JP2004002509A - 発酵ガスの脱硫方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫化反応剤の交換や再生頻度が少なく、pHの調整を必要としない発酵ガスの脱硫方法及び装置を提供する。
【解決手段】有機性の原料12をメタン発酵させる発酵槽10と、この発酵槽10で生成された硫化水素を含む発酵ガス14を硫黄細菌の固定化担体24と嫌気条件下の液相中で接触させた後に硫化反応剤である酸化鉄ペレットの充填床37に通過させるようにした脱硫器20と、発酵槽10からの流出液19を好気条件下で生物処理する生物処理設備40とを備え、生物処理設備40での処理液を管路46から脱硫器20の液相に供給した後に、管路47を介して生物処理設備の入口側に戻すようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】有機性の原料12をメタン発酵させる発酵槽10と、この発酵槽10で生成された硫化水素を含む発酵ガス14を硫黄細菌の固定化担体24と嫌気条件下の液相中で接触させた後に硫化反応剤である酸化鉄ペレットの充填床37に通過させるようにした脱硫器20と、発酵槽10からの流出液19を好気条件下で生物処理する生物処理設備40とを備え、生物処理設備40での処理液を管路46から脱硫器20の液相に供給した後に、管路47を介して生物処理設備の入口側に戻すようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発酵ガスの脱硫方法及び装置に係り、特に硫化水素を含む発酵ガスから硫化水素を除去するための発酵ガスの脱硫方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機性物質を含む廃水や廃棄物をメタン発酵処理すると、発酵ガスが発生する。発酵ガスは一般に燃料として有効利用される。発酵ガスにはメタンのほかに二酸化炭素や硫化水素が含まれており、硫化水素は腐食性が強いので発酵ガスをそのまま燃料として用いると燃焼装置を損傷させるとともに、大気汚染の原因ともなる。このため、燃料として用いる前に発酵ガスから硫化水素を除去する必要がある。発酵ガスから硫化水素を除去する方法としては、硫化水素を酸化鉄などの硫化反応剤と反応させ硫化物として除去する方法や、液相中で好気性微生物を用いて硫化水素を酸化分解する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、硫化反応剤を用いる方法は硫化反応が飽和に達すると硫化反応剤を交換又は再生しなければならず、多大な手数と費用を必要とする。また、好気性微生物による方法は生成した硫酸によって液相が酸性になると脱硫性能が低下するという問題がある。このため、pHが常時適性となるように監視、調整する必要がある。
本発明の目的は上記従来技術の問題点を改善し、硫化反応剤の交換や再生頻度が少なく、pHの調整を必要としない発酵ガスの脱硫方法及び装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る発酵ガスの脱硫方法は、硫化水素を含む発酵ガスから硫化水素を除去する脱硫方法であって、硫黄細菌の固定化担体を流動させた液相中に前記発酵ガスを導入し、前記担体と前記発酵ガスを嫌気条件下で接触させる第1工程と、この第1工程を経た発酵ガスを硫化反応剤の充填床に通過させる第2工程とを含むことを特徴とする。
【0005】
また、本発明に係る発酵ガスの脱硫方法は、前記第1工程を経た発酵ガスの一部を第1工程に循環させ、この時の発酵ガスの循環エネルギによって前記担体を液相中で流動させることを特徴とする
【0006】
また、本発明に係る発酵ガスの脱硫装置は、有機物含有液をメタン発酵させる発酵槽と、この発酵槽で生成された硫化水素を含む発酵ガスを硫黄細菌の固定化担体と嫌気条件下の液相中で接触させた後に硫化反応剤の充填床に通過させるようにした脱硫器と、前記発酵槽からの流出液を好気条件下で生物処理する生物処理設備と、この生物処理設備での処理液を前記脱硫器の液相に供給した後に、生物処理設備の入口側に戻すようにした液循環手段とを具備したことを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において嫌気条件とは分子状の酸素が存在しないか、又は存在しても非常に少ない状態を意味する。また、好気条件とは微生物が酸素呼吸をするために必要な酸素が十分に存在する状態を意味する。
本発明によれば、第1工程では硫酸を生成することなく硫化水素を元素状の硫黄にすることができ、pHの調整を必要とせずに発酵ガス中の硫化水素の大部分を除去することができる。また、第2工程では発酵ガスに残存する硫化水素を硫化反応によって除去し、発酵ガスを精製する。この際、第1工程では除去しきれなかった微量の硫化水素のみを硫化反応の対象とするので硫化反応剤の交換又は再生頻度を少なくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態を示す装置系統図である。本装置は主に発酵槽10、脱硫器20、生物処理設備40及びガスタンク50によって構成される。有機性物質を含む廃水や廃棄物などの原料12が発酵槽10に投入される。発酵槽10では嫌気的な環境下で原料12を所定日数、滞留させ、原料12中の有機性物質をメタン発酵菌などの微生物によって生物学的に分解する。このようなメタン発酵処理によって生成した発酵ガス14は脱硫器20に導入され、発酵ガス14中に含まれる硫化水素が除去される。精製後の発酵ガス22はガスタンク50に一旦,貯留された後、燃料52として利用される。一方、発酵槽10で処理を受けた消化液16を脱水機17で夾雑物18と流出液19とに分離した後、流出液19は生物処理設備40に導入する。生物処理設備40の曝気槽41では流入した流出液19に対してブロワ42から空気を吹き込み、流出液19を好気条件下で活性汚泥処理する。次段の沈殿槽43では活性汚泥44を沈殿分離し、上澄みは処理水45として装置外へ排出される。処理水45の一部は管路46から脱硫器20の下部に供給され、脱硫器20をオーバーフローした処理水は管路47から生物処理設備40の入口側に戻され、循環処理される。
【0009】
図2は本実施形態に係る脱硫器20の詳細構造を示す断面図である。脱硫器20は下部の生物反応部22と上部の硫化反応部34とからなる。生物反応部22には管路46から流入した生物処理設備40の処理水が張り込まれており、この処理水の液相中に硫黄細菌の固定化担体24が一定量、保持されている。固定化担体24は硫黄細菌を含む活性汚泥を高分子ゲル内に包括固定化したものであり、約3mm角の粒状体である。なお、固定化担体24としては上記の包括固定化担体に限らず、粒体の表面に硫黄細菌を付着させたものでもよい。生物反応部22の中央には内筒26が設けられ、この内筒26の下部に発酵槽10からの発酵ガス22を導入する管路28及び発酵ガスを循環させる管路30のガス吹出口が接続されている。管路30には生物反応部22の上方から抜き出した発酵ガスを循環させる循環ブロワ31が設けられている。また、生物反応部22の下部には処理水の排出路32が接続され、この排出路32をオーバーフローした処理水が管路47から生物処理設備40の入口側に戻される。
【0010】
硫化反応部34は、多孔板35と、この多孔板35上に硫化反応剤である酸化鉄ペレット36が充填された充填床37とからなる。硫化反応部34の上方には発酵ガスをガスタンク50に導くための管路38が接続している。
【0011】
上記の構成において、発酵槽10からの発酵ガス22は管路28から生物反応部22の内筒26に吹き出され、また、管路30を循環する発酵ガスも内筒26に吹き出される。これらの発酵ガス気泡の上昇力によって、内筒26に処理水の上昇流が生じると同時に内筒26の外側には下降流が生じる。この処理水の内筒26を中心とした循環流に伴って硫黄細菌の固定化担体24も液相中で流動する。内筒26内では発酵ガスと処理水と固定化担体24とが激しく混合する過程で、発酵ガス中の硫化水素が固定化担体24に保持された硫黄細菌と接触し、硫黄細菌によって除去される。硫黄細菌は酸化性の細菌であり、酸素が豊富な好気条件では硫化水素を完全に酸化して硫酸を生成する。しかしながら、生物反応部22では酸素が制限された嫌気性の環境であるため、硫黄細菌による硫化水素の酸化は広義な意味の酸化にとどまり、硫化水素が硫黄単体に転換される反応となる。反応生成物である硫黄単体は硫酸とは異なり、液相のpHを酸性に移行させないので、硫黄細菌の活性は永続する。むしろ常時供給される硫化水素を栄養源として硫黄細菌が増殖し、固定化担体24中の硫黄細菌の菌数が運転を継続するに従って増加し、硫化水素の除去性能が向上する。
【0012】
なお、発酵ガスが内筒26内を気泡として上昇する1スルーで含まれる硫化水素のすべてが除去されることはない。本実施の形態では管路28から流入する新規な発酵ガス14に対して、管路30を介して循環させる発酵ガスの量を例えば10倍以上に設定する。このように循環させる発酵ガス量を多くすることによって、新規な発酵ガスは繰り返し内筒26内を通過することになり、その間に徐々に硫化水素の大部分が除去される。また、発酵ガスの循環量を多くすることは、循環エネルギを増大させ、固定化担体24の流動を活発化し反応効率を向上させる。上記の実施の形態では生物反応部22として内筒26を備えた構造を説明した。しかし、本発明はこれに限定させず、例えば循環する発酵ガスを生物反応部22の底面から全面曝気して、固定化担体24を流動させる構造でもよい。
【0013】
前記反応生成物である硫黄単体は、管路46から連続的又は間欠的に流入し、管路47から排出される処理水に伴って、生物処理設備40の入口側に送られる。このため、生物反応部22内に硫黄単体が蓄積することはない。生物処理設備40に流入した硫黄単体は、好気条件下の活性汚泥処理によってその少なくとも一部が硫酸になるが、処理水のpHを酸性側に低下させる程ではない。なお、上記の実施例では生物反応部22に供給する液として、生物処理設備40での処理水45の一部を用いたが、本発明はこれに限らず、曝気槽41からの浮遊汚泥を含む液を直接に生物反応部22に供給するようにしてもよい。この場合には浮遊汚泥に含まれる硫黄細菌も硫化水素の酸化分解に寄与するので、生物反応部22での硫化水素の除去効果が向上する利点がある。ただし、曝気槽41からの液は溶存酸素が飽和しており、硫化水素の酸化によって硫酸が生成し易くなり液相のpHが多少酸性側に傾く懸念があるので、利害が相半ばする。
【0014】
生物反応部22で大部分の硫化水素が除去された発酵ガスは、脱硫器20上部の硫化反応部34に送られる。この硫化反応部34では発酵ガスが酸化鉄ペレット36の充填床37を通過する過程で、残存する硫化水素が酸化鉄ペレット36と反応し、硫黄成分が硫化鉄として除去される。したがって、この硫化反応部34を通過した発酵ガスは硫化水素をほとんど含まず、燃料として良質である。なお、本実施の形態では硫化反応部34が酸化鉄ペレット36の充填床37である場合を説明したが、充填床37に充填する硫化反応剤としては酸化鉄に限らず、他の金属酸化物や純鉄などを用いてもよい。また、ペレット状のものに限らず、硫化反応剤の粉末を押し固めてハニカム状や繊維状に成形したものを用いてもよい。また、硫化反応部34を生物反応部22と一体化して1つの脱硫器20内に併設させる必要はなく、生物反応部と硫化反応部を配管で連結してもよい。この場合、硫化反応部を2基設け、切替可能にすれば、硫化反応剤充填床の交換や再生などの保守に便利である。
【0015】
【実施例】
硫黄細菌を含む活性汚泥をポリエチレングリコールのゲル内に包括固定化し、約3mm角の固定化担体を作製した。水を張り込んだ密閉容器内に、前記固定化担体を10重量%となるように投入した。この密閉容器内に約2,300ppmの硫化水素を含む発酵ガスを吹き込んだ。この時の発酵ガスの吹き込み量は1日当たりの硫化水素に換算して、16g−H2S/L−担体・日とし、容器内の水及び担体を攪拌して、発酵ガスが水及び担体とが嫌気条件下で十分に接触するようにした。以上の条件による運転を30日間継続し、硫化水素の除去性能が安定するまで固定化担体を馴養した。この馴養運転期間中、容器内の液のpHは中性を維持しており、格別のpH調整をする必要がなかった。馴養運転後の出口発酵ガス中の硫化水素濃度は約350ppmであり、硫化水素の除去率は約85%であった。この結果は、前段で硫黄細菌の固定化担体を用いた生物処理を実施すると、後段の硫化反応剤の充填床における硫化水素の負荷を大幅に低減することができることを裏付けている。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、前段で硫黄細菌の固定化担体を用いた生物処理を実施することによって発酵ガス中の硫化水素の大部分を除去するので、後段の硫化反応剤の充填床における硫化水素の負荷を大幅に低減することができる。このため、硫化反応剤の交換、再生頻度が少なくすることができる。また、前段の硫黄細菌の固定化担体を用いた生物処理では嫌気条件下での処理が行われ硫化水素が酸化分解しても硫酸を生成しない。このため、pHの調整をしなくとも液相のpHは酸性に移行せず、硫黄細菌の活性が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す装置系統図である。
【図2】実施形態に係る脱硫器20の詳細構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10……発酵槽
12……原料
14……発酵ガス
17……脱水機
20……脱硫器
22……生物反応部
24……固定化担体
31……循環ブロワ
34……硫化反応部
36……酸化鉄ペレット
37……充填床
40……生物処理設備
50……ガスタンク
【発明の属する技術分野】
本発明は発酵ガスの脱硫方法及び装置に係り、特に硫化水素を含む発酵ガスから硫化水素を除去するための発酵ガスの脱硫方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機性物質を含む廃水や廃棄物をメタン発酵処理すると、発酵ガスが発生する。発酵ガスは一般に燃料として有効利用される。発酵ガスにはメタンのほかに二酸化炭素や硫化水素が含まれており、硫化水素は腐食性が強いので発酵ガスをそのまま燃料として用いると燃焼装置を損傷させるとともに、大気汚染の原因ともなる。このため、燃料として用いる前に発酵ガスから硫化水素を除去する必要がある。発酵ガスから硫化水素を除去する方法としては、硫化水素を酸化鉄などの硫化反応剤と反応させ硫化物として除去する方法や、液相中で好気性微生物を用いて硫化水素を酸化分解する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、硫化反応剤を用いる方法は硫化反応が飽和に達すると硫化反応剤を交換又は再生しなければならず、多大な手数と費用を必要とする。また、好気性微生物による方法は生成した硫酸によって液相が酸性になると脱硫性能が低下するという問題がある。このため、pHが常時適性となるように監視、調整する必要がある。
本発明の目的は上記従来技術の問題点を改善し、硫化反応剤の交換や再生頻度が少なく、pHの調整を必要としない発酵ガスの脱硫方法及び装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る発酵ガスの脱硫方法は、硫化水素を含む発酵ガスから硫化水素を除去する脱硫方法であって、硫黄細菌の固定化担体を流動させた液相中に前記発酵ガスを導入し、前記担体と前記発酵ガスを嫌気条件下で接触させる第1工程と、この第1工程を経た発酵ガスを硫化反応剤の充填床に通過させる第2工程とを含むことを特徴とする。
【0005】
また、本発明に係る発酵ガスの脱硫方法は、前記第1工程を経た発酵ガスの一部を第1工程に循環させ、この時の発酵ガスの循環エネルギによって前記担体を液相中で流動させることを特徴とする
【0006】
また、本発明に係る発酵ガスの脱硫装置は、有機物含有液をメタン発酵させる発酵槽と、この発酵槽で生成された硫化水素を含む発酵ガスを硫黄細菌の固定化担体と嫌気条件下の液相中で接触させた後に硫化反応剤の充填床に通過させるようにした脱硫器と、前記発酵槽からの流出液を好気条件下で生物処理する生物処理設備と、この生物処理設備での処理液を前記脱硫器の液相に供給した後に、生物処理設備の入口側に戻すようにした液循環手段とを具備したことを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において嫌気条件とは分子状の酸素が存在しないか、又は存在しても非常に少ない状態を意味する。また、好気条件とは微生物が酸素呼吸をするために必要な酸素が十分に存在する状態を意味する。
本発明によれば、第1工程では硫酸を生成することなく硫化水素を元素状の硫黄にすることができ、pHの調整を必要とせずに発酵ガス中の硫化水素の大部分を除去することができる。また、第2工程では発酵ガスに残存する硫化水素を硫化反応によって除去し、発酵ガスを精製する。この際、第1工程では除去しきれなかった微量の硫化水素のみを硫化反応の対象とするので硫化反応剤の交換又は再生頻度を少なくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態を示す装置系統図である。本装置は主に発酵槽10、脱硫器20、生物処理設備40及びガスタンク50によって構成される。有機性物質を含む廃水や廃棄物などの原料12が発酵槽10に投入される。発酵槽10では嫌気的な環境下で原料12を所定日数、滞留させ、原料12中の有機性物質をメタン発酵菌などの微生物によって生物学的に分解する。このようなメタン発酵処理によって生成した発酵ガス14は脱硫器20に導入され、発酵ガス14中に含まれる硫化水素が除去される。精製後の発酵ガス22はガスタンク50に一旦,貯留された後、燃料52として利用される。一方、発酵槽10で処理を受けた消化液16を脱水機17で夾雑物18と流出液19とに分離した後、流出液19は生物処理設備40に導入する。生物処理設備40の曝気槽41では流入した流出液19に対してブロワ42から空気を吹き込み、流出液19を好気条件下で活性汚泥処理する。次段の沈殿槽43では活性汚泥44を沈殿分離し、上澄みは処理水45として装置外へ排出される。処理水45の一部は管路46から脱硫器20の下部に供給され、脱硫器20をオーバーフローした処理水は管路47から生物処理設備40の入口側に戻され、循環処理される。
【0009】
図2は本実施形態に係る脱硫器20の詳細構造を示す断面図である。脱硫器20は下部の生物反応部22と上部の硫化反応部34とからなる。生物反応部22には管路46から流入した生物処理設備40の処理水が張り込まれており、この処理水の液相中に硫黄細菌の固定化担体24が一定量、保持されている。固定化担体24は硫黄細菌を含む活性汚泥を高分子ゲル内に包括固定化したものであり、約3mm角の粒状体である。なお、固定化担体24としては上記の包括固定化担体に限らず、粒体の表面に硫黄細菌を付着させたものでもよい。生物反応部22の中央には内筒26が設けられ、この内筒26の下部に発酵槽10からの発酵ガス22を導入する管路28及び発酵ガスを循環させる管路30のガス吹出口が接続されている。管路30には生物反応部22の上方から抜き出した発酵ガスを循環させる循環ブロワ31が設けられている。また、生物反応部22の下部には処理水の排出路32が接続され、この排出路32をオーバーフローした処理水が管路47から生物処理設備40の入口側に戻される。
【0010】
硫化反応部34は、多孔板35と、この多孔板35上に硫化反応剤である酸化鉄ペレット36が充填された充填床37とからなる。硫化反応部34の上方には発酵ガスをガスタンク50に導くための管路38が接続している。
【0011】
上記の構成において、発酵槽10からの発酵ガス22は管路28から生物反応部22の内筒26に吹き出され、また、管路30を循環する発酵ガスも内筒26に吹き出される。これらの発酵ガス気泡の上昇力によって、内筒26に処理水の上昇流が生じると同時に内筒26の外側には下降流が生じる。この処理水の内筒26を中心とした循環流に伴って硫黄細菌の固定化担体24も液相中で流動する。内筒26内では発酵ガスと処理水と固定化担体24とが激しく混合する過程で、発酵ガス中の硫化水素が固定化担体24に保持された硫黄細菌と接触し、硫黄細菌によって除去される。硫黄細菌は酸化性の細菌であり、酸素が豊富な好気条件では硫化水素を完全に酸化して硫酸を生成する。しかしながら、生物反応部22では酸素が制限された嫌気性の環境であるため、硫黄細菌による硫化水素の酸化は広義な意味の酸化にとどまり、硫化水素が硫黄単体に転換される反応となる。反応生成物である硫黄単体は硫酸とは異なり、液相のpHを酸性に移行させないので、硫黄細菌の活性は永続する。むしろ常時供給される硫化水素を栄養源として硫黄細菌が増殖し、固定化担体24中の硫黄細菌の菌数が運転を継続するに従って増加し、硫化水素の除去性能が向上する。
【0012】
なお、発酵ガスが内筒26内を気泡として上昇する1スルーで含まれる硫化水素のすべてが除去されることはない。本実施の形態では管路28から流入する新規な発酵ガス14に対して、管路30を介して循環させる発酵ガスの量を例えば10倍以上に設定する。このように循環させる発酵ガス量を多くすることによって、新規な発酵ガスは繰り返し内筒26内を通過することになり、その間に徐々に硫化水素の大部分が除去される。また、発酵ガスの循環量を多くすることは、循環エネルギを増大させ、固定化担体24の流動を活発化し反応効率を向上させる。上記の実施の形態では生物反応部22として内筒26を備えた構造を説明した。しかし、本発明はこれに限定させず、例えば循環する発酵ガスを生物反応部22の底面から全面曝気して、固定化担体24を流動させる構造でもよい。
【0013】
前記反応生成物である硫黄単体は、管路46から連続的又は間欠的に流入し、管路47から排出される処理水に伴って、生物処理設備40の入口側に送られる。このため、生物反応部22内に硫黄単体が蓄積することはない。生物処理設備40に流入した硫黄単体は、好気条件下の活性汚泥処理によってその少なくとも一部が硫酸になるが、処理水のpHを酸性側に低下させる程ではない。なお、上記の実施例では生物反応部22に供給する液として、生物処理設備40での処理水45の一部を用いたが、本発明はこれに限らず、曝気槽41からの浮遊汚泥を含む液を直接に生物反応部22に供給するようにしてもよい。この場合には浮遊汚泥に含まれる硫黄細菌も硫化水素の酸化分解に寄与するので、生物反応部22での硫化水素の除去効果が向上する利点がある。ただし、曝気槽41からの液は溶存酸素が飽和しており、硫化水素の酸化によって硫酸が生成し易くなり液相のpHが多少酸性側に傾く懸念があるので、利害が相半ばする。
【0014】
生物反応部22で大部分の硫化水素が除去された発酵ガスは、脱硫器20上部の硫化反応部34に送られる。この硫化反応部34では発酵ガスが酸化鉄ペレット36の充填床37を通過する過程で、残存する硫化水素が酸化鉄ペレット36と反応し、硫黄成分が硫化鉄として除去される。したがって、この硫化反応部34を通過した発酵ガスは硫化水素をほとんど含まず、燃料として良質である。なお、本実施の形態では硫化反応部34が酸化鉄ペレット36の充填床37である場合を説明したが、充填床37に充填する硫化反応剤としては酸化鉄に限らず、他の金属酸化物や純鉄などを用いてもよい。また、ペレット状のものに限らず、硫化反応剤の粉末を押し固めてハニカム状や繊維状に成形したものを用いてもよい。また、硫化反応部34を生物反応部22と一体化して1つの脱硫器20内に併設させる必要はなく、生物反応部と硫化反応部を配管で連結してもよい。この場合、硫化反応部を2基設け、切替可能にすれば、硫化反応剤充填床の交換や再生などの保守に便利である。
【0015】
【実施例】
硫黄細菌を含む活性汚泥をポリエチレングリコールのゲル内に包括固定化し、約3mm角の固定化担体を作製した。水を張り込んだ密閉容器内に、前記固定化担体を10重量%となるように投入した。この密閉容器内に約2,300ppmの硫化水素を含む発酵ガスを吹き込んだ。この時の発酵ガスの吹き込み量は1日当たりの硫化水素に換算して、16g−H2S/L−担体・日とし、容器内の水及び担体を攪拌して、発酵ガスが水及び担体とが嫌気条件下で十分に接触するようにした。以上の条件による運転を30日間継続し、硫化水素の除去性能が安定するまで固定化担体を馴養した。この馴養運転期間中、容器内の液のpHは中性を維持しており、格別のpH調整をする必要がなかった。馴養運転後の出口発酵ガス中の硫化水素濃度は約350ppmであり、硫化水素の除去率は約85%であった。この結果は、前段で硫黄細菌の固定化担体を用いた生物処理を実施すると、後段の硫化反応剤の充填床における硫化水素の負荷を大幅に低減することができることを裏付けている。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、前段で硫黄細菌の固定化担体を用いた生物処理を実施することによって発酵ガス中の硫化水素の大部分を除去するので、後段の硫化反応剤の充填床における硫化水素の負荷を大幅に低減することができる。このため、硫化反応剤の交換、再生頻度が少なくすることができる。また、前段の硫黄細菌の固定化担体を用いた生物処理では嫌気条件下での処理が行われ硫化水素が酸化分解しても硫酸を生成しない。このため、pHの調整をしなくとも液相のpHは酸性に移行せず、硫黄細菌の活性が低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す装置系統図である。
【図2】実施形態に係る脱硫器20の詳細構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10……発酵槽
12……原料
14……発酵ガス
17……脱水機
20……脱硫器
22……生物反応部
24……固定化担体
31……循環ブロワ
34……硫化反応部
36……酸化鉄ペレット
37……充填床
40……生物処理設備
50……ガスタンク
Claims (3)
- 硫化水素を含む発酵ガスから硫化水素を除去する脱硫方法であって、硫黄細菌の固定化担体を流動させた液相中に前記発酵ガスを導入し、前記担体と前記発酵ガスを嫌気条件下で接触させる第1工程と、この第1工程を経た発酵ガスを硫化反応剤の充填床に通過させる第2工程とを含む発酵ガスの脱硫方法。
- 前記第1工程を経た発酵ガスの一部を第1工程に循環させ、この時の発酵ガスの循環エネルギによって前記担体を液相中で流動させることを特徴とする請求項1に記載の発酵ガスの脱硫方法。
- 有機物含有液をメタン発酵させる発酵槽と、この発酵槽で生成された硫化水素を含む発酵ガスを硫黄細菌の固定化担体と嫌気条件下の液相中で接触させた後に硫化反応剤の充填床に通過させるようにした脱硫器と、前記発酵槽からの流出液を好気条件下で生物処理する生物処理設備と、この生物処理設備での処理液を前記脱硫器の液相に供給した後に、生物処理設備の入口側に戻すようにした液循環手段とを具備したことを特徴とする発酵ガスの脱硫装置。
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JP2002158787A JP2004002509A (ja) | 2002-05-31 | 2002-05-31 | 発酵ガスの脱硫方法及び装置 |
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