JP6430451B2 - 湿式脱臭装置および脱臭方法 - Google Patents
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この種の臭気成分を含むガスを処理する方法の1つとして、脱臭塔内で循環する薬液を脱臭用担体に供給し、脱臭用担体表面でガス中の臭気成分と薬液とを反応させ臭気成分を除去する湿式脱臭装置を用いる方法が知られている。
H2S+NaClO→S+NaCl+H2O (式1)
H2S+2NaOH+4NaClO→Na2SO4+2H2O+4NaCl (式2)
処理対象のガスの硫化水素の濃度が数十[ppm]程度以下であるのに対し、薬液に溶解する炭酸ガスが同程度となるため、薬液の多くが炭酸ガスとの反応に消費されてしまい、薬液の使用効率が低くなる。そのため、薬液の使用量が増大するという課題がある。
硫黄系の臭気成分を含むガスを脱臭する湿式脱臭装置であって、
前記湿式脱臭装置は、
脱臭塔と、電解槽と、電解槽用制御装置と、第1の循環ポンプとを備え、
前記脱臭塔は、その内部に充填剤および循環薬液槽を備え、
前記充填剤は、酸化触媒を含有し、前記循環薬液槽上に配され、
前記循環薬液槽は、薬液を貯留するとともに、第1の配管を介して、前記脱臭塔の外部に配した前記第1の循環ポンプに接続され、
前記第1の循環ポンプは、第2の配管を介して、前記脱臭塔の外部に配した前記電解槽に接続され、
前記電解槽用制御装置は、前記電解槽と電気的に接続されており、
前記電解槽は第3の配管を介して前記脱臭塔に接続されており、
前記薬液は、塩化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムを含有する水溶液であり、
前記次亜塩素酸ナトリウムは、電気分解生成次亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする。
前記脱臭塔は、その内部において前記充填剤の上部に配置された薬液噴射部を備え、
前記前記電解槽と前記第1の循環ポンプとを接続する前記第2の配管の経路に設けられた分岐点において、第4の配管が分岐し、
前記第4の配管は、前記薬液噴射部に接続されていることを特徴とする。
また、1台の循環ポンプを使用し、充填剤への薬液の供給と、電解槽への供給を行うことができ、装置の製造コストの低減、省スペース化を実現することができる。
前記脱臭塔は、その内部において前記充填剤の上部に配置された薬液噴射部を備え、
前記第3の配管は、前記薬液噴射部に接続されていることを特徴とする。
さらに記脱臭塔の外部に配した第2の循環ポンプを備え、
前記脱臭塔は、その内部において前記充填剤の上部に配された薬液噴射部を備え、
前記循環薬液槽は、第5の配管を介して、前記第2の循環ポンプが接続され、
前記第2の循環ポンプは、第6の配管を介して、前記薬液噴射部に接続されていることを特徴とする。
循環薬液槽に貯留された前記薬剤のpH値が、7.5〜10の範囲内であることを特徴とする。
前記硫黄系の臭気成分を含むガスは、炭酸ガスを3000[ppm]以上含有することを特徴とする。
前記電解槽に接続された前記第2の配管に次亜塩素酸ナトリウム濃度計が設置され、
前記次亜塩素酸ナトリウム濃度計の出力信号線が前記電解槽用制御装置に接続されていることを特徴とする。
湿式脱臭装置の脱臭塔に炭酸ガスの含有率が3000[ppm]以上であり硫黄系臭気成分を含むガスを導入する工程と、
塩化ナトリウム水溶液を含有する薬液を循環ポンプにより前記脱臭塔内に循環させる工程と、
前記薬液の塩化ナトリウム水溶液を電解槽において電気分解し、前記薬液中に次亜塩素酸ナトリウムを生成する工程と、
前記循環する薬液の次亜塩素酸ナトリウム濃度を次亜塩素酸ナトリウム濃度計により測定し、測定結果を前記電解槽用の制御装置に出力する工程と、
前記薬液を酸化触媒を含有する充填剤に噴霧する工程と、
前記充填剤表面において、前記ガスの硫黄系臭気成分と前記薬液とを反応させる工程とを含むことを特徴とする。
1日の所定の時間帯において、次亜塩素酸ナトリウムの生成量を増大させることを特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態における湿式脱臭装置の構成を示す。
脱臭塔1のガス流入口2から、処理対象である硫黄系の臭気成分、例えば硫化水素、を含むガス3が取り入れられ、ガス3は脱臭塔1の上方へと移動する。なお、ガス3は、図示しないファン(脱臭ファン)等でガス流入口2に導入することができる。
なお、ガス流入口2は、例えば配管で構成され、例えばし尿処理場のガス3の発生源からファン等で輸送されたガス3を、脱臭塔1内へ導入する。
放出された薬液5は、薬液噴射部4の下方に位置する充填剤7の表面に付着する。充填剤7は、多孔性湿式セラミック等からなる酸化触媒を含み、充填剤7の触媒作用により、その表面において、薬液5とガス3とが化学的に反応する。その後ガス3はガス放出口6から脱臭塔1外に放出される。
循環薬液槽8に設けられた排出口9は、配管10により、循環ポンプ11の入口に接続されている。
循環ポンプ11の出口(薬液5の吐出部)には、配管12が接続され、分岐点13において、配管14と配管15とに分岐される。
なお、制御装置20は、電解槽17に内蔵されていても良い。
ただし、電解槽17において、圧力損失が発生するため、配管14内の薬液5と配管18内の圧力とが同じになるよう、補助のポンプを電解槽17の下流に設けるか、配管18と配管14との合流点と、分岐点13との間の配管14部分に圧力調整器を設置する等の追加の処置が必要になる。
NaCl+H2O → NaOH+NaOCl+H2 (式3)
発生した水素は、ガス放出口6から脱臭塔1外に放出され、爆発限界以下に十分希釈され大気に放出される。
なお、電解槽17としては、上記のとおり、塩化ナトリウム水溶液から次亜塩素酸ナトリウムを発生することができるものであれば良い。方式は、無隔膜型、有隔膜型のいずれを使用しても良いが、例えば、構造の簡単な無隔膜型を使用することができる。
このような高いレベルの炭酸ガスが存在すると、薬液5に溶け込む炭酸ガスの濃度は、例えば約15[ppm]となり、処理対象の臭気成分である硫化水素の濃度、例えば20[ppm]と、同程度になる。その場合、硫化水素の反応に使用される薬液5が、炭酸ガスとの反応に使用されるため、臭気成分の除去効率が低下してしまう。
pH値が高いと、薬液5と炭酸ガスとの反応が増大するため、薬液5の排ガスに含まれる臭気成分の除去効率が低下する。さらに、薬液5の水溶液を生成するための水として、地下水のようにミネラル成分が多い硬水を使用すると、溶け込んだ炭酸ガスとミネラル成分とが反応し、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の析出物が生成されやすくなる。
従って、pHを10以下にすることにより、炭酸ガスと薬液5との不要な反応を抑制することができる。
ここで、次亜塩素酸ナトリウム要求値が低いことは、硫化水素1モルに対する次亜塩素酸ナトリウムのモル数が少ない(式1)の反応が優先的に生ずることを意味し、次亜塩素酸ナトリウム要求値が高いことは、硫化水素1モルに対する次亜塩素酸ナトリウムのモル数が多い(式2)の反応が優先的に生ずることを意味する。
ただし、これに限らず、(式2)の反応を優先的に発生させる触媒であれば良い。
また、電気分解により塩化ナトリウム水溶液から、次亜塩素酸ナトリウムを生成するため、市販されている高額な次亜塩素酸ナトリウムの補給、貯蔵、維持管理を必要としない。
そのため、従来の湿式脱臭装置と異なり、薬液を貯蔵するためのタンクを必要とせず、ポンプも1台で良い。
電解槽17において生成する次亜塩素酸ナトリウムの量は、電解槽17に投入する電力により制御することができるが、電解槽17を流れる薬液5の流量によっても制御することができる。すなわち、配管15に流れる薬品5の流量を増減することにより、次亜塩素酸ナトリウムの量を増減することができる。
また、処理対象のガス中の硫化水素濃度に合わせて、調整しても良い。
一定量の薬液5の排出は、循環ポンプ11の下流側、例えば配管14の途中で、配管15と同様の分岐配管およびバルブを設け、バルブ開度で流量を調整し、薬液5の一部、例えば3%を排出すれば良い。排出された薬液5に含有されている塩化ナトリウム量は、循環薬液槽8に、固形もしくは水溶液の形態で補充すればよい。
湿式脱臭装置の構成は以下の通り。
脱臭塔1の塔径:200[φ]
脱臭風量:1.13[m3/分]
塔内流速:0.6[m/秒]
充填剤:一芯社製湿式酸化触媒
充填高さ:0.6[m]
接触時間:1.0[秒]
散水流量:2.8[L/分]
電解槽:デノラ・ペルメレック社製 電解槽 DN1型
電解槽への通水量:0.7[L/分]
次亜塩素酸ナトリウム濃度計:バイオニクス社製 RC1202P
脱臭ファン:セイコー化工機社製 FTF 153
試験に使用したテスト臭気および検証用の臭気成分測定器は以下の通り。
テスト臭気成分:硫化水素ガス 20[ppm]
テスト臭気成分測定器:ガステック社製検知管No.4L 2.5〜60[ppm]
No.4LT0.1〜2.0[ppm]
この場合の電解槽17の投入電力は0.17[kW/H]であり、年間の電力コストは22006円である。
検証結果は表2にまとめる。
従って、本実施形態の湿式脱臭装置を用いることにより、ランニングコストを大幅に(約70%)低減できる効果を確認できた。
図1に示す湿式脱臭装置の構成は、循環ポンプ11の下流側で、薬液5の流路を分岐し、薬液5の一部を電解槽17に導入して電気分解し、次亜塩素酸ナトリウムを生成していた。
薬液5は、循環ポンプ11により、循環薬液槽8、配管10、循環ポンプ11、配管12、電解槽17、配管14および薬液噴射部4の順に、循環する。
湿式脱臭装置の構成として、図5に示すとおり、電解槽17に薬液5を供給するための循環ポンプと、薬液噴射部4に薬液5を供給する循環ポンプとを別個に設け、それぞれの循環ポンプにおいて薬液5を循環させる流路を独立して設けても良い。
第1の循環ポンプ30の出口には、配管31の一端が接続され、配管31の他端は、電解槽17の入口に接続されている。
電解槽17の出口には、配管32が接続されており、配管32の他端は脱臭塔1内部において、循環薬液槽8の上部に配されている。
配管31には、濃度計21が接続されており、濃度計21により計測された次亜塩素酸ナトリウムの濃度は、制御装置20に濃度信号ライン22によって出力される。
従って、第2循環ポンプ33により、循環薬液槽8の薬液5は、配管35、配管36を経由し、脱臭塔1内の薬液噴射部4から放出され、その後充填剤7を経由して循環薬液槽8に戻る。
また、次亜塩素酸ナトリウムの生成量は、循環ポンプ30による電解槽17への薬液5の流量によっても制御することができる。
し尿処理場等から発生する臭気成分を含有するガスは、し尿の回収作業や人の生活習慣等により、周期的に変化することがある。図6は、臭気成分である硫化水素濃度の時間変化のパターンを模式的に示す。
図6に示すように、一日のうちで硫化水素が一定に発生するのでは無く、特定の時間帯に集中して発生することがある。
図6においては、朝8時頃に第1のピークがあり、夕方4時頃に第2のピークがある例を示すが、この例に限らず、例えば1つ、あるいは3つ以上のピークを有する場合もある。
上記は2つのピークを有する臭気成分を含有するガスの発生パターンを例にしたが、ピークの数に応じて、そのピークの時間帯に併せて、次亜塩素酸ナトリウムの発生量を増大させれば良い。
また、各ピークの硫化水素の濃度の極大値は一般に異なるため、その各時間帯のピークに合わせて次亜塩素酸ナトリウムの発生量を決定する。
もしくは、電解槽17に流入させる薬液5の流量を、所定の時刻において増大させても良い。この場合、例えば図1において、バルブ24とバルブ25の開度を、所定の時刻において変えることにより実現できる。
また、上記2つの方法、すなわち制御装置20の濃度設定値および電解槽17の薬液流量の変更を組合せても良い。
2 ガス流入口
3 ガス
4 薬液噴射部
5 薬液
6 ガス放出口
7 充填剤
8 循環薬液槽
9 排出口
10 配管
11 循環ポンプ
12 配管
13 分岐点
14 配管
15 配管
16 取り入れ口
17 電気分解槽
18 配管
19 電源線
20 制御装置
21 濃度計
22 濃度信号ライン
23 pH計
24 バルブ
25 バルブ
26 流量計
27 流量計
28 排出口
29 配管
30 循環ポンプ
31 配管
32 配管
33 排出口
Claims (9)
- 硫黄系の臭気成分を含むガスを脱臭する湿式脱臭装置であって、
前記湿式脱臭装置は、
脱臭塔と、電解槽と、電解槽用制御装置と、第1の循環ポンプとを備え、
前記脱臭塔は、その内部に充填剤および循環薬液槽を備え、
前記充填剤は、式(1)よりも式(2)を優先的に反応させる酸化触媒を含有し、前記循環薬液槽上に配され、
前記循環薬液槽は、薬液を貯留するとともに、第1の配管を介して、前記脱臭塔の外部に配した前記第1の循環ポンプに接続され、
前記第1の循環ポンプは、第2の配管を介して、前記脱臭塔の外部に配した前記電解槽に接続され、
前記電解槽用制御装置は、前記電解槽と電気的に接続されており、
前記電解槽は第3の配管を介して前記脱臭塔に接続されており、
前記薬液は、塩化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムを含有する水溶液であり、
前記次亜塩素酸ナトリウムは、電気分解生成次亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする湿式脱臭装置。
但し、式(1)、式(2)は下記の化学反応式で定義されるものとする。
H 2 S+NaClO→S+NaCl+H 2 O (式1)
H 2 S+2NaOH+4NaClO→Na 2 SO 4 +2H 2 O+4NaCl (式2) - 前記脱臭塔は、その内部において前記充填剤の上部に配置された薬液噴射部を備え、
前記電解槽と前記第1の循環ポンプとを接続する前記第2の配管の経路に設けられた分岐点において、第4の配管が分岐し、
前記第4の配管は、前記薬液噴射部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の湿式脱臭装置。 - 前記脱臭塔は、その内部において前記充填剤の上部に配置された薬液噴射部を備え、
前記第3の配管は、前記薬液噴射部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の湿式脱臭装置。 - 前記湿式脱臭装置は、さらに前記脱臭塔の外部に配した第2の循環ポンプを備え、
前記脱臭塔は、その内部において前記充填剤の上部に配された薬液噴射部を備え、
前記循環薬液槽は、第5の配管を介して、前記第2の循環ポンプが接続され、
前記第2の循環ポンプは、第6の配管を介して、前記薬液噴射部に接続されていることを特徴とする請求項1記載の湿式脱臭装置。 - 循環薬液槽に貯留された前記薬剤のpH値が、7.5〜10の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の湿式脱臭装置。
- 前記硫黄系の臭気成分を含むガスは、炭酸ガスを3000[ppm]以上含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の湿式脱臭装置。
- 前記電解槽に接続された前記第2の配管に次亜塩素酸ナトリウム濃度計が設置され、
前記次亜塩素酸ナトリウム濃度計の出力信号線が前記電解槽用制御装置に接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の湿式脱臭装置。 - 湿式脱臭装置の脱臭塔に炭酸ガスの含有率が3000[ppm]以上であり硫黄系臭気成分を含むガスを導入する工程と、
塩化ナトリウム水溶液を含有する薬液を循環ポンプにより前記脱臭塔内に循環させる工程と、
前記薬液の塩化ナトリウム水溶液を電解槽において電気分解し、前記薬液中に次亜塩素酸ナトリウムを生成する工程と、
前記循環する薬液の次亜塩素酸ナトリウム濃度を次亜塩素酸ナトリウム濃度計により測定し、測定結果を前記電解槽用の制御装置に出力する工程と、
前記薬液を、式(1)よりも式(2)を優先的に反応させる酸化触媒を含有する充填剤に噴霧する工程と、
前記充填剤表面において、前記ガスの硫黄系臭気成分と前記薬液とを反応させる工程とを含むことを特徴とする硫黄系の臭気成分を含むガスの脱臭方法。
但し、式(1)、式(2)は下記の化学反応式で定義されるものとする。
H 2 S+NaClO→S+NaCl+H 2 O (式1)
H 2 S+2NaOH+4NaClO→Na 2 SO 4 +2H 2 O+4NaCl (式2) - 1日の内の所定の時間帯において、次亜塩素酸ナトリウムの生成量を増大させることを特徴とする請求項8記載の脱臭方法。
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