JPH10113678A - 硝酸イオン含有廃液の無害化処理方法及び装置 - Google Patents

硝酸イオン含有廃液の無害化処理方法及び装置

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JPH10113678A
JPH10113678A JP28904096A JP28904096A JPH10113678A JP H10113678 A JPH10113678 A JP H10113678A JP 28904096 A JP28904096 A JP 28904096A JP 28904096 A JP28904096 A JP 28904096A JP H10113678 A JPH10113678 A JP H10113678A
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nitrate
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Kazuo Sakurai
一生 桜井
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 公共水域にて問題視される硝酸イオン、又は
硝酸イオンと亜硝酸イオンを0.1mol/L以上という高濃
度で含む合金鉄鋼帯の酸洗処理に供した酸洗液であって
老化した酸洗液の如き硝酸イオン含有廃液の無害化処理
を行うために、工場排水中の硝酸イオン、又は硝酸イオ
ンと亜硝酸イオンの含有量を安価に低減する方法及びこ
の方法を実施するに好ましい装置を提供する。 【解決手段】 硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イ
オンを0.1mol/L以上含む硝酸イオン含有廃液に硫酸第
一鉄又は塩化第一鉄から成る還元剤7bと硫酸とを酸供
給配管8から添加して、該硝酸イオン含有廃液中の硝酸
イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオンをガス体の窒素
酸化物に還元し、この窒素酸化物を乾式脱硝装置11を
介して窒素と水に変換して硝酸イオン含有廃液を無害化
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、公共水域にて問題
視される硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオンを
0.1mol/L以上という高濃度含む硝酸イオン含有廃液の
排出を安価且つ効率的に抑制する硝酸イオン含有廃液の
無害化処理方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ステンレス鋼帯製品やステンレ
ス鋼板製品等の合金鉄の製品は、熱間圧延,この熱間圧
延後の焼鈍を含む熱処理,冷間圧延により加工硬化した
素材の軟化焼鈍等が施されるので、程度の差こそあれそ
の都度その素材表面に主としてFeやCrなどの酸化物
から成るスケールが生成する。この素材表面に生成した
スケールを完全に除去して各工程を推進しないと良好な
表面品質の最終製品を得ることができないので、その都
度脱スケール処理が施されている。この脱スケール処理
は、機械的な方法や化学的な方法にて実施されている。
化学的な方法としては、古くより硝酸を基本とする酸洗
液を使用した酸洗処理が汎用されている。この酸洗処理
の欠点として、脱スケール処理に伴いその酸洗液中に金
属イオンと硝酸イオンの還元物である亜硝酸イオンとが
蓄積して来ることから、この蓄積状態に応じて脱スケー
ル能力が低下することが挙げられる。このため、適宜、
酸洗液の一部もしくは全量の更新が行われている。しか
しながら、この廃液の処理は容易ではないばかりでな
く、後述のように酸洗液中に硝酸イオン及び亜硝酸イオ
ンが高濃度で含有されるため、公共水域の窒素濃度の上
昇に伴う富栄養化という問題の起点となる。即ち、公共
水域の富栄養化によりプランクトン等の微生物の異常繁
殖を来たす結果、水域の汚濁や溶存酸素の低下による魚
類の死滅を招くこととなるのである。
【0003】従来より、硝酸イオンや亜硝酸イオンの含
有の有無に拘わらず、酸廃液はCa,Na及びMgの水
酸化物に代表されるアルカリを使用した中和処理によっ
て、pH6〜9の中性域に調製して公共水域に放流され
ていた。しかし、この処理は水素イオンを水へ変化させ
る操作であり、酸水溶液に含有される硝酸イオンや亜硝
酸イオンはCa,Na及びMgの塩として排水中に含有
されたままである。即ち、従来の処理は硝酸イオンや亜
硝酸イオンを消滅させるものではなく、あくまでも硝酸
及び亜硝酸の酸としての機能を無くすための処理のみで
あった。
【0004】昨今、公共水域中の富栄養化の抑制を目的
に、硝酸イオン及び亜硝酸イオンに起因した窒素(以
下、硝酸態窒素と言うことがある)の排出基準が設定さ
れた。即ち、合金鉄鋼帯製造工程においては、前述のよ
うに酸洗工程において硝酸が汎用されており、適正な酸
洗条件を維持するため老化した酸洗液(酸洗液中に金属
イオンが蓄積されて酸洗能力が低下した状態の酸洗液)
を廃棄して、新たに新酸で酸洗液を調製するという作業
が行われる。また、合金鉄鋼帯の通板過程において通板
鋼帯により酸洗液の一部が持ち出されるため、適正な濃
度を維持するために酸洗液の追加作業も行われる。前者
の老化酸液は酸濃度が高く、一方、後者の持ち出される
酸液は通板鋼帯の洗浄過程において洗浄水により希釈さ
れるため酸濃度は低いものである。これらの廃液及び酸
含有排液は廃酸処理工程においてアルカリを添加して中
和処理することで無害化されて公共水域に排水されるこ
とになるが、前述のように硝酸及び亜硝酸のアルカリ塩
は水への溶解度が高いことから、そのまま排出されるこ
とになる。
【0005】この硝酸態窒素の排出を抑制するために
は、 硝酸イオンを含有しない酸洗液を使用すること(酸液
の変更)、 廃液から有効な硝酸を回収すること(酸の回収)、 排水中の硝酸イオンを微生物にて窒素ガスに変換する
こと(生物処理) 等が考えられるが、それぞれ問題がある。即ち、前述
の「酸液の変更」については硝酸使用時に比較して表面
仕上がりが変化することや酸洗時間の増大が起こること
が、の「酸の回収」については濃厚な酸液についての
み効率的な酸の回収が可能であるが、前述のように通板
鋼帯による酸洗液の持ち出し量が大きい場合には効果的
な硝酸態窒素の排出の抑制方策にはなり得ないことが、
の「生物処理」については広大な処理槽が必要である
と共に維持管理に要する労力と費用が多大なことが挙げ
られる。従って、これらの方式以外で安価に公共水域に
放流される排水中の硝酸イオン及び亜硝酸イオンの排出
抑制を図ることができれば、企業の有益性や社会的便益
は極めて大きいものとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、硝酸イオ
ン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオンを0.1mol/L以上と
いう高濃度で含むステンレス鋼帯等の合金鉄鋼帯の酸洗
処理に供した酸洗液であって老化した酸洗液の如き硝酸
イオン含有廃液の無害化処理を行うために、工場排水中
の硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオンの含有量
を安価に低減する方法及びこれを実施するのに好適な装
置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、この硝酸イ
オン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオンを0.1mol/L以上
という高濃度で含有する硝酸イオン含有廃液を無害化処
理する方法に関して、現状の液相で処理することが問題
であると考え、硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イ
オンを固体化あるいは気体化する方策を鋭意研究した。
しかし、固体化、即ち硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜
硝酸イオンと反応して水への溶解度の低い反応生成物を
生成させる薬品は発見できなかった。そこで、気体化す
べく種々の還元剤を添加した実験を行った。その結果、
処理効果,費用及び薬品の汎用性を考慮した場合、硫酸
第一鉄又は塩化第一鉄と硫酸との組合せが好ましいこと
の知見を得た。硝酸はその原子価により存在形態が異な
り、その酸化度はNO3 -(硝酸イオン)→NO2 -(亜硝
酸イオン)→NO2(二酸化窒素ガス)→NO(一酸化
窒素ガス)→NH4+(アンモニアイオン)の順で小さく
なる。そこで、硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イ
オンより電子供与性の高いもの(還元物質)を添加すれ
ば、これらは気体であるNO2、NO(以下、単に窒素
酸化物と言うことがある)に変換することができるとの
考えによるものである。しかし、条件によっては前述の
NH4+まで還元される危険性を伴う。これは、NH4+ま
で還元されると、硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸
イオンと同様に公共水域にこれを含む排水が放流された
場合、アンモニア態窒素として公共水域の富栄養化に寄
与することになり、本発明の目的に合致しないことにな
る。更に、処理コストが安価なことも当然の必須要素で
あり、処理装置の設計に当っても簡素な装置となるよう
な還元剤の添加方法を考案する必要があった。
【0008】そこで、ステンレス鋼帯等の合金鉄鋼帯製
造業において安価で容易に入手できる還元剤として、金
属単体や汎用される還元剤の添加を実験室的に調査し
た。即ち、硝酸イオン濃度と亜硝酸イオン濃度とが既知
の酸洗液を一定量採取し、これに含有される硝酸イオン
と亜硝酸イオンとの合計量1mol/Lに対して2mol/Lの
還元物質を添加し、一定時間経過後に該酸洗液中の硝酸
イオン濃度と亜硝酸イオン濃度との合計量とアンモニア
イオン濃度とを調査した実験結果を表1に示す。この表
1は営業生産ラインであるステンレス鋼帯の焼鈍酸洗工
程の酸洗槽より採取した硝酸/弗酸の混酸に対して還元
作用を示すと思われる種々の還元剤を添加して、酸洗液
中の硝酸イオン及び亜硝酸イオンの窒素酸化物への変換
率を調査したものである。即ち、酸洗液中の硝酸イオン
及び亜硝酸イオンに加えてアンモニアイオン濃度をそれ
ぞれ適正な方法で分析して全窒素量として換算し、次に
還元剤の添加後においても同様にこれらの分析を行い、
還元処理前後の全窒素量の差を以て窒素酸化物への変化
率を算出したものである。
【0009】
【表1】
【0010】この表1より、硫酸第一鉄又は塩化第一鉄
と硫酸との組合せ(硫酸第一鉄と硫酸,又は塩化第一鉄
と硫酸の組合せのいずれか)が還元効率が高く、しかも
アンモニアイオンの発生がないことが判った。また、水
溶液の液温も高い方が還元効率の向上が認められた。こ
のことは、この酸化還元系においてはpHが低い方が、
また液温が高い方が還元反応が促進されることを示唆す
るものである。
【0011】このように、水溶液中の硝酸イオン、又は
硝酸イオンと亜硝酸イオンを効果的に窒素酸化物のガス
体に変換できることは判ったが、この窒素酸化物は有害
ガスであるため、このまま大気中に放出することはでき
ない。そこで、この窒素酸化物を無害化するため乾式脱
硝装置(窒素酸化物とアンモニアとを約200℃程度の
温度で適当な触媒を介して窒素ガスと水とに分解する装
置)に導入して窒素と水とに変換することで本発明を完
成させたのである。なお、脱硝装置は乾式法と湿式法に
分類されるが、湿式法は窒素酸化物を水溶液中に固定す
る原理に基づくため、本発明の目的に合致しないことに
なる。
【0012】以上に述べたように、硝酸イオン、又は硝
酸イオンと亜硝酸イオンを0.1mol/L以上という高濃度
で含む硝酸イオン含有廃液中の硝酸イオン、又は硝酸イ
オンと亜硝酸イオンを還元剤を使用して化学的に還元す
るという方法以外に、硝酸イオン含有廃液中に隔膜を配
してこの区分された室にアノード電極とカソード電極を
設けて電解還元処理する方法も考えられるが、電極寿命
や電力コストの増大の問題があり、実用的ではないと考
えられる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明に係る硝
酸イオン含有廃液の無害化処理方法を実施する装置の詳
細について説明する。図1はステンレス鋼帯の連続酸洗
処理に関する装置の一例とこれに本発明方法を実施する
装置を設置した場合の一例を示すものである。
【0014】酸洗処理槽1内にはステンレス鋼帯Sの酸
洗処理を行い得る適正な濃度の酸洗液2が貯液されてい
る。この酸洗液2は酸洗液配管3及びポンプ4aを介し
て酸循環槽5と酸洗処理槽1との間を循環される。この
酸洗液2は適当な方法で管理されており、その酸濃度が
所定の濃度より低下した場合は、新酸を追加してその濃
度が維持される。また、酸洗処理に伴い酸洗液2中に溶
解金属イオンの濃度が増加して所定の濃度に達した場
合、その一部は廃棄されるためポンプ4aとバルブ4b
を介して還元処理槽6に送液される。従来は、この廃液
はポンプ4aとバルブ4cを介して後述する中和槽12
aへ送液された後に清澄槽12bに供給されて上澄液の
みが排水されていたのである。
【0015】この硝酸イオン含有廃液が供給される還元
処理槽6は、還元反応の効率化が図れるように撹拌機7
cと加熱手段7eとを備えており、還元剤貯槽7aから
硫酸第一鉄又は塩化第一鉄から成る還元剤7bが廃液中
の硝酸イオン濃度、又は硝酸イオン濃度と亜硝酸イオン
濃度との合計量(この図示した実施例の場合はステンレ
ス鋼帯の連続酸洗処理に関する装置に付設されるもので
あるから硝酸イオン濃度と亜硝酸イオン濃度との合計
量)から算出されるイオン量に応じて予め設定された最
適量が添加される。この還元処理槽6に設置されている
加熱手段7eは、通常、廃棄した廃液を速やかに還元処
理すれば廃液の顕熱で事足りる訳であるが、前記還元剤
7bの添加量によっては液温の低下を来たすことになる
ために設けたものである。なお、還元剤7bを予め加熱
しておくことも考えられるが、還元剤7bを加熱すると
空気中の酸素との酸化還元反応が促進されてその還元能
力が低下するため好ましくない。また、加熱手段7eの
加熱源は廃液の撹拌効果も考慮して50〜80℃の水蒸
気の吹込みが好ましく、50℃未満では低いと還元効率
の低下を来たし、80℃を超えると水の蒸発が顕著にな
りエネルギー損失の増大を招く。
【0016】また、還元処理槽6には硫酸を供給する酸
供給配管8が接続されている。なお、詳細については割
愛するが、アルカリ性域の硝酸イオン、又は硝酸イオン
と亜硝酸イオンを含む水溶液に還元剤7bのみを多量に
添加した実験を行った場合、その水溶液中にアンモニア
イオンが多量に生成した。従って、アンモニアイオンの
生成回避のためにも、この硫酸の添加は好ましいもので
ある。還元剤7bとしての硫酸第一鉄又は塩化第一鉄
は、粉体での添加も考えられるが、添加量の調製の容易
性を考慮した場合、水溶液としての使用が好ましい。そ
の濃度は希薄であると還元に必要な量が増すため還元処
理槽6の容量を超えたり、不充分な還元処理効果しか得
られないし、濃厚であると気温の低い冬場において還元
剤7bが析出して配管やバルブを閉塞して安定供給がで
きない恐れが生じる。従って、その濃度は1〜2mol/
Lの範囲が好ましい。なお、還元処理槽6は、有害な窒
素酸化物の漏洩を避けるため密閉構造とすることが好ま
しい。
【0017】次に硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸
イオンを0.1mol/L以上という高濃度で含む硝酸イオン
含有廃液と還元剤7bとの反応によって生じたガス体の
窒素酸化物は、ブロワー10による吸引力により窒素酸
化物移送用配管9とを介して脱硝装置11に導入され
る。この脱硝装置11は、乾式のものであり、その主流
はアンモニア接触還元方式である。このアンモニア接触
還元方式の脱硝装置は、ガス体の窒素酸化物を含む空気
を加熱源にて約200℃程度に加熱し、適当な触媒を介
して窒素ガスと水に分解するものであり、硝酸を含む酸
洗処理槽にてステンレス鋼帯Sを酸洗処理する過程にお
いて発生するガス体の窒素酸化物を無害化処理するため
に、通常併設されているものである。従って、この脱硝
装置の処理能力に余裕があれば、既存の脱硝装置を利用
すれば良いし、余裕がなければ新たに適正な処理能力を
有するものを設ければ良い。この脱硝装置11では、導
入される窒素酸化物濃度を適正な方法で測定すると共に
処理後の窒素酸化物濃度も同時に測定して、アンモニア
ガスを断続的に添加して過不足のないアンモニアの添加
制御を行っている。従って、前述の還元処理槽6から導
入される窒素酸化物量に対して、アンモニアガスの投入
能力や脱硝装置11内での反応時間が充分であれば、既
存の脱硝装置が利用できることになる。
【0018】還元剤7bの添加量の調整方法は、前述の
ように廃棄した廃液の量とそれに含有される硝酸イオン
濃度、又は硝酸イオン濃度と亜硝酸イオン濃度との合計
量から算出される硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸
イオンを還元するに足る量の還元剤7bを少量ずつか間
欠的に適量ずつ添加することが好ましい。これは、一度
に必要量の還元剤7bを添加すると急激な反応により一
度に多量の窒素酸化物が発生して、脱硝装置11の能力
を超える結果、適正な脱硝処理ができないことになるた
めである。硫酸の添加に際しても同様である。また、多
量の硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオンを0.1m
ol/L以上という高濃度で含む廃液を処理する必要があ
る場合には、この廃液を連続的に処理することが効率的
である。この場合には、還元処理槽6内の廃液中の硝酸
イオン濃度、又は硝酸イオン濃度と亜硝酸イオン濃度と
の合計量をイオン電極等を用いて監視するか、酸化還元
反応の状態を酸化還元電位を指標として監視すること
で、還元剤7bの添加量の制御を行えば過不足のない還
元処理が行える。
【0019】かくして、硝酸イオン、又は硝酸イオンと
亜硝酸イオンの濃度の低下した廃液は、図示した実施例
では従来の方法と同様に一連の中和槽12aと清澄槽1
2b等を使用して、溶解金属を水酸化物化して固液分離
すると共に、公共水域に排水可能なpH6〜9の範囲の
中性域とし放流される。
【0020】
【実施例】
実施例1 ステンレス鋼帯の焼鈍酸洗ラインにおいて脱スケール用
に供し老化した硝弗酸の混酸液10m3を容量30m3
還元処理槽内に送液した。この溶液は、硝酸イオン1.
50mol/L,亜硝酸イオン0.25mol/L,即ち、両
者を窒素換算した濃度1.75mol/Lの硝酸/亜硝酸態
窒素と濃度2.4mol/Lの弗酸と溶解金属1.35mol/
Lを含む温度60℃のものであった。この廃液(廃酸)
に濃度70%の希釈硫酸2m3を添加した後、濃度1.0
mol/Lの硫酸第一鉄を1m3/時間の流量で8時間、合
計8m3添加した。この間に発生した窒素酸化物は、窒
素酸化物移送用配管にて脱硝装置に導入して処理した。
この実施ラインにおける脱硝装置の能力は30000m
3/時間であり、前述の還元処理槽からの窒素酸化物を
導入する前の窒素酸化物濃度は約500ppmであり、脱
硝後の窒素酸化物の濃度は約50ppmであった。一方、
還元処理槽からの窒素酸化物を導入後の脱硝装置入側の
窒素酸化物の濃度は平均して約1900ppmに上昇した
が、脱硝処理後の窒素酸化物の濃度は約190ppmであ
り、排気筒から排出される排ガスも無色であり、従来通
り問題なく処理できた。
【0021】比較例1 実施例1と同じステンレス鋼帯の焼鈍酸洗ラインにおい
て脱スケール用に供し老化した硝弗酸の混酸液10m3
を容量30m3の還元処理槽内に送液した。この廃液
(廃酸)に濃度70%の希釈硫酸2m3を添加した後、
濃度1.0mol/Lの硫酸第一鉄を2m3/時間の流量で
4時間、合計8m3添加した。この間に発生する窒素酸
化物は、窒素酸化物移送用配管にて脱硝装置に導入して
処理した。実施ラインの脱硝装置の能力は実施例1と同
じであり、前述の還元処理槽からの窒素酸化物を導入す
る前の窒素酸化物濃度は約500ppmであり、脱硝後の
窒素酸化物の濃度は約50ppmであった。一方、還元処
理槽からの窒素酸化物を導入後の脱硝装置入り側の窒素
酸化物の濃度は平均して約3300ppmに上昇し、脱硝
処理後の窒素酸化物の濃度は約330ppmであり、排気
筒から排出される排ガスも黄色に着色しており、環境上
好ましい状況ではなかった。
【0022】実施例2 ステンレス鋼帯の焼鈍酸洗ラインにおいて脱スケール用
に供した硝酸電解槽の老化酸洗液10m3を容量30m3
の還元処理槽内に送液した。この溶液は、硝酸イオン
2.0mol/L,亜硝酸イオン0.1mol/L,即ち、両者
を窒素換算した濃度2.1mol/Lの硝酸/亜硝酸態窒素
と溶解金属1.0mol/Lを含む温度50℃のものであっ
た。この廃液(廃酸)に濃度50%の希釈硫酸6m3
添加した後、濃度1.0mol/Lの硫酸第一鉄を1m3
時間の流量で8時間、合計8m3添加した。この間に発
生した窒素酸化物は、窒素酸化物移送用配管にて脱硝装
置に導入して処理したが、実施例1と同様に何等問題の
ないものであった。
【0023】実施例3 ステンレス表面処理工程において使用した硝酸と硝酸ナ
トリウムとを含む老化水溶液10m3を非常槽に送液し
た後、容量30m3の還元処理槽に送液して処理した。
この溶液は、硝酸イオン2.0mol/L,亜硝酸イオン
0.1mol/L,即ち、両者を窒素換算した濃度2.1mol
/Lの硝酸/亜硝酸態窒素と溶解金属1.0mol/Lを含
む温度80℃のものである。この廃液(廃酸)に濃度7
0%の希釈硫酸6m3を添加した後、濃度1.0mol/L
の硫酸第一鉄を1m3/時間の流量で8時間、合計8m3
添加した。この間に発生する窒素酸化物は、窒素酸化物
移送用配管にて脱硝装置に導入して処理したが、実施例
1と同様に何等問題のないものであった。
【0024】
【発明の効果】以上に詳述した如く、本発明に係る硝酸
イオン含有廃液の無害化処理方法及び装置は、硝酸イオ
ン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオンを0.1mol/L以上と
いう高濃度で含む硝酸イオン含有廃液に還元剤としての
硫酸第一鉄又は塩化第一鉄と硫酸とを添加して、該硝酸
イオン含有廃液中の硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝
酸イオンをガス体の窒素酸化物に還元し、この窒素酸化
物を乾式脱硝装置を介して窒素ガスと水とに分解して無
害化する硝酸イオン含有廃液の無害化処理方法とこの方
法を実施するのに好適な装置とに関するものであり、硝
酸イオン含有廃液中の硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜
硝酸イオンを従来のように液状体のままで処理するので
はなくてガス体の窒素酸化物にしてこの窒素酸化物を更
にガス体の窒素ガスと水にして空気中に放出するもので
あるので、公共水域に放流される排水中の硝酸イオンや
亜硝酸イオンの排出抑制を図ることができることから、
企業の有益性や社会的便益性は極めて大きく、またその
実施に必要な装置も簡便な構成で可能であり、その工業
的価値の非常に大きなものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステンレス鋼帯の連続酸洗処理に関する装置の
一例とこれに本発明方法を実施する装置を設置した場合
の一例を示すものである。
【符号の説明】
S ステンレス鋼帯 1 酸洗処理槽 2 酸洗液 3 酸洗液配管 4a ポンプ 4b バルブ 4c バルブ 5 酸循環槽 6 還元処理槽 7a 還元剤貯槽 7b 還元剤 7c 撹拌機 7e 加熱手段 8 酸供給配管 9 窒素酸化物移送用配管 10 ブロワー 11 脱硝装置 12a 中和槽 12b 清澄槽

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イ
    オンを0.1mol/L以上含む硝酸イオン含有廃液に硫酸第
    一鉄又は塩化第一鉄と硫酸とを添加して、該硝酸イオン
    含有廃液中の硝酸イオン、又は硝酸イオンと亜硝酸イオ
    ンをガス体の窒素酸化物に還元し、この窒素酸化物を乾
    式脱硝装置を介して無害化することを特徴とする硝酸イ
    オン含有廃液の無害化処理方法。
  2. 【請求項2】 硝酸イオン含有廃液が硝酸イオンを0.1m
    ol/L以上含む廃液の場合に、硝酸イオンの含有量1mol
    /Lに対して硫酸第一鉄又は塩化第一鉄を1〜2mol/L
    添加する請求項1に記載の硝酸イオン含有廃液の無害化
    処理方法。
  3. 【請求項3】 硝酸イオン含有廃液が硝酸イオンと亜硝
    酸イオンを0.1mol/L以上含む廃液の場合に、硝酸イオ
    ン及び亜硝酸イオンの合計含有量1mol/Lに対して硫酸
    第一鉄又は塩化第一鉄を1〜2mol/L添加する請求項1
    に記載の硝酸イオン含有廃液の無害化処理方法。
  4. 【請求項4】 硝酸イオン含有廃液中に硫酸第一鉄又は
    塩化第一鉄を添加するに際し、該硝酸イオン含有廃液の
    温度を20〜80℃の範囲に保持する請求項1から3ま
    でのいずれか1項に記載の硝酸イオン含有廃液の無害化
    処理方法。
  5. 【請求項5】 硝酸イオン含有廃液中に硫酸第一鉄又は
    塩化第一鉄を添加するに際し、硫酸第一鉄又は塩化第一
    鉄を水溶液の状態にして添加する請求項1から4までの
    いずれか1項に記載の硝酸イオン含有廃液の無害化処理
    方法。
  6. 【請求項6】 撹拌機(7c)と加熱手段(7e)とを備え
    た硝酸イオン含有廃液が供給される還元処理槽(6)と、
    該還元処理槽(6)内に硫酸第一鉄又は塩化第一鉄から成
    る還元剤(7b)を供給する還元剤貯槽(7a)と、該還元
    処理槽(6)内に硫酸を供給する酸供給配管(8)と、該還
    元処理槽(6)内から発生した窒素酸化物を脱硝装置(1
    1)に移送する窒素酸化物移送用配管(9)と、該脱硝装
    置(11)で発生した窒素ガスと水分とを大気中に放出さ
    せるためのブロワー(10)とを備えていることを特徴と
    する硝酸イオン含有廃液の無害化処理装置。
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