JP2000286451A - 窒化物半導体素子 - Google Patents

窒化物半導体素子

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JP2000286451A
JP2000286451A JP2000060463A JP2000060463A JP2000286451A JP 2000286451 A JP2000286451 A JP 2000286451A JP 2000060463 A JP2000060463 A JP 2000060463A JP 2000060463 A JP2000060463 A JP 2000060463A JP 2000286451 A JP2000286451 A JP 2000286451A
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Koji Tanizawa
公二 谷沢
Yoshikatsu Fukuda
芳克 福田
Takeshi Ikegami
武志 池上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多重量子井戸構造の活性層を用い種々の応用
製品への適用範囲の拡大を可能とするため、発光出力が
より向上し、静電耐圧が良好な窒化物半導体発光素子を
提供する。 【解決手段】 基板上に、バッファ層を介して形成され
たn側窒化物半導層、活性層及びp側窒化物半導体層を
有する窒化物半導体素子において、n側窒化物半導体層
は、膜厚100〜10000Åのアンドープの窒化物半
導体からなる下層、n型不純物がドープされた窒化物半
導体からなる中間層、アンドープの窒化物半導体からな
る上層の少なくとも3層が順に積層されてなるn側第1
多層膜層を含みかつ、活性層がInaGa1-aN(0≦a
<1)層とGaN層とを含んでなる多重量子井戸構造で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光ダイオード(LE
D)、レーザダイオード(LD)、太陽電池、光センサ
ー等の発光素子、受光素子、あるいはトランジスタ、パ
ワーデバイス等の電子デバイスに使用される窒化物半導
体(例えば、InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X
+Y≦1)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化物半導体は高輝度青色LED、純緑
色LEDの材料として、フルカラーLEDディスプレ
イ、交通信号灯、イメージスキャナー光源等の各種光源
で実用化されている。これらのLED素子は基本的に、
サファイア基板上にGaNよりなるバッファ層と、Si
ドープGaNよりなるn側コンタクト層と、単一量子井
戸構造(SQW:Single-Quantum- Well)のInGa
N、あるいはInGaNを有する多重量子井戸構造(M
QW:Multi-Quantum-Well)の活性層と、MgドープA
lGaNよりなるp側クラッド層と、MgドープGaN
よりなるp側コンタクト層とが順に積層された構造を有
しており、20mAにおいて、発光波長450nmの青
色LEDで5mW、外部量子効率9.1%、520nm
の緑色LEDで3mW、外部量子効率6.3%と非常に
優れた特性を示す。多重量子井戸構造は、複数のミニバ
ンドからなる構造を有し、効率よく、小さな電流でも発
光が実現することから、単一量子井戸構造より発光出力
が高くなる等の素子特性の向上が期待される。また例え
ば、多重量子井戸構造の活性層を用いたLED素子とし
て、特開平10−135514号公報には、発光効率及
び発光光度を良好とするため、少なくともアンドープの
GaNからなるバリア層、アンドープのInGaNから
なる井戸層からなる多重量子井戸構造の発光層、更に発
光層のバリア層よりも広いバンドギャップを持つクラッ
ド層を有する窒化物半導体素子が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の素子をLED素子として、照明用光源、直射日光の
当たる屋外ディスプレイ等に使用するためには発光出力
が十分満足できるものでない。このように多重量子井戸
構造の活性層は、発光出力の飛躍的な向上が考えられる
が、その予想される可能性を十分に発揮させ難い。更に
また、窒化物半導体からなる素子は、その構造上、人体
に生じる静電気より遥かに弱い100Vの電圧でさえも
劣化する可能性がある。例えば、帯電防止処理された袋
等から取り出す際、また製品に応用する際等、劣化する
危険性が考えられる。窒化物半導体素子の信頼性をより
高めるには、このような劣化の危険性をなくすことが望
まれる。
【0004】そこで、本発明の目的は、多重量子井戸構
造の活性層を用い種々の応用製品への適用範囲の拡大を
可能とするため、発光出力がより向上し、静電耐圧が良
好な窒化物半導体発光素子を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記
(1)〜(3)の構成により本発明の目的を達成するこ
とができる。 (1) 基板上に、バッファ層を介して形成されたn側
窒化物半導体層、活性層及びp側窒化物半導体層を有す
る窒化物半導体素子において、前記n側窒化物半導体層
は、膜厚100〜10000Åのアンドープの窒化物半
導体からなる下層、n型不純物がドープされた窒化物半
導体からなる中間層、アンドープの窒化物半導体からな
る上層の少なくとも3層が順に積層されてなるn側第1
多層膜層を含みかつ、前記活性層が、InaGa1-a
(0<a<1)層とGaN層とを含んでなる多重量子井
戸構造であることを特徴とする窒化物半導体素子。 (2) 前記中間層の膜厚が50〜1000オングスト
ロームであり、前記上層の膜厚が25〜1000オング
ストロームであることを特徴とする前記(1)に記載の
窒化物半導体素子。 (3) 前記n側窒化物半導体層において、前記n側第
1多層膜層より基板側に、n型不純物を含むn側コンタ
クト層を有することを特徴とする前記(1)又は(2)
に記載の窒化物半導体素子。また、本発明の目的は以下
の(4)〜(11)のような構成であっても達成するこ
とができる。 (4) 基板上に、n側窒化物半導体層、活性層及びp
側窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子において、
前記n側窒化物半導体層が、アンドープの窒化物半導体
からなる下層(以下、アンドープの下層とする。)、n
型不純物がドープされている窒化物半導体からなる中間
層(以下、不純物ドープの中間層とする。)、及びアン
ドープの窒化物半導体からなる上層(以下、アンドープ
の上層とする。)の少なくとも3層が順に積層されてな
るn側第1多層膜層を含み、前記活性層が、InaGa
1-aN(0≦a<1)を含んでなる多重量子井戸構造で
あり、更に、前記p側窒化物半導体層が、互いにバンド
ギャップエネルギーが異なり且つ互いにp型不純物濃度
が異なる又は同一の第3と第4の窒化物半導体層とが積
層されてなるp側多層膜クラッド層を含むことを特徴と
する窒化物半導体素子。 (5) 基板上に、n側窒化物半導体層、活性層及びp
側窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子において、
前記n側窒化物半導体層が、アンドープの窒化物半導体
からなる下層、n型不純物がドープされている窒化物半
導体からなる中間層、及びアンドープの窒化物半導体か
らなる上層の少なくとも3層が順に積層されてなるn側
第1多層膜層を含み、前記活性層が、InaGa1-a
(0≦a<1)を含んでなる多重量子井戸構造であり、
更に、前記p側窒化物半導体層が、p型不純物を含みA
bGa1-bN(0≦b≦1)よりなるp側単一膜クラッ
ド層を含むことを特徴とする窒化物半導体素子。 (6) 前記n側第1多層膜層が、膜厚100〜100
00オングストロームのアンドープの窒化物半導体から
なる下層、膜厚50〜1000オングストロームのn型
不純物がドープされている窒化物半導体からなる中間
層、及び膜厚25〜1000オングストロームのアンド
ープの窒化物半導体からなる上層からなることを特徴と
する前記(4)又は(5)に記載の窒化物半導体素子。 (7) 前記n側第1多層膜層と活性層との間に、In
を含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半導
体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積
層されたn側第2多層膜層を有することを特徴とする前
記(4)〜(6)のいずれかに記載の窒化物半導体素
子。 (8) 前記n側窒化物半導体層に、前記n側第1多層
膜層(変調ドープ層)より基板側に、n型不純物を含む
n側コンタクト層を有することを特徴とする前記(4)
〜(7)のいずれかに記載の窒化物半導体素子。 (9) 前記n側コンタクト層が、アンドープGaN層
の上に形成されてなることを特徴とする前記(4)〜
(8)のいずれかに記載の窒化物半導体素子。 (10) 前記窒化物半導体素子において、前記アンド
ープGaN層が低温成長させたGadAl1-dN(0<d
≦1)からなるバッファ層上に形成され、更に前記p側
多層膜クラッド層又はp側単一膜クラッド層上にp型不
純物としてMgを含むp側GaNコンタクト層を形成し
てなることを特徴とする前記(4)〜(9)のいずれか
に記載の窒化物半導体素子。 (11) 前記アンドープGaN層、n側コンタクト
層、及びn側第1多層膜層の合計の膜厚が、2〜20μ
mであることを特徴とする前記(4)〜(10)のいず
れかに記載の窒化物半導体素子。
【0006】つまり、本発明は、多重量子井戸構造の活
性層を挟むように、n側にアンドープの下層、n型不純
物ドープの中間層、及びアンドープの上層の特定の層構
成からなるn側第1多層膜層と、p側に第3及び第4の
窒化物半導体層からなるp側多層膜クラッド層又はp型
不純物を含みAlbGa1-bN(0≦b≦1)よりなるp
側単一膜クラッド層とを組み合わせて形成することによ
り、発光効率が向上し発光出力の良好な、しかも、静電
耐圧の良好な窒化物半導体素子を得ることができる。こ
のように特定の組成や層構造等を有する複数の窒化物半
導体層を組み合わせることにより、多重量子井戸構造の
活性層の性能を効率良く発揮することができるととも
に、静電耐圧が良好となる。更に本発明は、n側第1多
層膜層を構成する各層の膜厚を特定の範囲の組み合わせ
にすることにより、良好な発光出力と共に静電耐圧をよ
り良好にすることができる。
【0007】本発明において、アンドープとは、意図的
に不純物をドープしないで形成した層を示し、隣接する
層からの不純物の拡散、原料又は装置からのコンタミネ
ーションにより不純物が混入した層であっても、意図的
に不純物をドープしていない場合にはアンドープ層とす
る。なお、拡散により混入する不純物は層内において不
純物濃度に勾配がついている場合がある。
【0008】また、多重量子井戸構造の活性層との組み
合わせにおいて、好ましいその他の窒化物半導体層を以
下に記載する。本発明において、前記n側第1多層膜層
と活性層との間に、Inを含む第1の窒化物半導体層
と、その第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第
2の窒化物半導体層とが積層されたn側第2多層膜層を
有すると更に発光効率が向上すると共に、順方向電圧
(以下、Vfとする。)を低下させて発光効率を向上さ
せることができ好ましい。更に、本発明において、前記
n側第1多層膜層より基板側に、n型不純物を含むn側
コンタクト層を有すると、発光出力を向上させ、Vfを
低下させるのに好ましい。また更に、本発明において、
前記n側コンタクト層が、アンドープGaN層の上に形
成されてなると、かかるアンドープGaN層は結晶性の
良い層として得られるので、n電極を形成する層となる
n側コンタクト層の結晶性が良くなり、n側コンタクト
層上に形成される活性層などのその他の窒化物半導体層
の結晶性も良くなり、発光出力を向上させるのに好まし
い。また更に、本発明において、前記アンドープGaN
層が、低温成長させたGa dAl1-dN(0<d≦1)か
らなるバッファ層上に形成されていると、アンドープG
aN層の結晶性が更に良好となり、n側コンタクト層等
の結晶性もより良好となり、発光出力の向上において好
ましく、更にまた、p側多層膜クラッド層又はp側単一
膜クラッド層上にMgドープp側GaNコンタクト層を
形成してなると、p型特性を得やすくなると共に、かか
るp側GaNコンタクト層がこの上に形成されるp電極
と良好なオーミック接触を有し、発光出力を向上させる
のに好ましい。また更に、本発明において、アンドープ
GaN層、n側コンタクト層、及びn側第1多層膜層の
合計の膜厚が、2〜20μm、好ましくは3〜10μ
m、より好ましくは4〜9μmであると、静電耐圧以外
の他の素子特性も良好である。また、上記3層の合計の
膜厚は、各層の好ましい膜厚の範囲内で、3層の合計の
膜厚が上記範囲となるように適宜調整される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施の形態であ
る窒化物半導体素子の構造を示す窒化物半導体素子の模
式的断面図である図1を用いて、本発明を詳細に説明す
る。図1は、基板1上に、バッファ層2、アンドープG
aN層3、n型不純物を含むn側コンタクト層4、アン
ドープの下層5a、n型不純物ドープの中間層5b及び
アンドープの上層5cの3層からなるn側第1多層膜
5、第1及び第2の窒化物半導体層よりなるn側第2多
層膜層6、多重量子井戸構造の活性層7、第3及び第4
の窒化物半導体層からなるp側多層膜クラッド層8又は
p側単一膜クラッド層8、Mgドープp側GaNコンタ
クト層9が順に積層された構造を有する。更にn側コン
タクト層4上にn電極11、p側GaNコンタクト層9
上にp電極10がそれぞれ形成されている。
【0010】本発明において、基板1としては、サファ
イアC面、R面又はA面を主面とするサファイア、その
他、スピネル(MgA124)のような絶縁性の基板の
他、SiC(6H、4H、3Cを含む)、Si、Zn
O、GaAs、GaN等の半導体基板を用いることがで
きる。
【0011】本発明において、バッファ層2としては、
GadAl1-dN(但しdは0<d≦1の範囲である。)
からなる窒化物半導体であり、好ましくはAlの割合が
小さい組成ほど結晶性の改善が顕著となり、より好まし
くはGaNからなるバッファ層2が挙げられる。バッフ
ァ層2の膜厚は、0.002〜0.5μm、好ましくは
0.005〜0.2μm、更に好ましくは0.01〜
0.02μmの範囲に調整する。バッファ層2の膜厚が
上記範囲であると、窒化物半導体の結晶モフォロジーが
良好となり、バッファ層2上に成長させる窒化物半導体
の結晶性が改善される。バッファ層2の成長温度は、2
00〜900℃であり、好ましくは400〜800℃の
範囲に調整する。成長温度が上記範囲であると良好な多
結晶となり、この多結晶が種結晶としてバッファ層2上
に成長させる窒化物半導体の結晶性を良好にでき好まし
い。また、このような低温で成長させるバッファ層2
は、基板の種類、成長方法等によっては省略してもよ
い。
【0012】次に、本発明において、アンドープGaN
層3は、成長する際にn型不純物を添加せずに成長して
なる層を示す。バッファ層2上にアンドープGaN層3
を成長させるとアンドープGaN層3の結晶性が良好と
なり、アンドープGaN層3上に成長させるn側コンタ
クト層4などの結晶性も良好となる。アンドープGaN
層3の膜厚としては、0.01μm以上であり、好まし
くは0.5μm以上であり、より好ましくは1μm以上
である。またアンドープGaN層3の膜厚の上限は特に
限定されないが、製造効率等を考慮して適宜調整され
る。膜厚がこの範囲であると、n側コンタクト層4以降
の層を結晶性良く成長でき好ましい。更に、アンドープ
GaN層3の膜厚が上記範囲であると、n側コンタクト
層4とn側第1多層膜厚5との合計の膜厚を、前記範囲
に調整し静電耐圧を向上させる点で好ましい。
【0013】次に、本発明において、n型不純物を含む
n側コンタクト層4は、n型不純物を3×1018/cm
3以上、好ましくは5×1018/cm3以上の濃度で含有
する。このようにn型不純物を多くドープし、この層を
n側コンタクト層とすると、Vf及び閾値を低下させる
ことができる。不純物濃度が上記範囲を逸脱するとVf
が低下しにくくなる傾向がある。また、n側コンタクト
層4は、n型不純物濃度が小さい結晶性の良好なアンド
ープGaN層3上に形成されると、高濃度のn型不純物
を有しているにも関わらず結晶性を良好に形成すること
ができる。n側コンタクト層4のn型不純物濃度の上限
は特に限定しないが、コンタクト層としての機能を保持
しうる限界としては5×1021/cm3以下が望まし
い。
【0014】n側コンタクト層4の組成は、IneAlf
Ga1-e-fN(0≦e、0≦f、e+f≦1)で構成で
き、その組成は特に問うものではないが、好ましくはG
aN、f値0.2以下のAlfGa1-fNとすると結晶欠
陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。n側コンタ
クト層4の膜厚は特に問うものではないが、n電極を形
成する層であるので0.1〜20μm、好ましくは0.
5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。膜厚
が上記範囲であると抵抗値を低くでき、発光素子のVf
を低くでき好ましい。更に、n側コンタクト層4の膜厚
が上記範囲であると、アンドープGaN層3及びn側第
1多層膜層5との組み合わせにより、静電耐圧を向上さ
せる点で好ましい。また、n側コンタクト層4は、後述
のn側第1多層膜層5を厚膜に形成する場合、省略する
ことができる。
【0015】次に、本発明において、n側第1多層膜層
5は、基板側から、アンドープの下層5a、n型不純物
ドープの中間層5b、アンドープの上層5cの少なくと
も3層から構成されている。n側第1多層膜層には上記
下層5a〜上層5c以外のその他の層を有していてもよ
い。またn側第1多層膜層5は、活性層と接していて
も、活性層の間に他の層を有していてもよい。これら下
層5a〜上層5cを構成する窒化物半導体としては、I
gAlhGa 1-g-hN(0≦g<1、0≦h<1)で表
される種々の組成の窒化物半導体を用いることができ、
好ましくはGaNからなる組成のものが挙げられる。ま
た第1多層膜層5の各層は組成が同一でも異なっていて
もよい。
【0016】n側第1多層膜層5の膜厚は、特に限定さ
れないが、175〜12000オングストロームであ
り、好ましくは1000〜10000オングストローム
であり、より好ましくは2000〜6000オングスト
ロームである。第1多層膜層5の膜厚が上記範囲である
とVfの最適化と静電耐圧の向上の点で好ましい。更
に、n側第1多層膜層5の膜厚が上記範囲であると、ア
ンドープGaN層とn側コンタクト層4との組み合わせ
により、静電耐圧を向上させる点で好ましい。上記範囲
の膜厚を有する第1多層膜層5の膜厚の調整は、下層5
a、中間層5b、及び上層5cの各膜厚を適宜調整し
て、第1多層膜層5の総膜厚を上記の範囲とすることが
好ましい。
【0017】n側第1多層膜層5を構成する下層5a、
中間層5b及び上層5cの各膜厚は、特に限定されない
が、n側第1多層膜層5中で積層される位置により素子
性能の諸特性に与える影響が異なるため、各層の素子性
能に大きく関与する特性に特に注目し、いずれか2層の
膜厚を固定し、残りの1層の膜厚を段階的に変化させ
て、特性の良好な範囲の膜厚を測定し、更に各層との調
整により膜厚の範囲を特定している。n側第1多層膜層
の5の各層は、各々静電耐圧に直接影響を及ぼさない場
合もあるが、各層を組み合わせてn側第1多層膜層5と
することにより、全体として種々の素子特性が良好であ
ると共に、特に発光出力及び静電耐圧が著しく良好とな
る。このような効果は、実際に、各層を積層させてなる
素子を製造して初めて得られる予想外の効果といえる。
各層の膜厚について以下に具体的に示すと共に、図2〜
図4を用いて、膜厚の変化による素子特性の変化につい
て示す。但し比較の従来品としては、後述の実施例1に
示されている従来例である。また、図中のPoは発光出
力を示す。また各図の横軸に示される膜厚はゼロを含ま
ない範囲で変動させている。
【0018】アンドープの下層5aの膜厚は、100〜
10000オングストローム、好ましくは500〜80
00オングストローム、より好ましくは1000〜50
00オングストロームである。アンドープの下層5a
は、図2(a)及び(b)に示すように、膜厚を徐々に
厚くしていくと静電耐圧が上昇していくが、10000
オングストローム付近でVfが急上昇し、一方膜厚を薄
くしていくと、Vfは低下していくが、静電耐圧の低下
が大きくなり、100オングストローム未満では静電耐
圧の低下に伴い歩留まりの低下が大きくなる傾向が見ら
れる。また、上層5aは、n型不純物を含むn側コンタ
クト層4の結晶性の低下の影響を改善していると考えら
れるので、結晶性の改善が良好となる程度の膜厚で成長
されるのが好ましい。
【0019】n型不純物ドープの中間層5bの膜厚は、
50〜1000オングストローム、好ましくは100〜
500オングストローム、より好ましくは150〜40
0オングストロームである。この不純物がドープされた
中間層5bは、キャリア濃度を十分とさせて発光出力に
比較的大きく作用する層であり、この層を形成させない
と著しく発光出力が低下する傾向がある。なお、図3
(a)では、膜厚を25オングストローム程度まで薄く
しても発光出力の低下がやや下降する程度となっている
のは、中間層5bの膜厚が50オングストロームでも発
光出力が低下しないように考慮してその他の層の膜厚等
を調整して行ったからである。また、図3(a)に示さ
れるように、膜厚が1000オングストロームを超える
と発光出力が商品となりにくい程度まで大きく低下する
傾向がある。一方、静電耐厚のみを見ると、図3(b)
に示されるように、中間層5bの膜厚が厚いと静電耐圧
は良好であるが、膜厚が50オングストローム未満では
静電耐圧の低下が大きくなる傾向があり、商品として十
分満足できない。
【0020】アンドープの上層5cの膜厚は、25〜1
000オングストローム、好ましくは25〜500オン
グストローム、より好ましくは25〜150オングスト
ロームである。このアンドープの上層5cは、第1多層
膜の中で活性層に接してあるいは最も接近して形成さ
れ、リーク電流の防止に大きく関与しているが、上層5
cの膜厚が25オングストローム未満ではリーク電流が
増加する傾向がある。また、図4(a)及び(b)に示
されるように、上層5cの膜厚が1000オングストロ
ームを超えるとVfが上昇し静電耐圧も低下する傾向が
あり、商品として十分満足することができない。
【0021】以上のように、下層5a〜上層5cの各膜
厚は、上記に示したように、各層の膜厚の変動により影
響されやすい素子特性に注目し、更に、下層5a、中間
層5b及び上層5cを組み合わせた際に、諸素子特性す
べてがほぼ均一に良好となり、特に発光出力及び静電耐
圧が良好となるように、更に社内規格を満足できるよう
に種々検討し、上記範囲に各膜厚を規定することによ
り、良好な発光出力及び商品の信頼性の更なる向上を達
成することが可能な静電耐圧を得ることができる。ま
た、第1多層膜層5の各層の膜厚の組み合わせは、発光
波長の種類による活性層の組成の変化や、電極、LED
素子の形状など種々の条件により、最も良好な効果を得
るために適宜調整される。各層の膜厚の組み合わせに伴
う性能は、上記範囲の膜厚で適宜組み合わせることによ
り、従来のものに比べ良好な発光出力及び良好な静電耐
圧を得ることができる。
【0022】上記第1多層膜層を構成する各層の組成
は、IngAlhGa1-g-hN(0≦g<1、0≦h<
1)で表される組成であればよく、各層の組成が同一で
も異なっていてもよく、好ましくはIn及びAlの割合
が小さい組成であり、より好ましくはGaNからなる層
が好ましい。
【0023】上記第1多層膜層5のn型不純物ドープの
中間層5bのn型不純物のドープ量は、特に限定されな
いが、3×1018/cm3以上、好ましくは5×1018
/cm3以上の濃度で含有する。n型不純物の上限とし
ては、特に限定されないが、結晶性が悪くなりすぎない
程度の限界としては5×1021/cm3以下が望まし
い。第1の多層膜層の中間層の不純物濃度が上記範囲で
あると、発光出力の向上とVfの低下の点で好ましい。
n型不純物としてはSi、Ge、Se、S、O等の周期
律表第IVB族、第VIB族元素を選択し、好ましくはS
i、Ge、Sをn型不純物とする。
【0024】また、上記第1多層膜層5の界面において
は、それぞれの層及び素子の機能を害しない範囲で両方
の層を兼ねる。
【0025】次に、本発明において、n側第2多層膜層
6は、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の
窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導
体層とが積層されたn側多層膜層からなる。この第1の
窒化物半導体層、または第2の窒化物半導体層の内の少
なくとも一方の膜厚が、好ましくは両方の膜厚が、10
0オングストローム以下、より好ましくは70オングス
トローム以下、更に好ましくは50オングストローム以
下にする。このように膜厚を薄くすることにより、多層
膜層が超格子構造となって、多層膜層の結晶性が良くな
るので、出力が向上する傾向にある。
【0026】第1又は第2の窒化物半導体の少なくとも
一方の膜厚が、100オングストローム以下であって
も、薄膜層が弾性臨界膜厚以下となって結晶が良くな
り、その上に積層する第1の窒化物半導体層、若しくは
第2の窒化物半導体層の結晶性が良くなり、多層膜層全
体の結晶性が良くなるため、素子の出力が向上する。
【0027】また、第1及び第2の窒化物半導体の膜厚
が、共に100オングストローム以下であると、窒化物
半導体単一層の弾性臨界膜厚以下となり、厚膜で成長さ
せる場合や、第1又は第2の窒化物半導体の一方が10
0オングストローム以下の場合に比較して結晶性の良い
窒化物半導体が成長できる。また、両方を70オングス
トローム以下にすると、n側第2多層膜層6が超格子構
造となり、この結晶性の良い多層膜構造の上に活性層を
成長させると、n側第2多層膜層6がバッファ層のよう
な作用をして、活性層がより結晶性よく成長できる。
【0028】本発明において、n側窒化物半導体層に、
前記n側第1多層膜層と上記n側第2多層膜層とを組み
合わせると、発光出力が向上し、Vfが低下し好まし
い。この理由は定かではないが、n側第2多層膜層上に
成長させる活性層の結晶性が良好となるためと考えられ
る。
【0029】また、n側第2多層膜層6の前記第1の窒
化物半導体層または前記第2の窒化物半導体層の内の少
なくとも一方の膜厚は、近接する第1の窒化物半導体層
または第2の窒化物半導体層同士で互いに異なっても、
同一でもよい。好ましくは、第1の窒化物半導体層また
は第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚
が、近接する第1の窒化物半導体層、または第2の窒化
物半導体層同士で互いに異なっていることが好ましい。
膜厚が近接する層同士で互いに異なるとは、第1の窒化
物半導体層及び第2の窒化物半導体層を複数層積層した
多層膜層を形成した場合に、第2の窒化物半導体層(第
1の窒化物半導体層)の膜厚とそれを挟んだ第1の窒化
物半導体層(第2の窒化物半導体層)の膜厚とが互いに
異なることを意味する。例えば、第1の窒化物半導体層
をInGaNとし、第2の窒化物半導体層をGaNとし
た場合、GaN層とGaN層との間のInGaN層の膜
厚を、活性層に接近するに従って次第に厚くしたり、ま
た薄くしたりすることにより、多層膜層内部において屈
折率が変化するため、実質的に屈折率が次第に変化する
層を形成することができる。即ち、実質的に組成傾斜し
た窒化物半導体層を形成するのと同じ効果が得られる。
このため例えばレーザ素子のような光導波路を必要とす
る素子においては、この多層膜層で導波路を形成して、
レーザ光のモードを調整できる。
【0030】また、第1、または第2の窒化物半導体層
の内の少なくとも一方のIII族元素の組成を、近接する
第1または第2の窒化物半導体層の同一III族元素の組
成同士で互いに異なる、又は同一でもよい。好ましく
は、第1の窒化物半導体層、または第2の窒化物半導体
層の内の少なくとも一方のIII族元素の組成が、近接す
る第1の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層の
同一III族元素の組成同士で互いに異なる。この互いに
異なるとは、第1の窒化物半導体層または第2の窒化物
半導体層を複数層積層した多層膜層を形成した場合に、
第2の窒化物半導体層(第1の窒化物半導体層)のIII
族元素の組成比とそれを挟んだ第1の窒化物半導体層
(第2の窒化物半導体層)のIII族元素の組成比とが互
いに異なることを意味する。
【0031】例えば、同一III族元素の組成同士で互い
に異ならせると、第1の窒化物半導体層をInGaNと
し、第2の窒化物半導体層をGaNとした場合、GaN
層とGaN層との間のInGaN層のIn組成を活性層
に接近するに従って次第に多くしたり、また少なくした
りすることにより、多層膜層内部において屈折率を変化
させて、実質的に組成傾斜した窒化物半導体層を形成す
ることができる。なおIn組成が減少するに従い、屈折
率は小さくなる傾向にある。
【0032】上記のn側第2多層膜層6は、例えば、図
1に示すように、活性層7を挟んで下部にあるn側窒化
物半導体層に、Inを含む第1の窒化物半導体層と、そ
の第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒
化物半導体層とが積層されたn側第2多層膜層6を有し
ている。n側第2多層膜層6において、第1の窒化物半
導体層、第2の窒化物半導体層はそれぞれ少なくとも一
層以上形成し、合計で2層以上、好ましくは3層以上、
さらに好ましくはそれぞれ少なくとも2層以上積層し合
計で4層以上積層することが望ましい。
【0033】n側第2多層膜層6は、活性層と離間して
形成されていても良いが、最も好ましくは活性層に接し
て形成されているようにする。活性層に接して形成する
方がより出力が向上しやすい傾向にある。n側第2多層
膜層6が活性層に接して形成されている場合、活性層の
最初の層(井戸層、若しくは障壁層)と接する多層膜層
は第1の窒化物半導体層でも、第2の窒化物半導体層い
ずれでも良く、n側第2多層膜層6の積層順序は特に問
うものではない。なお、図1ではn側第2多層膜層6
が、活性層7に接して形成されているが、このn側第2
多層膜層6と活性層との間に、他のn型窒化物半導体よ
りなる層を有していても良い。
【0034】第1の窒化物半導体層はInを含む窒化物
半導体、好ましくは3元混晶のIn kGa1-kN(0<k
<1)とし、さらに好ましくはk値が0.5以下のIn
kGa1-kN、最も好ましくはk値が0.2以下のInk
Ga1-kNとする。一方、第2の窒化物半導体層は第1
の窒化物半導体層と組成が異なる窒化物半導体であれば
良く、特に限定しないが、結晶性の良い第2の窒化物半
導体を成長させるためには、第1の窒化物半導体よりも
バンドギャップエネルギーが大きい2元混晶あるいは3
元混晶のInmGa1-mN(0≦m<1、m<k)を成長
させ、好ましくはGaNである。第2の窒化物半導体を
GaNとすると、全体に結晶性の良い多層膜層が成長で
きる。好ましい組み合わせとしては、第1の窒化物半導
体をIn kGa1-kN(0<k<1)とし、第2の窒化物
半導体をInmGa1-mN(0≦m<1、m<k)、好ま
しくはGaNとする組み合わせが挙げられる。更に好ま
しい組み合わせとしては、第1の窒化物半導体層のk値
が0.5以下のInkGa1 -kNであり、第2の窒化物半
導体層がGaNとの組み合わせである。
【0035】第1および第2の窒化物半導体層は両方と
もアンドープでも、両方にn型不純物がドープされてい
ても、またいずれか一方に不純物がドープ(変調ドー
プ)されていてもよい。結晶性を良くするためには、両
方がアンドープであることが最も好ましく、次に変調ド
ープ、その次に両方ドープの順である。なお両方にn型
不純物をドープする場合、第1の窒化物半導体層のn型
不純物濃度と、第2の窒化物半導体層のn型不純物濃度
は異なっていても良い。また、第1の窒化物半導体層ま
たは第2の窒化物半導体層のいずれか一方に、n型不純
物がドープされていることを変調ドープと呼ぶが、この
ような変調ドープをすることにより、出力が向上しやす
い傾向を有する。
【0036】なおn型不純物としては、Si、Ge、S
n、S等のIV族、VI族元素を好ましく選択し、さらに好
ましくはSi、Snを用いる。n型不純物をドープする
場合、不純物濃度は5×1021/cm3以下、好ましくは
1×1020/cm3以下に調整する。5×1021/cm3より
も多いと窒化物半導体層の結晶性が悪くなって、逆に出
力が低下する傾向にある。これは変調ドープの場合も同
様である。
【0037】本発明において、多重量子井戸構造の活性
層7は、In及びGaを含有する窒化物半導体、好まし
くは、InaGa1-aN(0≦a<1)で形成され、n
型、p型いずれでもよいが、アンドープ(不純物無添
加)とすることにより強いバンド間発光が得られ発光波
長の半値幅が狭くなり好ましい。活性層7にn型不純物
及び/又はp型不純物をドープしてもよい。活性層7に
n型不純物をドープするとアンドープのものに比べてバ
ンド間発光強度をさらに強くすることができる。活性層
7にp型不純物をドープするとバンド間発光のピーク波
長よりも約0.5eV低いエネルギー側にピーク波長を
シフトさせることができるが、半値幅は広くなる。活性
層にp型不純物とn型不純物との双方をドープすると、
前述したp型不純物のみドープした活性層の発光強度を
さらに大きくすることができる。特にp型ドーパントを
ドープした活性層を形成する場合、活性層の導電型はS
i等のn型ドーパントをもドープして全体をn型とする
ことが好ましい。結晶性のよい活性層を成長させるに
は、ノンドープが最も好ましい。
【0038】活性層7の障壁層と井戸層との積層順は、
特に問わず、井戸層から積層して井戸層で終わる、井戸
層から積層して障壁層で終わる、障壁層から積層して障
壁層で終わる、また障壁層から積層して井戸層で終わっ
ても良い。井戸層の膜厚としては100オングストロー
ム以下、好ましくは70オングストローム以下、さらに
好ましくは50オングストローム以下に調整する。井戸
層の膜厚の上限は、特に限定されないが、1原子層以
上、好ましくは10オングストローム以上である。井戸
層が100オングストロームよりも厚いと、出力が向上
しにくい傾向にある。一方、障壁層の厚さは2000オ
ングストローム以下、好ましくは500オングストロー
ム以下、より好ましくは300オングストローム以下に
調整する。障壁層の膜厚の上限は特に限定されないが、
1原子層以上、好ましくは10オングストローム以上で
ある。障壁層が上記範囲であると出力が向上し易く好ま
しい。また、活性層7全体の膜厚はとくに限定されず、
LED素子などの希望の波長等を考慮して、障壁層及び
井戸層の各積層数や積層順を調整し活性層7の総膜厚を
調整する。
【0039】本発明において、p側クラッド層8は、バ
ンドギャップエネルギーの大きな第3の窒化物半導体層
と、第3の窒化物半導体層よりもバンドギャップエネル
ギーの小さな第4の窒化物半導体層とが積層されて、互
いのp型不純物濃度が異なる、又は同一の多層膜層、ま
たはp型不純物を含有するAlbGa1-bN(0≦b≦
1)からなる単一層である。まず、p側クラッド層8が
多層膜構造(超格子構造)を有するp側多層膜クラッド
層の場合について以下に説明する。p側多層膜クラッド
層17の多層膜層を構成する第3、第4の窒化物半導体
層の膜厚は、100オングストローム以下、さらに好ま
しくは70オングストローム以下、最も好ましくは10
〜40オングストロームの膜厚に調整され、第3窒化物
半導体層と第4の窒化物半導体層との膜厚は、同一でも
異なっていてもよい。多層膜構造の各膜厚が上記範囲で
あると、窒化物半導体の弾性臨界膜厚以下となり、厚膜
で成長させる場合に比較して結晶性の良い窒化物半導体
が成長でき、また窒化物半導体層の結晶性が良くなるの
で、p型不純物を添加した場合にキャリア濃度が大きく
抵抗率の小さいp層が得られ、素子のVf、しきい値が
低下し易い傾向にある。このような膜厚の2種類の層を
1ペアとして複数回積層して多層膜層を形成する。そし
て、p側多層膜クラッド層8の総膜厚の調整は、この第
3及び第4の窒化物半導体層の各膜厚を調整し積層回数
を調整することにより行う。p側多層膜クラッド層8の
総膜厚は、特に限定されないが、2000オングストロ
ーム以下、好ましくは1000オングストローム以下、
より好ましくは500オングストローム以下であり、総
膜厚がこの範囲であると発光出力が高く、Vfが低下し
好ましい。第3の窒化物半導体層は少なくともAlを含
む窒化物半導体、好ましくはAl nGa1-nN(0<n≦
1)を成長させることが望ましく、第4の窒化物半導体
は好ましくはAlpGa1-pN(0≦p<1、n>p)、
InrGa1-rN(0≦r≦1)のような2元混晶、3元
混晶の窒化物半導体を成長させることが望ましい。p側
クラッド層8を超格子構造とすると、結晶性が良くな
り、抵抗率が低下しVfが低下する傾向がある。
【0040】p側多層膜クラッド僧のp型不純物濃度に
おいて、第3の窒化物半導体層と第4の窒化物半導体層
とのp型不純物濃度が異なる場合について以下に示す。
p側多層膜クラッド層8の第3の窒化物半導体層と第4
の窒化物半導体層とのp型不純物濃度は異なり、一方の
層の不純物濃度を大きく、もう一方の層の不純物濃度を
小さくする。n側クラッド層12と同様に、バンドギャ
ップエネルギーの大きな第3の窒化物半導体層の方のp
型不純物濃度を大きくして、バンドギャップエネルギー
の小さな第4の窒化物半導体層のp型不純物濃度を小さ
く、好ましくはアンドープとすると、閾値電圧、Vf等
を低下させることができる。またその逆でも良い。つま
りバンドギャップエネルギーの大きな第3の窒化物半導
体層のp型不純物濃度を小さくして、バンドギャップエ
ネルギーの小さな第4の窒化物半導体層のp型不純物濃
度を大きくしても良い。
【0041】第3の窒化物半導体層への好ましいドープ
量としては1×1018/cm3〜1×1021/cm3、さらに
好ましくは1×1019/cm3〜5×1020/cm3の範囲に
調整する。1×1018/cm3よりも少ないと、同様に第
4の窒化物半導体層との差が少なくなって、同様にキャ
リア濃度の大きい層が得られにくい傾向にあり、また1
×1021/cm3よりも多いと、結晶性が悪くなる傾向に
ある。一方、第4の窒化物半導体層のp型不純物濃度は
第3の窒化物半導体層よりも少なければ良く、好ましく
は1/10以上少ない方が望ましい。最も好ましくはア
ンドープとすると最も移動度の高い層が得られるが、膜
厚が薄いため、第3の窒化物半導体側から拡散してくる
p型不純物があり、その量は1×1020/cm3以下が望
ましい。また、バンドギャップエネルギーが大きい第3
の窒化物半導体層にp型不純物を少なくドープして、バ
ンドギャップエネルギーが小さい第4の窒化物半導体層
にp型不純物を多くドープする場合も同様である。p型
不純物としてはMg、Zn、Ca、Be等の周期律表第
IIA族、IIB族元素を選択し、好ましくはMg、Ca等
をp型不純物とする。
【0042】さらにまた多層膜を構成する窒化物半導体
層において、不純物が高濃度にドープされる層は、厚さ
方向に対し、半導体層中心部近傍の不純物濃度が大き
く、両端部近傍の不純物濃度が小さい(好ましくはアン
ドープ)とすることが、抵抗率を低下させるのに望まし
い。
【0043】またp側多層膜クラッド層の第3の窒化物
半導体層と第4の窒化物半導体層のp型不純物濃度が同
一の場合は、上記第3と第4の窒化物半導体層のp型不
純物濃度が異なる場合の第3の窒化物半導体層のp型不
純物濃度の範囲内で不純物濃度が調整される。このよう
にp型不純物濃度が同一であると、上記不純物濃度が異
なる場合に比べて、やや結晶性の劣る傾向があるが、キ
ャリア濃度の高いp型クラッド層8を形成し易くなり、
出力向上の点で好ましい。
【0044】次に、p側クラッド層8が、p型不純物を
含みAlbGa1-bN(0≦b≦1)よりなる単一層から
なる場合、p側単一膜クラッド層8の膜厚は、2000
オングストローム以下、好ましくは1000オングスト
ローム以下であり、より好ましくは500〜100オン
グストローム以下である。膜厚が上記範囲であると、発
光出力が向上し、Vfが低下し好ましい。p側単一膜ク
ラッド層8の組成は、AlbGa1-bN(0≦b≦1)で
ある。また、単一膜層のクラッド層は、前記多層膜構造
のp側クラッド層に比べ、結晶性はやや劣るものの、前
記第1の多層膜層4との組み合わせにより、結晶性良く
成長させることができ、しきい値やVfの低下が可能と
なる。更に、このように単一膜としてもその他の層構成
と組み合わせることにより素子の性能の低下を少なく
し、しかも単一膜であるので、製造工程の簡易化が可能
となり、量産する場合に好ましい。p側単一膜クラッド
層8のp型不純物の濃度は1×1018〜1×1021/cm
3、好ましくは5×1018〜5×1020/cm3、より好ま
しくは5×1019〜1×1020/cm3である。不純物濃
度が上記範囲であると、良好なp型膜ができ好ましい。
【0045】次に、本発明において、Mgドープp側G
aNコンタクト層9は、その組成をIn、Alを含まな
い二元混晶の窒化物半導体とする。仮にIn、Alを含
有していると、p電極10とオーミック接触が得られな
くなり、発光効率が低下する。p側コンタクト層9の膜
厚は 0.001〜0.5μm、 好ましくは0.01
〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.2μmで
ある。膜厚が0.001μmよりも薄いとp型GaAl
Nクラッド層と電気的に短絡しやすくなり、コンタクト
層として作用しにくい。また、三元混晶のGaAlNク
ラッド層の上に、組成の異なる二元混晶のGaNコンタ
クト層を積層するため、逆にその膜厚を0.5μmより
も厚くすると、結晶間のミスフィットによる格子欠陥が
p側GaNコンタクト層9中に発生しやすく、結晶性が
低下する傾向にある。なお、コンタクト層の膜厚は薄い
ほどVfを低下させ発光効率を向上させることができ
る。また、このp型GaNコンタクト層9のp型不純物
はMgであるとp型特性が得られ易く、またオーミック
接触が得られ易くなる。Mgの濃度は、1×1018〜1
×1021/cm3、好ましくは5×1019〜3×1020/c
m3、より好ましくは1×1020/cm3程度である。Mg
濃度がこの範囲であると良好なp型膜が得られ易く、V
fが低下し好ましい。
【0046】また、n電極11はn側コンタクト層4上
に、p電極はMgドープp側GaNコンタクト層9上に
それぞれ形成されている。n電極及びp電極の材料とし
ては特に限定されず、例えばn電極としてはW/Al、
p電極としてはNi/Auなどを用いることができる。
【0047】
【実施例】以下に本発明の一実施の形態である実施例を
示すが、本発明はこれに限定されない。 [実施例1]図1を元に実施例1について説明する。サ
ファイア(C面)よりなる基板1をMOVPEの反応容
器内にセットし、水素を流しながら、基板の温度を10
50℃まで上昇させ、基板のクリーニングを行う。
【0048】(バッファ層2)続いて、温度を510℃
まで下げ、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニア
とTMG(トリメチルガリウム)とを用い、基板1上に
GaNよりなるバッファ層2を約150オングストロー
ムの膜厚で成長させる。
【0049】(アンドープGaN層3)バッファ層2成
長後、TMGのみ止めて、温度を1050℃まで上昇さ
せる。1050℃になったら、同じく原料ガスにTM
G、アンモニアガスを用い、アンドープGaN層3を
1.5μmの膜厚で成長させる。
【0050】(n側コンタクト層4)続いて1050℃
で、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガス、不純物
ガスにシランガスを用い、Siを4.5×1018/cm3
ドープしたGaNよりなるn側コンタクト層4を2.2
5μmの膜厚で成長させる。
【0051】(n側第1多層膜層5)次にシランガスの
みを止め、1050℃で、TMG、アンモニアガスを用
い、アンドープGaNからなる下層5aを2000オン
グストロームの膜厚で成長させ、続いて同温度にてシラ
ンガスを追加しSiを4.5×1018/cm3ドープした
GaNからなる中間層5bを300オングストロームの
膜厚で成長させ、更に続いてシランガスのみを止め、同
温度にてアンドープGaNからなる上層5cを50オン
グストロームの膜厚で成長させ、3層からなる総膜厚2
350オングストロームの第1多層膜層5を成長させ
る。
【0052】(n側第2多層膜層6)次に、同様の温度
で、アンドープGaNよりなる第2の窒化物半導体層を
40オングストローム成長させ、次に温度を800℃に
して、TMG、TMI、アンモニアを用い、アンドープ
In0.13Ga0.87Nよりなる第1の窒化物半導体層を2
0オングストローム成長させる。そしてこれらの操作を
繰り返し、第2+第1の順で交互に10層づつ積層さ
せ、最後にGaNよりなる第2の窒化物半導体層を40
オングストローム成長さた超格子構造の多層膜よりなる
n側第2多層膜層6を640オングストロームの膜厚で
成長させる。
【0053】(活性層7)次に、アンドープGaNより
なる障壁層を200オングストロームの膜厚で成長さ
せ、続いて温度を800℃にして、TMG、TMI、ア
ンモニアを用いアンドープIn0.4Ga0.6Nよりなる井
戸層を30オングストロームの膜厚で成長させる。そし
て障壁+井戸+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層
を5層、井戸層を4層、交互に積層して、総膜厚112
0オングストロームの多重量子井戸構造よりなる活性層
7を成長させる。
【0054】(p側多層膜クラッド層8)次に、温度1
050℃でTMG、TMA、アンモニア、Cp2Mg
(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを
1×1020/cm3ドープしたp型Al0.2Ga0.8Nより
なる第3の窒化物半導体層を40オングストロームの膜
厚で成長させ、続いて温度を800℃にして、TMG、
TMI、アンモニア、Cp2Mgを用いMgを1×10
20/cm3ドープしたIn0.03Ga0.97Nよりなる第4の
窒化物半導体層を25オングストロームの膜厚で成長さ
せる。そしてこれらの操作を繰り返し、第3+第4の順
で交互に5層ずつ積層し、最後に第3の窒化物半導体層
を40オングストロームの膜厚で成長させた超格子構造
の多層膜よりなるp側多層膜クラッド層8を365オン
グストロームの膜厚で成長させる。
【0055】(p側GaNコンタクト層9)続いて10
50℃で、TMG、アンモニア、Cp2Mgを用い、M
gを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp
側コンタクト層9を700オングストロームの膜厚で成
長させる。
【0056】反応終了後、温度を室温まで下げ、さらに
窒素雰囲気中、ウェーハを反応容器内において、700
℃でアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化す
る。
【0057】アニーリング後、ウェーハを反応容器から
取り出し、最上層のp側コンタクト層9の表面に所定の
形状のマスクを形成し、RIE(反応性イオンエッチン
グ)装置でp側コンタクト層側からエッチングを行い、
図1に示すようにn側コンタクト層4の表面を露出させ
る。
【0058】エッチング後、最上層にあるp側コンタク
ト層のほぼ全面に膜厚200オングストロームのNiと
Auを含む透光性のp電極10と、そのp電極10の上
にボンディング用のAuよりなるpパッド電極11を
0.5μmの膜厚で形成する。一方、エッチングにより
露出させたn側コンタクト層4の表面にはWとAlを含
むn電極12を形成してLED素子とした。
【0059】このLED素子は順方向電流20mAにお
いて、520nmの純緑色発光を示し、Vfは3.5V
で、従来の多重量子井戸構造のLED素子に比較して、
Vfで1.0V近く低下し、出力は2.0倍以上に向上
した。そのため、10mAで従来のLED素子とほぼ同
等の特性を有するLEDが得られた。更に、得られたL
EDの静電耐圧をLED素子のn層及びp層の各電極よ
り逆方向に徐々に電圧を加え測定したところ、従来の
1.5倍以上となり良好な結果が得られた。
【0060】なお、従来のLED素子の構成は、GaN
よりなる第1のバッファ層の上に、アンドープGaNよ
りなる第2のバッファ層、SiドープGaNよりなるn
側コンタクト層、実施例1と同一の多重量子井戸構造よ
りなる活性層、単一のMgドープAl0.1Ga0.9N層、
MgドープGaNからなるp側コンタクト層を順に積層
したものである。
【0061】[実施例2]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.3Ga0.7Nよりなる井戸層を30オン
グストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸+
障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を7層、井戸層
を6層、交互に積層して、総膜厚1930オングストロ
ームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、470nmの純青色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0062】[実施例3]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.3Ga0.7Nよりなる井戸層を30オン
グストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸+
障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を6層、井戸層
を5層、交互に積層して、総膜厚1650オングストロ
ームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、470nmの純青色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0063】[実施例4]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.35Ga0.65Nよりなる井戸層を30オ
ングストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸
+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を7層、井戸
層を6層、交互に積層して、総膜厚1930オングスト
ロームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、500nmの青緑色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0064】[実施例5]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.35Ga0.65Nよりなる井戸層を30オ
ングストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸
+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を4層、井戸
層を3層、交互に積層して、総膜厚1090オングスト
ロームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、500nmの青緑色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0065】[実施例6]実施例1において、n側第2
多層膜層6を成長させない他は同様にしてLED素子を
作製した。得られたLED素子は、実施例1に比べやや
素子特性及び発光出力が低いものの、静電耐圧は実施例
1とほぼ同様に良好となる。
【0066】[実施例7]実施例1において、p側多層
膜クラッド層8を以下のように変える他は同様にしてL
ED素子を作製した。 (p側単一膜クラッド層8)温度1050℃でTMG、
TMA、アンモニア、Cp2Mg(シクロペンタジエニ
ルマグネシウム)を用い、Mgを1×1020/cm3ドー
プしたp型Al0.16Ga0.84Nよりなるp側単一膜クラ
ッド層8を300オングストロームの膜厚で成長させ
る。得られたLED素子は、クラッド層を超格子とせず
単一の層として成長させているが、その他の層構成との
組み合わせにより、実施例1よりやや発光出力などの性
能が劣るものの、静電耐圧がほぼ同様に良好な結果が得
られる。また、単一層とすると、多層膜層にする場合に
比べ製造工程が簡易化でき好ましい。
【0067】[実施例8]実施例1において、n側第1
多層膜層5を以下のように各膜厚を変更する他は同様に
してLED素子を作製した。 (n側第1多層膜層5)次にシランガスのみを止め、1
050℃で、TMG、アンモニアガスを用い、アンドー
プGaNからなる下層5aを3000オングストローム
の膜厚で成長させ、続いて同温度にてシランガスを追加
しSiを4.5×1018/cm3ドープしたGaNからな
る中間層5bを300オングストロームの膜厚で成長さ
せ、更に続いてシランガスのみを止め、同温度にてアン
ドープGaNからなる上層5cを50オングストローム
の膜厚で成長させ、3層からなる総膜厚3350オング
ストロームの第1多層膜層5を成長させる。得られたL
ED素子は、実施例1とほぼ同等の特性を有し、良好な
結果が得られる。
【0068】[実施例9]実施例8において、n側コン
タクト層4の膜厚を、4.165μm、5.165μ
m、7.165μmとする他は同様にして3種のLED
素子を作製する。得られたLED素子は、実施例1とほ
ぼ同等の特性を有し、良好な結果が得られ、また、膜厚
が4.165μm及び5.165μmの場合は、発光出
力などの素子特性を維持したまま静電耐圧がやや実施例
1より良好となる。
【0069】[実施例10]実施例1において、n側第2
多層膜厚6をアンドープGaNよりなる第2の窒化物半
導体層と、Siを5×1017/cm3ドープしたIn
0.13Ga0.87Nよりなる第1の窒化物半導体層とからな
る多層膜とする他は同様にしてLED素子を作製する。
得られたLED素子は、実施例1とほぼ同等の特性を示
す。
【0070】[実施例11]実施例1において、p側多層
膜クラッド層8を、Mgを5×1019/cm3ドープし
たAl0.2Ga0.8Nよりなる第3の窒化物半導体層と、
アンドープのIn 0.03Ga0.97Nよりなる第4の窒化物
半導体層とからなる多層膜とする他は同様にしてLED
素子を作製する。得られたLED素子は、実施例1とほ
ぼ同等の特性を示す。
【0071】[実施例12]実施例1において、p側多層
膜クラッド層8をアンドープのAl0.2Ga0.8Nよりな
る第3の窒化物半導体層と、Mgを5×1019/cm3
ドープしたIn0.0 3Ga0.97Nよりなる第4の窒化物半
導体層とからなる多層膜とする他は同様にしてLED素
子を作製する。得られたLED素子は、実施例1とほぼ
同等の特性を示す。
【0072】[実施例13]実施例8において、n側第1
多層膜層5が、アンドープGaNからなる3000オン
グストロ−ムの膜厚の下層5aと、4.5×1018/c
3ドープした300オングストロームの膜厚のAl0.1
Ga0.9Nからなる中間層5bと、アンドープGaNか
らなる50オングストロームの膜厚の上層5cとを成長
させてなる他は同様にしてLED素子を作製する。得ら
れたLED素子は、実施例8とほぼ同等の特性を示し、
良好な結果が得られる。
【0073】[実施例14]実施例8において、n側第1
多層膜層5が、アンドープAl0.1Ga0.9Nからなる3
000オングストロームの膜厚の下層5aと、4.5×
1018/cm3ドープした300オングストロームの膜
厚のAl0.1Ga0.9Nからなる中間層5bと、アンドー
プAl0.1Ga0.9Nからなる50オングストロームの膜
厚の上層5cとを成長させてなる他は同様にしてLED
素子を作製する。得られたLED素子は、実施例8とほ
ぼ同等の特性を有し、良好な結果が得られる。
【0074】[実施例15]実施例8において、n側第1
多層膜層5が、アンドープAl0.1Ga0.9Nからなる3
000オングストロームの膜厚の下層5aと、4.5×
1018/cm3ドープした300オングストロームの膜
厚のGaNからなる中間層5bと、アンドープGaNか
らなる50オングストロームの膜厚の上層5cとを成長
させてなる他は同様にしてLED素子を作製する。得ら
れたLED素子は、実施例8とほぼ同等の特性を有し、
良好な結果が得られる。
【0075】[実施例16]実施例8において、n側コン
タクト層4を、Siを4.5×1018/cm3ドープし
たAl0.05Ga0.95Nの膜厚4.165μmとする他は
同様にしてLED素子を作製する。得られたLED素子
は、実施例8とほぼ同等の特性を示す。
【0076】[比較例1]実施例1において、n側第1
多層膜層5を構成するアンドープGaNからなる下層5
aを形成しない他は同様にしてLED素子を作製した。
得られたLED素子は、実施例1に比べ、静電耐圧が著
しく低下し、リーク電流及びVfに関する特性も十分満
足できる値ではなかった。
【0077】[比較例2]実施例1において、n側第1
多層膜層5を構成するSiドープGaNからなる中間層
5bを形成しない他は同様にしてLED素子を作製し
た。得られたLED素子は、実施例1に比べ、発光出力
及び静電耐圧が大きく低下し、その他の特性も十分満足
できる値ではなかった。
【0078】[比較例3]実施例1において、n側第1
多層膜層5を構成するアンドープGaNからなる上層5
cを形成しない他は同様にしてLED素子を作製した。
得られたLED素子は、実施例1に比べ、リーク電流が
増加し、その他の特性も十分満足できる値ではなかっ
た。
【0079】
【発明の効果】本発明は、多重量子井戸構造の活性層を
用い種々の応用製品への適用範囲の拡大を可能とするた
め、発光出力がより向上し、静電耐圧が良好な窒化物半
導体発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の一実施の形態であるLED
素子の構造を示す模式断面図である。
【図2】 図2は、本発明のアンドープの下層5aの膜
厚を変動させた場合の素子特性の変化を示したグラフで
ある。
【図3】 図3は、本発明のn型不純物ドープの中間層
5bの膜厚を変動させた場合の素子特性の変化を示した
グラフである。
【図4】 図4は、本発明のアンドープの上層5cの膜
厚を変動させた場合の素子特性の変化を示したグラフで
ある。
【符号の説明】
1・・・サファイア基板、 2・・・バッファ層、 3・・・アンドープGaN層、 4・・・n側コンタクト層、 5・・・n側第1多層膜層、 5a・・・アンドープの下層、 5b・・・n型不純物ドープの中間層、 5c・・・アンドープの上層、 6・・・n側第2多層膜層、 7・・・活性層、 8・・・p側クラッド層、 9・・・Mgドープp側GaNコンタクト層、 10・・・p電極、 11・・・n電極、

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、バッファ層を介して形成され
    たn側窒化物半導体層、活性層及びp側窒化物半導体層
    を有する窒化物半導体素子において、 前記n側窒化物半導体層は、膜厚100〜10000Å
    のアンドープの窒化物半導体からなる下層、n型不純物
    がドープされた窒化物半導体からなる中間層、アンドー
    プの窒化物半導体からなる上層の少なくとも3層が順に
    積層されてなるn側第1多層膜層を含みかつ、 前記活性層が、InaGa1-aN(0<a<1)層とGa
    N層とを含んでなる多重量子井戸構造であることを特徴
    とする窒化物半導体素子。
  2. 【請求項2】 前記中間層の膜厚が50〜1000オン
    グストロームであり、前記上層の膜厚が25〜1000
    オングストロームであることを特徴とする請求項1に記
    載の窒化物半導体素子。
  3. 【請求項3】 前記n側窒化物半導体層において、前記
    n側第1多層膜層より基板側に、n型不純物を含むn側
    コンタクト層を有することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の窒化物半導体素子。
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