JP4862314B2 - 硫化水素含有ガスの脱硫方法及び脱硫装置 - Google Patents

硫化水素含有ガスの脱硫方法及び脱硫装置 Download PDF

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Description

本発明は、硫化水素含有ガスの脱硫方法及び脱硫装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、各種の工場や処理場などで発生する硫化水素と二酸化炭素を含むガスから、従来のアルカリスクラバーに比較して二酸化炭素によるpH低下が少なく、硫化水素を効率よく除去することができる硫化水素含有ガスの脱硫方法及び脱硫装置に関する。
化学工場、製紙工場、食品飲料製造工場、ゴミ焼却場、し尿処理場、下水処理場などから排出される排ガスは、硫化水素と同時に二酸化炭素を含有するものが多い。硫化水素と二酸化炭素を含有するガスの処理方法として、アルカリ吸収処理と生物酸化処理との組み合わせが検討されている。
例えば、硫化水素含有ガスを、大容量の設備を必要とすることなく、多量のアルカリを使用することなく、低コストで効率的に処理して、硫化水素濃度の低い処理ガスを得る方法として、硫化水素を含む原ガスを活性汚泥、生物処理水又は工水と接触させて、原ガス中の硫化水素を粗取りする一次脱硫工程と、一次脱硫工程の処理ガスを湿式又は乾式でアルカリと接触させてガス中に残留する硫化水素を除去する二次脱硫工程とを有する硫化水素含有ガスの脱硫方法が提案されている(特許文献1)。
また、メタンガスの含有率を低下させず、低コストで効率よく、しかも高い脱硫率で脱硫でき、かつ脱硫に伴って新たな廃液を生じない消化ガスの脱硫方法及び装置として、有機性物質の嫌気性微生物消化により発生する消化ガスを、酸素を混合することなく、有機性物質の好気性微生物酸化における処理液からなる洗浄液のスプレー液と接触させて、消化ガス中の硫化水素を洗浄液に吸収させる吸収工程と、吸収工程で得られた吸収液を好気性微生物酸化して、吸収された硫化水素を酸化する酸化工程とを含む消化ガスの脱硫方法が提案されている(特許文献2)。
しかし、排ガス中の二酸化炭素の濃度比が高いと、アルカリが二酸化炭素に消費され、吸収液のpHが低下して吸収率も低下し、硫化水素の除去率が低下するという問題があった。
特開2002−79051号公報(第2頁) 特許第3235131号公報(第1−2頁)
本発明は、各種の工場や処理場などで発生する硫化水素と二酸化炭素を含むガスから、従来のアルカリスクラバーに比較して二酸化炭素によるpH低下が少なく、硫化水素を効率よく除去することができる硫化水素含有ガスの脱硫方法及び脱硫装置を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多量の二酸化炭素を含有する排ガス中の硫化水素を吸収するにあたり、吸収液中のアルカリ金属イオン濃度を高めることにより、効果的に硫化水素を吸収し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)硫化水素と二酸化炭素とを含むガスを、中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度を示すMアルカリ度(中和に要するpH4.8酸消費量で測定する)0.5〜2.5モル/Lであるアルカリ性吸収液と接触させて、硫化水素を該吸収液に移行させたのち、該吸収液を硫黄酸化細菌を用いた好気性生物処理槽に供給し、該好気性生物処理槽から流出する処理液を前記アルカリ性吸収液として循環使用することを特徴とする硫化水素含有ガスの脱硫方法、
注;Mアルカリ度は、中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度を、簡易的にpH4.8酸消費量で測定して得られる数値、
(2)アルカリ金属イオンがナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、アルカリ金属イオンが水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩として供給される(1)記載の硫化水素含有ガスの脱硫方法、
(3)硫化水素と二酸化炭素とを含むガスをアルカリ性吸収液と接触させる気液接触装置、硫化水素が移行した該吸収液を硫黄酸化細菌により処理する好気性生物処理槽及び処理された吸収液を気液接触装置に送液する送液路を有することを特徴とする(1)記載の硫化水素含有ガスの脱硫方法に用いる硫化水素含有ガスの脱硫装置、及び、
(4)硫化水素と二酸化炭素とを含むガスをアルカリ性吸収液と接触させる気液接触装置、硫化水素が移行した該吸収液を硫黄酸化細菌により処理する好気性生物処理槽、処理された吸収液を固液分離する固液分離部及び固液分離された液を気液接触装置に送液する送液路を有することを特徴とする(1)記載の硫化水素含有ガスの脱硫方法に用いる硫化水素含有ガスの脱硫装置、
を提供するものである。
本発明の硫化水素含有ガスの脱硫方法及び脱硫装置によれば、高濃度の二酸化炭素を含む硫化水素含有ガスをアルカリ性吸収液を用いて処理して、二酸化炭素によるアルカリの消費にもとづく吸収液のpHの低下が少なく、効果的に硫化水素を高い除去率で除去することができる。
本発明の硫化水素含有ガスの脱硫方法においては、硫化水素と二酸化炭素とを含むガスを、中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度が0.25〜3.5モル/Lであるアルカリ性吸収液と接触させて、硫化水素を該吸収液に移行させたのち、該吸収液を硫黄酸化細菌を用いた好気性生物処理槽に供給し、該好気性生物処理槽から流出する処理液を前記アルカリ性吸収液として循環使用する。
図1は、本発明方法の一態様の工程系統図である。本態様においては、硫化水素と二酸化炭素とを含むガスを充填塔1に送り、塔頂の液分散器2から供給される中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度が0.25〜3.5モル/Lのアルカリ性吸収液と接触させる。ガス中の硫化水素は、アルカリ性吸収液に移行し、硫化水素の大部分が除去されたガスが塔頂の排気管から排出される。硫化水素を吸収したアルカリ性吸収液は、送液管3を経由して好気性生物処理槽4へ送られる。好気性生物処理槽は、好気性酸化部5と必要により固液分離部6からなり、好気性酸化部において槽底の散気管7から空気が供給され、硫化物イオンが硫黄酸化細菌により酸化されて硫黄単体、亜硫酸イオン、硫酸イオンなどになる。前記生物処理槽からの処理液の一部は、ポンプ8により返送液管9を経由して充填塔に送られ、アルカリ性吸収液として循環使用される。好気性生物処理槽あるいは充填塔に送られる処理液には、アルカリ水溶液が添加されて、アルカリ金属イオン濃度が調整される。処理液の残部は、排水として処理される。
本発明方法は、下水、し尿、産業排水、汚泥などの有機性物質の嫌気性微生物消化により発生する消化ガスなどの少量の硫化水素と多量の二酸化炭素を含有するガスの脱硫に好適に適用することができる。硫化水素は、水中で解離して水硫化イオン(HS-)となり、吸収除去される。吸収液に移行した硫化水素は、液のアルカリ性が強いと解離割合が多くなるために、アルカリ性の方が効率よく吸収除去される。しかし、被処理ガス中に二酸化炭素が多く存在すると、アルカリ性の吸収液は二酸化炭素を多く吸収して、そのpHを低下させてしまい、硫化水素の解離が妨げられ、結果として硫化水素の吸収除去が効率的に進行しなくなる。本発明方法によれば、硫化水素含有ガス中に二酸化炭素が多量に存在しても、アルカリ性吸収液のpHを比較的高めに保持することができ、硫化水素を効率よく除去することができる。
本発明方法に用いるアルカリ性吸収液は、中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度の濃度が0.25〜3.5モル/Lであり、より好ましくは0.5〜2.5モル/Lである。中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度が0.25モル/L未満であると、二酸化炭素の吸収によるpH低下のために硫化水素の吸収効率が低く、硫化水素の除去率が低下して、処理ガスの硫化水素濃度が十分に下がらないおそれがある。中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度が3.5モル/Lを超えると、重炭酸ナトリウム塩などの析出が起こり、偏流によりガス吸収反応が進みにくくなって、硫化水素の除去率が低下し、処理ガスの硫化水素濃度が十分に下がらないか、あるいは、処理液が流れないおそれがある。
中性塩は、水に溶かすとほぼ中性を示す塩であり、強酸と強塩基の中和により生成する正塩である。本発明方法においては、中性塩のカチオン成分がアルカリ金属イオンなので、中性塩のアニオン成分は、硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオンなどである。中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度は、アルカリ性吸収液中の全アルカリ金属イオン濃度と、中性塩の各アニオン成分の濃度を測定し、全アルカリ金属イオン濃度から、各アニオン成分の濃度の当量に相当する量を減ずることによって求めることができる。簡易的には、Mアルカリ度(pH4.8酸消費量)を測定することで求めることができる。
本発明方法に用いる硫黄酸化細菌としては、例えば、チオバチルス属、チオトリックス属、ベギアトア属、チオマリヌス属、シュードモナス属などの細菌を挙げることができる。本発明方法においては、硫化水素含有ガスの処理に先立って、硫黄酸化細菌を下水、産業排水などの活性汚泥から馴養することが好ましい。硫黄酸化細菌の馴養は、硫化ナトリウム、チオ硫酸塩、亜硫酸塩などの不揮発性の還元性硫黄化合物を用いて行うことが好ましい。不揮発性の還元性硫黄化合物を用いることにより、還元性硫黄化合物の放散による大気汚染を防止することができる。好気性活性汚泥法により発生した活性汚泥を好気性生物処理槽に入れ、不揮発性の還元性化合物とアンモニア、リンなどの栄養源を溶解した溶液を供給し、曝気しつつ処理することにより、硫黄酸化細菌を馴養することができる。好気性生物処理槽液の還元性硫黄化合物が検出されなくなることにより、硫黄酸化細菌の馴養の完了を確認することができる。
本発明方法においては、アルカリ金属イオンがナトリウムイオン又はカリウムイオンであることが好ましい。ナトリウムイオン又はカリウムイオンを含有するアルカリ性吸収液は、硫化水素の移行性が良好であり、効率的に硫化水素を吸収して除去することができる。本発明方法においては、アルカリ金属イオンが、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩として供給されることが好ましい。ヒドロキシルイオン、炭酸イオン又は重炭酸イオンを含有するアルカリ性吸収液は、硫化水素の移行性が良好であり、効率的に硫化水素を吸収して除去することができる。
本発明の硫化水素含有ガスの脱硫装置の第一の態様は、硫化水素と二酸化炭素とを含むガスをアルカリ性吸収液と接触させる気液接触装置、硫化水素が移行した該吸収液を硫黄酸化細菌により処理する好気性生物処理槽及び処理された吸収液を気液接触装置に送液する送液路を有する装置である。
本発明の硫化水素含有ガスの脱硫装置の第二の態様は、硫化水素と二酸化炭素とを含むガスをアルカリ性吸収液と接触させる気液接触装置、硫化水素が移行した該吸収液を硫黄酸化細菌により処理する好気性生物処理槽、処理された吸収液を固液分離する固液分離部及び固液分離された液を気液接触装置に送液する送液路を有する装置である。
本発明装置に用いる気液接触装置に特に制限はなく、例えば、充填塔、濡れ壁塔、段塔、スプレー塔、スクラバー、気泡塔、気泡撹拌槽などを挙げることができる。これらの中で、充填塔及びスプレー塔を好適に用いることができる。充填塔は、構造が簡単で取り扱いが容易であり、ガスの圧力損失が少ない。スプレー塔は、液の噴霧にかなりの動力が必要であるが、構造が簡単で建設費が安く、ガスの圧力損失が少ない。スプレー塔には、液の飛沫同伴を防止する手段を設けることが好ましい。
本発明装置に用いる好気性生物処理槽に特に制限はなく、例えば、機械撹拌式エアレーションタンク、散気式エアレーションタンクのいずれをも用いることができる。好気性生物処理方式に特に制限はなく、例えば、押出流れ型又は完全混合型の標準活性汚泥法、ステップエアレーション法、コンタクトスタビリゼーション法などを挙げることができる。なお、必要に応じて、処理された処理液を固液分離するための固液分離部を設けてもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において、液中に存在するH2S、HS-及びS2-の硫黄の合計を、全S2-と表示する。全S2-濃度は、溶存硫化物測定用検知管[光明理化学工業(株)、200SB]を用いて測定した。また、実施例及び比較例において表示されるナトリウムイオン濃度は、液中に存在する中性塩に由来するナトリウムイオンを除いたナトリウムイオン濃度である。ナトリウムイオン濃度は、JIS K 0102 15.1にしたがって酸消費量(pH4.8)を測定することにより求めた。
実施例1
化学工場の高負荷嫌気処理設備から発生する嫌気性バイオガスと類似の試験用混合ガスを用いて、図1に示す硫黄酸化槽を備えた充填塔ガス吸収方式の生物脱硫試験を行った。
試験用混合ガスの組成は、二酸化炭素29.85体積%、硫化水素0.15体積%、窒素70.00体積%である。充填塔の寸法は、内径30mm、高さ4,000mmであり、称呼寸法6mmの磁製ラシヒリングを高さ2,500mmまで充填した。硫黄酸化槽の寸法は、長さ300mm、幅100mm、高さ600mm、実容量10Lであり、工場排水の活性汚泥混合液を槽に入れ、チオ硫酸ナトリウム550mg/Lを添加した工場排水を2週間供給して硫黄酸化細菌の馴養を行ったのち、試験を開始した。
充填塔に試験用混合ガスを350L(標準状態)/h流入させ、硫黄酸化槽から流出する処理液をアルカリ性吸収液として34L/h循環させた。硫黄酸化槽に0.6モル/L水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8.8及び循環吸収液のMアルカリ度が0.5モル/Lを保たれるように制御した。硫黄酸化細菌により吸収された硫化水素の一部は硫酸イオンにまで酸化されるために、Mアルカリ度は0.6モル/Lより低下し、約0.5モル/Lとなった。充填塔入口のpHは硫黄酸化槽と同じpH8.8であったが、吸収塔内で二酸化炭素、硫化水素などの酸性ガスを吸収するために、充填塔出口のpHは8.3まで低下した。このとき、充填塔から排出される処理ガスの硫化水素濃度は30ppm(体積比)であり、硫化水素の除去率は98.0%であった。
実施例2
硫黄酸化槽のpH制御用の水酸化ナトリウム水溶液の濃度を2.7モル/Lとした以外は、実施例1と同じ操作を行い、硫黄酸化槽のpHを8.8に制御した。硫黄酸化細菌により吸収された硫化水素の一部は硫酸イオンにまで酸化されるために、Mアルカリ度は2.7モル/Lより低下し、約2.5モル/Lとなった。充填塔出口のpHは8.7で、充填塔から排出される処理ガスの硫化水素濃度は25ppm(体積比)であり、硫化水素の除去率は98.3%であった。
比較例1
硫黄酸化槽のpH制御用の水酸化ナトリウム水溶液の濃度を0.11モル/Lとした以外は、実施例1と同じ操作を行い、硫黄酸化槽のpHを8.8に制御した。このとき、充填塔出口から流出する吸収液のpHは7.3で、充填塔から排出される処理ガスの硫化水素濃度は130ppm(体積比)であり、硫化水素の除去率は91.3%であった。
比較例2
硫黄酸化槽のpH制御用の水酸化ナトリウム水溶液の濃度を5.0モル/Lとした以外は、実施例1と同じ操作を行い、硫黄酸化槽のpHを8.8に制御した。硫黄酸化槽の周囲の壁や吸収塔内部に重炭酸ナトリウムと思われる析出物が観察された。この析出物のために吸収塔内で偏流が起こったためか、充填塔から排出される処理ガスの硫化水素濃度は安定せず、平均で90ppm(体積比)であった。さらに運転を継続すると、充填塔の差圧が上昇してガスを流せなくなった。
実施例1〜2及び比較例1〜2の結果を、第1表に示す。
Figure 0004862314
第1表に見られるように、中性塩由来のナトリウムイオンを除いたナトリウムイオン濃度が0.5モル/L又は2.5モル/Lである実施例1〜2においては、充填塔における硫化水素の除去率が高く、処理ガス中の硫化水素濃度が30ppm(体積比)以下となっている。これに対して、中性塩由来のナトリウムイオンを除いたナトリウムイオン濃度が0.1モル/Lである比較例1においては、充填塔における硫化水素の除去率が低く、処理ガス中の硫化水素濃度が130ppm(体積比)となっている。中性塩由来のナトリウムイオンを除いたナトリウムイオン濃度が5.0モル/Lである比較例2における硫化水素除去率の低下は、析出物により充填塔で偏流を起こしたためと考えられる。なお、炭酸塩が蓄積して、安定運転は続けられなかった。
参考例1
脱イオン水に水酸化ナトリウムを溶解して、ナトリウムイオン濃度0.1モル/L、0.25モル/L、0.5モル/L、1.0モル/L、2.5モル/L、5.0モル/Lの水溶液を調製した。これらの水溶液をろ過板付洗浄びんに入れ、試験用混合ガスを通気し、試験用混合ガスが平衡に達した溶液を得た。得られた平衡溶液について、pH及び全S2-濃度を測定した。結果を、第2表に示す。
Figure 0004862314
第2表に見られるように、ナトリウムイオン濃度が高いほど、試験用混合ガスと平衡に達した溶液のpHが高く、かつ全S2-濃度が高くなる。ナトリウムイオン濃度1モル/Lの水溶液は、ナトリウムイオン濃度0.1モル/Lのものと比べると、約10倍の全S2-を溶解することができる。
参考例2
試験用混合ガスとして、ガスA(二酸化炭素1.00体積%、硫化水素0.15体積%、窒素98.85体積%)、ガスB(二酸化炭素5.00体積%、硫化水素0.15体積%、窒素94.85体積%)、ガスC(二酸化炭素10.00体積%、硫化水素0.15体積%、窒素89.85体積%)、ガスD(二酸化炭素30.00体積%、硫化水素0.15体積%、窒素69.85体積%)又はガスE(二酸化炭素50.00体積%、硫化水素0.15体積%、窒素49.85体積%)を用い、充填塔入口の吸収液のナトリウムイオン濃度を0.1モル/L、0.5モル/L、1.0モル/L、2.5モル/L、3.5モル/L又は5.0モル/Lに調整して、実施例1と同じ操作を行い、定常状態に達したときの充填塔から流出する吸収液のpHを測定した。
試験用混合ガスの二酸化炭素濃度及びナトリウムイオン濃度と吸収液のpHの関係を、第3表に示す。
Figure 0004862314
第3表に見られるように、二酸化炭素濃度が高い場合は、ナトリウムイオン濃度が3.5モル/Lを超えると、析出物が発生するために、ナトリウムイオン濃度には上限がある。一般的に、工場において二酸化炭素濃度が大幅に変動することはないので、平均的な二酸化炭素濃度に合わせて、ナトリウムイオン濃度を決定することができる。
本発明の硫化水素含有ガスの脱硫方法及び脱硫装置によれば、高濃度の二酸化炭素を含む硫化水素含有ガスをアルカリ性吸収液を用いて処理して、二酸化炭素によるアルカリの消費にもとづく吸収液のpHの低下が少なく、効果的に硫化水素を高い除去率で除去することができる。
本発明方法の一態様の工程系統図である。
符号の説明
1 充填塔
2 液分散器
3 送液管
4 好気性生物処理槽
5 好気性酸化部
6 固液分離部
7 散気管
8 ポンプ
9 返送液管

Claims (4)

  1. 硫化水素と二酸化炭素とを含むガスを、中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度を示すMアルカリ度(中和に要するpH4.8酸消費量で測定する)0.5〜2.5モル/Lであるアルカリ性吸収液と接触させて、硫化水素を該吸収液に移行させたのち、該吸収液を硫黄酸化細菌を用いた好気性生物処理槽に供給し、該好気性生物処理槽から流出する処理液を前記アルカリ性吸収液として循環使用することを特徴とする硫化水素含有ガスの脱硫方法。
    注;Mアルカリ度は、中性塩由来のアルカリ金属イオンを除いたアルカリ金属イオン濃度を、簡易的にpH4.8酸消費量で測定して得られる数値。
  2. アルカリ金属イオンがナトリウムイオン又はカリウムイオンであり、アルカリ金属イオンが水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩として供給される請求項1記載の硫化水素含有ガスの脱硫方法。
  3. 硫化水素と二酸化炭素とを含むガスをアルカリ性吸収液と接触させる気液接触装置、硫化水素が移行した該吸収液を硫黄酸化細菌により処理する好気性生物処理槽及び処理された吸収液を気液接触装置に送液する送液路を有することを特徴とする請求項1記載の硫化水素含有ガスの脱硫方法に用いる硫化水素含有ガスの脱硫装置。
  4. 硫化水素と二酸化炭素とを含むガスをアルカリ性吸収液と接触させる気液接触装置、硫化水素が移行した該吸収液を硫黄酸化細菌により処理する好気性生物処理槽、処理された吸収液を固液分離する固液分離部及び固液分離された液を気液接触装置に送液する送液路を有することを特徴とする請求項1記載の硫化水素含有ガスの脱硫方法に用いる硫化水素含有ガスの脱硫装置。
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