体装置の高性能化が可能となる。
【0079】
本発明の第4のIII-V族化合物半導体装置は、基板上に形成され、複数の半導体層が積層されてなる活性層をさらに備え、第1の半導体層は基板の上に形成され、第2の半導体層は活性層の最下層を構成するように設けられていることが好ましい。
【0080】
このようにすると、第1の半導体層を第1導電型のクラッド層として用い且つ第2の半導体層を活性層の光ガイド層として用いた半導体レーザ装置において、AlGaAs系の活性層に対してAlGaInP系のクラッド層を用いてバンドギャップの差を確保することが可能となるため、活性層の電子がクラッド層へのオーバーフローすることが確実に抑制されるので、しきい値電流が小さく且つ温度特性に優れた半導体レーザ装置を確実に得ることができる。
【0081】
本発明の第4のIII-V族化合物半導体装置において、緩衝層におけるAlの組成zは0であることが好ましい。
【0082】
このようにすると、第1の半導体層と緩衝層との界面に生じる結晶欠陥は確実に減少する。
【0083】
本発明の第4のIII-V族化合物半導体装置において、基板はGaAsからなり、第1の半導体層におけるInの組成1−a−bは0.45≦1−a−b≦0.55であることが好ましい。
【0084】
このようにすると、第1の半導体層は基板に格子整合するため、結晶欠陥が少ないIII-V族化合物半導体装置を確実に得ることができる。
【0085】
本発明の第4のIII-V族化合物半導体装置において、緩衝層の厚さは0.5nm以上且つ5nm以下であることが好ましい。
【0086】
このようにすると、緩衝層がIII-V族化合物半導体装置の電気的及び光学的特性にほとんど影響を与えることなく第1の半導体層又は第2の半導体層と緩衝層との界面に生じる結晶欠陥を低減できる。
【0087】
【発明の実施の形態】
本発明のIII-V族化合物半導体装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、AlGaInPとは、AlxGayIn1-x-yP (但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1である。)を表し、AlGaAsとはAlzGa1-zAs(但し、0≦z≦1である)を表す。また、AlxGayIn1-x-yP において、特にx=0となる場合、即ちGayIn1-yP(但し、0≦y≦1である。)をGaInPと表し、特にy=0となる場合、即ちAlxIn1-xP(但し、0≦x≦1である。)をAlInPと表す。
【0088】
本願発明者は、AlGaInP層の上にAlGaAs層が積層されたIII-V族化合物半導体の積層構造において、AlGaInP層におけるGaの組成が小さいほど結晶欠陥が少なくなり、また、AlGaAs層におけるAlの組成が小さいほど結晶欠陥が少なくなるという知見を得ている。
【0089】
以下、AlGaInP層の上にAlGaAs層を積層したIII-V族化合物半導体におけるAlの組成と結晶欠陥との関係について図面を参照しながら説明する。
【0090】
図1はAlxGa0.5-xIn0.5P 層の上にAl0.6Ga0.4As層を形成した場合のAlxGa0.5-xIn0.5P 層(但し、0≦x≦0.5である。)におけるAlの組成xと結晶欠陥密度との関係を示している。ここで、結晶欠陥密度とは、顕微鏡観察を用いて観察される結晶欠陥の個数を単位面積で割った値である。また、Inの組成はGaAsからなる基板と格子整合させるために0.5としている。
【0091】
図1に示すように、AlxGa0.5-xIn0.5P 層におけるAlの組成xが大きいほど結晶欠陥密度は小さい。すなわち、x=0の場合には結晶欠陥密度は約2.7×107 個/cm2 であるが、x=0.15の場合には結晶欠陥密度は約4.0×106個/cm2程度に減少しており、x=0.35の場合には結晶欠陥密度は1×105個/cm2程度にまで減少している。さらに、x=0.5の場合には、結晶欠陥はほとんど観察されず、1平方センチメートル当たり2桁のオーダーである。
【0092】
このように、AlGaInP層の上にAlGaAs層を形成する場合、AlGaInP層におけるAlの組成が大きいほど、すなわちGaの組成が小さいほど結晶欠陥を少なく形成できることが分かる。具体的には、 AlxGayIn1-x-yP層におけるGaの組成yは0.35以下であれば、結晶欠陥は十分に少なくなる。
【0093】
なお、図1には、AlxGa0.5-xIn0.5P 層の上にAl0.6Ga0.4As層を形成する場合の結晶欠陥を示したが、AlxGa0.5-xIn0.5P層の上に形成するAlGaAs層のAl組成が0.6の場合に限られず、他の組成であっても同様の結果が得られる。即ち、AlGaAs層の組成に拘わらず、AlGaInP層のGa組成を小さくするほど結晶欠陥が小さくなる。
【0094】
図2はGa0.5In0.5P層の上にAlzGa1-zAs層(但し、0≦z≦1である。)を形成した場合のAlzGa1-zAs層(但し、0≦z≦1である。)におけるAlの組成zと結晶欠陥密度との関係を示している。
【0095】
図2に示すように、AlzGa1-zAs層におけるAlの組成zが小さいほど結晶欠陥密度は小さい。すなわち、z=0.6の場合には、結晶欠陥密度は約2.7×107 個/cm2 であるが、z=0.3の場合には、結晶欠陥密度は1×107個/cm2程度となり、半分以下にまで減少している。さらに、z=0の場合には、結晶欠陥はほとんど観察されず、1平方センチメートル当たり2桁のオーダーである。
【0096】
このように、AlGaInP層の上にAlGaAs層を形成する場合、AlGaAs層におけるAlの組成が小さいほど結晶欠陥を少なく形成できることが分かる。具体的にはAlzGa1-zAs層におけるAlの組成zが0.3以下であれば、結晶欠陥は十分に少なくなる。
【0097】
なお、図2には、Ga0.5In0.5P層の上にAlxGa1-xAs層を形成する場合の結晶欠陥を示したが、AlxGa1-xAs層の下に形成されるAlGaInP層のAl組成が0の場合に限られず、他の組成であっても同様の結果が得られる。即ち、AlGaInP層の組成に拘わらず、AlGaAs層のAl組成を小さくするほど結晶欠陥が小さくなる。
【0098】
以上説明したように、AlGaInP層の上にAlGaAs層が積層されたIII-V族化合物半導体において、Gaの組成が小さいAlGaInP層又はAlの組成が小さいAlGaAs層を用いることにより、AlGaInP層とAlGaAs層との界面における結晶欠陥を低減する効果を得られる。
【0099】
このような効果が生じるのは、AlGaInP層を構成する構成要素とAlGaAs層を構成する構成要素との相互作用のうち、GaP成分とAlAs成分との相互作用が他の構成要素間あるいは原子間の相互作用と比べて強いことによると考えられる。
【0100】
すなわち、AlGaInP層の上にAlGaAs層を結晶成長させる工程において、AlGaInP層におけるGaの組成が小さいほど、また、AlGaAs層におけるAlの組成が小さいほど、AlAs成分とGaP成分との相互作用が小さくなるため、形成中のAlGaAs層におけるAlAs成分のマイグレーションがより促進されるので、AlGaInP層とAlGaAs層との界面における原子の配列に生じる乱れが少なくなると考えられる。
【0101】
このような知見から、本発明に係る以下の実施形態は、AlGaInPからなる第1の半導体層の上にAlGaAsからなる第2の半導体層を積層する工程において、第1の半導体層と第2の半導体層の界面における第1の半導体層のGaの組成を小さくするか、又は第2の半導体層のAlの組成を小さくすることにより、第1の半導体層と第2の半導体層との界面に生じる結晶欠陥を低減している。
【0102】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0103】
図3は第1の実施形態に係るIII-V族化合物半導体積層構造の断面構成を示している。図3に示すように、例えば、GaAsからなる基板11上に、膜厚が約0.2μmのAl0.35Ga0.15In0.5P からなるAlGaInP層12、膜厚が約1.1nmのAl0.5In0.5Pからなる緩衝層13及び膜厚が約0.3μmのAl0.6Ga0.4AsからなるAlGaAs層14が順次積層されている。
【0104】
以下、第1の実施形態に係るIII-V族化合物半導体積層構造の製造方法について説明する。
【0105】
第1の実施形態のIII-V族化合物半導体積層構造は、例えばMOVPE法を用いて、GaAsからなる基板11の上に各半導体層を順次結晶成長させることにより形成することが可能である。
【0106】
具体的には、III 族化合物の原料としてトリエチルガリウム(TEG)、トリメチルアルミニウム(TMA)及びトリメチルインジウム(TMI)、V族化合物の原料としてホスフィン(PH3 )及びアルシン(AsH3 )を用い、これらの原料を、水素をキャリアガスとして石英からなる反応管に導入する。反応管内圧力が約1.0×104 Pa(約76Torr)、基板温度が約750℃の条件下において、供給する原料及び原料の供給量を適宜切り替えることにより各半導体層を順次結晶成長させる。
【0107】
第1の実施形態の特徴は、AlGaInP層12の上に、該AlGaInP層12よりもGaの組成が小さいAlGaInPからなる緩衝層13を介してAlGaAs層14が形成されていることにある。すなわち、 Al0.35Ga0.15In0.5PからなるAlGaInP層12の上にAlGaAs層14を直接に積層することと比べて、Gaの組成がより小さいAl0.5In0.5Pからなる緩衝層13の上にAlGaAs層14が積層されるため、緩衝層13とAlGaAs層14との界面に生じる結晶欠陥を少なくすることが可能となる。
【0108】
さらに、緩衝層13の厚さは約1.1nmと極めて薄いため、III-V族化合物半導体積層構造の光学的及び電気的特性等の物性にはほとんど影響を与えない。
【0109】
つまり、第1の実施形態のIII-V族化合物半導体積層構造は、AlGaInPからなる緩衝層13を介することにより、AlGaInP層12の上にAlGaAs層14を直接に積層した積層構造と同等の物性を有し、且つAlGaInP層12の上にAlGaAs層14を直接に積層した積層構造よりも結晶欠陥を少なくすることを可能としている。
【0110】
ここで、AlGaInP層12及び緩衝層13を構成するAlGaInPは、それぞれAl0.35Ga0.15In0.5P 及びAl0.5In0.5Pに限られず、AlGaInP層12におけるGaの組成よりも緩衝層13におけるGaの組成の方が小さくなるような組み合わせであればよい。勿論、緩衝層13におけるGaの組成が小さいほど結晶欠陥を低減する効果は大きい。
【0111】
また、AlGaAs層14を構成するAlGaAsはAl0.6Ga0.4Asに限られず、AlzGa1-zAs(但し、0≦z≦1である)であればよい。
【0112】
また、緩衝層13の厚さは、0.5nm以上5nm以下であることが好ましい。緩衝層13の厚さが0.5nmよりも小さいであると、緩衝層13とAlGaAs層14との界面に生じる結晶欠陥は、AlGaInP層12におけるAlの組成を反映したものとなり、緩衝層13によって結晶欠陥を低減する効果は不十分となる。逆に、緩衝層13の厚さが5nmよりも大きいと、緩衝層13がIII-V族化合物半導体積層構造の物理的性質に与える影響が無視できなくなる。
【0113】
第1の実施形態において、AlGaInP層12と緩衝層13とが接して積層されている必要はなく、例えば緩衝層13よりもGaの組成が小さいAlGaInPからなる半導体層が挿入されていてもよく、この場合にもAlGaInP層12におけるGaの組成よりも緩衝層13におけるGaの組成が小さければよい。
【0114】
また、AlGaInP層12、緩衝層13及びAlGaAs層14からなる積層構造は、基板11の上に形成されている必要はなく、例えば、電界効果トランジスタ、ヘテロ接合バイボーラトランジスタ、半導体レーザ装置又は発光ダイオード等の半導体装置を構成する積層構造の一部として他の半導体層の上に形成されていてもよい。
【0115】
また、AlGaInP層12及び緩衝層13において、GaAsからなる基板11と格子整合させるために、それぞれのInの組成を0.5としているが、基板11と格子整合させるためには、Inの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55であればよい。また、GaAsとの格子整合が必要でない場合はInの組成1−x−yは0≦1−x−y≦1であればよい。
【0116】
以上説明したように、第1の実施形態によると、AlGaInP層12の上には、AlGaInPからなる緩衝層13を介してAlGaAs層14が形成されており、緩衝層13におけるGaの組成はAlGaInP層12におけるGaの組成よりも小さいため、AlGaInP層12の上に直接AlGaAs層14を積層したIII-V族化合物半導体積層構造と同等の物性を有し且つ結晶欠陥がより少ないIII-V族化合物半導体積層構造を得ることができる。
【0117】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0118】
図4は第2の実施形態に係るIII-V族化合物半導体積層構造の断面構成を示している。図4に示すように、GaAsからなる基板21上に、膜厚が約30nmのGa0.5In0.5PからなるAlGaInP層22、膜厚が約1.6nmのGaAsからなる緩衝層23及び膜厚が約0.3μmのAl0.6Ga0.4AsからなるAlGaAs層24が積層されている。
【0119】
このようなIII-V族化合物半導体積層構造は、第1の実施形態と同様に、例えばMOVPE法を用いて形成することが可能である。
【0120】
第2の実施形態の特徴は、AlGaInP層22の上に、AlGaAsからなる緩衝層23を介してAlGaAs層24が形成され、緩衝層23におけるAlの組成はAlGaAs層24におけるAlの組成よりも小さいことにある。すなわち、AlGaInP層22の上にAl0.6Ga0.4AsからなるAlGaAs層24を直接に積層することと比べて、Alの組成がより小さいGaAsからなる緩衝層23の上にAlGaAs層24が積層されるため、AlGaInP層22と緩衝層23との界面に生じる結晶欠陥を少なくすることが可能となる。
【0121】
さらに、緩衝層23の厚さは約1.6nmと極めて薄いため、III-V族化合物半導体積層構造の光学的及び電気的特性等の物性にはほとんど影響を与えない。
【0122】
つまり、第2の実施形態のIII-V族化合物半導体積層構造は、AlGaAsからなる緩衝層23を介することにより、AlGaInP層22の上にAlGaAs層24を直接に積層した積層構造と同等の物性を有し、且つAlGaInP層22の上にAlGaAs層24を直接に積層した積層構造よりも結晶欠陥を少なくすることを可能としている。
【0123】
ここで、緩衝層23及びAlGaAs層24を構成するAlGaAsは、それぞれGaAs及びAl0.6Ga0.4Asに限られず、AlGaAs層におけるAlの組成よりも緩衝層23におけるAlの組成の方が小さくなるような組み合わせであればよい。勿論、緩衝層23におけるAlの組成が小さいほど結晶欠陥を低減する効果は大きい。
【0124】
また、AlGaInP層22を構成するAlGaInPはGa0.5In0.5Pに限られずAlxGayIn1-x-yP (但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1である)であればよい。
【0125】
また、緩衝層23の厚さは、0.5nm以上5nm以下であることが好ましい。緩衝層23の厚さが0.5nmよりも小さいと、AlGaInP層22と緩衝層23との界面に生じる結晶欠陥は、AlGaAs層24におけるAlの組成を反映したものとなり、緩衝層23によって結晶欠陥を低減する効果は不十分となる。逆に、緩衝層23の厚さが5nmよりも大きいと、緩衝層23がIII-V族化合物半導体積層構造の物理的性質に与える影響が無視できなくなる。
【0126】
第2の実施形態において、緩衝層23とAlGaAs層24とが接して積層されている必要はなく、例えば緩衝層23よりもAlの組成が小さいAlGaAsからなる半導体層が緩衝層23とAlGaAs層24との間に挿入されていてもよく、この場合にもAlGaAs層24におけるAlの組成よりも緩衝層23におけるAlの組成が小さければよい。
【0127】
また、AlGaInP層22、緩衝層23及びAlGaAs層24からなる積層構造は、基板21の上に形成されている必要はなく、例えば、電界効果トランジスタ、ヘテロ接合バイボーラトランジスタ、半導体レーザ装置又は発光ダイオード等の半導体装置を構成する積層構造の一部として他の半導体層の上に形成されていてもよい。
【0128】
また、AlGaInP層22において、GaAsからなる基板21と格子整合させるために、それぞれのInの組成を0.5としているが、基板21と格子整合させるためには、Inの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55であればよい。また、GaAsとの格子整合が必要でない場合はInの組成1−x−yは0≦1−x−y≦1であればよい。
【0129】
以上説明したように、第2の実施形態によると、AlGaInP層22の上には、AlGaAsからなる緩衝層23を介してAlGaAs層24が形成されており、緩衝層23におけるAlの組成はAlGaAs層24におけるAlの組成よりも小さいため、AlGaInP層22の上に直接AlGaAs層24を積層したIII-V族化合物半導体積層構造と同等の物性を有し且つ結晶欠陥がより少ないIII-V族化合物半導体積層構造を得ることができる。
【0130】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0131】
図5は本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図5に示すように、n型GaAsからなる基板31上にはn型AlGaInPからなるn型クラッド層32、量子井戸と該量子井戸を挟む光ガイド層とからなる活性層33、AlGaInPからなる緩衝層34、AlGaAsからなる拡散防止層35及びp型AlGaInPからなる第1のp型クラッド層36が順次積層されている。
【0132】
なお、活性層33において、量子井戸はGaInPからなる3層の井戸層とAlGaInPからなる2層の障壁層とが井戸層を外側として交互に積層されており、量子井戸の上下にはAlGaInPからなる光ガイド層がそれぞれ形成されている。
【0133】
第1のp型クラッド層36の上にはp型AlGaInPからなる第2のp型クラッド層37がストライプ状に形成されている。また、第1のp型クラッド層36の上面における第2のp型クラッド層37の側方部分と、第2のp型クラッド層37の側面の上とにはn型AlGaInPからなる電流ブロック層38が形成されている。第2のp型クラッド層37及び電流ブロック層38の上にはp型GaAsからなるコンタクト層39が形成されている。
【0134】
基板31の下には、例えばAu、Ge及びNiを含む合金からなり、基板31とオーミック接触するn側電極40が形成されている。また、コンタクト層39の上には、例えばCr、Pt及びAuを含む合金からなり、コンタクト層39とオーミック接触するp側電極41が形成されている。
【0135】
ここで、n型不純物としてSiが、またp型不純物としてZnがそれぞれドーピングされている。また、室温においてはドーピング濃度とキャリア濃度とはほぼ同じ値となる。
【0136】
前述の各半導体層の具体的な厚さ、化合物組成及びドーピング濃度の一例を表1に示す。
【0137】
【表1】
Figure 0004865186
【0138】
表1に示すように、緩衝層34におけるGaの組成は光ガイド層におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第3の実施形態の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、光ガイド層、緩衝層34及び拡散防止層35が順次積層された積層構造として有している。
【0139】
第3の実施形態では、GaAsからなる基板31と格子整合させるために、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yを0.5としている。なお、GaAsからなる基板31と格子整合するためには、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55の範囲にあればよい。
【0140】
第3の実施形態の半導体レーザ装置において、活性層33は650nmの波長に対応するバンドギャップを持つ量子井戸構造を有し、電流ブロック層38の間を通過した電流が活性層33に到達すると、発振波長が650nmのレーザ光を放射する。
【0141】
拡散防止層35は、半導体レーザ装置の製造工程又は素子の動作中において第1のp型クラッド層36のドーパントであるZnが活性層33へ浸入することを防止する。これにより、活性層33に影響を与えることなく第1のp型クラッド層36のドーピング濃度を高くすることが可能となるので、活性層33から第1のp型クラッド層36への電子のオーバーフローを確実に抑制できる。
【0142】
さらに、活性層33と拡散防止層35との間には、緩衝層34が形成されている。ここで、活性層33の最上層である光ガイド層は Al0.25Ga0.25In0.5Pからなり、緩衝層34はAl0.5In0.5Pからなる。すなわち、光ガイド層におけるGaの組成よりも緩衝層34におけるGaの組成の方が小さいため、活性層33の上に接して拡散防止層35を形成するのと比べて、緩衝層34と拡散防止層35との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。具体的に、緩衝層34と拡散防止層35との界面に生じる結晶欠陥の密度は1平方センチメートル当たり2桁のオーダーである。
【0143】
ここで、緩衝層34のバンドギャップは650nmの発振波長を持つレーザ光に対して透明であり、且つその厚さは1.1nmと極めて小さいことから、半導体レーザ装置の広がり角等の光学的特性及び動作電流値等の電気的特性にはほとんど影響を与えない。
【0144】
なお、第3の実施形態において、緩衝層34の化合物組成はAl0.5In0.5Pに限られず、活性層33の最上層である光ガイド層におけるGaの組成よりも小さいGaの組成を持つAlGaInPであれば良く、また、活性層33の上に接して緩衝層34が形成されている必要はない
【0145】
以上説明したように、第3の実施形態によると、活性層33の最上層である光ガイド層と拡散防止層35との間に緩衝層34を形成することにより、結晶欠陥が少ない拡散防止層35を形成することができるため、第1のp型クラッド層36のドーピング濃度を高くしても、活性層33に不純物が拡散することがない。このようにして、活性層33から第1のp型クラッド層36への電子のオーバーフローを確実に抑制することが可能となり、温度特性が良好な赤色半導体レーザ装置を低欠陥に実現することができる。
【0146】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0147】
図6は本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図6に示すように、n型GaAsからなる基板51上にはn型AlGaInPからなるn型クラッド層52、GaAsからなる緩衝層53、量子井戸と該量子井戸を挟む光ガイド層とからなる活性層54、並びにp型AlGaInPからなる第1のp型クラッド層55が順次積層されている。
【0148】
なお、活性層54において、量子井戸はGaAsからなる2層の井戸層とAlGaAsからなる1層の障壁層とが井戸層を外側として交互に積層されており、量子井戸の上下にはAlGaAsからなる光ガイド層がそれぞれ形成されている。
【0149】
第1のp型クラッド層55の上にはストライプ状の開口部を有するn型AlGaInPからなる電流ブロック層56が形成されており、該電流ブロック層56の上にはp型AlGaInPからなる第2のp型クラッド層57が形成されている。第2のp型クラッド層57及び電流ブロック層56の上にはp型GaAsからなるコンタクト層58が形成されている。
【0150】
基板51の下には、例えばAu、Ge及びNiを含む合金からなり、基板51とオーミック接触するn側電極59が形成されている。また、コンタクト層58の上には、例えばCr、Pt及びAuを含む合金からなり、コンタクト層58とオーミック接触するp側電極60が形成されている。
【0151】
ここで、n型不純物としてSiが、またp型不純物としてZnがそれぞれドーピングされている。また、室温においてはドーピング濃度とキャリア濃度とはほぼ同じ値となる。
【0152】
前述の各半導体層の具体的な厚さ、化合物組成及びドーピング濃度の一例を表2に示す。
【0153】
【表2】
Figure 0004865186
【0154】
表2に示すように、緩衝層53におけるAlの組成は光ガイド層におけるAlの組成よりも小さい。つまり、第4の実施形態の半導体レーザ装置は、第2の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、n型クラッド層52、緩衝層53及び光ガイド層が順次積層された積層構造として有している。
【0155】
第4の実施形態では、GaAsからなる基板51と格子整合させるために、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yを0.5としている。なお、GaAsからなる基板51と格子整合するためには、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55の範囲にあればよい。
【0156】
第4の実施形態の半導体レーザ装置において、活性層54は780nmの波長に対応するバンドギャップを持つ量子井戸構造を有し、電流ブロック層56の間を通過した電流が活性層54に到達すると、発振波長が780nmのレーザ光を放射する。
【0157】
第4の実施形態の特徴として、活性層54とn型クラッド層52の間に緩衝層53を備え、活性層54はAlGaAs系の化合物半導体からなり、n型クラッド層52、第1のp型クラッド層55及び第2のp型クラッド層57はAlGaInP系の化合物半導体からなる。
【0158】
活性層54にAlGaAs系の材料を用いているのに対して、n型クラッド層52、第1のp型クラッド層55及び第2のp型クラッド層57にバンドギャップが大きいAlGaInP系の材料を用いているため、従来のAlGaAs系材料をクラッド層に用いた半導体レーザ装置と比べて、活性層とクラッド層との間のバンドギャップの差(バンドオフセット)を大きくすることができる。これにより、活性層54からクラッド層への電子のオーバーフローを確実に抑制することができ、しきい値電流値の低下と温度特性の向上が可能となる。
【0159】
さらに、n型クラッド層52と活性層54との間には、緩衝層53が形成されている。ここで、緩衝層53はGaAsからなり、光ガイド層はAl0.5Ga0.5Asからなる。すなわち、光ガイド層におけるAlの組成よりも緩衝層53におけるAlの組成の方が小さいため、n型クラッド層52の上に接して活性層54を形成するのと比べて、n型クラッド層52と緩衝層53との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。具体的に、n型クラッド層52と緩衝層53との界面に生じる結晶欠陥の密度は1平方センチメートル当たり2桁のオーダーである。
【0160】
ここで、緩衝層53の膜厚は1.6nmと十分に小さいため、量子効果により活性層54からの発光光に対して透明となり、且つ広がり角等の光学的特性及び動作電流値等の電気的特性にはほとんど影響を与えない。
【0161】
なお、第4の実施形態において、緩衝層53の化合物組成はGaAsに限られず、活性層54の最外層である光ガイド層におけるAlの組成よりも小さいAlの組成を持つAlGaAsであれば良く、また、緩衝層53と活性層54が接して形成されている必要はない。例えば、緩衝層53がAl0.1Ga0.9Asからなり、緩衝層53と活性層54との間に例えばGaAsからなる半導体層が挿入されていても、n型クラッド層52と緩衝層53との間に生じる結晶欠陥を低減する効果を得られる。
【0162】
以上説明したように、第4の実施形態によると、活性層54の最外層である光ガイド層とn型クラッド層52との間に緩衝層53を導入することにより、結晶欠陥が少ない光ガイド層を形成することができるため、AlGaAs系の半導体層からなる活性層に対してAlGaInP系の半導体層からなるクラッド層を用いることが可能となり、しきい値電流が小さく、且つ温度特性が良好な赤外半導体レーザ装置を低欠陥に実現することができる。
【0163】
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0164】
図7は本発明の第5の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図7に示すように、n型GaAsからなる基板61上にはn型AlGaInPからなるn型クラッド層62、量子井戸と該量子井戸を挟む光ガイド層とからなる活性層63、p型AlGaInPからなる第1のp型クラッド層64、並びにp型GaInPからなるエッチングストップ層65が順次積層されている。
【0165】
なお、活性層63において、量子井戸はGaInPからなる3層の井戸層とAlGaInPからなる2層の障壁層とが井戸層を外側として交互に積層されており、量子井戸の上下にはAlGaInPからなる光ガイド層がそれぞれ形成されている。
【0166】
エッチングストップ層65の上にはp型AlGaInPからなる第2のp型クラッド層66がストライプ状に形成されており、該第2のp型クラッド層66の上にはp型GaInPからなる第1のコンタクト層67が形成されている。また、エッチングストップ層65の上面における第2のp型クラッド層66の側方部分及び第2のp型クラッド層66の側面の上にはn型AlInPからなる第1の電流ブロック層68が形成されている。第1の電流ブロック層68の上にはn型GaAsからなる第2の電流ブロック層69が形成されている。
【0167】
第1のコンタクト層67及び第2の電流ブロック層69の上にはp型AlInPからなる緩衝層70、p型AlGaAsからなる第2のコンタクト層71及びp型GaAsからなる第3のコンタクト層72が順次積層されている。
【0168】
基板61の下には、例えばAu、Ge及びNiからなる合金により基板61とオーミック接触するn側電極73が形成されている。また、第3のコンタクト層72の上には、例えばCr、Pt及びAuからなる合金により第3のコンタクト層72とオーミック接触するp側電極74が形成されている。
【0169】
ここで、n型不純物としてSiが、またp型不純物としてZnがそれぞれドーピングされている。また、室温においてはドーピング濃度とキャリア濃度とはほぼ同じ値となる。
【0170】
前述の各半導体層の具体的な厚さ、化合物組成及びドーピング濃度の一例を表3に示す。
【0171】
【表3】
Figure 0004865186
【0172】
表3に示すように、緩衝層70におけるGaの組成は第1のコンタクト層67におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第5の実施形態の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、第1のコンタクト層67、緩衝層70及び第2のコンタクト層71が順次積層された積層構造として有している。
【0173】
第5の実施形態では、GaAsからなる基板61と格子整合させるために、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yを0.5としている。なお、GaAsからなる基板61と格子整合するためには、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55の範囲にあればよい。
【0174】
第5の実施形態の半導体レーザ装置において、活性層63は650nmの波長に対応するバンドギャップを持つ量子井戸構造を有し、第1の電流ブロック層68及び第2の電流ブロック層69の間を通過した電流が活性層63に到達すると、発振波長が650nmのレーザ光を放射する。
【0175】
第5の実施形態は、Alの組成が大きいAlGaAsからなる第2のコンタクト層71を備えていることを特徴とする。第2のコンタクト層71は、第2のp型クラッド層66及び第1のコンタクト層67より上方においてもレーザ光が分布するように半導体レーザ装置を設計した場合に、第2のコンタクト層71は650nmの発振波長を持つレーザ光に対して透明となるため、第2のp型クラッド層66よりも上方における光の吸収を少なくすることができる。これにより、しきい値電流及び動作電流が小さい半導体レーザ装置を実現することが可能となる。
【0176】
さらに、第1のコンタクト層67と第2のコンタクト層71との間には、緩衝層70が形成されている。ここで、第1のコンタクト層67はGa0.5In0.5Pからなり、緩衝層70はAl0.5In0.5Pからなる。すなわち、第1のコンタクト層67におけるGaの組成よりも緩衝層70におけるGaの組成の方が小さいため、第1のコンタクト層67の上に接して第2のコンタクト層71を形成するのと比べて、緩衝層70と第2のコンタクト層71との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。具体的に、緩衝層70と第2のコンタクト層71との間に生じる結晶欠陥の密度は1平方センチメートル当たり2桁のオーダーである。
【0177】
第1のコンタクト層67はGaInPからなり、第2のp型クラッド層66と第2のコンタクト層71との間の電位障壁を小さくする機能を有する。これにより、半導体レーザ装置の動作電圧を低減することができる。
【0178】
また、エッチングストップ層65は、第2のp型クラッド層66をストライプ状に形成するために用いられる。具体的には、活性層63の上に第1のp型クラッド層64、エッチングストップ層65及び第2のp型クラッド層形成膜を順次形成した後に、形成した第2のp型クラッド層形成膜の上に、フォトリソグラフィ法により、レジストマスクを形成し、硫酸又は酒石酸と塩酸との混合液により第2のp型クラッド層形成膜をエッチングする。この際に、AlGaInPからなる第2のp型クラッド層形成膜はエッチングされるが、GaInPからなるエッチングストップ層65はほとんどエッチングされないため、第2のp型クラッド層形成膜からストライプ状の第2のp型クラッド層66を形成することができる。
【0179】
なお、第5の実施形態において、緩衝層70の化合物組成はAl0.5In0.5Pに限られず、第1のコンタクト層67におけるGaの組成よりも小さいGaの組成を持つAlGaInPであれば良く、また、第1のコンタクト層67の上に接して緩衝層70が形成されている必要はない
【0180】
また、緩衝層70は、第1のコンタクト層67及び第2の電流ブロック層69の上に形成されている必要はなく、第1のコンタクト層67の上にのみ形成されていてもよい。
【0181】
以上説明したように、第5の実施形態によると、第1のコンタクト層67と第2のコンタクト層71との間に緩衝層70を形成することにより、活性層63からの発光光に対して透明なバンドギャップを有するAlGaAsからなる第2のコンタクト層71を低欠陥に形成することができる。これにより、第2のp型クラッド層66より上方にもレーザ光が分布するように構成した場合に、第2のコンタクト層71における光の損失が少なくなるため、半導体レーザ装置のしきい値電流及び動作電流を低減することが可能となる。
【0182】
(第5の実施形態の第1変形例)
以下、第5の実施形態の第1変形例に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0183】
図8は第5の実施形態の第1変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図8において、図7に示す第5の実施形態の半導体レーザ装置と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0184】
図8に示すように、基板61上にはn型クラッド層62、活性層63、第1のp型クラッド層64、エッチングストップ層65及び第2のp型クラッド層66が順次積層されている。エッチングストップ層65の上面における第2のp型クラッド層66の側方部分及び第2のp型クラッド層66の側面の上には第1の電流ブロック層68及び第2の電流ブロック層69が順次積層されている。
【0185】
また、第2のp型クラッド層66及び第2の電流ブロック層69の上には第2のコンタクト層71及び第3のコンタクト層72が順次積層されている。基板61の下にはn側電極73が形成されており、第3のコンタクト層72の上には、p側電極74が形成されている。
【0186】
第1変形例の半導体レーザ装置は、第2のp型クラッド層66の上にGaInPからなる第1のコンタクト層67及び緩衝層70が設けられていない点が第5の実施形態の半導体レーザ装置と異なっている。
【0187】
第1変形例の半導体レーザ装置の特徴は、AlGaInPからなる第2のp型クラッド層66の上にAlGaAsからなる第2のコンタクト層71が積層された積層構造において、第2のp型クラッド層66のGaの組成が相対的に小さくなるように形成されていることにある。
【0188】
ここで、図1に示したように、AlGaInPからなる半導体層の上にAlGaAsからなる半導体層を積層した積層構造において、AlGaInPのGaの組成が小さい程、結晶欠陥密度が減少する。第1変形例では、第2のp型クラッド層66のGaの組成は0.15であり、第2のp型クラッド層66と第2のコンタクト層71との界面に生じる結晶欠陥の密度は1×106個/cm2程度となる。勿論、第2のp型クラッド層66のGaの組成をさらに小さくすることにより、結晶欠陥をさらに低減することが可能である。
【0189】
(第5の実施形態の第2変形例)
以下、第5の実施形態の第2変形例に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0190】
図9は第5の実施形態の第2変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図9において、図8に示す第1変形例の半導体レーザ装置と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0191】
図9に示すように、第2変形例の半導体レーザ装置は、第2のコンタクト層71と第3のコンタクト層72との間にp型Al0.4Ga0.6Asからなる第4のコンタクト層75が形成されている点が第1変形例の半導体レーザ装置と異なっている。
【0192】
ここで、第2のコンタクト層71と第4のコンタクト層75との間及び第4のコンタクト層75と第3のコンタクト層72との間における価電子帯のバンド不連続量は、それぞれ200meV及び230meVである。これに対して、第4のコンタクト層75が設けられていない場合、第2のコンタクト層71と第3のコンタクト層と間における価電子帯のバンド不連続量は430meVである。従って、第2変形例の半導体レーザ装置では、第4のコンタクト層75を設けることにより、第1変形例の半導体レーザ装置と比べてバンド不連続が緩和されている。
【0193】
なお、第4のコンタクト層75を構成するAlGaAsの組成は、Al0.4Ga0.6Asに限られず、第2のコンタクト層71と第3のコンタクト層72との中間のバンドギャップを有するAlGaAsであればよい。また、第2のコンタクト層71と第3のコンタクト層72との間に、Al組成を段階的に変化させた複数のAlGaAs層を設けることにより、バンド不連続量をさらに低減することが可能である。
【0194】
このように、第2変形例の半導体レーザ装置によると、第2のコンタクト層71が活性層63からの発光光の波長に対して透明となるように、第2のコンタクト層71のAl組成を高く設定した場合においても、第2のコンタクト層71と第3のコンタクト層72との中間のバンドギャップを有するAlGaAs層を設けることにより、価電子帯のバンド不連続が緩和されるため、動作電圧の低減が可能となる。
【0195】
(第5の実施形態の第3変形例)
以下、第5の実施形態の第3変形例に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0196】
図10は第5の実施形態の第3変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図10において、図9に示す第2変形例の半導体レーザ装置と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0197】
図10に示すように、第3変形例の半導体レーザ装置は、第2のp型クラッド層66及び第2の電流ブロック層69と第2のコンタクト層71との間に、緩衝層70が形成されている点が第2変形例と異なっている。
【0198】
ここで、緩衝層70の組成及び膜厚は第5の実施形態と同じであり、Gaの組成は第2のp型クラッド層66におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第3変形例の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、第2のp型クラッド層66、緩衝層70及び第2のコンタクト層71が順次積層された積層構造として有している。
【0199】
従って、第2のp型クラッド層66の上に第2のコンタクト層71を直接に積層する第1変形例及び第2変形例の半導体レーザ装置と比べて、緩衝層70と第2のコンタクト層71との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0200】
また、緩衝層70の膜厚は1.1nmと十分に小さいため、半導体レーザ装置の動作電流値、拡がり角及び動作電圧等の特性にほとんど影響を与えない。
【0201】
第3変形例の半導体レーザ装置によると、緩衝層70と第2のコンタクト層71との間に生じる結晶欠陥密度は第2のp型クラッド層66の組成に依存しない。従って、半導体レーザ装置の垂直拡がり角や動作電流等の特性に大きな影響を及ぼすパラメータである第2のp型クラッド層66の組成を適当に調整しながらも、結晶欠陥を低減することができる。
【0202】
なお、緩衝層70は、第2の電流ブロック層69の上に形成されている必要はなく、第2のp型クラッド層66の上に形成されていればよい。
【0203】
また、緩衝層70の組成は、Al0.5In0.5Pに限られず、第2のp型クラッド層66のAl組成よりも大きいAl組成を持つAlGaInPであればよい。
【0204】
(第5の実施形態の第4変形例)
以下、第5の実施形態の第4変形例に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0205】
図11は第5の実施形態の第4変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図11において、図10に示す第3変形例の半導体レーザ装置と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0206】
図11に示すように、第4変形例の半導体レーザ装置は、第2のp型クラッド層66と緩衝層70との間に、第1のコンタクト層67が設けられている点が第3変形例の半導体レーザ装置と異なっている。
【0207】
ここで、第1のコンタクト層67の組成及び膜厚は第5の実施形態と同じであり、緩衝層70におけるGaの組成は第1のコンタクト層67におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第4変形例の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、第1のコンタクト層67、緩衝層70及び第2のコンタクト層71が順次積層された積層構造として有しており、第1のコンタクト層67と第2のコンタクト層71との界面に生じる結晶欠陥が低減されている。
【0208】
また、第2のp型クラッド層66と第2のコンタクト層71との間の電位障壁を小さくする機能を有する。これにより、半導体レーザ装置の動作電圧を低減することができる。
【0209】
第1のコンタクト層67の上に直接に第2のコンタクト層71を形成した場合には、第1のコンタクト層67と第2のコンタクト層71との界面に生じる結晶欠陥の密度は約3×107個/cm2となり、動作中に素子の劣化が生じて半導体レーザ装置の信頼性が確保できない。これに対し、第3変形例では、第1のコンタクト層67と第2のコンタクト層71との間に緩衝層70を設けることにより、結晶欠陥の密度は1平方センチメートル当たり2桁のオーダーにまで低減されている。
【0210】
以上説明したように、第5の実施形態及びその各変形例の半導体レーザ装置によると、活性層からの発光光の波長に対して透明となるバンドギャップを有するAlGaAsを用いて、第2のコンタクト層71を低欠陥に形成することができるため、高温高出力といった厳しい動作環境下においても素子の劣化が生じず、高出力で高輝度の信頼性が極めて高い半導体レーザ装置を実現することができる。具体的に、これらの半導体レーザ装置は、環境温度が約70℃の条件においても出力が飽和することなく、120mWもの高出力で動作可能である。
【0211】
なお、第5の実施形態及びその各変形例において、基板61に用いる材料はn型GaAsに限られず、例えばp型GaAsからなるp型基板を用いてもよい。
【0212】
また、第5の実施形態及びその各変形例の半導体レーザ装置において、第1の電流ブロック層68にAlInPを用いることにより、実屈折率型の導波路を構成したが、第1の電流ブロック層68にGaAsを用いて複素屈折率型の導波路を構成してもよい。
【0213】
また、第5の実施形態及びその各変形例の半導体レーザ装置において、活性層63は多重量子井戸構造に限られず、例えば単一量子井戸構造の活性層又は単一構造のバルク活性層であってもよい。
【0214】
また、第5の実施形態及びその各変形例の半導体レーザ装置において、導波構造はリッジ導波型に限られず、例えば内部ストライプ型等の他の導波構造を用いる場合にも同様の効果を得られる。
【0215】
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0216】
図12は本発明の第6の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図12に示すように、n型GaAsからなる基板81上にはn型AlGaInPからなるn型クラッド層82、量子井戸と該量子井戸を挟む光ガイド層とからなる活性層83及びp型AlGaInPからなりストライプ状の凸部84aを有するp型クラッド層84が順次積層されている。
【0217】
なお、活性層83において、量子井戸はGaInPからなる3層の井戸層とAlGaInPからなる2層の障壁層とが井戸層を外側として交互に積層されており、量子井戸の上下にはAlGaInPからなる光ガイド層がそれぞれ形成されている。
【0218】
ストライプ状の凸部84aを含むp型クラッド層84の上にはp型AlGaInPからなる緩衝層85が形成され、該緩衝層85の上には凸部84aの壁面と対向する開口部86aを有するn型AlGaAsからなる電流ブロック層86形成されている。電流ブロック層86の上及び緩衝層85における凸部84a上段部分の上にはp型GaAsからなるコンタクト層87が形成されている。
【0219】
基板81の下には、例えばAu、Ge及びNiからなる合金により基板81とオーミック接触するn側電極88が形成されている。また、コンタクト層87の上には、例えばCr、Pt及びAuからなる合金によりコンタクト層87とオーミック接触するp側電極89が形成されている。
【0220】
ここで、n型不純物としてSiが、またp型不純物としてZnがそれぞれドーピングされている。また、室温においてはドーピング濃度とキャリア濃度とはほぼ同じ値となる。
【0221】
前述の半導体層のうち、p型クラッド層84はAl0.35Ga0.15In0.5P からなり、緩衝層85はAl0.5In0.5Pからなり、電流ブロック層86はAl0.9Ga0.1Asからなる。その他の半導体層は第3の実施形態における表1と同様の構成で実施可能である。
【0222】
第6の実施形態に係る半導体レーザ装置は、AlGaInPからなるp型クラッド層84とAlGaAsからなる電流ブロック層86との間に、AlGaInPからなる緩衝層85が形成されており、緩衝層85におけるGaの組成はp型クラッド層84におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第6の実施形態の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、p型クラッド層84、緩衝層85及び電流ブロック層86が順次積層された積層構造として有している。
【0223】
第6の実施形態では、GaAsからなる基板81と格子整合させるために、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yを0.5としている。なお、GaAsからなる基板81と格子整合するためには、 AlxGayIn1-x-yPからなる各半導体層におけるInの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55の範囲にあればよい。
【0224】
第6の実施形態の半導体レーザ装置において、活性層83は650nmの波長に対応するバンドギャップを持つ量子井戸構造を有し、電流ブロック層86の間を通過した電流が活性層83に到達すると、発振波長が650nmのレーザ光を放射する。
【0225】
電流ブロック層86は、p型クラッド層84よりもバンドギャップが大きいAlGaAsからなり、活性層83からの発光光に対して透明にできるため、p型クラッド層84より上方にもレーザ光が分布するように半導体レーザ装置を設計した場合に、電流ブロック層86におけるレーザ光の損失を少なくできるため、しきい値電流及び動作電流の低下が可能となる。
【0226】
さらに、p型クラッド層84と電流ブロック層86との間には、緩衝層85が形成されている。ここで、p型クラッド層84は Al0.35Ga0.15In0.5Pからなり、緩衝層85はAl0.5In0.5Pからなる。すなわち、p型クラッド層84におけるGaの組成よりも緩衝層85におけるGaの組成の方が小さいため、p型クラッド層84の上に接して電流ブロック層86を形成するのと比べて、緩衝層85と電流ブロック層86との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0227】
また、第6の実施形態において、緩衝層85はp型不純物がドーピングされることにより、p型クラッド層の一部として機能する。
【0228】
なお、緩衝層85の化合物組成はAl0.5In0.5Pに限られず、p型クラッド層84におけるGaの組成よりも小さいGaの組成を持つAlGaInPであれば良く、また、p型クラッド層84の上に接して緩衝層85が形成されている必要はない
【0229】
次に、以上のように構成された第6の実施形態の半導体レーザ装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0230】
図13(a)〜図13(c)は第6の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。なお、図13(b)及び図13(c)において、活性層83よりも下側の構成は図13(a)と同一であるため図示を省略している。
【0231】
まず、図13(a)に示すように、n型GaAsからなる基板81の上に、MOVPE法により、n型AlGaInPからなるn型クラッド層82、活性層83及びp型AlGaInPからなるp型クラッド層形成層84Aを順次結晶成長させた後、p型クラッド層形成層84Aの上にストライプ状のシリコン酸化膜90を形成する。
【0232】
ここで、活性層83は、AlGaInPからなる2層の光ガイド層の間に複数のGaInPからなる井戸層と複数のAlGaInPからなる障壁層とが交互に積層するように順次結晶成長させる。
【0233】
次に、図13(b)に示すように、シリコン酸化膜90をマスクとして、p型クラッド層形成層84Aに対してエッチングを行ってストライプ状の凸部84aを有するp型クラッド層84を形成した後、シリコン酸化膜90をフッ酸で除去する。その後、MOVPE法により、p型クラッド層84の上にAlInPからなる緩衝層85及びAlGaAsからなる電流ブロック層形成層86Aを順次結晶成長させる。
【0234】
次に、図13(c)に示すように、電流ブロック層形成層86Aに対して、緩衝層85が露出するまでエッチングを行い、凸部84aに沿った開口部86aを有する電流ブロック層86を形成する。
【0235】
その後、図示はしないが、MOVPE法により、電流ブロック層86の上及び開口部86aに露出した緩衝層85の上にp型GaAsからなるコンタクト層87を形成し、続いて基板81の下面にn側電極88を、コンタクト層87の上面にp側電極89をそれぞれ形成することにより、第6の実施形態に係る半導体レーザ装置が完成する。
【0236】
以上説明したように、第6の実施形態によると、p型クラッド層84と電流ブロック層86との間に緩衝層85を形成することにより、活性層からの発光光に対して透明なバンドギャップを有するAlGaAsからなる電流ブロック層86を低欠陥に形成することができる。これにより、p型クラッド層84より上方にもレーザ光が分布するように構成した場合に、電流ブロック層86におけるレーザ光の損失が少なくなるため、半導体レーザ装置のしきい値電流及び動作電流を低減することが可能となる。
【0237】
(第6の実施形態の一変形例)
以下、第6の実施形態の一変形例に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。本変形例は、緩衝層をp型クラッド層84の凸部84a上段には形成しない点が異なっている。
【0238】
図14は第6の実施形態の一変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図14において、図12と同一の部材は同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0239】
図14に示すように、本変形例の半導体装置は、p型クラッド層84はストライプ状の凸部84aを有し、その壁面及び下段の上にはp型AlGaInPからなる緩衝層91が形成され、該緩衝層91の上にはn型AlGaAsからなる電流ブロック層86が形成されている。電流ブロック層86及びp型クラッド層84の凸部84a上段の上にはp型GaAsからなるコンタクト層87が形成されている。
【0240】
なお、本変形例において、緩衝層91はp型不純物がドーピングされることにより、p型クラッド層の一部として機能させているが、n型不純物をドーピングすることにより電流ブロック層の一部として機能させることも可能である。
【0241】
以上説明したように、第6の実施形態の一変形例によると、第6の実施形態と同様の効果を得られるのに加えて、p型クラッド層84の凸部84a上段の上に緩衝層91を形成しないため、緩衝層91にn型不純物を導入することにより電流ブロック層の一部として機能させることが可能であり、またp型不純物を導入することによりp型クラッド層の一部として機能させることも可能である。
【0242】
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0243】
図15は本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図15に示すように、n型GaAsからなる基板101上にはn型AlGaInPからなるn型クラッド層102、量子井戸と該量子井戸を挟む光ガイド層とからなる活性層103及びp型AlGaInPからなる第1のp型クラッド層104が順次積層されている。
【0244】
なお、活性層103において、量子井戸はGaInPからなる3層の井戸層とAlGaInPからなる2層の障壁層とが井戸層を外側として交互に積層されており、量子井戸の上下にはAlGaInPからなる光ガイド層がそれぞれ形成されている。
【0245】
第1のp型クラッド層104の上にはストライプ状の開口部105aを有するn型AlGaInPからなる電流ブロック層105が形成され、電流ブロック層105の上及び開口部105aに露出した第1のp型クラッド層104の上にはAlGaInPからなる緩衝層106が形成されている。緩衝層106の上には、電流ブロックの開口部105aに沿った下向きの凸部107aを有するAlGaAsからなる第2のp型クラッド層107が形成され、第2のp型クラッド層107の上にはp型GaAsからなるコンタクト層108が形成されている。
【0246】
基板101の下には、例えばAu、Ge及びNiからなる合金により基板101とオーミック接触するn側電極109が形成されている。また、コンタクト層108の上には、例えばCr、Pt及びAuからなる合金によりコンタクト層108とオーミック接触するp側電極110が形成されている。
【0247】
ここで、n型不純物としてSiが、またp型不純物としてZnがそれぞれドーピングされている。また、室温においてはドーピング濃度とキャリア濃度とはほぼ同じ値となる。
【0248】
前述の半導体層のうち、第1のp型クラッド層104はAl0.35Ga0.15In0.5Pからなり、電流ブロック層105はAl0.45Ga0.05In0.5Pからなり、緩衝層106はAl0.5In0.5Pからなり、第2のp型クラッド層107はAl0.8Ga0.2Asからなる。その他の半導体層は第3の実施形態における表1と同様の構成で実施可能である。
【0249】
第7の実施形態に係る半導体レーザ装置は、AlGaInPからなる電流ブロック層105とAlGaAsからなる第2のp型クラッド層107との間に、AlInPからなる緩衝層106が形成されており、緩衝層106におけるGaの組成は電流ブロック層105におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第7の実施形態に係る半導体レーザ装置は、電流ブロック層105、緩衝層106及び第2のp型クラッド層からなる積層構造として、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を含んでいる。
【0250】
また、電流ブロック層105の開口部105aにおいて、AlGaInPからなる第1のp型クラッド層104と第2のp型クラッド層107との間に、緩衝層106が形成されており、緩衝層106におけるGaの組成は第1のp型クラッド層104におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第7の実施形態に係る半導体レーザ装置は、第1のp型クラッド層104、緩衝層106及び第2のp型クラッド層107からなる積層構造としても、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を含んでいる。
【0251】
第7の実施形態では、GaAsからなる基板101と格子整合させるために、AlxGayIn1-x-yP からなる各半導体層におけるInの組成1−x−yを0.5としている。なお、GaAsからなる基板101と格子整合するためには、AlxGayIn1-x-yP からなる各半導体層におけるInの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55の範囲にあればよい。
【0252】
第7の実施形態の半導体レーザ装置において、活性層103は650nmの波長に対応するバンドギャップを持つ量子井戸構造を有し、電流ブロック層105の間を通過した電流が活性層103に到達すると、発振波長が650nmのレーザ光を放射する。
【0253】
緩衝層106は、p型不純物がドーピングされることによりp型クラッド層の一部として機能している。
【0254】
第2のp型クラッド層107は、活性層103からの発光光に対して透明となるようなバンドギャップを有し、第1のp型クラッド層104より上方にもレーザ光が分布するように半導体レーザ装置を設計した場合に、第2のp型クラッド層107におけるレーザ光の損失を少なくできるため、しきい値電流及び動作電流の低下が可能となる。
【0255】
さらに、電流ブロック層105と第2のp型クラッド層107との間には、緩衝層106が形成されている。ここで、電流ブロック層105はAl0.45Ga0.05In0.5Pからなり、緩衝層106はAl0.5In0.5P からなる。すなわち、電流ブロック層105におけるGaの組成よりも緩衝層106におけるGaの組成の方が小さいため、電流ブロック層105の上に接して第2のp型クラッド層107を形成するのと比べて、緩衝層106と第2のp型クラッド層107との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0256】
また、電流ブロック層105の開口部105aにおいて、第1のp型クラッド層104と第2のp型クラッド層107との間には、緩衝層106が形成されている。ここで、第1のp型クラッド層104は Al0.35Ga0.15In0.5Pからなり、緩衝層106はAl0.5In0.5Pからなる。すなわち、第1のp型クラッド層104におけるGaの組成よりも緩衝層106におけるGaの組成の方が小さいため、第1のp型クラッド層104の上に接して第2のp型クラッド層107を形成するのと比べて、緩衝層106と第2のp型クラッド層107との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0257】
なお、緩衝層106の化合物組成はAl0.5In0.5Pに限られず、電流ブロック層105におけるGaの組成よりも小さいGaの組成を持つAlGaInPであれば良く、また、電流ブロック層105の上に接して緩衝層106が形成されている必要はない
【0258】
次に、以上のように構成された第7の実施形態の半導体レーザ装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0259】
図16(a)〜図16(c)は第7の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。なお、図16(b)及び図16(c)において、活性層103よりも下側の構成は図16(a)と同一であるため図示を省略している。
【0260】
まず、図16(a)に示すように、n型GaAsからなる基板101の上に、MOVPE法により、n型AlGaInPからなるn型クラッド層102、活性層103、p型AlGaInPからなる第1のp型クラッド層104及びn型AlGaInPからなる電流ブロック層形成層105Aを順次結晶成長させた後、フォトリソグラフィ法により、電流ブロック層形成層105Aの上にストライプ状の開口部がパターニングされたレジストマスク111を形成する。
【0261】
ここで、活性層103は、AlGaInPからなる2層の光ガイド層の間に複数のGaInPからなる井戸層と複数のAlGaInPからなる障壁層とが交互に積層するように形成する。
【0262】
次に、図16(b)に示すように、レジストマスク111をマスクとして、電流ブロック層形成層105Aに対してエッチングを行うことによりストライプ状の開口部105aを有する電流ブロック層105を形成した後、レジストマスク111をアセトンで除去する。
【0263】
次に、図16(c)に示すように、MOVPE法により、電流ブロック層105の上にAlInPからなる緩衝層106、AlGaAsからなる第2のp型クラッド層107及びp型GaAsからなるコンタクト層108を順次結晶成長させる。
【0264】
その後、図示はしないが、基板101の下面にn側電極109を、コンタクト層108の上面にp側電極110をそれぞれ形成することにより、第7の実施形態に係る半導体レーザ装置が完成する。
【0265】
以上説明したように、第7の実施形態によると、第1のp型クラッド層104及び電流ブロック層105と第2のp型クラッド層107との間に緩衝層106を形成することにより、活性層103からの発光光に対して透明なバンドギャップを有するAlGaAsからなる第2のp型クラッド層107を低欠陥に形成しすることができる。これにより、第1のp型クラッド層104より上方にもレーザ光が分布するように構成した場合に、第2のp型クラッド層107における光の損失が少なくなるため、半導体レーザ装置のしきい値電流及び動作電流を低減することが可能となる。
【0266】
(第8の実施形態)
以下、第8の実施形態に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0267】
図17は第8の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図17に示すように、n型GaAsからなる基板121の上にはn型AlGaInPからなるn型クラッド層122、量子井戸と該量子井戸を挟む光ガイド層とからなる活性層123、p型AlGaInPからなる第1の緩衝層124、p型AlGaAsからなる第1のp型クラッド層125、p型AlGaInPからなるエッチングストップ層126が順次積層されている。
【0268】
なお、活性層123において、量子井戸はGaInPからなる3層の井戸層とAlGaInPからなる2層の障壁層とが井戸層を外側として交互に積層されており、量子井戸の上下にはAlGaInPからなる光ガイド層がそれぞれ形成されている。
【0269】
エッチングストップ層126の上には、p型AlGaAsからなる第2のp型クラッド層127がストライプ状に形成されており、該第2のp型クラッド層127の上にはp型GaInPからなる第1のコンタクト層128が形成されている。また、エッチングストップ層126の上面における第2のp型クラッド層127の側方部分及び第2のp型クラッド層127の側面の上にはn型AlInPからなる第1の電流ブロック層129及びn型GaAsからなる第2の電流ブロック層130が順次形成されている。また、第1のコンタクト層128及び第2の電流ブロック層130の上にはp型GaAsからなる第2のコンタクト層131が形成されている。
【0270】
基板121の下には、例えばAu、Ge及びNiからなる合金により基板121とオーミック接触するn側電極132が形成されている。また、第2のコンタクト層131の上には、例えばCr、Pt及びAuからなる合金により第2のコンタクト層131とオーミック接触するp側電極133が形成されている。
【0271】
ここで、n型不純物としてSiが、またp型不純物としてZnがそれぞれドーピングされている。また、室温においてはドーピング濃度とキャリア濃度とはほぼ同じ値となる。
【0272】
前述の各半導体層の具体的な厚さ、化合物組成及びドーピング濃度の一例を表4に示す。
【0273】
【表4】
Figure 0004865186
【0274】
表4に示すように、第1の緩衝層124におけるGaの組成は活性層123の最上層である光ガイド層のGaの組成よりも小さい。つまり、第8の実施形態の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、光ガイド層、第1の緩衝層124及び第1のp型クラッド層125が順次積層された積層構造として有している。
【0275】
さらに、エッチングストップ層126のGaの組成は0であり、AlGaInPからなるエッチングストップ層126の上にAlGaAsからなる第2のp型クラッド層127が積層された積層構造において、AlGaInPからなる半導体層のGaの組成が相対的に小さくされている。
【0276】
また、第8の実施形態では、GaAsからなる基板121と格子整合させるために、AlxGayIn1-x-yP からなる各半導体層におけるInの組成1−x−yを0.5としている。なお、GaAsからなる基板121と格子整合するためには、AlxGayIn1-x-yP からなる各半導体層におけるInの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55の範囲にあればよい。
【0277】
第8の実施形態の半導体レーザ装置において、活性層123は650nmの波長に対応するバンドギャップを持つ量子井戸構造を有し、第1の電流ブロック層129及び第2の電流ブロック層130の間を通過した電流が活性層123に到達すると、発振波長が650nmのレーザ光を放射する。
【0278】
ここで、第8の実施形態の半導体装置は、第1のp型クラッド層125及び第2のp型クラッド層127に熱伝導率が高いAlGaAs系の半導体材料を用いているため、少なくとも第1のp型クラッド層125及び第2のp型クラッド層127を介して活性層をヒートシンク(図示せず)と接続することにより、活性層123に発生した熱をヒートシンクへ効率良く拡散して活性層123の温度上昇を抑制することができる。これにより、素子の出力を上げるために電流値を増加しても熱飽和によって発光効率が低下することがないため、半導体レーザ装置を高出力化することができる。
【0279】
さらに、第1の緩衝層124におけるGaの組成は活性層123の最上層である光ガイド層のGaの組成よりも小さく、且つエッチングストップ層126のGaの組成が相対的に小さくされているため、第1の緩衝層124と第1のp型クラッド層125との界面及びエッチングストップ層126と第2のp型クラッド層127との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0280】
具体的に、第1の緩衝層124を用いずに活性層123の上に直接に第1のp型クラッド層125を形成する場合には、結晶欠陥密度は1×106個/cm2以上であるのに対し、第8の実施形態では、第1の緩衝層124と第1のp型クラッド層125と界面に生じる結晶欠陥の密度は1平方センチメートル当たり2桁のオーダーであり、低欠陥化による素子性能の向上が図られている。
【0281】
また、エッチングストップ層126にAl0.5In0.5Pを用いることにより、エッチングストップ層126と第2のp型クラッド層127との界面の結晶欠陥密度は1平方センチメートル当たり2桁のオーダーである。
【0282】
なお、第8の実施形態において、第1の緩衝層124の化合物組成は Al0.5In0.5P に限られず、活性層123の最上層である光ガイド層におけるGaの組成よりも小さいGaの組成を持つAlGaInPであればよく、例えば、Gaの組成が0.15以下であれば第1の緩衝層124と第1のp型クラッド層125との界面に生じる結晶欠陥密度はおよそ1×105個/cm2以下にまで低減される。
【0283】
また、第1の緩衝層124の厚さは、約1nmに限られず、0.5nm以上5nm以下であれば、半導体レーザ装置の特性に影響を与えることなく結晶欠陥を低減する効果を得られる。
【0284】
また、エッチングストップ層126の化合物組成はAl0.5In0.5Pに限られず、Gaの組成が相対的に小さいAlGaInPであればよく、例えばAl0.35Ga0.15In0.5P を用いる場合には、エッチングストップ層126と第2のp型クラッド層127との界面に生じる結晶欠陥密度はおよそ1×105個/cm2以下にまで低減できる。
【0285】
次に、以上のように構成された第8の実施形態の半導体レーザ体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0286】
図18(a)〜図18(c)は、第8の実施形態の半導体レーザ装置の製造方法の工程順の断面構成を示している。なお、図18(b)及び図18(c)において、活性層123よりも下側の構成は図18(a)と同一であるため図示を省略する。
【0287】
まず、図18(a)に示すように、n型GaAsからなる基板121の上に、例えばMOCVD法又はMBE法を用いて、n型AlGaInPからなるn型クラッド層122、活性層123及びp型AlGaInPからなる第1の緩衝層124、p型AlGaAsからなる第1のp型クラッド層125、p型AlGaInPからなるエッチングストップ層126、p型AlGaAsからなる第2のp型クラッド層形成層127A、p型GaInPからなる第1のコンタクト層形成層128A及びGaAsからなる保護層134を順次結晶成長させる。
【0288】
ここで、活性層123は、AlGaInPからなる2層の光ガイド層の間に複数のGaInPからなる井戸層と複数のAlGaInPからなる障壁層とが交互に積層するように順次結晶成長させる。
【0289】
次に、図18(b)に示すように、保護層134を除去した後、例えばCVD法を用いて第1のコンタクト層形成層128Aの上にシリコン酸化膜135を堆積し、堆積したシリコン酸化膜135をフォトリソグラフィー法およびエッチング法によってストライプ状にパターニングする。その後、パターニングしたシリコン酸化膜135をマスクとして用い、第1のコンタクト層形成層128A及び第2のp型クラッド層形成層127Aを順次エッチングすることによりストライプ状の第1のコンタクト層128及び第2のp型クラッド層127を形成する。
【0290】
なお、シリコン酸化膜135のパターニングは、例えばフッ酸を用いて行うことができる。また、第1のコンタクト層形成層128Aのエッチングは、例えば塩酸系のエッチャントを用いて行うことにより、下層である第2のp型クラッド層形成層127Aとの選択エッチングが可能である。
【0291】
また、第2のp型クラッド層形成層127Aのエッチングは、例えばアンモニアと過酸化水素水の混合液等のAlGaAsのAlGaInPに対するエッチング選択比が高いエッチャントを用いて行うことにより、AlGaInPからなるエッチングストップ層126に達するとエッチングがほとんど進行しなくなるため、制御性良く第2のp型クラッド層127を加工することができる。
【0292】
ここで、エッチングストップ層126にAlGaAs系の半導体材料を用いる場合には、第2のp型クラッド層127及びエッチングストップ層126のそれぞれのAlの組成に大きな差を設けることによりエッチング選択比を確保する必要がある。しかし、AlGaAs系の半導体材料では、Alの組成を小さくすると活性層123の発振波長に対して透明となるバンドギャップを確保できず、活性層123からの発光光が吸収されて光損失が生じてしまう。また、光損失が生じないようにエッチングストップ層126におけるAlの組成を設定すると、選択エッチングのために必要とされるAlの組成差を確保できず、エッチングストップ層126を超えて第1のp型クラッド層125までエッチングされてしまう。
【0293】
このように、エッチングストップ層126にAlGaInP系の半導体材料を用いることにより、ストライプ状(リッジ形状)の第2のp型クラッド層127を再現性良く精密に加工することができる。
【0294】
次に、図18(c)に示すように、例えばMOCVD法又はMBE法を用いて、n型AlInPからなる第1の電流ブロック層129及びn型GaAsからなる第2の電流ブロック層130を順次成長させた後、シリコン酸化膜135に対してリフトオフを行うことにより、第1のコンタクト層128よりも上側に位置する第1の電流ブロック層129及び第2の電流ブロック層130を除去する。
【0295】
その後、図示はしないが、第1のコンタクト層128及び第2の電流ブロック層130の上にp型GaAsからなる第2のコンタクト層131を成長させ、続いて基板121の下面にn側電極132を、第2のコンタクト層131の上面にp側電極133をそれぞれ形成することにより、第8の実施形態に係る半導体レーザ装置が完成する。
【0296】
以上説明したように、第8の実施形態によると、活性層123の最外層である光ガイド層と第1のp型クラッド層125との間に第1の緩衝層124が設けられているため、AlGaInP系の半導体材料からなる活性層123に対して第1のp型クラッド層125をAlGaAsを用いて低欠陥に形成することができる。これにより、第1のp型クラッド層125及び第2のp型クラッド層127の熱伝導率を高くして活性層123に発生した熱をヒートシンクに効率的に拡散することができるため、半導体レーザ装置の高出力化を低欠陥に実現することができる。具体的に、第8の実施形態の半導体レーザ装置は、環境温度が約70℃の条件においても出力が飽和することなく、120mWもの高出力で動作可能である。
【0297】
(第8の実施形態の一変形例)
以下、第8の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0298】
図19は第8の実施形態の一変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図19において、図17に示す第8の実施形態の半導体レーザ装置と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0299】
図19に示すように、本変形例の半導体装置は、第1のp型クラッド層125の上には、図17に示すp型AlInPからなるエッチングストップ層126に代えて、膜厚が約50nmのp型Ga0.5In0.5Pからなるエッチングストップ層136が形成されており、該エッチングストップ層136と第2のp型クラッド層127との間には、膜厚が約1nmのp型Al0.5In0.5Pからなる第2の緩衝層137が形成されている。なお、エッチングストップ層136及び第2の緩衝層137を除く各半導体層は、それぞれ表4に示す化合物組成、厚さ及びドーピング濃度と同様である。
【0300】
本変形例の特徴は、第1の緩衝層124により第8の実施形態と同様に低欠陥のAlGaAsからなる第1のp型クラッド層125を形成することに加えて、エッチングストップ層136と第2のp型クラッド層127との間に第2の緩衝層137を設けることにより、エッチングストップ層136のGaの組成を大きくしても、第2のp型クラッド層127との界面に生じる結晶欠陥を低減できるようにすることにある。
【0301】
なお、第2の緩衝層137の膜厚は、約1nmに限られず、0.5nm以上5nm以下であれば、半導体レーザ装置の特性に影響を与えることなく結晶欠陥を低減する効果を得られる。
【0302】
具体的に、第2の緩衝層137を用いずにエッチングストップ層136の上に直接に第1のp型クラッド層125を形成する場合に、エッチングストップ層136のGaの組成が0.5であり相対的に大きいため、結晶欠陥密度は1×107個/cm2以上となるに対し、本変形例では、第2の緩衝層137と第1のp型クラッド層125と界面に生じる結晶欠陥の密度は1平方センチメートル当たり2桁のオーダーであり、低欠陥化による素子性能の向上が可能である。
【0303】
なお、本変形例において、第2の緩衝層137の化合物組成はAl0.5In0.5Pに限られず、エッチングストップ層136におけるGaの組成よりも小さいGaの組成を持つAlGaInPであればよく、例えば、Gaの組成が0.15以下であれば第2の緩衝層137とエッチングストップ層136との界面に生じる結晶欠陥密度は1×105個/cm2以下にまで低減される。
【0304】
以下、本変形例の半導体レーザ装置の製造方法について図18(a)〜図18(c)を参照しながら説明する。
【0305】
まず、図18(a)に示す工程と同様に、基板121の上に、n型クラッド層122、活性層123、第1の緩衝層124、第1のp型クラッド層125、p型GaInPからなるエッチングストップ層136、p型AlInPからなる第2の緩衝層形成層、第2のp型クラッド層形成層127A、第1のコンタクト層形成層128A、保護層134を順次結晶成長させる。
【0306】
次に、図18(b)に示す工程と同様に、保護層134を除去した後、パターニングされたシリコン酸化膜135をマスクとして用い、第1のコンタクト層形成層128A、第2のp型クラッド層形成層127A及び第2の緩衝層形成層を順次エッチングすることにより、ストライプ状の第1のコンタクト層128、第2のp型クラッド層127及び第2の緩衝層137を形成する。
【0307】
ここで、第2の緩衝層形成層のエッチングは例えば硫酸をエッチャントとして用いて行うことにより、エッチングストップ層136との選択エッチングが可能であり、制御性良く第2の緩衝層137を形成することができる。
【0308】
その後、図18(c)に示す工程と同様にして第1の電流ブロック層129、第2の電流ブロック層130及び第2のコンタクト層131を順次結晶成長し、続いてn側電極132及びp側電極133を形成することにより本変形例の半導体レーザ装置が完成する。
【0309】
第8の実施形態のエッチングストップ層126はAlInPからなり、Alを含むため、第2のp型クラッド層127のエッチングにより露出したエッチングストップ層126が酸化され、エッチングストップ層126の上に形成される第1の電流ブロック層129及び第2の電流ブロック層130の結晶性が劣化することがある。これに対し、本変形例のエッチングストップ層136はGaInPからなり、Alを含まないため、第2の緩衝層137のエッチングにより露出したエッチングストップ層136の酸化を抑制することができ、第1の電流ブロック層129及び第2の電流ブロック層130の結晶品質を向上することが可能である。
【0310】
以上説明したように、第8の実施形態の一変形例によると、第8の実施形態と同様の高出力を得られるのに加えて、第2の緩衝層137を設けることにより、エッチングストップ層136におけるAlの組成を小さくしても、エッチングストップ層136と第2のp型クラッド層127との界面に生じる結晶欠陥が増大することがない。これにより、製造工程におけるエッチングストップ層136に生じる酸化を抑制して第1の電流ブロック層129及び第2の電流ブロック層130の結晶品質を向上して第8の実施形態よりも半導体レーザ装置の信頼性を向上できる。
【0311】
なお、第8の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、n型クラッド層122を構成する化合物半導体にn型AlGaAsを用いることがより好ましい。このようにすると、第1のp型クラッド層125及び第2のp型クラッド層127に加えて、n型クラッド層122においても熱伝導率が高いAlGaAs系の半導体材料を用いるため、活性層123で発生する熱をより効果的に拡散することができ、さらなる高出力化が可能である。
【0312】
また、第8の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、基板121に用いる材料はn型GaAsに限られず、例えばp型GaAsからなるp型基板を用いてもよい。
【0313】
また、第8の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、第1の電流ブロック層129にAlInPを用いることにより、実屈折率型の導波路を構成したが、第1の電流ブロック層129にGaAsを用いて複素屈折率型の導波路を構成してもよい。
【0314】
また、第8の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、活性層123は多重量子井戸構造に限られず、例えば単一量子井戸構造の活性層又は単一構造のバルク活性層であってもよい。
【0315】
また、第8の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、導波構造はリッジ導波型に限られず、例えば内部ストライプ型等の他の導波構造を用いる場合にも同様の効果を得られる。
【0316】
(第9の実施形態)
以下、第9の実施形態に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0317】
図20は第9の実施形態に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図20に示すように、n型GaAsからなる基板141の上にはn型AlGaInPからなるn型クラッド層142、量子井戸と該量子井戸を挟む光ガイド層とからなる多重量子井戸構造の活性層143及びp型AlGaInPからなる第1のp型クラッド層144が順次積層されている。
【0318】
なお、活性層143において、量子井戸はGaInPからなる3層の井戸層とAlGaInPからなる2層の障壁層とが井戸層を外側として交互に積層されており、量子井戸の上下にはAlGaInPからなる光ガイド層がそれぞれ形成されている。
【0319】
第1のp型クラッド層144の上には、p型AlGaAsからなる第2のp型クラッド層145がストライプ状に形成されており、該第2のp型クラッド層145の上にはp型GaInPからなる第1のコンタクト層146が形成されている。また、第1のp型クラッド層144の上面における第2のp型クラッド層145の側方部分及び第2のp型クラッド層145の側面の上には、n型AlInPからなるは第1の電流ブロック層147及びn型GaAsからなる第2の電流ブロック層148が順次形成されている。また、第1のコンタクト層146及び第2の電流ブロック層148の上にはp型GaAsからなる第2のコンタクト層149が形成されている。
【0320】
また、基板141の下には、例えばAu、Ge及びNiからなる合金により基板141とオーミック接触するn側電極150が形成されている。また、第2のコンタクト層149の上には、例えばCr、Pt及びAuからなる合金により第2のコンタクト層149とオーミック接触するp側電極151が形成されている。
【0321】
ここで、n型不純物としてSiが、またp型不純物としてZnがそれぞれドーピングされている。また、室温においてはドーピング濃度とキャリア濃度とはほぼ同じ値となる。
【0322】
前述の各半導体層の具体的な厚さ、化合物組成及びドーピング濃度の一例を表5に示す。
【0323】
【表5】
Figure 0004865186
【0324】
表5に示すように、第1のp型クラッド層144のGaの組成は0.1であり、AlGaInPからなる第1のp型クラッド層144の上にAlGaAsからなる第2のp型クラッド層145が積層された積層構造において、AlGaInPからなる半導体層のGaの組成が相対的に小さくされている。
【0325】
また、第9の実施形態では、GaAsからなる基板141と格子整合させるために、AlxGayIn1-x-yP からなる各半導体層におけるInの組成1−x−yを0.5としている。なお、GaAsからなる基板141と格子整合するためには、AlxGayIn1-x-yP からなる各半導体層におけるInの組成1−x−yは0.5に限られず、0.45≦1−x−y≦0.55の範囲にあればよい。
【0326】
第9の実施形態の半導体レーザ装置は、第8の実施形態と同様に活性層143は650nmの波長に対応するバンドギャップを持つ量子井戸構造を有し、第1の電流ブロック層147及び第2の電流ブロック層148の間を通過した電流が活性層143に到達すると、発振波長が650nmのレーザ光を放射する。
【0327】
ここで、第9の実施形態の半導体レーザ装置は、第2のp型クラッド層145に熱伝導率が高いAlGaAs系の半導体材料を用いているため、活性層143に発生する熱をヒートシンク(図示せず)へ効率良く拡散して活性層143の温度上昇を抑制することができる。
【0328】
また、第1のp型クラッド層144にバンドギャップが大きいAlGaInP系の半導体材料を用いているため、活性層143と第1のp型クラッド層144との間のバンドギャップの差を大きくすることができ、活性層143の電子が第1のp型クラッド層144にオーバーフローすることを抑制できる。
【0329】
このように、第1のp型クラッド層144にAlGaInP系の半導体材料を用いることにより活性層143に注入された電子が効率良く発光性再結合に寄与すると共に、第2のp型クラッド層145にAlGaAs系の半導体材料を用いることにより、活性層143に発生する熱をヒートシンクに拡散して温度上昇を防止することができる。これにより、素子の出力を上げるために電流値を増加しても熱飽和によって発光効率が低下することがないため、半導体レーザ装置を高出力化することができる。具体的に、第9の実施形態の半導体レーザ装置は、環境温度が約70℃の条件においても出力が飽和することなく、120mWもの高出力で動作可能である。
【0330】
さらに、AlGaInPからなる第1のp型クラッド層144の上にAlGaAsからなる第2のp型クラッド層145が積層された積層構造において、第1のp型クラッド層144のGaの組成は0.1であり相対的に小さいため、第1のp型クラッド層144と第2のp型クラッド層145との間に生じる結晶欠陥を低減することができる。具体的に、第1のp型クラッド層144と第2のp型クラッド層145との間に生じる結晶欠陥密度は1×104個/cm2以下であり、低欠陥化による素子性能の向上が可能である。
【0331】
以上説明したように、第9の実施形態の半導体レーザ装置によると、AlGaInPからなる第1のp型クラッド層144の上にAlGaAsからなる第2のp型クラッド層145を設けることにより、活性層143から第1のp型クラッド層144への電子のオーバーフローを抑制し、且つ活性層143に発生した熱を効率的に拡散して高出化を図る場合に、第1のp型クラッド層144におけるGaの組成を小さくしているため、第1のp型クラッド層144と第2のp型クラッド層145との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0332】
(第9の実施形態の第1変形例)
以下、第9の実施形態の第1変形例に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0333】
図21は第9の実施形態の第1変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図21において、図20に示す第9の実施形態の半導体レーザ装置と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0334】
図21に示すように、本変形例の半導体レーザ装置は、第1のp型クラッド層144と第2のp型クラッド層145との間に、膜厚が約1nmのp型Al0.45Ga0.05In0.5P からなる緩衝層152が設けられている点が第9の実施形態と異なっている。
【0335】
ここで、緩衝層152におけるGaの組成は第1のp型クラッド層144におけるGaの組成よりも小さい。つまり、本変形例の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、第1のp型クラッド層144、緩衝層152及び第2のp型クラッド層145が順次積層された積層構造として有している。従って、第1のp型クラッド層144の上に第2のp型クラッド層145を直接に形成する第9の実施形態の半導体レーザ装置と比べて、緩衝層152と第2のp型クラッド層145との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0336】
なお、緩衝層152の膜厚は、約1nmに限られず、0.5nm以上5nm以下であれば、半導体レーザ装置の特性に影響を与えることなく結晶欠陥を低減する効果を得られる。
【0337】
このように、本変形例の半導体レーザ装置によると、緩衝層152と第2のp型クラッド層145との界面に生じる結晶欠陥の密度は、緩衝層152の化合物組成によって決まり、第1のp型クラッド層144の化合物組成には依存しないため、第1のp型クラッド層144の化合物組成に設計上の自由度を確保でき、特にクラッド層のAl組成によって決定される動作電流及び垂直方向の広がり角等の半導体レーザ装置の諸特性に影響を与えることなく結晶欠陥を低減することができる。
【0338】
(第9の実施形態の第2変形例)
以下、第9の実施形態の第2変形例に係る半導体レーザ装置について図面を参照しながら説明する。
【0339】
図22は、第9の実施形態の第2変形例に係る半導体レーザ装置の断面構成を示している。図22において、図20に示す第9の実施形態の半導体レーザ装置と同一の部材については同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0340】
図22に示すように、本変形例の半導体レーザ装置は、第1のp型クラッド層144の上に膜厚が約10nmのGa0.5In0.5Pからなるエッチングストップ層153が形成されており、該エッチングストップ層153と第2のp型クラッド層145の間には膜厚が約1nmのp型Al0.5In0.5Pからなる緩衝層154が設けられている点が第9の実施形態と異なっている。
【0341】
ここで、緩衝層154におけるGaの組成は、エッチングストップ層153におけるGaの組成よりも小さい。つまり、本変形例の半導体レーザ装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、エッチングストップ層153、緩衝層154及び第2のp型クラッド層145が順次積層された積層構造として有している。従って、エッチングストップ層153をGaInPにより形成する場合に、エッチングストップ層153の上に直接に第2のp型クラッド層145を形成するのと比べて、緩衝層154と第2のp型クラッド層145との界面に生じる結晶欠陥を低減することができる。
【0342】
以下、本変形例の半導体レーザ装置の製造方法について説明する。
【0343】
本変形例の半導体レーザ装置の製造方法は、図18(a)〜図18(c)に示す第8の実施形態の半導体レーザ装置の製造工程と同様に実施可能である。
【0344】
具体的に、基板141の上に、n型クラッド層142、活性層143、第1のp型クラッド層144、エッチングストップ層153、p型AlInPからなる緩衝層形成層、p型AlGaAsからなる第2のp型クラッド層形成層及びp型GaInPからなる第1のコンタクト層形成層を順次結晶成長させた後、ストライプ状にパターニングされたシリコン酸化膜をマスクとして、第1のコンタクト層形成層、第2のp型クラッド層形成層及び緩衝層形成層を順次選択的にエッチング除去することにより、それぞれから第1のコンタクト層146、第2のp型クラッド層145及び緩衝層154を形成する。続いて第1の電流ブロック層147、第2の電流ブロック層148及び第2のコンタクト層149を順次結晶成長した後、n側電極150及びp側電極151を形成することにより本変形例の半導体レーザ装置が完成する。
【0345】
なお、GaInPからなる第1のコンタクト層形成層に対するエッチングは、塩酸系のエッチャント用いて行うことにより、AlGaAsからなる第2のp型クラッド層形成層との選択エッチングが可能である。同様に、第2のp型クラッド層形成層に対するエッチングにはアンモニアと過酸化水素水の混合液等を用い、緩衝層形成層に対するエッチングには硫酸等を用いてそれぞれの選択エッチングが可能であり、ストライプ状の緩衝層154、第2のp型クラッド層145及び第1のp型クラッド層を精密に形成することができる。
【0346】
ここで、エッチングにより緩衝層154を形成した後にエッチングストップ層153が露出するが、エッチングストップ層153はGaInPからなり、Alを含まないため、エッチングストップ層153の酸化が抑制されるので、第1の電流ブロック層147及び第2の電流ブロック層148の結晶品質を向上することができる。
【0347】
このように、本変形例の半導体レーザ装置によると、第1のp型クラッド層144と第2のp型クラッド層145との間にエッチングストップ層153を設けて第2のp型クラッド層145を精密に形成する際にエッチングストップ層153のAl組成を小さくして形成工程におけるエッチングストップ層153の酸化防止を図る場合に、エッチングストップ層153と第2のp型クラッド層145との間に緩衝層154とを設けることにより、第2のp型クラッド層145の結晶欠陥を低減することができる。
【0348】
なお、第9の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、n型クラッド層142はn型AlGaAsにより構成されることがより好ましい。このようにすると、第2のp型クラッド層145に加えて、n型クラッド層142においても熱伝導率が高いAlGaAs系の半導体材料を用いるため、活性層143で発生する熱をより効果的に拡散することができ、さらなる高出力化が可能である。
【0349】
また、第9の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、基板141に用いる材料はn型GaAsに限られず、例えばp型GaAsからなるp型基板を用いてもよい。
【0350】
また、第9の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、第1の電流ブロック層147にAlInPを用いることにより、実屈折率型の導波路を構成したが、第1の電流ブロック層147にGaAsを用いて複素屈折率型の導波路を構成してもよい。
【0351】
また、第9の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、活性層143は多重量子井戸構造に限られず、例えば単一量子井戸構造の活性層又は単一構造のバルク活性層であってもよい。
【0352】
また、第9の実施形態及びその変形例の半導体レーザ装置において、導波構造はリッジ導波型に限られず、例えば内部ストライプ型等の他の導波構造を用いる場合にも同様の効果を得られる。
【0353】
(第10の実施形態)
以下、第10の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しながら説明する。
【0354】
図23は第10の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図23に示すように、第10の実施形態の半導体装置は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)として形成されており、アンドープのGaAsからなる基板161の上に、n型AlGaInPからなるコレクタ層162、n型AlGaInPからなる緩衝層163、p型AlGaAsからなるベース層164及びn型AlGaAsからなるエミッタ層165が順次積層されている。
【0355】
コレクタ層162、ベース層164及びエミッタ層165は、それぞれの上面が露出するように階段状に形成されている。コレクタ層162上面の露出部分にはコレクタ電極167が形成されており、ベース電極168及びエミッタ電極169が形成されている。
【0356】
ここで、コレクタ層162、緩衝層163及びエミッタ層165にはn型不純物としてSiがドーピングされており、ベース層164にはp型不純物としてZnがドーピングされている。
【0357】
前述の各半導体層の具体的な厚さ、化合物組成及びドーピング濃度の一例を表6に示す。
【0358】
【表6】
Figure 0004865186
【0359】
表6に示すように、緩衝層163におけるGaの組成はコレクタ層162におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第10の実施形態の半導体装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、コレクタ層162、緩衝層163及びベース層164が順次積層された積層構造として有している。
【0360】
第10の実施形態では、緩衝層163を設けることにより、コレクタ層162の上に直接にベース層164を形成する場合と比べて、ベース層164の結晶欠陥を低減することができ、HBTの電流特性が向上する。
【0361】
(第11の実施形態)
以下、第11の実施形態に係る半導体装置について図面を参照しながら説明する。
【0362】
図24は第11の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図24に示すように、第11の実施形態の半導体装置は、電界効果トランジスタ(FET:Fieled Effect Transistor)として形成されており、アンドープのGaAsからなる基板171の上に、アンドープのAlGaInPからなるブロック層172、アンドープのAlGaInPからなる緩衝層173、n型AlGaAsからなるチャネル層174及びn型AlGaAsからなる電流供給層175が順次積層されている。
【0363】
電流供給層175の上には、ゲート絶縁膜176を介してゲート電極177が形成されていると共に、電流供給層175とオーミック接触するソース電極178及びドレイン電極179が形成されている。
【0364】
前述の各半導体層の具体的な厚さ、化合物組成及びドーピング濃度の一例を表7に示す。
【0365】
【表7】
Figure 0004865186
【0366】
表7に示すように、緩衝層173におけるGaの組成はブロック層172におけるGaの組成よりも小さい。つまり、第11の実施形態の半導体装置は、第1の実施形態と同様のIII-V族化合物半導体を、ブロック層172、緩衝層173及びチャネル層174が積層された積層構造として有している。
【0367】
第11の実施形態によると、緩衝層173を設けることにより、ブロック層172の上に直接にチャネル層174を形成する場合と比べて、チャネル層174の結晶性が向上される。このため、ブロック層172の上に直接にチャネル層174を形成する場合と比べて、チャネル層174の結晶欠陥を小さくすることが可能となるので、チャネル層の界面で2次元電子ガスを形成し易くなり、FETの高周波特性が向上する。
【0368】
【発明の効果】
本発明のIII-V族化合物半導体装置によると、AlGaInPからなる第1の半導体層の上にAlGaAsからなる第2の半導体層を形成する際に、第1の半導体層Gaの組成を小さくするか、又は第2の半導体層のAlの組成を小さくすることにより、第1の半導体層と第2の半導体層の間に生じる結晶欠陥を低減することができる。また、第1の半導体層及び第2の半導体層の化合物組成はそのままにして、第1の半導体層と第2の半導体層との間に、第1の半導体層のGaの組成よりも小さいGaの組成を持つAlGaInP又は第2の半導体層のAlの組成よりも小さいAlの組成を持つAlGaAsからなる緩衝層を形成することにより、第1の半導体層の上に直接に第2の半導体層を積層した積層構造と同等の物性を有し、且つ結晶欠陥がより少ないIII-V族化合物半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るIII-V族化合物半導体装置において、 AlxGa0.5-xIn0.5P層の上にAl0.6Ga0.4As層を積層したIII-V族化合物半導体におけるAlxGa0.5-xIn0.5P 層のAlの組成xと結晶欠陥密度との関係を示すグラフである。
【図2】本発明に係るIII-V族化合物半導体装置において、Ga0.5In0.5P層の上にAlzGa1-zAs層を積層したIII-V族化合物半導体におけるAlzGa1-zAs層のAlの組成zと結晶欠陥密度との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るIII-V族化合物半導体積層構造を示す構成断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るIII-V族化合物半導体積層構造を示す構成断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態の第1変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図9】本発明の第5の実施形態の第2変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態の第3変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図11】本発明の第5の実施形態の第4変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明の第6の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す工程順の断面構成図である。
【図14】本発明の第6の実施形態の一変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図16】(a)〜(c)は本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す工程順の断面構成図である。
【図17】本発明の第8の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図18】(a)〜(c)は本発明の第8の実施形態に係る半導体レーザ装置の製造方法を示す工程順の断面構成図である。
【図19】本発明の第8の実施形態の一変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図20】本発明の第9の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図21】本発明の第9の実施形態の第1変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図22】本発明の第9の実施形態の第2変形例に係る半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図23】本発明の第10の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図24】本発明の第11の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図25】従来例に係るIII-V族化合物半導体を示す構成断面図である。
【符号の説明】
11 基板
12 AlGaInP層(第1の半導体層)
13 緩衝層
14 AlGaAs層(第2の半導体層)
21 基板
22 AlGaInP層(第1の半導体層)
23 緩衝層
24 AlGaAs層(第2の半導体層)
31 基板
32 n型クラッド層(第1のクラッド層)
33 活性層(第1の半導体層)
34 緩衝層
35 拡散防止層(第2の半導体層)
36 第1のp型クラッド層(第2のクラッド層)
37 第2のp型クラッド層
38 電流ブロック層
39 コンタクト層
40 n側電極
41 p側電極
51 基板
52 n型クラッド層(第1の半導体層)
53 緩衝層
54 活性層(第2の半導体層)
55 第1のp型クラッド層
56 電流ブロック層
57 第2のp型クラッド層
58 コンタクト層
59 n側電極
60 p側電極
61 基板
62 n型クラッド層(第1のクラッド層)
63 活性層
64 第1のp型クラッド層
65 エッチングストップ層
66 第2のp型クラッド層(第2のクラッド層)
67 第1のコンタクト層(第1の半導体層)
68 第1の電流ブロック層
69 第2の電流ブロック層
70 緩衝層
71 第2のコンタクト層(第2の半導体層)
72 第3のコンタクト層
73 n側電極
74 p側電極
75 第4のコンタクト層
81 基板
82 n型クラッド層(第1のクラッド層)
83 活性層
84 p型クラッド層(第1の半導体層)
84a 凸部
84A p型クラッド層形成層
85 緩衝層
86 電流ブロック層(第2の半導体層)
86a 開口部
86A 電流ブロック層形成層
87 コンタクト層
88 n側電極
89 p側電極
90 シリコン酸化膜
91 緩衝層
101 基板
102 n型クラッド層(第1のクラッド層)
103 活性層
104 第1のp型クラッド層(第2のクラッド層)
105 電流ブロック層(第1の半導体層)
105A 電流ブロック層形成層
105a 開口部
106 緩衝層
107 第2のp型クラッド層(第2の半導体層)
107a 凸部
108 コンタクト層
109 n側電極
110 p側電極
111 レジストマスク
121 基板
122 n型クラッド層(第1のクラッド層)
123 活性層(第1の半導体層)
124 第1の緩衝層(緩衝層)
125 第1のp型クラッド層(第2の半導体層/第2のクラッド層)
126 エッチングストップ層(第1の半導体層)
127 第2のp型クラッド層(第2の半導体層/第2のクラッド層)
127A 第2のp型クラッド層形成層
128 第1のコンタクト層
128A 第1のコンタクト層形成層
129 第1の電流ブロック層
130 第2の電流ブロック層
131 第2のコンタクト層
132 n側電極
133 p側電極
134 保護層
135 シリコン酸化膜
136 エッチングストップ層(第1の半導体層)
137 第2の緩衝層(第3の半導体層)
141 基板
142 n型クラッド層(第1のクラッド層)
143 活性層
144 第1のp型クラッド層(第1の半導体層/第2のクラッド層)
145 第2のp型クラッド層(第2の半導体層)
146 第1のコンタクト層
147 第1の電流ブロック層
148 第2の電流ブロック層
149 第2のコンタクト層
150 n側電極
151 p側電極
152 緩衝層
153 エッチングストップ層(第1の半導体層)
154 緩衝層
161 基板
162 コレクタ層(第1の半導体層)
163 緩衝層
164 ベース層(第2の半導体層)
165 エミッタ層
167 コレクタ電極
168 ベース電極
169 エミッタ電極
171 基板
172 ブロック層(第1の半導体層)
173 緩衝層
174 チャネル層(第2の半導体層)
175 電流供給層
176 ゲート絶縁膜
177 ゲート電極
178 ソース電極
179 ドレイン電極

Claims (27)

  1. 基板上に第1導電型の第1のクラッド層を形成する第1の工程と、
    前記第1のクラッド層の上にAl Ga In 1−x−y P(但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1である。)からなる活性層を形成する第2の工程と、
    前記活性層の上に、AlGaIn1−a−bP(但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層を形成する第3の工程と、
    前記第1の半導体層の上に接して、Alを含むAlGa1−cAs(但し、0<c≦1である。)からなり、拡散防止層、コンタクト層、電流ブロック層及びクラッド層のいずれか1層となる第2の半導体層を形成する第4の工程とを備え、
    前記第の工程において、前記第1の半導体層におけるGaの組成bを0.35以下にすることを特徴とするIII-V族化合物半導体装置の製造方法。
  2. 前記第の工程において、前記第1の半導体層におけるGaの組成bを0.15よりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載のIII-V族化合物半導体装置の製造方法。
  3. 基板上に形成された第1導電型の第1のクラッド層と、
    前記第1のクラッド層の上に形成されたAl Ga In 1−x−y P(但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1である。)からなる活性層と、
    前記活性層の上に形成された、AlGaIn1−a−bP(但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層の上に接して形成されたAlを含むAlGa1−cAs(但し、0<c≦1である。)からなり、拡散防止層、コンタクト層、電流ブロック層及びクラッド層のいずれか1層となる第2の半導体層とを備え、
    前記第1の半導体層におけるGaの組成bが0.35以下であることを特徴とするIII-V族化合物半導体装置。
  4. 前記第1の半導体層におけるGaの組成bが0.15よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  5. 前記活性層の上に形成された第2導電型の第2のクラッド層をさらに備え、
    前記第1の半導体層は、前記第2のクラッド層の上にストライプ状に形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  6. 前記第2の半導体層の上に形成された第2導電型のAlGa1−dAs(但し、0≦d≦1である。)からなる第1コンタクト層と、
    前記第1コンタクト層の上に形成された第2導電型のGaAsからなる第2コンタクト層とをさらに備え、
    前記第1コンタクト層におけるAlの組成dは、前記第2の半導体層におけるAlの組成cよりも小さいことを特徴とする請求項5に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  7. 前記活性層の上に形成された第2導電型の第2のクラッド層をさらに備え、
    前記第1の半導体層は前記第2のクラッド層の上に設けられ、
    前記第2の半導体層はストライプ状に形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  8. 前記第2のクラッド層は第2導電型のAlGa1−dAs(但し、0≦d≦1である。)からなることを特徴とする請求項7に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  9. 前記第1のクラッド層は第1導電型のAlGa1−dAs(但し、0≦d≦1である。)からなることを特徴とする請求項3、4及び7〜8のうちのいずれか1項に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  10. 基板上に形成された第1導電型の第1のクラッド層と、
    前記第1のクラッド層の上に形成されたAl Ga In 1−u−v P(但し、0≦u≦1,0≦v≦1,0≦u+v≦1である。)からなる活性層と、
    前記活性層の上に形成された、AlGaIn1−a−bP(但し、0≦a≦1,0≦b≦1,0≦a+b≦1である。)からなる第1の半導体層と、
    前記第1の半導体層の上に形成されたAlGaIn1−x−yP(但し、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1である。)からなる緩衝層と、
    前記緩衝層の上に接して形成されたAlを含むAlGa1−cAs(但し、0<c≦1である。)からなり、拡散防止層、コンタクト層、電流ブロック層及びクラッド層のいずれか1層となる第2の半導体層とを備え、
    前記緩衝層におけるGaの組成yは前記第1の半導体層におけるGaの組成bよりも小さいことを特徴とするIII-V族化合物半導体装置。
  11. 前記活性層の上に形成された第2導電型の第2のクラッド層をさらに備え、
    前記活性層は複数の半導体層が積層されてなり、
    前記第1の半導体層は前記活性層の最上層を構成するように設けられ、
    前記第2の半導体層は前記第2のクラッド層の下に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  12. 前記活性層の上に形成された第2導電型の第2のクラッド層をさらに備え、
    前記第1の半導体層は前記第2のクラッド層の上にストライプ状に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  13. 前記第2の半導体層の上に形成された第2導電型のAlGa1−dAs(但し、0≦d≦1である。)からなる第1コンタクト層と、
    前記第1コンタクト層の上に形成された第2導電型のGaAsからなる第2コンタクト層とをさらに備え、
    前記第1コンタクト層におけるAlの組成dは、前記第2の半導体層におけるAlの組成cよりも小さいことを特徴とする請求項12に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  14. 前記活性層の上にストライプ状に形成された第2導電型の第2のクラッド層をさらに備え、
    前記第1の半導体層は前記第2のクラッド層の上に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  15. 前記第1の半導体層はストライプ状の凸部を有し、
    前記緩衝層は、前記凸部の下段及び側面の上に設けられ、
    前記第2の半導体層は第1導電型の不純物を含み、前記凸部の上段の上を開口するように設けられていることを特徴とする請求項10に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  16. 前記緩衝層は、前記第1の半導体層の上に、前記凸部の上段の上を含むように設けられていることを特徴とする請求項15に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  17. 前記緩衝層は第1導電型の不純物を含んでいることを特徴とする請求項15に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  18. 前記緩衝層は第2導電型の不純物を含んでいることを特徴とする請求項15又は16に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  19. 前記活性層の上に形成された第2導電型の第2のクラッド層をさらに備え、
    前記第1の半導体層はストライプ状の開口部を有し且つ第1導電型の不純物を含んでおり、
    前記緩衝層は前記第1の半導体層における前記開口部の壁面及び上面の上に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  20. 前記活性層は複数の半導体層が積層されてなり、
    前記第1の半導体層は前記活性層の最上層を構成するように設けられていることを特徴とする請求項10に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  21. 前記第2の半導体層の上に形成されたAlGaIn1−d−eP(但し、0≦d≦1,0≦e≦1,0≦d+e≦1である。)からなるエッチングストップ層と、
    前記エッチングストップ層の上に形成された第2導電型のAlGa1−fAs(但し、0≦f≦1である。)からなる第2のクラッド層とをさらに備え、
    前記エッチングストップ層におけるGaの組成eが0.35以下であることを特徴とする請求項20に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  22. 前記第2の半導体層の上に形成されたAlGaIn1−d−eP(但し、0≦d≦1,0≦e≦1,0≦d+e≦1である。)からなるエッチングストップ層と、
    前記エッチングストップ層の上に形成されたAlGaIn1−f−gP(但し、0≦f≦1,0≦g≦1,0≦f+g≦1である。)からなる第3の半導体層と、
    前記第3の半導体層の上に形成された第2導電型のAlGa1−hAs(但し、0≦h≦1である。)からなる第2のクラッド層とをさらに備え、
    前記第3の半導体層におけるGaの組成gは前記エッチングストップ層におけるGaの組成eよりも小さいことを特徴とする請求項20に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  23. 前記活性層の上に形成された第2導電型のAlGaIn1−d−eP(但し、0≦d≦1,0≦e≦1,0≦d+e≦1である。)からなる第2のクラッド層をさらに備え、
    前記第1の半導体層は前記第2のクラッド層の上に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
  24. 前記第1のクラッド層はAlGa1−dAs(但し、0≦d≦1である。)からなることを特徴とする請求項20〜22のうちのいずれか1項に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  25. 前記緩衝層におけるGaの組成yは0であることを特徴とする請求項10〜24のうちのいずれか1項に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  26. 前記基板はGaAsからなり、
    前記第1の半導体層におけるInの組成1−a−bは0.45≦1−a−b≦0.55であり、
    前記緩衝層におけるInの組成1−x−yは0.45≦1−x−y≦0.55であることを特徴とする請求項10〜25のうちのいずれか1項に記載のIII-V族化合物半導体装置。
  27. 前記緩衝層の厚さは0.5nm以上且つ5nm以下であることを特徴とする請求項10〜26のうちのいずれか1項に記載のIII-V族化合物半導体装置。
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