JP4199394B2 - チオ硫酸塩脱硝法における吸収液濃度の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素酸化物を含有する排ガス中の窒素酸化物をチオ硫酸塩溶液で吸収除去するチオ硫酸塩脱硝法における吸収液濃度の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工場、石油化学工場、製鉄所などからは、比較的高濃度の窒素酸化物含有ガスが排出されるが、その窒素酸化物を脱硝処理する方法として、吸収液で窒素酸化物を吸収除去する湿式脱硝方法や触媒を用いて窒素酸化物を分解除去する乾式脱硝方法が用いられている。
【0003】
前記湿式脱硝方法においては、水酸化アルカリやアンモニア等のアルカリ成分のみのアルカリ水溶液を吸収液として用いたアルカリ吸収法、過マンガン酸塩や亜塩素酸塩等の酸化剤を溶解したアルカリ水溶液を吸収液として用いた酸化吸収法、チオ硫酸塩や硫化物等の還元剤を溶解したアルカリ水溶液を吸収液として用いた還元吸収法などが知られている。
【0004】
なお、一般的な排ガス中に含有されている窒素酸化物としては、NO、NO2及びNOとNO2が反応して生成するN2O3などであるが、アルカリとの反応においては、NO<NO2<N2O3の順で反応速度が速くなり、従って、前記の順序で吸収除去しやすくなる。
【0005】
前記のアルカリ吸収法は、NO2とアルカリとの直接的な反応と、排ガス中のNOとNO2が反応して生成するN2O3とアルカリとの反応などで窒素酸化物を吸収除去する方法であり、N2O3の生成は、NO2とNOとの比が略1に近くなるほど生成量が多くなるが、NO2を多く含有する排ガスでは、NO2がアルカリと反応する割合が多くなるため、NOとNO2の反応が起こりにくくなり、全体としての脱硝効率が低い問題がある。
【0006】
また、酸化吸収法では、NOを酸化剤で酸化してNO2とし、生成したNO2とアルカリを反応させて窒素酸化物を吸収除去する方法あるが、反応しにくいNOを酸化して反応しやすいNO2としているため、アルカリ吸収法よりも脱硝効率は高いが、NO2は前記した通り、N2O3よりも反応速度が遅いため、薬品費の高い酸化剤を用いる割には、脱硝効率の向上が不十分である問題がある。
【0007】
更に、還元吸収法では、排ガス中のNO2の一部を還元剤で還元してNOとし、排ガス中のNO2とNOとの比を調整してN2O3を生成し、生成したN2O3とアルカリとの反応で窒素酸化物を吸収除去する方法であり、他の方法と比較して脱硝効率が高いが、安定した運転を維持するためには、NO2とNOとの比の制御操作が煩雑となる問題があった。また、一定期間の運転で吸収液は徐々に還元能力が低下するため、一定間隔又は連続で吸収液を排出する必要があるが、従来の装置においては、吸収部が1段であるため、排出液中の還元剤濃度が高く、排出液の処理に化学的処理を行う場合には、薬品費が嵩む問題が生じ、また生物学的処理を行う場合には、生物に対する負荷が大きくなる問題があった。
【0008】
前記従来の夫々の問題に鑑みて、本願出願人は、特願平9−124671号で、吸収液としてチオ硫酸塩溶液を用いた還元吸収法において、吸収部を直列2段に構成し、2段目の吸収部にチオ硫酸塩溶液を供給して2段目の吸収液中のチオ硫酸塩濃度を高濃度とし、2段目の高濃度のチオ硫酸塩を含有する吸収液を1段目に循環して1段目の吸収液中のチオ硫酸塩濃度を低濃度で運転し、NOとNO2との比を調整してN2O3を効率的に生成させ、窒素酸化物の脱硝効率を向上させると共に、最終的に排出される1段目の吸収液のチオ硫酸塩濃度を低濃度とすることができることにより、前記従来の還元吸収法の問題を解決した方法を提案した。
【0009】
前記特願平9−124671号で提案した発明においては、以前の還元吸収法の問題点であった、安定した運転維持のための煩雑な操作や、還元能力が低下した吸収液の処理における、化学的処理での薬品費が嵩む問題や、また、生物学的処理を行う場合における生物に対する負荷が大きくなる問題などは解決されたが、2段目にチオ硫酸塩溶液を一定量づつ連続的に供給して運転されるため、1段目及び2段目の吸収液のチオ硫酸塩濃度は成り行きの濃度となっていた。
【0010】
また、チオ硫酸塩濃度を測定する方法としては、イオンクロマト法やヨウ素滴定法などが一般的に知られており、それらの方法でチオ硫酸塩濃度を測定していたため、サンプリングや分析に要する時間が非常に掛かり、分析された値に基づいてチオ硫酸塩溶液の供給を制御すると濃度の変動に追従できない問題があった。従って、2段目の吸収部のチオ硫酸塩濃度を一定の濃度に保持するために、チオ硫酸塩溶液を過剰に供給していた結果、薬品使用量が多くなり、薬品費が嵩む問題があった。更に、1段目の吸収部のチオ硫酸塩濃度が不明又はリアルタイムで判らないため、最終的に排出される排出液中のチオ硫酸塩濃度が一定せず、排出液の処理における化学的処理又は生物学的処理での装置の運転が煩雑となる問題があった。
【0011】
従って本願出願人は、前記特願平9−124671号で提案した発明の問題点を解決することを課題として、特願平11−110448号において、1段目及び/又は2段目の吸収部におけるチオ硫酸塩濃度を適正に制御でき、適正量の薬品使用量で、薬品費を低減することができる方法として、吸収部を直列2段に設け、2段目の吸収液の一部を1段目の吸収液として供給し、1段目の吸収部に酸化還元電位計を設け、酸化還元電位計で測定した電位値に基づいて2段目に供給するチオ硫酸塩溶液の供給量を制御することを特徴とするチオ硫酸塩脱硝法における吸収液濃度の制御方法を提案した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記特願平11−110448号で提案した発明では、1段目及び/又は2段目の吸収部における吸収液のアルカリ濃度を制御してないため、pH値が変動し、それに伴って窒素酸化物の脱硝効率も変動する問題があった。特に、1段目の吸収部におけるpH値の変動により、酸化還元電位計での電位値が不正確となり、従って、電位値に基づいて制御する2段目に供給されるチオ硫酸塩溶液の供給量や1段目に供給される2段目の吸収液の供給量が不安定となり、脱硝効率に及ぼす影響が極めて大きいことが判明した。
【0013】
従って、本発明は、前記特願平11−110448号で提案した発明の問題点を解決するために改良されたものであり、1段目及び2段目の吸収部における吸収液のpH値を測定して、その値に基づいて1段目及び2段目にアルカリ溶液を供給し、夫々のpH値を安定させることにより、1段目及び2段目の吸収部における吸収液のチオ硫酸塩濃度をより正確に所定濃度に維持し、脱硝効率をより高い効率で安定させることができ、また、適正量の薬品使用量で、薬品費を低減することができる方法を提供する目的で成されたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の要旨は、請求項1に記載した発明においては、吸収液としてアルカリ性のチオ硫酸塩溶液を使用し、吸収部を直列2段に設け、2段目の吸収部にチオ硫酸塩溶液を供給し、2段目の吸収液の一部を1段目の吸収液として供給して窒素酸化物を含有する排ガス中の窒素酸化物を吸収除去するチオ硫酸塩脱硝法において、1段目の吸収部に酸化還元電位計及びpH計、2段目の吸収部にpH計を夫々設け、1段目の吸収部の酸化還元電位計で測定した電位値に基づいて1段目に供給する2段目の吸収液の供給量を制御し、1段目の吸収部のpH計で測定したpH値に基づいて1段目に供給するアルカリ溶液の供給量を制御し、2段目の吸収部のpH計で測定したpH値に基づいて2段目に供給するアルカリ溶液の供給量及びチオ硫酸塩溶液の供給量を制御することを特徴とするチオ硫酸塩脱硝法における吸収液濃度の制御方法である。
【0015】
酸化還元電位計で1段目の吸収部の電位値を測定することにより、1段目吸収部のチオ硫酸塩濃度の変動がリアルタイムで測定でき、2段目の吸収部から1段目の吸収部に供給される吸収液の供給量が適正に制御され、また、2段目に供給するチオ硫酸塩溶液の供給量を制御することにより、2段目の吸収部のチオ硫酸塩濃度を適正な濃度に維持することが可能となった。更に、1段目の吸収部から最終的に排出される排出液中のチオ硫酸塩濃度がリアルタイムで測定できるため、排出液中のチオ硫酸塩濃度を一定の低い値に制御することができ、排水処理における化学的処理又は生物学的処理での装置の運転が容易となった。
【0016】
また、1段目及び2段目の吸収部にpH計を夫々設けて、夫々の吸収部におけるpH値を測定し、pH値に基づいて1段目及び2段目に供給するアルカリ溶液の供給量を制御するため、夫々のpH値を安定させることができ、従って、1段目及び2段目の吸収部における吸収液のチオ硫酸塩濃度をより正確に測定することができるため、チオ硫酸塩濃度を所定濃度に維持し、脱硝効率をより高い効率で安定させることができる。
【0017】
なお、1段目の吸収液のpH値は7〜9、好ましくは8前後であり、チオ硫酸塩濃度は0.01〜10mg/L、好ましくは0.1〜5mg/Lの低い値に制御され、2段目の吸収液のpH値は9〜13、好ましくは12前後であり、チオ硫酸塩濃度は0.1〜2.0wt%の濃度の高い値に制御される。このような条件で運転することにより、NO2/NO比を適正な値に制御することができ、従ってN2O3を効率よく生成させ、脱硝効率を高く維持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態の系統図である。
【0019】
1は排ガス中の窒素酸化物を吸収除去する1段目の吸収部である第1吸収塔であり、内部に充填材が充填された充填層1Aが設けられ、充填層1Aよりも下部には、排ガスの導入管aが接続されており、また、底部には吸収液の一定量が滞留される液溜まり部1Bが形成され、液溜まり部1Bと連通し、吸収液を抜き出して吸収液循環ポンプ8を介して充填層1Aへ循環する吸収液循環管d及び吸収液を抜き出して図示しない排水処理装置などに排出する吸収液抜き出し管eが接続されている。更に、頂部には1次処理された処理ガスを2段目の吸収部である第2吸収塔2へ導入する1次処理ガス排出管bが接続している。また、第1吸収塔1の液溜まり部1Bには、酸化還元電位値を測定する酸化還元電位計6及びpH計5が液溜まり部1B内の吸収液に電極を浸漬して配置されている。
【0020】
2は排ガス中の窒素酸化物を除去する2段目の吸収部である第2吸収塔であり、第1吸収塔1の構造と略同一構造である。充填材が充填された充填層2Aが設けられ、充填層2Aよりも下部には、第1吸収塔1で1次処理された処理ガスを導入する1次処理ガス排出管bが接続され、頂部には2次処理された処理ガスを大気中に排出する処理ガスの排出管cが接続されており、また、底部には、吸収液の一定量が滞留される液溜まり部2Bが形成され、液溜まり部2Bと連通し、吸収液を抜き出して吸収液循環ポンプ9を介して充填層2Aへ循環する吸収液循環管gが接続されている。更に、吸収液循環管gは、2段目の吸収液の一部を1段目の吸収液として供給する分岐管fが途中から分岐して設けられ、第1吸収塔1の液溜まり部1Bに接続している。また、分岐管fには、1段目の吸収部の酸化還元電位計6で測定した電位値に基づいて1段目に供給する2段目の吸収液の供給量を制御する制御弁13が設けられている。また、第2吸収塔2の液溜まり部2Bには、pH計7が液溜まり部2B内の吸収液に電極を浸漬して配置されている。
【0021】
また、第2吸収塔2の液溜まり部2Bに新規なチオ硫酸塩溶液を供給するために、途中にチオ硫酸塩溶液供給ポンプ12を配置した吸収液供給管kを介してチオ硫酸塩溶液槽4が接続され、また、第1吸収塔1及び第2吸収塔2の夫々の液溜まり部1B、2Bに新規なアルカリ溶液を供給するために、途中にアルカリ溶液供給ポンプ10、11を夫々配置したアルカリ供給管h、jを介してアルカリ溶液槽3が接続されている。
【0022】
なお、チオ硫酸塩としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムなどを用いることができるが、反応性や薬品費などからチオ硫酸ナトリウムを用いるのが好ましく、また、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどを用いることができるが、反応性や薬品費などから水酸化ナトリウムを用いるのが好ましい。更に、1段目の吸収液中のチオ硫酸塩濃度は0.01〜10mg/Lの低い値に制御され、2段目の吸収液中のチオ硫酸塩濃度は0.1〜2.0wt%の濃度の高い値に制御される。
【0023】
前記1段目及び2段目の吸収部の吸収塔1、2は、充填塔構造であり、充填層を形成する充填材としては、合成樹脂、セラミック等で製造された円筒状、円柱状、鞍状等が用いられるが、脱硝効率やハンドリングの容易性等から合成樹脂製の円筒状充填材を用いるのが好ましく、また、前記の充填塔構造ではなく、棚段塔やスプレ−塔などの構造としてもよく、更に、吸収塔1、2の夫々に隣接して液溜まり槽を配置して、液溜まり部1B、2Bと連通した構造でもよく、本発明に用いられる吸収塔の構造は、それらの構造には限定されない。
【0024】
以下、前記構成の脱硝装置により窒素酸化物を含有した排ガスから窒素酸化物を吸収除去する脱硝方法について述べる。
【0025】
第1吸収塔1では、排ガスの導入管aから排ガスが導入され、充填層1Aを上向流で流通し、また、吸収液が吸収液循環ポンプ8を介して吸収液循環管dから充填層1Aの上部に供給され、充填層1Aを下向流で流通することにより、排ガスと吸収液が向流接触して排ガス中の窒素酸化物が吸収除去されると共に、チオ硫酸塩の還元作用でNOとNO2との比が調整され、N2O3が効率的に生成される。
【0026】
吸収液は、第1吸収塔1の底部に設けられた液溜まり部1Bに滞留されたのち、吸収液循環ポンプ8で吸引されて抜き出され、吸収液循環管dから充填層1Aの上部に循環供給される。また、吸収液の一部は、吸収液抜き出し管eで第1吸収塔1外に抜き出され、図示しない排水処理装置で処理されたのち、河川等に放流されるが、吸収液の抜き出し量は、吸収液の組成により制御される。また、窒素酸化物が除去された処理ガスは、1次処理ガス排出管bから第2吸収塔2へ導入される。
【0027】
第2吸収塔2では、1次処理ガス排出管bから1次処理された排ガスが導入され、充填層2Aを上向流で流通し、また、吸収液が吸収液循環ポンプ9を介して吸収液循環管gから充填層2Aの上部に供給され、充填層2Aを下向流で流通することにより、排ガスと吸収液が向流接触して排ガス中の残存窒素酸化物が吸収除去される。なお、第1吸収塔1で排ガス中のNOとNO2との比がチオ硫酸塩の還元作用で調整されており、また、第2吸収塔2でもチオ硫酸塩の還元作用で調整されて、N2O3が効率的に生成されているため、脱硝効率を高く維持することができる。窒素酸化物が除去された処理ガスは、処理ガス排出管cから大気中に排出される。
【0028】
吸収液は、第2吸収塔2の底部に設けられた液溜まり部2Bに滞留されたのち、循環ポンプ9で吸引されて抜き出され、吸収液循環管gから充填層2Aの上部に循環供給される。また、吸収液の一部は、分岐管fから1段目の吸収液として第1吸収塔1の液溜まり部1Bに供給される。
【0029】
また、第1吸収塔1及び第2吸収塔2の夫々の吸収液のチオ硫酸塩濃度及びpH値を調整するために、第2吸収塔2の液溜まり部2Bに、チオ硫酸塩溶液供給管kを介してチオ硫酸塩溶液槽4からチオ硫酸塩溶液供給ポンプ12により新規なチオ硫酸塩溶液が供給され、また、第1吸収塔1及び第2吸収塔2の夫々の液溜まり部1B、2Bに、アルカリ供給管h、jを介してアルカリ溶液槽3からアルカリ溶液供給ポンプ10、11により新規なアルカリ溶液が供給される。
【0030】
前記における夫々の溶液の供給量制御は、酸化還元電位計6で第1吸収塔1における吸収液の電位値を測定し、図示しない制御装置を介してチオ硫酸塩濃度を算出して制御弁13を制御することにより、第2吸収塔2から第1吸収塔1の液溜まり部1Bに供給される吸収液の供給量を適正に制御することができ、また、第2吸収塔2におけるpH値をpH計7で測定し、第2吸収塔2に供給するチオ硫酸塩溶液の供給量をチオ硫酸塩溶液供給ポンプ12を制御することにより、第2吸収塔2の吸収液のチオ硫酸塩濃度を適正な濃度に維持することが可能となった。更に、第1吸収塔1から最終的に排出される排出液中のチオ硫酸塩濃度がリアルタイムで測定できるため、排出液中のチオ硫酸塩濃度を一定の低い値に制御することができ、排水処理における化学的処理又は生物学的処理での装置の運転が容易となった。
【0031】
更に、第1吸収塔1及び第2吸収塔2の夫々の液溜まり部1B、2Bに配置されたpH計5,7で、夫々の吸収液のpH値を測定し、pH値に基づいてアルカリ溶液供給ポンプ10,11を制御してアルカリ溶液の供給量を制御するため、夫々のpH値を安定させることができ、従って、第1吸収塔1の吸収液のチオ硫酸塩濃度をより正確に測定することができるため、チオ硫酸塩濃度を所定濃度に維持し、脱硝効率をより高い効率で安定させることができる。
【0032】
なお、第1吸収塔1の吸収液中のチオ硫酸塩濃度は0.01〜10mg/Lの低い値に制御され、第2吸収塔2の吸収液中のチオ硫酸塩濃度は0.1〜2.0wt%の濃度の高い値に制御される。更に、排ガス中の窒素酸化物のNO2/NO比に基づいて、第2吸収塔2の吸収液中のチオ硫酸塩とアルカリの濃度を制御することにより、NO2/NO比を適正な値に制御することができ、従ってN2O3を効率よく生成させ、脱硝効率を高く維持することができる。また、第1吸収塔1及び第2吸収塔2の吸収液のpH値をpH計5,7で夫々測定し、pH値に基づいて夫々に供給するアルカリ溶液の供給量を制御することにより、吸収液のpH値を安定させることができ、従って、第1吸収塔1及び第2吸収塔2の吸収液のチオ硫酸塩濃度をより正確に測定することができるため、チオ硫酸塩濃度を所定濃度に維持し、脱硝効率をより高い効率で安定させることができる。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
前記脱硝方法により、半導体製造工程から排出される窒素酸化物を含有する排ガス中の窒素酸化物を除去処理する例について以下に詳述する。
第1吸収塔に供給するアルカリ溶液の供給量を第1吸収塔に設けたpH計で制御し、また、第2吸収塔からの吸収液の供給を酸化還元電位計で制御して、第1吸収塔の吸収液のpH値を8.0、電位値を140mvに制御し、また、第2吸収塔に供給するアルカリ溶液の供給量及びチオ硫酸塩溶液の供給量を第2吸収塔に設けたpH計で制御して、第2吸収塔の吸収液のpH値を12.0に制御し、窒素酸化物含有排ガスを処理した。
なお、排ガス中の窒素酸化物は、NO:305〜142ppm、NO:955〜661ppm、NO/NO2:3.13〜4.65であった。
その結果、処理ガス中の窒素酸化物はNO:37〜32ppm、NO2:63〜53ppm、平均の脱硝率:91.0%であり、また、チオ硫酸塩溶液の消費量は25L/H、アルカリ溶液の消費量は50L/Hであった。
【0034】
(比較例1)
第1吸収塔に設けた酸化還元電位計により、第2吸収塔に供給するチオ硫酸塩溶液の供給量を制御し、初期の第1吸収塔の吸収液のpH値を8.0、電位値を140mvに設定し、また、第2吸収塔に設けたpH計で第2吸収塔に供給するアルカリ溶液の供給量を制御して、第2吸収塔の吸収液のpH値を12.0に制御して排ガスを処理した。
なお、排ガス中の窒素酸化物は、NO:250〜110ppm、NO2:880〜670ppm、NO/NO2:3.52〜6.09であった。
その結果、第1吸収塔の吸収部のpH値は7.0〜9.0の間で変動し、処理ガス中の窒素酸化物は、NO:36〜26ppm、NO2:64〜54ppm、平均の脱硝率:90.6%であり、また、チオ硫酸塩溶液の消費量は28L/H、アルカリ溶液の消費量は65L/Hであった。
【0035】
前記のとおり、本発明の吸収液濃度の制御方法では、脱硝効率をより高い効率で安定させることができ、また、チオ硫酸塩溶液及びアルカリ溶液の消費量を低減することができた。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、1段目及び2段目の吸収部における吸収液のチオ硫酸塩濃度をより正確に測定できるため、チオ硫酸塩濃度を所定濃度に維持し、脱硝効率をより高い効率で安定させることができ、また、チオ硫酸塩溶液及びアルカリ溶液の消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の系統図
【符号の説明】
1:第1吸収塔
2:第2吸収塔
3:アルカリ溶液槽
4:チオ硫酸塩溶液槽
5、7:pH計
6:酸化還元電位計
8、9:吸収液循環ポンプ
10、11:アルカリ溶液供給ポンプ
12:チオ硫酸塩溶液供給ポンプ
13:制御弁
Claims (1)
- 吸収液としてアルカリ性のチオ硫酸塩溶液を使用し、吸収部を直列2段に設け、2段目の吸収部にチオ硫酸塩溶液を供給し、2段目の吸収液の一部を1段目の吸収液として供給して窒素酸化物を含有する排ガス中の窒素酸化物を吸収除去するチオ硫酸塩脱硝法において、1段目の吸収部に酸化還元電位計及びpH計、2段目の吸収部にpH計を夫々設け、1段目の吸収部の酸化還元電位計で測定した電位値に基づいて1段目に供給する2段目の吸収液の供給量を制御し、1段目の吸収部のpH計で測定したpH値に基づいて1段目に供給するアルカリ溶液の供給量を制御し、2段目の吸収部のpH計で測定したpH値に基づいて2段目に供給するアルカリ溶液の供給量及びチオ硫酸塩溶液の供給量を制御することを特徴とするチオ硫酸塩脱硝法における吸収液濃度の制御方法。
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