JP6215257B2 - バイオガスの生物学的脱硫方法 - Google Patents

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Description

本願発明は、バイオガスの生物学的脱硫方法に係わり、詳しくはメタン発酵処理の工程で発生するバイオガスに含まれる硫化水素を硫酸に転換して効率的に処理する技術に関する。
有機性廃棄物または有機性廃水は水処理分野においてメタン発酵により処理され、メタンガスを主成分とするバイオガスが発生する。バイオガスはメタン発酵の方法によって濃度は異なるものの、主成分としてメタンを65〜85%、二酸化炭素を15〜35%、硫化水素を1000〜6000ppm程度含んでいる。発生したバイオガス中のメタンをボイラーの燃料として利用が可能であり、ボイラーから発生した蒸気は加温設備にて有効利用できる。また、バイオガスはガスエンジンの燃料となり、発電も可能である。
バイオガス中に含まれる硫化水素は、燃焼の際に亜硫酸ガス(SO)に酸化され、発生する亜硫酸ガスは水分に溶解すると硫酸となり、大気中に放出されると酸性雨の原因となるだけでなく、燃焼ガスが施設内で冷却されると凝縮した水分によって硫酸となり、腐食などの問題を生じさせる。
そのため、バイオガスを利用するためには、硫化水素を除去することが重要な課題となっている。
バイオガス中の硫化水素除去方法には、乾式脱硫方法があり、酸化鉄を主成分としたペレット状の脱硫剤を用いて硫化水素を除去する。乾式脱硫方法においては、硫化水素は、酸化鉄と化学的に反応するため、脱硫剤の硫化水素の除去量は、酸化鉄の存在量に概ね比例する。脱硫剤の硫化水素除去反応に関与する酸化鉄がなくなると除去性能は低下し、新規剤に交換する必要がある。
他の脱硫方法には、本願発明のように微生物を利用した生物学的脱硫方法がある。生物学的脱硫方法は、バイオガスに微量の空気又は酸素を供給して、硫化水素を微生物により、以下の(式1)(式2)に示す反応経路で硫黄(S)または硫酸(HSO)を生成させて除去する方法である。(式1)(式2)に関与する微生物は、充填材表面に付着したり浮遊することが可能であり、硫黄酸化細菌である好気性菌が自然界に多く存在する。微生物が関与するために、温度や水分は微生物の生存環境として必須である。
S + 1/2O → S + HO (式1)
S + 3/2O + HO → HSO (式2)
(式1)は硫化水素が硫黄酸化細菌により、単体硫黄(S)を生成する反応である。酸素が硫化水素の1/2mol以下の場合の主反応である。酸素が硫化水素の1/2molを超える場合には、硫黄酸化細菌によってさらに(式2)の反応を行い、硫酸(HSO)が生成する。硫化水素がすべて硫酸(HSO)に転換するには、硫黄酸化細菌の存在下で、理論的には酸素が硫化水素の2mol以上必要となる。
生物学的脱硫技術の一例として、特許文献1がある。
本方式では、処理が悪くなると、除去した硫化水素の一部は硫黄として析出し充填材に付着し、一部は硫酸に転換されている。析出した硫黄に対し、生物学的脱硫塔に水を張って曝気により剥離して処理性能を回復させる技術が記載されている。
担体に硫黄の析出がある場合、硫黄酸化菌が生成硫黄の付着により、生物反応が阻害されるため、当初の硫化水素除去能が加速度的に低下する欠点がある。
別な技術である特許文献2には、脱硫塔による処理ガスを循環させており、循環量の制御は脱硫塔後段に設置した圧力調整タンクの圧力値によって制御されており、圧力調整タンク後段でのガス利用設備で処理済のバイオガスの利用がない場合は圧力調整タンクにガスは貯留され、圧力調整タンク内のガスを脱硫塔への循環ガスとしている。
本方式において高濃度の硫化水素を含むバイオガスが流入した場合、圧力調整タンクの後段のガス利用設備で処理されたバイオガスが利用されていればバイオガスは循環されず、硫化水素の負荷が高い状態で処理されるため、硫黄が析出して脱硫性能が低下する原因を回避できないという欠点がある。
また、酸素含有気体の供給は、脱硫塔からの処理ガス流量に合わせて調整されており、脱硫塔後段の処理ガス流出ラインに設置した酸素濃度計で管理している。
本方式で酸素含有気体の供給量を制御した場合、硫黄が析出すると酸素を消費されなくなり、処理ガス中の酸素濃度が高くなり、酸素含有気体の供給量を低下させるように制御する。このため、本来は硫酸に転換するのに必要な酸素が不足して、硫黄の析出が促進され、処理性能がより低下する欠点がある。
特開2003−305328号公報 特開2006‐143780号公報
本願発明が解決しようとする課題は、上述した諸問題に鑑み、高負荷での硫化水素を効率的に処理し、且つ処理する硫化水素を硫酸に転換することで装置内の閉塞をなくし、洗浄などの工程をなくして低コストで処理が可能なバイオガスの生物学的脱硫方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願発明の生物学的脱硫方法は、以下の技術的特徴を備えている。
(1) 有機性廃棄物をメタン発酵させて発生したバイオガスから生物学的脱硫塔内に循環液を散水して生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫方法において、
該生物学的脱硫塔内に微生物が付着する充填材からなる充填層を設け、
該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側にバイオガスを流入するバイオガス流入工程と、
該生物学的脱硫塔内の該充填層の下流側に処理ガスを排出する処理ガス流出工程と、
該処理ガスの一部を該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側に循環する循環ガス工程とを有し、
該バイオガス流入工程における流入されるバイオガスの硫化水素濃度と該バイオガスのガス流量とから、該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側では、該充填剤に接触するガス中の硫化水素濃度が50〜1000ppmとなるように、硫化水素負荷量を算出することなく、該循環ガス工程の循環ガス量を調節することを特徴とする生物学的脱硫方法である。
(2) 該充填材に接触するガス中の硫化水素濃度が、150〜500ppmであることを特徴とする上記(1)に記載の生物学的脱硫方法である。
本願発明の生物学的脱硫方法を用いてバイオガスを処理することで、除去した硫化水素を硫酸に転換して硫黄の析出による閉塞の問題を解消し、高効率の生物学的な脱硫処理が維持される。
また、バイオガスの硫化水素濃度とガス流量から循環ガスの量や酸素含有気体の供給量を調節することで、4.0kg/(m3・day)までの硫化水素負荷量に対して、硫酸転換率が100%で処理できることを確認している。
検証実験で用いた本願発明に係る生物学的脱硫装置の概略図である。 充填材接触ガス硫化水素濃度と硫化水素除去率の関係を示すグラフである。 本願発明の生物学的脱硫装置の一例を示す概略図である。 循環ガス量調節機構の制御フローチャートを示す図である。 酸素含有気体供給調節機構の制御フローチャートを示す図である。
従来の生物学的脱硫方法では、本願発明の特徴である硫化水素濃度とガス流量の積で算出される硫化水素負荷量に対する概念がない。このため、低負荷での処理においても一定量の酸素含有気体を供給するため、バイオガス中に酸素含有気体成分が多くなり、バイオガスのメタン濃度が低下し燃料としての価値が低下する。硫化水素濃度が高濃度の場合、硫黄の析出を防止する操作条件がないために、反応等に流入したバイオガス中の硫化水素が硫黄酸化細菌の酸化反応が析出硫黄で阻害され、たとえ酸素含有気体量が十分にあったとしても、酸化細菌量の不足で硫酸までの反応が十分にできずに硫黄が析出する。生物学的脱硫塔の担体が3割程度硫黄に覆われると硫化水素が処理されずに排出されるといった処理不十分が起こる。
析出した硫黄は疎水性であるため、充填材に付着すると充填材表面に付着した微生物の表面を覆い活性を低下させる。硫黄は充填材の深部方向に向かって析出し続け、最終的には生物学的脱硫塔内の充填材を閉塞させる。硫黄は、一度析出すると充填材からの剥離が困難であり、何らかの手段で剥離処理を施しても当初の処理性能には戻らないため、生物学的脱硫の処理性能を維持するためには硫黄を析出させないで処理する工夫が肝要である。
本願発明者らは、硫黄を析出させずに生物学的脱硫の処理性能を維持する条件についてバイオガスプラントに装置を設置して検討した。
ここで、後述するガスの名称について、次のように定義する。
・バイオガス:メタン発酵によって発生したガスのことであり、酸素は含有していない。
・酸素含有気体:酸素を含む気体のことである。
・希釈ガス:酸素を含んでいないガスのことであり、バイオガスに混合させて硫化水素濃度を調節するためのガスである。本願発明の検証実験では窒素ガスを用いている。
・循環ガス:処理ガスの一部が循環ガス量供給調節機構によって再び生物学的脱硫塔に流入するガスのことである。
・充填材接触ガス:バイオガスと、希釈ガスと酸素含有気体との混合ガスまたは、バイオガスと循環ガスと酸素含有気体の混合ガスのことであり、生物学的脱硫塔内に流入し充填材に接触するガスのことである。
・処理ガス:生物学的脱硫塔から排出したガスのことである。
本願発明に係る検証実験は、次のような方法で実施した。検証実験で使用した生物学的脱硫装置を図1に示す。
バイオガス硫化水素濃度を希釈ガスで希釈するため、図1の脱硫装置には、希釈ガスライン14を設けた。
生物学的脱硫塔1に充填材を充填し、生物学的脱硫塔1に流入するバイオガス0aは、生物学的脱硫塔1の頂部から下向流で通気し、生物学的脱硫塔1の底部から処理ガス0cを排出した。
希釈ガス0gは、希釈ガス流入ライン14を通ってガス流量計4後段のバイオガス流入ライン2に供給した。
酸素含有気体0bは、酸素含有気体流入ライン5を通ってガス流量計4後段のバイオガス流入ライン2に供給した。
循環液は、生物学的脱硫塔1の下部の循環液貯留液槽1bから生物学的脱硫塔1の上部へ送られ、充填材に散水した。
酸素含有気体供給量は、除去硫化水素の硫酸への転換と微生物の活性が維持できるように、60L/day供給した。
散水量は、充填材が高湿度環境にあればよく、充填材に付着した微生物が処理の最中に微生物が活動できるのに十分な量とし、200L/dayとした。
処理温度についても同様に、反応に関与する微生物が活動できる環境下となるように、35℃に設定した。
充填材接触ガス濃度ごとに、表1に示すようにRunとして区分けし、本検証実験は図1で示す生物学的脱硫装置を3機用いて3Runずつ並行して行なった。実験の評価期間は30日間とした。
バイオガス中の硫化水素濃度は、バイオガス流入ライン2に設置した硫化水素濃度計3にて測定した。
硫化水素濃度計で計測できないその他のガスについて、充填材接触ガスは、バイオガス流量計4と生物学的脱硫塔1の頂部の間のバイオガス流入ライン2から吸引ポンプを用いてテドラバッグに採取した。処理ガス0cは、処理ガス流出ライン7から吸引ポンプを用いてテドラバッグに採取した。
テドラバッグに採取したガス中の硫化水素濃度は、硫化水素用検知管(ガステック製ガス検知管;4H)を用いて測定した。硫化水素濃度計3の値と硫化水素用検知管の値については、同一のガスに対し同じ濃度の値を示すことを確認した。
処理性能は、硫化水素除去率から単位充填材当たりの硫化水素除去量を計算して評価した。設定硫化水素負荷量2.0kg/(m・day)に対し、硫化水素除去率が90%以上(単位充填材当たりの硫化水素除去量として1.8kg/(m・day)以上)で処理が良好であると判断した。
硫化水素除去率の算出方法を以下の(式3)に示し、単位充填材当たりの硫化水素除去量の算出方法を以下の(式4)に示す。
硫化水素除去率[%]=(充填材接触ガス硫化水素濃度−処理ガス硫化水素濃度))[ppm]/充填材接触ガス硫化水素濃度[ppm]×100 (式3)
単位充填材当たりの硫化水素除去量[kg/(m・day)]=設定硫化水素負荷量[kg/(m・day)]×除去率[%]/100 (式4)
硫酸の転換状況を把握するため、循環液中の硫酸濃度についても調査した。
循環液は、生物学的脱硫塔下部の循環液貯留液槽から1日に1回の頻度でドレンコックにより採取した。
循環液採取量は、循環液量が著しく変動して実験条件に影響を及ぼさない量として、100mLとし、硫酸の測定は、イオンクロマトグラフ法で硫酸イオン濃度を測定した。
循環液は、日毎にブロー水を排水し、ブロー水量と同量の補給水を供給して循環液量を一定に保った。
硫酸転換率の算出は、1日当たりの硫酸転換量と、1日当たりの除去硫化水素量から求められ、1日当たりの硫酸転換量の算出方法を以下の(式5)に示し、1日当たりの除去硫化水素量を以下の(式6)に示し、硫酸転換率を以下の(式7)に示す。
硫酸転換量[kg−HSO/day]=(当日の硫酸濃度−前日の硫酸濃度)[kg−HSO/(L・day)]×循環液量[L] (式5)
除去硫化水素量[kg−HS/day]=単位充填材当たりの硫化水素除去量[kg/(m・day)]×充填容量[m] (式6)
硫酸転換率[%]=(硫酸転換量×(32/96)[kg−S/day])/(除去硫化水素量[kg−HS/day]×(32/34)[kg−S/kg−HS])×100 (式7)
生物学的脱硫方式で必要な酸素量について説明する。
生物学的脱硫方式で消費される酸素には、微生物による硫酸化での必要酸素量(O)と、微生物の呼吸に必要な酸素量(O)がある。本願発明の生物学的脱硫塔に供給する酸素含有気体供給量[kg−O/day]は、O+Oとなる。
硫酸化での必要酸素量(O)は、以下の(式8)で表される。
[kg−O/day]=除去硫化水素量[kg−HS/day]×32/34[kg−O/kg/HS]×2 (式8)
1mの充填材を用いて2kg/(m・day)の硫化水素負荷量で硫化水素を硫酸に酸化するときのOは、(式8)より3.8[kg−O/day]である。
生物学的脱硫において必要な酸素は、ガス体で供給される。
酸素含有気体として純酸素ガスを25℃で供給する場合には、純酸素ガス量は以下の(式9)で表される。
純酸素ガス量[m−O/day]=O[kg−O/day]/32×22.4×(273+25)/273/1000 (式9)
酸素含有気体として空気(酸素を21v/v%含有;25℃)を用いる場合、Oを含む空気量は以下の(式10)で表される。
空気量[m−air/day]=純酸素ガス量[m−O/day]×(100/21) (式10)
微生物量について、充填材1m当たりの付着量は 1kg−SS/mで、呼吸速度は5〜10mg−O/(g−SS・hr)であることが実験によりわかった。
充填材1mあたりに付着している微生物は1kg−SSであり、Oは0.12〜0.24kg−O/dayである。
このように、Oは、Oに比べて十分に小さいものの、微生物の活動を阻害しないようにするためにも、発明者らの実験によりOの1.5〜3倍量の酸素含有気体供給量が好ましいことがわかった。
供給する酸素量がOの1.5倍未満の場合は、微生物の硫酸化が遅れ、Oの3倍以上となると、処理ガス中に未反応の酸素含有気体が多く含まれ、処理ガス中のメタン濃度が下がり、燃料の価値が下がる。
検証実験でのガス処理条件を表1に示す。
バイオガス中の硫化水素濃度は6000ppm、バイオガス流量は1m/dayであり、設定硫化水素負荷量を2kg/(m・day)とした。
酸素含有気体の供給量は、Oの1.5倍量とした。
RunK−1−1は、バイオガスのみを処理し、希釈ガスは用いなかった。接触時間は340secだった。
RunK−1−2〜RunK−1−11は、希釈ガスを1〜59m/dayの範囲で供給し、充填材接触ガス硫化水素濃度を100〜6000ppmの範囲で調節した。
RunK−1−2では、充填材接触ガス流量を2m/dayとしたとき、接触時間は170secであり、RunK−1−11では、充填材接触ガス流量を60m/dayとしたとき、接触時間は6secだった。
Figure 0006215257
充填材接触ガス硫化水素濃度が生物学的脱硫処理におよぼす影響に関する実験結果を表2に示す。表中の実験結果の値は、評価30日目の値を記載した。
RunK−1−1において、評価開始から30日目には、処理ガス硫化水素濃度は5850ppm検出した。このときの硫化水素除去率3%であり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は0.05kg/(m・day)だった。硫酸転換率は30%となり、硫黄が析出した。
RunK−1−2〜RunK−1−9では、充填材接触ガス流量の増加に伴って硫化水素除去率は増加した。
RunK−1−6〜RunK−1−9では、充填材接触ガス硫化水素濃度を150〜500ppmの範囲で運転すると、硫化水素除去率90%以上であり、単位充填材当たりの硫化水素除去量1.8kg/(m・day)以上で処理できた。硫酸転換率は100%だった。
RunK−1−10〜RunK−1−11では、希釈ガス流量を増加させると硫化水素除去率は低下し、除去率は75%以下となり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は1.5 kg/(m・day)以下だった。しかし、硫酸転換率は100%を維持した。
Figure 0006215257
表2の充填材接触ガス硫化水素濃度と硫化水素除去率の関係を図2に示す。
充填材接触ガス硫化水素濃度が120ppmよりも低いとき、硫化水素除去率は75%以下だった。
充填材接触ガス硫化水素濃度が150ppm〜500ppmの濃度範囲で処理した場合、硫化水素除去率は90%以上で処理できた。
充填材接触ガス硫化水素濃度が600ppm以上になると、硫化水素濃度の増加に伴って硫化水素除去率は低下した。
表2に示すように、RunK−1−1では、充填材接触ガス硫化水素濃度は6000ppmであり、このとき単位充填材当たりの硫化水素除去量は0.05 kg/(m・day)だった。
RunK−1−7およびRunK−1−8では、充填材接触ガス硫化水素濃度はそれぞれ300ppmと200ppmであり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は2.0kg/(m・day)だった。
ガスと充填材の接触時間は、充填材接触ガス流量の増加に伴って短くなった。
RunK−1−1〜RunK−1−8では接触時間が短くなると単位充填材当たりの硫化水素除去量は増加し、RunK−1−8では接触時間11secであり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は2.0kg/(m・day)だった。
しかし、RunK−1−9では接触時間が8secであり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は1.8kg/(m・day)だった。
さらに、RunK−1−10において接触時間が6secとなると、単位充填材当たりの硫化水素除去量は1.5kg/(m・day)に低下した。
したがって、接触時間が短くなると単位充填材当たりの硫化水素除去量は増加するものの、更に接触時間が短くなると単位充填材当たりの硫化水素除去量は低下した。
これは、充填材接触ガス流量が増えて接触時間が短くなると、充填材に付着した微生物が十分に硫化水素を処理できず未処理の硫化水素が系外に流出することに起因する。
以下、検証実験結果を踏まえ、本願発明の実施の形態を説明する。本願発明の生物学的脱硫装置の一例を図3に示す。
本願発明では、有機性廃棄物をメタン発酵させて発生したバイオガスから生物学的脱硫塔1内に循環液を散水して生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫装置において、該生物学的脱硫塔の端部よりバイオガスを流入するためのバイオガス流入ライン2を設け、該生物学的脱硫塔内に微生物が付着する充填材からなる充填層1aを設け、該生物学的脱硫塔のもう一方の端部であり該充填層の後段に処理ガスを排出するための処理ガス流出ライン7を設け、該処理ガスの一部を生物学的脱硫塔の前記バイオガスが流入する端部に循環するための循環ガスライン8を設け、該バイオガス流入ライン2に硫化水素濃度計3とガス流量計4を設け、該循環ガスラインに循環ガス量の調節機構9を設け、該硫化水素濃度計によるバイオガス中の硫化水素濃度値と、該ガス流量計によるガス流量値から硫化水素負荷量を算出するための演算器11を設け、該演算器の硫化水素負荷量の算出結果により、前記循環ガス量の調節機構を作動させる循環ガスの信号伝達機構12を具備することを特徴とする。
本願発明者らは、本願発明の生物学的脱硫装置を用いて、長期間の連続実験を行ない、バイオガス中の硫化水素の濃度変動やバイオガスの流量変動のある条件でも効率よく、かつ安定して処理が行なえる方法について検討した。
有機性廃棄物をメタン発酵させて発生したバイオガスから生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫装置の一例を図3に示すが、本願発明は本実施態様に限定されない。
バイオガス0aを流入するためのバイオガス流入ライン2は、生物学的脱硫塔1の頂部に直結しており、バイオガス流入ライン2には硫化水素濃度計3とガス流量計4を設けている。
流化水素濃度値は、硫化水素濃度信号入力ライン15から演算器に入力し、ガス流量値は、ガス流量信号入力ライン16から演算器に入力する。
酸素含有気体流入ライン5は、バイオガス流入ライン2に直結しており、酸素含有気体0bの供給量は、酸素含有気体供給調節機構6によって調節した。
微生物が付着する充填材はポリエチレン製であり、形状がφ15mm×h15mmの円筒状のもので比表面積が1000m/mであり、生物学的脱硫塔1の充填層1aに充填した。
処理ガス流出ライン7は、生物学的脱硫塔1の下部に直結しており、処理ガス0cが系外へ排出する。
循環ガスライン8は処理ガス流出ライン7から分岐し、生物学的脱硫塔1の頂部に直結し、処理ガス0cの一部を循環させた。
循環ガス量は、循環ガス量調節機構9によって調節した。
循環液貯留液槽1bからの循環液0dは、生物学的脱硫塔1の上部から散水した。循環液貯留液槽1bから循環液0d中の硫酸濃度を調整するために間欠的に循環液の一部をブロー水0eとして排出し、補給水0fを補給して循環液貯留液槽1bの水量を一定に保った。
ここで、バイオガス流入ラインは、生物学的脱硫塔の頂部に直結しているが、生物学的脱硫塔の側面から直結してもよい。この場合、処理ガス流出ラインは、充填層と循環液貯留液槽の間に位置する生物学的脱硫塔の側面に直結している。
また、図3ではバイオガスは下向流で流れる仕組みであるが、バイオガス流入ラインを生物学的脱硫塔の充填層と循環液貯留液槽の間に位置する側面に直結して上向流でガスを流してもよい。この場合、処理ガス流出ラインは、充填層と生物学的脱硫塔の頂部の間の生物学的脱硫塔の側面に直結してもよく、生物学的脱硫塔の頂部に直結してもよい。
酸素含有気体供給調節機構は、ブロワなどの供給手段を用いてガスを供給してもよく、供給量の調節は、ブロワの回転数をインバータ制御してもよく、ブロワの後段にバルブ設置してバルブの開度で制御してもよい。
酸素含有気体は、酸素を含んでいる気体のことであり、空気または、純酸素または、酸素発生器により酸素濃度を調整したガスを用いてもよい。
酸素含有気体流入ラインは、バイオガス流入ラインに直結してもよく、生物学的脱硫塔の頂部に直結してもよく、生物学的脱硫塔の側面から直結してもよい。
図3では酸素含有気体は下向流で流れる仕組みであるが、バイオガスを上向流で流す場合には、酸素含有気体流入ラインを生物学的脱硫塔の充填層と循環液貯留液槽の間に位置する側面に直結してもよい。
微生物が付着する充填材は、pH1以下の強酸性下で使用できるような素材のものであればよく、例えば材質がポリエチレンやポリプロピレン、塩化ビニル、ポリウレタンなどの有機性物質が好ましい。
充填材の形状は、筒状や、網状骨格パイプやボール状やウニ状が好ましい。比表面積は50〜1000m/mの範囲が好ましい。空隙率は、80〜96%の範囲が好ましい。
ガス流量計は、オリフィス流量計や、容積流量計や、渦流量計や、流速式流量計等を用いることができ、容積式流量計は、実測乾式ガスメーターや、実測湿式を用いることができ、さらに、実測乾式ガスメーターは、膜式あるいは回転子式等を用いてもよい。
硫化水素濃度計は、定電位電解式による測定方法、硝酸銀電位差滴定法、イオン電極法、メチレンブルー吸光光度法、ガスクロマトグラフ法等を用いてもよい。また、検知管による硫化水素を測定してもよい。
該酸素含有気体供給調節機構及び/または循環ガス量供給調節機構を制御する方法は、上記の方法によって得られたガス流量及び/または硫化水素濃度の値をもとに、物理的な制御でも電気的な信号による制御でもよい。
図3では、処理ガス流出ラインは下向流で処理したガスを排出する仕組みであるが、バイオガスを上向流で流す場合には、生物学的脱硫塔の頂部と充填層の間に位置する生物学的脱硫塔の側面に直結してもよい。
循環ガスラインは、処理ガス流出ラインから分岐してもよく、生物学的脱硫塔端部に直結してもよい。また、充填塔の頂部と充填層の間に位置する側面に直結してもよい。
図3では循環ガスラインを生物学的脱硫塔の頂部に循環させているが、脱硫塔内を上向流で処理する場合には、循環ラインが充填層と循環液貯留液槽の間の生物学的脱硫塔の側面に直結するよう構成してもよい。
循環ガス量調節機構は、ブロワなどの供給手段を用いてガスを供給してもよく、供給量の調節は、ブロワの回転数をインバータで制御してもよく、ブロワの後段にバルブ設置してバルブの開度で制御してもよい。
散水ラインの一端は、循環液貯留液槽に貯留した循環液の水位よりも十分に低い位置の生物学的脱硫塔の側面に直結していることが好ましく、もう一端の散水ラインは生物学的脱硫塔の頂部と充填層の間に位置する生物学的脱硫塔の側面に直結してもよく、生物学的脱硫塔の頂部に直結してもよい。循環液は、ポンプなどの送液手段により散水ラインに連結される。
演算器は、バイオガス中の硫化水素濃度とバイオガス流量から硫化水素負荷量を演算できることが好ましく、酸素含有気体供給量は、硫化水素負荷量に基づき制御することが好ましく、充填材接触ガス硫化水素濃度範囲が50〜1000ppm、好ましくは150〜500ppmになるように循環ガス量を調節することが好ましい。
本願発明者らは、バイオガス中の硫化水素濃度とバイオガス流量の積から求められる硫化水素負荷量を演算し、硫化水素負荷量の値をもとに酸素含有気体の供給量を自動調節して余分な酸素含有気体供給量を含まずに最適な量を供給させた。
具体的には、バイオガス中の硫化水素濃度とバイオガス流量は逐次演算器に入力され、演算器によって逐次硫化水素負荷量が演算され、硫化水素負荷量に基づき、予め記憶された演算式に則って適切な量の酸素含有気体を供給できるように、酸素含有気体供給調節機構をフィードフォワード制御した。
また、本願発明者らは、適切な充填材接触ガス硫化水素濃度で生物学的脱硫処理できるような方法について検討した。具体的には、バイオガス中の硫化水素濃度が設定濃度以上(たとえば濃度として500ppm以上)になった場合、循環ガス量調節機構を稼動させ、充填材接触ガス硫化水素濃度が所定の濃度(例えば300ppm)となるように、循環ガス量を演算し、所定の循環ガス量を供給するように循環ガス量供給調節機構をフィードフォワード制御した。
循環ガス量調節機構の制御フローチャートの一例を図4に示す。
循環ガス量調節機構を硫化水素負荷量で制御する方法のフローチャートを図4−(a)に示す。
バイオガス中の硫化水素濃度とバイオガス流量から硫化水素負荷量が計算され、硫化水素負荷量をもとに、循環ガス量を計算して循環ガス量調節機構を作動させる。
また循環ガス量調節機構の別の制御方法として、硫化水素濃度で制御する方法もあり、図4−(b)に示す。
本方式では、バイオガス中の硫化水素濃度をもとに循環ガス量を計算して循環ガス量調節機構を作動させる。
次に、酸素含有気体供給調節機構の制御フローチャートの一例を図5に示す。
バイオガス中の硫化水素濃度とバイオガス流量から硫化水素負荷量が計算され、硫化水素負荷量をもとに、酸素含有気体供給量を計算して、酸素含有気体供給調節機構を作動させる。
次に、他の生物学的脱硫技術で得られた知見に基づき、生物学的脱硫処理したガスを生物学的脱硫塔上部へ循環させて処理したときの性能について検討した。
図3の生物学的脱硫装置において、生物学的脱硫塔1の中にポリエチレン製で、比表面積が1000m/mであり、φ15mm×h15mmの円筒状の充填材を2mとなるように充填した。生物学的脱硫塔に流入するガスは、生物学的脱硫塔1の頂部から下向流で流した。循環液として活性汚泥を用い、生物学的脱硫塔下部の循環液貯留液槽に貯留し、ポンプによって生物学的脱硫塔上部へ送られ、ガス方向に並行して散水した。
本実験は、硫化水素濃度6000ppmのバイオガスを用いた。
ここで、試験区1ではバイオガス中の硫化水素濃度6000ppmであり、試験区2ではバイオガス中の硫化水素濃度3000ppmであり、試験区3ではバイオガス中の硫化水素濃度1500ppmである。
バイオガス中のメタン濃度は80%、二酸化炭素濃度は20%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
試験区1におけるガス処理条件を表3に示す。硫化水素濃度;6000ppmのバイオガスを1m/dayで供給し、循環ガス量は、9〜49 m/dayの範囲で調節した。
試験区2におけるガス処理条件を表4に示す。硫化水素濃度;3000ppmのバイオガスを2m/dayで供給し、循環ガス量は、8〜48 m/dayの範囲で調節した。
試験区3におけるガス処理条件を表5に示す。硫化水素濃度;1500ppmのバイオガスを4m/dayで供給し、循環ガス量は、6〜46 m/dayの範囲で調節した。
本実験では、酸素30v/v%および窒素70v/v%に調整した酸素含有気体を用い、酸素含有気体供給量は、60L/dayとした。
散水量は、充填材が高湿度環境にあればよく、充填材に付着した微生物が処理の最中に微生物が活動できるのに十分な量とし、200L/dayとした。
処理温度についても同様に、反応に関与する微生物が活動できる環境下となるように、35℃に設定した。
充填材接触ガス流量ごとにRunとして区分けし、本実験は図3で示す生物学的脱硫装置を3機用いて並行して行なった。実験の評価期間は30日間とした。
バイオガス中の硫化水素濃度は、バイオガス流入ライン2に設置した硫化水素濃度計3にて測定した。
硫化水素濃度計で計測できないその他のガスについて、充填材接触ガスは、バイオガス流量計4と生物学的生物学的脱硫塔1の頂部の間のバイオガス流量ガスライン2から吸引ポンプを用いてテドラバッグに採取した。処理ガス0cは、処理ガス流出ライン7から吸引ポンプを用いてテドラバッグに採取した。
テドラバッグに採取したガス中の硫化水素濃度は、硫化水素用検知管(ガステック製ガス検知管;4H)を用いて測定した。
Figure 0006215257
Figure 0006215257
Figure 0006215257
実験結果について説明する。
試験区1における実験結果を表6に、試験区2における実験結果を表7に、試験区3における実験結果を表8に示す。表中の実験結果の値は、評価30日目の値を記載した。
試験区1の結果について、RunJ−1−1は、充填材接触ガス流量は10m/dayであり、接触時間は34secだった。本期間における処理ガス硫化水素濃度は平均して3000ppmだった。このときの硫化水素除去率50%であり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は1.0kg/(m・day)であり、硫酸転換率は100%だった。
RunJ−1−2で充填材接触ガス流量を12m/dayに増やしたときの接触時間は28secだった。本期間の処理ガス硫化水素濃度は、平均して450ppmだった。このときの硫化水素除去率93%となり、単位充填材当たりの硫化水素除去量1.9kg/(m・day)であり。硫酸転換率は100%だった。
循環ガス量を増やすと(RunJ−1−3〜RunJ−1−7)、充填材接触ガス流量が40m/day(RunJ−1−7)までは硫化水素除去率90%以上であり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は1.8kg/(m・day)以上だった。この時の接触時間は8〜23secだった。硫酸転換率は100%だった。
しかし、充填材接触ガス流量を50m/dayまで増やすと(RunJ−1−8)、接触時間は6secとなり、硫化水素除去率は65%に低下し、単位充填材当たりの硫化水素除去量は1.3kg/(m・day)に低下した。このときの硫酸転換率は100%だった。
RunJ−1−9は、従来方式としてバイオガスをそのまま処理させた。評価30日目の処理ガス硫化水素は5850ppmに達し、硫化水素除去率は3%であり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は0.05kg/(m・day)だった。硫酸転換率は30%となり硫黄が析出した。
試験区2および試験区3においても処理性能は試験区1と同じ傾向を示し、充填材接触ガス流量が12〜40m/dayの範囲では硫化水素除去率90%以上であり、従来方式と比べて本願発明による処理方式は高負荷でも処理性能は良好だった。
Figure 0006215257
Figure 0006215257
Figure 0006215257
循環ガス方式による処理可能な硫化水素負荷量について検証した。実験装置は、実施例1と同じ生物学的脱硫装置を用いた。循環ガス方式による処理可能な硫化水素負荷量に関する実験のガス処理条件および実験結果を表9に示す。
生物学的脱硫塔に流入するガスは、生物学的脱硫塔の頂部から下向流で流した。
循環液は、ポンプによって生物学的脱硫塔の上部へ送られ、ガス方向に並行して散水した。
硫化水素濃度3000ppmのバイオガスを用い、処理ガスを循環させて充填材接触ガス濃度が300ppmとなるように循環ガス量を調整した。
バイオガス中のメタン濃度は80%、二酸化炭素濃度は20%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
本実験の酸素含有気体供給量は、60L/dayとした。
散水量は、充填材が高湿度環境にあればよく、充填材に付着した微生物が処理の最中に微生物が活動できるのに十分な量とし、200L/dayとした。
処理温度についても同様に、反応に関与する微生物が活動できる環境下となるように、35℃に設定した。
充填材接触ガス流量ごとにRunとして区分けし、本実験は図3で示す生物学的脱硫装置を3機用いて並行して行なった。実験の評価期間は30日間とした。表中の実験結果の値は、評価30日目の値を記載した。
Figure 0006215257
実験結果について説明する。
RunJ−4−1は、バイオガス流量2m/dayに対して循環ガス量を18m/day供給し、充填材接触ガス流量を20m/dayにて処理した。接触時間は17secであり、硫化水素負荷量は2.0kg/(m・day)だった。
処理ガスから硫化水素は検出されず、単位充填材当たりの硫化水素除去量は2.0kg/(m・day)であり、硫酸転換率は100%だった。
RunJ−4−2は、バイオガス流量3m/dayに対して循環ガス量を27m/day供給し、充填材接触ガス流量を30m/dayにて処理した。接触時間は11secであり、硫化水素負荷量は3.0kg/(m・day)だった。
処理ガスからは硫化水素は検出されず、単位充填材当たりの硫化水素除去量は3.0kg/(m・day)であり、硫酸転換率は100%だった。
RunJ−4−3では、バイオガス流量3.5m/dayに対して循環ガス量31.5m/day供給し、充填材接触ガス流量を35m/dayにて処理した。接触時間は10secであり、硫化水素負荷量は3.5kg/(m・day)だった。
処理ガスの硫化水素は150ppmであり、硫化水素除去率は95%となり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は3.3kg/(m・day)だった。硫酸転換率は100%だった。
RunJ−4−4では、バイオガス流量が4.0m/dayに対して循環ガス量を36m/day供給し、充填材接触ガス流量を40m/dayにて処理した。接触時間は8secであり、硫化水素負荷量4.0kg/(m・day)だった。処理ガス中の硫化水素濃度は300ppmであり、硫化水素除去率は90%となり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は3.6kg/(m・day)だった。硫酸転換率は100%だった。
RunJ−4−5では、バイオガス流量4.2m/dayに対して循環ガス量を37.8m/day供給し、充填材接触ガス流量を42m/dayにて処理した。接触時間は7secであり、硫化水素負荷量は4.2kg/(m・day)だった。処理ガス中の硫化水素濃度は2500ppmであり、硫化水素除去率は17%になり、単位充填材当たりの硫化水素除去量は0.7kg/(m・day)だった。硫酸転換率も20%に著しく低下した。
したがって、本願発明である循環ガス方式を適用し、実施例1にて高負荷で処理できた充填材接触ガスの硫化水素濃度を300ppmとなるようにバイオガス流量と循環ガス量を一定に供給して処理したところ、4.0kg/(m・day)までの硫化水素負荷量であれば硫酸転換率が100%で処理できることがわかった。
実験装置は、実施例1と同じ装置を用い、酸素含有気体供給量の制御方法に関する本願発明の効果について検証した。
生物学的脱硫塔に流入するガスは、生物学的脱硫塔の頂部から下向流で流した。
種汚泥として活性汚泥を用い、生物学的脱硫塔の下部の循環液貯留液槽に貯留し、ポンプによって生物学的脱硫塔の上部へ送られ、ガス方向に並行して散水した。
酸素含有気体は、空気(酸素として21v/v%)を用いた。
本実験でのバイオガス中の硫化水素濃度は、時間ごとに次のように日変動した。
0:00〜 8:00(期間1): 1000ppm
8:00〜20:00(期間2): 6000ppm
20:00〜 0:00(期間3): 1000ppm
バイオガスの流量は、実験を通して1m/dayで一定とした。
バイオガス中のメタン濃度は65%、二酸化炭素濃度は35%であり、実施期間を通してほぼ一定だった。
酸素含有気体供給量の制御方法に関する実験の条件および結果を表10に示す。
本願発明における酸素含有気体供給量は、硫化水素負荷量で制御する方式とした。
酸素含有気体供給量は、Oの1.5倍量を供給するように設定し、硫化水素負荷量の変動に合わせて酸素含有気体供給量を変更した。つまり、期間1および期間3において硫化水素負荷量が0.3kg/(m・day)のとき、前述の(式8)〜(式10)に基づき10L/dayの酸素含有気体を供給した。
期間2において硫化水素負荷量が2.0kg/(m・day)のとき、(式8)〜(式10)に基づき60L/dayの酸素含有気体を供給した。
一方、対照系列の酸素供給方式は、バイオガス流量に対して一定の割合の酸素含有気体を供給することとした。
つまり、本実験で供給した酸素含有気体供給量は、本願発明で供給した酸素含有気体供給量と同じとするため、実験を通して35L/dayで一定供給した。
循環ガス量は、充填材接触ガス硫化水素濃度が300〜500ppmとなるように制御した。
散水量は、充填材が高湿度環境にあればよく、充填材に付着した微生物が処理の最中に微生物が活動できるのに十分な量とし、200L/dayとした。処理温度についても同様に、反応に関与する微生物が活動できる環境下となるように、35℃に設定した。充填材接触ガス濃度ごとにRunとして区分けし、本実験は図3で示す生物学的脱硫装置を2機用いて並行して行なった。評価期間は30日間とした。表中の実験結果の値は、評価30日目の値を記載した。
実験結果について説明する。
本願発明の期間1および期間3において、酸素含有気体供給量を10L/dayとしたとき、硫化水素除去率は100%、硫酸転換率は100%で処理できた。
対照系列の期間1および期間3において、酸素含有気体供給量を35L/dayとしたとき、硫化水素除去率100%であり、硫酸転換率は100%だった。
本願発明の期間2において、酸素含有気体供給量を60L/dayとしたとき、硫化水素除去率は100%、硫酸転換率は100%で処理できた。
対照系列の期間2において、酸素含有気体供給量を35L/dayとしたとき、処理ガス中の硫化水素濃度は1000ppmであり、硫化水素除去率83%で、硫酸転換率は80%だった。
本願発明での期間1および期間3では、酸素含有気体供給量がバイオガス流量1m/dayに対し10L/dayであれば硫酸転換率は100%となり、これ以上の酸素は必要ない。本期間でのバイオガス中のメタン濃度は65%であり、処理ガス中のメタン濃度は64.3%だった。
対照系列での期間1および期間3では、酸素含有気体供給量がバイオガス流量1m/dayに対し35L/dayと本願発明の3.5倍供給しており、未処理の酸素が処理ガス中に余分に含まれる。本期間でのバイオガス中のメタン濃度は65%であり、処理ガス中のメタン濃度は、62.8%となり、バイオガスの燃料としての価値が低下し、ボイラー等の失火の危険性がある。
本願発明のように硫化水素負荷量で酸素含有気体供給量を制御する方が負荷に追随して適切な量の酸素含有気体が供給され、硫化水素の除去性能および硫酸転換率も100%で処理でき、安定処理できた。
したがって、バイオガスへの酸素含有気体供給量の制御方式は、硫化水素負荷量の変動に合わせて処理する方が優位性は確認された。
Figure 0006215257
次に、対象比較で酸素量を増やしたときの除去性能について検討した。
酸素含有気体供給量の制御方法に関する比較実験のガス処理条件および実験結果を表11に示す。
本願発明の実験条件は、実施例2と同じである。
対照系列では、酸素含有気体供給量を35L/dayから60L/dayに変更して一定供給した。表中の実験結果の値は、評価期間30日目の値を記載した。
Figure 0006215257
実験結果について説明する。
本願発明の期間1および期間3において、酸素含有気体供給量を10L/dayとしたとき、硫化水素除去率は100%、硫酸転換率は100%で処理できた。期間2において、酸素含有気体供給量を60L/dayとしたとき、硫化水素除去率は100%、硫酸転換率は100%で処理できた。
対照系列の期間1および期間3において、酸素含有気体供給量を60L/dayとしたとき、硫化水素除去率100%であり、硫酸転換率は100%だった。期間2において、酸素含有気体供給量を60L/dayとしたとき、硫化水素除去率100%で処理でき、硫酸転換率も100%で処理できた。
本願発明の期間1および期間3での酸素含有気体供給量(バイオガス流量1m/dayに対し10L/day)であれば、硫酸転換率は100%となり、これ以上の酸素は必要ない。本期間でのバイオガス中のメタン濃度は65%であり、処理ガス中のメタン濃度は64.3%だった。
これに対し、対照系列の期間1および期間3での酸素含有気体供給量は、本願発明の6倍(バイオガス流量1m/dayに対し60L/day)供給しており、対照系列の処理ガス中には未処理の酸素が余分に含まれる。本期間でのバイオガス中のメタン濃度は65%であり、処理ス中のメタン濃度は61.0%となり、バイオガスの燃料としての価値が低下し、ボイラー等の失火の危険性がある。
以上説明したように、本願発明によれば、高負荷での硫化水素を効率的に処理し、且つ処理する硫化水素を硫酸に転換することで装置内の閉塞をなくし、洗浄などの工程をなくして低コストで処理が可能なバイオガスの生物学的脱硫装置及び生物学的脱硫方法を提供することが可能となる。
0a バイオガス
0b 酸素含有気体
0c 処理ガス
0d 循環液
0e ブロー水
0f 補給水
0g 希釈ガス
1 生物学的脱硫塔
1a 充填層
1b 循環液貯留液槽
2 バイオガス流入ライン
3 硫化水素濃度計
4 ガス流量計
5 酸素含有気体流入ライン
6 酸素含有気体供給調節機構
7 処理ガス流出ライン
8 循環ガスライン
9 循環ガス量調節機構
10 散水ライン
11 演算器
12 循環ガスの信号伝達機構
13 酸素含有気体の信号伝達機構
14 希釈ガスライン
15 硫化水素濃度信号入力ライン
16 ガス流量信号入力ライン

Claims (2)

  1. 有機性廃棄物をメタン発酵させて発生したバイオガスから生物学的脱硫塔内に循環液を散水して生物学的に硫化水素を除去する生物学的脱硫方法において、
    該生物学的脱硫塔内に微生物が付着する充填材からなる充填層を設け、
    該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側にバイオガスを流入するバイオガス流入工程と、
    該生物学的脱硫塔内の該充填層の下流側に処理ガスを排出する処理ガス流出工程と、
    該処理ガスの一部を該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側に循環する循環ガス工程とを有し、
    該バイオガス流入工程における流入されるバイオガスの硫化水素濃度と該バイオガスのガス流量とから、該生物学的脱硫塔内の該充填層の上流側では、該充填材に接触するガス中の硫化水素濃度が50〜1000ppmとなるように、硫化水素負荷量を算出することなく、該循環ガス工程の循環ガス量を調節することを特徴とする生物学的脱硫方法。
  2. 該充填材に接触するガス中の硫化水素濃度が、150〜500ppmであることを特徴とする請求項1に記載の生物学的脱硫方法。
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