JP6202804B2 - 空気清浄装置 - Google Patents

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Description

本発明は、除菌、消臭、除塵、ガス除去の機能を備える空気清浄装置に関するものである。
従来、例えば図8に示すような除菌装置が知られている。これは、空気1の流れ方向において上流側に除菌エレメント2を配置し、その下流側にエリミネータ3を配置して、除菌エレメント2に電解次亜水を滴下するものである。電解次亜水は、電解槽4に水道水5と食塩水6を供給し、電解槽4の電解電極7に通電して電気分解により発生させており、電解槽4で発生した電解次亜水をポンプ8で除菌エレメント2に供給している。
除菌エレメント2とエリミネータ3の下方には貯水槽9が配置してあり、滴下供給された電解次亜水を回収して電解槽4へ戻している。
特許文献1に記載された除菌脱臭空調システムは、空気を循環させる送風機と、温湿度調整を行う冷却および加熱コイルと、殺菌水を空気と接触させる水膜を形成する除菌脱臭エレメントと、殺菌水を供給するための殺菌水生成装置とを備え、殺菌水生成装置によって生成された殺菌水を除菌脱臭エレメントに供給するものである。
特開2003−227622
特許文献1の除菌脱臭空調システムでは、常に新しい殺菌水を噴霧や滴下により除菌脱臭エレメントに供給しているため、常に強力な除菌能力を維持することができるが、殺菌水をワンパスで使用しているため、殺菌水の使用量が多くなるという欠点を有している。
上述した図8に示す電解次亜水を使用する除菌装置では、電解次亜水がpH8−9で次亜塩素酸イオン(CLO)が主成分となり、次亜塩素(HCLO)が少なくなるために、殺菌速度が遅くて菌が完全に除菌されないまま、再び空気との気液接触に供される可能性がある。
このため、貯水槽9で回収した電解次亜水を電解槽4で再度電気分解して殺菌能力を再生することが必要となり、常時、電解槽4と食塩水6の供給とを稼働させておく必要がある。
本発明は上記した課題を解決するものであり、殺菌剤溶液が空気中において菌と気液接触して殺菌を行なう空気清浄装置を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明の空気清浄装置は、除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、希釈水系は、循環槽または循環系に希釈水を供給し、薬剤供給装置は、循環槽内の殺菌剤溶液の流れ方向において希釈水の供給位置よりも上流側の位置に未使用領域を形成し、噴霧装置は希釈水で薄められて濃度の低くなった殺菌剤溶液を噴霧することを特徴とする。
本発明の空気清浄装置は、除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系とを備え、循環槽の上方にメディアを配置し、薬剤供給装置は、メディアの下方近傍かその上流側の位置において循環槽に殺菌剤溶液の原液を供給することを特徴とする。
本発明の空気清浄装置は、除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、薬剤供給装置は、殺菌剤溶液の原液に希釈水系が供給する稀釈水を混合して前記巡廻系に供給することを特徴とする。
本発明の空気清浄装置は、除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、希釈水系は、前記循環系に希釈水を供給することを特徴とする。
本発明の空気清浄装置は、除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、薬剤供給装置は、微酸性電解水を生成する生成装置と、生成装置と循環槽の間に配置する中継槽を有することを特徴とする。
本発明の空気清浄装置において、メディアが噴霧装置の下流側、または噴霧装置の上流側に配置され、噴霧装置がメディアに達する噴霧水を噴霧することを特徴とする。
以上のように本発明によれば、殺菌剤溶液の原液として微酸性電解水を循環槽と循環系と噴霧装置と通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に供給し、除菌対象空気に直接に噴霧することで、微酸性電解水の主成分である次亜塩素酸(HCLO)の殺菌力の強さ、反応性の高さを利用して空気中の菌を除菌することができる。殺菌剤溶液を除菌エレメントに滴下するのではなく、空気中に直接に噴霧するので、空気中の浮遊菌や塵埃を殺菌剤溶液中に取り込むことができ、除菌に加えて除塵も実現できる。
また、微酸性電解水の主成分である次亜塩素酸(HCLO)は殺菌作用が高く、殺菌力が回復するまでの再生時間が短い。このため、微酸性電解水を原液とする殺菌剤溶液を使用し、噴霧した殺菌剤溶液を循環槽で受け止め、循環槽で殺菌力が再生した殺菌剤溶液を再度噴霧して再利用することで、噴霧量に相当する量の殺菌剤溶液を常時に巡廻系の外部から噴霧装置に供給せずとも殺菌剤溶液の噴霧を連続して行なうことができ、巡廻系に供給する殺菌剤溶液の原液や希釈水の使用量を低減することができるとともに、殺菌剤溶液自体の使用量を低減することができる。
また、希釈水系は、循環槽または循環系に希釈水を供給し、薬剤供給装置は、循環槽内の殺菌剤溶液の流れ方向において希釈水の供給位置よりも上流側の位置に未使用領域を形成するので、循環槽の殺菌剤溶液の原液が投入される部位に未使用で殺菌剤溶液の濃度の高い未使用液領域が形成される。そのため、噴霧により空気中の菌を取り込み、循環槽に流れ込んだ殺菌剤溶液が未使用液領域を通過する。よって、噴霧によって捕捉した菌を殺菌剤溶液が噴霧される前に確実に殺菌することが可能であり、捕捉した菌が殺菌剤溶液の噴霧に伴って再飛散することがなくなり、安全性のより高い空気を供給できる。
本発明の実施の形態における空気清浄装置を示す模式図 本発明の他の実施の形態における要部を示す模式図 本発明の他の実施の形態における要部を示す模式図 本発明の他の実施の形態における要部を示す模式図 有効塩素濃度と大腸菌群を99%殺菌するのに要する時間との関係を示すグラフ図 有効塩素残留率とpHの関係を示すグラフ図 本発明の他の実施の形態における空気清浄装置を示す模式図 従来の構成を示す模式図
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、空気清浄装置は、ハウジング50が除菌対象空気51が上流側から下流側に流れる通気路52を形成しており、ハウジング50の内部には除菌対象空気51の流れ方向において上流側から下流側へ順次に、プレフィルター501、エリミネータ502、噴霧装置53、メディア503、ミストセパレータ504、中性能フィルタ505が配置してある。噴霧装置53は通気路52を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧するもので、除菌対象空気51の流れ方向の下流側に向けた複数の噴霧ノズル531を備えている。
噴霧装置53の下流側に配置したメディア503は、液体保持量が高いほど良く、例えば、ポリ塩化ビニルデン系繊維やステンレスの線材等の材料からなる繊維を、空隙率を高くして規則的に編みこんだり、不規則に密集させて、10〜50mm程度の厚みを有するマット状にしたものである。
噴霧装置53およびメディア503の下方には循環槽54が設けてあり、循環槽54は通気路52から降下する殺菌剤溶液およびメディア503から落下する殺菌剤溶液を受け止めるものである。循環槽54と噴霧装置53の間には循環系55が配設してあり、循環系55は循環ポンプ551を有して循環槽54の殺菌剤溶液を噴霧装置53に供給するものである。
噴霧装置53とハウジング50の通気路52と循環槽54と循環系55とで殺菌剤溶液の巡廻系が形成されている。
この巡廻系の中の循環槽54に殺菌剤溶液の原液である微酸性電解水を供給する薬剤供給装置56は、微酸性電解水を生成する電解槽をなす生成装置561と、生成装置561に薬品搬入容器562から原料薬液の塩酸水を供給する開閉バルブ563dを介装した原料供給系563と、生成装置561に希釈用の水を供給する減圧弁564を介装した給水系565と、循環槽54と生成装置561の間に配置する中継槽566と、生成装置561から微酸性電解水を中継槽566に供給する供給ポンプ567を介装した薬剤供給系568と、中継槽566から循環槽54へ微酸性電解水を供給する中継ポンプ569を介装した中継系570を備えている。
微酸性電解水は、「微酸性次亜塩素酸水」の名称で食品添加物の殺菌剤に指定された電解水である。この微酸性次亜塩素酸水の定義は、「食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月28日厚生省告示第370号)」および「平成24年04月26日厚生労働省告示第345号」によれば、塩酸又は塩酸に塩化ナトリウム水溶液を加えて適切な濃度に調整した水溶液を無隔膜電解槽(隔膜で隔てられていない陽極及び陰極で構成されたものをいう。)内で電解して得られる水溶液であって、主な有効成分が次亜塩素酸(HCLO)であり、pH5.0−6.5、有効塩素濃度10−80mg/kgである。
次亜塩素酸(HCLO)は塩素ガスが水に溶解することにより生成し、図6に示すように、水のpHにより次亜塩素酸(HCLO)と次亜塩素酸イオン(CLO)の存在比が変化するものであり、微酸性電解水のpH領域ではHCLOが圧倒的に多くなる。HCLOとCLOはどちらも殺菌力を有するが、HCLOが圧倒的に強い。
給水系565から分岐した希釈水系571が循環槽54に連通しており、希釈水系571は分岐点から下流側の位置に希釈水制御バルブ572および流量調整弁573を順次に介装している。さらに、希釈水制御バルブ572の上流側において給水系565から分岐した希釈水初期給水系574が流量調整弁573の下流側で希釈水系571に連通しており、希釈水初期給水系574に初期給水制御バルブ575を介装している。
また、薬剤供給系568から供給ポンプ567の下流側で分岐した薬剤初期供給系576が循環槽54に連通しており、薬剤初期供給系576に薬剤制御バルブ577を介装している。
循環槽54は内部がストレーナ541によって一次領域542と二次領域543に仕切られており、循環槽54の二次領域には循環系55および中継系570と薬剤初期供給系576が連通している。一次領域542は噴霧装置53およびメディア503の下方に位置して希釈水系571が連通しており、一次領域542の一側の上部にはオーバーフロー管546が連通し、底部には排水バルブ544を介して排水系545が連通している。
以下、上記した構成の作用を説明する。
(薬剤生成)
薬剤供給装置56は、開閉バルブ563dを開放した状態で原料供給系563を通して薬品搬入容器562から原料薬液の塩酸水を生成装置561に供給するとともに、給水系565から生成装置561に減圧弁564を介して希釈用の水を供給し、生成装置561において2−21%塩酸水を被電解液とする。
そして、生成装置561において被電解液を電解して微酸性電解水を生成し、10−30mg/Lの微酸性電解水を供給ポンプ567により薬剤供給系568を通して中継槽566に供給し、さらに中継ポンプ569により中継系570を介して中継槽566から循環槽54へ微酸性電解水を供給する。
(薬剤供給初期時)
運転初期時等において循環槽54に殺菌剤溶液を満たす場合に、薬剤供給装置56は、初期給水制御バルブ575を開放して希釈水初期給水系574を通して希釈水を循環槽54に供給するとともに、薬剤制御バルブ577を開放して供給ポンプ567により薬剤初期供給系576を通して微酸性電解水を循環槽54に供給し、循環槽54の殺菌剤溶液の有効塩素濃度を0.1−10mg/Lに調整する。
このため、殺菌剤溶液の水張りに要する時間を短縮できるとともに、有効塩素濃度の調整を容易に行なえる。殺菌剤溶液は高濃度で噴霧すると塩素由来の臭気が発生するので、殺菌剤溶液の濃度は、微酸性電解水を希釈して有効塩素濃度を0.1−10mg/Lとすることが好ましいが、臭気は人によって感じ方が異なるため、場合によっては低濃度、例えば0.1−5mg/L、あるいは0.1−3mg/L、あるいは0.1−1mg/Lとすることがより好ましい。
(運転時)
薬剤供給装置56は、中継槽566から循環槽54へ微酸性電解水を供給しつつ、希釈水制御バルブ572を開放する状態で流量調整弁573を通して希釈水を循環槽54に供給し、循環槽54の殺菌剤溶液の有効塩素濃度を0.1−10mg/Lに維持する。
この状態で、ハウジング50の通気路52を上流側から下流側に流れる除菌対象空気51に、噴霧装置53の噴霧ノズル531から循環槽54で濃度調整された殺菌剤溶液を噴霧する。
この噴霧において噴霧装置53は、飽和効率80%以上を満たすように、通気路52の除菌対象空気51に対して殺菌剤溶液を噴霧することが好ましい。この飽和効率は、殺菌剤溶液を噴霧した後の除菌対象空気51の相対湿度H1と除菌対象空気51の流入時の相対湿度H0との差を分子とし、飽和相対湿度(100%)H2と除菌対象空気51の流入時の相対湿度H0との差を分母として定義される。この飽和効率80%以上を満たすことで、通気路52を通過する除菌対象空気51と殺菌剤溶液との接触効率が高まり、除菌対象空気51に含まれている浮遊菌や塵埃の除去効率が高くなるので、浮遊菌の確実な除菌を実現できる。
また、噴霧装置53は、通気路52の雰囲気中において除菌対象空気51の重量Gに対する殺菌剤溶液の重量Lの比L/Gが0.3以下を満たすように、通気路52の除菌対象空気51に対して殺菌剤溶液を噴霧することが好ましい。除菌対象空気51の重量Gに対する殺菌剤溶液の重量Lの比L/Gが0.3以下を満たすことで、ポンプ動力を低く抑えて省エネルギー化を図れる。また、少ない噴霧量で除菌、除塵が行えるので、殺菌剤溶液の消費量も少なくなり、殺菌剤溶液の原液の供給量も低減することができる。
このように、微酸性電解水を原液とする殺菌剤溶液を除菌対象空気51に直接に噴霧することで、微酸性電解水の主成分である次亜塩素酸(HCLO)の殺菌力の強さ、反応性の高さを利用して空気中の菌を除菌することができる。殺菌剤溶液を除菌エレメントに滴下するのではなく、空気中に高い飽和率で殺菌剤溶液を噴霧するので、空気中の浮遊菌や塵埃を殺菌剤溶液中に取り込むことができ、除菌に加えて除塵も実現できる。
噴霧装置53から噴霧した殺菌剤溶液は、一部が通気路52から循環槽54に降下し、他のものがメディア503に達して後にメディア503を伝って循環槽54に流れる。循環槽54は通気路52から降下する殺菌剤溶液およびメディア503から流れ落ちる殺菌剤溶液を受け止める。
噴霧された殺菌剤溶液は循環槽を経由して再度噴霧水として使用するので、循環槽54へ供給する殺菌剤溶液の原液および希釈水の量は、空気の加湿による減少分と循環槽54からのオーバーフロー流出分だけでよく、殺菌剤溶液の使用量を低減することができる。
メディア503を通過した殺菌後の空気は、ミストセパレータ504および中性能フィルタ505を通過してファン装置(図示省略)により室内へ供給される。ミストセパレータ504は、メディア503を通過してきた微細なミストを捕捉し、中性能フィルタ505へのミスト付着を防止するものである。
循環槽54の一次領域542に流入した殺菌剤溶液はストレーナ541を通過して二次領域543に流れ、二次領域543から循環ポンプ551により循環系55を通して噴霧装置53に供給される。
そして、二次領域543の殺菌剤溶液は循環ポンプ551により循環系55を通して噴霧装置53に供給される。
本実施の形態では、生成装置561と循環槽54の間に中継槽566を設けているので、中間槽566に微酸性次亜塩素酸水を貯溜することで、生成装置561を断続運転することができ、電極の過熱を防止して生成装置561の温度上昇を抑えられるので、冷却装置などの付帯設備が不要となる。
また、中継槽566がバッファーの役割を果たすことで生成装置561の供給能力と噴霧の実施に必要な噴霧水量との差を埋めることができ、異なる噴霧水量を1台の生成装置561で実現することができる。
さらに、中継槽566に加えて循環槽54に水道水を供給可能な希釈水系571を有することで、循環槽54に供給する殺菌剤溶液の原液である微酸性電解水と水道水の比率および量を任意に設定できる。このため、空気条件やユーザーの要求水準に応じて運転条件や処理性能を任意に設定することができる。
中継槽566には空気清浄装置の外部に連通する脱気ライン566aを設けているので、装置内が塩素雰囲気になることを防止でき、塩素による装置内の腐食を抑えることができる。
本実施の形態の空気清浄装置では、噴霧ノズル531から噴霧された殺菌剤溶液が循環槽54および循環系55を通して再び噴霧装置53で噴霧されるまでの循環時間hは、有効塩素濃度0.1mg/L以上の殺菌剤溶液中に存在する次亜塩素酸(HCLO)で殺菌するのに要する必要接触時間、ここでは1.5分以上を満たしており、低濃度の殺菌剤溶液であっても気液接触により捕捉した菌を確実に殺菌することが可能である。
この循環時間hは次式で定義する。
循環槽54の容量/循環水量(噴霧水量)=循環時間h>必要接触時間
このように捕捉した菌を確実に殺菌することで、殺菌剤溶液の噴霧に伴って菌が再飛散することがなくなり、安全性のより高い空気を供給できる。
しかも、殺菌剤溶液の原液として微酸性電解水を使用しており、微酸性電解水は反応速度(殺菌速度)が速く、殺菌力の再生時間も短いので、殺菌剤溶液の巡廻系内に滞留させる時間を短くできる。この結果、循環槽54の容量を小さくして省スペース化を図れる。
メディア503を配置することで、メディア503が噴霧された殺菌剤溶液を捕捉し、メディア503を流下する殺菌剤溶液の水膜効果によりさらに水と空気との接触効率を高めることができる。このため、除菌対象空気51の重量Gに対する殺菌剤溶液の重量Lの比L/Gを0.3以下としても飽和効率を80%以上とすることができ、浮遊菌や塵埃の除去効率を高めることができる。しかしながら、本発明においてメディア503は必須のものではない。
循環槽54に蓄積された塵埃等は、装置停止時あるいは一定の期間毎に排水系545の排水バルブ544を開放して、装置外に排出される。
(実施例)
以下に、本発明の有効性を示す実施例を説明する。図5は、有効塩素濃度と大腸菌群を99%殺菌するのに要する時間との関係を示すものである。図5において、次亜塩素酸(HCLO)を主成分とする微酸性電解水は有効塩素濃度0.1mg/Lにおいて1.5分で99%の殺菌を達成し、その殺菌力を回復できる。しかしながら、次亜塩素酸イオン(CLO−)を主成分とする電解次亜水は有効塩素濃度0.1mg/Lにおいて99%の殺菌を達成するのに120分を要する。
図6に示すように、殺菌剤溶液は、そのpHにより次亜塩素酸(HCLO)と次亜塩素酸イオン(CLO−)の存在比が変化する。微酸性電解水を原液とした殺菌剤溶液はpH5であれば有効塩素のほぼ100%が次亜塩素酸(HCLO)となるので、この殺菌剤溶液で殺菌するのに要する必要接触時間は有効塩素濃度0.1mg/Lで1.5分以上となる。しかし、希釈水として水道水を使用する場合は、殺菌剤溶液のpHが高くなる傾向があるので、次亜塩素酸(HCLO)による殺菌効力を高めるためには、次亜塩素酸(HCLO)存在比率が50%以上となるpH7.5以下であることが望ましい。この場合、pH5の場合と同等の殺菌効力を持たせるためには、有効塩素濃度を0.2mg/L以上とするか、有効塩素濃度0.1mg/Lで必要接触時間を3分以上とすればよい。
以下に、空気清浄装置の設計例を説明する。
設計条件として、風量:10,000m/h、L/G:0.15、循環水量30L/分、有効塩素濃度0.1mg/Lとする。
微酸性電解水(HCLOが主成分)の場合、必要滞留時間(循環時間):1.5分/1サイクル、循環槽容量:51L、槽サイズ(有効)400W×850W×150Hmmとなる。
電解次亜水(CLOが主成分)の場合、必要滞留時間(循環時間):120分/1サイクル、循環槽容量:3,120L、槽サイズ(有効)1200W×2600W×150Hmmとなる。
よって、微酸性電解水の使用により、装置の大幅な小型化を実現できる。
本実施の形態では、中継槽566の微酸性電解水を中継ポンプ569で循環槽54に供給する例を説明したが、図2に示すように、中継槽566の水頭を利用して滴下用バルブ578で微酸性電解水の適量を循環槽54に滴下することも可能である。また、図3(a)に示すように、循環系55の循環ポンプ551の下流側に中継ポンプ569で微酸性電解水を注入して循環槽54に供給することも可能である。
さらに、図3(b)に示すように、循環系55の循環ポンプ551の上流側にエゼクターを利用して微酸性電解水を吹き込んで循環槽54に供給することも可能である。
また、図4に示すように、微酸性電解水をメディア503の上流側に直接に吹き込んで循環槽54に供給することも可能である。
また、図7に示すように、循環槽54内の殺菌剤溶液の流れ方向に対して下流側(循環ポンプ551の接続側)に希釈水系571からの希釈水を供給し、希釈水の供給位置よりも上流側(メディア503側)に薬剤供給装置56からの殺菌剤溶液の原液を供給することも可能である。
この場合、殺菌剤溶液の原液が流入する循環槽54の上流側に殺菌剤溶液の濃度の高い未使用液領域が形成されるので、循環槽54内での殺菌効果を高めることができる。
循環槽54内を流れる殺菌剤溶液は下流側で希釈され、濃度が低くなった殺菌剤溶液が噴霧装置53から噴霧される。噴霧装置53から噴霧した噴霧水は、通気路52から降下あるいはメディア503を伝って再び循環槽54に流入する。
空気中に含まれる浮遊菌や塵埃は、噴霧水あるいはメディア503に形成される水膜によって捕捉され、噴霧水とともに循環槽54に流入し、循環槽54内で殺菌剤溶液の原液が供給される位置に形成される殺菌剤溶液の濃度が高い未使用液領域あるいはそこから流れていく殺菌力の高い領域を通過するので、噴霧水との気液接触により捕捉した菌を噴霧の前に確実に殺菌される。よって、捕捉した菌が殺菌剤溶液の噴霧に伴って再飛散することがなくなり、安全性のより高い空気を供給できる。
また、殺菌剤溶液の濃度が薄められた状態で噴霧されるので、空気中への殺菌成分の飛散や臭気の発生を抑制することができる。噴霧水の殺菌剤溶液の濃度は低いため、空気中での殺菌効果は低下するが、噴霧とメディア503によって飽和状態に近い状態に高められた噴霧水によって空気中の浮遊菌や塵埃を捕捉し、噴霧水とともに循環槽54へ流入させることができるため、循環槽54内で確実に殺菌することができる。さらに、噴霧量を大きくすることができるので、噴霧による除菌、除塵効果を高めることができる。
殺菌剤溶液の原液を供給する位置は、循環槽54に流入した菌体をできるだけ早くに未使用の殺菌剤溶液と接触させ、接触時間を長くするためにも、メディア503の下方近傍かその上流側が好ましい。その後、殺菌剤溶液は循環槽54内を時間をかけて流れていくので、殺菌力を回復させた後に噴霧させることができる。
(その他の実施例)
上記実施例では、希釈水系571は循環槽54に希釈水を供給する構成を示したが、循環槽54の殺菌剤溶液を噴霧装置53に供給する循環系循環系55に希釈水を供給する構成であってもよい。あるいは、薬剤供給装置56が供給する殺菌剤溶液の原液と希釈水系571が供給する稀釈水とを混合した後に、噴霧装置53とハウジング50の通気路52と循環槽54と循環系55とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に供給するように構成してあってもよい。
上記実施例では、メディアは噴霧装置の下流側に配置したが、メディアを噴霧装置の上流側に配置し、噴霧装置は上流側のメディアに達するように噴霧水を噴霧するものであってもよい。また、通気路が上下方向に形成され、その通気路内において噴霧装置とメディアが上下方向に配置してあってもよい。
50 ハウジング
51 除菌対象空気
52 通気路
53 噴霧装置
54 循環槽
55 循環系
56 薬剤供給装置
501 プレフィルター
502 エリミネータ
503 メディア
504 ミストセパレータ
505 中性能フィルタ
531 噴霧ノズル
541 ストレーナ
542 一次領域
543 二次領域
544 排水バルブ
545 排水系
546 オーバーフロー管
551 循環ポンプ
561 生成装置
562 薬品搬入容器
563a 開閉バルブ
563 原料供給系
564 減圧弁
565 給水系
566 中継槽
567 供給ポンプ
568 薬剤供給系
569 中継ポンプ
570 中継系
571 希釈水系
572 希釈水制御バルブ
573 流量調整弁
574 希釈水初期給水系
575 初期給水制御バルブ
576 薬剤初期供給系
577 薬剤制御バルブ

Claims (6)

  1. 除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、
    希釈水系は、循環槽または循環系に希釈水を供給し、薬剤供給装置は、循環槽内の殺菌剤溶液の流れ方向において希釈水の供給位置よりも上流側の位置に未使用領域を形成し、噴霧装置は希釈水で薄められて濃度の低くなった殺菌剤溶液を噴霧することを特徴とする空気浄化装置。
  2. 除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系とを備え、
    循環槽の上方にメディアを配置し、薬剤供給装置は、メディアの下方近傍かその上流側の位置において循環槽に殺菌剤溶液の原液を供給することを特徴とする空気浄化装置。
  3. 除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、
    薬剤供給装置は、殺菌剤溶液の原液に希釈水系が供給する稀釈水を混合して前記巡廻系に供給することを特徴とする空気浄化装置。
  4. 除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、
    希釈水系は、前記循環系に希釈水を供給することを特徴とする空気浄化装置。
  5. 除菌対象空気が上流側から下流側に流れる通気路を有するハウジングと、前記通気路を流れる除菌対象空気に殺菌剤溶液を噴霧する噴霧装置と、前記通気路から降下する殺菌剤溶液を受け止める循環槽と、循環槽の殺菌剤溶液を噴霧装置に供給する循環系と、前記循環槽と前記循環系と前記噴霧装置と前記通気路とで形成される殺菌剤溶液の巡廻系に殺菌剤用液の原液として微酸性電解水を供給する薬剤供給装置と、殺菌剤溶液を希釈する希釈水を供給する希釈水系を備え、
    薬剤供給装置は、微酸性電解水を生成する生成装置と、生成装置と循環槽の間に配置する中継槽を有することを特徴とする空気浄化装置。
  6. メディアが噴霧装置の下流側、または噴霧装置の上流側に配置され、噴霧装置がメディアに達する噴霧水を噴霧することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の空気浄化装置。
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