JP2015221431A - バイオガスの生物学的脱硫装置及び脱硫方法 - Google Patents

バイオガスの生物学的脱硫装置及び脱硫方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高負荷での硫化水素を効率的に処理し、装置内閉塞のない、低コストで処理が可能なバイオガスの生物学的脱硫装置及び脱硫方法の提供。
【解決手段】生物学的脱硫塔1の端部より硫化水素を含むバイオガスOaを流入するためのバイオガス流入ライン2と、脱硫塔1のもう一方の端部であり微生物を担持する充填層1aの後段に処理ガスOcを排出するための処理ガス流出ライン8と、処理ガスOcの一部を生物学的脱硫塔1のバイオガスOaが流入する端部に循環する循環ガスライン9とを設け、バイオガスOaと処理ガスOcの一部とを混合して生物学的脱硫塔1の端部に供給する混合ガスライン5を設け、バイオガス流入ライン2にガス流量計3を設け、混合ガスライン5に硫化水素濃度計4を設け、循環ガスライン9に循環ガス量の調節機構10を設けた生物学的脱硫装置。
【選択図】図1

Description

本願発明は、バイオガスの生物学的脱硫装置及び脱硫方法に係わり、詳しくはメタン発酵処理の工程で発生するバイオガスに含まれる硫化水素を硫酸に転換して効率的に処理する技術に関する。
有機性廃棄物または有機性廃水は水処理分野においてメタン発酵により処理され、メタンガスを主成分とするバイオガスが発生する。バイオガスはメタン発酵の方法によって濃度は異なるものの、主成分としてメタンを65〜85%、二酸化炭素を15〜35%、硫化水素を1000〜6000ppm程度含んでいる。発生したバイオガス中のメタンをボイラーの燃料として利用が可能であり、ボイラーから発生した蒸気は加温設備にて有効利用できる。また、バイオガスはガスエンジンの燃料となり、発電も可能である。
バイオガス中に含まれる硫化水素は、燃焼の際に亜硫酸ガス(SO)に酸化され、発生する亜硫酸ガスは水分に溶解すると硫酸となり、大気中に放出されると酸性雨の原因となるだけでなく、燃焼ガスが施設内で冷却されると凝縮した水分によって硫酸となり、腐食などの問題を生じさせる。
そのため、バイオガスを利用するためには、硫化水素を除去することが重要な課題となっている。
バイオガス中の硫化水素除去方法には、乾式脱硫方法があり、酸化鉄を主成分としたペレット状の脱硫剤を用いて硫化水素を除去する。乾式脱硫方法においては、硫化水素は、酸化鉄と化学的に反応するため、脱硫剤の硫化水素の除去量は、酸化鉄の存在量に概ね比例する。脱硫剤の硫化水素除去反応に関与する酸化鉄がなくなると除去性能は低下し、新規剤に交換する必要がある。
他の脱硫方法には、本願発明のように微生物を利用した生物学的脱硫方法がある。生物学的脱硫方法は、バイオガスに微量の空気又は酸素を供給して、硫化水素を微生物により、以下の(式1)(式2)に示す反応経路で硫黄(S)または硫酸(HSO)を生成させて除去する方法である。(式1)(式2)に関与する微生物は、充填材表面に付着したり浮遊することが可能であり、硫黄酸化細菌である好気性菌が自然界に多く存在する。微生物が関与するために、温度や水分は微生物の生存環境として必須である。
S + 1/2O → S + HO (式1)
S + 3/2O + HO → HSO (式2)
(式1)は硫化水素が硫黄酸化細菌により、単体硫黄(S)を生成する反応である。酸素が硫化水素の1/2mol以下の場合の主反応である。酸素が硫化水素の1/2molを超える場合には、硫黄酸化細菌によってさらに(式2)の反応を行い、硫酸(HSO)が生成する。硫化水素がすべて硫酸(HSO)に転換するには、硫黄酸化細菌の存在下で、理論的には酸素が硫化水素の2mol以上必要となる。
生物学的脱硫技術の一例として、特許文献1がある。
本方式では、処理が悪くなると、除去した硫化水素の一部は硫黄として析出し充填材に付着し、一部は硫酸に転換されている。析出した硫黄に対し、生物学的脱硫塔に水を張って曝気により剥離して処理性能を回復させる技術が記載されている。
担体に硫黄の析出がある場合、硫黄酸化菌が生成硫黄の付着により、生物反応が阻害されるため、当初の硫化水素除去能が加速度的に低下する欠点がある。
別な技術である特許文献2には、脱硫塔による処理ガスを循環させており、循環量の制御は脱硫塔後段に設置した圧力調整タンクの圧力値によって制御されており、圧力調整タンク後段でのガス利用設備で処理済のバイオガスの利用がない場合は圧力調整タンクにガスは貯留され、圧力調整タンク内のガスを脱硫塔への循環ガスとしている。
本方式において高濃度の硫化水素を含むバイオガスが流入した場合、圧力調整タンクの後段のガス利用設備で処理されたバイオガスが利用されていればバイオガスは循環されず、硫化水素の負荷が高い状態で処理されるため、硫黄が析出して脱硫性能が低下する原因を回避できないという欠点がある。
また、酸素含有気体の供給は、脱硫塔からの処理ガス流量に合わせて調整されており、脱硫塔後段の処理ガス流出ラインに設置した酸素濃度計で管理している。
本方式で酸素含有気体の供給量を制御した場合、硫黄が析出すると酸素を消費されなくなり、処理ガス中の酸素濃度が高くなり、酸素含有気体の供給量を低下させるように制御する。このため、本来は硫酸に転換するのに必要な酸素が不足して、硫黄の析出が促進され、処理性能がより低下する欠点がある。
特開2003−305328号公報 特開2006‐143780号公報
本願発明が解決しようとする課題は、上述した諸問題に鑑み、高負荷での硫化水素を効率的に処理し、且つ処理する硫化水素を硫酸に転換することで装置内の閉塞をなくし、洗浄などの工程をなくして低コストで処理が可能なバイオガスの生物学的脱硫装置及び脱硫方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願発明の生物学的脱硫装置及び生物学的脱硫方法は、以下の技術的特徴を備えている。
(1) バイオガスから生物学的脱硫塔内に循環液を散水して生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫装置において、
該生物学的脱硫塔の端部より硫化水素を含むバイオガスを流入するためのバイオガス流入ラインを設け、
該生物学的脱硫塔内に微生物が付着する充填材からなる充填層を設け、
該生物学的脱硫塔のもう一方の端部であり該充填層の後段に処理ガスを排出するための処理ガス流出ラインを設け、
該処理ガスの一部を生物学的脱硫塔の前記バイオガスが流入する端部に循環するための循環ガスラインを設け、
該バイオガス流入ラインと該循環ガスラインとは合流後に該生物学的脱硫塔の端部に接続され、該バイオガスと該処理ガスの一部とを混合して該生物学的脱硫塔の端部に供給する混合ガスラインを設け、
該バイオガス流入ラインにガス流量計を設け、
該混合ガスラインに硫化水素濃度計を設け、
該循環ガスラインに循環ガス量の調節機構を設け、
混合ガスの硫化水素濃度が所定の範囲内となるように、前記循環ガス量の調節機構を作動させる循環ガスの信号伝達機構を具備することを特徴とする生物学的脱硫装置である。
(2) 該バイオガス流入ラインに酸素含有気体を流入するための酸素含有気体流入ラインを設け、
該酸素含有気体流入ラインに酸素含有気体量の供給調節機構を設け、
該硫化水素濃度計によるバイオガスの硫化水素濃度値と、該ガス流量計によるガス流量値から硫化水素負荷量を算出するための演算器を設け、
該演算器の硫化水素負荷量の算出結果により、前記酸素含有気体量の供給調節機構を作動させる酸素含有気体の信号伝達機構を設けたことを特徴とする上記(1)に記載の生物学的脱硫装置である。
(3) 該混合ガスラインに酸素含有気体を流入するための酸素含有気体流入ラインを設け、
該酸素含有気体流入ラインに酸素含有気体量の供給調節機構を設け、
該硫化水素濃度計によるバイオガスの硫化水素濃度値と、該ガス流量計によるガス流量値から硫化水素負荷量を算出するための演算器を設け、
該演算器の硫化水素負荷量の算出結果により、前記酸素含有気体量の供給調節機構を作動させる酸素含有気体の信号伝達機構を設けたことを特徴とする上記(1)に記載の生物学的脱硫装置である。
(4) バイオガスから生物学的脱硫塔内に循環液を散水して生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫方法において、
該生物学的脱硫塔内に微生物が付着する充填材からなる充填層を設け、
該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側に硫化水素を含むバイオガスを流入するバイオガス流入工程と、
該生物学的脱硫塔内の該充填層の下流側に処理ガスを排出する処理ガス流出工程と、
該処理ガスの一部を該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側に循環する循環ガス工程と、
該生物学的脱硫装塔内へ該バイオガスと前記処理ガスの一部を導入する際には、両者を混合して該生物学的脱硫塔内に導入する混合ガス工程とを有し、
混合ガスの硫化水素濃度が所定の範囲内となるように、該循環ガス工程の循環ガス量を調節することを特徴とする生物学的脱硫方法である。
(5) 該バイオガス流入工程は、該バイオガスに酸素含有気体を導入する酸素含有気体流入工程を備え、
該バイオガス流入工程における流入されるバイオガスのガス流量と、該混合ガス工程における混合ガスの硫化水素濃度から、硫化水素負荷量を算出し、
前記硫化水素負荷量の算出結果により、該酸素含有気体流入工程における酸素含有気体の供給量を調節することを特徴とする上記(4)に記載の生物学的脱硫方法である。
(6) 該混合ガス工程は、該バイオガスに酸素含有気体を導入する酸素含有気体流入工程を備え、
該バイオガス流入工程における流入されるバイオガスのガス流量と、該混合ガス工程における混合ガスの硫化水素濃度から、硫化水素負荷量を算出し、
前記硫化水素負荷量の算出結果により、該酸素含有気体流入工程における酸素含有気体の供給量を調節することを特徴とする上記(4)に記載の生物学的脱硫方法である。
(7) 該混合ガス工程における混合ガスの硫化水素濃度が100〜1000ppmであることを特徴とする上記(4)乃至(6)のいずれかに記載の生物学的脱硫方法である。
(8) 前記ガス中の硫化水素濃度が、150〜500ppmであることを特徴とする上記(7)に記載の生物学的脱硫方法である。
本願発明の生物学的脱硫装置及び生物学的脱硫方法を用いてバイオガスを処理することで、除去した硫化水素を硫酸に転換して硫黄の析出による閉塞の問題を解消し、高効率の生物学的な脱硫処理が維持される。
特に、バイオガス流入ラインにガス流量計を設け、混合ガスラインに硫化水素濃度計を設け、生物学的脱硫方法に適した混合ガス硫化水素濃度とするために該硫化水素濃度計の濃度とガス流量計の流量から循環ガス流量を制御することで、高負荷でも効率的に硫化水素を除去し、硫酸に転換することが可能となる。
また、循環ガス量を調整して混合ガス硫化水素濃度を100〜1000ppmとすることで硫酸転換率100%として脱硫処理でき、150〜500ppmとすることで硫化水素除去率95%、硫酸転換率100%で脱硫処理できることを確認している。
本願発明の生物学的脱硫装置の概略を示す図である。 本願発明の生物学的脱硫装置の概略を示す図であり、酸素含有気体流入ラインを混合ガスラインに直結した例を示す図である。 本願発明の生物学的脱硫装置の概略を示す図であり、バイオガスを上向流で処理する例を示す図である。 循環ガス量調節機構の制御フローチャートを示す図である。 酸素含有気体量供給調節機構の制御フローチャートを示す図である。 本願発明の生物学的脱硫装置を用いて処理を行った結果を示すグラフである。 従来方式の生物学的脱硫装置を用いて処理を行った結果を示すグラフである。 混合ガスの硫化水素濃度(設定値)と硫化水素除去率の関係を示すグラフである。
従来の生物学的脱硫方法では、本願発明の特徴である硫化水素濃度とガス流量の積で算出される硫化水素負荷量に対する概念がない。このため、低負荷での処理においても一定量の酸素含有気体を供給するため、バイオガス中に酸素含有気体成分が多くなり、バイオガスのメタン濃度が低下し燃料としての価値が低下する。硫化水素濃度が高濃度の場合、硫黄の析出を防止する操作条件がないために、反応等に流入したバイオガス中の硫化水素が硫黄酸化細菌の酸化反応が析出硫黄で阻害され、たとえ酸素含有気体量が十分にあったとしても、酸化細菌量の不足で硫酸までの反応が十分にできずに硫黄が析出する。生物学的脱硫塔の担体が3割程度硫黄に覆われると硫化水素が処理されずに排出されるといった処理不十分が起こる。
析出した硫黄は疎水性であるため、充填材に付着すると充填材表面に付着した微生物の表面を覆い活性を低下させる。硫黄は充填材の深部方向に向かって析出し続け、最終的には生物学的脱硫塔内の充填材を閉塞させる。硫黄は、一度析出すると充填材からの剥離が困難であり、何らかの手段で剥離処理を施しても当初の処理性能には戻らないため、生物学的脱硫の処理性能を維持するためには硫黄を析出させないで処理する工夫が肝要である。
本願発明者らは、硫黄を析出させずに生物学的脱硫の処理性能を維持する条件についてバイオガスプラントに装置を設置して検討した。
ここで、後述するガスの名称について、次のように定義する。
・バイオガス:メタン発酵によって発生したガスのことであり、酸素は含有していない。
・酸素含有気体:酸素を含む気体のことである。
・循環ガス:処理ガスの一部が循環ガス量調節機構によって再び生物学的脱硫塔に流入するガスのことである。
・混合ガス:バイオガスと、処理ガスが混合したガスのことである。このガスの硫化水素濃度が計測される。
・処理ガス:生物学的脱硫塔から排出したガスのことである。
単位充填材あたりの硫化水素負荷量の算出量を(式3)に示す。以降、単位充填材当たりの硫化水素負荷量は、硫化水素負荷量とよぶこととする。
硫化水素負荷量[kg/(m・day)]=
((混合ガス硫化水素濃度)[ppm]×(バイオガス量[m/day]+循環ガス量[m/day]))/充填容量[m]×K (式3)
ここで、(式3)のKは温度をパラメータとした補正係数であり、(式4)で表される。
補正係数K[kg/m]=(273+35)/273/22.4×34 (式4)
硫酸転換率の算出は、1日当たりの硫酸転換量と1日当たりの除去硫化水素量から求められる。1日当たりの硫酸転換量の算出方法を(式5)に示し、1日当たりの除去硫化水素量を(式6)に示し、硫酸転換率を(式7)に示す。
硫酸転換量[kg−HSO/day]=(当日の硫酸濃度− 前日の硫酸濃度)[kg−HSO/L]×循環液量[L/day] (式5)
除去硫化水素量[kg−HS/day]=単位充填材当たりの硫化水素除去量[kg/(m・day)]×充填容量[m] (式6)
硫酸転換率[%]=
(硫酸転換量×(32/96)[kg−S/day])/(除去硫化水素量[kg−HS/day]×(32/34)[kg−S/kg−HS])×100 (式7)
次に、生物学的脱硫方式で必要な酸素量について説明する。
生物学的脱硫方式で消費される酸素には、微生物による硫酸化での必要酸素量(O)と、微生物の呼吸に必要な酸素量(O)がある。本願発明の生物学的脱硫塔に供給する酸素含有気体供給量[kg−O/day]は、O+Oとなる。
硫酸化での必要酸素量(O)は、(式8)で表される。
[kg−O/day]=除去硫化水素量 [kg−HS/day]×32/34 [kg−O/kg/HS]×2 (式8)
1mの充填材を用いて2kg/(m・day)の硫化水素負荷量で硫化水素を硫酸に酸化するときのOは、(式8)より3.8kg−O/dayである。
生物学的脱硫において必要な酸素は、ガス体で供給される。
酸素含有気体として純酸素ガスを25℃で供給する場合には、純酸素ガス量は(式9)で表される。
純酸素ガス量[m−O/day] =O [kg−O/day]/32×22.4×(273+25)/273/1000 (式9)
酸素含有気体として空気(酸素濃度;21v/v%、25℃)を用いる場合、Oを含む空気量は(式10)で表される。
空気量[m−air/day] = 純酸素ガス量[m−O/day]×(100/21) (式10)
微生物量について、充填材1m当たりの付着量は1kg−SS/mで、呼吸速度は5〜10mg−O/(g−SS・hr)であることが実験によりわかった。
充填材1mあたりに付着している微生物は1kg−SSであり、Oは0.12〜0.24kg−O/dayである。
このように、Oは、Oに比べて十分に小さいものの、微生物の活動を阻害しないようにするためにも、発明者らの実験によりOの1.5〜3倍量の酸素含有気体供給量が好ましいことがわかった。
供給する酸素量がOの1.5倍未満の場合は、微生物の硫酸化が遅れ、Oの3倍以上となると、処理ガス中に未反応の酸素含有気体が多く含まれ、処理ガス中のメタンガス濃度が下がり、燃料の価値が下がる。
以下、本願発明の実施の形態を説明する。
発明者は、本願発明の生物学的脱硫装置を用いて、長期間の連続実験を行ない、バイオガス中の硫化水素の濃度変動やバイオガスの流量変動のある条件でも効率よく、かつ安定して処理が行なえる方法について検討した。
本願発明の微生物が付着する充填材を充填した生物学的脱硫装置の一例を図1に示す。実施は本実施態様に限定されない。
微生物が付着する充填材は、生物学的脱硫塔1の充填層1aに充填した。
バイオガス流入ライン2にはガス流量計3を設けてある。
バイオガス流入ライン2と循環ガスライン9が合流し、バイオガスと循環ガスが混合される。
混合ガスライン5に硫化水素濃度計4が設けてある。
酸素含有気体流入ライン6は、バイオガス流入ライン2に直結する。
酸素含有気体0bの供給量は、酸素含有気体量供給調節機構7によって調節する。
混合ガスライン5は、生物学的脱硫塔1に直結する。
微生物が付着する充填材はポリエチレン製であり、形状がφ15mm×h15mmの円筒状のもので比表面積が1000m/mであり、処理ガス流出ライン8は、生物学的脱硫塔1に直結しており、処理ガス0cが処理ガス流出ライン8を通って系外へ排出する。
循環ガスライン9は、処理ガス流出ライン8から分岐し、バイオガス流入ライン2に接続させる。処理ガス0cの一部は、循環ブロワによって循環ガスライン9を通ってバイオガスと混合する。循環ガス量は、循環ガス量調節機構10によって調節する。
循環液貯留液槽1bからの循環液0dは、生物学的脱硫塔1の上部から散水した。循環液貯留液槽1bから循環液0d中の硫酸濃度を調整するために間欠的に循環液の一部をブロー水0eとして排出し、補給水0fを補給して循環液貯留液槽1bの水量を一定に保った。
演算器12にはバイオガス流量値と混合ガス硫化水素濃度値が入力され、(式3)に基づいて硫化水素負荷量が算出される。
さらに、演算器12は、バイオガス流量値と混合ガス硫化水素濃度値が入力され、予め設定された混合ガス硫化水素濃度値に基づいて循環ガス量を算出し、循環ガス量調節機構を調節する。
循環ガスライン9は、処理ガス流出ライン8から分岐してもよく、生物学的脱硫塔1に直結してもよい。
循環ガス供給手段は、ブロワを用いてもよく、ポンプなどを用いてもよい。
循環ガス量調整機構10の制御は、循環ガス制御機構13によって行なわれる。循環ガス制御機構13は、物理的な制御でも電気的な信号による制御でもよい。具体的に、物理的な制御方法は、手動でブロワのインバータやバルブやダンパの開度を調整してもよく、電気的な制御方法は、インバータを電気制御したり、バルブやダンパの開度を電気的に制御してもよい。
酸素含有気体流入ライン6は、バイオガス流入ライン2に直結してもよく、混合ガスライン5に直結してもよい。
ここで、酸素含有気体流入ライン6が混合ガスライン5に直結した装置図を図2に示す。
酸素含有気体供給手段は、ブロワを用いてもよく、ポンプなどを用いてもよい。
酸素含有気体供給調整機構7は、酸素含有気体御信号伝達機構14によって制御される。酸素含有気体信号伝達機構14は、物理的な制御でも電気的な信号による制御でもよい。具体的に、物理的な制御方法は、手動でブロワのインバータやバルブやダンパの開度を調整してもよく、電気的な制御方法は、インバータを電気制御したり、バルブやダンパの開度を電気的に制御してもよい。
ガス流量計は、オリフィス流量計や、容積流量計や、渦流量計や、流速式流量計等を用いることができ、容積式流量計は、実測乾式ガスメーターや、実測湿式を用いることができ、さらに、実測乾式ガスメーターは、膜式あるいは回転子式等を用いてもよい。
硫化水素濃度計は、定電位電解式による測定方法、硝酸銀電位差滴定法、イオン電極法、メチレンブルー吸光光度法、ガスクロマトグラフ法等を用いてもよい。また、検知管による硫化水素を測定してもよい。
酸素含有気体は、酸素を含んでいる気体のことであり、空気または、純酸素または、酸素発生器により酸素濃度を調整したガスを用いてもよい。
微生物が付着する充填材は、pH1以下の強酸性下で使用できるような耐薬品性を有する素材のものであればよく、例えば材質がポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニル、ポリウレタンなどの有機性物質が好ましい。
充填材の形状は、筒状や、網状骨格パイプやボール状やウニ状が好ましい。比表面積は50〜1000m/mの範囲が好ましい。空隙率は、80〜96%の範囲が好ましい。
演算器は、硫化水素濃度とガス流量をもとに硫化水素負荷量が算出される機能が具備されていればよい。
また、硫化水素濃度とガス流量と硫化水素負荷量が記録されるような機能が具備されていればよい。
演算器による測定値や演算結果の記録方法は、デジタルデータロガーやチャート紙による記録計でもよい。
混合ガス硫化水素濃度は、実施例2で詳細が記載されているとおり、処理ガスを循環させて100〜1000ppmの範囲になるように調整されることが好ましい。
また、混合ガス硫化水素濃度は、処理ガスを循環させて150〜500ppmの範囲になるように調整されることがより好ましい。
図1は、バイオガスを下向流で処理するように配管を設置した装置図であり、バイオガスを上向流で処理してもよい。本願発明を用い、上向流でバイオガスを処理するように配管を設置した装置図を図3に示す。
本願発明の循環ガス量調節機構を制御するフローチャートを図4に示す。
本願発明は、バイオガス流量Qを計測し、混合ガス硫化水素濃度Cを計測する。予め設定した混合ガス硫化水素濃度C’とするため、循環ガス量Qを演算器で算出し、循環ガス量調節機構を作動させて循環ガス量Qを調整する。
次に、酸素含有気体量供給調節機構の制御フローチャートを図5に示す。
本願発明は、バイオガス流量Qを計測し、混合ガス硫化水素濃度Cを計測する。予め設定した混合ガス硫化水素濃度C’とするため、循環ガス量Qを演算器で算出する。
硫化水素負荷量は、(式11)にて演算器で算出する。
硫化水素負荷量 = C×(Q+Q) (式11)
硫化水素負荷量に基づき、酸素含有気体量供給調節機構を作動させて酸素含有気体供給量を調整する。
図1の生物学的脱硫装置の中にポリエチレン製で、比表面積が1000m/mであり、φ15mm×h15mmの円筒状の充填材を2mとなるように充填した。混合ガスは、生物学的脱硫塔内を下向流で流した。酸素含有気体はバイオガス流入ラインにて混合された。
循環液は活性汚泥を用い、生物学的脱硫塔下部の循環液貯留液槽に貯留した。循環液は、ポンプによって生物学的脱硫塔上部へ送られ、ガス方向に並行して200L/day散水した。処理温度は35℃に設定した。酸素含有気体には、空気(酸素濃度;体積比21%)を用いた。バイオガス中のメタン濃度は体積比80%、二酸化炭素濃度は体積比20%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
本願発明の混合ガス硫化水素濃度を一定にするように循環ガス量を制御する場合と、対比例として一定の循環比にするように循環ガス量を制御した場合における処理性能について本願発明および対比例を並行して実験を行ない検討した。ここで、循環比とは、バイオガス流量(Q)に対する循環ガス量(Q)の比(Q / Q)をいう。
本願発明と対比例の処理は、測定時間の経過とともにバイオガス硫化水素濃度およびバイオガス量を変更させた。測定時間ごとの処理条件を次に示す。
測定時間:0〜4hr・・・バイオガス硫化水素濃度:1500ppm、バイオガス量:4m/day
測定時間:4〜8hr・・・バイオガス硫化水素濃度:1500ppm、バイオガス量:2m/day
測定時間:8〜12hr・・・バイオガス硫化水素濃度:3000ppm、バイオガス量:2m/day
測定時間:12〜16hr・・・バイオガス硫化水素濃度:6000ppm、バイオガス量:1.5m/day
測定時間:16〜20hr・・・バイオガス硫化水素濃度:500ppm、バイオガス量:2m/day
測定時間:20〜24hr・・・バイオガス硫化水素濃度:300ppm、バイオガス量:2m/day
実験条件は4時間ごとに変更し、処理性能を調査した。
本願発明の実施態様は、混合ガス硫化水素濃度を300ppmになるように循環ガス量を制御した。
バイオガス流化水濃度の変動やバイオガス量の変動が生じても追従して処理ができ、処理ガスからは硫化水素は検出されず、100%除去できた。また、バイオガス中の硫化水素濃度が300ppmの場合、循環ガスを停止しても硫化水素は100%除去された。
本願発明による実験結果を図6に示し、詳細を次で述べる。
測定時間0〜4hrの期間では、混合ガス硫化水素濃度を300ppmとするため、バイオガス量4m/dayに対し循環ガス量を16m/dayで供給した。この時の負荷は2.0kg/(m・day)だった。
混合ガス硫化水素濃度は300ppmであり、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間4〜8hrの期間では、混合ガス硫化水素濃度を300ppmとするため、バイオガス量2m/dayに対し循環ガス量を8 m/dayで供給した。この時の負荷は1.0kg/(m・day)だった。
混合ガス硫化水素濃度は300ppmであり、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間8〜12hrの期間では、混合ガス硫化水素濃度を300ppmとするため、バイオガス量2m/dayに対し循環ガス量を18m/dayで供給した。この時の負荷は2.0kg/(m・day)だった。
混合ガス硫化水素濃度は300ppmであり、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間12〜16hrの期間では、混合ガス硫化水素濃度を300ppmとするため、バイオガス量1.5m/dayに対し循環ガス量を28.5m/dayで供給した。この時の負荷は3.0kg/(m・day)だった。
混合ガス硫化水素濃度は300ppmであり、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間16〜20hrの期間では、混合ガス硫化水素濃度を300ppmとするため、バイオガス量2m/dayに対し循環ガス量を1.3m/dayで供給した。この時の負荷は0.3kg/(m・day)だった。
混合ガス硫化水素濃度は300ppmであり、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間20〜24hrの期間では、バイオガス硫化水素濃度が300ppmであったため、循環ガスは停止した。この時の負荷は0.2kg/(m・day)だった。
混合ガス硫化水素濃度は300ppmであり、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
対比例による実施態様として、循環比4倍;すなわち、バイオガス量をもとに循環ガス量を4倍量としたところ、バイオガス硫化水素濃度が3000ppm以上になると処理性能が低下した。また、バイオガス硫化水素濃度が500ppm以下などの低濃度においては、処理ガス中に硫化水素は含まれないものの過剰に希釈されるため、バイオガスとしての純度は低くなる。対比例による実験結果を図7に示し、詳細を次で述べる。
測定時間0〜4hrの期間では、バイオガス量4m/dayだったため、循環ガス量は16m/dayとした。この時の負荷は2.0kg/(m・day)だった。このとき、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間4〜8hrの期間では、バイオガス量2m/dayだったため、循環ガス量は8m/dayとした。この時の負荷は1.0kg/(m・day)だった。このとき、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間8〜12hrの期間では、バイオガス量2m/dayだったため、循環ガス量を8m/dayとした。この時の負荷は2.0kg/(m・day)だった。このとき、処理ガス硫化水素濃度は300ppmであり、硫化水素除去率は90%だった。
測定時間12〜16hrの期間では、バイオガス量1.5m/dayだったため、循環ガス量は6m/dayとした。この時の負荷は3.0kg/(m・day)だった。このとき、処理ガス硫化水素濃度は2000ppmであり、硫化水素除去率は67%だった。
測定時間16〜20hrの期間では、バイオガス量2m/dayだったため、循環ガス量は8m/dayとした。この時の負荷は0.3kg/(m・day)だった。このとき、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
測定時間20〜24hrの期間では、バイオガス量2m/dayだったため、循環ガス量は8m/dayとした。この時の負荷は0.2kg/(m・day)だった。このとき、処理ガスからは硫化水素は検出しなかった。
本願発明と対比例との比較実験を通して、本願発明のように混合ガス硫化水素濃度を一定にするように混合ガス量を制御する場合、バイオガス硫化水素濃度の影響を受けず、3kg/(m・day)の硫化水素負荷量でも安定して硫化水素を除去でき、硫酸に転換できた。
対比例のように一定の循環比にするように混合ガス量を制御した場合、バイオガス硫化水素濃度が高い場合には硫化水素除去率は低下し処理性能は低下した。
したがって、生物学的脱硫法に適した混合ガス硫化水素濃度とするためには、硫化水素濃度計の濃度とガス流量計の流量から該循環ガス量調節機構を作動させることが重要であり、処理性能に有意な結果が得られることがわかった。
図1の生物学的脱硫装置の中にポリエチレン製で、比表面積が1000m/mであり、φ15mm×h15mmの円筒状の充填材を2mとなるように充填した。混合ガスは、生物学的脱硫塔内を下向流で流した。酸素含有気体はバイオガス流入ラインにて混合された。
循環液は活性汚泥を用い、生物学的脱硫塔下部の循環液貯留液槽に貯留した。循環液は、ポンプによって生物学的脱硫塔上部へ送られ、ガス方向に並行して200L/day散水した。処理温度は35℃に設定した。酸素含有気体には、空気(酸素濃度;体積比21%)を用い、15L/day〜120L/dayの範囲で供給した。バイオガス中のメタン濃度は体積比80%、二酸化炭素濃度は体積比20%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
循環ガス流量を混合ガスの硫化水素濃度およびバイオガス流量に基づいて制御したときの除去性能について検討した。本実験は、硫化水素濃度が6000ppmのバイオガスを1m/dayで供給し、設定硫化水素負荷量は2.0kg/(m・day)とした。循環ガス量は、バイオガス流量1m/dayに対して3〜119m/dayの範囲で適宜調整して処理させた。
本実験は一定のバイオガス量に対し循環ガス量を変更して処理性能を調査し、循環ガス量ごとにRun2−1〜Run2−10とした。
本実験は、図1の生物学的脱硫装置を3機用いて並行して行なった。実験の評価期間は30日間とした。
脱硫性能は、硫化水素除去率にて評価した。硫化水素除去率が50%以上で脱硫処理が行なわれているものとし、硫化水素除去率が95%以上で脱硫処理が良好に行なわれているものとした。
本実験結果を表1に示す。表中の実験結果の値は、評価30日目の値を記載した。
Run2−1での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対し3m/day供給し、処理ガス中に硫化水素が含まれないときの混合ガス硫化水素濃度(以降、混合ガス硫化水素濃度設定値と呼ぶこととする)が1500ppmとなるようにした。このときの硫化水素除去率は40%であり、硫酸転換率は70%だった。
Run2−2での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対し5m/day供給し、混合ガス硫化水素濃度設定値が1000ppmとなるようにした。このときの硫化水素除去率は50%であり、硫酸転換率は100%だった。
Run2−3での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対し9m/day供給し、混合ガス硫化水素濃度設定値が600ppmとなるようにした。このときの硫化水素除去率は80%であり、硫酸転換率は100%だった。
Run2−4での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対し5m/day供給し、混合ガス硫化水素濃度設定値が500ppmとなるようにした。このときの硫化水素除去率は95%であり、硫酸転換率は100%だった。
Run2−5〜Run2−7での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対しRun2−5では14m/day、Run2−6では19m/day、Run2−7では39m/day供給した。混合ガス硫化水素濃度設定値は、Run2−5では400ppm、Run2−6では300ppm、Run2−7では150ppmとなるようにした。
これらの実験期間では、硫化水素除去率は100%であり、硫酸転換率は100%だった。
Run2−8での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対し49m/day供給し、混合ガス硫化水素濃度設定値が120ppmとなるようにした。このときの硫化水素除去率は75%であり、硫酸転換率は100%だった。
Run2−9での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対し59m/day供給し、混合ガス硫化水素濃度設定値が100ppmとなるようにした。このときの硫化水素除去率は50%であり、硫酸転換率は100%だった。
Run2−10での循環ガス量は、バイオガス量1m/dayに対し119m/day供給し、混合ガス硫化水素濃度設定値が50ppmとなるようにした。このときの硫化水素除去率は40%であり、硫酸転換率は70%だった。
Run2−2〜Run2−9の期間において、混合ガス硫化水素濃度は100〜1000ppmとなるように循環ガスを調整しており、これらの期間において硫化水素除去率は50%以上、硫酸転換率100%で脱硫処理が行なわれた。
とくに、Run2−4〜Run2−7では混合ガス硫化水素濃度は150ppm〜500ppmとなるように循環ガスを調整しており、これらの期間では硫化水素除去率は95%以上、硫酸転換率100%で脱硫処理が行なわれた。
したがって、本願発明において混合ガス流化水素濃度は100ppm〜1000ppmの範囲となるように循環ガス量を調整することが好ましく、より好ましくは150ppm〜500ppmの範囲となるように循環ガス量を調整するのがよい。
Figure 2015221431
表1に基づき、混合ガス硫化水素濃度(設定値)と硫化水素除去率の関係を図8に示す。
混合ガス硫化水素濃度が50ppmとなるように循環ガス量を制御した場合、硫化水素除去率は40%であり、100ppmとなるように循環ガス量を制御した場合、硫化水素除去率は50%となった。
混合ガス硫化水素濃度が150ppmとなるように循環ガス量を制御すると、硫化水素除去率は95%となり、300ppm〜400ppmの範囲となるように循環ガス量を制御すると、硫化水素除去率は100%になった。
しかし、混合ガス硫化水素濃度が500ppmとなるように循環ガス量を制御すると、硫化水素除去率は95%となり、600ppm以上となるように循環ガス量を制御すると、硫化水素除去率は80%以下となった。
混合ガス硫化水素濃度が1000ppmとなるように循環ガス量を制御すると、硫化水素除去率は50%となり、1500ppmとなるように循環ガス量を制御すると、硫化水素除去率は40%となった。
図1の生物学的脱硫装置の中にポリエチレン製、比表面積が1000m/mであり、φ15mm×h15mmの円筒状の充填材を充填高さ2mとなるように充填し、充填材は1mとした。混合ガスは、生物学的脱硫塔内を下向流で流した。酸素含有気体は、バイオガス流入ラインにて混合された。
循環液は活性汚泥を用い、生物学的脱硫塔下部の循環液貯留液槽に貯留した。循環液は、ポンプによって生物学的脱硫塔上部へ送られ、ガス方向に並行して1.6m/day散水した。処理温度は35℃に設定した。酸素含有気体には、空気(酸素濃度;体積比21%)を用いた。バイオガス中のメタン濃度は体積比80%、二酸化炭素濃度は体積比20%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
酸素含有気体量の制御方法の違いによる生物学的脱硫処理性能について検討した。本願発明は硫化水素負荷量で酸素含有気体供給量を制御するのに対し、対比例はガス流量との比率を一定にして酸素含有気体供給量を制御して比較した。
本願発明、対比例ともに、バイオガスの硫化水素濃度を1000ppm、3000ppm、6000ppmの3段階に調整した。バイオガス流量は8.3m/hrで一定とした。混合ガス硫化水素濃度は、循環ガス流量を調整して300ppmで一定とした。実験の評価期間はRunごとに5日間とした。表中の実験結果の値は、評価5日目の値である。
本願発明の実験結果(Run3−1〜Run3−3)を表2に示す。本願発明では、空気供給量は硫化水素負荷量に基づいて制御される。具体的には、硫化水素負荷量から硫酸化に必要な酸素量を計算し、得られた計算値の1.5倍量の酸素が供給されるように空気を供給した。
Run3−1は、硫化水素負荷量は0.3kg/(m/day)であり、空気供給量は0.14m/hrとした。Run3−1の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
Run3−2は、硫化水素負荷量は1.0kg/(m・day)であり、空気供給量は0.42m/hrとした。Run3−2の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
Run3−3は、硫化水素負荷量は2.0kg/(m・day)であり、空気供給量は0.85m/hrとした。Run3−3の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
次に、対比例の実験結果(Run3−4〜Run3−6)を表3に示す。対比例では、空気供給量はバイオガス流量に対して一定の比率となるように制御し、バイオガス流量に対して体積比で5.1%の空気量を供給した。具体的には、本実験ではバイオガス流量は8.3m/hrと一定であり、空気供給量は0.42m/hrとした。
Run3−4は、硫化水素負荷量は0.3kg/(m・day)だった。Run3−4の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
Run3−5は、硫化水素負荷量は1.0kg/(m・day)だった。Run3−5の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
Run3−6は、硫化水素負荷量は2.0kg/(m・day)だった。Run3−6では、硫化水素除去率は60%で、硫酸転換率は60%だった。
本願発明のRun3−1では、硫化水素負荷量0.3kg/(m・day)で0.14m/hrの空気量で十分な処理ができる。これに対して対比例のRun3−4では、処理したバイオガス中に未処理の空気が含まれるため、バイオガスの燃料としての価値が低下する。また、Run3−6では、硫酸化に必要な酸素量よりも不足し硫化水素除去率が低下するとともに、硫黄が析出して塔内を閉塞させる原因となった。
本願発明のように硫化水素負荷量で酸素含有気体供給量を制御することで、負荷に対して適切な量の酸素が供給され、硫化水素の除去性能および硫酸転換率も100%で処理でき、安定処理できた。
Figure 2015221431
Figure 2015221431
実施例3と同じ実験装置を用い、酸素濃度の異なる酸素含有気体を調整したときの処理性能について2つのRunで検証した。混合ガスは、生物学的脱硫塔内を下向流で流した。酸素含有気体は、バイオガス流入ラインにて混合された。
循環液は活性汚泥を用い、生物学的脱硫塔下部の循環液貯留液槽に貯留した。循環液は、ポンプによって生物学的脱硫塔上部へ送られ、ガス方向に並行して1.6m/day散水した。処理温度は35℃に設定したバイオガス中のメタン濃度は体積比80%、二酸化炭素濃度は体積比20%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
用いた酸素含有気体は、酸素濃度を体積比30%、窒素濃度を体積比70%に調整した気体(Run4−1)と、酸素濃度を体積比60%、窒素濃度を体積比40%に調整した気体(Run4−2)とした。
バイオガスは硫化水素濃度を6000ppmに調整した。バイオガス流量は8.3
/hrで一定とし、硫化水素負荷量は2.0kg/(m・day)とした。混合ガス硫化水素濃度は、循環ガス流量を調整して300ppmで一定とした。
酸素濃度の異なる気体を供給したときの実験結果(Run4−1〜Run4−2)を表4に示す。
Run4−1では、気体中の酸素濃度は体積比30%であり、気体供給量は0.59
/hrとした。Run4−1の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は
100%だった。
Run4−2では、気体中の酸素濃度は体積比60%であり、気体供給量は0.30
/dayとした。Run4−2の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率
は100%だった。
なお、実施例3でのRun3−3について、空気での酸素濃度は体積比21%であり、気体供給量は0.85m/hrとした。Run3−3の結果は、硫化水素除去率で
100%、硫酸転換率は100%だった。
本願発明の処理方式により、酸素濃度が異なる気体を用いても実験期間を通して硫化水素は100%除去でき、硫酸転換率も100%で良好に処理できた。
したがって、本願発明で処理することで酸素含有気体中の酸素濃度が異なっていても適切な量の酸素量を供給することができ、良好に処理できた。加えて、酸素濃度が高濃度であれば、供給する酸素含有気体量も少なくなり、バイオガスとしての価値も高くなる。
Figure 2015221431
図2の生物学的脱硫装置の中にポリエチレン製、比表面積が1000m/mであり、φ15mm×h15mmの円筒状の充填材を充填高さ2mとなるように充填し、充填材は1mとした。混合ガスは、生物学的脱硫塔内を下向流で流した。酸素含有気体は混合ガスラインに混合した。
循環液は活性汚泥を用い、生物学的脱硫塔下部の循環液貯留液槽に貯留した。循環液はポンプによって生物学的脱硫塔上部へ送られ、ガス方向に並行して1.6m/day散水した。処理温度は35℃に設定した。酸素含有気体には、空気(酸素濃度;21体積比%)を用いた。バイオガス中のメタン濃度は体積比80%、二酸化炭素濃度は体積比20%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
本実験では、バイオガスの硫化水素濃度を1000ppm、3000ppm、6000ppmの3段階に調整した。バイオガス流量は8.3m/hrで一定とした。混合ガス硫化水素濃度は、循環ガス流量を調整して300ppmで一定とした。実験の評価期間はRunごとに5日間とした。表中の実験結果の値は、評価5日目の値である。
実験結果(Run5−1〜Run5−3)を表5に示す。
Run5−1は、硫化水素負荷量は0.3kg/(m/day)であり、空気供給量は0.14m/hrとした。Run5−1の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
Run5−2は、硫化水素負荷量は1.0kg/(m・day)であり、空気供給量は0.42m/hrとした。Run5−2の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
Run5−3は、硫化水素負荷量は2.0kg/(m・day)であり、空気供給量は0.85m/hrとした。Run5−3の結果は、硫化水素除去率で100%、硫酸転換率は100%だった。
したがって、混合ガスラインに酸素含有気体を流入させた場合でも良好に処理できた。
Figure 2015221431
以上説明したように、本願発明によれば、高負荷での硫化水素を効率的に処理し、且つ処理する硫化水素を硫酸に転換することで装置内の閉塞をなくし、洗浄などの工程をなくして低コストで処理が可能なバイオガスの生物学的脱硫装置及び脱硫方法を提供することが可能となる。
0a バイオガス
0b 酸素含有気体
0c 処理ガス
0d 循環液
0e ブロー水
0f 補給水
1 生物学的脱硫塔
1a 充填層
1b 循環液貯留液槽
2 バイオガス流入ライン
3 ガス流量計
4 硫化水素濃度計
5 混合ガスライン
6 酸素含有気体流入ライン
7 酸素含有気体量供給調節機構
8 処理ガス流出ライン
9 循環ガスライン
10 循環ガス量調節機構
11 散水ライン
12 演算器
13 循環ガス信号伝達機構
14 酸素含有気体信号伝達機構
15 ガス流量信号入力ライン
16 流化水素濃度信号入力ライン

Claims (4)

  1. 生物学的脱硫塔内に循環液を散水して生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫装置において、
    該生物学的脱硫塔の端部より硫化水素を含むバイオガスを流入するためのバイオガス流入ラインを設け、
    該生物学的脱硫塔内に微生物が付着する充填材からなる充填層を設け、
    該生物学的脱硫塔のもう一方の端部であり該充填層の後段に処理ガスを排出するための処理ガス流出ラインを設け、
    該処理ガスの一部を生物学的脱硫塔の前記バイオガスが流入する端部に循環するための循環ガスラインを設け、
    該バイオガス流入ラインと該循環ガスラインとは合流後に該生物学的脱硫塔の端部に接続され、該バイオガスと該処理ガスの一部とを混合して該生物学的脱硫塔の端部に供給する混合ガスラインを設け、
    該バイオガス流入ラインにガス流量計を設け、
    該混合ガスラインに硫化水素濃度計を設け、
    該循環ガスラインに循環ガス量の調節機構を設け、
    混合ガスの硫化水素濃度が所定の範囲内となるように、前記循環ガス量の調節機構を作動させる循環ガスの信号伝達機構を具備することを特徴とする生物学的脱硫装置。
  2. 生物学的脱硫塔内に循環液を散水して生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫方法において、
    該生物学的脱硫塔内に微生物が付着する充填材からなる充填層を設け、
    該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側に硫化水素を含むバイオガスを流入するバイオガス流入工程と、
    該生物学的脱硫塔内の該充填層の下流側に処理ガスを排出する処理ガス流出工程と、
    該処理ガスの一部を該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側に循環する循環ガス工程と、
    該生物学的脱硫装塔内へ該バイオガスと前記処理ガスの一部を導入する際には、両者を混合して該生物学的脱硫塔内に導入する混合ガス工程とを有し、
    混合ガスの硫化水素濃度が所定の範囲内となるように、該循環ガス工程の循環ガス量を調節することを特徴とする生物学的脱硫方法。
  3. 該混合ガス工程における混合ガスの硫化水素濃度が100〜1000ppmであることを特徴とする請求項2に記載の生物学的脱硫方法。
  4. 前記ガス中の硫化水素濃度が、150〜500ppmであることを特徴とする請求項3に記載の生物学的脱硫方法。
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