JPH0997920A - AlGaInP発光ダイオード及びその製造方法 - Google Patents

AlGaInP発光ダイオード及びその製造方法

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JPH0997920A
JPH0997920A JP25395895A JP25395895A JPH0997920A JP H0997920 A JPH0997920 A JP H0997920A JP 25395895 A JP25395895 A JP 25395895A JP 25395895 A JP25395895 A JP 25395895A JP H0997920 A JPH0997920 A JP H0997920A
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light emitting
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algainp
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JP25395895A
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Shigetaka Murasato
茂隆 村里
Yasuyuki Sakaguchi
泰之 坂口
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高輝度で低VF特性を有し、長時間使用して
も輝度劣化の少ない高性能なAlGaInP4元混晶の
発光ダイオードを得る。 【解決手段】 高温で完全に格子整合させた状態で良質
なエピタキシャル成長結晶を作る。エピタキシャル成長
温度で格子整合するようなIn混晶比を選択する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化合物半導体発光ダイオ
ードにかかわり、特に発光効率の高い黄色ないし橙色の
発光を呈する(Alx Ga1-xy In1-y P4元混晶
ダブルヘテロ構造を有する半導体発光ダイオードに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】化合物半導体基板上に形成したエピタキ
シャル成長層を利用した発光ダイオード(Light Emitti
ng Diode:LED)は、低消費電力、長寿命、高発光効
率、高信頼性が得られる等の特徴を有しており、各種表
示装置用光源として広く利用されている。特に、LED
は近年屋内使用から屋外使用へと利用範囲を拡大してき
ている。これは、小型高効率といった従来の利点に加
え、断線がないこと、発光波長領域が狭いので視認性が
高いなどのためである。LEDの使用による安全性の向
上という点からも、従来の電球による表示に比べてLE
Dによる表示の優位性が一般にも理解された結果であろ
う。しかし、屋外でのLEDの利用を制限するものとし
て、現状では表示色が少ないこと、赤色よりも短波長領
域での輝度の不足が挙げられる。各種の III−V族化合
物半導体のうち、GaAs単結晶基板上にエピタキシャ
ル成長させた、これと格子整合する(Alx Ga1-x
y In1-y P4元混晶は、直接遷移型でしかも最大のバ
ンドキャップエネルギーを有するため、緑色から赤色の
範囲にわたり高輝度の発光が得られるので利用範囲が急
速に拡大し、各種のLED発光構造が多数提案されてい
る。
【0003】図10に従来のAlGaInP4元ダブル
ヘテロ(DH)構造を有するLEDの一例を示す。図中
1はGaAs基板、2はバッファー層、5〜7はAlG
aInPDH構造部分、9はコンタクト層、10及び1
1は電極である。このような構造のLEDにおいて、上
クラッド層7は活性層6よりもバンドギャップエネルギ
ー差を大きくするため、Al濃度を高くする必要があ
る。Al濃度が高くなるとキャリア濃度を高くすること
ができず、電気抵抗が高くなり、上クラッド層7におけ
る電流の拡がりが小さく、電極10の直下のみが発光領
域となり、結果として発光効率を高めることができな
い。発光効率を高めるため図9に示すようにバッファ層
2と下クラッド層5との間に多層のブラッグ反射層3を
入れる試みもなされている。
【0004】電極からの注入電流を拡散させるために、
上クラッド層7の厚さを厚くすることも考えられる。こ
の場合、AlGaInP材料は熱伝導率が悪く、厚膜に
することによって結晶品質が低下する。また、クラッド
層の不純物として拡散性の高いものを使用した場合に
は、活性層6への不純物の拡散が起こり、素子特性の低
下を引き起こす。さらには結晶品質の上からエピタキシ
ャル成長速度が制限され、経済的に不利である等の欠点
が指摘され、上クラッド層7を厚くすることは困難であ
るとされている(特開平3−171679参照)。ま
た、クラッド層を厚くする場合はモビリティーの大きな
n型のAlGaInPとすればよりことが提案されてい
る(J. Appl. Phys. Vol.76 No.1 Sep.1994 p.2603 参
照)。
【0005】電極からの注入電流を拡散させる方法とし
てダブルヘテロ構造と上部電極との間にGaAlAsか
らなる電流拡散層を設ける方法が提案されている(特開
平4−212479参照)。その構造を図9に示す。電
流拡散層は発光波長に対して透明な材料とするため、バ
ンドギャップエネルギーを大きくし、キャリア濃度を5
×1017cm-3以上とし、厚さは5〜30μm以上とす
るのが良いとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
LEDでは屋外での使用等の高輝度を要求される用途に
対して、十分満足のいく輝度は達成されていない。ここ
で輝度とは発光強度に比例し、視覚による影響を加味し
た値である。また、ヘテロ接合面の増加により素子抵抗
が高くなり高い作動電圧が要求されたり、電流拡散層が
高Al濃度であるため素子の劣化が起こる等の問題点を
抱えている。高輝度が得られない原因は、ダブルヘテロ
接合発光構造部分の格子整合が得られておらず、しかも
多くのヘテロ接合面を抱えているため良質のエピタキシ
ャル成長層が得られていない為であると推察される。従
来から(Alx Ga1-xyIn1-y P4元混晶は、y
=0.5の時GaAs基板と格子整合するとされてきた
が、どのようにして格子整合させるかについては何ら提
案されていない。基板として使用するGaAs結晶の室
温での格子定数は0.56533nmであり、エピタキ
シャル成長温度である例えば780℃では0.5680
4nmであり、0.48%も変化している。一方クラッ
ド層として使用される(Al0.7 Ga0. 30.5 In
0.5 Pの室温での格子定数は0.56640nmで、7
80℃では0.56837nmとなり0.348%増加
する。従って基板とクラッド層との格子不整合度は、室
温では0.19%、780℃では0.058%となる。
このように一見格子整合しているように見える(Alx
Ga1-xy In1-y Pエピタキシャル成長層でも、な
おかなりの格子不整合度を有している。本発明者らの詳
細な検討の結果、常温での格子整合もさることながら、
エピタキシャル成長温度で格子整合させることがより重
要であることが判明した。エピタキシャル成長時に構成
整合していれば良質の成長結晶が得られ、たとえ常温ま
で降温して結晶格子に歪が発生したとしても輝度に影響
を与えるほどではなく、結果として高輝度が達成される
こととなる。
【0007】さらに、良質のエピタキシャル成長層が得
られれば、上クラッド層中での電流拡散が良好となり、
敢えて電流拡散層なる特別な層を設けなくても良くな
り、ヘテロ接合界面も減ることから素子抵抗が低くな
り、作動電圧(VF特性)も低くて良いこととなる。ま
た、Al濃度の高いエピタキシャル成長層を使用しなけ
れば素子の劣化の問題も解消し、信頼性の高い素子が得
られることとなる。本発明の目的は、高温での格子整合
を取ることにより、従来困難とされていた上部クラッド
層の厚膜化を達成し、もって高輝度、低作動電圧、高信
頼性のLEDを得ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では基板としてp型GaAs単結晶を使用
し、この基板の上に(Alx Ga1-xy In1-y Pか
らなるダブルヘテロ接合発光構造の発光部を有し、該ダ
ブルヘテロ接合発光構造の各層がエピタキシャル成長温
度で格子整合しており、かつ上クラッド層として厚さ3
〜10μmのn型(Alx Ga1-xy In1-y P層を
具備した構造を採用することとした。この構造とするこ
とにより、波長550〜650nmの領域で高輝度低作
動電圧で、寿命が長く高信頼性の発光素子を得ることが
できる。
【0009】先ず、本発明の最も重要な要件であるダブ
ルヘテロ(DH)接合発光構造部分の格子整合について
説明する。基板であるGaAs結晶の物性は広く知られ
ているが、ダブルヘテロ接合をする(Alx Ga1-x
y In1-y P4元混晶の物性は明らかにされていない、
AlGaInPはAlP、GaP、InPの混晶である
から、これらの物性から4元混晶の物性を推計すること
ができる。既知の結晶の物性値は表1に示すとおりであ
る。
【0010】
【表1】
【0011】これらのデータを基に(Alx Ga1-x
y In1-y P4元混晶の格子定数と線膨張係数を推計す
る。(Alx Ga1-xy In1-y Pの組成式を変形す
ることにより (Alx Ga1-xy In1-y P=AlxyGa(1-x)yIn(1-y) P‥‥(1) となり、この混晶はAlP、GaP、InPをそれぞれ
xy、(1−x)y、(1−y)ずつ含むことになるか
ら、常温における格子定数aroomはそれぞれの結晶の格
子定数を加重平均して、 aroom=0.54625 xy+ 0.54512(1−x)y+ 0.58688(1−y) [nm]‥‥‥‥‥‥‥‥(2) 線膨張係数βepi はそれぞれの線膨張係数を加重平均し
て βepi =4.20xy+5.91(1−x)y+4.56(1−y) [×10-6/K]‥‥‥‥‥‥‥‥(3) となる。このようにして混晶比x,yが定まれば、(A
x Ga1-xy In1-y P4元混晶の常温における格
子定数aroomと0〜700Kにおける線膨張係数βepi
を推計することができる。
【0012】次にエピタキシャル成長温度をT℃とした
とき、成長温度と室温とにおける温度差はΔTとなり、
エピタキシャル成長温度における4元混晶の格子定数a
T と基板の格子定数sT はそれぞれ aT =aroom(1+βepi ・ΔT) ‥‥‥‥‥‥‥(4) sT =sroom(1+βsub ・ΔT) ‥‥‥‥‥‥‥(5) となる。ここでβepi は前出の(3)式によるエピタキ
シャル成長層の線膨張係数、βsub は基板(例えばGa
As)の線膨張係数である。
【0013】上記の(2)式ないし(5)式を使用すれ
ば、混晶比x,yを有する4元混晶のエピタキシャル成
長温度T℃における格子定数aT を推計することができ
る。T℃における格子定数aT が定まればT℃における
格子不整合度Δaを推計することができる。ここである
温度での基板の格子定数をs、4元混晶の格子定数をa
とすれば、格子不整合度Δaは次式(6)で定義する。 Δa=(s−a)/s×100(%) ‥‥‥‥‥‥(6) 今、基板としてGaAs結晶、(Alx Ga1-xy
1-y P4元混晶のエピタキシャル成長温度を780℃
とした時、公知の4元混晶の室温とエピタキシャル成長
温度における格子不整合度Δaroom、Δaepi は以下の
表2のとおりになる。
【0014】
【表2】
【0015】表2に示すとおり、公知のAlGaInP
4元混晶は、室温では0.14〜0.19%の格子不整
合度を有し、エピタキシャル成長時にもなお0.039
〜0.058%の格子不整合度を有している。例えば、
電流拡散層として使用されているAl0.5 Ga0.5 Pや
Ga0.5 In0.5 Pでは、格子不整合度は一層拡大した
ものとなっている。このようにエピタキシャル成長温度
で格子不整合度の大きな結晶のヘテロ接合面を多数用い
ている公知のAlGaInP4元混晶LEDでは、ヘテ
ロスパイクが大きくなるため、高輝度が達成されない原
因になっていると考えられる。エピタキシャル成長時に
おける格子不整合は極力避けねばならない。
【0016】次に、エピタキシャル成長温度で格子整合
させる方法について説明する。まず、Alの混晶比はA
lGaInP4元混晶のバンドギャップエネルギーを決
めるので、作成した結晶のフォトルミネッセンス(P
L)による発光波長測定から、目的のバンドギャップエ
ネルギーを与える混晶比に調整することができる。Ga
As(100)基板を用いた場合について、目標とする
発光波長に対する活性層のAl混晶比xとバンドギャッ
プエネルギーEg を表3に示す。
【0017】
【表3】
【0018】上記に従って目標とする発光波長に対応す
る活性層のAl混晶比xを選定する。AlGaInP4
元混晶のバンドギャップエネルギーはAlの混晶比xと
共に増加し、x=0.7以上では間接遷移領域に入るの
で、x=0.7が上限となる。x=0はGaInP混晶
であり、発光波長は650nm(赤)となる。x=0.
7では発光波長は550nm(緑)となる。
【0019】クラッド層のバンドギャップエネルギーは
活性層よりも大きくする必要がある。なぜならば、クラ
ッド層のバンドギャップエネルギーが活性層のバンドギ
ャップエネルギーよりも小さいと、キャリアのバンド間
の遷移により発光に対して吸収体として作用するように
なるからである。クラッド層によるキャリアの閉じ込め
効果を考えると、クラッド層のバンドギャップエネルギ
ーは、室温でのLEDの使用を前提とすると、活性層の
バンドギャップエネルギーよりも少なくとも0.1eV
以上大きくする必要がある。このようにして選定したク
ラッド層のバンドギャップエネルギーを表3に併記す
る。
【0020】次に、Inの量により格子定数が決まるの
で、以下の手順に従ってInの混晶比(1−y)を決定
する。一般に0.1μm以上の厚さを有するエピタキシ
ャル成長層に対しては、2結晶X線回折法等で室温にお
けるエピタキシャル成長結晶の格子定数を精密に測定す
ることができる。従って、各種のx,yに対するエピタ
キシャル成長結晶の格子定数を測定し、これらの値を基
にエピタキシャル成長温度(T℃)における格子定数を
式(4)に従って推計する。さらに、式(6)からT℃
における格子不整合度を求めることができる。このよう
にして求めた値からエピタキシャル成長温度における格
子不整合度が零(完全格子整合)となるような混晶比
x,yを選択すれば良い。このようにして室温における
所定の格子不整合度を得るようにIn混晶比(1−y)
を調整するのである。具体的にはエピタキシャル成長温
度における格子整合条件は式(4)及び式(5)から aT −sT =aroom(1+βepi ・ΔT)−sroom(1+βsub ・ΔT) =0 ‥‥‥‥‥‥‥(7) となる。式(7)において右辺は成長温度、従ってΔT
が決まれば既知である。一方aroom、sroomはそれぞれ
式(4)、(5)で与えられ、共にx,yの関数であ
る。ただしxは目的のバンドギャプエネルギーからも制
約されるため、結局式(7)はyについての2次方程式
となる。yについての条件式0<y≦1を満たす解を求
め、再度x,yを式(2)に代入すると室温での格子定
数aroomが得られ、つづいて室温での格子不整合度が得
られる。表4はこの手順によって得られたエピタキシャ
ル成長温度780℃で厳密に格子整合するAlGaIn
P4元混晶の室温での格子不整合度を示したものであ
る。
【0021】
【表4】
【0022】表4に示した混晶比x,yを有する(Al
x Ga1-xy In1-y P4元混晶を使用してダブルヘ
テロ接合発光構造を作れば、GaAs基板とエピタキシ
ャル成長温度で格子整合した良質のエピタキシャル成長
結晶が得られ、高輝度で信頼性の高いLEDとすること
ができる。信頼性に関しては図4に50mAで通電した
場合の輝度の経時変化を示す。図に示すとおりエピタキ
シャル成長温度で格子整合させたものは、輝度の劣化も
少なく、信頼性に優れたものであることがわかる。表4
ではエピタキシャル成長温度を780℃とした場合を示
したが、エピタキシャル成長温度を変えた場合にも同様
にしてエピタキシャル成長温度で格子整合する4元混晶
の結晶組成を選定することが可能である。4元混晶の良
質な結晶を得るにはエピタキシャル成長温度は730〜
830℃が適当である。この温度範囲では格子不整合度
も僅かに変化するが許容できる範囲である。従ってIn
混晶比(1−y)の範囲は0.5045≦(1−y)≦
0.5095とする。
【0023】次に、本発明のLEDに用いるエピタキシ
ャルウエーハの他の構成要件を順を追って説明する。ま
ず、基板としては発光層であるAlGaInPと格子整
合が得られ、良質の結晶が容易に入手可能な材料とし、
GaAsを選択する。電気伝導型はp型を用いる。p型
基板を用いると基板と反対側は必然的にn型となる。n
型AlGaInP結晶の上クラッド層は、不純物濃度を
高くしても良質の結晶を得やすく、同じキャリア濃度に
対してp型混晶よりも電子移動度が大きく、低抵抗で電
流の拡散効果の大きな上クラッド層となるからである。
p型ドーパントとしては一般にZnが用いられ、キャリ
ア濃度は1×1018cm-3以上であることが好ましい。
基板結晶の面方位は(100)でも良く、または傾斜方
位のものでも良い。
【0024】基板の上には基板からの不純物の拡散を防
止し、結晶欠陥の影響を排除するために、GaAsのバ
ッファー層を載置する。厚さは一般的には0.1〜1.
0μm、ドーパントとしてZnを用いる。キャリア濃度
は一般的には(1〜6)×1018cm-3である。また、
基板側へ向った光を有効に取出すためAlGaAs多層
構造からなる公知のブラッグ反射層(DBR)を使用す
るのは効果がある。
【0025】上記のとおりエピタキシャル成長温度で格
子整合させた本発明のAlGaInP系混晶ダブルへ接
合発光構造の第2の特徴は、その上クラッド層の伝導型
をn型とし、かつ層厚を厚くして、ダブルヘテロ接合構
造の上に電流拡散層又はウインド層といった特別な異種
の層を設けないことにある。ダブルヘテロ接合発光構造
各層の厚さは、活性層へのキャリアの閉じ込め効果が高
く、かつ活性層でのキャリアの再結合が大きくなる(す
なわち輝度が高くなる)ように決める。活性層の厚さは
薄くすると内部に注入されたキャリア(電子及びホー
ル)の再結合確立が増加する反面、体積の減少によって
存在できるキャリアの数が減少する。一方、あまり厚く
すると活性層中のキャリアは増加するものの再結合確立
は減少する。従って活性層の厚さは0.1〜1.5μm
程度が最適である。
【0026】一般にダブルヘテロ接合構造のクラッド層
は活性層とのバンドギャップエネルギーによって活性層
中にキャリアを閉じ込める作用をもつ。従ってキャリア
のトンネリングによるすり抜けを防止するために、0.
5〜2μm程度の厚さが用いられる。本発明でも下クラ
ッド層の厚さは0.5〜2μm程度で良い。本発明では
上クラッド層の厚さを3〜10μm、好ましくは5〜8
μmと厚くすることを特徴とする。本発明では上クラッ
ド層にn型のAlGaInPを用いたこと、エピタキシ
ャル成長時に完全に格子整合させてあり良質の結晶にな
っていること、さらにヘテロギャップが少ないことか
ら、上クラッド層内における電子の移動度が高く、充分
な電流拡散効果が得られるからである。図5にp型Ga
As基板を用いてn型AlGaInP上クラッド層を用
いたLEDの、上クラッド層の層厚と素子出力との関係
を示す。上クラッド層の層厚の増加とともに出力も徐々
に増加するが、10μm程度で増加は収束する。既存の
LEDよりも高出力、即ち高輝度が得られるのは厚さが
3〜10μmの範囲、より好ましくは5〜8μmであ
る。
【0027】n型上クラッド層に使用するn型ドーパン
トとしてはSi、Ge、Se、Te等がある。これらの
うちでSi、Geは両性不純物であり、成長温度によっ
てはp型として作用する。またSiは深い準位の不純物
となるため、電気抵抗を低くするために高濃度にドープ
すると発光の吸収を引き起こすようになる。従って、n
型ドーパントとしてはSeまたはTe、特にSeが好ま
しい。上クラッド層のキャリア濃度としては1×1016
cm-3〜1×1018cm-3、好ましくは3×1016cm
-3〜1×1017cm-3とする。
【0028】上クラッド層のキャリア濃度を層厚の関数
として変化させるのも有効である。活性層の近くではキ
ャリア濃度を低くし、上部電極近傍ではキャリア濃度を
高くすることにより、活性層の近くでは比抵抗が増し上
部電極近傍では比抵抗が下がるので電極からの注入キャ
リアが拡散し易くなり、活性層へのキャリア注入面積を
増加させて素子の発光効率を増大させる結果となる。
【0029】上クラッド層のバンドギャップエネルギー
を層厚の関数として変化させるのも有効である。先に述
べたように、活性層のキャリア閉じ込め効果を高めるた
めにはクラッド層のバンドギャップエネルギーは大きい
ほうが良い。しかし、上クラッド層の活性層側から徐々
にバンドギャップエネルギーを減少させることにより、
その上のコンタクト層からのキャリアの注入を効率よく
行うことができる。コンタクト層はオーミック電極を形
成し易くするため、通常バンドギャップエネルギーの小
さな材料(たとえばGaAs)を用いるが、この結果コ
ンタクト層と上クラッド層との間のバンドギャップエネ
ルギー差が大きくなり、電流の注入効率が阻害される。
そこで発光波長に対して吸収体とならない範囲で、上ク
ラッド層のバンドギャップエネルギーをコンタクト層に
向かって徐々に減少させることにより、コンタクト層と
の界面でのバンドギャップエネルギー差を小さくするこ
とができる。
【0030】また、上クラッド層のバンドギャップエネ
ルギーを層厚の関数として変化させると、屈折率が変化
することにより表面電極の見込角の減少といった効果も
期待できる。物質の屈折率はそのバンドギャップエネル
ギーにほぼ反比例して減少する。上述のようなバンドギ
ャップエネルギープロファイルを有する上クラッド層で
は、屈折率は活性層側から上部に向かって徐々に増加す
る。この結果、活性層側から上部電極を覗くと光学的最
短線は電極の外側に向かって曲がることになり、上部電
極の見掛けの大きさは実寸よりも小さくなる。従って、
上部電極により覆われる活性層の面積は小さくなる。こ
のような効果は従来はダブルヘテロ接合発光構造の上
に、電流拡散層といった特別な層を設けることにより試
みられていた。しかし、本発明では特別な層を設けるこ
となく、厚さの厚い上クラッド層のみで達成することが
できる。バンドギャップエネルギーを変化させる場合に
はキャリアの閉じ込め効果を確保するために、バンドギ
ャップエネルギーが活性層よりも0.1eV以上高い領
域が、活性層との界面から少なくとも0.5μm以上存
在するようにする必要がある。さらに、バンドギャップ
エネルギー勾配とキャリア濃度勾配とを併用すると双方
の相乗効果が期待できる。このようなバンドギャップエ
ネルギー勾配は、例えばMO−CVD法などを利用すれ
ば比較的簡単に、かつ精密に形成することができる。
【0031】以上のようにして載置した上クラッド層の
上にコンタクト層を介してn型オーミック電極を形成す
る。また、GaAs基板の表面にはp型オーミック電極
を形成してLED素子とする。コンタクト層については
その上の金属電極とオーム性接触を取り易いことを目安
に選ぶ。本発明の構造では最適な物質はGaAsであ
り、厚さは0.1〜1μmあれば良い。キャリア濃度は
1×1018cm-3以上が必要である。金属電極はn型で
はAu/Au−Ge、p型ではAu/Au−Beが用い
られる。以上のようにLED用ウエーハを構成すること
により、上部電極からの注入電流を充分に拡散させ、効
果的に高い出力、即ち高い輝度の発光素子を得ることが
できる。
【0032】
【作用】本発明は(Alx Ga1-xy In1-y Pダブ
ルヘテロ発光構造を有するLEDにおいて、上クラッド
層をn型の(Alx Ga1-xy In1-y Pとし、かつ
エピタキシャル成長温度において格子整合させると共に
厚さを厚くして電流拡散効果を発揮させるようにしたも
のである。エピタキシャル成長温度で格子整合させてい
るため良質の成長結晶が得られ、かつヘテロ接合面の数
を少なくしてあり、しかも層厚を厚くしているので電流
か広く拡散し、輝度を高くすることができる。また、V
F特性は低い発光素子とすることができる。
【0033】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。 (実施例1)p型GaAs基板上に620nmの発光層
を持つAlGaInPダブルヘテロ接合構造を有するL
EDを作った。各層の構成を図1に示す。基板1として
はZnドープのp型GaAs単結晶を使用した。キャリ
ア濃度は5.0×1018cm-3である。面方位は(10
0)4度offとした。基板上にMOCVDを利用して
エピタキシャル層を成長させた。先ず、基板1上にGa
Asバッファー層2を成長させた。バッファー層2はZ
nドープでキャリア濃度は1×1018cm-3、厚さは
0.5μmとした。バッファー層2の上に下部反射層3
を積載した。下部反射層の構成はSeドープ、厚さ4
1.9nmのAl0.4 Ga0.6 As層3aと、Seドー
プ、厚さ49.3nmのAl0.95Ga0.05As層3bと
を25層積層して構成した。キャリア濃度は2層の平均
で1.5×1018cm-3であった。
【0034】次に、(Alx Ga1-xy In1-y Pダ
ブルヘテロ接合発光構造を形成した。発光波長を620
nmとするため、活性層6のバンドギャップエネルギー
をEg =2.00eVに設定した。また、下クラッド層
5及び上クラッド層7ではキャリアの閉じ込め効果と発
光に対する透明性を確保するためバンドギャップエネル
ギーは活性層6よりも0.29eV大きなEg =2.2
9eVに設定した。この結果、各層のAl混晶比xは活
性層6ではx=約0.17、下クラッド層5及び上クラ
ッド層7ではx=約0.7となる。
【0035】次に、ダブルヘテロ接合発光構造部のエピ
タキシャル成長を780℃で行なうこととし、この成長
温度で格子定数がGaAs基板と完全に整合するように
した。即ち、780℃におけるGaAsの格子定数は
5.6804Åであるから、ダブルヘテロ接合部の4元
混晶各層の格子定数も5.6804Åとなるように、前
述の計算式を用いてx、yを定めた。前述のバンドギャ
ップエネルギーと上記格子定数の条件を満たすx、yを
本発明の主旨に従って計算した結果、活性層6の組成は
(Al0.1700Ga0.8300)0.4946 In0.5054P、下クラ
ッド層5及び上クラッド層7の結晶組成は(Al0.7000
Ga0.30000.4920Ino.5080Pとなった。上記組成の
結晶が得られるようMOCVD工程の原料ガスの混合比
を制御することにより、結晶の組成を変化させた。原料
ガスとしては、TMAl、TMGa、TMIn、DEZ
n、アルシン、ホスフィン、セレン化水素を用いた。各
層の伝導型は下クラッド層5はZnドープのp型、活性
層6はアンドープ、上クラッド層7はSeドープのn型
とした。また、厚さは下クラッド層5は1μm、活性層
6は0.5μm、上クラッド層7は3μmとした。
【0036】このようにして得られたダブルヘテロ接合
構造各層のキャリア濃度を測定した。キャリア濃度は下
クラッド層5は1×1017cm-3、活性層6は1×10
16cm-3、上クラッド層7は3×1017cm-3であっ
た。キャリア濃度プロファイルを図2に示す。また、バ
ンドギャップエネルギーのプロファイルを図3に示す。
【0037】さらにダブルヘテロ接合構造の各層の格子
定数を測定し、前述の式(6)に従って格子不整合度を
測定した。その結果、下クラッド層5ではΔa=0.1
2%、活性層6ではΔa=0.09%、上クラッド層7
ではΔa=0.10%であり、各層とも従来のものと比
較して格子整合度は格段に向上していた。
【0038】最後に上クラッド層7の上にZnドープの
p型GaAsコンタクト層9を厚さ0.3μm成長させ
た。キャリア濃度は1×1018cm-3とした。この上に
(Au−Be)/Auを蒸着し、オーミック電極10を
形成した。また、基板裏面には(Au−Ge)/Auで
オーミック電極11を形成してLEDとした。
【0039】このようにして得たLEDの特性を評価し
たところ、波長620nm、電流20mAでの発光出力
は40a.u.(arbitrary unit :任意単位で特定の測
定器で測定した値)であり、VF=1.95V、100
0時間通電後の劣化試験結果では発光強度の劣化は87
%と良好な値を示した。本実施例1と比較例1とを比べ
ると、p型基板を使用することにより上クラッド層7が
n型となり、電流拡散効果が増大して発光出力が高くな
る。また、本実施例1と比較例3とを比べると、ダブル
ヘテロ接合構造部分の格子整合度は発光強度及び通電に
よる素子の劣化に大きな影響を与えており、成長温度で
の格子整合条件により輝度及び素子としての信頼性が大
きく改善されることが分かる。主な構成要件と素子特性
を表5に一覧として示す。
【0040】
【表5】
【0041】(実施例2)発光波長を650nmとする
ため、活性層6のバンドギャップエネルギーをEg
1.89eVに設定した。また、下クラッド層5及び上
クラッド層7ではバンドギャップエネルギーは活性層6
よりも0.29eV大きなEg =2.28eVに設定し
た。この結果、各層のAl混晶比xは活性層6ではx=
0.0、下クラッド層5及び上クラッド層7ではx=約
0.7となる。エピタキシャル成長を780℃で行なう
こととし、この成長温度である730℃で格子定数がG
aAs基板と完全に整合するようにした。即ち、前述の
計算式を用いて前述のバンドギャップエネルギーと上記
格子定数の条件を満たすx、yを本発明の主旨に従って
計算した結果、活性層6の組成はGa0.4955In0.5045
P、下クラッド層5及び上クラッド層7の結晶組成は
(Al0.7000Ga0.3000)0.4920 In0.5080Pとなっ
た。そのほかの条件は全て実施例1と同様にしてLED
素子を作った。このようにして得たLEDの特性を評価
したところ、波長650nm、電流20mAでの発光出
力は45a.u.であり、VF=1.89V、1000
時間通電後の劣化試験結果では発光強度の劣化は110
%と良好な値を示した。
【0042】(実施例3)発光波長を590nmとする
ため、活性層6のバンドギャップエネルギーをEg
2.10eVに設定した。また、下クラッド層5及び上
クラッド層7ではバンドギャップエネルギーは活性層6
よりも0.25eV大きなEg =2.35eVに設定し
た。この結果、各層のAl混晶比xは活性層6ではx=
0.4800、下クラッド層5及び上クラッド層7では
x=約1.0となる。エピタキシャル成長を780℃で
行なうこととし、この成長温度である800℃で格子定
数がGaAs基板と完全に整合するようにした。即ち、
前述の計算式を用いて前述のバンドギャップエネルギー
と上記格子定数の条件を満たすx、yを本発明の主旨に
従って計算した結果、活性層6の組成は(Al0.4800
0.5200)0.4931 In0.5069P、下クラッド層5及び上
クラッド層7の結晶組成はAl0.4905In0.50 95Pとな
った。そのほかの条件は全て実施例1と同様にしてLE
D素子を作った。
【0043】このようにして得たLEDの特性を評価し
たところ、波長590nm、電流20mAでの発光出力
は38a.u.であり、VF=1.95V、1000時
間通電後の劣化試験結果では発光強度の劣化は85%と
良好な値を示した。
【0044】(実施例4)発光波長を570nmとする
ため、活性層6のバンドギャップエネルギーをEg
2.18eVに設定した。また、下クラッド層5及び上
クラッド層7ではバンドギャップエネルギーは活性層6
よりも0.17eV大きなEg =2.35eVに設定し
た。この結果、各層のAl混晶比xは活性層6ではx=
0.5800、下クラッド層5及び上クラッド層7では
x=1.0となる。エピタキシャル成長を780℃で行
なうこととし、この成長温度である830℃で格子定数
がGaAs基板と完全に整合するようにした。即ち、前
述の計算式を用いて前述のバンドギャップエネルギーと
上記格子定数の条件を満たすx、yを本発明の主旨に従
って計算した結果、活性層6の組成は(Al0.5800Ga
0.42000.4926In0. 5074P、下クラッド層5及び上ク
ラッド層7の結晶組成はAl0.4905In0.5095Pとなっ
た。そのほかの条件は全て実施例1と同様にしてLED
素子を作った。
【0045】このようにして得たLEDの特性を評価し
たところ、波長570nm、電流20mAでの発光出力
は35a.u.であり、VF=2.00V、1000時
間通電後の劣化試験結果では発光強度の劣化は83%と
良好な値を示した。
【0046】(実施例5)上クラッド層7の厚さを3μ
mから10μmに厚くした以外は、実施例1と同様な構
造とし、エピタキシャル成長温度で完全に格子整合した
ダブルヘテロ接合発光構造と、下部反射層3とを備えた
LEDとした。このようにして得られたLEDの特性を
評価したところ、波長は620nm、電流20mAでの
発光出力は45a.u.、VF=1.95Vで、実施例
1と比べて出力が一段と向上し、電流拡散効果が増進し
たことが認められた。また1000時間通電後の劣化も
90%と良好な結果を示した。
【0047】(実施例6)実施例5と同じ様な構造と
し、上クラッド層7のバンドギャップエネルギーとキャ
リア濃度を厚さ方向に従って変化させた。実施例5では
上クラッド層7のAl濃度とキャリア濃度はクラッド層
全域にわたってほぼ一定であったが、本実施例ではクラ
ッド層の厚さ方向に従ってAl濃度を減少させ、キャリ
ア濃度を増加させた。すなわち、上クラッド層7の活性
層6との界面近傍では、バンドギャップエネルギーは
2.29eV、キャリア濃度は5×1016cm-3であっ
た。活性層6との界面から0.5μmの地点ではバンド
ギャップエネルギーは2.25eV、キャリア濃度は1
×1017cm-3であった。また、コンタクト層9との界
面近傍ではバンドギャップエネルギーは2.1eV、キ
ャリア濃度は1×1018cm-3であった。このようなバ
ンドギャップエネルギー及びキャリア濃度の変化は、A
l組成及びSeドープ量の調整によって行なった。
【0048】この実施例のダブルヘテロ接合発光構造部
のキャリア濃度プロファイルを図6に、バンドギャップ
エネルギープロファイルを図7に示す。その他の構成は
実施例1及び実施例5と同様な構造とし、エピタキシャ
ル成長温度で完全に格子整合したダブルヘテロ接合発光
構造と下部反射層3とを備え、上クラッド層7のバンド
ギャップエネルギーとキャリア濃度が勾配をもったLE
Dとした。上クラッド層7の格子不整合度は上クラッド
層7全域にわたって0.1%を示した。このようにして
得られたLEDの特性を評価したところ、波長は620
nm、電流20mAでの発光出力は50a.u.、VF
=1.95Vで、実施例6と比べて出力がさらに向上し
た。また1000時間通電後の劣化も92%と良好な結
果を示した。
【0049】(比較例1)n型基板上に発光波長620
nmのAlGaInPダブルヘテロ発光構造を有する従
来タイプのLEDを形成した。断面構造を図8に示す。
GaAs基板1はSiドープでキャリア濃度は2.0×
1018cm-3、面方位は(100)4度オフであった。
この基板上にMOCVD法によるエピタキシャル成長に
より、成長温度780℃で発光構造を形成した。まず、
基板1上にGaAsバッファー層2を成長させた。厚さ
は0.5μm、キャリア濃度は1.0×1018cm-3
あった。次に、反射層3を形成した。反射層3の構成は
Seドープ、厚さ41.9μmのn型Al0.4 Ga0.6
As層3aと、Seドープ、厚さ49.3μmのn型A
lAs層3bとを12層積層させて構成した。キャリア
濃度は2層平均で1.5×1018cm-3であった。
【0050】次に、AlGaInPダブルヘテロ発光構
造を形成した。AlGaInPダブルヘテロ発光構造部
は発光波長を620nmとするため、活性層6のバンド
ギャップエネルギーを2.00eV、上下クラッド層5
及び7のバンドギャップエネルギーを2.29eVに設
定した。さらにエピタキシャル成長温度780℃で格子
整合するようにIn混晶比を設定したので、活性層6の
結晶組成は(Al0.17 00Ga0.83000.4946In0.5054
P、上下クラッド層5及び7の結晶組成は(Al0.7000
Ga0.30000.4920In0.5080Pとした。この結果、7
80℃において格子不整合度は零となる
【0051】下クラッド層5はSeドープのn型でキャ
リア濃度は1×1018cm-3、厚さは1μmとした。活
性層6はアンドープでキャリア濃度は1×1016
-3、厚さは0.5μmとした。上クラッド層7はZn
ドープのp型でキャリア濃度は1×1017cm-3、厚さ
は1μmとした。
【0052】最後にZnドープのp型GaAsのコンタ
クト層9を形成した。キャリア濃度は1×1018
-3、厚さは0.3μmとした。この上に(Au−B
e)/Auを蒸着しオーミック電極10を形成した。ま
た基板1に裏面には(Au−Ge)/Au金属でオーミ
ック電極11を形成した。
【0053】このようにして得たLEDの特性を評価し
たところ、発光波長620nm、電流20mAでの発光
出力は12a.u.、VF=1.95V、50mAで1
000時間通電試験後の輝度は、当初の輝度の88%に
低下していた。
【0054】(比較例2)比較例1において、p型Al
GaAs上クラッド層7の厚さを1μmと薄くし、その
上にZnドープのp型Al0.7 Ga0.3 Asからなる電
流拡散層8を形成した。キャリア濃度は1×1017cm
-3、厚さは3μmとした。断面構造を図9に示す。その
他の構成は全て比較例1と同じとした。このようにして
得たLEDの特性を評価したところ、発光波長620n
m、電流20mAでの発光出力は35a.u.、VF=
1.95V、50mAで1000時間通電試験後の輝度
は、当初の輝度の65%に低下していた。
【0055】(比較例3)p型基板上に発光波長620
nmのAlGaInPダブルヘテロ発光構造を有するL
EDを形成した。GaAs基板1はZnドープでキャリ
ア濃度は5.0×1018cm-3、面方位は(100)4
度オフであった。この基板上にMOCVD法によるエピ
タキシャル成長により、成長温度780℃で発光構造を
形成した。まず、基板1上にGaAsバッファー層2を
成長させた。Znドープのp型で厚さは0.5μm、キ
ャリア濃度は1.0×1018cm-3であった。バッファ
層2の上に比較例1と同様な反射層3を積層した。
【0056】次に、AlGaInPダブルヘテロ発光構
造を形成した。AlGaInPダブルヘテロ発光構造部
は発光波長を620nmとするため、活性層6のバンド
ギャップエネルギーを2.00eV、上下クラッド層5
及び7のバンドギャップエネルギーを2.29eVに設
定した。さらに常温で格子整合するようにIn混晶比を
設定したので、活性層6の結晶組成は(Al0.1700Ga
0.83000.5300In0. 4700P、上下クラッド層5及び7
の結晶組成は(Al0.7000Ga0.30000.5300In
0.4700Pとした。この結果、780℃における格子不整
合度は活性層6では−0.085%、上下クラッド層5
及び7では−0.029%となった。
【0057】下クラッド層5はZnドープのp型でキャ
リア濃度は1×1017cm-3、厚さは1μmとした。活
性層6はアンドープでキャリア濃度は1×1016
-3、厚さは0.5μmとした。上クラッド層7はSe
ドープのn型でキャリア濃度は3×1017cm-3、厚さ
は3μmとした。
【0058】最後にSeドープのn型GaAsのコンタ
クト層9を形成した。キャリア濃度は1×1018
-3、厚さは0.3μmとした。この上に(Au−G
e)/Auを蒸着しオーミック電極10を形成した。ま
た基板1に裏面には(Au−Be)/Au金属でオーミ
ック電極11を形成した。
【0059】このようにして得たLEDの特性を評価し
たところ、発光波長620nm、電流20mAでの発光
出力は20a.u.、VF=1.95V、50mAで1
000時間通電試験後の発光強度は、当初の輝度の45
%に低下していた。
【0060】(比較例4)従来から公知のLEDの例と
して比較例3において、ダブルヘテロ接合部分の格子不
整合度を改善するため、ダブルヘテロ接合構造部分の結
晶組成を活性層6では(Al0.1700Ga0.83000.5000
In0.5000P、上下クラッド層5及び7では(Al
0.7000Ga0.30000.5000In0.5000Pとした。この結
果、780℃における格子不整合度は活性層6では0.
142%、上下クラッド層5及び7では0.190%と
なった。このようにして得た従来タイプのLEDの特性
を評価したところ、発光波長620nm、電流20mA
での発光出力は25a.u.、VF=1.95V、50
mAで1000時間通電試験後の発光強度は、当初の強
度の60%に低下していた。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、赤色から黄緑色まで広
範囲の発光領域にわたり高輝度で低作動電圧、高信頼性
に富むLEDが得られ、屋外での用途拡大に寄与する点
が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の断面構造を示す図である。
【図2】本発明の実施例1のダブルヘテロ構造部のキャ
リア濃度プロファイルを示す図である。
【図3】本発明の実施例1のダブルヘテロ構造部のバン
ドギャップエネルギープロファイルを示す図である。
【図4】通電時間と発光強度の関係を示す図である。
【図5】上クラッド層の膜厚と発光出力の関係を示す図
である。
【図6】本発明の実施例6のダブルヘテロ構造部のキャ
リア濃度プロファイルを示す図である。
【図7】本発明の実施例6のダブルヘテロ構造部のバン
ドギャップエネルギープロファイルを示す図である。
【図8】比較例1に示す従来のLEDの断面構造を示す
図である。
【図9】比較例2に示す従来のLEDの断面構造の例を
示す図である。
【図10】従来のLEDの断面構造の他の例を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2 バッファー層 3 反射層 5 下クラッド層 6 活性層 7 上クラッド層 8 電流拡散層 9 コンタクト層 10 電極 11 電極

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型GaAs基板上に(Alx Ga
    1-xy In1-y Pからなるダブルヘテロ接合発光構造
    を備え、ダブルヘテロ接合を構成する各層の常温におけ
    るGaAs基板に対する格子不整合度が0.085以上
    0.140%未満であり、基板と反対側の上クラッド層
    が厚さ3〜10μmのn型(Alx Ga1- xy In
    1-y Pであって、n型(Alx Ga1-xy In1-y
    上クラッド層を光取り出し側とし、GaAs基板上にp
    型オーミック電極を、n型上クラッド層上にコンタクト
    層を介してn型オーミック電極を備えたことを特徴とす
    るAlGaInP発光ダイオード。
  2. 【請求項2】 p型GaAs基板上に(Alx Ga
    1-xy In1-y Pからなるダブルヘテロ接合発光構造
    を備え、ダブルヘテロ接合を構成する各層のIn混晶比
    (1−y)が0.5045≦(1−y)≦0.5095
    であり、基板と反対側の上クラッド層が厚さ3〜10μ
    mのn型(Alx Ga1-xy In1-y Pであって、n
    型(Alx Ga1-xy In1-y P上クラッド層を光取
    り出し側とし、GaAs基板上にp型オーミック電極
    を、n型上クラッド層上にコンタクト層を介してn型オ
    ーミック電極を備えたことを特徴とするAlGaInP
    発光ダイオード。
  3. 【請求項3】 p型GaAs基板と(Alx Ga1-x
    y In1-y Pダブルヘテロ接合発光構造との間に、Al
    混晶比の異なる2種類のAlGaAsの積層体であっ
    て、該AlGaAs層の一方のAl混晶比が0.95〜
    1である反射層を挿入したことを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2に記載のAlGaInP発光ダイオード。
  4. 【請求項4】 AlGaInP上クラッド層のn型ドー
    パントがSeまたはTeであることを特徴とする請求項
    1から請求項3のいずれかに記載のAlGaInP発光
    ダイオード。
  5. 【請求項5】 n型AlGaInP上クラッド層のバン
    ドギャップエネルギーが、活性層側から光取り出し側に
    向かって徐々に減少していることを特徴とする請求項1
    から請求項4のいずれかに記載のAlGaInP発光ダ
    イオード。
  6. 【請求項6】 n型AlGaInP上クラッド層のキャ
    リア濃度分布が、活性層側から光取り出し側に向かって
    徐々に増加していることを特徴とする請求項1から請求
    項5のいずれかに記載のAlGaInP発光ダイオー
    ド。
  7. 【請求項7】 n型AlGaInP上クラッド層のキャ
    リア濃度が、活性層との界面近傍で(1〜10)×10
    16cm-3、光取り出し側で(1〜10)×1017cm-3
    であることを特徴とする請求項6に記載のAlGaIn
    P発光ダイオード。
  8. 【請求項8】 Znドープでキャリア濃度が4×1018
    cm-3〜2×1019cm-3のp型GaAs単結晶の、
    (100)面から(011)方向に0.1〜4.0度傾
    斜した面を有する基板の上に、Znドープでキャリア濃
    度が(2〜4)×1018cm-3、厚さが0.5〜1μm
    のp型GaAsバッファー層を有し、該バッファー層の
    上にZnドープでキャリア濃度が(5〜10)×1017
    cm-3でAl混晶比zが(0.3〜0.5)および
    (0.85〜0.95)である2種類のp型Alz Ga
    1-z Asを複数層積層した多層反射層を具備し、該反射
    層の上にZnドープでキャリア濃度が(5〜10)×1
    16cm-3、Al混晶比が0.70以上、In混晶比
    (1−y)が0.5045≦(1−y)≦0.5095
    であり、厚さが0.5〜1.0μmのp型(Alx Ga
    1-xy In1-y P下クラッド層、アンドープでAl混
    晶比xが0.15〜0.25、In混晶比(1−y)が
    0.5045≦(1−y)≦0.5095であり、厚さ
    が0.1〜0.5μmの(Alx Ga1-xy In1-y
    P活性層、およびSeドープでキャリア濃度が(5〜1
    0)×1017cm-3、Al混晶比が0.70以上、In
    混晶比(1−y)が0.5045≦(1−y)≦0.5
    095であり、厚さが3〜10μmのn型(Alx Ga
    1-xy In1-y P上クラッド層からなるダブルヘテロ
    接合発光構造を有し、n型(Alx Ga1-xy In
    1-y P上クラッド層を光取り出し側とし、GaAs基板
    上にp型オーミック電極を、n型上クラッド層上にコン
    タクト層を介してn型オーミック電極を備えたことを特
    徴とするAlGaInP発光ダイオード。
  9. 【請求項9】 GaAs基板上に(Alx Ga1-xy
    In1-y Pからなるダブルヘテロ接合発光構造を有する
    LED用エピタキシャルウエーハをエピタキシャル成長
    させるにあたり、エピタキシャル成長温度において(A
    x Ga1-xy In1-y P4元結晶がGaAs基板と
    格子整合するように、混晶比x,yを選定してエピタキ
    シャル成長させることを特徴とするAlGaInP発光
    ダイオード用エピタキシャルウエーハの製造方法。
  10. 【請求項10】 エピタキシャル成長温度が730〜8
    30℃であることを特徴とする請求項9に記載のAlG
    aInP発光ダイオード用エピタキシャルウエーハの製
    造方法。
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JP2004088054A (ja) * 2002-01-17 2004-03-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd Iii−v族化合物半導体装置及びその製造方法
JP2015109389A (ja) * 2013-12-05 2015-06-11 日本電信電話株式会社 化合物半導体の成長方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004088054A (ja) * 2002-01-17 2004-03-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd Iii−v族化合物半導体装置及びその製造方法
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