JPH0847696A - 嫌気性生物反応ガスの脱硫装置 - Google Patents

嫌気性生物反応ガスの脱硫装置

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JPH0847696A
JPH0847696A JP18377494A JP18377494A JPH0847696A JP H0847696 A JPH0847696 A JP H0847696A JP 18377494 A JP18377494 A JP 18377494A JP 18377494 A JP18377494 A JP 18377494A JP H0847696 A JPH0847696 A JP H0847696A
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gas
hydrogen sulfide
anaerobic
aerobic
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JP18377494A
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Sosuke Nishimura
総介 西村
Motoyuki Yoda
元之 依田
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Kurita Water Industries Ltd
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 嫌気性生物反応ガスを生物脱硫法により脱硫
する装置であって、目標硫化水素濃度まで脱硫した処理
ガスが自動的かつ安定的に得られ、しかも洗浄液の使用
量を必要最小限に制御できる脱硫装置を得る。 【構成】 好気性酸化装置2内の混合液を洗浄液として
嫌気性生物反応ガスと接触させ、ガス中のH2Sを洗浄
液に吸収させる吸収装置3と、洗浄液を酸化する酸化装
置2と、洗浄液を吸収装置に供給する送液装置4と、処
理ガス中のH2S濃度を測定するH2S濃度測定装置5
と、この装置5の測定結果に基づいて処理ガス中のH2
S濃度が所定値となるように洗浄液量を制御する制御装
置6とを備えた脱硫装置であって、嫌気性処理装置1で
発生するガスを吸収装置に導入し、洗浄液と接触させて
2Sを吸収させ、処理ガスのH2S濃度を装置5により
測定し、この値が所定値になるように制御装置によりポ
ンプ4による洗浄液の流量を調節して脱硫する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は下水、し尿、産業排水、
汚泥、ゴミ等の有機性物質の嫌気性生物反応により発生
する嫌気性生物反応ガスから、生物脱硫法により硫化水
素その他のイオウ化合物を除去するための脱硫装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】下水、し尿、産業排水等の排水、または
汚泥、ゴミ等の固形廃棄物などの有機性物質の処理法と
して、嫌気性処理法がある。この方法は有機性物質を嫌
気性状態に維持することにより、嫌気性微生物の作用に
よって酸発酵およびメタン発酵等の嫌気性生物反応を行
わせて有機物を分解する方法であり、これにより嫌気性
生物反応ガス(以下、嫌気性ガスという)が発生する。
この嫌気性ガス中には、メタン、二酸化炭素、硫化水素
その他のイオウ化合物などのガスが含まれている。
【0003】このような嫌気性ガスは、通常エネルギー
回収の目的で、ボイラーまたは焼却炉の燃料などとして
有効利用される場合が多いが、焼却装置の腐食防止およ
び大気汚染防止の観点から、燃焼に利用する前に硫化水
素その他のイオウ化合物の除去(脱硫)が行われる。嫌
気性ガス中には、通常0.05〜2容積%程度の硫化水
素その他のイオウ化合物が含まれているが、この濃度は
メタン発酵処理を受ける排水または廃棄物中の硫酸イオ
ン濃度により変わる。
【0004】従来、嫌気性ガスの脱硫方法として、嫌気
性ガスを好気性酸化装置の混合液または処理液と、吸収
装置において気液接触させて嫌気性ガス中の硫化水素そ
の他の成分を吸収させ、吸収液を好気性酸化装置で好気
性酸化して、硫化水素を酸化し、脱硫する生物脱硫法が
提案されている(特開平5−68849号)。上記の吸
収装置では、それぞれ一定流量の洗浄液および嫌気性ガ
スを供給して気液接触させ、硫化水素その他の成分を洗
浄液に吸収させている。
【0005】しかしながら、嫌気性ガス中の硫化水素そ
の他のイオウ化合物濃度の変動等により、イオウ化合物
の負荷が変動すると、処理ガスの硫化水素その他のイオ
ウ化合物の濃度が変動し、安定した処理を行うことがで
きない。また常に一定濃度以下の処理ガスを得るため
に、大量の洗浄液を供給すると、送液コストに無駄が生
じるなどの問題点がある。洗浄液の流量を決定する方法
として、吸収装置に導入する嫌気性ガスの量に比例して
洗浄液の流量を決定する方法も考えられるが、このよう
な方法では嫌気性ガス中の硫化水素濃度の変動に対応で
きない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、嫌気
性ガスのイオウ化合物負荷が変動する場合でも、目的と
する硫化水素濃度まで脱硫された処理ガスが自動的かつ
安定的に得られ、しかも洗浄液の流量を必要最小限にし
て送液コストを低くすることが可能な生物脱硫法による
嫌気性ガスの脱硫装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、嫌気性生物反
応ガスを好気性酸化装置における混合液または処理液か
らなる洗浄液と接触させて、ガス中のイオウ化合物を洗
浄液に吸収させる吸収装置と、イオウ化合物を吸収した
洗浄液を好気性酸化する好気性酸化装置と、この好気性
酸化装置から混合液または処理液を洗浄液として前記吸
収装置に供給する送液装置と、前記吸収装置で処理され
た処理ガス中の硫化水素濃度を測定する硫化水素濃度測
定装置と、この測定装置の測定結果に基づいて、処理ガ
ス中の硫化水素濃度が所定値となるように、前記送液装
置の送液量を制御する制御装置とを備えていることを特
徴とする嫌気性生物反応ガスの脱硫装置である。
【0008】本発明の処理の対象となる嫌気性ガスは、
例えば下水、し尿、産業排水等の排水および汚泥、ゴミ
等の固形廃棄物などの有機性物質の嫌気性処理装置、そ
の他の嫌気性消化施設において発生する嫌気性生物反応
ガスである。このような嫌気性ガス中には、通常メタン
ガス、二酸化炭素のほか、硫化水素、硫化メチル、二硫
化メチル、メチルメルカプタンなどのイオウ化合物のガ
スが含まれている。上記の嫌気性ガスは有機性物質の嫌
気性処理におけるメタン発酵により発生するのが一般的
であるが、ゴミ埋立地など、嫌気性処理装置以外の嫌気
性消化施設における嫌気性生物反応により発生する場合
もある。嫌気性生物反応は、被処理物である有機性物質
を嫌気状態に保つことにより、嫌気性微生物の作用を利
用して分解する処理であり、固形物を含む有機性物質を
長時間滞留させて酸発酵およびメタン発酵を行う嫌気性
消化のほか、充填層型、流動層型、スラッジブランケッ
ト型等の溶解性BODを対象とする高負荷嫌気性処理な
ど、任意の嫌気性生物反応装置により行うことができ
る。
【0009】好気性酸化装置は、被処理物である還元性
イオウ化合物および/または有機性物質を好気状態に保
ち、好気性微生物の作用を利用して酸化分解する処理装
置であり、活性汚泥法、散布濾床法、浸漬型の固定床
法、流動床法、回転円板法など、任意の好気性酸化装置
を用いることができる。好気性酸化を行う有機性物質と
しては、嫌気性生物反応の処理液である場合が多いが、
嫌気性生物反応の被処理物と同じ有機性物質でもよく、
あるいは他の有機性物質でもよい。
【0010】これらの場合、嫌気性生物反応施設の処理
液を好気性酸化装置に導入して好気性酸化を行い、その
混合液または処理液を洗浄液として吸収装置に送液し、
前記嫌気性生物反応施設から供給される嫌気性ガスと接
触させるのが一般的であるが、嫌気性生物反応の対象と
好気性酸化の対象が異なる場合もある。また嫌気性処理
液をそのまま下水道等に放流する系においては、本発明
の脱硫を行うために、脱硫のための酸化工程専用の好気
性酸化装置を設けることもできる。この場合、好気性酸
化装置内液に硫酸イオンが蓄積されるのを防ぐ目的で、
必要量の嫌気性処理液、工業用水等を供給することがで
きる。
【0011】吸収装置としては、嫌気性ガスと洗浄液を
効率よく気液接触させるものであればよく、曝気槽、充
填塔、スプレー塔、スクラバー、多段トレイ塔など、任
意の形式のものが使用可能である。吸収装置への嫌気性
ガスの通ガス条件は、通常空間速度(SV)が5〜10
0hr-1、好ましくは30〜60hr-1、洗浄液の通液
条件は、通常滞留時間(HRT)が1〜20分間、好ま
しくは1.5〜3分間が望ましい。
【0012】洗浄液として用いる好気性酸化における混
合液は、好気性酸化を行っている途中の被処理液が、好
気性微生物を含む汚泥(活性汚泥)と混合した状態の混
合液であり、処理液は好気性酸化を終って汚泥を分離し
た処理液である。洗浄液としては、混合液を用いる方が
硫化水素の吸収効率は高く、脱硫率が高くなる。これは
汚泥による吸着、または好気性微生物による摂取による
ものと推測されるが、明らかではない。もっとも気液接
触効率の高い吸収装置を用いれば、処理液による吸収効
率も高くなり、脱硫率も高くなる。
【0013】送液装置は好気性酸化装置から混合液また
は処理液を吸収装置に供給する装置であり、ポンプなど
任意の送液手段を用いることができるが、送液量を増減
できるものが使用される。送液量の増減はポンプの回転
数等を変化させるもの、弁の開度等を変化させるものな
ど、任意の方式のものが使用できる。硫化水素濃度測定
装置は、吸収装置で処理された処理ガス中の硫化水素濃
度を測定する装置であり、定電位電解型センサ方式など
任意のものを使用できる。
【0014】制御装置は、硫化水素濃度測定装置の測定
値に基づき、処理ガス中の硫化水素濃度が所定値になる
ように、送液装置の送液量を増減させて制御するように
構成する。このような制御装置としてはマイクロコンピ
ュータなど任意の制御手段を用いることができるが、設
定値に基づきフィードバック制御を行えるものが好まし
い。処理ガス中の硫化水素濃度の設定値は後段のプロセ
ス、例えば処理ガスをボイラ燃焼させる際の腐食防止の
観点、希釈大気放散する際の濃度、高度処理などに応じ
て決定することができる。例えば、ボイラの腐食防止の
点からは、約100ppmを設定値として採用すること
ができる。処理ガス中の硫化水素濃度が設定値の上限値
を超え、または上限値に近づいたときは送液量を増加さ
せ、一方所定値より小さいとき、または下限値に近づい
たときは送液量を減少させ、処理ガス中の硫化水素濃度
が常に所定値になるようにフィードバック制御を行う。
【0015】
【作用】本発明の嫌気性ガスの脱硫装置では、送液装置
により好気性酸化装置の混合液または処理液を洗浄液と
して吸収装置に供給して、洗浄液と嫌気性ガスとを気液
接触させることにより、嫌気性ガス中の硫化水素その他
のイオウ化合物は洗浄液に吸収される。このとき吸収装
置から流出する処理ガス中の硫化水素濃度を測定し、そ
の測定結果に基づいて制御装置により送液装置の送液量
を制御することにより、処理ガス中の硫化水素濃度が所
定値に維持される。
【0016】このような脱硫方法においては、嫌気性ガ
ス中の硫化水素その他のイオウ化合物はヘンリーの法則
に従って洗浄液中へ移動するため、洗浄液中の溶存硫化
水素濃度が低いほど移動速度が上昇し、硫化水素の除去
効率は高くなる。従って、一定の硫化水素ガス負荷量に
対して洗浄液の供給量が増加すると、硫化水素の除去効
率は高くなる。これは次のような理由によるものと考え
られる。 1)液流量の増加によって、溶存硫化水素として吸収装
置の外に排出される硫化水素量が増加する。 2)イオウ酸化細菌を含む汚泥の供給量の上昇によっ
て、生物反応で吸着される硫化水素量が増加する。 3)多段トレイ塔を用いた場合、吸収装置内の水理学的
抵抗の上昇によって吸収装置内の湛水容積が増加し、実
質上のガス吸収装置の容積が増加する。 4)ガスの吸収装置通過抵抗の上昇によって吸収装置内
のガス圧力が上昇し、ガスの液相への移動が促進され
る。
【0017】このように、洗浄液の供給量を増加するこ
とにより、硫化水素の洗浄液への移動量が上昇し、一定
の硫化水素負荷量に対して硫化水素濃度がより低濃度の
処理ガスを得ることができる。本発明では負荷が変動す
る嫌気性ガスに対して、処理ガスの硫化水素濃度測定結
果に基づいて、洗浄液の送液量を制御することにより、
必要最小限の洗浄液量により、処理ガス中の硫化水素濃
度を安定して所定濃度に保つことができる。
【0018】本発明の脱硫装置では、吸収装置において
硫化水素その他のイオウ化合物が除去された処理ガス
は、硫化水素濃度測定装置により硫化水素濃度が測定さ
れ、この測定値が設定値を超え、または設定値の上限に
近づいたときは、制御装置により好気性酸化装置から吸
収装置に供給される洗浄液の送液量が増大し、処理ガス
中の硫化水素濃度の上昇が抑制される。一方、硫化水素
濃度が設定値より小さいとき、または設定値の下限に近
づいたときは洗浄液の送液量が減少し、送液にかかる動
力コストを最小限に抑制する。このように洗浄液の送液
量が制御され、必要最小限の洗浄液により脱硫が行われ
る。
【0019】吸収装置において気液接触することによ
り、嫌気性ガス中の二酸化炭素その他の不純物も洗浄液
に吸収され、メタン濃度の高い処理ガスが得られる。好
気性酸化装置の混合液を洗浄液とする場合は、硫化水素
が混合液に吸収されたとき、汚泥による吸着、または微
生物による摂取が生じる。洗浄液のpHが高いほど硫化
水素の吸収効率が高いが、一般的にはpH7〜9とする
のが好ましい。
【0020】吸収装置において硫化水素その他のイオウ
化合物を吸収した洗浄液は、好気性酸化装置に導入して
好気性酸化を行い、好気性微生物の作用により硫化水素
その他のイオウ化合物を酸化する。このとき吸収装置で
吸収された他の不純物も処理される。例えば二酸化炭素
はストリッピングされ、有機物は分解される。好気性酸
化装置における好気性汚泥中には、有機物を好気的に分
解する細菌の他に、チオバチルス属、チオスリックス属
およびベギアトア属などのイオウ化合物酸化細菌が含ま
れているため、その酸化作用により硫化水素その他のイ
オウ化合物は硫酸イオンまたは元素状イオウに酸化され
無害化する。
【0021】硫化水素の酸化により、硫酸イオンが生成
するため、混合液または処理液のpHが低下する。硫化
水素その他のイオウ化合物の量が多い場合は生成する硫
酸イオンの量も多くなるので、硫酸イオンの生成によっ
てpHが7より低くなる場合は、水酸化ナトリウム等の
アルカリを添加してpHを7〜9に維持するのが好まし
い。
【0022】好気性酸化により有機物を分解するととも
に、硫化水素その他のイオウ化合物を酸化した混合液
は、固液分離により固形物を除去し、分離液を処理液と
して放流する。分離した汚泥は必要量を好気性酸化装置
に返送し、余剰汚泥は系外に排出する。この混合液また
は処理液の一部は洗浄液として使用される。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。図1
は実施例による嫌気性ガスの脱硫装置を示す系統図であ
る。図において、1は嫌気性処理装置、2は好気性酸化
装置、3は吸収装置、4は送液装置としてのポンプ、5
は硫化水素濃度測定装置、6は制御装置である。
【0024】嫌気性処理装置1は密閉型の槽からなり、
スラッジブランケット、流動床等の嫌気性微生物を含む
嫌気性バイオマス10が形成されている。嫌気性処理装
置1の下部には被処理物導入路11が連絡し、上部から
嫌気性処理液移送路12がポンプ13を介して好気性酸
化装置2に連絡し、頂部からガス供給路14が吸収装置
3の下部に連絡している。
【0025】好気性酸化装置2は、好気性酸化部15と
固液分離部16とからなる。好気性酸化部15の上部に
は、嫌気性処理液移送路12および返送液路17が連絡
し、下部には散気管18が設けられ、これに給気路19
が連絡している。固液分離部16には処理液排出路20
が連絡している。
【0026】吸収装置3の下部にはガス供給路14およ
び返送液路17が連絡し、上部にはガス移送路21およ
び洗浄液路22が連絡している。内部には多孔板式のト
レイ23が多段に設けられており、上部に供給された洗
浄液が、トレイ23の多孔板の開口部を上昇するガスに
よって飛散させられて気液接触が行われ、洗浄液は液降
下路24を通って順次下段に流下して気液接触を繰り返
すように構成されている。硫化水素濃度測定装置5には
ガス移送路21および処理ガス排出路25が連絡してい
る。
【0027】上記の嫌気性ガスの脱硫装置による脱硫方
法は次の通りである。まず嫌気性処理装置1に被処理物
導入路11から、下水、し尿、排水等の有機性物質から
なる被処理物を導入して、上向流で嫌気性バイオマス1
0と嫌気状態で接触させると、嫌気性微生物の作用によ
り酸発酵およびメタン発酵等の嫌気性生物反応が行わ
れ、有機物が分解する。この嫌気性処理により発生する
嫌気性ガスをガス供給路14から吸収装置3に供給し、
嫌気性処理液を嫌気性処理液移送路12からポンプ13
により好気性酸化装置2に移送する。
【0028】好気性酸化装置2では、嫌気性処理液移送
路12から流入する被処理液を好気性酸化部15におい
て活性汚泥と混合し、給気路19から空気等の酸素含有
ガスを供給して、散気管18から散気し、好気性酸化を
行う。この好気性酸化において、活性汚泥に含まれる好
気性微生物の作用により有機物が分解される。そして好
気性酸化部15内の混合液の一部は固液分離部16に入
って固液分離され、分離液は処理液として処理液排出路
20から排出される。分離した活性汚泥の一部は好気性
酸化部15に返送され、余剰汚泥は系外へ排出される。
【0029】嫌気性ガスの脱硫は、まず好気性酸化装置
2の好気性酸化部15から混合液の一部を洗浄液として
抜き出し、ポンプ4により洗浄液路22を通して吸収装
置3の上部に送液する。一方、ガス供給路14から供給
される嫌気性ガスを吸収装置3の下部に導入して気液接
触を行い、嫌気性ガス中の硫化水素その他のイオウ化合
物、二酸化炭素、その他の水溶性成分を洗浄液に吸収さ
せる。吸収装置3においては、上段に供給された洗浄液
が、トレイ23の多孔板の開口部を通って上昇するガス
により飛散させられて気液接触し、トレイ23上の洗浄
液の一部は液降下路24を通って順次下段に流下して気
液接触を繰り返し、吸収が行われる。
【0030】このようにして硫化水素などを除去した処
理ガスは、ガス移送路21を介して処理ガス排出路25
から系外へ排出する。この間硫化水素濃度測定装置5に
より処理ガス中の硫化水素濃度を連続的に測定し、測定
濃度を制御装置6に入力する。この測定結果に応じて制
御装置6から制御信号をポンプ4に出力し、処理ガス中
の硫化水素濃度が所定値になるように洗浄液の送液量を
調節する。この場合、測定値が設定値を超え、または設
定値の上限に近づいたとき、あるいは設定値より低くな
り、または設定値の下限に近づいたときは、その偏差値
に応じて予め設定された関係式に従って送液量の増減量
を演算して送液量を制御する。
【0031】このように、処理ガス中の硫化水素濃度に
応じて洗浄液の流量を調節することにより、嫌気性ガス
中の硫化水素濃度や嫌気性ガスの吸収装置3への導入量
が変動しても、必要最小限の洗浄液で目的とする硫化水
素濃度まで脱硫した処理ガスが自動的かつ安定的に得ら
れる。
【0032】吸収装置3において硫化水素その他のイオ
ウ化合物、二酸化炭素等を吸収した洗浄液は、返送液路
17を通して好気性酸化装置2に返送される。好気性酸
化装置2に返送された洗浄液は、好気性酸化部15にお
いて活性汚泥と混合され、好気性酸化を受ける。そして
好気性微生物の作用により、洗浄液中の硫化水素その他
の被酸化性物質は微生物酸化され、無害化する。二酸化
炭素は散気によりストリッピングされ、除去される。硫
化水素の酸化により硫酸イオンが生成し、pHが下がり
すぎるときは、好気性酸化部15にアルカリを注入し、
pHを調整する。上記の脱硫のための酸化工程は、有機
物除去のための好気性酸化と同時に行われ、無害化した
処理液は処理液排出路20からそのまま放流することが
できる。
【0033】なお、上記実施例では、嫌気性処理装置1
の嫌気性ガスを吸収装置3で吸収し、嫌気性処理液を、
好気性酸化装置2において好気性酸化しているが、嫌気
性処理装置の嫌気性ガスに代えてゴミ処分地、堆肥化施
設等から発生する嫌気性ガスを脱硫することもでき、こ
れらの場合は、好気性酸化装置に必ずしも有機性廃水を
供給する必要はなく、洗浄液に含まれる還元性イオウ化
合物および溶存炭酸ガスをそれぞれエネルギー源、炭素
源とする独立栄養細菌(イオウ酸化細菌)を主体とする
微生物群によって酸化処理が行われる。ただし、この場
合でも、好気性酸化装置内液の硫酸イオンの蓄積を防止
する目的で、必要量の水の供給および処理水の引き抜き
を行うことができる。
【0034】図1の脱硫装置においては、吸収装置3と
して多段トレイ塔を用いているため、目詰まりを生じる
ことなく低動力かつ高気液接触効率で吸収を行うことが
できるが、曝気槽、充填塔、スプレー塔、スクラバーな
どを用いて吸収を行ってもよい。
【0035】次に試験例について説明する。 試験例1 図1の脱硫装置により、ただし洗浄液の流量は自動制御
せず一定量を送液して、UASB式嫌気性処理装置から
発生する嫌気性ガスを次の条件で脱硫した。結果を図2
に示す。 嫌気性ガスの組成: メタン;75容積% 二酸化炭素;25容積% 硫化水素;1400ppm 嫌気性ガス流量:6.0m3/hr 洗浄液流量:1.8〜3.0m3/hr(固定) 硫化水素負荷量(嫌気性ガス流量に硫化水素濃度を乗じ
たもの):8.4 liter−H2S/hr
【0036】図2からわかるように、洗浄液流量を増加
するに従って処理ガス中の硫化水素濃度はほぼ直線的に
減少した。目的の硫化水素濃度を100ppmに設定す
る場合、洗浄液流量は2.4m3/hrであり、この量
より少なくなると処理ガス中の硫化水素濃度は高くな
り、また多くなると硫化水素濃度は必要以上に低くな
り、無駄が生じることがわかる。
【0037】試験例2 図1の脱硫装置により、処理ガス中の硫化水素濃度が1
00ppmを維持するように洗浄液流量を自動的に制御
して、自動運転を行った。硫化水素濃度測定装置5とし
ては、硫化水素自動モニター装置(クリファコスA−1
04、栗田工業(株)製、商標)を用いた。この装置の
センサは定電位電解型センサである。嫌気性ガスの組成
は試験例1とほぼ同様であるが、硫化水素負荷量は4.
1〜13.0 liter−H2S/hrの範囲で変動した。
原ガス負荷量(嫌気性ガス流量に硫化水素濃度を乗じた
もの)に対する洗浄液流量を図3、処理ガス中の硫化水
素濃度を図4に示す。
【0038】図3および図4の結果から、処理ガスの硫
化水素濃度に応じて洗浄液の送液量を制御することによ
り、必要最小限の送液量で、安定して処理ガスの硫化水
素濃度を所定値に維持できることがわかる。
【0039】
【発明の効果】本発明の脱硫装置は、硫化水素濃度測定
装置、およびこの測定装置の測定結果に基づいて処理ガ
ス中の硫化水素濃度が所定値となるように、送液装置の
送液量を制御する制御装置を備えているので、目的とす
る硫化水素濃度まで脱硫した処理ガスが自動的かつ安定
的に得られ、しかも洗浄液の流量を必要最小限に制御し
て送液コストを最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の嫌気性ガスの脱硫装置を示す系統図で
ある。
【図2】試験例1の結果を示すグラフである。
【図3】試験例2の結果を示すグラフである。
【図4】試験例2の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 嫌気性処理装置 2 好気性酸化装置 3 吸収装置 4、13 ポンプ 5 硫化水素濃度測定装置 6 制御装置 10 嫌気性バイオマス 11 被処理物導入路 12 嫌気性処理液移送路 14 ガス供給路 15 好気性酸化部 16 固液分離部 17 返送液路 18 散気管 19 給気路 20 処理液排出路 21 ガス移送路 22 洗浄液路 23 トレイ 24 液降下路 25 処理ガス排出路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/52

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 嫌気性生物反応ガスを好気性酸化装置に
    おける混合液または処理液からなる洗浄液と接触させ
    て、ガス中のイオウ化合物を洗浄液に吸収させる吸収装
    置と、 イオウ化合物を吸収した洗浄液を好気性酸化する好気性
    酸化装置と、 この好気性酸化装置から混合液または処理液を洗浄液と
    して前記吸収装置に供給する送液装置と、 前記吸収装置で処理された処理ガス中の硫化水素濃度を
    測定する硫化水素濃度測定装置と、 この測定装置の測定結果に基づいて、処理ガス中の硫化
    水素濃度が所定値となるように、前記送液装置の送液量
    を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする嫌
    気性生物反応ガスの脱硫装置。
JP18377494A 1994-08-04 1994-08-04 嫌気性生物反応ガスの脱硫装置 Pending JPH0847696A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100415917B1 (ko) * 2001-11-14 2004-01-24 주식회사 포스코 황화수소 포집탑내 익스펜드 메탈 패킹 세정방법
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